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2023年7月 4日 (火)

映画「大名倒産」

 2023年6月30日(金)、映画『大名倒産』を観る。
 

  江戸時代を舞台に、鮭役人の子・小四郎は、思いがけず大名家の家督を継いで藩主となるが、藩が抱える莫大な借金を背負わされた運命を描いた浅田次郎による同名の時代小説を映画化したエンターテイメント。2023年6月23日より全国公開。

 巨額の借金を背負わされる主人公を、現在放映中のNHK連続ドラマ『らんまん』で主人公・槙野万太郎役の神木隆之介が演じ、2020年度後期のNHK連続テレビ小説おちょやん』で、浪花千栄子をモデルにしたヒロインを演じた杉咲花のほか、松山ケンイチ佐藤浩市、キムラ緑子らが共演する。監督は前田哲。

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 江戸時代の越後・丹生山藩(にぶやまはん) 。鮭役人・間垣作兵衛 (小日向文世)と平和に暮らしていたその息子・小四郎(神木隆之介)は、突然大勢の役人が家に現れ、自分が徳川家康の血を引く丹生山藩主の跡継ぎ・松平小四郎であることを知る。家督を継ぐはずの長兄が急逝し、次兄は正室の子(松山ケンイチ)だがうつけ者で江戸屋敷に住み、三兄は側室の子(桜田通)で賢いが生まれつき病弱、国元を離れたことがない。

 庶子である小四郎は、農家から下屋敷に奉公にあがっていた村娘・なつ(宮崎あおい)と、先代藩主の間に産まれた四男坊。間垣作兵衛となつの子として育てられたが、十三代目松平和泉守を継ぐことになった。実父である一狐斎(佐藤浩市)は、小四郎を藩主にしてさっさと隠居。

 庶民から殿様になって幸運をつかんだかのように見えたが、実は丹生山藩は25万両(現在の約100億円)もの借金を抱えていた。困惑する小四郎に一狐斎は、返済日に藩の倒産を宣言する「大名倒産」を命じる。借金を踏み倒してしまえば、武士も領民の皆が救われるというのだった。しかし、実は計画倒産を成し遂げた暁に、小四郎にすべての責任を押しつけ、切腹してもらうというムチャクチャな理由で家督を譲ったのだ。

 以下8枚の写真は、映画『大名倒産』のパンフレットから転載。

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 大名家や幕府役人への贈答品、莫大な費用が掛かる大名行列と、次から次へと難題が降りかかる。一国の大名になった小四郎は、丹生山藩を潰すまい、領民を苦しませることはさせまいと、幼なじみの町娘・さよ(杉咲花)、家臣の平八郎(浅野忠信)、勘定方の佐平次(小手伸也)らの協力を得て奮闘する。やがて、江戸幕府老中(勝村政信、石橋蓮司)に計画倒産を疑われてしまう。

 映画では、ハッピーエンドとなるが、エンドロールの後に「どんでん返し」が待っている。

 

 ★ ★ ★

●殿の節約プロジェクト

 藩の財政を把握しようと、さよと小四郎は算盤を弾いて膨大な帳簿を調べあげる。そして「殿の節約プロジェクト」が始まった。

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➊.使用頻度の少ない武具や家具などは、綺麗さっぱり売払う。武具の鉄は、農具などにリサイクルされた。

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➋.あちこちの藩からもらった贈答品は、入れ替えてお返しにする。意味のない昔からのしきたりは中止。

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➌.来客用の豪華な布団は、必要になった時に借りるという「サブスクリプション」。長屋の町人は、季節の着物や冠婚葬祭の羽織袴、鍋釜、布団など、何でもレンタル。

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➍.近郊の農村の肥料不足に目を付けたさよは、小四郎の排泄物を売る。

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➎.地主から借りていた中屋敷と下屋敷を手放し、小四郎の住む上屋敷に兄たちとシェアハウス。江戸時代の大多数の職人や商人は、長屋のシェアハウス暮らしだった。

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➏.参勤交代では、キャンプ(野宿)で宿代をコストカット。大人数での参勤交代は、藩の財政を大きく圧迫した。いろいろコストカットを検討したが、思い切って「野宿」にした。キャンプのようで楽しい。

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 こういった知恵や工夫を凝らしながら、小四郎らは節約プロジェクトに奮闘する。しかし節約だけで25万両の借金は返せない。物語は、丹⽣⼭藩に⼤⾦を貸す金貸業、大坂の豪商・天元屋のタツ(キムラ緑子)ら一味の悪事を暴くことだ。

●SDGs(持続可能な開発目標)と江戸時代

 「殿の節約プロジェクト」のアイデアは、現代にも通じる節約術でもある。SDGsは、2015年に国際連合によって採択された17の目標。日本では、すでに江戸時代の社会でSDGsのいくつかの概念や実践が存在していた。

 ▼農村社会では「地域の自給自足の経済」が重要な考え方。農民たちは、食料や日用品を自家生産し、地域の需要を満たすことを目指した。▼資源の節約や再利用が重要視された。例えば、木材や布、紙の再利用など「循環型の資源利用」が行われていた。▼「地域の共同体意識」が強く、互助の精神が重んじられ、地域の人々は共同で農作業や災害対策を行い、持続可能な地域社会を築いていた。▼山林の保護や水質管理など、「環境保護」に関する取り組みが行われていた。

 これらの要素は、現代のSDGsと直接的に結びついているわけではないが、持続可能な開発に関する基本的な考え方や実践の一部を見ることができるという。SDGsは、現代の課題や国際的な目標を反映したものだが、我々の先人の経験や知恵からも学ぶことができる。

●歴史劇と時代劇

 映画『大名倒産』のパンフレットの中で歴史学者の磯田道史は、「史伝」、「歴史劇」と「時代劇」に分けて考えるという。史実そのものを追及する「史伝」、その時代がどいうものであったか理解しようとするのが「歴史劇」。ある時代を舞台に人間の悲喜こもごもを描き、それに共感したりするのが「時代劇」だとする。

 『大名倒産』というタイトルに引かれて映画を観覧したが、浅田次郎の時代劇小説を映画化したものだった。財政改革と言えば米沢藩の第9代藩主・上杉鷹山が有名だが、あまり関係はなさそう。 現在のSDGsに通じる話は勉強になった。セリフは現代調、着物も明るくポップ、ストーリー的にもまったく「時代劇コメディ」だった。

 たとえば『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』は、2003年に発刊された磯田道史の著書。ノンフィクションであるが、2010年にこれを原作として映画『武士の家計簿』が製作された。この映画は、江戸時代の下級武士の実際の節約術で、おもしろかった。主演は、堺雅人。

 『決算!忠臣蔵』は、東京大学史料編纂所教授・故山本博文の著書。2012年に新潮社から新書として刊行され、2019年に『決算!忠臣蔵』のタイトルで映画化されている。大阪弁や現代風セリフのコメディで、限られた予算の中で仇討を果たそうとする赤穂浪士たちの奮闘を描いていた。

 一方で、映画『超高速!参勤交代』はフィクション。実際に映画は見なかったがテレビの放映を見た。江戸時代の参勤交代を題材にした土橋章宏の脚本。土橋自身により小説化され2013年に発刊、2014年に映画化された。2015年に続編小説『超高速!参勤交代 老中の逆襲』が刊行され、2016年には映画『超高速!参勤交代 リターンズ』が公開された。時代劇としてはおもしろかった。主演は、佐々木蔵之介。

 映画を見てないが、映画『殿、利息でござる!』は2016年に公開。原作は磯田道史の評伝「穀田屋十三郎」で、仙台藩の吉岡宿場の窮状を救った町人達の記録『国恩記』を元にしている。主演は阿部サダヲ。また映画『引っ越し大名!』は、2019年公開。生涯に7回もの国替えをさせられ、”引っ越し大名”とあだ名された実在の大名・松平直矩をモデルにした土橋章宏の小説『引っ越し大名三千里』の映画化で、土橋が脚本も担当した。主演は星野源。

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