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カテゴリー「科学・技術」の9件の投稿

2022年11月13日 (日)

皆既月食と天王星食

 2022年11月8日(火)の夜、皆既月食と天王星食を観察・撮影する。

 

●皆既月食

 11月8日の夜、皆既月食があった。8日は冬型の気圧配置で、太平洋側の地域を中心に晴れて、全国的に観察できたという。月は18時9分から欠け始め、19時16分に皆既食となる。皆既月食になると、月が地球の影に隠れてで真っ黒になるのではなくて、大気がまるでレンズのような役割をして、太陽光が屈折して赤い色だけが届いて「赤銅色(しゃくどういろ)」のブラッドムーン(血の月)になる。

 国立天文台の情報によれば、皆既食は86分間続いて20時42分に終わり、その後は徐々に月は地球の影から抜けて、21時49分に部分食が終わるという。

 皆既月食(2022年11月8日) 出典:国立天文台 ホームページ 

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 夕方6時半頃から皆既月食の最大になる20時頃まで、自宅2階のベランダから観察と撮影した。

 部分月食 18:36 と 18:39

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 部分月食 19:04 と 19:10

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 皆既月食 19:18 と 19:54

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 皆既月食 月の左下に2つある星の上の方が天王星らしい。(写真をクリックすると拡大表示します)

 だんだん同じ姿勢で、眼も疲れてきたし寒いので、残念ながら撮影を止めてしまった。集中力や根気が続きません。

 

●天王星食

 月食の最中に、赤銅食の月が天王星を隠す「天王星食」が起こる。天王星は約6等級で、薄い青色に見える。普段の満月のすぐ近くであれば、明るさに負けてしまうが、天王星の潜入時に月が皆既食中で暗いため、見つけやすい。条件が良いと肉眼でも見えるという。

 天王星食(11月8日東京の予報) 出典:国立天文台 ホームページ

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 撮影できなかったので、国立天文台のライブ映像(YouTube)から引用する。

 20:11:09 皆既月食と左下に天王星 出典:国立天文台 ライブ配信(YouTube) 

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 20:26:38 皆生月食 左下の天王星が月に接近 出典:国立天文台 ライブ配信(YouTube) 

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 20:40:06 天王星の潜入 出典:国立天文台 ライブ配信(YouTube) 

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 21:22:57 天王星の出現 出典:国立天文台 ライブ配信(YouTube) 

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 ★ ★ ★ 

 皆既月食の撮影は、これまで何回か挑戦したが、今回はうまく撮れた方だ。ただ残念なのは月の高度が高くなって、カメラで追いにくくなったり集中力が切れて、天王星食まで待てずに撮影を止めてしまった。あとで他の天王星食の写真を見て、続けていれば撮れたはずだったのだが。

 日本全国で皆既月食が見られたのは、2021年5月26日以来、1年5か月ぶり。このときは、あいにく曇っていてうまく撮影できなかった。次回の皆既月食は、2025年9月8日だそうだ。

 国立天文台によると、日本で皆既月食と「天王星食」が重なるのは過去5千年で一度もなく、極めてまれな現象だという。皆既月食と「惑星食」が同時に観測できるのは、1580年7月以来442年ぶり。「天王星食」は、「惑星食」の一種。日本で皆既食中に「惑星食」が起こったのは、1580年7月26日の「土星食」以来442年ぶり。次回は322年後、2344年7月26日の「土星食」だそうだ。

 

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  「ブラッドムーン」 2014/10/09 投稿
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  「赤い月」 2014/04/17 投稿
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2021年5月28日 (金)

スーパーブラッドムーン2021


 2021年5月26日(水)夜、スーパーブラッドムーンを観察。

 
 この日の月は、地球に最も接近して大きく見える「スーパームーン」。しかも皆既月食になって、赤銅色に見える「ブラッドムーン」が観られる。月の欠けはじめは18:44。皆既月食になる時間は、20:09~20:28。
 26日(水)は、高気圧が日本付近を東に移動。高気圧の後ろ側に入る西日本は天気が下り坂で、夜には雨が降り出す見込み。翌日にかけての激しい雨。北日本は晴天が続く。東日本は段々と上空の薄雲が増えるが、夜の皆既月食を見られるチャンスはありそうだという。

 この日の関東は、最高気温26℃の夏日だが、あいにく晴れのち曇り。19:00過ぎから、見晴らしの良い近くの河川の堤防から観察したが、厚い雲で月は全く見えず。20:40頃になって、南東の方向に高度を上げた月が、雲の合間から時々一瞬だけ顔を出したり隠れたりするようになった。すでに皆既月食が過ぎた部分月食。


 21:00前になって、右の方が欠けている月がやっと撮れたが、薄い雲があってぼやけている。赤銅色には見えない。

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 部分月食は、21:52で満月となったようだ。結局、部分月食もほとんど見えなかった。

 22時前頃、諦めて帰る。
 
 
 下の写真は、3年前の2018年1月31日に撮った「スーパー・ブラッドムーン」。
 
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 次に見られるのは、2022年11月だそうだ。


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  「赤い月」 2014/04/17 投稿
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2020年6月11日 (木)

新型コロナによる肺炎と血栓症

  国内で新型コロナウイルス感染者が初めて見つかったのは、2020年1月16日。それから半年近く6月中旬になったが、まだ先行きは見えない。最近では新型コロナの症状が「肺炎」だけではなく「血栓症」の報告が相次いでいるという。
 

  昨年末に中国に端を発した新型コロナウイルスは、当初は「新型肺炎」とも呼ばれた。重症化した患者が、肺炎を起こして亡くなる例が多かった。しかし最近の報告では、肺だけでなく「血管の炎症」により全身に症状が出ることがわかってきた。

  「血栓症」が増加するとの報告が多く上がり始めている例として、オランダの研究チームはICUに入室したすべての新型コロナ感染患者184名について、4月5日時点で13%が死亡、12%が生存退院、76%が依然ICU入室中であった。全患者のうち31%に血栓性合併症が確認されたという。またドイツでは、新型コロナで死亡した患者12人の病理解剖を実施。7人(58%)の患者に深部静脈血栓塞栓症を認め、凝固異常が死亡に影響している可能性を示した。論文は5月6日に報告された。

   厚生労働省は5月18日、医者向けの「新型コロナウイルス感染症の診療の手引」を改訂した。

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第2版」(2020年5月18日発行)の表紙 出典:厚生労働省ホームページ

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 「診療の手引き」では、新たな知見を踏まえ、重症化に関連があるとされる「血栓」へ の対応や 重症化を見極める指標となる「重症化マーカー」、 新たに承認された治療薬についてなど、最新の治療のポイントをまとめている。第1版の「手引」は、3月17日に発行したが、その後様々なことが分かってきたため第2版の発行となった。

  新型コロナに感染した人のうち、約8割は症状がないか軽症ですむが、入院が必要になるのは約2割。重症化するのは5%程度とされている。 

 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第2版」(2020年5月18日発行)

 下の図は、国内の年齢別致死率。

 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第2版」(2020年5月18日発行)

 「診療の手引き」には、【重症化のリスク因子】として、「高齢者、基礎疾患(糖尿病・心不全・慢性呼吸器疾患・高血圧・がん)、喫煙歴のある患者では、致死率が高い」としている。

  NHKホームページ 新型コロナウイルス特設サイト「新型コロナ 重症化のメカニズムは? 解明に向け進む研究」 (2020年6月3日)によると、重症化しやすいとみられる人として、アメリカのCDC(疾病対策センター)は65歳以上の高齢者に加えて、慢性の肺の病気や、重い心臓病、糖尿病、肝臓の病気などの持病がある人のほか、慢性の腎臓病で透析治療を受けている人、喫煙者やがんの治療や臓器移植などで免疫力が低下している人、それに重度の肥満の人などをあげている。 

 NHKホームページ「新型コロナ 重症化のメカニズムは? 解明に向け進む研究」2020年6月3日

 また「診療の手引き」の【合併症】の項目には、「若年患者であっても脳梗塞を起こした事例が報告されており、 血栓症を合併する可能性が指摘されている。また、 軽症患者として経過観察中に突然死を起こすことがあり、 これも血栓症との関連が示唆される。」とある。

  新型コロナ感染症では、肺炎とともに肺の血管が詰まる「血栓症」が起き、酸素を体内に取り込めなくなる事例があることが分かってきたそうだ。血栓は、血管内にウイルスが入り込んだり、免疫が暴走して自分自身の体を攻撃する「サイトカインストーム」と呼ばれる症状などのため、 血管の細胞が炎症を起こしている可能性が指摘されている。

 「サイトカイン」は細胞から分泌され、免疫や炎症を調整するタンパク質で、他の細胞に命令を与える。ウイルスの侵入で「サイトカイン」が増えすぎて、ストーム(嵐)のように暴走すると正常な細胞も攻撃する。こうした症状が見られる際には、免疫が患者の関節を攻撃して炎症を起こす病気、リウマチの治療に使われる、免疫の働きを抑える薬の投与が行われる。

  さらに「サイトカイン・ストーム」で血管が傷ついて炎症が起こり血栓ができやすい。その血栓が血管に詰まってしまうと、肺で酸素が取り込めなくなったり酸素が行き渡らなくなったりして、重症化につながると考えられる。また「サイトカイン・ストーム」が、腎臓や肝臓など、複数の臓器で起き、多臓器不全となって死に至ったとみられるケースも、各国で報告されている。

 そのため「診療の手引き」には、「血栓症」対策として、血管の中に血栓ができているかを見る指標「Dダイマー」の数値を「重症化マーカー」として確認することが重要だとし、正常値を超えたら必要に応じて血液が固まるのを防ぐ「ヘパリン」(血液をサラサラにする薬) を投与するなどといった抗凝固療法を推奨している。血栓は、脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなる。それほど重症でなかった患者が、急に亡くなるケースはそういった可能性もあるのではないだろうか。

 一方で、これまで新型コロナで重症化しやすいと考えられてきた喘息(ぜんそく)の患者について、国立成育医療研究センターで中国とアメリカの患者のデータを解析したところ、重症化リスクは高くはないそうだ。また欧米では、子どもがまれに全身の血管に炎症が起きる川崎病のような症状で、中には重症化して死亡したケースも報告されている。今のところ国内では、このようなケースは報告されていないが、日本川崎病学会では今後も注視するとしている。(ちなみに、「川崎病」を発見した小児科医の川崎富作氏は、6月5日老衰のため東京都内の病院で逝去された。)

  
 「診療の手引き」の薬物療法には、現時点では新型コロナに対する抗ウイルス薬による特異的な治療法はないとしながら、日本国内でも臨床研究・試験が開始されている以下のような主な薬剤を紹介している。

 国内で入手できる新型コロナの適応薬として、「レムデシビル」 (RNA 合成酵素阻害薬)は抗エボラウイルス薬として開発中であるが、コロナウイルスにも活性を示すという。2020年5月1日、アメリカで緊急使用を認めた新薬であり、日本では「特例承認制度」を用いて5月7日に正式に新型コロナウイルスへの治療薬として承認された。

 新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 出典:国立感染症研究所ホームページ

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真。粒状の粒子の上にコロナウイルス特有の冠状のスパイクタンパク質が観察できる。出典:国立感染症研究所ホームページ

 エボラウイルスのビリオン(電子顕微鏡)出典:米CDC ウィキメディア・コモンズ 

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  現在、国内において,治験及び特定臨床が実施されているもの 、以下の薬剤はいずれも有効性・安全性が確立していないため、研究としての適切な手続きを行った上で使用することが原則だそうだ。

 ・「ファビピラビル」(アビガン、適応:インフルエンザ)は、企業治験及び特定臨床研究が実施されているほか、観察研究も実施中。

 ・「シクレソニド」(吸入ステロイド薬、 適応:気管支喘息)は、国内において特定臨床研究が実施されているほか、観察研究も実施中。

 ・「ナファモスタット」(適応:急性膵炎)は、国内において特定臨床研究が実施されている。

 ・「トシリズマブ」(アクテムラ)と「サリルマブ」(ケブザラ)(遺伝子組換え、適応:関節リウマチ)は、国内において治験が実施中。

  このように、新型コロナ感染症は重症化すると肺炎だけでなく、さまざまな臓器で炎症が起きたり、血液の凝固異常がみられたりするなど、「全身性の疾患」だという認識に変わってきている。

 写真は、米疾病予防管理センター(CDC)の作成による新型コロナウィルスの微細構造模型。ウィキペディア・コモンズから転載。

米疾病予防管理センター(CDC)の作成による新型コロナウィルスの微細構造模型。ウィキペディア・コモンズから転載。

 

 ★ ★ ★

 1918年から1919年にかけて流行した「スペイン風邪」では、5千万と推定される死者の中で、健康な若者の死亡数が著しかったようだが、「サイトカイン・ストーム」が発生したのではないかと推測されているそうだ。また2003年の「SARS」流行では、香港での調査によると死因の多くが「サイトカイン・ストーム」によると判明しているという。2009年新型「インフルエンザ (H1N1)」 でも、基礎疾患のない若者の死亡率が高いことも同様な理由として説明されているようだ。

 6月8日のWHOの記者会見で新型コロナ感染症の無症状感染者は伝染力がほとんどない、また別の責任者は9日、感染者のおよそ40%は、無症状感染者からうつされているという見方を明らかにした。矛盾している気がするが、どういうことだろうか。 

2020年4月15日 (水)

人類とウイルスの共生と感染症

  2020年4月3日付の朝日新聞朝刊に「福岡伸一の動的平衡」という連載コラムで、「ウイルスという存在」と題した記事が気になった。

 見出しには「生命の進化に不可避的な一部」とある。

 

 2018年9月1日、北アルプスの「乗鞍岳」登山のため前日、乗鞍畳平の「銀嶺荘」に宿泊した。午後2時頃に到着したが、雨だったため畳平の散策をあきらめ、宿でNHKテレビ(BS1)「最後の講義 生物学者 福岡伸一」を見た。講師は、分子生物学の福岡伸一教授。たぶん深夜に放送された番組の再放送だったと思う。 

 福岡伸一氏は、分子生物学の青山学院大学教授。「生命は、絶え間ない分解と合成の上に成り立つ」とする「動的平衡論」を説く。有名な著書に『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書、2007年発行)というのがあって、10年ほど前に読んだことがある。
 
  
 氏の専門分野「分子生物学」については、学生時代に少し興味があった。その頃、分子という化学や物理学の世界で、生物学を論じる新しい学問である「分子生物学」や「化学生物学」とか、新しい学問分野が生まれていた。最近では「生命科学」という分野もある。

 今から10年以上前ころに、テレビや雑誌などで「分子生物学」が脚光を浴びていたようだった。そのころ福岡伸一著の『生物と無生物のあいだ』と、その後『できそこないの男たち』という新書版を読んだ。『生物と無生物のあいだ』は、当時話題になった書籍で65万部を超えるベストセラー、「生命とは何か?」という科学上の定義について論じたものだった。

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 氏は、生命の定義を「動的平衡」という概念を提案して、「生命とは動的平衡にある流れである」としている。この本の前半部分には、京大農学部を出て博士号を取ったあと、アメリカで研究生活、下積みの苦労や研究競争などの話などが書いてあった。この部分には非常に興味深かったが、この本の主題である「動的平衡」については難解で、よくは理解できなかった。結局、この本の生物と無生物の差が、あまりよく分からなかったことを憶えている。

 一方、『できそこないの男たち』(光文社新書 2008年発行)は、けっこう分かり易くて面白かった。生命の基本は、「女」であって、生命は子供を産む女の基本仕様でできていて、その仕様が出来そこなったのが「男」だそうだ。分子生物学的な染色体や遺伝子について論じてあるが、男女の性器の違いも詳しく説明してあった。

 

 乗鞍畳平の山荘「銀嶺荘」で福岡教授の講義をテレビで視聴し、生命の「動的平衡」の意味がやっとわかって納得した。

 教授の文章には、定評がある。理系の学者にしては、文章がうまい。文学者よりも文学的で、詩的な感性と表現は、すばらしい。書かれている難解な内容よりも、その表現に引き込まれ読み進めてしまう。

  
  ★ ★ ★

 話を戻して、朝日新聞「福岡伸一の動的平衡」というコラムの「ウイルスという存在」には、次のように書かれている。

 ウイルスとは電子顕微鏡でしか見ることのできない極小の粒子であり、生物と無生物のあいだに漂う奇妙な存在だ。生命を「自己複製を唯一無二の目的とするシステムである」と利己的遺伝子論的に定義すれば、自らのコピーを増やし続けるウイルスは、とりもなおさず生命体と呼べるだろう。 しかし生命をもうひとつ別の視点から定義すれば、そう簡単な話にはならない。代謝も呼吸も自己破壊もないウイルスは生物とは呼べないことになる。
 (中略)
 ウイルスは宿主の細胞内に感染するわけだが、それは宿主側が極めて積極的に、ウイルスを招き入れているとさえいえる挙動をした結果である。
 (中略)
 ウイルスは構造の単純さゆえ、生命発生の初源から存在したかといえばそうではなく、進化の結果、高等生物が登場したあとに初めてウイルスは現れた。高等生物の遺伝子の一部が、外部に飛び出したものとして。つまり、ウイルスはもともと私たちのものだった。
 (中略)
 宿主に病気をもたらし、死をもたらすこともありうる。しかし、それにもまして遺伝情報の水平移動は生命系全体の利他的なツールとして、情報の交換と包摂に役立っていった。
 (中略)
 かくしてウイルスは私たち生命の不可避的な一部であるがゆえに、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。私たちはこれまでも、これからもウイルスを受け入れ、共に動的平衡を生きていくしかない。
 
 文章は読んでいて心地良いが、内容は難解で頭にすっと入って来ない。しかし、ウイルスがどんなものかという概要は分かった。要は、ウイルスは病原体としてだけでなく、生命の進化に不可避な存在であるということらしい。記事では、人間の立場に立った感染症の恐怖とか、感染防止のための生活の苦しさは伝わって来ないが、自然科学としてのウイルスを客観的な観点から冷静に解説してある。
 
 この機会に他の資料も調べて、「人類とウイルスの共生と感染症」についてまとめてみたい。 
 
 ★ ★ ★
 
 一般的な生物の細胞の大きさは、数〜数10μm(マイクロメートル)。ウイルスは数10nm(ナノメートル)~数100nmの大きさの微粒子で、細胞の1/100〜1/1000程度、電子顕微鏡でしか見えない。基本的にエネルギーを作れず、細胞分裂や生殖で自己複製する能力はなく、代謝もないウイルスは生物とは言えない。生物の定義に「自己複製可能」という定義を当てはめると、ウイルスはもはや生物でなく無生物だ。
 
 しかし自己複製できないウイルスは、他の生物の細胞に寄生して増える。つまり自身では設計図(遺伝子)を持っているだけで、それを宿主の細胞に渡して製品(遺伝子産物や子孫)を作ってもらい増殖する。自分のコピーをより多く作ってくれるところへ潜んでいき、そこで設計図を渡す。ウイルスは、宿主の細胞に働きかけて、そのシステムをうまく利用している他力的な存在なのだ。よってウイルスは、”まるで生きているかのよう”に、自らのコピーを増やし続けるので、生物と呼べないこともない。つまり「生物と無生物のあいだ」という中途半端な存在である。
 
 真菌(カビの仲間)などは、人間と同じ多細胞生物。細菌(バクテリア)は、その体の一つの細胞が飛び出して独立した単細胞。ウイルスは、その細胞内の遺伝子が細胞から飛び出して独立したもの。もちろん遺伝子だけだと何ともできないので、細胞の中に入ることで初めて活動できるのだ。
 
 ウイルス粒子は、たんぱく質でできた殻とその中に収まっている核酸(遺伝子)で構成される。遺伝情報を担う物質の種類により、DNA(デオキシリボ核酸)かRNA(リボ核酸)のいずれかの核酸を有する。一般の生物の細胞内には、DNAとRNAの両方を有するが、ウイルスはDNAを持つウイルスとRNAを持つウイルスに分かれる。
 
 カビの仲間など多細胞の「真菌」 出典:MS Office 2019 オンライン画像
Shinkin
 単細胞の「細菌」(大腸菌) 出典:同上
Daichokin
 「ウイルス」の一例、エボラ出血熱の病原体エボラウイルス 出典:同上
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 ウイルスの登場に関しては諸説あるようだ。福岡氏は高等生物が出現した後に登場したとしているが、地球に生命が誕生した(40億年前)ごく初期から進化に深くかかわってきたとか、少なくとも30億年前には登場していたとも考えられている。我々人類とは比べものにならないくらい昔から、地球上に存在しているのだ。生物がいる環境ならウイルスも存在する。原始生物の誕生以来、生物とウイルスは共存しながら、互いの進化に影響を及ぼしつつ、長い時間を過ごしてきた。
 

 ウイルスの中には、自分の遺伝子を宿主細胞のDNAに組み込むものもいる。多くの場合、宿主には何も起こらないが、まれに宿主の進化に重要な影響をもたらすことがあるという。卵子や精子の元になる細胞に入り込むと、子孫に伝わりウイルスのDNAがヒトの遺伝情報の一部となる。長い時間をかけて突然変異を重ね、ウイルスの遺伝子として働くことはなくなり、ヒトの遺伝子として使われるようになるものもあるそうだ。DNAにウイルスが入って来ることで、それが長い歴史で見ると我々の「進化」につながったのだ。

  
 新型コロナウイルスのように、ウイルスは病原体として麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)や天然痘、インフルエンザ、ノロウイルス感染症・・・など、病気を起こすウイルスがよく知られている。地球上には、多様で膨大な種類、大量のウイルスが存在する。おそらく、病気(感染症)を起こすウイルスは、わずか1%程度。その他99%のウイルスは、人類に無害であるという。
 
 私たちの祖先は、ウイルスに感染してきた。人間の体内にいるウイルスは、元はすべて動物から来ているという。遺伝子の変異によって人に感染する能力を獲得した動物由来のウイルスの出現が、歴史上繰り返されてきた。人類は、感染症との闘いの歴史でもある。人類は、病気の原因の細菌やウイルスをつきとめ、ワクチンや治療薬の開発に精力を注いできた。ウイルスの撲滅に成功した事もあるが、今でもたびたび未知のウイルスによって、多くの犠牲者を出す感染症の流行が繰り返されている。
 
 今回の病原体である新型のコロナウイルスは、2002年から2003年にかけて香港を中心に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)や、その後に中東地域や韓国で感染が拡大したMERS(中東呼吸器症候群)の原因となったウイルスと共通したコロナウイルスである。どれも動物由来の感染症と考えられている。

 SARSコロナウイルス (SARS coronavirus; SARS-CoV) 出典:ウィキメディア・コモンズ
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 ウイルスではないが、人類史上で複数回、大流行した感染症として知られる「ペスト」の病原体は、ペスト菌だ。致死率が非常に高く、東ローマ帝国などでの流行の記録が残っている。14世紀の流行では、世界で1億人が死亡したとされる。感染者の皮膚が内出血によって紫黒色になることから、「黒死病」と呼ばれて恐れられた。
 
 ペスト菌(Yersinia pestis)出典:ウィキメディア・コモンズ
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 また、1918年から1919年にかけて2千万~5千万人の死者を出したとされるインフルエンザ・ウイルスによる「スペイン風邪」は世界的に大流行した感染症として知られている。第一次世界大戦の最中で、最初に米軍兵士の間で流行し、欧州に派遣された兵士を介して、戦場で各国の軍隊へ広がったと考えられている。日本でも38万人の死者が出た。
 
 伝染力が強く、全身に膿疱が広がり、 致死率が高い「天然痘(痘瘡)」は、天然痘ウイルスを病原体とする感染症。古くから世界各地で流行の記録が残る。天然痘で死亡した最古の例は、紀元前1100年代のエジプト王朝のラムセス5世。彼のミイラには、天然痘の痘痕が認められた。種痘による天然痘予防が徐々に世界中に広まっていき、20世紀中盤には先進国においては天然痘を根絶した国も現れた。更にWHOによる天然痘ウイルスの制圧計画が進み、1980年に人類で初めてウイルス撲滅が宣言された。
 
     
(参考資料)
●2020年4月3日 朝日新聞朝刊「福岡伸一の動的平衡」ーウイルスという存在ー (青山学院大学 福岡伸一)

●2020年3月12日 朝日新聞別刷「知る新型コロナ-未知のウイルスと向き合う」 人類 vs. 感染症 -ウイルス・細菌 続く闘い(大阪科学医療部 嘉幡久敬)

●2020年4月6日 朝日新聞朝刊 科学の扉「ウイルス共生の歴史」-宿主に遺伝子残し病防ぐ/進化、初期から関与?(大阪科学医療部 瀬川茂子)

●第115回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム「ウイルス感染症の発症機序―ウイルスが病気を起こすメカニズム―」 日本耳鼻咽喉科学会会報  2014年 117巻10号 p1245-1248 (金沢大学 医薬保健学総合研究域 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 吉崎智一)

●第25回 血液学を学ぼう! 今さら聞けない 「ウイルスと細菌と真菌の違い」2017.3.27 (近畿大学医学部附属病院 輸血・細胞治療センター)
 
 

 ★ ★ ★

 4月13日、新型コロナによる世界の死者は11万人超え、米国が感染者数(55万6千人)と死者数(2万2千人)とも世界最多となった。米国の感染拡大の中心になっているのはニューヨーク市で、感染者数は10万人を超え、医療崩壊の危機が叫ばれている。トランプ米大統領の初動対応の遅れは否めない。トランプは、最初「ウイルスは暖かくなる4月までに消える」や「数日で感染者ゼロになる」などと、コロナの脅威を過小評価していたのだ。
  
 国内でも、感染拡大の勢いに歯止めがかからず、感性者数はは増加の一途。感染経路不明の感染者が増加する一方、クラスター(集団感染)の発生も拡大している。東京・大阪などの大都市では、オーバーシュート(感染爆発)の寸前だとの危機が広がる。医療設備・物資や病床の逼迫や、院内感染によって、医療崩壊の危機が迫っている。「緊急事態宣言」は遅きに失した。

 経済面では、企業活動や消費活動が長期にわたって停滞するとの観測。商業施設などへの休業要請に対する休業補償、所得減少世帯への現金円支給(30万円)は、詳細が不透明で給付に時間もかかりそうで緊急経済対策の不安を拭えない。

2018年3月12日 (月)

国立科学博物館の常設展「地球館」

 2018年2018年2月11日(日)、東京・上野の国立科学博物館(以下「科博」の特別展「古代アンデス文明展」を観覧した後、常設展に行く。
 

 科博の常設展は「地球館」と「日本館」の2棟に分かれている。特別展を見終わった後12:00~13:00まで、「地球館」(地球生命史と人類)を観覧。特別展の入場券の提示で無料。

 「地球館」の地上1階から3階、地下1階から3階へと駆け足でめぐる。
 

●1F 地球ナビゲータ

 宇宙史、生命史、人間史の136億年の時間の旅。

 写真は、人間史についての頭骨のレプリカ。

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 生命史を代表する恐竜「アロサウルス」、右手に人間史を代表する人工衛星「ひまわり1号」。

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●1F 地球の多様な生き物たち

 多くの種に分かれて進化した生物が、さまざまな環境に適用して、お互いに関わり合いを持ちながら生きている姿を紹介。

 海洋生物の多様性の展示。

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 陸上生物の多様性の展示。

 熱帯雨林・・・ボルネオから運んできた締め殺しの木。熱帯に分布するイチジク属の木は宿主植物を絞め殺すように成長する。

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 四季の明瞭な温帯林の生物。

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 多様性の由来・・・アゲハチョウの多様性の展示。

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 自然を生き抜く工夫・・・サイズへの挑戦。キリン、アジアゾウ、マッコウクジラ、コマッコウの骨格。

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 系統広場・・・細菌からヒトに至るまで多様なすべての生物は親戚関係にあり、それを表わしたのが系統樹である。

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●2F 科学と技術の歩み

 江戸時代以降、外国の技術を取り入れ、日本固有の科学技術の発展を紹介。

 日本の航空技術を代表する「零式艦上戦闘機」。

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 国産量産車のさきがけとなった「オートモ号」。

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 レンズ設計のために開発され日本で初めて稼働した真空管式電子計算機。

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 世界初のマイクロプロセッサ「インテルi4040」を使用したマイコンキット「NEC TK-80」。

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 日本の宇宙開発。手前から、ペンシル型の後継機「ベビー型ロケット」、日本初の人工衛星「おおすみ」、「LE-5エンジン」。

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●3F 大地を駆ける生命

 力強く生きている哺乳類と鳥類のはく製を展示。

 進化の頂点・大型野生獣、動物たちが生きるための知恵、サバンナの哺乳類など。

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 鳥の多様な形。

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●B1F 地球環境の変動と生命の進化 -恐竜の謎を探る-

 恐竜の起源、大型化、多様性、絶滅の謎を化石を通して知る。

 板状の骨を持つ鳥盤類恐竜のスコロサウルス(前)とステゴサウルス(後ろ)。

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 3本の角を持つ鳥盤類恐竜のトリケラトプス(右)、後ろ足に比べ前足は短い竜盤類のティラノサウルス(左)。植物食で首と尾の長い竜盤類のアパトサウルス(後方)。

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 中空で丸い鶏冠をもつ鳥盤類恐竜のヒパクロサウルス。

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●B2F 地球環境の変動と生命の進化 -誕生と絶滅の不思議-

 恐竜が絶滅後に大発展した哺乳類の中から人類が生まれた進化の過程を探る。

 陸上に進出した生物-植物は陸上に進出し、やがてシダ植物、被子植物が森林を形成し、動物と新たな関係を築く。写真は、植物の化石。

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 陸上を支配した哺乳類。

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 人類の進化。左は猿人、右は原人。

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 マンモスの骨を利用した3万~1万年前の住居の復元。

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 石器に見る人類の技術文化の発展。

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●B3F 自然のしくみを探る -私たちの世界はどのようにできているのか-

 宇宙を探る、物質を探る、そしてこれらを支配する法則を探るというテーマで、その探求の成果を展示。それに貢献した日本の科学者たちを紹介。

 アルフレッド・ノーベルと1901年に始まったノーベル賞。

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 日本の物理学を先導した長岡半太郎氏「原子構造の理論を発表」。

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 2002年ノーベル化学賞 田中耕一氏「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」。

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 2012年ノーベル生理学・医学賞  山中伸弥氏「 様々な細胞に成長できる能力を持つiPS細胞の作製」

 2015年ノーベル生理学・医学賞   大村智氏「線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新たな治療法に関する発見」。

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 2015年ノーベル物理学賞「ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」 梶田隆章氏。

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 科学の特別展「古代アンデス文明展」を観覧した後、残りの1時間で常設展をざっと回ったが、「日本館」は時間切れで観覧できず。

 日曜日で子供連れが多かった。当館は、かつては「教育博物館」と称されたように、小中学生の勉強の題材にちょうど良い。見られなかった「日本館」は、次に上野に来た時のために取っておきたい。

 13:00、「科博」を退出する。
 

 この後は、本ブログ記事「すみだ北斎美術館」
  http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-6944.html

 に続く。

 

 本ブログの「博物館」に関する記事

  国立科学博物館「古代アンデス文明展」 2018/02/15 投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/post-cd4c.html

  国立歴史民俗博物館 2017/03/07 投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-b174.html

  大阪探訪の旅-その1 (国立民族学博物館) 2016/06/15 投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-a78a.html

  九州国立博物館 2016/04/26 投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-b94e.html

  東京国立博物館「みちのくの仏像」 2015/02/24 投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-3212.html

2018年2月 1日 (木)

スーパー・ブルー・ブラッドムーン

 2018年1月31日(水)夜の皆既月食。

 

 「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」は、次の3つが同じタイミングで起こる。

 ・満月が、通常よりも大きく見える「スーパームーン」(Super Moon)。

 ・ひと月に2度目(今月は2日も満月)の満月となる「ブルームーン」(Blue Mon)。月が青く見えるわけではない。

 ・太陽-地球-月が一直線に並ぶ「皆既月食」により、月が赤く見える「ブラッドムーン」(Blood Moon)。

 

 日本では、南東から南の空にかけて、次の時刻で天体ショーを観察できる。

 ・「部分食」の始め は、1月31日20時48分。

 ・「皆既食」は21時51分に始まり、22時29分に食の最大。1時間17分間続き、23時08分に終わる。

 ・「部分食」の終わりは、2月1日0時11分。
 

 31日の関東甲信地方の天気予報では、気圧の谷の影響で午後から曇り空になるという。ちなみに翌日の2月1日は1日中曇りで、ところによって雨か雪の予報となっている。

 

 夕方のニュースでは、薄雲もり、ひょっとしたら晴れ間から見えるかも・・・。2階のベランダに上がって、21時くらいから三脚を立ててカメラを構える。

 21:06頃、月が欠け初めているが薄雲で、ボンヤリ。

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 21:18頃、上弦の月。雲が切れて来た?

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 21:42頃 影の部分が赤みを増してきた。10分後には皆既月食が始まる。

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 22:01頃、皆既月食が始まって10分後。

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 22:14頃の皆既月食。

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 22:31頃、食の最大。

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 月が天高く昇ってベランダからは、軒先が邪魔になって撮影しにくくなった。

 ともかく足元がとても寒い。気温は0℃前後だろうか。23:00頃、撮影終了。
 

 「スーパームーン」は通常の月と比べると14%大きく、30%明るく見えるそうだ。頻度としては、年に4~6回。「ブルームーン」は2年8ヶ月に1回、「皆既月食」は1~3年に1回、年に2回の年もあるらしい。

 わりと頻繁に起こっているようだが、これが3つが同時に起こるというのが、珍しいようだ。日本では、1982年12月30日にスーパー・ブルー・ブラッドムーンが起こっていたので、約36年ぶり。次の皆既月食(本州以西)は、2018年7月28日。なお次の「ブルームーン」×「皆既月食」は、2037年とのこと。

 

 本ブログの関連記事

  「ブラッドムーン」 2014/10/09 投稿
    http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-9a83.html

  「スーパームーン」 2014/09/11 投稿
    http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-6715.html

  「赤い月」 2014/04/17 投稿
    http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-66f6.html

2014年10月 9日 (木)

ブラッドムーン

 2014年10月8日(水)は、日本で3年ぶりの皆既月食。

 

 この日の天気は、晴れだったが、夕方頃から雲が多くなる。 

 日の入りは17:16、月の出はそれより早く17:07。

 自宅近くの見晴らしの良い場所に行って、月の出を待つ。やがて、ほぼ満月に近い大きい月が、東の空の送電鉄塔の間から昇る。

 日が沈んだ後、17:25と7:30のうす暗くなった空の月。赤みかかった月は、高く昇るにつれ黄色くなっていく。

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 17:45、暗くなった空の月。

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 18:02、ちょうど飛行機が月を横切った。シャッタータイミングが惜しい。

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 18:14ころ~部分月食が始まる。月が昇る行く手には、雲が広がっていて、皆既月食が見られるか心配。

 だいぶ月が空高く昇って来たので、自宅の2階ベランダに撮影場所を移す。

 18:44と19:04の部分月食(シャッター速度が異なる)。 

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 月は、だんだん雲が広がる空へと向かい、19:24ころ皆既月食が始まる。雲に隠れたり出たりで、完全な形の皆既月食が、思うように撮れない。

 19:27、雲間に透けて見える皆既月食。

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 19:39、やっと完全な皆既食の「ブラッドムーン」が撮れたが、ややピントが甘い。

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 皆既食中の月は、赤銅(しゃくどう)色と呼ばれる赤黒い色に見え、「ブラッドムーン」(Blood Moon、血の月)と呼ばれる。太陽光が地球の周りの大気の中を通過する時、波長の短い青い光は空気の分子によって散乱されるが、波長の長い赤い光は大気中を通過することができる。これは、朝日や夕日が赤く見えるのと同じ原理。

 また、大気がレンズのように太陽光を屈折させて、地球の影の内側に入り込み、このわずかな赤い光が皆既食の月面を照らすので、赤黒く見えるのだ。

 

 20:24ころ皆既月食が終わり、部分日食は21:34ころまで続いた。

 20:49と21:12の部分月食(シャッター速度が異なる)。高度も上がり、太陽が反射する月面は、白っぽい色に変わっている。

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 半年前の2014年4月15日、アメリカからハワイなど太平洋の一部では、皆既食のブラッドムーンが見られた。

 この時日本から見れたのは、部分食のみだった、地平線からほんの数分間だけ部分月食で昇って来た。この時の赤い月は、朝日や夕日と同じ原理の赤で、本当の皆既月食の「ブラッドムーン」ではないそうだ。

 本ブロクで、月についての関連記事は、以下の通り。

 「スーパームーン」
  http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-6715.html

 「赤い月」
  http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-66f6.html

 

 

 次に日本で見られる皆既月食は、2015年4月4日だそうだ。

 

2014年9月11日 (木)

スーパームーン

 9月8日は「中秋の名月」だったが、この日は曇りで月はまったく見えなかった。

 
 その翌日の9日は、月が地球に最接近する今年最後の「スーパームーン」となる。

 
 スーパームーンは、月が地球に接近するときと、満月が重なる現象。通常の月に比べて大きさが14%、明るさが30%増して見えるらしい。

 夕方6時過ぎ、コンパクトカメラを持って外に出ると、曇っていて月を望めそうもない。と思ったら、水平線近くに大きい赤い月(Blood Moon)が昇っていた。

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 コンパクトカメラで、しかも三脚なしなので、像がややぼけている。

 アップで撮ると、月は肉眼で見えるように赤く写ったが、引いて撮ると白っぽく写る。

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 6時半くらいになると、厚い雲に隠れて見えなくなった。

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 10日夜は、満月を過ぎて月齢は16.5となる。月の出を待ったが、残念ながら曇っていて、月は現れず。

 

 来月の10月8日には、全国的に皆既月食が見られるそうだ。部分食は、18時14分から始まり21時34分ころ終わる。皆既食は、19時24分から60分ほど続く。

 皆既食は、月が地球の本影の中に完全に入り込み、月が真っ暗になるのではなく、幻想的な「赤い満月」に見えるという。

2014年4月17日 (木)

赤い月

 2014年4月14日、満月に火星が最接近した。19:25頃、東の空に月の左手に火星が出ている。火星は、2年に一度地球に最接近する。 

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 その翌日の4月15日、月の出から数分くらい間、部分月食で満月の上部が少し欠けるらしい。

 東の方角の低い位置、近所の住宅の屋根の下に、「赤い月」が昇る。

 ほんの数分のチャンスだったが、住宅や電線にさえぎられて、もたもたしているうちに月食は終了。写真は18:41頃、赤い月を撮影したが、ピントが甘い。

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  アメリカ大陸やハワイは皆既月食だそうだが、­日本は部分月食。東京では18:15、30%ほどの部分月食で月の出、18:33頃に月食は終わった。

 この時の月は、赤みがかったオレンジ色に変化することから、「赤い月」(Blood Moon)と呼ばれる。

 その10分後の18:53頃の満月は、うまく撮れたが赤みはなくなっていた。

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 新聞やTVニュースでは、スカイツリーと赤い月の写真が出ていた。

 
 満月の一部が欠けたまま東の空から昇ってくる現象は、「月出帯食」(げっしゅつたいしょく)というらしい。

 

 ★ ★ ★

 月や星をうまく撮影したいと思うが、なかなか満足するものが撮れない。

 

 2012年09月1日に、信州の「入笠山」(にゅうかさやま)のマナスル山荘本館に宿泊した時、初めて星空を撮影した。     

  http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-f470.html

 
 23:00ごろから24:00ころまで、夏の大三角形を試行錯誤でやっと写せたが、まだピントがうまく合ってない。

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 昨秋は、「世紀の彗星」になるはずと注目された「アイソン彗星」は、11月29日未明に太陽に最接近して太陽熱で蒸発・消滅したのは残念だった。

 

 昨年暮れの2013年12月5日、細い三日月と金星が接近したのを何とか撮影した。18:30頃の日の入り直後、南西の空に「宵の明星」と呼ばれる金星が明るく輝いた。

 
 17:22頃撮影。三日月(月齢2.5)の左下が金星。

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 翌日の12月6日も金星が三日月のそばで輝き、また7日には金星が最大光度となって、一段と輝きを増したという。

 この時も天気も良好だったが、撮影の機会を失してしまっていた。

 

 今後も、月や星空の天体ショーに注目したい。次の皆既月食は、10月8日。

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