新型コロナ2023.03 個人判断
政府は1月27日、新型コロナの感染症法上の分類を5月8日に、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げることを決めた。マスクの着用については、3月13日から屋内・屋外を問わず「個人の判断」に委ねることになった。一方で、高齢者などへの感染を防ぐため、医療機関を受診する際などは着用を推奨するとしている。
厚労省の専門家組織の8日会合では、感染状況は全国で減少傾向が続き、感染の第7波が始まる前の去年夏の水準を下回る状況と分析。重症者数や亡くなる人の数も減少傾向が続いている。今後の感染状況については、全国的には横ばい傾向が続くと見込まれるが、年度替わりの行事などを通じて一部地域では今月末にかけて増加に転じる可能性がある。また、4つの県では前週より増加傾向で、注意が必要だとしている。
2023年3月1日から15日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2023.02 XBB系統」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】
【3月1日】
●新型コロナ発生源、「中国の研究所から流出可能性高い」 FBI長官
FBI(米連邦捜査局)のレイ長官は28日、米国のFOXニュースのインタビューで、新型コロナの発生源について「FBIは、武漢の研究所における事故である可能性が高いと評価している」と初めて公の場で示した。そのうえで、レイ長官は「私には、中国政府が米国政府などによる調査を妨害し、真実をわかりにくくしようとしているように思える」と述べて、中国を批判した。
FBIの旗 出典:ウキメディア・コモンズ
●香港、マスク着用義務を撤廃 コロナ対策の規制すべてなくなる
香港では、3年前の7月から公共の場所でのマスク着用が義務づけられ、違反すれば罰金が科せられるなど取締りの対象となってきた。しかし、現地のメディアは、「香港は着用義務が残る最後の地区になってしまう」などと、批判する論調を伝えていた。こうした中、香港政府は感染が抑えられているとして、屋内・屋外を問わず、3月1日からマスクの着用義務を撤廃、これでコロナ対策による規制はすべてなくなった。
香港の夜景 出典:ウキメディア・コモンズ
● コロナ診療報酬増、見直し議論を開始 厚労省
厚労省によると、発熱などでコロナ感染が疑われる患者が発熱外来を受診したとき、医療機関は感染対策などのために原則4470円(2月末までは5500円)の診療報酬の特例加算を受け取れる。特別加算の対象となった診療は、2022年6月の1カ月間で250万回程度あったという。入院でもコロナ患者には通常よりも高い診療報酬を設定。重症患者への対応では通常の3倍にあたる診療報酬が設定されている。
1日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)では、医療側の委員が「高齢者への対応も必要」などとして、特例の延長を求めた。一方、医療費を負担する健康保険などの保険者側は「特例措置の縮小は可能だ」と主張した。
●生活保護申請、3年連続増 昨年 物価高・コロナ禍の支援終了が影響か
2022年の生活保護の申請件数は23万6927件で、前年と比べて1850件(約0.8%)増。3年連続の増加。物価高騰に加え、コロナ禍の経済的な支援策が終わったことも件数を押し上げたとの見方もある。厚労省が1日、2022年12月分の調査結果を公表、これをもとに2022年1年間(速報値)の件数を集計した。申請の推移をみると、1~4月は前年同月と比べて減少が続いたが、5月に10.6%増と急拡大。その後も11月まで7カ月連続で前年を上回った。
●東京都、5人死亡 1028人感染確認 前週比167人減
厚労省は3月1日、都内で新たに1028人が新型コロナの感染確認を発表した。1週間前の水曜日より167人減った。また人工呼吸器か、ECMO(人工心肺装置)を使っている重症の患者は、2月28日より2人減って11人だった。一方、感染が確認された5人が死亡した。
3月1日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
【3月2日】
●外国クルーズ船、東京のターミナルに 3年前の開業以来初入港
外国のクルーズ船は、横浜港に寄港した船で新型コロナの集団感染が発生した3年前の2月以降、国内での受け入れが停止されていたが、1日、水際対策の緩和後、外国事業者の船として初めてドイツの「アマデア」(日本郵船の旧「飛鳥」)が、静岡市の清水港に入港した。そして2日には、アマデアが江東区の東京国際クルーズターミナルに入港した。今月は外国のクルーズ船6隻が東京国際クルーズターミナルに入港し、来月以降も入港が相次いで予定されているという。
クルーズ客船「アマディア」 出典:ウキメディア・コモンズ
【3月3日】
●5類移行後も介護事業者への支援継続へ 厚労省
厚労省は、新型コロナの感染症法上の位置づけが5月8日に「5類」に移行したあとの医療提供体制について、検討を進めている。こうした中、重症化リスクが高い高齢者への介護サービスを提供する事業所については感染対策の徹底が引き続き必要だとして、現在実施している支援や措置について、「5類」移行後も原則として継続する方向で検討している。
●岸田首相 「5類」移行後 状況変われば「2類相当」に見直しも
3日の参議院予算委員会で立憲民主党の石垣氏は、新型コロナの「5類」への移行をめぐり「死者の絶対数は増えている。第8波以上に死者が増えた場合は、どう対応するのか」とただした。これに対し首相は「5類に位置づけたあと、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状況になれば、直ちに対応を見直す。具体的には2類感染症と同様の入院勧告などの各種措置を適用することが考えられる」と述べた。
【3月4日】
●コロナワクチンの重症化予防効果、4回接種で78.2% 長崎大
長崎大学などのグループは、オミクロン株「BA.5」が広がった去年7月~9月に、9都県11医療機関でコロナの疑いで入院した16歳以上の789人について、ワクチン接種歴や検査結果、症状などを調べた。先月、厚労省の専門家会合で示された結果によると、新型コロナで入院した人が重症化する割合について分析すると、ワクチンを2回接種した人では、接種していない人と比較して16.3%、3回接種した人で56.9%、4回接種した人で78.2%低かったという。
また別の分析で、入院に至った割合については、2回接種した人で58.2%、3回接種で72.8%、4回接種で84.8%低くなっていた。今回、分析した期間に接種されていたのはほとんどが従来型ワクチン。研究グループは接種回数が多いほど有効性が高まる傾向が見られたとする。同大学の前田特任研究員は「従来型ワクチンでもBA.5に対して重症化予防などで有効だった。2回や3回目で接種が終わり時間がたっている場合、若い人でも追加接種は推奨できる」と話す。
【3月7日】
●「内閣感染症危機管理統括庁」設置の改正案 衆議院で審議入り
内閣法などの改正案は、7日の衆議院本会議で審議入りした。感染症対策を強化するため、総合調整などの司令塔機能を担う「内閣感染症危機管理統括庁」を内閣官房に新たに設置し、トップに「内閣感染症危機管理監」を置いて官房副長官を充てる。また、感染症の発生や蔓延の初期段階から迅速・的確に対応できるよう、首相による都道府県知事などへの指示権を、政府対策本部を設置した段階で使えるようにすることも盛り込まれている。
●ワクチンの接種、重症化予防軸足 新年度5月8日から
新型コロナの新年度のワクチン接種について、厚労省は7日、65歳以上の高齢者らを対象にした接種を5月8日から始めることを決めた。全額公費負担の「臨時接種」は来年3月末まで継続し、高齢者だけでなく生後6カ月以上のすべての接種希望者が、1年間は無料で接種できる。同日開かれた厚労省の専門家分科会で方針が正式に了承された。ワクチン接種の目的は、発症予防よりも重症化予防に軸足が置かれる。
新年度の接種は5月からと9月からの2回。高齢者や基礎疾患があるなど重症化リスクの高い人たち、こうした人に接する機会が多い医療機関や高齢者・障害者施設などの従事者は2回接種する。それ以外の人は5月は対象とならず、9月からの1回接種となる。また、5~11歳を対象にしたオミクロン株対応ワクチンの接種は、3月8日から始めることも決まった。中国・武漢由来の従来型ワクチンを2回以上接種した人への追加接種で使う。
●秋冬 若い世代、ワクチン検討を
この春以降の新型コロナワクチン接種について、厚労省は「感染による重症者を減らすこと」を第一目的に掲げた。オミクロン株が主流となってワクチンを繰り返しうっても感染は十分に防げなくなった一方、重症化を避ける効果は比較的長く続くことが明らかになってきた。
ワクチンに詳しい北里大の中山特任教授は「2年ほどたち、mRNAワクチンの限界が見えてきた。その代表が、感染・発症予防効果の早期の減衰」。重症化リスクのない、比較的若い世代の人たちはこの秋冬、「BA.4および5対応の2価ワクチンをうったことのない人には、接種をすすめたい」と話す。
【3月8日】
●5類移行後の診療報酬の特例措置見直し案 厚労省
政府は、5月8日に「5類」に移行したあとの医療費の負担や医療体制について検討を進めていて、厚労省は、医療機関に支払われる診療報酬の見直し案を、8日の中医協(中央社会保険医療協議会)に提示した。それによると、医療提供体制を維持するために設けられていた「発熱外来」であることを公表した場合の加算を廃止するほか、新型コロナの重症者などを入院させた際の加算も縮小するとしている。
一方で、一般の医療機関でも入院の受け入れや診察ができることになるため、医療機関内の感染防止対策への加算は維持するほか、これまで自治体が主に担ってきた入院調整の業務が想定されるとして、調整を行った場合の診療報酬を新たに設ける。このほか去年、承認された新型コロナの飲み薬「ゾコーバ」を保険適用の対象とする。治療1回当たりの薬の価格はおよそ5万1850円で現在は無料だが、公費負担が終了すれば、3割負担で1万5千円余りとなる。
●新規感染者数「一部で増加傾向可能性に注意」 専門家組織
厚労省の専門家会合が8日に開かれ、現在の感染状況について全国で減少傾向が続き、感染の第7波が始まる前の去年夏の水準を下回る状況になっている。重症者数や亡くなる人の数も減少傾向が続いているとしている。今後の感染状況について専門家組織は、全国的には横ばいの傾向が続くと見込まれる一方で、年度替わりの行事などを通じて一部の地域では今月末にかけて増加傾向に転じる可能性があるという。
また、4つの県では今週は前の週より増加傾向になっていて、この傾向が続くかどうか注意が必要で、さらにより免疫を逃れやすいとされる変異ウイルスの動向を監視し続けることが必要。季節性のインフルについては全国で前の週と比べて若干減少していて、例年の傾向を踏まえると減少傾向が続くと見込まれるものの、引き続き注意が必要だとしている。
●1週間の新規感染者数、前週比0.81倍 一部で増加も
厚労省の専門家組織の会合で示された資料によると、7日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて0.81倍と減少傾向が続いている一方、一部の地域では増加に転じている。首都圏の1都3県では、東京都が0.89倍、神奈川県が0.79倍、埼玉県が0.85倍、千葉県が0.87倍と減少が続いている。一方で、鳥取県が1.11倍、宮崎県が1.08倍、秋田県と沖縄県が1.03倍と4つの県で増加に転じている。
人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、鳥取県が140.58人と全国で最も多く、次いで島根県が126.80人、徳島県が105.62人となっていて、全国では56.65人となっている。
●医療機関などの感染対策 新たな考え方
8日の専門家会合では、メンバーらがまとめた「5類」移行にあわせた、医療機関や高齢者施設での感染対策についての新たな考え方を示した文書が提出された。この文書では、新型コロナが「5類」移行後も流行が繰り返し起きることが想定されるとし、病気の人や高齢者など、重症化リスクの高い人が集まる医療機関や高齢者施設では、施設内で感染が広がらないよう感染対策を続けることが求められるとし、必要な対策を一問一答の形式で示している。
●「5類」に変更後、身近な感染対策
新型コロナの感染症法上の位置づけがことし5月に「5類」に変更されたあとでも求められる身近な感染対策について、厚労省の専門家組織のメンバーらが新たな見解をまとめ、「5つの基本」として示した。身近な感染対策については最初の「緊急事態宣言」が出されていた2020年5月に当時の政府の専門家会議が「新しい生活様式」を示していたが、今回はこれを抜本的に改めている。
新たにまとめた「5つの基本」は、▼体調不安や症状があるときは自宅で療養するか医療機関を受診すること、▼その場に応じたマスクの着用やせきエチケットの実施、▼3密を避けることと換気、▼手洗い、▼適度な運動と食事。
「5つの基本」 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
●人手不足の観光業界が合同就職面接会 急速に需要回復 東京
コロナ禍から旅行需要が急速に回復する中、観光業界で人手不足に悩む企業が相次いでいるとして、東京都が「合同就職面接会」を開いた。初日の8日は、バス会社やホテルの運営会社など30社余りが参加。都によると、観光業界では人手不足による影響が広がっていて、参加した企業の中には、客室をおよそ7割しか稼働できないというホテルの運営会社も出ている。企業の担当者は、仕事を求めて訪れた人に働きやすさなどをアピールしていた。
【3月9日】
●「パンデミック」3年、続く変異 終息なお見えず
新型コロナ感染症について、世界保健機関(WHO)が世界的な流行を意味する「パンデミック」の状態と認定してから、11日で3年となる。最近は大規模な感染拡大は見られず、日本でも対策の緩和が続く。ただ新たな変異株の登場は続いており、このまま終息に至るのか、先行きは不透明。WHOのまとめによると、2020年1月に新型コロナの出現が報告されて以来、今年3月5日までに世界でおよそ7億6千万人が感染し、約687万人が亡くなった。
WHOの委員会は今年1月、「パンデミックは『移行期』にある」との見方を示した。最も深刻な段階から、世界的なリスクが下がる段階に移りつつあるとの認識。とはいえ、いまでは各国とも感染者数の細かい算定をやめており、正確な実態は分からなくなっている。必要とする世界の人々にワクチンや治療薬が十分行き渡っているとも言えない状況だ。
●JR東海、列車内などでのマスク着用呼びかけ 13日以降取りやめへ
JR東海はこれまで新幹線や在来線の車内と駅の構内で、マスク着用などを呼びかけるアナウンスをしてきたが、政府の方針を踏まえて今月13日以降、混雑時間帯を含め、こうした呼びかけをやめることになった。また、13日以降は新幹線や在来線の特急で、座席を回転させて向かい合わせで座ることも認める方針。一方、接客にあたる窓口の駅員や列車の乗務員は引き続きマスクを着用するという。
●東京ディズニーランドなどでのマスク、13日以降は個人の判断に
東京ディズニーランドと東京ディズニーシーは、今月13日から園内でのマスクの着用について来園者、従業員ともに個人の判断に委ねる。そのうえで、人と人との間で一定の距離を確保するなど基本的な感染対策を、引き続き協力を求めることにしている。一方、大阪のUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)は、今月13日以降、来園者のマスクの着用は個人の判断に委ねる方針をすでに決めている。園内で働く従業員は、当面マスクの着用を続ける。
● マスク緩和、少しずつ 「客が個人判断」「従業員は当面着用」 慎重な業界も
13日からマスク着用が個人判断に委ねられることを受け、消費の現場では顧客に対する着用呼びかけをやめるといった運用指針が相次いでいる。鉄道・バス、航空などは、これまでのマスク着用に関する放送をやめる。ただ、政府方針では通勤ラッシュ時など混雑する電車内では着用が推奨されており、混雑時間帯の会話や大声を出す乗客に配慮を求める場合があるという。接客現場の従業員については、大手百貨店など引き続きマスクの着用を求めるところも多い。
一方、顧客にも引き続きマスクの着用を求めるところもある。歌舞伎座などで劇場内ではマスクの着用を推奨。美容室では、施術時に顧客と美容師との距離が近くならざるを得ず、来店客に着用をお願いする所もある。ただ、政府は高齢者などへの配慮は引き続き必要としており、着用ルールの緩和に慎重な業界も一部に残る。社会全体での「脱マスク」にはまだ時間がかかりそう。
●東京・上野公園など都立公園 飲食伴う花見が4年ぶり可能に
新型コロナの影響で自粛が求められていた東京・台東区の上野公園などの都立公園での飲食を伴う花見が4年ぶりにできるようになった。都によると、上野公園のメインの「さくら通り」については、混雑を避けるため花見期間となっている今月13日から来月16日までは引き続き自粛を求めるという。
●ライオン2頭コロナ感染後死ぬ 和歌山・白浜
和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドは9日、飼育していたライオン23頭のうち1月9日に19歳のオス、12日に21歳のメスが死亡、死後の検査でコロナ感染が判明した。ほかにも咳などの症状がみられたライオンがいたため、全頭に検査を実施した。同時期にライオンの飼育員が新型コロナに感染していたことから、飼育員からライオンに感染したとみている。死んだ2頭は高齢で、感染後に肺炎を発症したとみられる。国内の動物園から感染報告は初めて。
【3月10日】
●5類移行後の医療費負担や医療体制、見直し方針公表
厚労省は10日、「5類」へ移行後の医療費負担や医療提供体制について、具体的方針を明らかにした。現在は窓口負担が無料となっている医療費のうち、検査や陽性が判明したあとの外来診療の費用は、自己負担とする。ただ、急激な負担増加を避けるため、高額な治療薬は引き続き公費で無料とし、入院費は、原則として自己負担を求めるものの、月に最大2万円を軽減する措置を設ける。これらの措置はそれぞれ9月末までと、その後感染状況などを踏まえ検討する。
一方、幅広い医療機関で受診ができる体制を目指して、来年4月までに段階的に移行を進めていく。具体的には、外来診療は季節性インフル検査をシーズン中に1人でも行った全国のおよそ6万4千の医療機関の受け入れを目指し、入院はおよそ8200あるすべての病院で受け入れを目指す。また医療機関に支払われる診療報酬は、入院に加算していた特例措置を縮小する。入院調整については医療機関の間で行う仕組みに段階的に移行する。
●ワクチン接種後の死亡で初の認定 因果関係「否定できず」
厚労省の専門家部会は10日、去年11月に「BA.5」対応ファイザーワクチンで4回目接種後に死亡した42歳女性は、ワクチン接種と死亡との因果関係が「否定できない」と評価した。「副反応疑い報告制度」は、新型コロナワクチンの安全性を監視するため、副反応が疑われる場合は医療機関などが国に報告、PMDA(医薬品医療機器総合機構)が評価する 。この制度での死亡例はおよそ2千件、ほとんどが評価不能とされ、因果関係が「否定できない」は今回が初めて。
一方、本人や家族の申し立てにもとづいて医療費や死亡一時金などの支給を決める「健康被害救済制度」もあり、死亡との因果関係が「否定できない」として死亡一時金が認定された例は30件ある。厚労省によると、この制度は「副反応疑い報告制度」と比べて、厳密な因果関係を必要としないなどの違いがあり、「副反応疑い報告制度」で「評価できない」とされた例でも、認定される場合がある。
●業界2割、マスク着用継続 医療や競技団体など 政府、指針見直し状況調査
マスク着用について政府は10日、業界団体ごとのガイドライン(指針)の見直し状況を発表した。2割弱の団体が、従業員らに引き続き着用を求めるとしている。指針は政府の要請を受けて195の業界団体が作った。このうちクラシック音楽やエステなどの18団体は着用の対象を従業員のみとする。16団体は従業員と利用者の双方に着用を求める。日本医師会や日本歯科医師会のほか、バスケットとバレーなどのリーグは屋内観客にも着用を要望する。
スーパーやコンビニなどの小売り、外食、プロ野球、プロサッカー、葬儀など153団体は各事業者に委ねる。8団体は9日時点で見直し作業中という。一方、新型コロナが5月8日に感染症法上の分類で「5類」に引き下げられると、これまでの指針を維持するかどうかは業界団体が判断することになる。オフィスなどのガイドラインを作っている経団連は、廃止する方針だ。
【3月12日】
●世界の感染状況まとめてきた米大学、コロナ特設サイト更新終了
米国のジョンズ・ホプキンス大学は、特設サイトを2020年1月に立ち上げ、新型コロナの発生状況や死者数などの世界中の最新データを、国や地域ごとにまとめて発信してきた。サイトはインターネット上で公開された各国政府の情報を自動的に収集するなどしてデータの更新を続け、日本や海外のメディアが世界の感染状況を伝えるのに利用するなど、さまざまな形で活用されてきた。
しかし、最近になり、リアルタイムに公開される情報が少なくなり、正確なデータの把握が難しくなったとして、現地時間の10日午前8時すぎに最後のデータ更新を行った。今後もこれまで集めたデータは公開するとしている。運営に携わった大学の研究者ブラウアー氏は「更新終了は複雑な気持ちだ。パンデミックはまだ終わっていないが、世界が新型コロナを理解するのに重要な役割を果たせたことを誇りに思っている」と話した。
ジョンズ・ホプキンス大学 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
【3月13日】
●マスク着用、きょうから個人の判断に
新型コロナの感染症法上の位置づけが5月8日に「5類」に移行するのを前に、政府は3月13日からマスクの着用を個人の判断に委ねる。一方で、高齢者などへの感染を防ぐため、医療機関を受診する際などは着用を推奨するとしていて、政府は混乱が生じないように、SNSやテレビCMなども活用して丁寧に周知していく方針。厚労省は「マスクを着用した方がいい場面を示しているので、参考にしてもらいながら、場面に応じて個人で判断してほしい」としている。
●岸田首相、マスク着用せず官邸入り 着脱の考え方を説明する考え
岸田首相は午前8時すぎ、マスクを着用せずに首相官邸に入り、記者団に対し「マスクの着脱は個人の判断に委ねることとなるが、個人の着脱を強制するものではない。私自身、マスクを外す場面が増えると考えている」と述べた。そのうえで「換気が難しい場面や、高齢者施設を訪れる際など重症化リスクの高い方々と接するような場面では着用をお願いするが、より具体的な説明を多くの国民が戸惑わないような形でしっかり発信していくことは重要だ」と述べた。
国会では13日から、政府の方針に合わせてマスクの着用は、個人の判断に委ねられることになった。午前9時過ぎから始まった参議院予算委員会の集中審議では、岸田首相と閣僚がマスクなしで質疑に臨んだ。また、これまで答弁者の前に置かれていたアクリル板も、13日から設置されなくなった。一方、出席した議員の一部や、官僚の多くは、引き続きマスクを着用していた。
●「新型コロナ感染症」 5類移行も法令上の名称変わらず
13日の厚労省の専門家による部会で、新型コロナが5月8日に「5類」に移行したあとの法令上の名称などについて議論が行われ、当面は今の「新型コロナウイルス感染症」を継続して使用する方針を決めた。法令上の名称について厚労省は、これまで感染症法上の位置づけが5類に移行することに合わせて「コロナウイルス感染症2019」とする案も含め、見直しの検討を進めていた。
新型コロナは現在、感染症法で「1類」~「5類」とは別の「新型インフルエンザ等感染症」に含まれる「新型コロナウイルス感染症」として規定されている。しかし、名称を変更すると「今後、感染対策は行わなくてよくなった」などと国民に誤った印象を与えかねないという意見が専門家などから寄せられたため、現在の名称を継続すべきと判断した。一方で、将来的にウイルスが弱毒化するなど特性が変化すれば、名称を見直す方針も了承された。
●抗体保有、全国で45%
新型コロナに自然感染した後にのみできる抗体の保有率が、2月時点で全国で42.3%(速報値)に上ったことがわかった。厚労省が13日の感染症部会で公表した。欧米と比べ低水準だが、昨年11月の28.6%(確定値)から大幅に上がった。地域差も大きく、福岡、沖縄両県で6割弱、岩手県で3割弱だった。抗体保有率の調査は、2月19~27日に全国で献血をした1万3121人を対象に行った。
【3月14日】
●ワクチン接種後死亡の11人に一時金支給 因果関係否定できず
新型コロナのワクチンを接種後に死亡した人について、予防接種法に基づく 「健康被害救済制度」で国が認定した場合には死亡一時金が支給されるが、これまでに20代~90代の男女30人が認められている。厚労省は14日、接種後にうっ血性心不全や脳梗塞、突然死などで亡くなった52歳~83歳の男女11人ついて、新たに救済対象とすることを決めた。このうち7人は高血圧症や糖尿病などの基礎疾患があった。死亡一時金の支給が認められたのはこれで41人となった。
●東京都医師会会長、「マスクは必要に応じて着用することが大事」
東京都医師会の尾崎会長は14日の定例会見で、新型コロナ対策としてのマスクの着用が13日から個人の判断に委ねられたことについて「マスクはいるかいらないかではなく、必要に応じて着用することが大事だ」と述べた。また、新型コロナが5月8日に「5類」へ移行することについて、「新型コロナはなくなったわけではない。今後は重症化しやすい高齢者をどうやって見極めるかが大事になる」と述べた。
「5類」に移行したあとの医療提供体制について、「コロナは発熱などの症状がでる前に感染力をもっていて、インフルと同じように診られるかというと難しい医療機関もあると思う。その場合は地域で連携することで発熱症状のある患者が放置されないようにしたい」と述べた。
●児童・生徒、自殺最多514人 昨年コロナ禍以降3年で3割増
2022年の自殺者数(確定値)は2万1881人で、2年ぶりに増加した。厚労省が14日に公表した。また児童・生徒(小中高校生)の自殺者数は統計のある1980年以来、過去最多の514人になった。コロナ禍以降、顕著な増加がみられ、この3年間で3割増えた。男子高校生が全体の4割を占めた。自殺の原因や動機は、小中高いずれも「学校問題」が最多。具体的には「学業」「進路」のほか「学友」が目立った。
自殺者数の全体では、男性が1万4746人(前年比807人増)、女性が7135人(同67人増)でいずれも増えた。男性は2009年以来の増加。女性は3年連続増。年代では50代が4093人(18.7%)と最も多かった。原因や動機は、「健康問題」が最も多く、「家庭問題」、「経済・生活問題」と続く。自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)は全体で17.5。都道府県別では山梨が24.7で最も高く、秋田23.7、宮崎22.7と続いた。
【3月15日】
●中国政府、観光ビザ3年ぶりの再開を発表
中国外務省の汪報道官は14日の記者会見で、観光を含むあらゆるビザの申請を15日から再開すると発表。中国政府は、2020年3月以降、外交官などを除いて外国人の入国を停止させる措置をとっていたが、その後、ビジネスや留学などを目的としたビザの発給は段階的に再開してきた。観光ビザの発給再開は3年ぶり。中国政府としては海外との往来を活発にして「ゼロコロナ」政策の影響などで停滞した経済を立て直す狙いがあるとみられる。
ただ旅行や出張などで中国を訪れる日本人がこれまで多く利用してきた15日以内の短期滞在に限ってビザが免除される措置については停止されたまま。一方、中国人の海外への団体旅行も徐々に再開していて、先月、20か国を対象に解禁したのに続いて、15日からはさらに40か国増やして60か国に拡大される、この中に日本は含まれていない。
●東京都、2人死亡 816人感染確認 前週より110人減
厚労省は15日、都内で新たに816人が新型コロナに感染していることを確認したと発表した。1週間前の水曜日より110人減った。また、人工呼吸器かECMOを使っている重症の患者は14日より1人減って7人。一方、感染が確認された2人が死亡した。
3月15日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
●国内、61人死亡 9552人感染
厚労省によると、15日に発表した国内の新たな感染者は空港の検疫などを含め9552人となっている。前週の水曜日に比べ2254人減った。また、国内で亡くなった人は、兵庫県で7人、大阪府6人、埼玉県4人、福岡県4人で、全国合わせて61人。また、感染が確認された人で人工呼吸器やECMOをつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、15日時点で119人。14日と比べて4人増えた。
以下は3月15日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
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