新型コロナ2024.01 能登地震
新型コロナウイルスが感染症法の5類に移行した2023年5月以降、第9波の感染拡大は9月下旬にはピークアウトし、11月19日までの1週間では平均患者数が1.95人で、11週連続で減少した。しかし、11月26日までの1週間の平均患者数が2.33人、およそ3か月ぶりに増加に転じた。その後緩やかな増加を続け、1月21日までの1週間では、平均患者数は12.23人で9週連続の増加。平均患者数が10人超は、去年9月以来。増加のペースも上がってきた。
夏と冬に流行する傾向のある新型コロナは、5類移行後に初めて迎えた今季も同様の傾向を示している。海外で急速に拡大しているオミクロン株の新変異株「JN.1」への置き換わりが国内でも進んでいる影響とみられる。1月1日、能登半島で最大震度7の地震が発生、被災地の避難所では3密や断水などでインフルエンザや新型コロナ感染者が増えていることが報告されているが、感染対策や健康管理が難しい状況。
2024年1月1日から31日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2023.12 増加に転ず」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】
【1月1日】
●石川県で震度7、能登半島大地震
1日16時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があった。震源の深さはごく浅く、地震の規模を示すマグニチュードは7.6と推定される。同県能登で震度7、新潟県中越で震度6弱、新潟県上越、下越、佐渡、富山県東部・西部で震度5強を観測した。石川県能登に大津波警報、山形、新潟、富山、石川、福井、兵庫の6県に津波警報、日本海側の広範囲に津波注意報が発令された。
推計震度分布図 出典:気象庁報道発表(2024年1月1日18:00)
地震による火災で被災した輪島朝市(2024年1月6日) 出典:ウキメディア・コモンズ
地震による家屋倒壊や土砂災害、津波、火災などにより、死者が200人を超えるなど、甚大な被害が発生した。能登地方では2020年12月頃から活発な群発地震活動が続いており(能登群発地震)、1月1日の地震はその中で発生した。
【1月4日】
●インフルエンザ、患者数減少も再増加の懸念 被災地では対策注意
厚労省のまとめによると、12月24日までの1週間に全国およそ5千か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は11万4126人で、1医療機関あたりでは23.13人で、前週(29.94人)の約0.77倍。2週連続で減少した。都道府県別に見ると宮崎が44.43人、宮城39.05人、大分37.67人、北海道36.66人、青森31.05人、山形30.51人と、6つの道県で「警報レベル」とされる30人を超えているほか、すべての都府県で「注意報レベル」の10人を超えている。
前週と比べると、沖縄県と青森県を除く45の都道府県で減少し、全国的に減少傾向となっているが、専門家は年末年始に人の移動が活発になったことで、再び増加に転じる可能性があるとして、注意を呼びかけている。休校や学年.学級閉鎖は全国で計3153校で、前週の6334校から半減した。
インフルエンザ患者数(12月18~24日) 出典:NHK新型コロナ特設サイト
●インフル、被災4県は注意報レベル超える 警報レベル超える地域も
能登半島地震で大きな影響のあった各県では、インフルエンザの患者が多く報告されている地域があり、専門家は避難所での感染症対策に注意してほしいと呼びかけている。12月24日までの1週間に報告された1医療機関あたりのインフル患者数は、それぞれ県全体で、石川県は22.69人、富山県28.13人、福井県18.64人、新潟県25.74人だった。
4県とも県全体の定点あたりの患者数は前の週から減っていたが、いずれも「注意報レベル」の10人を超え、保健所の管轄する地域ごとに見ると「警報レベル」の30人を超えているところも多くある。
●全国のコロナ感染者、5週連続増 前週比1.10倍
厚労省は、全国に約5千ある定点医療機関に昨年12月18~24日に報告された新型コロナの新規感染者数は計2万2529人で、1定点あたり4.57人(速報値)だったと発表した。前週(4.15人)の約1.10倍で、5週連続で増加した。都道府県別の最多は北海道の10.69人で、山梨9.73人、長野8.55人、愛知7.06人、大分6.43人などとなっていて、33の都道府県で前の週より増加している。
12月24日までの1週間に定点医療機関に報告された新規入院患者数は1597人で、前週の1478人から119人増加。集中治療室(ICU)に入院している患者数は66人で、前週(68人)から2人減った。厚労省は「前の週に続いて緩やかな増加となっている。引き続き対策を徹底してほしい」としている。
1月4日発表の定点把握(12月18~24日) 出典:NHK新型コロナ特設サイト
【1月5日】
●石川県の避難所でインフルやコロナ感染者増加
5日午前10時から開かれた石川県の災害対策本部会議で、被災地の自治体からは避難所でインフルエンザや新型コロナの感染者が増えていることが報告され、看護師や保健師の支援を求める声が相次いだ。これを受けて馳知事は「一刻も早くインフラを確保するとともに、避難所での生活支援に最大限に対応する必要がある」と述べ、避難所の環境改善に取り組むとともに、お年寄りなど配慮が必要な人のための二次避難所や仮設住宅の設置を急ぐよう指示した。
【1月7日】
●避難所などの感染症対策、専門家のチームが支援 石川・七尾
今回の地震で多くの人が避難生活を送る中、感染症の専門家で作る学会の支援チームが石川県七尾市の避難所などをまわり、感染症対策について助言するなどの支援を行っている。7日は防衛医科大・防衛医学研究センターの加來教授たち8人が七尾市に入り、公立能登総合病院で市内の避難所の新型コロナの状況などを確認した。また、避難所となっている小学校を訪れ、調理室やトイレなどの衛生状況を確かめた。
避難所は多くの人が集まっているほか、水やアルコールなどの資材が不足しがちなため衛生管理が難しいということで、加來教授たちは、避難所の担当者に手洗いや換気の徹底を放送などで呼びかけてほしいと伝えていた。支援チームは今後も交代で被災地に入り、感染症の状況の調査やマスクなど不足している資材の配布などに当たるという。
【1月8日】
●石川、避難所で新型コロナやノロなど感染相次ぐ 健康管理難しく
石川県によると、避難所で新型コロナやノロウイルスなどの感染が出ているが、避難所はいっぱいになっていて感染者を隔離するスペースが確保できなくなっている。このため馳知事は、8日の災害対策本部会議で、感染者が出ている輪島市の避難所から感染していない人を金沢市に移すことができないか検討を進めていることを明らかにした。
石川県志賀町によると、避難所で発熱などの症状を訴える人がいたことから検査を行ったところ、8日午前10時までに14か所の避難所のうち3か所にいる合わせて13人に新型コロナへの感染が確認された。町では今後、さらに感染が広がらないよう感染している人向けの避難所を準備中だという。町によると、避難所はこまめな消毒やマスクの着用などの感染症対策を進めているというが、人の出入りが多く、断水も続いていることなどから健康管理が難しい状況。
【1月9日】
●東京都 インフルと新型コロナの感染者数増加
東京都内の感染症について、都は、先月31日までの1週間の1医療機関当たりの感染者数を公表した。それによると、インフルエンザは19.22人と前の週の1.06倍と増え、引き続き注意報の基準を超えている。また、新型コロナは3.39人と前の週の1.08倍となり、6週連続で増加した。
一方、主に子どもが感染し発熱などの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が4.71人と前の週の0.81倍に、同じく子どもを中心に感染する「咽頭結膜熱」が1.93人と前の週の0.71倍と、いずれも減ったものの引き続き警報の基準を超えている。
●石川 新型コロナ、医療機関で正確な患者数の把握が困難に
新型コロナやインフルエンザなどの感染症は発生状況を把握するため、石川県では48の医療機関から寄せられた報告をもとに毎週、患者数を集計して国などに報告している。県によると、今回の地震の影響で、調査対象となっている医療機関のうち能登北部の6か所すべてと、能登中部の1か所で施設が被災するなどして報告が困難になっているという。
このため地震のあった1日以降について、患者数が把握できる医療機関に限って集計、報告するという。県によると、被災地では避難所などで発熱などの体調不良を訴える人が相次いでいて、現場の保健師や災害派遣医療チームなどが対応にあたっている。県保健環境センターは「県外から応援で来ている医療従事者も多く、正確な患者数を報告できる状況にない。できるかぎりすみやかに、感染症の発生状況を報告できる体制づくりを支援していきたい」としている。
【1月10日】
●新型コロナ患者数、6週連続増加傾向 「感染対策徹底を」 厚労省
厚労省によると、12月31日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から5458人増えて2万7987人となった。また、1つの医療機関あたりの平均の患者数は5.79人で、前の週(4.57人)の1.27倍。前の週から増加が続くのは6週連続。都道府県別では多い順に北海道12.28人、長野10.65人、愛知9.19人、岐阜9.15人、大分9.1人などとなっていて、44都道府県で前の週より増加している。
能登半島地震の影響で、新型コロナ患者数を報告する石川県の48の医療機関のうち、5か所からは報告がなかったが、石川県は5.42人で、前の週より増加。また、12月31日までの1週間に、全国およそ500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1942人で、前の週と比べて326人の増加。厚労省は、全国の流行状況について「前週に続いて全国的に緩やかな増加傾向となっている。手洗いや換気など引き続き対策を徹底してほしい」としている。
●専門家「インフルピークと重なるおそれも 避難所で感染対策を」
東邦大学の舘田教授は新型コロナの感染状況について、「感染者の数は爆発的ではないが、去年の秋の終わり頃から緩やかな増加傾向が続き、入院患者も増えている。前回の感染拡大のピークが去年の9月頃だったことを考えると、免疫が低下してくる人が増え、これからさらに感染が広がりやすくなると考えられる。インフルエンザのピークと重なる可能性もあり、今後、どう推移するのか、医療体制の状況も含めて注意する必要がある」と述べた。
「高齢者や免疫不全の患者で、前回のワクチン接種から4か月以上たっている場合は重症化を防ぐため、できるだけ早くワクチンを接種、感染を感じた場合は早く医療機関を受診して検査や治療薬の処方を受けてほしい」と呼びかけた。また「避難所は狭いスペースに多くの人が密集し、断水で十分な感染対策が難しいが、マスクやアルコール消毒など、できる限りの対策を取ってほしい。避難所に検査キットや治療薬を備えておくことも必要な支援」と話す。
1月10日発表の定点把握(12月25~31日) 出典:NHK新型コロナ特設サイト
【1月12日】
●避難所で感染症拡大 「市立輪島病院」、1週間以内に満床のおそれ
石川県輪島市の「市立輪島病院」は、地震後はけが人の対応を優先していたが、今は感染症の患者を中心に診療にあたっている。病院を訪れた患者のうち、発熱などの症状を訴えた人は、10日は15人ほどだったが、11日はおよそ70人にまで増え、新型コロナやノロウイルス、それにインフル患者が多いという。また、12日の時点で入院患者はおよそ40人いて、その半数が感染症の患者だという。このままでは1週間以内に満床になるおそれがある。
長引く避難生活で被災者の健康管理が課題となる中、石川県珠洲市の避難所では、全国から被災地に入って活動する看護師「災害支援ナース」が対応にあたっているが、人手が足りず、態勢の整備が課題になっている。日本看護協会などによると、能登地方の被災地では11日の時点でおよそ90人の「災害支援ナース」が活動しているが、ほとんどは病院に派遣され、避難所で対応にあたるのは10人程度しかおらず、態勢の整備が課題だという。
●新型コロナ、医療機関当たり平均患者数6.96人 7週続けて増加
厚労省によると、1月7日までの1週間に全国およそ5千医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から6048人増えて3万4035人となった。また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は6.96人で、前週の1.2倍。増加が続くのは7週連続となる。都道府県別では多い順に岐阜15.23人、長野12.61人、愛知12.4人、茨城12.27人、福島11.29人などとなっていて、40の府県で前の週より増加している。
能登半島地震の影響で、石川県の48医療機関のうち、5か所からは報告がなかったが、石川県は8.44人で前の週より増加した。また、1月7日までの1週間に、全国およそ500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は2336人で、前の週と比べて394人の増加。
【1月15日】
●新型コロナ、国内で初確認から4年 「JN1」と「後遺症」への対策が課題
国内で新型コロナは、2020年の1月15日に国内で初めての感染が確認されてからで4年。新型コロナで亡くなった人は、人口動態統計からの算出で去年8月までに9万5830人に上っている。去年5月に感染症法上の位置づけが5類に変更されて以降、国は患者や医療機関への公費での支援を縮小してきた。現在もワクチンの無料接種や高額コロナ治療薬への一部公費負担、入院医療費の補助、医療機関への支援などは続けているが、これらは今年度末までが期限となっている。
新型コロナは次々変異を繰り返しながら流行を続けてきているが、現在は、オミクロン株の1種の「JN.1」という変異ウイルスが世界的に増加しつつあり、WHOが監視している。さらに、新型コロナに感染したあとに倦怠感などが続く「後遺症」の相談も各地の医療機関に相次いでいる。新型コロナが今後、季節性インフルエンザなど他の感染症と同様の扱いに移行される中で、今後も感染対策とあわせて、後遺症への対策をどう進めていくかが課題になっている。
●専門家 新型コロナの「流行はまだまだ年単位で続く」
東京医科大学の濱田特任教授は、「最初に中国で新型コロナが発生した当初は、流行がこんなに長期にわたるとはあまり考えていなかった。しかし、実際に流行は起こり、多くの人命が失われ、今も流行が続いている。最初の1年間はウイルスにあまり大きな変化はなく、その時点では変異ウイルスがこんなに出てくることは予想できなかったと思う。これだけ流行が長期化しているのは、ウイルスが変異していることも大きな要因だと思う」と話した。
そして、「免疫がついたかと思うと、その免疫をかいくぐる新しい変異ウイルスの派生型が出てきている状況で、流行はまだまだ年単位で続くと考えたほうがいいと思う。新型コロナは、インフルエンザと同じように次の冬に流行する株をある程度予測して、秋にワクチンを接種していく状況になると考えられる。第2のインフルのような存在として、地球上に残るのではないか」と話した。
●112の高齢者施設に被害 断水や停電続く施設も
石川県によると、県内の輪島市や珠洲市、能登町など15の市と町では、15日午後2時のまとめで112の高齢者施設に建物の一部損壊やインフラなどの被害が出ていて、今も断水や停電が続いている施設も多くあるという。風呂やトイレが利用できず衛生環境が悪化する中で、発熱など体調の急変で病院に搬送される人や新型コロナなどの感染症にかかる人、災害との関連は分からないものの、体調を悪化させて亡くなる人も出てきている。
一方、職員の中には被災した人が多く、出勤できない人もいるため、限られた人員で入所者のケアにあたらざるをえない。このため入所する高齢者を他の介護施設に移す動きが本格化している。ただ、受け入れ先が見つからない高齢者も多く厳しい状況が続いているほか、職員一人一人の負担や疲弊の度合いも日ごとに高まっている。厚労省は、全国の福祉施設から応援の介護職員などを募り、15日から被災した施設や金沢市の「1.5次避難所」に派遣する。
【1月17日】
●訪日客の消費額、初の5兆円超え 昨年、円安で割安感
2023年の訪日外国人の旅行消費額が5兆2923億円となり、コロナ前の2019年の4兆8135億円を上回って、政府目標の5兆円を超えた。観光庁が17日発表した。訪日客数は2506万6100人で2019年の78.6%にとどまったが、円安を追い風に消費額は膨らんだ。政府観光局によると、訪日客数は韓国が695万8500人(2019年比24.6%増)が最多で、次いで台湾420万2400人(14.1%減)。一方、コロナ前は3割を占めていた中国は、242万5千人(74.7%減)。
訪日客の旅行消費額は1人平均21万2千円となり、2019年より5万3千円増えた。円安によって国内のサービスや商品の割安感が強まったことで、滞在日数が延び、宿泊やレジャーにより多くのお金が使われている。全体では、宿泊費が1兆8289億円(34.6%)で最も多く、買い物代は1兆3954億円(26.4%)。2019年は買い物代がトップだったが、「爆買い」に象徴される中国人客が減り、消費構造が変化している。
【1月18日】
●PCR検査装い詐取 6000万円詐欺容疑 男ら逮捕
東京・中央区の医療関連会社「ICheck」の社長、金子容疑者(44)と港区の投資コンサルタント会社社長・入江容疑者(50)ら6人は、新型コロナのPCR検査事業への投資の名目で都内の男性などから、およそ6千万円をだまし取ったなどとして、詐欺などの疑いがもたれている。これまでの調べで容疑者らは「国の補助金を使って、無料のPCR検査場の運営などで利益を上げる」などと投資を勧誘し、全国のおよそ130人から32億円余りを集めていたとみられている。
さらに、集めたとされる数億円をPCR検査キットの仕入れ代として、別の会社に送金した記録を出資者に見せていた。しかし数日後には、送金先の会社から元の口座に戻されていて、検査キットの仕入れは実際には行われていなかった。警視庁は集めた金が事業に使われているように信じ込ませるため、取り引きを偽装したとみて調べている。
●雇調金詐取の疑い、元幹部ら本格捜査へ 水戸京成百貨店 茨城県警
新型コロナ禍に国の雇用調整助成金(雇調金)をだまし取った疑いが強まったとして、茨城県警は、京成電鉄の子会社でデパートなどを展開する水戸京成百貨店の当時の幹部ら複数人を詐欺容疑で本格的に捜査する方針を固め、18日にも元幹部らを取り調べる。元幹部らは共謀し、コロナ禍の2020年以降、実際には出勤していた従業員の勤務データを改ざんして休業したように偽装する方法で、のべ2万3795人分の約3億円の雇調金をだまし取った疑い。
【1月19日】
●新型コロナ感染状況「着実に感染者増加 対策徹底を」 厚労省
厚労省によると、今月14日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から1万143人増えて4万4178人となった。また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は8.96人で、前週の1.29倍となった。増加が続くのは8週連続となる。都道府県別では多い順に、岐阜が14.29人、茨城14.21人、愛知14.17人、長野14.05人、佐賀13.82人などとなっていて、43の都道府県で前の週より増加している。
石川県の48の医療機関のうち、能登北部の4か所からの報告は含まれないが、石川県は10.48人で前の週より増加した。今月14日までの1週間に、全国およそ500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は2846人で、前の週と比べて489人の増加。厚労省は全国の流行状況について「例年、冬は感染が拡大する時期であり、引き続き対策を徹底してほしい」としている。季節性インフルの新規感染者数は、1定点あたり12.99人で、前週の約1.03倍だった。
●専門家 インフルエンザと新型コロナの感染傾向
岩手医科大学元教授で感染症に詳しい櫻井医師は「インフル感染状況が減少傾向にある一方、新型コロナは増加傾向で、2つの波が少しずれている。しかし、どちらも感染経路は同じなので、どちらも増える可能性がある。新型コロナで重症化するケースは減っているとはいえ、家族や高齢者施設の中に患者がいる場合、強い対策を取らなければあっという間に広がってしまう。3密を避けることや、手洗いやマスクといった対策が大切」と述べた。
また、被災地での感染状況について「被害の大きかった奥能登では定点把握ができない状態で、避難所や地域ごとにも流行状況が違うようだ。学会でチームを派遣して避難所の状況を調べたところ、当初は下痢などの症状が目立ったが、いまは、インフルのような呼吸器症状の患者が多く見られる避難所もあった。症状があっても検査もできない状況にあるので、避難所ごとに状況を細かく確認して、支援していく必要がある。」と話した。
●新型コロナ変異株、急速に置き換わる 新規感染、8週連続で増加
昨年秋ごろから海外で急速に拡大しているオミクロン株の変異株「JN.1」の国内での増加が、感染拡大に影響しているとみられる。JN.1はオミクロン株の亜系統「BA2.86」のウイルス表面の「スパイクたんぱく質」に一つ変異が入っている。東京大学医科学研究所などのチームが英科学誌に発表した研究などによると、変異により免疫を回避する能力が高くなっているという。今後、置き換わりが進めば、さらに感染者が増える可能性がある。
東京都のゲノム解析によると、昨年12月4~10日に8.2%だったJN.1の割合は、25~31日には45.1%となり、それまで優位だった「EG.5」の割合を上回った。国立感染研によると、国内で昨年12月25~31日時点で解析された181検体のうち、JN.1の割合は24.9%。1月22~28日の週には、57%を占めると推計されている。WHOは昨年12月、JN.1を「注目すべき変異株」に指定したが、重症化しやすいというデータは見られていない。
【1月20日】
●孤立解消地区から2次避難 感染症で移動できない人も 石川・珠洲
珠洲市の沿岸部にある大谷町地区は、今回の地震で道路が損傷を受けて通行が難しくなり、150人余りが孤立したが、今月16日に道路の復旧作業が進んで、ようやく孤立状態が解消された。石川県はより安全な場所で過ごしてもらう2次避難を進めていて、大谷町の地区の避難所となっている大谷小中学校では、希望した人のうち、高齢者を中心とした44人が20日、富山市の宿泊施設へ移動することになった。
一方で、2次避難を希望していても新型コロナやインフルに感染したり感染した人の濃厚接触者になったりして、およそ20人が移動できなかった。こうした人たちの避難をいかに早く進めるかが課題となっている。
●石川 避難所などの感染症患者数、連日100人超
石川県によると、19日に新たに確認された、主に避難所での新型コロナなど感染症の患者数は111人で、公表を始めた今月10日から10日連続で1日100人を超えている。県は予防対策として、保健師による避難所の巡回や消毒用品の配付を進めているほか、感染が疑われる場合にはほかの被災者との隔離も実施している。
羽咋市の「国立能登青少年交流の家」は地震の一時的な避難所となっていて、輪島市の障害者施設から家族を含め28人が避難している。20日までに避難してきた12人が新型コロナに感染したことが確認されたが、症状は比較的軽いという。感染が確認されたあとは施設内の大部屋のテントに分かれて生活していて、今月30日に2次避難先の愛知県へ移動する予定。施設の理事長は、「長引く避難生活による免疫力が落ちていたことが原因かもしれない。」と話している。
【1月21日】
●新型コロナ4年 「後遺症」、苦しみ続く せき・息切れ・だるさ…収入激減
国内で新型コロナ感染者が2020年1月に初確認されてから4年。昨年5月から感染症法では季節性インフルなどと同じ扱いとなったが、感染後の「後遺症」に悩まされる人は多い。疲労感や呼吸困難、集中力の低下など、症状は様々で、続く期間は人によっても違う。後遺症に悩む患者や家族らは昨年12月、後遺症に対応できる医療機関の拡充や治療法の確立などを求める要望書を厚労省に提出。治療が長引くことも多く、傷病手当や休業手当の支給期間の延長も求めている。
コロナ後遺症は、コロナ感染後、誰でもなる可能性がある。2020~21年に欧州では、1700万人以上が後遺症を経験したと推計される。日本国内でも成人感染者の1~2割ほどに症状がみられたとの報告がある。WHOは「症状が少なくとも2カ月以上続き、ほかの病気の症状として説明がつかないもの」で、通常はコロナ発症から「3カ月たった時点にもみられる」と定義。後遺症が起きる仕組みについては、持続感染や、免疫機能の異常などが指摘されている。
●後遺症の起きる仕組み、研究進む
コロナ後遺症の仕組みの一端などが、明らかになってきた。米エール大の岩崎教授(免疫学)らの研究チームは昨年9月、免疫機能に関わる物質に変化が生じていたとする論文を発表した。後遺症が1年以上続いている人の血液成分を解析したところ、ホルモン「コルチゾール」の量が半減していた。コルチゾールが減ると、低血糖や低血圧になり、集中力の低下や疲労感・倦怠感につながる。免疫を担うリンパ球の一種が増加、体内に潜むヘルペスの活性化も確認された。
コルチゾールの減少が症状の一因となり、体内に残ったコロナやヘルペスが後遺症の引き金になっている可能性がある。また、後遺症により、認知機能障害やアルツハイマーのリスクが上がるという海外の報告も相次ぐ。米CDCの2022年調査では、コロナ感染の米国成人6.9%に何らかの後遺症が3カ月以上続いていた。男性より女性、35~49歳が高かい。日本の研究でも41~64歳の割合が高く、基礎疾患のない人も後遺症になることがわかっている。
【1月26日】
●インフル患者数17.72人 前週の1.36倍
国立感染研などによると、1月21日までの1週間に全国およそ5千か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は8万7318人で、1医療機関当たりでは17.72人と前の週よりも4.73人増え、1.36倍になった。推計されるこの1週間の全国の患者数はおよそ61万7000人。去年9月4日以降の今シーズンの累積の患者数はおよそ1221万7000人と推計されている。
1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみると、沖縄県が最も多く32.33人で「警報レベル」の30人を超えた。また、宮崎27.81人、福岡25.85人となっているなどと、41の都府県で10人を超える「注意報レベル」となった。前の週と比べると、兵庫1.7倍、佐賀1.67倍、京都1.66倍などと、42の都府県で増えていて、全国的に増加傾向となっている。
■専門家 インフル「全国的に増加傾向に転じた」
東邦大学の舘田一博教授は、インフルエンザの感染状況について、「前回や前々回の集計では正月の影響で減少傾向となっていたが、全国的に増加傾向に転じている。例年は、1月末から2月にかけて感染拡大のピークを迎えることから、今後も増加傾向が続き、子どもや高齢者の患者も増えてくると考える必要がある」と話している。
能登半島地震で大きな揺れを観測した各県では、1月21日までの1週間で1医療機関当たりのインフル患者の数がいずれも前の週を上回り、「注意報レベル」の10人を超えている。
インフルエンザ患者数(1月15~21日) 出典:NHK新型コロナ特設サイト
●新型コロナ、インフルエンザともに患者数増加
厚労省によると、1月21日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万6090人増えて6万268人。1つの医療機関当たりの平均の患者数は12.23人で、前週(8.96)の1.36倍。増加が続くのは9週連続で、1医療機関当たりの平均患者数が10人超は、去年9月以来。都道府県別では多い順に福島18.99人、茨城18.33人、愛知17.33人、大分17.16人、佐賀17.05人など、すべての都道府県で前週より増加している。
能登半島地震の影響で、石川県48の医療機関のうち、能登北部の4か所からの報告は含まれていないが、石川県は14.33人で前の週より増加した。1月21日までの1週間に、全国およそ500の医療機関から報告された新たに入院患者の数は3462人で、前の週と比べて600人増加。入院患者数は、現在の集計方法を始めた去年9月下旬以降最多となった。
●専門家 新型コロナ「増加のペース上がった インフル同時流行も心配」
東邦大学の舘田教授は、新型コロナの感染状況について、「今回の集計で、かなり増加のペースが上がった印象を受ける。今後、1、2週間で患者の数がどう増加するか、いつ感染拡大のピークを迎えるのか、注意する必要がある」と話した。また、「患者の数は、去年夏の『第9波』のピークに及ばないが、入院患者の数は『第9波』のピークとほぼ同じ水準になっている。感染していても検査を受けない人がいて実際の感染者はもっと多い可能性がある」と指摘した。
その上で、「インフルとの同時流行も心配な状況で、2月にかけてはいま一度、気を引き締めて、できる範囲の感染対策に当たって欲しい。特に高齢者や免疫不全の患者は重症化しやすく、入院につながってしまうので、最後のワクチンの接種から4か月以上たった人はできるだけ早めに追加接種を受けるべきだ。また、若い人たちも高齢者などに感染を広げてしまうリスクを考えてワクチン接種を検討することが大事だ」と話していた。
1月26日発表の定点把握(1月15~21日) 出典:NHK新型コロナ特設サイト
【1月27日】
●コロナ禍の教訓は、新たな感染症にどう備える 専門家フォーラム
東京都のコロナ対策に助言や提言を行っている「東京iCDC」の専門家が、この4年間の教訓について話し合うフォーラムが開かれ、それぞれの立場からコロナ禍の取り組みや課題などについて意見を交わした。「東京iCDC」は、都の感染症対策の司令塔として2020年に設置され、医師や研究者などで構成する専門家ボードの9つのチームが、医療提供体制や感染制御などの分野ごとに調査研究や提言などを行っている。
専門家からは「当初考えた以上のスピードで感染が広がり、対策が後手に回った」とか「検査の精度が低かった」といった課題が指摘された。東京iCDCでは、この4年間の取り組みを教訓に、次の新たな感染症への備えに生かすことが重要だとして、今後さらに検証を進めていく方針。
【1月31日】
●新型コロナ感染男性死亡、賠償訴訟始まる 東京地裁
2021年8月、千葉県船橋市の基礎疾患があった当時23歳の男性が新型コロナに感染して死亡した。両親は繰り返し救急搬送を要請したのに、受け入れ先の病院が決まらないなどと搬送を断られたとして、国と千葉県、船橋市に合わせておよそ1億300万円の賠償を求める訴えを起こした。31日、東京地方裁判所で始まった裁判で、男性の父親が意見陳述を行った。
父親は「息子が治療を受けられず、苦しみながら死へと向かうのを見るのは非常につらく苦しい時間だった。搬送の要請に真摯に耳を傾けてもらっていたら助かる命だったので悔しい」と振り返った。「息子の代わりに真実を知りたい。救える命を救える国になってほしいという思いで裁判を起こした」と訴えた。両親の弁護士によると、新型コロナ患者の救急搬送をめぐって国を訴える裁判は初めて。
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