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2023年10月 5日 (木)

新型コロナ2023.09 第9波減少

 新型コロナが感染症法の5類に移行した5月以降、感染拡大傾向が続いている。加藤厚労相は9月11日、現状を「第9波」だと事実上認めた。9月3日までの1週間に報告された新規感染者数は1つの医療機関あたり平均20.50人で、5類移行後で最多となっていた。3週間後の9月24日までの1週間では、1つの医療機関あたりの平均11.01人で、前の週の0.63倍となった。厚労省は「減少傾向が続いていてピークアウトの可能性がある。今後も感染対策を続けてほしい」としている。

 2023年9月1日から30日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2023.08 EG.5系統」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】


【9月1日】

●感染症危機、次への備え 「危機管理統括庁」、きょう発足

 政府の感染症対応の司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁」が9月1日発足した。新型コロナ対応の反省をふまえ、省庁や関係機関とのやりとりを一元化。次の感染症危機に備えた行動計画を策定、訓練などを通じ、次の感染症危機に備える。新組織は、平時は38人の専従職員で構成。有事には各省庁から職員が加わり、101人に増員される。トップの内閣感染症危機管理監には栗生内閣官房副長官、事務総括の内閣感染症危機管理対策官には厚労省の迫井医務技監が就く。

 新型コロナの初動対応では様々な問題が明らかになった。検査が十分に受けられなかったり、保健所に電話がつながらなかったりする事態が発生した。専門的な治療が必要な重症者が入院できない事例も少なくなかった。ワクチン開発も海外から大きく後れをとった。このほか、空港での水際対策や一斉休校による混乱、緊急事態宣言などに伴う飲食店への休業要請などでも関係者は振り回された。

●昨年度の医療費、46兆円 2年連続で過去最高更新

 厚労省のまとめによると昨年度の2022年度の医療費は、概算で46兆円で、前の年度から1兆8000億円、率にして4%増加し、2年連続で過去最高を更新した。このうち、主な病名が新型コロナと診断された人の医療費は推計でおよそ8600億円で、前の年度の2倍近くに増えた。1人あたりの医療費は、前の年度より1万6000円増えて36万8000円となり、年代別では75歳未満が24万5000円、75歳以上は95万6000円となっている。

 厚労省は、医療費が増加した主な要因について、オミクロン株の流行で新型コロナの患者数が増えたことに加え、2020年度の受診控えの反動で医療機関を訪れる人が増えたことなどを挙げている。

●コロナ「XBB」対応ワクチンを承認 20日からの追加接種で使用

 厚労省は1日、新型コロナのオミクロン株の亜系統「XBB」に対応する米ファイザー社製のワクチンを承認したと発表した。全世代を対象に20日から始まる追加接種では、このXBB対応のワクチンが使われる。今春からの65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人らを対象にした追加接種では、オミクロン株「BA.5」などに対応したワクチンが使われていた。今回承認されたワクチンはXBB.1系統に対応、現在増え始めているEG.5系統にも効果があるとしている。

 20日からの追加接種は全世代が対象だが、予防接種法上の「努力義務」や「接種勧奨」は高齢者や基礎疾患のある人に限られる。費用は引き続き全額公費となる。国立感染研の報告によると、8月14~20日に流行している株のうち、XBB.1系統は低下傾向で、EG.5系統が増え始めている。XBB対応のワクチンについては、米モデルナ社も厚労省に製造販売の承認申請をしている。厚労省は自治体を通じ、接種希望者に早めの予約を呼びかけている。

●一昨年の日本人の死亡率、10年ぶり増加 コロナが影響か

 国立がん研究センターのグループは、国が公表している2021年までの27年間の「人口動態統計」をもとに年ごとの死亡率の変化について統計学的な手法で調べた。その結果、2021年の死亡率は人口10万当たり989.6人で、前の年の人口10万当たり968.4人に比べて2.2%増加した。日本人の死亡率はこの数年、減少傾向が続いていて、前の年より増加するのは東日本大震災の影響を受けた2011年以来、10年ぶりだという。

 死因別で、前年から増加が大きかったのは、いずれも人口10万当たりで新型コロナの感染の11.8人、老衰の93.8人、心不全などの心疾患の145.2人。グループでは、新型コロナの流行やコロナ禍で診療体制が制限されたことなどが影響した可能性があるとしている。研究員は「コロナ禍の影響が死亡率にも表れる結果となった。ほかにもがん治療の先延ばしや検診の受診控えなどが今後、がんの死亡率に影響してくる可能性があり、注視していく必要がある」としている。

●新型コロナ 全国の感染状況 前週の1.07倍 2週連続の増加

 厚労省によると、8月27日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から7036人増えて9万3792人となった。また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は19.07人で前の週の1.07倍となった。前の週から増加が続くのは2週連続となる。都道府県別では多い順に、岩手が31.71人、青森31.3人、宮城29.54人、茨城26.8人、秋田26.73人と、28の都府県で前の週より増加している。

 このほか、8月27日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万3501人で、前の週と比べて168人の減少となった。厚労省は全国の流行状況について「お盆期間も終わり、減少していた患者数が再度緩やかな増加に転じている状況にある。夏休みが終わり、今後は学校が再開されたことによる影響も懸念される状況にあるので、体調管理に留意するなど基本的な感染対策を徹底してほしい」としている。

 9月1日発表の定点把握(8月21日~27日) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●専門家「子どもたちでの流行 さらに広がる可能性」

 現在の感染状況について、感染症に詳しい東邦大学の舘田教授は「全国的に微増傾向が続いている。年齢別に見ると10歳未満の子どもたちが一番多い状況で、9月に入り学校が本格的に始まると子どもたちでの流行がさらに広がる可能性がある。また、高齢者でも一定の増加が見られているので引き続き注意していく必要がある」としている。

 その上で「かぜのような症状があった場合は、コロナの可能性を考えて無理して出勤や通学などをせず、自宅で療養してほしい。また、高齢者や、基礎疾患があって不安だという人は早めに医療機関を受診してほしい」と述べた。また、ワクチンの接種から時間がたつと発症を予防する効果などが下がってしまうとした上で「高齢者や基礎疾患がある人など重症化のリスクの高い人は今後、必要に応じて次の接種をすることが大事になると思う」と話していた。

【9月4日】

●厚労相「コロナ公費負担継続 知事会の考え聞きながら検討」

 加藤厚労相は4日、全国知事会で新型コロナ対策を担当する鳥取県の平井知事と厚労省で会談し、知事会からの提言を受け取った。提言では、今月末までとなっている高額なコロナ治療薬の費用と入院費用の一部などに対する国の公費負担について、患者が増加傾向であることを踏まえ、継続するよう求めている。また、自治体が医療機関や高齢者施設で実施する検査費用などで負担が生じないよう、国が引き続き全額を負担することも求めている。

 会談では平井知事が、来月以降の公費負担の在り方について、政府と全国知事会との間で協議の場を設けるよう求めたのに対し、加藤大臣は「厚労省として応じていきたい」と述べ、全国知事会などの考えも聞きながら、今後の方針を検討する考えを示した。会談後、平井知事は記者団に対し「コロナ治療薬の自己負担があまりにも高くなると、医師が処方できない事態になるおそれがあるのではないか。負担を常識的な範囲に抑える配慮が最低限必要だ」と述べた。

【9月7日】

●PCR補助、詐取未遂容疑 コロナ検査虚偽、5.3億円 6人逮捕

 新型コロナ検査の無料化事業で補助金の不正申請が相次いだ問題で、警視庁は7日、「大洋商事」(東京都渋谷区)の代表取締役の上嶋容疑者ら男6人を詐欺未遂容疑で逮捕、発表した。6人は共謀し、「東京都PCR等検査無料化事業」の補助金をだまし取ろうと2022年9月中旬ごろ、医療法人「華風会」(大阪市)名義で実施した2022年8月分のPCR検査などの精算額について、約5億3千万円とする虚偽の実績報告書などを都に提出、補助金を交付させようとした。

 都が不正を見抜き、交付されなかった。大洋商事は、華風会に持ちかけて業務委託を受け、事業に参入。逮捕容疑も含め22年6~11月の検査分として、計約12.8億円(約17万件分)を都側に申請していた。捜査2課は8~9割が架空とみている。同課によると、大洋商事は都内4カ所の検査場の運営業務を不動産販売「YELL合同会社」(東京都世田谷区)など4法人に委託。4法人の従業員らのつばや水を入れるなどした検体を大洋商事側が回収し、うその実績報告書を作成していたという。

【9月8日】

●無料臨時接種、今年度末まで コロナワクチン 来年度からは高齢者などに年1回

 新型コロナのワクチン接種について、厚労省の専門家部会は8日、全額公費負担の臨時接種を今年度末で終了する方針を了承した。来年度からは65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人を対象に、秋から冬に年1回の接種にする方向。来年度以降は、高齢者らは季節性インフルエンザなどと同じ一部自己負担が生じる可能性がある定期接種とし、対象者以外は原則自己負担を視野に検討を進める。今年の秋冬の接種は20日から始まる。生後6カ月以上のすべての世代が対象。

●新型コロナ「空床補償」病院への補助金、500億円超過大に支払い

 新型コロナの入院患者を受け入れる病院を支援するため、厚労省は患者の受け入れに備えて病床を空けた場合に、確保しながら患者が入らず空いた病床や、コロナ患者の受け入れで休止した病床に対して、「病床確保料」として1日単位で補助金を支払う、いわゆる「空床補償」を行ってきた。これについて、会計検査院が去年11月、不適切な支出があったと指摘し、その後、厚労省が都道府県に点検するよう求めていた。

 その点検結果によると、2020年度から2021年度までの2年間に「病床確保料」を受け取った医療機関のうち、岩手県と徳島県を除く45の都道府県ののべ1536の医療機関に対して過大に補助金が支払われ、その額はあわせて504億7000万円あまりにのぼるという。厚労省は、過大に補助金を受け取った医療機関に対して、返還手続きを行うよう求めている。

●新型コロナ全国の感染状況、前週の1.07倍 5類後最多に

 厚労省は8日、今月3日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から7497人増えて10万1289人と発表した。また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は20.50人で、前の週の1.07倍。前の週から増加が続くのは3週連続となる。都道府県別では、多い順に岩手が35.24人、宮城32.54人、秋田30.61人、千葉県28.68人、茨城27.74人などとなっていて、37の都道府県で前の週より増加。

 このほか、今月3日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万2842人で、前の週と比べて1130人の減少。厚労省は全国の流行状況について「お盆明けから緩やかな増加傾向が続いている。20歳未満の人たちで増えていて学校再開の影響も懸念されることから、引き続き基本的な感染対策を徹底してほしい」としている。

 9月8日発表の定点把握(8月28日~9月3日) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●専門家「学校が始まってさらに拡大するおそれ」 学級閉鎖も

 感染症に詳しい東邦大学の舘田教授は、「全国的に緩やかな増加傾向が続いている。お盆の時期は医療機関を受診する人や検査を受ける人が少なくなり、見かけ上、感染者が少なくなっていたが、人々の移動に伴って感染が広がっている」と話す。そのうえで「年代別では10歳未満の子どもたちで最も多くなり、学校が始まってさらに拡大するおそれがある。その結果、家庭でも感染が広がって、重症化リスクが高い高齢者の感染者が増えないように注意する必要がある」と指摘した。

 そして「9月の新学期早々、学級閉鎖や休校が相次いでいる。新型コロナもインフルも広がりやすいウイルスなので、発熱やのどの違和感、鼻水が出るなど体調が悪い場合は、感染を疑って無理をせずに自宅療養し、不安があれば医療機関を受診して検査を受けたり、薬を処方してもらったりすることが大事だ」と話していた。

●インフルエンザ 1医療機関当たり2.56人 前週より増加 初の「収束せず」

 季節性インフルの流行が、昨年末から継続したまま、次のシーズンに入ることになった。厚労省が8日発表した。発表によると、全国約5千カ所の定点医療機関から報告された最新1週間(8月28日~9月3日)の季節性インフルの患者数が1医療機関あたり、前の週の1.40人から2.56人になった。「1人」を超すと「流行」とされ、昨年12月19~25日に流行期入りしたあと、これまで一度も下回っていない。

 厚労省はインフルの発生状況について、9月4日以降の週からは新シーズンとして集計。流行が収束しないまま次のシーズンに突入するのは、現在の方法になった1999年以来、初めてという。日本感染症学会インフル委員会の石田委員長は流行が続いている背景として、3年間インフルの流行がなかったことや昨年のワクチン接種から時間がたったことで、1人が感染すると周囲に広がりやすい状況があると指摘する。

【9月11日】

コロナ「第9波」 加藤厚労相、注意呼びかけ

 新型コロナの国内の感染状況について、加藤厚労相は11日、大阪市内での講演で「第9波と言われているものが今回来ている」と述べた。コロナが感染症法の5類に移行した5月以降、感染拡大傾向が続いているが、現状を「第9波」だと事実上認めた。全国約5千の定点医療機関からの報告では、3日までの1週間に報告された新規感染者数は1定点あたり20.50人(速報値)で、5類移行後で最多となっていた。

 加藤厚労相は講演で「政府では1波、2波、3波と波を数えていない」としつつも「一般的に言えば第9波が来ている」と指摘。例年は夏に感染が拡大し、お盆の時期にピークを迎えるが、今年はまだ「ピークアウトという状況ではない」と注意を呼びかけた。

【9月12日】

●米FDA、更新版の新型コロナワクチンを承認 XBB.1.5対応

 米食品医薬品局(FDA)は11日、更新版の新型コロナワクチンを承認した。オミクロン株の亜系統「XBB.1.5」に対応した1価ワクチンで、今秋以降に米国で接種される。日本国内でもすでにこのワクチンは承認され、20日から始まる全世代を対象にした追加接種で使われることになっている。FDAはモデルナとファイザーがそれぞれ製造する新たなワクチンについて、12歳以上に対しては正式に承認、生後6カ月から11歳以下に対しては緊急使用許可を出した。

 米疾病対策センター(CDC)によると、8月下旬現在、新型コロナによる新規入院者数が1週間で約1万7千人。10万人を超えていた2021年1月や2022年1月に比べると大幅に少ないが、6千人台に減った今年6月に比べると増加している。9月初旬の段階で流行しているのは、「EG.5」や「FL.1.5.1」といった系統。新たなワクチンが対応する「XBB.1.5」の割合は減少しているが、FDAは新たな現在流行している系統に対する効果もあるとしている。

●コロナ新変異株、免疫逃れやすく EG.5に置き換わり進む

 国内で感染者の緩やかな増加が続く中、新たな変異株「EG.5」系統への置き換わりが進んでいる。過去には新たな変異株の流行により感染者が急激に増えた事例もあり注意が必要。オミクロン株XBB系統から派生した「EG.5」系統は2月に初めて報告され、WHOが8月に「注目すべき変異株」(VOI)に指定。現時点で重症度が高まっているという知見はないが、これまでのXBB系統と比べて、免疫を逃れやすく、感染しやすくなる可能性がある。

 国立感染研によると国内でも7月ごろから広がり、EG.5系統の一つ「EG.5.1」は8月7~13日時点で200検体のうち29%だったが、9月11日の週には58%を占めると推計。東京都は7日、都内で初めて多数の変異がある「BA.2.86」を8月24日にPCR検査検体から確認したと発表。2022年に主流となったBA.2系統から派生、ワクチンや感染でできた免疫から逃れる可能性があり、WHOは8月24日に「監視下の変異株」(VUM)に指定した。

●新型コロナ感染「ピークアウトしているとは言えず注視」 加藤厚労相

 厚労省によると、新型コロナの患者数は、今月3日までの1週間で1つの医療機関当たりの平均の患者数が20.50人と3週連続で増加した。これについて、加藤厚労相は閣議の後の記者会見で「まだピークアウトしているとは言えず、注視していかなければならない。厚労省としても医療機関の逼迫やウイルスの変異についての状況を、しっかりおさえて必要な対策をとっていきたい」と述べた。

●都医師会「第9波に入っている」 感染対策呼びかけ

 新型コロナの患者数の増加傾向が続いていることを踏まえ、東京都医師会の尾崎会長は記者会見で、感染者の増加傾向が続き医療が逼迫しているとして「5類への移行でもう終わったように思っている人もいるが、今は都内だけで毎日、新たに1万5000人ほどが感染しているような状況だ。第9波に入っており、第8波のピークに近づきつつある」と述べた。

 そして「重症化する人は減っており、以前のように規制をかける必要はないが、コロナとの戦いはまだまだ続いている」とした上で「新たな変異株にも効果があるとされるワクチンの接種が来週20日から始まるので、できるだけ接種して欲しい」と述べ基本的な感染対策の実施を呼びかけた。

●XBB系統対応 モデルナ製承認 厚労省

 厚労省は12日、新型コロナのオミクロン株の亜系統「XBB」に対応する米モデルナ社製のワクチンを承認したと発表した。既に承認されている米ファイザー社製のワクチンとともに、全世代を対象に20日から始まる追加接種で使われる。同社は25日の週から各自治体に配送を始める。

 モデルナ社製のXBB対応ワクチンの対象年齢は6歳以上。同社は、XBB対応ワクチンについて、現在流行しているEG.5.1系統や、東京都で今月初めて確認されたBA.2.86系統に対して細胞への感染を防ぐ力を示す「中和活性」を確認したと発表している。20日からの接種は6カ月以上の全世代が対象だが、予防接種法上の「努力義務」や「接種勧奨」は高齢者や基礎疾患のある人に限られる。費用は引き続き全額公費。

【9月14日】

●尾身氏ら専門家3人 退任にあわせ3年半を総括

 14日、都内で開かれた記者会見で、政府の「新型インフルエンザ等対策推進会議」を退任した尾身前議長をはじめ、専門家3人が出席した。尾身氏は、新型コロナ対策に当たった3年半の活動を振り返り、感染対策と社会経済活動の両立を図りながら提言をまとめることの困難さに触れ、「正解がない中で大切にしてきたのは科学的に合理性があり、多くの人が納得できる提言をまとめ、その意図を市民に発信することだった」と述べた。

 また、川崎市健康安全研究所の岡部所長は「日本の死亡者の数は海外よりも低く抑えられ、やるべきことはやれた自負があるが、コロナ対策が教育など社会に深刻な影響を及ぼしたことも事実。こうした課題を乗り越えていくことが必要」と述べた。そして尾身氏は、「第9波と言われる状況でまだピークは見えず、コロナは完全に終わったわけではない。これからも社会活動を維持しながら、高齢者などを感染から守る取り組みが必要」と訴えた。

【9月15日】

●新型コロナの患者支援、10月から見直し

 新型コロナは、ことし5月に「5類」になったが、厚労省はその後も患者や医療機関への支援を一部継続してきた。厚労省は15日、10月から行う支援の縮小の具体的な内容を公表した。このうち、患者への支援の見直しでは、現在、全額公費で負担している高いもので9万円を超える高額なコロナ治療薬について、来月からは一部自己負担を求めることになった。

 年齢や所得に応じて、3000円~9000円の自己負担を求めるという。また、入院医療費については、これまで、1か月当たりの医療費が高額になった場合、「高額療養費制度」を適用したうえで、さらに最大2万円を補助してきたが、来月からは補助額を半額の最大1万円にする。

●医療機関への支援見直し

 一方、医療機関への支援の見直しでは、これまで医療機関が新型コロナ入院患者の受け入れに備えて病床を空けた場合、「病床確保料」として補助金を支払う、いわゆる「空床補償」をしてきた。来月からは感染状況が一定の基準を超えて拡大するまで支給しない。このほか、特例で加算していた診療報酬や、高齢者施設への支援についても見直す。厚労省は、新型コロナへの支援策を、来年4月からは季節性インフルなどの感染症と同様の対応とする方向で見直しを行うことにしている。

 厚労省の感染症部会の委員も務める国立国際医療研究センターの大曲国際感染症センター長は「新型コロナの患者を受け入れる医療機関は、十分に増えているとは言えない。さらに来月から、病床確保料などの支援策が削減され入院患者を受け入れる医療機関が減り、ベッドを探すのが難しくなるおそれがある。新型コロナの患者を受け入れる医療機関の労力は今でもとても大きいので、それに見合う支援策のあり方を今後も検討するべきだ」と指摘した。

 10月以降の患者支援と医療機関支援の見直し 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●コロナ予備費3.7兆円繰り越し 検査院「経緯示すべきだ」 2020、21年度

 会計検査院が2020年度と21年度に政府が新型コロナ対策としてあてた予備費を調べ、15日に公表した。2020年度は7兆9819億円のうち4兆7964億円が翌年度に繰り越された。2021年度は新たに4兆6185億円がついたが、国交省など6府省18事業に配分された約3兆7千億円の全額が翌年度に繰り越されていた。

 検査院は各省庁に予備費の執行状況を公表するよう求めるとともに「全額を翌年度に繰り越した場合は、決定時の想定や繰り越しに至った経緯を丁寧に示すべきだ」と指摘している。予備費は自然災害など「予見しがたい予算の不足」に対応するため、使い道を決めずに計上する予算。国会の事前審議なしで政府が自由に使えるため、「不透明」との批判が出ている。

●コロナ自然感染、高齢者は「4人に1人」 厚労省、年代別の抗体保有率公表

 新型コロナに自然感染した後にできる抗体を保有している人の割合(抗体保有率)について、5~29歳は7割前後で、高齢者は2~3割弱であることが分かった。15歳以下や70歳以上の抗体保有率が明らかになったのは初めて。厚労省が15日に調査結果を公表した。コロナに感染後、体内には抗体ができ、しばらく残る。ワクチンによる抗体と自然感染による抗体は区別でき、抗体保有率を調べれば、どれくらいの人が感染した経験があるのか分かる。

 調査では、今年7~8月の22府県4235人分の血液を調べたところ、全体の抗体保有率は45.3%だった。小中学生にあたる年代の子どもの7割が感染を経験した可能性がある一方で、70歳以上は、4人に1人程度しか自然感染の経験がないことになる。

●新型コロナの感染状況 前の週の0.98倍

 厚労省によると、今月10日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1545人減って9万9744人。また、1つの医療機関当たりの平均患者数は20.19人で前の週の0.98倍でほぼ横ばい。都道府県別では、多い順に宮城が32.47人、岩手29.87人、千葉27.45人、埼玉26.95人など、25の府県で前の週より増加。このほか、今月10日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万1566人で、前の週と比べて1744人減少。

 9月15日発表の定点把握(9月4日~10日) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 厚労省は、全国の流行状況について「新型コロナの5類移行後、緩やかな増加傾向が続いていて、前の週からは減少したもののほぼ横ばいだといえる。年齢別では20歳未満が増加している一方でそれ以外は減少していて、学校再開などの影響が続いているとみられる。引き続き、感染対策を徹底してほしい」としている。

●専門家「新型コロナ、減少に転じるか注意して見る必要」

 感染症に詳しい東邦大学の舘田教授は、新型コロナの現在の感染状況について「この夏にかけて感染者数は増加傾向が続いていたが、直近では横ばいとなっていて、ピークが見え始めているように見える。これまでの3年間は8月から9月にかけて感染拡大が続き、その後、収束したが、ことしも同様に横ばいから減少に転じていくのか、これから1週間か2週間は注意して見ていく必要がある」と話した。

 また、インフルエンザが同時に流行している状況については「新型コロナとの同時に検査できるキットが普及し、インフルが以前より見つかりやすくなったことも関係していると考えられるが、コロナ対策でここ数年、流行が抑えられ、免疫を持たない人が多いことが影響している。今の時期、冬のシーズンのように爆発的に患者が増加するリスクは低いと考えているが、流行状況に注意する必要がある」と話していた。

●新型コロナの病床使用率 6つの県で5割上回る

 厚労省は、入院している新型コロナの患者数や、確保されている病床の数、その使用率などを都道府県別に1週間ごとにまとめ、毎週公表している。病床使用率は、最新の今月6日の時点で最も高いのが、福岡で65%、神奈川59%、宮城58%、山形57%、栃木51%、兵庫50%と6つの県で5割を超えている。また、重症患者用の病床の使用率は、和歌山44%、山梨40%、岡山、愛媛、高知、熊本が33%などとなっている。

●オミクロン株の1種「EG.5.1」、最も多い

 国立感染研によると、国内で検出される新型コロナの変異ウイルスの割合はオミクロン株の1種「EG.5.1」が最も多く、来週の時点で63%になると推定されている。そのほか「XBB.1.16」が16%、「XBB.1.9」が9%などと推定されている。EG.5.1を含む系統は、WHOがVOI(注意すべき変異ウイルス)に指定して監視していて、世界的にも先月13日までの1週間で26.1%を占めている。

 東京大学医科学研究所の佐藤教授らのグループが発表した論文によると、EG.5.1は、細胞を使った実験で、細胞への感染力自体は一時、感染の主流となっていた従来の「XBB」系統のウイルスよりも下がっていた一方で、ワクチンの接種や感染によってできる中和抗体が効きにくかったということで、グループは「免疫を逃れる能力が高くなっている」と指摘している。また、世界的には「BA.2.86」という変異ウイルスへの警戒も高まっている。

●インフルエンザ 1医療機関当たりの患者数、前週より増加

 厚労省によると、今月10日までの1週間に全国およそ5千か所の医療機関から報告されたインフル患者数は2万2111人で、前の週から9473人増えた。1医療機関当たりでは4.48人で、前の週から1.92人増えている。前週の2.56人から1.75倍に。コロナとの同時流行により、学級閉鎖は全国で627校に上った。国立感染研によると、このデータを基に推計されるこの1週間の全国の患者数はおよそ15万1000人だという。

 都道府県別では、いずれも1医療機関当たりで、沖縄が13.43人と最も多く、注意報レベルとされる「10」人を超えたほか、長崎8.8人、千葉8.58人、福岡7.56人、宮城7.34人などとなっていて、全国の44の都道府県で前の週より増加した。厚労省では例年この時期からインフルの集計を発表し、1医療機関当たりの患者が1人を上回ると全国的な「流行期入り」の目安としていたが、今年は、去年12月から1人を一度も下回らないまま新たなシーズンとなった。

【9月18日】

●新型コロナ19万人余調査、成人1~2割が「後遺症」  厚労省研究班

 新型コロナのいわゆる「後遺症」について国の研究班が3つの自治体で19万人余りを対象に行ったアンケート調査の結果、成人の1割から2割余りが咳や倦怠感など何らかの症状が感染から2か月以上続いたと答えたことが分かった。調査は厚労省の研究班が東京・品川区、大阪府八尾市、それに札幌市の住民を対象に行った。

 この中で、去年9月までに新型コロナに感染し、咳や倦怠感などが2か月以上続くいわゆる「後遺症」とみられる症状があると答えた人の割合は、成人では札幌市で23.4%、八尾市で15.0%、品川区で11.7%ととなった。一方、5歳から17歳の小児を調査した札幌市と八尾市ではいずれも6.3%と、成人より低い割合。また感染前にワクチンを接種した人は接種していない人に比べて、成人と小児のいずれも症状が続いた人の割合がおよそ25%から55%低かったという。

【9月20日】

●オミクロン株派生型対応ワクチン、全世代で接種開始

 新型コロナは、ことし5月に法的位置づけが5類に変更されたが、厚労省は今年度末まで自己負担なしで接種することができる特例接種を続けている。20日から冬に懸念される感染拡大に備え、希望する生後6か月以上のすべての人を対象にした接種が始まった。全額公費での特例接種は今年度末までで終了することが決まっている。厚労省は、来年度以降の接種については、一部自己負担が生じるケースもある「定期接種」に移行することも含めて、検討している。

 厚労省は自治体が住民に接種を勧める「接種勧奨」や、接種を受けるよう努めなければならないとする「努力義務」について、今回の接種からは高齢者や基礎疾患がある重症化リスクの高い人にのみ適用し、それ以外の65歳未満の健康な人には接種勧奨や努力義務を適用しないことになった。また、多くの自治体で来月から始まるインフルと新型コロナのワクチンを同時に接種しても、安全性や有効性に問題はないとしている。

●「XBB.1.5」対応ワクチンとは  「EG.5.1」への効果は

 20日から接種が始まるワクチンは、オミクロン株の一種「XBB.1.5」対応の成分が含まれたワクチン。国立感染研によると現在、流行の主流となっているのはXBB系統からさらに変異した「EG.5」と呼ばれるウイルスで、今週の時点でこのうち「EG.5.1」が63%を占めると推定されている。「XBB.1.5」対応ワクチンを開発した米製薬会社2社は、臨床試験などで「EG.5」や「BA.2.86」など、新たな変異ウイルスに対しても免疫反応がみられたとしている。

 また、東京大学医科学研究所の佐藤教授が主宰する研究グループによると、培養細胞を使った実験から「EG.5.1」は、感染力がこれまでの「XBB」系統より下がっていた一方で、免疫を逃れる能力は高くなっている可能性があるとしている。また、感染症に詳しい東京医科大学の濱田特任教授は「ワクチンの効果には、重症化予防と感染予防があるが、XBB.1.5対応のワクチンはEG.5に対しても重症化予防の効果は十分に期待できる」と話していた。

●ワクチン接種 これまでに4億700万回余

 政府のまとめによると新型コロナワクチンの接種は、9月17日までの時点で合わせて4億700万回余り行われた。このうち、42%にあたる1億7400万回余りが65歳以上の高齢者に対する接種。また接種した回数別にみると「初回接種」にあたる2回目の接種を終えている人は79.8%、3回目の接種を終えている人は68.8%。一方で高齢者の接種率は高く、3回目の接種を終えている人は91.5%にのぼる。

 国内のワクチン接種人数(9月19日公表) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●これまで使用の従来型対応ワクチン、廃棄へ

 オミクロン株の派生型に対応した新型コロナワクチンの接種が始まるのに合わせて、厚労省は、これまで使っていたワクチンの廃棄について発表した。このうち、従来株に対応したファイザーのワクチンは、購入したおよそ2億7480万回分のうち、使用しなかった830万回分を廃棄する。

 また、オミクロン株に対応した2価ワクチンについては、ファイザーのおよそ1億2510万回分のうち21%余りにあたるおよそ2650万回分と、モデルナのおよそ7000万回分のうち73%余りにあたるおよそ5150万回分は、有効期限を迎えたものから順次廃棄する予定。厚労省は「感染が拡大する中で色々な可能性を視野に入れて必要なワクチンの量を確実に確保できるよう購入を進めてきたので、廃棄されるものもあるが購入した行為自体は無駄ではないと考えている」としている。

【9月22日】

●新型コロナの感染状況 前週の0.87倍

 厚労省によると、今月17日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万3234人減って8万6510人となった。また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は17.54人で、前の週の0.87倍となった。都道府県別では、多い順に埼玉が24.98人、千葉23.99人、宮城22.77人、愛知22.74人、岩手21.44人などとなっている。このほか、今月17日までの1週間に新たに入院した人は全国で8920人で、前の週と比べて2905人の減少となった。

 厚労省は、全国の流行状況について「緩やかな増加傾向が続いたのち2週連続で前の週から減少したものの、ピークを越えたかどうかは注視が必要だ。特に10代は増加しており、夏休みが明け学校再開の影響が続いているとみられる。引き続き感染対策を徹底してほしい」としている。

 9月22日発表の定点把握(9月11日~17日) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●新型コロナ 夏の感染拡大の波はピークを越えたとみられる

 感染症に詳しい東邦大学の舘田教授は、新型コロナの現在の感染状況について「前の週から2週間連続で減少傾向が続き、入院患者の数も減少していることから、この夏の感染拡大の波はピークを越えたとみられている。ただ、人の動きは活発でマスクを着けていない人も増えている中で、ここから急に感染者の数が減少するとは考えにくい」と指摘している。

 また、今月20日からオミクロン株の派生型「XBB」系統に対応するワクチンの接種が始まったことについて「高齢者や基礎疾患のある人たちで、最後にワクチンを打ってから4か月から6か月が経過した人たちは重症化リスクも考えワクチン接種を早めに進めることが大事。ワクチンの接種には感染後に続く『後遺症』を抑える効果があるという報告もあるので、若い人でも重症化リスクのある人と接する機会のある人は接種を検討してもらいたい」と話していた。

●「インフル、4週間以内に大流行の可能性 対策を」小池都知事

 インフルエンザについて、東京都は21日、統計を取り始めた1999年以降、最も早く「流行注意報」を出した。これについて、小池知事は22日の記者会見で「今後4週間以内に、大きな流行が発生する可能性が高いことを教えてくれているので、十分な注意を行ってほしい」と述べ、新型コロナへの感染予防のためにも、換気や手洗いなどの対策を心がけるよう呼びかけた。また、新型コロナについては「若干、落ち着きつつあるのではないか。ただ10代の感染が伸びているという状況」と述べた。

●インフルエンザ患者数、前週の約1.5倍

 厚労省によると、今月17日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告されたインフル患者数は3万4665人で、前の週からおよそ1.5倍に増えている。1医療機関当たりの患者数は全国で7.03人で、都道府県別では、沖縄が20.85人と最も多く、千葉14.54人、愛媛12.07人、佐賀11.95人、東京11.37人などとなっている。このうちこのうち7つの都県では、今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があることを示す「注意報レベル」の基準値10人を超えている。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田教授は、「しばらくは感染拡大が続く兆候がみられている。近く、全国で『注意報レベル』の10人を超える可能性もあり、来週や再来週の推移は特に注意する必要がある」と話している。そして「マスクを必要に応じて使うことや換気、3密を避けることなど基本的な感染対策が、コロナだけでなくインフルエンザの予防にも有効。深刻な同時流行を起こさないために対策を取ってもらいたい」と話していた。

●コロナ患者、労災申請低調 経路不明でも認定例、周知に課題

 業務中の新型コロナ感染で労災認定を受けたあとに、後遺症が続いて傷病補償年金を支給する事例が出てきた。ただ、コロナで労災が認められることへの認知が広がっていない可能性があり、医療関係者は周知する必要を訴える。厚労省によると、コロナ感染に伴う労災は、8月末までに約21万件の申請があり、約20万件が支給された。だが、感染者は全数把握されていた5月までに3300万人超に上り、申請した人は、このうちの0.6%程度にとどまる。

 労災が認められれば、治療費が全額支払われるほか、仕事を休んだ場合は4日目から賃金の8割相当を給付される。死亡時には遺族に補償金が支払われる。さらに治療から1年6カ月が経過しても症状が治らないと、傷病補償年金が受け取れる可能性がある。コロナの後遺症のクリニック院長は「後遺症で倦怠感などが続き、仕事を失う人もいる。経済的負担が大きく、労災保険はまさに『命綱』だ」と説明する。

●コロナ後遺症で傷病年金 初事例か 老人ホーム勤務の女性

 新型コロナに業務中に感染して労災認定を受けた後、後遺症が続いているとして東京都内の女性に傷病補償年金が支給された。女性を支援するNPO法人「東京労働安全衛生センター」が22日に会見を開き、明らかにした。コロナによる労災はこれまでに約20万件が認定されているが、その後の後遺症で傷病年金の支給につながるのは珍しい。同センターは「初めての事例ではないか。国にも今回の先行事例をもとに積極的な認定を考えてもらいたい」と語る。

 女性は、老人ホームの事務職として勤務していた2021年1月に施設内でコロナに感染し、高熱などで一時入院した。退院後も呼吸困難の症状が改善せず、仕事は休職し、在宅で酸素吸入が必要な状態が続いた。青梅労働基準監督署で労災認定されたあとも、在宅で酸素療法を続けざるを得ない状態という。今年5月になって労基署が傷病等級3級に認定し、年金支給を決定したという。

【9月23日】

●7~8月の山岳遭難、統計開始後最多738件、死者・行方不明者61人に

 新型コロナの5類移行を受けてひさしぶりに登山を楽しむ人が増えていることなどから、全国で山岳遭難が増えている。今年7月と8月の山岳遭難は統計を取り始めてから最も多くなり、合わせて738件、809人。死者・行方不明者は61人。9月に入っても死亡事故などが相次いでいて、警察が注意を呼びかけている。

 長野県警山岳安全対策課は、「新型コロナの制限緩和を受けてひさしぶりに登山を再開する人が増える中、難易度が高くない一般登山道でも遭難が相次いでいる。特に加齢や体力不足に伴う疲労で下山中に足下がふらつき、滑落したり転倒したりする事故が多いので、日頃からトレーニングを行い、自分の体力にあった山を選んで登山を楽しんでほしい」。また登山指導者は「いつも行っている山より少しレベルを下げて登り、体調の変化を感じたら早めに下山すること・・・」と話す。

【9月25日】

●北朝鮮、外国人の入国を許可 中国国営テレビが報道 国境開放進む

 中国国営中央テレビ(CCTV)は25日、北朝鮮が同日から外国人の入国を許可したと伝えた。入国後に2日間の隔離を義務づけるという。北朝鮮は8月下旬、新型コロナ対策を理由に約3年7カ月にわたって封鎖した国境の限定的な開放に乗り出したが、外国人の扱いについては明らかにしていなかった。

 長期間、国境を封鎖したことで、北朝鮮の慢性的な食料・物資不足はさらに悪化した。北朝鮮は8月に国外からの自国民の帰国を認めたのに続き、今後は外国人ビジネス関係者らの往来も増やし、経済状況の改善につなげたい考えがあるとみられる。ただ、すぐに観光客を含めた外国人をコロナ禍前と同じ水準で受け入れるのかどうかは不明。

【9月26日】

●ロンドン近郊の空港で管制官が相次ぎコロナ感染 欠航も 

 英国のロンドン近郊にあるガトウィック空港が25日に発表したところによると、管制塔に勤務する管制官のうちおよそ30%が新型コロナに感染するなどして体調を崩し、勤務できない状態となった。その結果、発着便の数を1日800便に制限することになり、10月1日までに合わせて164便の欠航が決まったという。英国政府によると、イングランドでは一時1日に200人程度にまで減っていた新型コロナの新規感染者数が、今月は連日1000人を超えるようになっている。

●人工透析患者 新型コロナ「5類」移行後も感染時の致死率 約2%

 人工透析を行う医師などで作る日本透析医会は、新型コロナが「5類」に移行したあとの透析患者の感染状況について独自に調査を行った。その結果、ことし5月から9月12日までに全国の61の透析施設から報告された新型コロナの感染者257人のうち、亡くなった人は6人で、致死率は2.3%となっていた。また、感染が確認された時点で重症になっていた人は全体の7.4%。

 日本透析医会によると、これらは去年からことしにかけての流行の「第8波」の際とほぼ同じ水準だという。医会では透析を受けている人は「5類」以降後も、引き続き感染に注意が必要だとしている。医会の菊地理事は「5類移行後は感染を気にしなくなった人も増えているが、腎不全や透析の患者など基礎疾患がある人は今も重症化リスクが高いので、ワクチン接種など対策に努めてほしい」と話していた。

●愛知、コロナワクチン接種直後に死亡 調査委が検証結果公表

 去年11月、愛知県愛西市の集団接種会場で、新型コロナワクチンの4回目の接種を受けた女性が接種直後、息苦しさを訴えたあと容体が急変し、死亡した。愛西市は専門家による「医療事故調査委員会」で原因の調査を進め、26日、報告書を公表した。報告書では当時の女性が接種後の経過観察中にせきが出始め、その後、息苦しさを強く訴え、症状が出始めてから10分後に心停止となっていることから、「アナフィラキシーを起こしていた可能性が高い」としている。

 そして、当時、医師がアナフィラキシーの治療薬のアドレナリンを投与しなかったことは標準的ではないと指摘したうえで、「早期にアドレナリンが投与された場合、救命できた可能性を否定できず、投与されなかったことの影響は大きい」としている。また、接種会場の体制について、接種を始める前に、医師と看護師が集まって、急変時の対応の確認などが行われず、救命のためのチームワークが十分実行されなかったと指摘し、再発防止策を提言している。

【9月27日】

●医療費1回7841円、コロナ禍急増 報酬抑えたい財務省、医療界は反発

 財務省は27日の財政制度等審議会の分科会で、全国にある診療所の1回の受診あたりの医療費が2022年度に7841円だったとの試算を発表した。コロナ前の2019年度比13%増と、コロナ禍で急増した。物価上昇率を上回る伸びとなり、「診療単価のあり方などの見直しが必要」と提言した。財務省によると、高齢化が進んだことや、医療の高度化で医療費のかかる処置が増えたとみている。今回の試算では、新型コロナの補助金に関わる費用は除いた。

 2024年度は医療サービスを受ける時の料金である診療報酬の改定年にあたり、年末の決定に向けて日本医師会などは、物価高を診療報酬に反映させるよう求めている。だが、財務省は診療所の売上高は伸びていると主張しており、診療報酬を抑えたいねらいがある。財務省が慎重なのは、診療所の医療費が増えていることに加えて、新型コロナ対策による病床確保料やワクチン接種など 補助金で病院の利益が増えていることがある。

埼玉県内の新型コロナ感染者数、前週の約半分に減少

 埼玉県が27日発表した新型コロナの感染状況によると、今月18日から24日までの1週間に定点把握の対象となっている261の医療機関から報告のあった新たな感染者数は3268人。1医療機関当たりでは12.62人で、24.98人だった前の週と比べておよそ半分に減少した。

 世代別にみると、10代が844人と最も多く、10歳未満が521人と続いているが、すべての世代で前の週よりも減少したという。県は感染者数が減少傾向に転じているものの、高齢者や基礎疾患がある人にとっては重症化リスクが高いとして、体調が悪いときは外出を控えるなど引き続き感染対策を徹底するよう呼びかけている。

【9月28日】

●東京都の新型コロナ感染者数、前週より大きく減少も基本的対策を

 東京都は28日、都内の新型コロナの感染状況について、モニタリング項目を発表した。それによると、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、415か所から報告があり、9月24日までの1週間の感染者数は合わせて3688人で、1医療機関当たり8.89人。これは前の週の16.04人のおよそ55%となり、大きく減少した。また、9月25日時点での入院患者数は1769人で、前の週より483人減った。

 専門家は「祝日に伴い定点医療機関の診療日数が減り低めの数値となっている可能性があり注意が必要だ。インフルエンザなどの受診者が増加してきており、医療提供体制への負担が長期化している」などと指摘し基本的な感染対策の継続を呼びかけた。

【9月29日】

●新型コロナ感染状況 全都道府県減少、前週比0.63倍 「ピークアウト可能性」

 厚労省によると、9月24日までの1週間に全国およそ5千の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から3万2164人減って5万4346人となった。また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は11.01人で前の週の0.63倍。前の週から減少が続くのは3週連続で、すべての都道府県で減少した。

 都道府県別では多い順に、愛知16.61人、岐阜15.24人、茨城14.53人、千葉14.43人、熊本12.74人などとなっている。このほか、9月24日までの1週間に新たに入院した人は全国で7685人で、前の週と比べて2288人の減少。厚労省は全国の流行状況について「3週連続で前の週から減少しているほか、今回はすべての都道府県で減少していてピークアウトの可能性がある。引き続き感染対策を続けてほしい」としている。

 9月29日発表の定点把握(9月18日~24日) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●専門家「都市部でも明確に減少 ピーク超えたといえる」

 感染症に詳しい東邦大学の舘田教授は、新型コロナの現在の感染状況について「感染者の数は東京都など都市部でも明確に減っていて、減少傾向が9月以降続いていることから、ピークを超えたといえる状況」。そのうえで「現在、主流となっているのはオミクロン株のXBB系統となる『EG.5』で、新たな変異ウイルスが広がっている状況ではないので、減少傾向はしばらく続くと考えられる。ただ、いつまで減少が続くか注意して見る必要がある」と話していた。

 そのうえで「この冬にコロナとインフルエンザの感染拡大が重なって、同時流行が起きないかが懸念される。10月からはインフルワクチンの接種が始まり、コロナでは、XBB系統に対応するワクチンの接種がすでに始まっている。特に高齢者や基礎疾患があり重症化しやすい人は、いずれのワクチンも接種し、そのほかの人も希望する人は早めに接種を済ませてほしい」と話していた。

●インフルエンザ感染広がる 「ワクチン積極的な接種推奨」 日本感染症学会

 日本感染症学会は、インフルワクチンなどの接種についての文書をウェブサイトで公開した。2020年以降、インフルの大きな流行がなかったことから子どもや高齢者を中心に抗体の量が減って感染しやすい状態の人が増えている可能性があると指摘。ことしは、例年の流行しやすい時期に限らず流行し、規模も大きくなる可能性があること、新型コロナとの同時流行が懸念されることから、「インフルワクチンの積極的な接種を推奨する」としている。

 また、ワクチンの供給量は例年以上となる見込みのため、子どもや高齢者、それに基礎疾患がある人など重症化のリスクが高い人だけでなく、リスクが低い人も含めてより積極的に接種の推進が可能とした。一方、高齢者や基礎疾患がある人などについてはインフルにかかった後の肺炎の予防も重要だとして、肺炎の原因となる肺炎球菌ワクチンの接種も推奨するとしたほか、新型コロナワクチンの接種も推奨するとした。

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