新型コロナ2023.11 移行後最少
新型コロナウイルスが感染症法の5類に移行した5月以降、第9波の感染拡大が続いていたが、9月下旬にはピークアウト。10月以降は毎週連続で減少している。24日、11月19日までの1週間では一つの医療機関当たりの平均の患者数が1.95人で、前の週の0.97倍だった。11週連続で減少し、移行後で最少を更新した。
厚労省は、「例年冬は感染が拡大する傾向があることから今後も対策を続けてほしい」としている。一方で、インフルエンザ患者は増加傾向にあり、新規感染者数は前週の約1.25倍の21.66人。
2023年11月1日から30日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2023.10 ノーベル賞」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】
【11月4日】
●新型コロナ後遺症「ブレインフォグ」 発症の仕組み研究へ
新型コロナの後遺症の1つで、「ブレインフォグ」と呼ばれる症状について、横浜市立大学の研究グループが、発症の仕組みを解明するための臨床研究を始めることになった。「ブレインフォグ」は、記憶障害や集中力の低下など、脳にフォグ=霧がかかったような感覚になることから名付けられた。
研究グループでは、記憶や学習をする際に脳内で活発に働く「AMPA受容体」と呼ばれるたんぱく質を可視化する独自の技術を持っている。臨床研究では、ブレインフォグの症状を訴える30人について、AMPA受容体の分布などを計測し、発症との関連を調べるとしている。グループの高橋教授は「新型コロナが脳に与える影響はまだブラックボックス状態。発症の仕組みを解明して治療法の開発に役立てたい」と話している。
【11月6日】
●中小企業の支援に向け 総合的対策取りまとめへ 経産省と金融庁
中小企業をめぐっては、コロナ禍の資金繰り支援のために実施された、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済がこの夏から本格化しているほか、物価高にも直面するなど、取り巻く環境が厳しさを増している。こうした中で、経産省と金融庁は、6日、中小企業の支援策を話し合う会合を開き、総合的な対策を今年度中に取りまとめることを確認した。
具体的には、中小企業が民間の金融機関に経営改善計画の作成を支援してもらう際、国の補助金を受けられるよう制度の運用を見直すほか、融資の保証を行っている、信用保証協会が中小企業の経営改善に主体的に取り組むよう、監督指針の改正を検討していくなどとする。会合の中で、西村経産相は「時代の変わり目の今、中小企業の皆様には人手不足や物価高などの課題を乗り越えて果敢に挑戦し、引き続き地域を支えてほしい」と述べた。
●コロナ感染者数、8週連続で減少
厚労省によると先月29日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から1950人減って1万4125人。1つの医療機関当たりの平均患者数は2.86人で前の週の0.88倍となった。前の週から減少が続くのは8週連続。都道府県別では多い順に北海道が7.08人、長野が6.39人、山梨が4.56人、石川が4.38人、愛媛が4.3人などと続き、35の都府県で前の週より減少している。
11月6日発表の定点把握(10月23日~29日)出典:NHK新型コロナ特設サイト
先月29日までの1週間に、全国およそ500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1074人で、前の週と比べて71人の減少でした。厚労省は、全国の流行状況について「8週連続で減少しているが、これまで冬になると、コロナの感染は拡大する傾向にある。引き続き、感染対策は徹底してほしい」としている。
●インフル患者数 1医療機関当たり19.68人、前週から増加
国立感染研などによると、先月29日までの1週間に、全国およそ5千の医療機関から報告された季節性インフル患者数は9万7292人で、1医療機関当たりでは前の週から3.3人増え、1.2倍の19.68人となった。このデータをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は、前の週から13万人多いおよそ67万4000人となっていて、ことし9月4日以降の累積の患者数はおよそ291万5千人と推計されている。
インフルエンザ患者数(10月23日~29日)出典:NHK新型コロナ特設サイト
愛媛県が51.46人、埼玉県33.08人と2つの県で「警報レベル」とされる30人を超え、山梨県29.56人、千葉県29.25人、福島県28.93人、愛知県26.35人など40の都道府県で、「注意報レベル」の10人を超えた。東京都と千葉県、沖縄県を除く、すべての都道府県で前の週より患者の数が増加している。また、年齢別では患者全体の6割が14歳以下の子どもだという。休校や学年・学級閉鎖は全国で計4706校、前週の3751校から約1.25倍に増えた。
●インフルの流行状況 専門家「感染者増加のスピード上昇」、「流行が前倒し」
インフルの分析を担当している国立感染研・感染症疫学センターでは「感染者の増加のスピードは最近になって上がっている。過去の流行では2009年のシーズンの動向に似ていて、このシーズンと同じような流行となる場合、ピークの時期が早まる可能性は考えられる。手洗いやマスクの適宜着用などの基本的な感染対策は個人個人が取り組める重要な対策だ」としている。
感染症に詳しい東邦大学の舘田教授は、「全国的に増加傾向がみられ、警報レベルを超えたり、その水準に近づいたりの地域が増えている。愛媛県のように、例年のピークと同じ程度の数の患者が報告された地域もあり、流行が前倒しで起きている。また、通常のシーズンのように、ここから年明けにかけて更に患者が増え、大きな波を作る可能性もあるので、今後の患者の増え方に注意し、その兆候を捉える必要がある」と話す。
【11月7日】
●政府系「ゼロゼロ融資」、1兆円が回収困難 検査院指摘
会計検査院が2020年3月以降の日本政策金融公庫(日本公庫)と商工組合中央金庫(商工中金)によるコロナ関連の貸し付けについて調べた。 コロナ下で導入された中小企業向けの実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」で、政府系金融機関が実施したうちの約1兆円が回収不能または回収困難な不良債権になっていることが、会計検査院の調べでわかった。総額約19兆円で、ゼロゼロ融資が大半を占める。
2022年度末時点の貸付残高は14兆3085億円(約98万件)。うち回収不能もしくは回収不能として処理中は1943億円、回収が困難な「リスク管理債権」(不良債権)が8785億円。計1兆728億円で、総額の約6%にあたる。背景には中小企業の経営悪化。東京商工リサーチによると、コロナ関連の倒産は2022年度は2599件、前年度の1155件から大幅に増加。景気は回復傾向にあるが、物価高や人手不足で一部の飲食店や建設業の倒産が相次いでいる。
●国費の無駄使い、580億円
会計検査院が7日に公表した2022年度の決算検査報告では、国費の無駄遣いや不適切な経理など344件(前年度310件)、計580億円(同455億円)についての指摘があった。新型コロナ対策の持続化給付金では、2020年12月までに給付金を受け取った個人事業者263万人のうち1万1千人を無作為抽出して調査。一定数の事業者が給付金を収入として計上していない申告漏れが疑われたという。
また新型コロナの影響で家計が急変した学生の支援目的で、文科省が2020年度に85大学に交付した約48億円のうち、2021年度末で77%にあたる約36億9千万円が使われずに翌年度に繰り越されていた。まったく使われなかった大学も8大学あった。文科省は「コロナで先が読めない状況の中、学生を手厚く支援するためだった。指摘を受けて今後、返還していく」としている。
●せき止め薬、追加増産を要請 厚労省 「まだ足りない」 製薬24社に
供給不足が続くせき止め薬やたんを切る去痰(きょたん)薬について、厚生労働省は7日、製薬企業24社に増産を要請した。武見厚労相は製薬企業の幹部と省内で面会、今冬の感染症の流行に備え、安定供給に向けた「あらゆる手立てを講じていただくことを改めてお願いしたい」と呼びかけた。
厚労省は10月にも主要8社に対し、増産を要請。他の医薬品の製造ラインからの融通や在庫の放出により9月末時点から1割以上の供給増となる見込みだ。だが、医療現場などから「薬がまだ足りない」との声が寄せられており、今冬に新型コロナや季節性インフルエンザなどの流行が拡大するおそれがあることから、幅広い企業を対象に改めて増産を要請した。企業側からは「要請を踏まえできる限りの増産を検討する」との意見が出たという。
【11月8日】
●コロナ5類移行半年、相次ぐ「後遺症」の相談
新型コロナが5類に移行されて半年。感染者は減少傾向にあるが、感染したあとの「後遺症」の相談が相次いでいて、国や自治体では対策を強化している。症状は、倦怠感や集中力低下、脱毛、嗅覚・味覚障害など多様で、詳しい原因や患者数もわかっていない。国の研究班がことし9月に公表した調査報告では、3つの自治体で感染した成人の1割から2割余りが「倦怠感などの症状が2か月以上続いた」と回答、働き盛りや若い世代が多いという。
新型コロナの後遺症では、長引く症状で学校や仕事に行けなくなるケースもあり、日常生活への影響は深刻。厚労省は、多くの医療機関に患者の受け入れを促すため来年3月までは後遺症の診療にあたる医療機関に支払われる診療報酬を加算している。各地の都道府県では、診療にあたる医療機関の情報をホームページに掲載していて、先月末時点で、全国およそ9千か所のクリニックや大学病院などの医療機関で、患者を受け付けているという。
【11月10日】
●コロナ 1医療機関平均患者、移行後最少 厚労省「冬の拡大懸念」
厚労省によると、11月5日までの1週間に、全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から2060人減って、1万2065人となった。1つの医療機関当たりの平均の患者数は2.44人で、前の週の0.85倍。前の週から減少が続くのは9週連続。都道府県別では多い順に、北海道が6.51人、長野5.84人、山梨4.78人、岐阜4.28人、愛知3.51人などとなっていて、42の都道府県で前の週より減少している。
11月10日発表の定点把握(10月30日~11月5日)出典:NHK新型コロナ特設サイト
11月5日までの1週間に、全国およそ500の医療機関から報告された、新たに入院した患者の数は1074人、前の週と比べて4人の減少。厚労省は全国の流行状況について、「医療機関当たりの平均の患者数は、新型コロナが法律上5類に移行されてから最も少なくなり、減少傾向にある。ただ、冬には感染拡大が懸念されるので、今後も対策を続けてほしい」としている。一方、季節性インフルの新規感染者数は、前週の1.07倍の21.13人で、37道府県で前週から増加した。
【11月15日】
●GDP3期ぶりマイナス 7~9月期 内需弱まる
2023年7~9月期の国内総生産(GDP)は、内閣府が15日、1次速報を発表。物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期(4~6月)より0.5%減、年率換算で2.1%減った。3四半期ぶりのマイナス成長で、個人消費や設備投資などの内需が弱い。物価高がコロナ禍からの景気回復の動きに水を差している。実質GDPは年額555兆円で、前期より3兆円減。GDPの半分以上を占める個人消費は前期より0.04%減り、2四半期連続のマイナスだった。
輸入が前期より1.0%増えたことも、GDPを押し下げた。輸出は0.5%伸びた。欧米向けの自動車が好調。ただ、インバウンド消費は高い水準にあるものの、前期より5.0%少ない4.1兆円。経済専門家は「景気が緩やかに回復する中でのスピード調整の動きだ。10~12月期はプラス成長に戻るだろう。ただ物価高による消費の押し下げ効果は意外に大きく、回復は力強さに欠ける」と指摘した。
●訪日251万人、コロナ前越す 10月 円安背景に急回復
日本政府観光局は15日、10月の訪日外国人客(インバウンド)が251万6500人となり、コロナ感染拡大前の2019年同月(249万6568人)を0.8%上回ったと発表した。月別の訪日客数がコロナ前を超えるのは初めて。円安を追い風に急速な回復が鮮明となっている。国・地域別では、韓国が63万1100人(2019年同月比3.2倍)、台湾が42万4800人(同2.7%増)で続いた。アジアや欧米の多くの国が、コロナ前の水準を大きく上回っている。
コロナ前に首位だった中国は、8月に訪日団体旅行が解禁されたばかりで、3位の25万6300人(同64.9%減)にとどまる。福島原発の処理水放出を受け、控える動きも影響している。訪日客の急回復の主な要因が円安。2019年は1ドル=110円程度が、最近は150円前後。訪日客にとっては商品やサービスの割安感が強まり、「訪れやすい国」となっている。訪日客は今後も伸びが見込まれる。コロナ前は全体の3割を占めていた中国の回復基調が続いている。
●旅行大手5社に立ち入り検査 新型コロナ業務入札で談合か
青森市が昨年度発注した新型コロナ患者の移送業務の入札で、旅行大手など5社が談合を繰り返し、独占禁止法に違反した疑いがあるとして、公正取引委員会が15日、5社の青森市内の支店に、立ち入り検査に入った。コロナ禍で旅行需要が落ち込む中、利益を分け合うねらいがあったとみて詳しい経緯などを調べるものとみられる。
立ち入り検査を受けたのはJTB、近畿日本ツーリスト、東武トップツアーズ、名鉄観光サービス、日本旅行東北の青森市にある支店。入札は昨年度5件行われ、いずれの業務も近畿日本ツーリストが受注しているが、その後ほかの4社に業務を再委託する形で仕事を割りふっていた。コロナ禍で大きく傷ついた旅行業界での業績を自治体の委託業務で穴埋めしようと、利益追求に走る企業の姿勢が背景にあるとの指摘もある。
●コロナ感染拡大で業務増加 消毒作業に従事の会社員、過労死認定
新型コロナの感染が拡大していた一昨年3月、消毒作業を行う会社に勤めていた40代の男性が自殺したのは、長時間労働が原因の過労死だったとして、労災認定されたことが15日にわかった。遺族からの申請を受けて労働基準監督署が調査した結果、亡くなる前の3か月間、月100時間前後の時間外労働が続いていて、長時間労働が原因でうつ病を発症していたとして過労死と認められた。
労災が認められたのは、都内に本社がある店舗の消毒などを行う会社で働いていた当時43歳の男性。遺族の弁護士によると、男性はコロナの感染が拡大していた時期に神奈川県内の支店長代理として勤務、横浜港に入港し集団感染したクルーズ船関連の消毒作業にも従事。それ以降も、以前からの消毒業務や部下の管理業務に加え、新たにコロナ対策として深夜や休日に飲食店やスーパーなどの消毒作業にあたっていた。
【11月17日】
●第一三共開発の新型コロナワクチン、承認後140万回分購入 厚労省
製薬大手「第一三共」は、ことし9月に新型コロナのオミクロン株の派生型「XBB」系統に対応するワクチンの承認申請を行い、厚労省は、今月11月27日に開かれる専門家部会での議論を経たうえで正式に承認する方針。厚労省がこのワクチンについて承認後に、140万回分を購入することで会社と合意したと17日発表した。
第一三共のワクチンは米ファイザー、モデルナと同じタイプのmRNAワクチン。今年8月に国産で初めて国内での製造販売が承認。ただ、従来株向けだったため、全世代を対象にした9月からの秋接種には使われなかった。今回の「XBB」系統対応ワクチンが承認されれば、早ければ来月上旬から自治体に配送、国産ワクチンが初めて実際の接種で使える。秋接種は、自治体による接種の勧奨は65歳以上の高齢者ら重症化リスクの高い人に限られる。
●新型コロナ患者数、5類移行後に減少続くも対策を 厚労省
厚労省は17日、11月12日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から2124人減って9941人と発表した。また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は2.01人で前の週の0.82倍、10週連続で減少。5月に定点把握に移行して以来、過去最少となった。都道府県別では、多い順に北海道が5.87人、長野県が5.0人、山梨県が3.39人、岐阜県が3.01人、愛知県が2.79人などとなっていて、40の県で前の週より減少している。
11月12日までの1週間に全国およそ500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は816人で、前の週と比べて258人の減少でした。厚労省は全国の流行状況について「患者数は5類移行後減少が続き、今週も最も少なくなったが、例年、冬は感染が拡大する時期であることから今後も対策を続けてほしい」としている。季節性インフルの新規感染者数は、前週の約0.82倍の17.35人。昨季からの流行が途切れず、8月下旬から増加が続いていたが、初めて減少した。
11月17日発表の定点把握(11月6日~12日)出典:NHK新型コロナ特設サイト
【11月20日】
●今年度補正予算案、衆参審議入り 首相「コロナ禍の税金を還元」
一般会計の総額が13兆1000億円余りとなる今年度の補正予算案は20日、衆参両院で審議入りし、鈴木財務相の財政演説と各党の代表質問が行われた。立憲民主党の鎌田さゆり氏は、所得税などの定額減税について「岸田首相は過去2年間の増収分を国民に還元すると表明したが、鈴木財務相は『すでに使っている』と答弁した。首相と財務相で言っていることが違う。根拠がなく誤りだったと認め、訂正すべきだ」と追及した。
これに対し岸田首相は「国民から見れば、コロナ禍の際に納めた税金が戻ってくるという意味で還元そのものだ。鈴木相は国の財政構造について説明したもので、全体を通して見れば、税金の一部を国民にお返ししている」と述べ、理解を求めた。
【11月21日】
●コロナ感染対策、ウイルス進化引き起こしたか 名大・北大など研究
3密回避や早期の隔離などの感染対策が、新型コロナの「進化」を呼び起こしたかも知れない。名古屋大や北海道大などの研究チームが、変異株ごとに違ったコロナ患者の症状をAI(人工知能)などで解析したところ、人間の感染対策をかいくぐるようにウイルスの性質が変化した可能性があることがわかった。成果が21日、科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載された。
北大の山口助教(進化生物学)らのチームは、コロナの変異株と症状の変化に着目。患者計274人の体内のウイルス量などを調べた。さらに、AIの一種・遺伝的アルゴリズム(進化計算)を用いて、ウイルスがどう進化して感染を拡大するのかを分析。その結果、人間側の対策によってコロナウイルスの変化が引き起こされた可能性があると結論づけた。現在まで2年近く流行が続くオミクロン株についてはウイルス量が減っており、症状が出づらい状態で感染が続いていく「ステルス型」に変化した可能性もあるという。
【11月22日】
●新型コロナのワクチン接種費用、来年度から原則一部自己負担に
新型コロナのワクチン接種は来年3月までは、全額公費で負担が決まっている。来年度以降の費用負担について、厚労省は季節性インフルなどと同様に、原則費用の一部自己負担を求める「定期接種」とする案を22日に開かれた専門家会議に示し、了承された。具体的には、65歳以上の高齢者と、60歳から64歳で基礎疾患がある重症化リスクの高い人について、国の交付税で接種費用の3割程度を補助したうえで、接種を受ける人に原則、費用の一部自己負担を求める。
接種の時期は年に1回、秋から冬の間に行う予定。また、65歳未満で重症化リスクが高くない人については国の補助がなく、全額自己負担や自治体からの補助を受けて接種する「任意接種」とすることにしている。一方、22日に出席した委員からは「自己負担が高額になることについて対策を考えてほしい」という意見があがった。厚労省は今後、企業からワクチンの価格を聞き取ったうえで、対応を検討することにしている。
【11月24日】
●一般病院、昨年度収支は黒字 コロナ患者受け入れ補助金含めて
医療機関に支払われる診療報酬の改定に向けて、厚労省は昨年度・令和4年度の医療機関の経営状況を調査し、24日開かれた中医協(中央社会保険医療協議会)に報告した。それによると、病床数が20床以上の「一般病院」の収支は平均で2億2424万円の赤字で、光熱費など物価高騰の影響で前の年度と比べ4231万円、赤字が増えた。ただ、新型コロナ患者の受け入れに協力した医療機関などに支給された国の補助金を含めると、4760万円の黒字となった。
経営主体別に見ると、国公立病院は平均で7億8135万円の赤字で、補助金を含めても2億2969万円の赤字。一方、医療法人が経営する民間病院は平均で2548万円の赤字だが、補助金を含めると6399万円の黒字。このほか病床が19床以下の「一般診療所」は、補助金をのぞいても、医療法人経営の診療所で1578万円、個人経営の診療所で3070万円のいずれも黒字。厚労省は物価の高騰によって、特に一般病院の収益は厳しい結果となった。
●「引き続き患者数減少も、冬は拡大の時期」 厚労省 5月以降最少更新
厚労省は24日、全国に約5千ある定点医療機関に13日~19日に報告された新型コロナの新規感染者数は計9648人で、1定点あたり1.95人だったと発表した。前週(2.01人)の約0.97倍で11週連続で減少、5月の定点把握に移行してからの最少を更新した。都道府県別では多い順に北海道が5.98人、長野4.97人、秋田3.12人、岐阜2.77人、山梨2.76人などとなっていて、28の都府県で前の週より減少している。
11月19日までの1週間に、全国およそ500の医療機関から報告された、新たに入院した患者の数は784人で、前の週と比べて34人の減少でした。厚労省は、全国の流行状況について「患者数は減少が続いていて、今週も最も少なくなったが例年冬は感染が拡大する傾向があることから今後も対策を続けてほしい」としている。季節性インフルの新規感染者数は、前週の約1.25倍の21.66人だった。
11月24日発表の定点把握(11月13日~19日)出典:NHK新型コロナ特設サイト
【11月26日】
●中国北部で増加の呼吸器疾患、「インフルが中心」 保健当局
中国北部では先月中旬以降、呼吸器の疾患が増加している。中国の保健当局、国家衛生健康委員会は26日の記者会見で「インフルエンザが中心」と説明した。その一方で、インフル以外の病原体による疾患も確認されたとして、1歳から4歳では通常のかぜのウイルスの「ライノウイルス」が、5歳から14歳では発熱やせきなどの症状が特徴の「マイコプラズマ肺炎」が、15歳から59歳では新型コロナなどが、それぞれ一定程度みられるとしている。
保健当局は、こうした複数の病原体が呼吸器疾患の増加に関わっているとして、国民に対しワクチンの接種やマスクの着用など感染対策の徹底を呼びかけている。中国では子どもたちの間で肺炎が増加しているとして、WHOが22日、情報提供を求めたのに対し、中国当局は「新たな病原体は検出されていない」などと報告していた。
【11月27日】
●金融庁、資金繰り支援から事業再生支援への移行 金融機関に要請
新型コロナ対策の実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する中、中小企業の中には過剰な債務を抱えて事業の継続が危ぶまれる例も出てきている。金融庁は27日、鈴木金融担当相も出席して金融機関の代表らと意見交換会を開いた。鈴木氏は「コロナ禍での資金繰り支援に注力した段階から、経営改善と事業再生支援に取り組む新しい段階へ移行する必要がある」と述べ、金融機関に対し支援の軸足を、従来の資金繰りから事業再生に移行するよう要請した。
これに対し、全国銀行協会の加藤会長は「中小企業にとっては物価高や人手不足といった厳しい環境が続くが、経営環境が悪化する前の早期の段階から事業再生に取り組んでいく」と応じた。金融庁としては、各金融機関が取り引き先の経営悪化の兆候をできるだけ早く把握し、事業再生に向けた提案などを行うよう促したい考えで、こうした方針を金融機関向けの新たな「監督指針」にも明記することにしている。
●国産の新型コロナワクチン、実際の接種で初使用へ 厚労省
製薬大手の「第一三共」が開発した新型コロナワクチンについて、27日に開かれた厚労省の専門家部会は、使用することを了承した。厚労省の正式な承認を経て、早ければ来月上旬から自治体に配送され、国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになる。使用が了承されたのは、製薬大手の「第一三共」が開発した、オミクロン株の派生型「XBB」系統に対応するワクチンで、ことし9月、厚労省に承認申請が行われた。
【11月28日】
●mRNAワクチン「レプリコンワクチン」、国内承認
海外で開発された新しいタイプのmRNAワクチンが、28日、国内で承認された。承認されたのは、製薬会社の「Meiji Seika ファルマ」が申請していた、従来株の新型コロナに対する「レプリコンワクチン」と呼ばれるタイプのワクチン。このワクチンは海外で開発されたもので、接種した新型コロナのmRNAが体内で複製される新たな技術を使っているため、少量で効果が長続きするという。会社などによると、このタイプのワクチンが承認されるのは世界で初めて。
会社では今後、変異ウイルスに対応したこのタイプのワクチンを開発した上で、来年の秋や冬の接種での供給を目指すということで、製造は福島県南相馬市の工場などで進める計画だという。会見した「Meiji Seika ファルマ」の小林社長は、「今後、変異ウイルスに対応させる必要はあるが、世界に先駆けて新世代のワクチンの実用化の道が開けたと考えている」と話していた。
【11月30日】
●ワクチン接種直後に女性死亡、遺族が市を提訴 愛知
去年11月、愛知県愛西市の集団接種会場で、新型コロナワクチンの接種を受けた直後に息苦しさを訴え容体が急変して死亡した女性(42)の遺族が、30日、愛西市に対し4500万円余りの損害賠償を求める訴えを起こした。現場の医師が重いアレルギー反応のアナフィラキシーを起こした可能性を疑わず、治療薬のアドレナリンを投与しなかったことや、看護師が容体の変化を正確に医師に報告しなかったことが死亡につながったとしている。
この問題で、愛西市がことし9月に公表した専門家による「医療事故調査委員会」の報告書では、「早期にアドレナリンが投与された場合、救命できた可能性を否定できず、投与されなかったことの影響は大きい」などと指摘されている。
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