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2024年12月 7日 (土)

秋の矢作川上流域

 2024年11月21日(木)、秋の矢作川上流域。長野県、岐阜県と愛知県を巡る。

 5:40上信越自動車道を佐久ICで降りて、県道44号、国道142号を経由し岡谷ICからへ中央自動車道へ。7:05辰野PAで休憩。飯田市の飯田山本ICで高速を降りて、国道153号線を南下する。阿智村を経て、8:20平谷村の道の駅「信州平谷」で休憩。

 赤坂峠を越えると最初の目的地の長野県根羽(ねば)村に入る。根羽村を走る国道153号線沿いに「信玄塚」の標識があった。諸説あるようだが、ここは戦国武将・武田信玄が絶命したと伝わる場所。信玄は、三河国に侵攻して家康を敗退させたが持病が悪化、甲斐国に撤退する途中でこの地で没した。

 矢作川支流の小川川沿いに国道153号線を更に南下し、 根羽村の役場を過ぎてから左折、8:45黒地集落に到着。棚田が広がるこの辺りの標高は、610m。

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●黒地の柿の木
 長野県下伊那郡根羽村黒地(8:45~9:25)

 樹齢150年の柿の木は、今年は「成り年」だそうで柿は実っているが、青い葉が残っていて秋の柿の木の風景とはどこか違う。

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 早朝、雨が降ったようで、地面から蒸気霧が上がっている。

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 根羽村の「黒地の柿の木」は、写真愛好家たちの撮影スポット。葉が落ち赤い実が残った木と根元にある苔むした物置小屋が調和し、昔話の一コマのような写真が撮れると評判だそうだ。今年は、青葉が茂って主役の柿の実が目立たない。

 近くのドウダンツツジは、真っ赤に染まっていた。

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 矢作川に沿って国道153号を走り、いったん愛知県豊田市の国道257号を経て、矢作川に架かる「出合橋」を渡ると岐阜県恵那市。「奥矢作さくら街道」(県道20号)を矢作川を左に見て走ると、「奥矢作湖」の湖畔に「大野公園」がある。
 

●大野公園 岐阜県恵那市串原 大野公園 10:00~10:30

 カエデが紅葉。ここは標高305m。

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 ツタの葉は紅葉しているが、モミジは青い。

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 岐阜県の南東部の恵那郡にあった串原村は、2004年10月に周辺自治体との合併で消滅。合併後は恵那市の大字として串原が旧村域に設定されている。

 「奥矢作湖」の下流(右手方向)に「矢作ダム」がある。

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 「矢作ダム」は、愛知県豊田市と岐阜県恵那市にまたがる、一級河川・矢作川本流最上流部に建設されたダム。「矢作第一ダム」とも呼ばれる。国土交通省直轄のダムで、高さ100mのアーチ式コンクリートダム。矢作川の治水と愛知県西三河地域への利水、水力発電を行う多目的ダム。矢作川水系では最大規模。「矢作ダム」による人造湖は「奥矢作湖」。

 「矢作ダム」 出典:ウキメディア・コモンズ

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 公園内にある「恵那市串原郷土館」は、串原地区の文化財の収集保存、公開する施設。1968年(昭和43)、恵那郡串原村の「串原村郷土館」として開館。2004年(平成16)に合併で恵那市となると、「串原郷土館」に改称した。建物は「奥矢作湖」に水没した久木地区の農家(江戸時代末期建築。茅葺屋根の木造平屋建)であり、串原村が建物の寄贈を受け、移築した。1979年(昭和54)に串原村指定文化財(2004年に恵那市指定文化財に再指定)となっている。

 ここには、当時の村の生活文化を現代に伝える民具が600点以上も展示されているそうだ。 10:00を過ぎた時刻だが、建物は閉まっている。後で知ったが、利用する際は事前予約が必要だという。

 「恵那市串原郷土館」 恵那市観光協会串原支部のホームページから転載。

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 建物は、2016年(平成28)にリノベーションが行われ、「サトノエキカフェ」がオープンした。カフェの「フェースブック」を見ると、11月のカレンダーでは営業日は土日を中心に1カ月の1/3程度。12月1日~桜の頃まで冬期休業だとか。

 前庭には、水没集落から移築した「三十三体仏」が「奥矢作湖」を向いて立っている。岐阜県内には、一石三十三観音が多数存在しているようだ。この恵那市指定文化財「彫刻石造三十三一石観音」は、 1846 年(弘化3)の作で彫りも深く、保存状態も良い。

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 矢作川に沿って西進し、県道11号から、右折して矢作川に架かる「有平橋」を渡って国道354号線。恵那市の「大野公園」から35分ほど、11:10豊田市も「小原ふれあい公園」着。

 

●小原ふれあい公園 愛知県豊田市小原町  11:10~12:30

 公園では、「四季桜まつり」が開催中。

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 「小原ふれあい公園」と隣接する豊田市役所小原支所の周辺には約300本もの四季桜が植えられており、春は3月中旬~4月上旬、秋は10月下旬~12月上旬に花を咲かせるという。春に比べて秋の方がより満開になるので、ピンクの桜と紅葉のコラボを楽しむことができる

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 「小原ふれあい公園」に隣接する豊田市市役所の小原支所。標高280m。

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 愛知県西加茂郡小原村は、2005年(平成17)4月豊田市に編入合併され、小原村は廃止された。

 「小原ふれあい公園」を出て、国道419号線を北へ。「小原和紙のふるさと」(小原和紙美術館)を経て5分ほどで「川見四季桜の里」。
 

●川見(せんみ)四季桜の里 愛知県豊田市川見町  12:35~13:30

 川見町は、旧小原村の大字川見。川に沿った山全体に1200本の四季桜と紅葉のコントラストが広がる。標高360m。

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 川見の「四季桜の里」にある「川見薬師寺」は、真言宗高野山派の古刹。

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 本堂は、急勾配の石段を88段、33段、42段と登った上にある。

 真言宗「瑠璃光山薬師寺」の本堂。本堂の標高495m。

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 開山は不明だが、現在の伽藍は江戸末期から明治初期にかけて建立。本尊の木造薬師如来像は室町時代末期の作と伝わる。灯籠と如来像は、豊田市の指定文化財。

 四季桜は、小原地区の各地で咲いていて、「四季桜まつり」はあちこちで開かれている。

 13:30「川見四季桜の里」を後にして、往路と逆順で帰路へ。
 

 15:40中央自動車道の駒ヶ岳SAで休憩。山頂が雲に隠れた「仙丈ヶ岳」(中央)と冠雪の「甲斐駒ヶ岳」(左手)を展望。

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 16:25岡谷ICで高速を降り、佐久ICから関越自動車道。18:15横川SAで休憩。横川SAでは、いつも「峠の釜めし」を購入するが、値段が高いのでやめた。米などの食材、燃料や物流費の高騰で、10月15日から 「峠の釜めし」は、1,400円(税込み)に値上がりしていた。

 「峠の釜めし」は、過去1,000円の時もあって買いやすかった。 2020年1月には1,100円に、2022年4月より1,200円、2023年7月に1,300円と値上がりしていた。また、「益子焼の器が重い」というの声を受け、誕生したパルプモールド素材の白い容器がある。原料はサトウキビの搾りかす等を使用した環境にやさしく、値段も陶器より100円安かったが、今回陶器と同じ価格になっていた。

 

 ★ ★ ★

●今年の遅い紅葉

 今年9月の気温はかなり高く推移し、特に中旬の最低気温は平年より5℃程度高くなった。10月~11月も平年より高めの傾向は続き、12月も平年並み、または高めの気温が予想されている。日本気象株式会社の11月26日の予想では、紅葉の色づきは各地で平年より遅く進むとのこと。東日本の山間部では10月下旬から12月中旬にかけて、平野部では11月下旬から12月下旬にかけて見頃となる見込みだそうだ。

●一級水系矢作川

 矢作川または矢矧川(やはぎがわ)は、長野県・岐阜県・愛知県を流れて三河湾に注ぐ河川。一級水系矢作川の本川。最上流部は「根羽(ねば)川」とも呼ばれる。矢作川は、その源を中央アルプス南端の長野県下伊那郡大川入山(標高 1,908m)に発する。大川入山付近を境として北西側は木曽川水系、東側は天竜川水系へと分かれている。

 矢作川は、飯田洞川、名倉川などの支川を合わせて愛知、岐阜県境の山岳地帯を貫流し、平野部で巴川、乙川を合わせて、その後、矢作古川を分派して三河湾に注ぐ。「小原ふれあい公園」の近くを流れる「犬伏川」(いぬぶせがわ)や「川見四季桜の里」の中を流れている「田代川」も矢作川の支川。

三十三観音と二十二夜塔

 恵那地方では、江戸時代の中・後期に観音信仰が盛んになり、西国、坂東、秩父の霊場巡拝が行なわれたそうだ。当時としてはこれらの霊場を巡礼参拝することは、時間的、経済的にも大変なことであった。大野公園の「石造三十三観音」は、西国三十三霊場を巡拝に行けない個人が、自分の屋敷内に建立して祭ったいたものを移築した。(恵那市教育委員会の説明板から抜粋)

 「石造三十三観音」の右手に「二十二夜神」の石塔がある。「三十三体仏」とは関係なさそうだが、月待行事を行った供養の記念として建てた月待塔(つきまちとう)の一つのようだ。月待行事は、十五夜、十六夜、十九夜、二十二夜、二十三夜など、「講中」と称する信者たちが月の出を待って集まり、ともに飲食したあと経などを唱え、月を拝み、悪霊を払うという行事だった。

 一般的に「二十二夜」の塔は、旧暦22日の月待ちを記念して建立され、ほとんどは女人講(安産祈願やおしゃべり)や念仏講(高齢者が念仏を唱える)だったそうだ。「二十二夜」と刻まれた文字塔のほか如意輪観音が彫られた塔もある。群馬と埼玉を中心に、東日本に多く分布するという。ここには「二十二夜神」と彫られているので、当時「神」も「仏」も同じ祈りの対象だったのだろうか。

●小原の四季桜

 シキザクラ(四季桜)は、バラ目バラ科サクラ属のサクラ。エドヒガン系の中のコヒガン系の栽培品種で、マメザクラとエドヒガンが交雑した種間雑種で、春と秋から冬にかけての二度開花する二季咲きが最大の特徴だそうだ。最大の特徴は、ジュウガツザクラ、コバザクラ(フユザクラ)、コブクザクラ等の品種と同じく、春と秋から冬にかけて咲く二季咲きであり、広義の冬桜の一つ。

 新芽の時期には葉と一緒に花をつけ、紅葉の時期には葉が落ちるころに花をつける品種で、花は春のほうが大きく、秋は小さめの花を咲かせるという。豊田市小原地区には、約10,000本の四季桜が植えられている。秋の開花の時期には、「小原四季桜まつり」が開催されることで有名。見ごろは10月下旬~12月上旬、最盛期は11月上旬~11月下旬頃。地区内に数カ所あるまつり会場では、出店やイベントも楽しめる。

 この小原のほかの「四季桜」の名所に、朱塗りの鳥居とともに四季桜を観賞できる宮城県塩竈市の志波彦神社と塩竈神社がある。初詣の時期などに開花をしている場合もあるという。京都府立植物園(京都市左京区)では、園内の半木(なからぎ)神社近くに寒咲きの桜を集めたコーナーがあるそうだ。

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