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2023年2月の3件の投稿

2023年2月27日 (月)

新型コロナ2023.02 マスク緩和へ

 政府は1月27日、新型コロナの感染症法上の分類を5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げることを決めた。または2月10日、マスクの着用について3月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねるとした上で、高齢者施設の訪問や医療機関を受診する際や通勤ラッシュ時といった混雑した電車やバスに乗る際などには、マスクの着用を推奨するなどとした方針を決定した。

 2023年2月1日から15日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2023.01 5類移行へ」の続き。なお、感染者数・重症者数・死者数のデータは、厚労省の発表と都道府県などの発表とで異なる場合があり、特に死者数は厚労省のデータを採用しています。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】

【2月1日】

●全国で新たに5万5013人が感染 前週より約2万3千人減

 国内感染者は1日、新たに5万5013人が確認された。前週の同じ曜日より2万3788人少なかった。全国で発表された死者は265人。都道府県別の新規感染者は東京都の4012人が最多で、愛知県3586人、大阪府3490人と続いた。死者数は愛知県の30人が最多。東京都では、1週間前の水曜日より1922人減った。前の週の同じ曜日を下回るのは15日連続。人工呼吸器かECMO(人工心肺装置)を使っている重症の患者は1月31日より2人増えて34人。感染が確認された19人が死亡した。

【2月2日】

●東京都 コロナ 医療提供警戒レベル 最も深刻から1段引き下げ

 東京都は2日、新型コロナの感染状況と医療提供体制について、専門家によるモニタリング項目の分析結果を公表した。新規感染者数の7日間平均は3999人と、前回に比べ2000人程度減少したが、「十分に下がりきらない状況から再び増加に転じないように、引き続き感染防止対策を徹底する必要がある」として、感染状況の警戒レベルは上から2番目を維持した。

 また1日時点で入院患者数は、前回の先月25日時点に比べて663人少ない、3161人だった。一方、専用の病床使用率は45.5%と、確保病床数が減ったため、前回に比べて3.5ポイント上昇した。専門家は「入院患者数は継続して減少しているが、救急医療の逼迫は継続しており、通常の医療体制はいまだ影響を受けている」と分析し、4段階ある警戒レベルのうち、医療提供体制については、最も深刻なレベルから1段引き下げたものの、上から2番目。

●卒業式マスク着用 発言揺れた文科省相 「家庭で判断」→ 「未決定」

 今春の卒業式でのマスク着用をめぐり、永岡文科相は2日午前の衆院予算委員会の立憲民主党の柚木氏の質問への答弁で、「マスクを外すとご家庭で決められた方は、マスクを外しての参加になろうかと思う」と述べ、卒業式でのマスク着用は家庭や個人の判断とする考えを示した。だが、同日午後になって報道陣の取材に「卒業式のマスクの取り扱いについて決めたという事実はない」と釈明。取り扱いを速やかに検討するとした。

 永岡氏は、政府が1月27日、新型コロナの感染症法上の分類を5月8日に「5類」に引き下げることを決め、マスク着用については原則として個人の判断にゆだねる方針を示したことに言及。予算委での発言は、この政府方針を説明したもので、卒業式でのマスクの扱いは決まっていないと釈明。予算委での発言の修正ではないとも説明した。

●「田辺三菱製薬」 新型コロナワクチン事業から撤退を発表

 田辺三菱製薬では、カナダにある子会社の「メディカゴ」が、英国の製薬会社と共同で開発した新型コロナのワクチンが現地で承認され、日本国内でも臨床試験を進めていた。しかし、ほかの製薬会社が開発したワクチンがすでに普及していることや、大量生産するための体制づくりに課題があるとして、ワクチンの開発から撤退しこの子会社のすべての事業を清算すると3日発表した。

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 開発を進めていたワクチンは、成長が早いタバコ属の植物にウイルスの遺伝子を組み込み、葉の細胞から粒子を抽出する手法で作られていて、2~8℃の温度で保存できるため、運びやすいメリットがあるとされていた。国内の製薬会社が開発を進める新型コロナのワクチンは、塩野義製薬と第一三共がそれぞれ国に承認を求める申請を行っていて、対応が分かれるかたちとなった

●大学病院の院長らの団体「5類移行後も財政支援継続を」

 5月8日に新型コロナが「5類」に移行したあとの医療提供体制について、国は一般の医療機関でも入院や診察に対応する体制に段階的に移行する方針で、財政支援などの措置についても見直しが検討されている。これについて、大学病院の院長などで作る団体が3日、厚労省を訪れ、要望書を提出した。新型コロナの診療は通常よりも人手や時間、物資が必要なほか、高齢者など重症化リスクの高い患者を受け入れる病院では院内での感染対策が今後も必要だとしている。

 そのうえで、適切な医療を提供するため、入院の受け入れや外来診療、看護師の増員などに対する診療報酬の加算のほか、病床確保の費用など、財政支援を継続するよう求めている。「全国医学部長病院長会議」の横手会長は、記者会見で「これまでの財政支援はコロナ診療だけでなく通常診療にも大きく貢献している。患者を地域で守るためにも継続してほしい」と述べた。

【2月3日】

●米IT大手、減速鮮明 コロナ下の急成長、景気不安で鈍化

 コロナ下のデジタル化で急成長してきた米IT大手の減速が鮮明になった。世界的な物価高や主要国の利上げで景気後退の懸念が広がるなか、人員削減を進め、効率化を急ぐ。2日出そろった米IT大手5社の2022年10~12月決算では、アップルの売上高が前年同期比5%減で、2019年1~3月期以来約4年ぶりの減収。中国のゼロコロナ政策で工場が停止に追い込まれ、最新のiPhone14の生産に影響が出た。純利益は13%減で、約3年半ぶりの落ち込みとなった。

 米IT大手はこの数年で人員を大幅に増やしてきたが、感染状況が一服したことで需要が減退。景気後退への懸念も加わり昨年に入り業績の伸びが鈍化。各社とも大幅な人員削減を強いられている。グーグル、アマゾン、メタ(旧FB)、マイクロソフト(MS)の4社が昨年11月以降発表した人員削減は合計5万人を超えた。

●インフル全国で「注意報」1〜9歳の入院目立つ
 
 厚労省は3日、季節性インフルエンザの流行が全国で「注意報」レベルになったと発表した。全国約5千カ所の定点医療機関から報告された直近1週間(1月23~29日)の患者数は、1医療機関あたり10.36人で、注意報レベルの10人を超えた。3年ぶりにインフルの流行が広がっており、厚労省は注意を呼びかけている。

 都道府県別では、沖縄県が41.23人、福井県25.38人、大阪府24.34人。注意報レベルを超えたのは16府県だが、10人を超えるのを待たずに注意報を出している自治体もある。約500の定点医療機関からの入院報告では、1月だけで705人が入院。特に1~9歳が多く、子どもの入院が目立っている。 インフルは昨年末に全国で3年ぶりに流行入りした。新型コロナの感染者もまだ多く、厚労省は感染対策や、コロナやインフルのワクチン接種を呼びかけている。

●集団感染3年 検証訴え クルーズ船乗客

 3年前に新型コロナ集団感染が起きた大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で亡くなった乗客13人を追悼する式典が3日、横浜港の大黒埠頭であった。船では当時、乗客乗員3711人のうち、712人の感染が確認。船は2020年2月3日、横浜港に到着。前日に香港で下船した男性客の感染が判明。船内で検査を進めたところ、ほかにも感染者がわかり、乗客は5日から客室に隔離が続き、乗客乗員全員の下船が完了したのは3月1日だった。

【2月4日】

●新型コロナ 新規感染者の6割余が「XBB.1.5」 米CDC発表

 米国のCDCは今月4日までの1週間に、国内で新型コロナに新たに感染した人のうち、66.4%がオミクロン株の「XBB.1.5」に感染しているとする推計を発表した。前の週の55.9%と比べると10ポイントあまりの増加となり、去年12月以降、米国での拡大が続いている。一方、米国で新たに報告された感染者の数は、今月1日の時点で一日平均およそ4万人と4週連続で減少傾向を示しているが、この中に検査キットを使って自分で調べたケースは含まれていない。

 また新たに入院する患者の数は、1月31日の時点で一日平均およそ3900人、死者の数は2月1日の時点で一日平均およそ490人で、いずれも1月中旬以降は、おおむね減少する傾向を示している。「XBB.1.5」について、WHOは感染した場合の重症度が上がっているという兆候は、今の段階では見られないとする一方、世界的な感染者数の増加につながる可能性があると指摘している。

【2月5日】

●全国で新たに3万2143人が感染 死者は109人確認

 国内感染者は5日、新たに3万2143人が確認された。前週の同じ曜日より1万2162人減った。全国で発表された死者は109人だった。都道府県別の新規感染者数は、東京都の2287人が最多で、大阪府2142人、愛知県2014人、神奈川県1812人と続いた。東京都では、1週間前の日曜日より1140人減った。前の週の同じ曜日を下回るのは19日連続。また、人工呼吸器かECMOを使っている重症の患者は、4日より4人増えて38人。一方、感染が確認された18人が死亡した。

 2月5日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【2月6日】

●中国、国外への団体旅行を一部解禁 中国各地の空港にツアー客

 中国政府は、国外への団体旅行について、新型コロナの感染が最初に拡大した3年前の2020年1月以降、国内の旅行会社に対して制限してきたが6日、解禁した。ただ、行き先はタイやインドネシア、ロシアなど20か国に限られ、日本は含まれていない。今回の措置を受けて中国の旅行各社は国外旅行の商品の拡充を進めていて、このうち広州にある旅行会社では今月、タイやカンボジアなど6か国の団体旅行を企画し、いずれも満員だという。

【2月7日】

●「内閣感染症危機管理統括庁」設置への改正法案を閣議決定

 感染症による危機に備え政府は7日、一元的に対策を行うための司令塔として「内閣感染症危機管理統括庁」を設置するとした内閣法などの改正案を閣議で決定した。今の国会で、改正案の成立を図り、ことし秋ごろの発足を目指す方針。改正案では、感染症対策の企画・立案や総合調整などを一元的に行うための司令塔として「内閣感染症危機管理統括庁」を内閣官房に新たに設置するとしている。トップには「内閣感染症危機管理監」を置き、官房副長官を充てる。

 「感染症危機管理統括庁」では、ふだん、38人の専従職員が、訓練や各府省の準備状況の点検などを担う一方、緊急時には、態勢を101人に拡充して対応に当たることが想定されている。また、改正案には、感染症の発生や蔓延の初期段階から迅速・的確に対応できるよう、現在は、「緊急事態宣言」などが出された時に限られている首相による都道府県知事などへの指示権を、政府対策本部を設置した段階で使えるようにすることも盛り込んでいる。

【2月8日】

●「マスクしないこともありうる」 卒業式・入学式めぐり専門家見解

 厚労省に新型コロナ対策を助言する専門家らは8日、学校の卒業式や入学式でのマスク着用について、参列者同士が距離を空けることなどに配慮した上で「着用しないことも考慮されうる」とする見解を示した。一方、マスクの有効性についても科学的根拠をまとめ、「感染リスクは0.76倍に低下する」などと示した。

 政府はマスク着用について、5類に引き下げる5月8日より前に「個人の判断」に切り替える方針。ただ、学校の卒業式ではさらに早く外せるようにすることを検討中で、専門家に見解を示すよう求めていた。見解は、学校で全員がマスクを着用すれば「感染リスクを減らす効果」が報告されているとした一方で、「一生に一度の行事では外したい気持ちも理解できる」「流行が落ち着いた状況では参列者が着用しなくてもよいことも考慮されうる」とした。

●新型コロナワクチン、「秋から冬」に次の接種 基本方針まとまる

 新型コロナのワクチン接種は、蔓延を予防するために緊急の必要があるとして「特例臨時接種」との位置づけで、無料での接種がことし3月末までを期限に行われている。8日は厚労省の専門家による部会で、来年度以降の接種の在り方について基本方針が取りまとめられた。この中では、重症者を減らすことを目的に高齢者など重症化リスクが高い人を第一の対象とし、それ以外のすべての世代に対して接種の機会を確保することが望ましいとしている。

 また、接種の時期については、これまで年末年始に比較的多くの死者を伴う感染拡大があったことなどから、秋から冬に次の接種を行うべきだとしている。今後の感染拡大や変異株の状況などを踏まえ、重症化リスクの高い人のほか、重症化リスクの高い人に頻繁に接する人には追加して接種を行う必要性にも留意するとしている。厚労省は今後、今の「特例臨時接種」を継続するかについて、来月にも方針を示すことにしている。

●コロナ感染示す抗体、東京や大阪で約3割の人に 大幅に増加

 厚労省は「第8波」の去年11月~12月に、5都府県で合わせて8000人余りを対象に抗体の保有率を調査し、速報値を8日の専門家組織の会合で示した。新型コロナに感染した場合にだけ得られるタイプの抗体保有率は東京都28.2%、大阪府28.8%と、それぞれ前回の調査のおよそ5倍。また、宮城県17.6%、愛知県26.5%、福岡県27.1%で、前回のおよそ9倍~12倍。5都府県ともに去年の間に大幅に増加し、人口に占める累計感染者数の割合と同程度だったという。

 またワクチン接種でも得られるタイプの抗体保有率は、いずれの地域でも97%以上。厚労省は必ずしも感染や発症の予防効果を示すものではないとしている。脇田座長は、「今回の調査では東京や大阪に比べて人口規模の小さい地域でも抗体の保有率が大きく上昇していた。日本の抗体保有率は欧米に比べて低く、今後、感染対策を安易に緩和すれば日本では感染拡大しやすく、重症者や死亡者数の増加につながる恐れがある」と話している。

【2月9日】

●感染者、5月8日から定点把握

 新型コロナの感染動向の把握方法をめぐり、厚労省は9日、感染症法上の「5類」に移行する5月8日から、特定の医療機関に週1回患者数を報告させる「定点把握」に移行する方針を決めた。現在は感染症法などに基づき患者を全数把握しているが、今後は日々の感染者数の集計や発表もなくなり、感染動向を週1回公表する。9日の感染症部会で専門家らが議論した。「定点把握」は、季節性インフルなどの流行を把握するために用いられている仕組み。

 新型コロナでも5類に移行後、全国約5千カ所のインフル定点医療機関が毎週、患者数や年代、性別などを自治体に報告するのを基本とする。国立感染研が週1回、報告数を公表することになる。ただ、専門家からは「注意報」や「警報」のように国民の対策につながる指標も検討すべきだとの意見が出た。インフルでは全国の推計患者数も公表しており、厚労省は今後、具体的な公表内容を検討する。

【2月10日】

●マスク緩和、来月13日 卒業式・新学期 着用求めず

 政府は、10日夕方、新型コロナ対策本部を持ち回りの形式で行った。そして、マスクの着用について、来月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねるとした上で、高齢者施設の訪問や医療機関を受診する際や通勤ラッシュ時といった混雑した電車やバスに乗る際(高速バスやタクシーなどは対象外)などには、マスクの着用を推奨するなどとした方針を決定した。業界団体ごとにつくる感染対策ガイドラインも3月13日までに変更してもらう。

 文科省は10日、学校の授業などは4月1日以降、基本的にマスク着用を求めないとする通知を各地の教育委員会に出した。3月末までは従来通りマスク着用を求める。卒業式では校歌などを歌ったり、生徒らが呼びかけをしたりするときを除き、教職員と児童・生徒は着けないことを基本にすると明記した。基礎疾患などの事情でマスク着用を希望したり、健康上の理由でマスクを着けられない児童生徒もいるとして、着脱を強制しないようにする。

 マスク着用の効果的な場面 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【2月11日】

●米国、「XBB.1.5」新規感染者の7割余に CDC推計

 米国のCDC(米国疾病対策センター)は今月11日までの1週間に、国内で新型コロナに新たに感染した人のうち、74.7%がオミクロン株の「XBB.1.5」に感染しているとする推計を10日、発表した。前の週の65.9%と比べるとおよそ9ポイントの増加となり、去年12月以降、米国での感染拡大が続いている。一方、米国で新たに報告された感染者の数は、今月8日の時点で1日平均およそ4万人と先月中旬以降、減少傾向を示している。

 また、新たに入院する患者の数は、今月7日の時点で1日平均3600人余り、死者の数は、今月8日の時点で1日平均およそ450人で、いずれも先月中旬以降は、おおむね減少する傾向にある。「XBB.1.5」について、CDCは最新のワクチンを追加接種すれば、症状が出るのを抑える一定の効果があると分析し、接種を呼びかけている。

●全国で新たに2万7371人が感染 死者は181人確認

 厚労省によると、国内感染者は11日、新たに2万7371人が確認。前週の同じ曜日(4日)と比べ、1万1240人減った。全国で発表された死者は181人。都道府県別の新規感染者数が最多だったのは大阪府の1916人。次いで愛知県1802人、東京都1752人。東京都では、週間前の土曜日より1240人減った。前の週の同じ曜日を下回るのは25日連続。人工呼吸器かECMOを使っている重症の患者は昨日より8人減って22人、14人が死亡した。

 2月11日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【2月13日】

●オミクロン株対応ワクチン 国内接種率42.9%

 政府が13日に公表した最新状況では、オミクロン株対応ワクチンの接種を受けた人は5406万819人(全人口の42.9%)。このうち、65歳以上の高齢者は2634万人(73.3%)。一方、ワクチン接種を受けた人は、1回目では1億465万人(81.3%)、2回目では1億328万人(80.3%)、3回目では8589万人(68.2%)、4回目では5758万人、5回目では2934万人。 

 また、5歳~11歳の子どもを対象にした従来ワクチンの接種のうち、去年9月から始まった3回目の接種を受けた人は63万3人(8.7%)。1回目を受けた人は175万人(24%)、2回目の接種を受けた人は169万人(23.1%)。このほか、去年10月から始まった生後6か月~4歳の乳幼児を対象にした従来のワクチンの接種で1回目の接種を受けた人は15万人(3.4%)、2回目の接種を受けた人は13万人(2.8%)。

●全国の感染者数 1万人を下回る 約7カ月半ぶり

 厚労省によると、国内感染者は13日、新たに9423人が確認された。1日あたりの感染者数が1万人を下回るのは昨年6月27日(7204人)以来、約7カ月半ぶり。前週の月曜日(6日)の1万5616人から6193人減っており、減少傾向が鮮明となっている。都道府県別の最多は東京都の810人。昨年6月20日(828人)以来、約8カ月ぶりに1千人を下回った12日の799人に続き、2日連続で1千人を下回った。

【2月14日】

●東京都 マスク着用、ラッシュの電車やバスに乗る場合は推奨へ

 新型コロナ対策としてのマスクの着用について、東京都は3月13日から、個人の判断を尊重するものの、重症化リスクの高い人への感染を防ぐため、通勤ラッシュなどで混雑した電車やバスに乗る場合などでは着用を推奨することになった。新型コロナ対策としてのマスクの着用について、東京都は14日に開かれた対策本部会議で、政府の指針を踏まえた、3月13日からの対応をまとめた。

 都は3月13日以降、都民に対し、基本的な感染防止対策を引き続き行ってほしいとしたうえで、マスクの着用については「屋内・屋外を問わず、個人の判断を尊重する」としている。ただ、高齢者など重症化リスクの高い人への感染を防ぐため、医療機関を受診する際や、高齢者施設などを訪れる際、通勤ラッシュなど混雑した電車やバスに乗る際、施設の利用やイベント参加時に事業者から呼びかけられた際は「マスクの着用を推奨する」としている。

●都医師会「屋内でマスク外すなら換気や空気清浄機が必要」

 東京都医師会の尾崎会長は14日の会見で「屋外でマスクの着用は必要ない。ただ、屋内で外すなら、部屋の換気がよくされていることや、ある程度換気が悪くても空気清浄機を置いてウイルスを除去するなど、環境整備が必要」と述べた。また、業界団体ごとのガイドラインの見直しについて「個々人が判断しやすいよう、屋内での換気の状況や空気清浄機の設置など、マスクを外すことができる客観的な根拠を、ガイドラインに盛り込んでほしい」と訴えた。

●検査キット無料配布終了 接種や病棟確保は国次第 東京都「5類」移行で見直し

 東京都は14日、新型コロナ対策として続けてきた無料のPCR検査や濃厚接触者らへの検査キットの無料配布を、5月7日に終えると発表した。感染症法上の分類が5類に引き下げられることに伴う措置。5月8日の5類移行後は、自費でのキット購入・備蓄を呼びかける。また、血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターの貸与や、隔離を目的とした宿泊療養施設の確保なども終える。

 一方、国費で負担されてきたワクチン接種や病床確保については、国の財政支援が続く前提で病床確保料の補助費510億円などを新年度補正予算案に計上した。移行後の国費投入継続を求める要望書も14日に政府へ提出したが、3月上旬に示される政府方針次第で見直す可能性がある。また、高齢者向けの医療支援8施設の運営など、重症化の危険性が比較的高い層への対策は続ける。

【2月15日】

●1月の訪日外国人旅行者149万人 前月比12万人増 水際対策緩和で

 政府観光局によると、先月に日本を訪れた外国人旅行者は、推計で149万7300人と、去年12月と比べて12万人余り増加した。国や地域別では、韓国が56万5200人、台湾が25万9300人、香港が15万1900人で旧正月の影響で、東アジアなどからの旅行者の増加が目立っている。新型コロナの水際対策が徐々に緩和されたことで、去年6月以降、旅行者数は増加傾向が続いているが、感染拡大前の2019年の同じ月と比べると、回復は5割程度となっている。

 政府は「観光立国推進基本計画」の改定に向けた素案の中で、外国人旅行者1人当たりの消費額の目標を、2025年に20万円に引き上げる目標を掲げるなど、人数よりも消費額を重視する方針で、外国人旅行者による経済への波及効果が期待されている。

●新型コロナ「XBB.1.5」に飲み薬の効果確認 研究グループ発表

 免疫の働きを逃れやすいとされる「XBB.1.5」に対して、飲み薬などの効果が確認できたとする実験結果を、東大医科学研究所の河岡特任教授らのグループが発表した。研究グループは、飲み薬の「ラゲブリオ」と「パキロビッド」「ゾコーバ」、それに、点滴の「レムデシビル」を使って、患者から取ったXBB.1.5の増殖を抑えられるか実験した。その結果、ウイルスの増殖を抑える効果は、従来型のウイルスやBA.2に対してと、同程度みられたという。

 ワクチンの効果について、従来型のワクチンを4回接種した人の血液では、XBB.1.5に対する中和抗体の働きは、ほとんど確認できまなかったが、5回目にオミクロン株対応のワクチンを接種した人の血液では、低い水準ながらも中和抗体の働きがみられた。XBB.1.5に対して、オミクロン株対応のワクチンで免疫が高められるほか、抗ウイルス薬は効果があると考えられるとしている。

●全国2万8772人確認 前週比1万2800人減 東京都、29日連続前週比減

 厚労省によると、国内感染者は15日、新たに2万8772人が確認された。前週の水曜日(8日)の4万1572人から1万2800人減った。都道府県別の最多は東京都の1858人。愛知県1814人、大阪府1744人と続いた。東京都は、1週間前の水曜日より754人減った。前週の同じ曜日を下回るのは29日連続。また、人工呼吸器かECMOを使っている重症者は14日より1人減って17人。12人が死亡した。

 以下の図は2月15日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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2023年2月12日 (日)

新型コロナ2023.01 5類移行へ

 1月25日、厚労省の専門家組織の会合で、新型コロナの「第8波」は全国で減少傾向が続き、今後も減少傾向が続くことが見込まれると分析。病床使用率は低下傾向で、亡くなる人の数は高い水準の中でも減少傾向とした。一方、政府は27日、新型コロナの感染症法上の分類を5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げることを決めた。社会経済活動に大きな影響を与えた3年間の「コロナ禍」の政策は大きく転換することになる。

 2023年1月16日から31日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2023.01 死亡急増」の続き。なお、感染者数・重症者数・死者数のデータは、厚労省の発表と都道府県などの発表とで異なる場合があり、特に死者数は厚労省のデータを採用しています。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】

 

【1月16日】

●3府県、死者最多

 国内感染者は16日、新たに5万2623人が確認された。前週の同じ曜日(9日)より4万99人少なかった。16日に発表された死者は計355人。都道府県別の新規感染者が最も多かったのは東京都の4433人で、神奈川県3646人、大阪府3370人、静岡県3132人と続いた。滋賀、京都、大分の3府県で、1日あたりの死者数が最多となった。

【1月17日】

● 中国GDP、3.0% 目標ほど遠く低迷 ゼロコロナ、ひずみ鮮明

 中国政府が17日に発表した2022年の実質成長率は3.0%となり、目標に掲げた「5.5%前後」からはほど遠い数字に低迷した。最大の要因は厳しい移動制限を伴う「ゼロコロナ」政策。同政策が終わったいま、人々は消費や旅行に向かい始めているが、3年近く続いた政策のひずみは深刻。

 中国社会科学院は昨年12月、2023年の成長率が5.1%前後にまで急回復するとの予想を公表した。だが、中国国内の楽観的な見方に対し、国外からは回復に時間がかかるとの見方は少なくない。世界銀行は今月10日、中国の2023年の経済成長率を昨年6月時点から0.9ポイント引き下げて4.3%と予測。理由を「予想よりも長引くコロナ禍による混乱」とした。

●川越えられない、北朝鮮の人々 中国「ゼロコロナ」終了 両国の政策に翻弄され

 中国で感染が広がった2020年1月下旬、北朝鮮は中国との国境を封鎖した。外貨を稼ぐため中国に派遣されていた労働者や貿易関係者らは、北朝鮮との往来ができなくなった。北朝鮮の事情通によると、北朝鮮では中国の「ゼロコロナ」政策が終了したことでウイルスの流入の警戒が強まり、国境地帯の住民には国境の川に近づかないよう指示が出たという。コロナの流行から3年間、帰国を許されていない北朝鮮の人々は、中国、北朝鮮双方のコロナ対策に翻弄されている。

●コロナ類型見直し「環境できてきた」厚労相 移行に「準備期間」

 政府は新型コロナの類型について、季節性インフルエンザと同じ「5類」への移行を念頭に検討を進めている。加藤厚労相は17日の閣議後会見で、専門家組織の有志から段階的に類型を変えるべきだとする見解が示されたこと、また類型を決める同省感染症部会で議論が始まったことに言及。「準備が一つ一つできてきている」と説明した。変更時期については言及は避けたが、新たな医療提供体制などを念頭に「当然、一定の準備期間もいる」と述べた。

●第8波、感染減傾向 専門家組織 死者数なお最高水準

 直近1週間の新規感染者数について、専門家組織は17日、年末年始を除くと2カ月半ぶりの減少傾向になったと分析。ただ、なお死者数は過去最高水準が続いている。今月10~16日の全国の新規感染者数は約90万人で、3~9日の約119万人と比べて0.75倍。先週今週比が1を下回るのは、年末年始を除けば10月26日時点の0.96倍以来となった。

 脇田座長(国立感染研所長)は会見で「まだ年末年始や連休の影響が残っている。ピークアウトするかはもう少し様子を見たい」とした。一方で重症者数と死者数は、なお高い水準。17日発表の死者数は357人で、第7波の最多だった347人を上回った。17日時点の重症者数670人も、第7波で最多だった646人を上回る。第8波の死者が第7波より多い要因について、加藤厚労相は「感染者のうち80代以上の占める割合が昨夏と比べて大きい」と分析した。

●全国旅行支援、地域差あらわ 東京・大阪は独自上乗せ 疑問の声も

 10日に政府の「全国旅行支援」が再開したが、支援には地域差がある。独自に補助を上乗せしている自治体がある一方、対象期間を縮めた県もある。目的は需要の喚起だが、特定の業界に対する支援の長期化に、効果を疑問視する業者もいる。全国旅行支援は、公共交通機関とセットの旅行商品が割り引かれたり(1人1泊5千円、それ以外3千円)、地域で使えるクーポン券が支給されたり(平日2千円、休日千円)する。割引率は12月までの40%から20%になった。

 大阪府は、需要を喚起するため、独自に追加補助をする。1月25日から全国旅行支援と併用できるキャンペーンを始める。東京都も全国旅行支援と併用できる、都民の都内旅行を支援する「もっとTokyo」を独自に続けている。群馬県は2月末までに終え、県独自の財源による「上乗せ」もしていない。担当者は「多額の財源が必要になる。あくまで国の補助金でやる事業だと捉えている」と話す。

●インフルより「後遺症」リスク高い 名古屋工業大

 名古屋工業大学の平田教授らの研究グループは、医療機関を受診したレセプト(診療報酬明細書)の記録をもとに、季節性インフルで医療機関を受診した人(2019年1月から3月)と、第6波(2021年1月~3月)で症状の推移について比較した。 その結果、新型コロナに感染した人はインフルに感染した人と比べ、一定期間たってからも咳や呼吸困難、頭痛などで医療機関の受診に至るリスクが高いことが分かった。

●前週比、死者107人増

 国内感染者は17日、新たに12万9837人が確認された。前週の同じ曜日(10日)より5万5106人多かった。17日に発表された死者は計492人で、同じく107人多かった。

【1月18日】

●去年の外国人旅行者、前年の15倍以上も感染拡大前の約12%

 政府観光局は18日、昨年12月の訪日外国人客が137万人だったと発表した。11月(93万4500人)の約1.5倍となり、2020年2月以来、2年10カ月ぶりに100万人を超えた。去年1年間に日本を訪れた外国人旅行者は推計で383万人余りと、前の年の24万人余りと比べて15倍以上増えた。政府による新型コロナの水際対策の緩和が、本格的に始まった9月から12月の旅行者数が全体の8割近くを占めている。

 国や地域別では韓国が最も多く、101万人余りと全体の3割近く。次いで台湾が33万人余り、米国が32万人余り。ただ、感染拡大前の2019年は全体の3割を占めていた中国からの旅行者はおよそ18万人と少なく、全体の外国人旅行者数も感染拡大前のおよそ12%の水準にとどまっている。

●高齢者施設のクラスターなど減少傾向も依然多い

 厚労省によると、今月15日までの6日間に全国で確認された「高齢者福祉施設」でのクラスターは合わせて712件。前の週の今月9日までの6日間より10件少なく、過去最多となった去年12月25日までの週の954件をピークに減少傾向となっているものの、12月以降は700件を上回る水準が続いている。面会制限など厳しい対策が行われている介護の現場で、依然として逼迫した感染状況となっている。

●8波に加えインフルも流行期 薬不足が深刻な薬局も

 製造上の不正が発覚したジェネリックメーカーへの行政処分が相次ぎ、医薬品の供給不足が続いている。一方で、第8波に加えインフルが全国的に流行期に入り、解熱鎮痛薬やせき止めなどの需要が高まり、一部の医療機関や薬局では入手が難しくなっている。処方箋を受け付けている都内の薬局では、のどの痛み止めなどの薬不足が深刻になっていて、種類を変更したり2回に分けて薬を渡すなどの対応を続けている。

【1月19日】

●世界の旅行者、前年の約2倍に増加 コロナ拡大前比では63%

 UNWTO(国連世界観光機関)が17日発表した報告書によると、去年1年間に旅行で外国を訪れた人の数は世界全体で9億1700万人となり、前年のおよそ2倍に増えた。2019年に比べて63%。地域別に見てみると、万博やサッカーワールドカップなどの大型のイベントが行われた中東は83%、ヨーロッパで80%、アフリカと南北米国は、それぞれ65%になった。一方、アジア太平洋地域は23%にとどまる。

 報告書では、中国の「ゼロコロナ」政策が終了したことによって、アジア地域は今後、短期的には中国からの旅行者が増えるとしている。また今年、旅行で外国を訪れる人は世界全体で、感染が拡大する前の80%~95%の水準に回復すると予測している。

国内感染426人死亡

 国内感染者は19日、新たに9万5979人が確認された。前週の同じ曜日(12日)より8万7257人減った。死者は426人だった。都道府県別で新規感染者が最も多かったのは東京都の7719人で、愛知県の6378人、大阪府の6237人と続いた。

 1月19日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【1月20日】

●新型コロナ、原則今春に「5類」移行検討 岸田首相が指示

 岸田首相は、20日、首相官邸で、加藤厚労相、後藤コロナ対策担当相と会談した。新型コロナが感染症法で行動制限などの厳しい措置がとれる「2類相当」に位置づけられていることについて感染者数の減少も踏まえ、今後の対応を協議した。そして、首相は、新型コロナの位置づけを、原則としてことしの春に、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方向で検討を進めるよう、加藤厚労相らに指示した。

 これを受けて厚労省の感染症部会で、移行に向けた具体的な議論が行われる見通し。「5類」への移行により、一般の医療機関でも患者の受け入れが可能になり、感染者や濃厚接触者の待機などの行動制限もなくなることから、政府は、医療提供体制や医療費の公費負担のあり方を議論する考え。また、屋内でのマスク着用の扱いも含めた感染対策や、今後のワクチン接種のあり方などについても検討していく方針。

【1月21日】

●オミクロン株「XBB.1.5」 コロナ感染者の約半数 米CDC推計

 米国CDC(疾病対策センター)は、21日までの1週間に49.1%がオミクロン株「XBB.1.5」に感染していると推計を発表。前週の37.2%と比べるとおよそ12ポイントの増加、拡大が続いている。米国では、1月17日時点で新型コロナに感染して新たに入院する患者の数が、一日平均およそ4800人と、前の週と比べ2割近く減少。一方、死者の数は1月18日時点で一日平均およそ570人と、前週に続き500人を上回っている。

 WHOは「XBB.1.5」について、免疫から逃れる性質はこれまでのオミクロン株に比べて強く、世界的な感染増加につながる可能性があるとした一方で、重症化しやすいかについては、まだ十分なデータはないとして、調査を続けている。

●いざ故郷へ、都会から続々 中国行動制限ない春節3年ぶり 農村部の感染警戒

 22日の春節(旧正月)を前に、中国では21日から約1週間の大型連休が始まった。8日にゼロコロナ政策を終了してから初めての春節。多くの人びとが家族との団らんのために帰省する見通し。ただ、コロナの拡大には引き続き警戒感が漂っている。

【1月22日】

●コロナ死者7.2万人 中国 ゼロコロナ緩和後 医療機関分

 中国疾病予防コントロールセンターは21日、1月13~19日の新型コロナに関連する「医療機関での死者数」が1万2658人だったと発表した。当局は昨年12月8日~1月12日に亡くなったコロナ関連の死者は5万9938人、合計で7万2千人を超えた。昨年12月7日に政府が「ゼロコロナ」政策の大幅な緩和に踏み切った後、中国では感染者が爆発的に増えた。当局は「医療機関で死亡した人」と限定しており、実態が明らかになっていないとの批判が出ている。

●中国の専門家「人口の約80%感染」 11億人余り感染か

 中国で新型コロナの感染データが発表されない状況が続くなか、中国疾病予防センターで首席専門家を務める呉尊友氏が21日、中国版ツイッター「ウェイボー」で「人口のおよそ80%がすでに感染した」という見解を明らかにした。具体的な根拠は示されていないが、人口14億のうち11億人余りが感染したことになる。

 一方、呉氏は旧正月の春節で大勢の人が移動し局地的に感染者が増えるかもしれないとしたものの「今後2、3か月の間に全国的に大規模なリバウンドや感染の第2波が起きる可能性は低い」という見方を示した。中国政府は「ゼロコロナ」政策を終了させたあと、感染者数などの情報について今月8日のデータを最後に発表をとりやめており、感染の詳しい実態はわかっていない。

●6万3846人が感染 前週比4万人超減

 国内感染者は22日、新たに6万3846人が確認された。前週の同じ曜日(15日)より4万3295人減った。全国で発表された死者は240人だった。都道府県別で新規感染者が最も多かったのは東京都の5110人で、大阪府の4244人、愛知県の4203人と続いた。死者の最多は大阪府の34人で、次いで東京都の31人だった。

【1月23日】

●オミクロン株対応ワクチン、 国内接種率40.1%

 政府が23日の公表によると、国内でオミクロン株対応のワクチンの接種を受けた人は5052万642人で、全人口に対する接種率は40.1%となった。このうち65歳以上の高齢者は、2456万4303人で接種率は68.4%。一方、従来ワクチンやオミクロン株対応ワクチンでこれまでに接種を受けた人は、1回目では全人口の81.4%、2回目80.4%、3回目68%、4回目44%、5回目21%となっている。

 また、5歳から11歳の子どもを対象にした従来のワクチンの接種のうち、去年9月から始まった3回目の接種を受けた人は59万3558人で、全体の8.1%。1回目を受けた人は全体の23.8%、2回目の接種を受けた人は全体の22.9%。このほか、去年10月から始まった生後6か月から4歳の乳幼児を対象にした従来のワクチンの接種で1回目の接種を受けた人は13万8783人で全体の3.1%、2回目の接種を受けた人は全体の2.1%。

●日本版CDC 名称は「国立健康危機管理研究機構」 法案提出へ

 政府は、今後の感染症の蔓延に備え、基礎研究などを行う「国立感染研」と臨床医療を行う「国立国際医療研究センター」を統合し、米国のCDC(疾病対策センター)の日本版の設置を目指す。必要な法案の概要がまとまり、新たな組織名は「国立健康危機管理研究機構」とする。機構は感染症に対する全国的な検査体制を確保し、調査・研究・技術開発とともに総合的な医療の提供や人材の養成などを業務とし、設置時期は2025年度以降、政府が全額出資の特殊法人。

 このほか、感染症対策の司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁」を来年度に内閣官房に設置し、トップは官房副長官が務める。さらに、緊急事態宣言などが出された時に限られている首相から知事らへの「指示権」について、政府対策本部設置の段階で使えるとし、迅速な対応をできるようにする。政府は、こうした法案を通常国会に提出することにしている。

●マスク着用緩和 慎重意見相次ぐ コロナ「5類」 感染症部会

 新型コロナを今春、感染症法上の「5類」に引き下げる政府方針について、厚労省は23日、感染症や医療、行政、法律の専門家らで構成する「感染症部会」を開いた。5類移行におおむね異論は出なかったが、マスク着用の緩和には慎重な意見が相次いだ。27日の部会で、移行を了承するか判断する。政府は4~5月に5類へ移行する方向で医療団体や自治体などと調整中で、1月中にも移行の時期を決める。

●コロナ対策緩和、賛成58% 世論調査 60代以上は反対多数

 21、22日に実施した朝日新聞の世論調査で、政府が今春、新型コロナの感染対策をインフルエンザ並みに緩和する考えの賛否を尋ねたところ、年代差がみられた。全体では「賛成」58%、「反対」37%。年代別では、30代以下では賛成が8割近く、反対は2割程度だった。一方、60代以上では賛成は4割前後で、反対が5割を占めた。

 政府が今春、屋内でのマスク着用を原則不要とする考えについて、春以降で屋内でマスクを着けないが「増える」は24%にとどまり、「変わらない」は74%を占めた。年代差はほとんどなかった。政府のコロナ対応について「評価する」は58%(前回12月調査は55%)とわずかに増えた。「評価しない」は38%(同41%)だった。コロナ対策の緩和に賛成の人は「評価する」が63%で、反対は52%だった。

●休校時助成金、3月で終了 4月から別制度

 厚労省は23日、コロナ禍で子どもが学校や幼稚園を休んだ際に保護者を支援する「小学校休業等対応助成金」を、3月末で終了することを決めた。4月からは対象を絞り、別の制度で助成する。これまでの助成金は、子どもが通う学校や幼稚園が休校・休園した場合や、子ども自身が感染して休んだ際、有給休暇をとった保護者の賃金相当額を企業に1日あたり最大8355円支給してきた。

 4月からの「両立支援等助成金」は、企業がテレワークや短時間勤務、フレックスタイムなどを設けることを条件としたうえで、保護者が休んだ場合に助成する。支給額は日数にかかわらず、1人あたり10万円に変更する。

【1月24日】

●自民コロナ対策本部 「5類」移行でも公費負担継続意見相次ぐ

 24日午後開かれた自民党の新型コロナ対策本部で、山際本部長(前経済再生担当相)は「5類にどのように移行させていくのか、医療提供体制や公費負担の在り方、マスクの取り扱いなど課題は山積み。政府と連携して前に進めていきたい」とあいさつした。出席議員は、5類移行へ賛同する意見が多く出された。一方で、検査や入院などに対する公費負担を継続するよう求める意見が相次いだ。

 全国知事会は、新型コロナ対策本部の会合を開き、ことしの春に5類に移行する方向で検討するとした政府の方針を評価することで一致した。そのうえで、円滑な移行に向けて、国と地方の協議の場を設けることや、財政措置も含めた支援を政府に求めていくことを確認した。

●搬送困難、各地で多発 第8波 拒否32回 227分待機も

 総務省消防庁によると、救急患者の搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」は全国主要52消防本部で、16~22日の1週間に5998件あった。4週連続で過去最多を更新した前週(8161件)より大幅に減少したが、昨年の同じ時期に比べると18%多く、依然高水準。第8波に加え、日常の経済活動が戻りつつあることで、コロナ以外の搬送要請も増えているため。休憩もままならない救急現場では、事故への危機感も高まっている。

●東京都、7306人感染確認 26人死亡

 東京都は24日、新型コロナ感染者を新たに7306人確認したと発表した。前週の同じ曜日より3814人少ない。40~90代の26人の死亡も発表。24日までの週平均の感染者は6458.4人で、前週の59.5%。新規感染者の年代は30代の1151人が最多、65歳以上は999人だった。発表人数以外に、医師の陽性判定を受けていない感染者も少なくないとみられる。病床使用率は43.5%。都基準の重症者は前日から2人減って34人。

 1月24日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【1月25日】

●「コロナ減少傾向、インフルエンザ同時流行に注意」 専門家組織

 厚労省の専門組織の家会合が25日に開かれ、現在の感染状況について全国では減少傾向が続き、今後も全国的に減少傾向が続くことが見込まれると分析。病床使用率は低下傾向で、救急搬送が困難なケースも減少しているものの、非常に多い地域もある。そして、亡くなる人の数は高い水準の中で減少傾向となっている一方、感染者のうち80代以上が占める割合が去年夏の第7波より多い傾向が続いていて、引き続き注意が必要だと指摘した。

 さらにより免疫を逃れやすいとされるオミクロン株の「BQ.1」系統の割合が国内でも増加しているほか、米国を中心に報告され国内でも検出されているオミクロン株の「XBB.1.5」など変異ウイルスの動向を監視し続けることが必要としている。一方で、全国で流行期に入った季節性インフルエンザは今後も増加が続くと見込まれ、新型コロナとインフルの同時流行に注意が必要だと指摘した。

●脇田座長「減少は一過性の集団的免疫か」

 専門家会合のあとの記者会見で脇田座長は、現在の感染減少の理由について「会合の中では、第7波の減少と同じように一過性の集団的な免疫が一定程度ついたことで一旦収束の方向に向かっているのではないかという説明があった。ただ、今後、海外で流行しているXBB系統など、免疫を逃れる能力が強い変異ウイルスに置き換わる可能性もあり、その動きによって今後の感染の動向が左右されると思う」と述べた。

●1週間の新規感染者数 前週比0.59倍 全都道府県で減少傾向

 厚労省の専門家会合で示された資料によると、24日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて0.59倍とすべての都道府県で減少傾向が続いている。首都圏の1都3県では東京都が0.59倍、神奈川県0.61倍、埼玉県0.62倍、千葉県0.63倍で、すべての都道府県でも前週と比べて減少している。

 人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、三重県が761.92人と全国で最も多く、次いで鳥取県702.56人、静岡県690.22人、広島県663.50人、和歌山県651.76人で、1000人を超える地域はなくなった。全国では445.11人。

●今後の身近な感染対策、「個人の選択へ」 専門家組織有志

 専門家組織の有志は、今後の身近な感染対策についての考え方をまとめ、25日の会合で示した。新型コロナ4年目となり、過剰ともいえる、有効性が疑問視される感染対策が見られ、社会経済活動や教育活動、子どもの生活の大きな制限になっている。一方でオミクロン株は感染が広がりやすく、今後も変異ウイルスの流行が繰り返される可能性があるという認識を示している。

 「政府の要請に基づく一律の対策から、個人や集団が流行状況やリスクに応じて主体的に選択して行うことになる」とする。また感染対策は、個人がそれぞれの価値判断で決めることとして、職場や集まりでは話し合いなどで合意が望ましく、対策を行うことや逆に対策をやめることが強要されないよう、個人の選択を尊重する配慮がされるべきとしている。さらに、病院や高齢者施設では、感染を持ち込まれないようにすることは引き続き重要だと指摘した。

●感染者が飲食 県が店名公表「正当」 徳島地裁、ラーメン店側の訴え、棄却

 徳島県は2020年7月、ラーメン店「王王軒(わんわんけん)本店」(徳島県藍住町)で飲食した客1人の感染が判明したとして、感染症法に基づいて店名を公表した。同店などの運営会社は「店名を公表され、店の信用が侵害された」などとして2021年2月、県に計1100万円の損害賠償を求めて提訴した。

 判決は、感染者はほぼ満席の店内でマスクをせずに会話をしていたとし、居合わせた不特定多数の客に注意を喚起するために店名を公表したことは、感染症法の趣旨に沿うと指摘。当時、県内での感染の連鎖を止め、収束を図ることが急務だったとし、公表の方法も相当だったとし、ラーメン店側の請求を棄却した。運営会社の近藤社長は「田舎の小さな飲食店にとって店名公表は残酷だ」と話し、控訴を検討するとした。

【1月26日】

●中国、感染ピーク超え強調 春節賑わい、農村部に懸念

 厳しい移動制限などを伴う「ゼロコロナ」政策が終わった中国では春節(旧正月)の連休中、多くの人たちが各地の観光地に足を運んだ。社会に解放感も広がるなか、中国政府は多くの地域で新型コロナ感染が「ピークアウト」したとのメッセージを送り始めている。中国の衛生当局は「(人口の)8割が新型コロナに感染した」としており、回復した人たちの間では「免疫ができたから、怖いものはない」との解放感も広がっている。

 そんななか、中国当局は事態が収束に向かいつつあると強調し始めた。衛生当局が25日に発表した統計では、PCR検査に基づく1日あたりの新規感染者は昨年12月22日の694万人をピークに、1月23日には1.5万人に減少。重症者もピークの12.8万人(1月5日)から3.6万人(同23日)、死者も4273人(同4日)から896人(同23日)に減ったという。ただ、PCR検査は義務ではなくなっており、数字は実態を反映していないとみられる。

●オミクロン株XBB系統の変異ウイルスに追加接種有効 米CDC分析

 米CDCは25日、感染が急拡大しているオミクロン株の「XBB.1.5」を含むXBB系統の変異ウイルスに対し最新のワクチンの追加接種で、発症を防ぐ一定の効果があるとする分析結果を公表した。

 従来型のワクチンを複数回、接種したあと、オミクロン株の「BA.5」に対応する成分を含むワクチンを追加接種した場合、追加接種しない場合と比べてXBB系統のウイルスによる発症を防ぐ効果は、18歳から49歳で49%、50歳から64歳で40%、65歳以上で43%となり、一定の効果がみられた。米国では去年9月から、「BA.5」対応ワクチンの追加接種が始まっていて、CDCは「可能な人は最新のワクチンの追加接種を受けるべきだ」としている。

●米FDA、コロナワクチン「原則年1回」提案 流行株に対応も想定

 新型コロナワクチンの今後の接種について、米食品医薬品局(FDA)は、原則年1回の接種とする方針を提案した。26日にある諮問委員会でこの提案が議論される見込み。FDAが23日に公表した文書によると、高齢者を除く健康な成人や、ワクチン接種を2回以上済ませた子どもたちは年1回の接種。高齢者や病気などで免疫が十分でない状況の人、2回未満の接種の子どもは年2回の接種とする案を挙げている。

 FDAは「接種する時期をわかりやすくし、どの変異株に対応するかを定期的に更新する必要がある」と指摘している。メディアは、このFDAの提案について、専門家の間でも見解が分かれていることを伝えている。「ややこしいワクチン接種方式によって、ワクチン接種を受けたがらない人たちが出てきている」として年1回接種を歓迎する声や、ワクチン接種後に時間とともに効果が薄れることから「年1回の接種を支持するデータはない」という主張もある。

●専門家ら「年1回接種に」コロナワクチン 4月移行も公費検討 厚労省部会

 新型コロナワクチンの今後の接種のあり方について、厚労省の専門家部会が26日、本格的な議論を始めた。オミクロン株ワクチンの2回目以降の接種の時期や間隔、対象などが焦点で、海外でも議論されている。この会合では、「年に1回ほどで接種するのが望ましい」などの意見が多かった。政府は現在、4月以降も接種費用を全額公費負担する方向で検討している。厚労省は次回の部会で接種対象や回数などをまとめ、来月以降、公費負担の延長を正式に決める方針。

 日本では昨年9月にオミクロン株ワクチンの1回目の接種が始まり、26日時点の接種率は65歳以上69.7%、全人口で40.8%。2回目以降の接種は定まっておらず、海外では年に1回接種する案などが出ている。この日の部会では、海外の動向や、ワクチンの重症化予防効果が半年程度はもつなどの理由から、年1回のほかにも、半年に1回の接種を求める声もあった。接種対象は、重症化リスクの高い高齢者などのほか、医療従事者も含むべきなどの意見があった。

●感染者数の発表、31万人漏れか

 新型コロナの感染者数について、厚労省は26日、昨年9月以降に発表していた65歳以上の感染者数に約31万4千人の漏れがあった可能性があると発表した。漏れがある疑いがあるのは、昨年9月26日~今年1月11日で、この期間の感染者の約3.2%。1日あたり約3千人程度だという。

 厚労省によると、昨年9月26日に全数把握を見直した後、医療機関は65歳以上などの重症化リスクの高い人の情報を書いた「発生届」と、すべての感染者の数だけを記した「日次報告」を両方報告する必要があった。日次報告は厚労省が発表する感染者数になっている。だが、一部の医療機関が65歳以上の感染者の発生届を出せば、日次報告は必要ないと誤解し、65歳以上の感染者の一部が発表数から漏れたという。

●新たに6万135人が感染 前週より3万5775人減る

 国内感染者は26日、新たに6万135人が確認された。前週の同じ曜日(19日)と比べ、3万5775人少なかった。新たな死者は316人だった。都道府県別の新規感染者が最も多かったのは東京都で、5061人。大阪府4012人、愛知県3947人と続いた。死者数は埼玉県が28人で最も多く、大阪府27人、東京都22人と続いた。

【1月27日】

●WHO コロナ「緊急事態」解除できるか検討

 2020年1月30日にWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言してから、まもなく3年。27日、およそ3か月ぶりに各国の専門家や保健当局の担当者による委員会を開き、宣言の解除について、議論する。去年10月に開かれた委員会では変異ウイルスへの懸念が残っていたことなどから宣言の継続を決めている。WHOが宣言解除した場合、各国の感染対策の緩和などを後押しすることになるとみられ、委員会の議論の行方が注目される。

 新型コロナのデータをまとめているジョンズ・ホプキンス大学によると、1月26日時点で世界の累計感染者数はおよそ6億6900万人、およそ680万人が亡くなっている一方で、ワクチンの接種回数は132億回以上に上る。新型コロナは根絶できず、今後も繰り返し感染拡大が起きるとみられるが治療が進歩し重症化を防ぐ飲み薬も出てきていることから、感染した場合に重症化したり、亡くなったりする人の割合は下がっている。

●新型コロナ「5類」への移行、5月8日に 政府が方針決定

 政府は27日夕方、新型コロナ対策本部を開き、岸田首相は、「厚労省の審議会(感染症部会)の意見を踏まえ、特段の事情が生じないかぎり、5月8日から『5類感染症』とする方針を確認した」と述べた。暮らしや経済活動に大きな影響を与えた「コロナ禍」の政策は、3年あまりで大きく転換する。岸田首相は「ウィズコロナの取り組みをさらに進め、家庭、学校、職場、地域、あらゆる場面で日常を取り戻すことができるよう着実に歩みを進める」と述べた。

 患者が幅広い医療機関で受診できるよう医療提供体制を見直し、医療費は期限を区切って公費負担を継続していく。ワクチンは、必要な接種であれば引き続き自己負担なく受けられる。マスクは、屋内・屋外を問わず、着用を個人の判断に委ねることを基本にするよう見直すとし、具体的な見直し時期を検討。一方、大声を伴うイベント参加人数の上限を撤廃し、感染対策を行えば定員の100%まで入場を可能にすることを決定し、直ちに運用を始める。

●5月8日移行に決まるまでの経緯

 岸田首相が先週20日、この春に新型コロナを「5類」に移行する方向で検討を進めるよう指示したことを受け、政府内では厚労省が中心となり、自治体から話を聞くなどして、移行時期の検討が進められた。そして「5類」に移行した場合に、新たに入院患者を受け入れる医療機関で、感染防止対策を講じる必要があることから、移行までには一定の準備期間が必要だとして、大型連休前後の4月下旬から5月上旬に絞り込んだ。

 その後、人の往来が増える大型連休前に移行すれば、感染拡大のおそれがあり、連休明けにという意見が上がる一方、5月19日からは首相の地元の広島でG7サミットが始まる。自民党内に「記念撮影のときマスク姿では世界に笑われる」との声もあり、厚労省はそれまでの移行をめざした。そして26日夕方、首相は厚労相らと詰めの協議を行い、最終的には感染対策に万全を期すべきという首相判断で、連休明けの5月8日に決まった。

●5類移行 尾身会長「コロナは変化し続けていて、慎重さが必要」

 政府の分科会の尾身会長は、27日夜の記者会見で、「5類」移行の政府方針について、分科会では全員が賛成したとしたうえで「かなり多くの出席者から、新型コロナは変化し続けていて、慎重さが必要だという意見が出た」と述べた。「病原性が大きく強まる変異が起きたり、医療逼迫が起きてしまう事態が起きてしまったりした場合は、対応を見直すことは当然必要。危機管理として最悪の場合に即応できる体制を取っておくことが重要」と指摘した。

 そして、今後の感染対策について「いままでは国や自治体からの一律の要請に応える形だったが、これからは個人や集団がリスクに応じて主体的に選択するということに満場一致だった」と述べで、重症化しやすい人や健康でも感染したくない人、それに高齢者や小さな子どもへの教育上の配慮が必要で、たとえば体調不良の人が気楽に会社などを休める環境作りなど、対策を個人のみの責任にしないことが大事だということについても全員が合意したと説明した。

●専門家「行政の支援、しばらく継続の必要」

 政府分科会メンバーで東邦大学の舘田教授は「いきなり5類へ移行すると現場は混乱し、医療が必要な患者がしわ寄せを受ける可能性もあり、段階的に進めていくことが必要。例えば、治療費やワクチンの公費負担、これまでコロナ患者を診療してこなかった医療機関への対応など、行政や医師会などが連携して、混乱がなく進めていく必要がある」と指摘した。

 そのうえで「類型が見直されても一定の割合で重症の患者は発生し、リスクが高い人たちを受け入れている高齢者施設は、これまでと同じように感染対策を徹底しなければならず、その負担はこれまでと変わらず重いということを認識することが最も大事。クラスターが発生した場合も含めて、施設が医療機関の支援をすぐに受けられるように、行政による支援をしばらく継続する必要がある」と話した。

●専門家「国のセーフティーネットなくなる」

 新型コロナが「5類」に移行で、適切な医療は提供されるのか。課題も多く、準備が急がれる。コロナ患者を一般の医療機関で外来や入院ができるようになる。だが、院内感染リスクが怖い、スタッフ不足などの理由から、コロナを診てこなかった医療機関も少なくない。さらに、コロナ対応の医療機関には診療報酬の加算や確保病床には補助もあったが、今後はなくなることも想定される。「コロナ患者を診る医療機関が減ってしまう」との心配の声も上がる。

 入院調整は保健所が担ってきたが、今後は医療機関同士で行うことになり入院先がみつからなかったり、自宅で病状を悪化する恐れも指摘される。介護度が高い高齢患者を受けた臨時医療施設や、高齢者施設のクラスターを防ぐ一斉検査などの継続を望む声は多い。在宅患者への訪問診療やオンライン診療を拡大する必要もある。大阪大の忽那(くつな)教授は「5類への移行は、国が守ってくれたセーフティーネットがなくなることを意味する」と話す。

●業界のガイドラインの見直し検討も

 政府の今後の方針を踏まえて、小売業界や外食チェーンの団体からは業界としての感染対策のガイドラインの見直しが必要になるという意見が出ている。鉄道各社や国土交通省などでつくる「鉄道連絡会」は、鉄道車内などの感染対策の見直しを検討する。航空会社や空港事業者の団体は、機内や空港での感染対策の見直しを検討することにしている。都内のデパートでは化粧品の売り上げがコロナ禍で落ち込んだことから今後、売り上げの回復につながればと話している。

●2022年入国者、前年比12倍に 入管庁発表 水際緩和で急増 420万人

 出入国在留管理庁は27日、2022年に日本に入国した外国人は、2021年の11.9倍の約420万人だったと発表した。過去最多だった2019年の約3119万人には遠く及ばないが、水際対策が大幅に緩和された昨年10月以降に急増している。2022年の外国人の新規入国者は、段階的な水際対策の緩和に伴って増えた。1~2月はそれぞれ1万人に満たなかったが、3~9月は約5万~約15万人。10月に海外からの個人旅行が可能になり、12月は約133万人に上った。

●新たに5万3864人が感染、前週より減 死者344人 

 国内感染者は27日、新たに5万3864人が確認された。前週の同じ曜日(20日)と比べ、2万8317人少なかった。全国で発表された死者は344人だった。都道府県別の新規感染者が最も多かったのは東京都の4297人で、大阪府3583人、愛知県3529人と続いた。死者数は大阪府が29人で最も多く、福岡県の26人、東京都の25人と続いた。

【1月28日】

●米CDC最新推計 オミクロン株「XBB.1.5」、新規感染者の約6割に

 米国で急速に広がっている「XBB.1.5」について、米CDCは今月28日までの1週間に新型コロナに新規感染者のうち61.3%が「XBB.1.5」に感染しているとの推計を発表した。前週の49.5%と比べると10ポイント以上の増加。先月以降、米国での拡大が続く。米国で新たに報告された感染者の数は、今月25日の時点で1日平均およそ4万2000人と、3週連続で減少傾向を示しているが、検査キットを使って自分で調べたケースは含まれていない。

 一方、新たに入院する患者の数は、今月24日の時点で1日平均およそ4200人と前の週と比べ1割ほど減少し、死者の数は今月25日の時点で1日平均およそ540人と2週連続、減少傾向を示している。「XBB.1.5」についてCDCは、最新の2価ワクチンを追加接種することで、発症を防ぐ一定の効果があると分析していて可能な人は接種するよう呼びかけている。

●中国のコロナ死者、1週間で6300人余 12月上旬から計8万人近くに

 中国疾病予防センターは28日、1月20日から26日までの1週間で6364人が新型コロナに感染して国内の医療機関で死亡したと発表した。このうち、呼吸不全で死亡したのは289人、基礎疾患との合併症で死亡したのは6075人。死者数が1万2000人を超えた前の週と比べると、半数ほどに減った。12月8日から1月26日までの1か月余りの死者数は、合わせて7万8960人。自宅で死亡した人は含まれておらず、実際にはもっと多いという指摘も出ている。

●中国、春節の連休中の旅行者大幅増 「コロナ前の9割近くに回復」

 中国政府は、春節にあわせた今月21日から27日までの7日間の大型連休で、国内の旅行者数がのべ3億800万人と、去年より23%増加したと発表した。新型コロナの感染拡大以前の4年前と比べると9割近い水準まで回復したとしている。ことしは「ゼロコロナ」政策が終了してから初めての春節で、観光地はにぎわいを取り戻したものの、農村部への感染拡大や新たな変異ウイルスの出現などが懸念されている。

 一方、国営の新華社通信は、中国から海外への出国者数が、今月21日から26日までの6日間にのべ119万2000人となり、去年のおよそ2倍になったと伝えた。ただ、中国政府は日本への観光旅行を制限するとともに、両国を結ぶ航空便が感染拡大前と比べて大幅に減少していることから、中国から日本への旅行客は低迷した状況が続いている。

●東京都、25人死亡 4515人感染確認 前週比2092人減

 厚労省は28日、都内で新たに4515人が新型コロナ感染していることを確認したと発表。1週間前の土曜日より2092人減った。前週の同じ曜日を下回るのは11日連続。また、人工呼吸器かECMO(人工心肺装置)を使っている重症の患者は27日より2人増えて33人。一方、感染が確認された25人が死亡した。

 1月28日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【1月29日】

●今月感染死1万人超

 新型コロナに感染し、国内で亡くなった人は29日、191人確認された。1月に亡くなった人は計1万314人で、1カ月の死者数としては初めて1万人を超え、死者数が急激に増えている。国内感染者は、新たに4万4296人が確認された。前週の同じ曜日(22日)よりも1万9553人少なかった。29日の新規感染者が最も多かったのは東京都で3427人。次いで大阪府2903人、愛知県2712人だった。

【1月30日】

●WHO、新型コロナ「国際的緊急事態」の宣言を継続

 WHOは30日、新型コロナの感染拡大を受け「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言について、継続すると発表した。WHOは今月27日、各国の専門家による委員会を開き、2020年1月末に出した宣言を解除できるかどうか検討した。委員会では、今なお死者数が多いことや、発展途上国でワクチン接種が不十分なことなどを懸念する意見が表明されたという。

 さらに、現在感染を広げているオミクロン株の変異ウイルスについては「これまでの変異ウイルスと比べると重症化につながっていない傾向が見られるが、予測不可能な特徴を持つ新たな変異ウイルスに進化する能力を保持している」と指摘し、入院患者数と死者数の報告を続けることなどが必要としている。WHOは各国に対し、ワクチンの追加接種を進めることや、変異ウイルスへの警戒を続け、詳しい感染データをWHOに提供するよう呼びかけている。

●新型コロナ、世界の死者は680万人以上に 警戒と緩和の模索続く

 米ジョンズ・ホプキンス大学のまとめでは、世界全体で新型コロナ感染が確認された人は6億7000万人以上、死者は680万人以上。オミクロン株が世界各地で広がった去年1月ごろには、1日あたりの新規感染者数が200万人を超えた。その後、世界全体では感染者数や死者数の報告は減っているが、多くの国で感染者数の確認が厳密に行われなくなり、実態の把握が困難になっている。

 こうした中、新たな変異ウイルスの出現を把握する監視力が弱まっているという課題も指摘されている。どのように感染対策の緩和を進めるか、各国が模索するなか、WHOのテドロス事務局長は、今月24日の会見で、「私たちはパンデミックが発生した3年前よりも明らかによい状態にあるが、国際社会における対応は再び緊張にさらされている」と述べ、改めて注意を呼びかけた。

【1月31日】

●コロナ非常事態 米、5月に解除 ワクチンや薬、自己負担も

 米国CDCによると、新型コロナ感染で新たに入院する患者の数は、1月28日の時点で一日平均およそ3600人にまで減少。死者の数も、1月25日の時点で一日平均およそ540人となっている。バイデン米政権は1月30日、公衆衛生上の緊急事態宣言と国家非常事態宣言を5月11日で解除すると発表した。ワクチンや検査などに費用が発生するケースが増え、特に医療保険に入っていない人には大きな影響が出そう。

 これまで連邦政府はワクチンや治療薬などを一括買い上げ、各地に配ってきた。約8割の米国人がワクチンを少なくとも1回接種している。多額の財政支出を懸念する野党共和党は、宣言をすぐに解除するための法案を提出していた。ワクチンや検査キット、治療薬は現在、医療保険がない人でも無料だが、今後は自己負担になるケースが出てくる。ファイザー社は自社のワクチン接種は、1回当たり130ドル(約1万7千円)としている。

●都、「5類」移行で医療提供体制の段階的移行など確認

 5月8日に「5類」に移行されることを受け、都は31日に対策本部会議を開いた。必要な保健や医療提供体制を継続しながら段階的に5類の対応へ移行することや、感染が再拡大した場合には、機動的に対応できる体制を維持しておくことを確認した。国に対しては、外来の診療報酬の加算を残すことや、妊婦や重症患者などのための病床の確保、それに治療薬や入院医療費の公費負担の継続など、段階的な移行のために必要な財源の確保について要望していくことなどを確認した。

●246人死亡 5万7264人感染 福島県で死者138人修正増

 厚労省が31日発表の新規感染者は、空港の検疫などを含め5万7264人。都道府県別の最多は東京都の4862人。亡くなった人は、千葉県で24人、長野県21人、東京都20人など、合わせて246人。また、人工呼吸器やECMOをつけたり集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、31日時点で508人、30日と比べて23人減った。

 福島県はこの日、死者数が2022年7月以降、これまでの公表分より計138人多かったと発表し、31日時点の県内死者数の累計は712人に修正した。各保健所に管内の死者数を改めて確認したところ、県が未把握の死者が138人いることが発覚した。

 以下6枚の図は1月31日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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2023年2月 2日 (木)

古墳群と足袋蔵のまち行田

 2023年1年22日(日)、古墳群と足袋蔵のまち行田市の名所をめぐる。

 

 行田市は、埼玉県の北部に位置する人口約8万人の都市。足袋産地(行田足袋)として知られ、「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」が「日本遺産」に認定されている。全国有数の大型古墳群である「埼玉(さきたま)古墳群」は国の特別史跡に指定されている。

 

 集合場所を出発する頃は零下1℃。この日の天気は晴れ、最高気温は9℃と10℃に満たないが、風がないので比較的温かい。8:55、埼玉県行田市大字埼玉(さきたま)の「さきたま古墳公園」駐車場に到着。

 

■さきたま史跡の博物館

 9:05、国宝「金錯鉄剣」のある県立「さきたま史跡の博物館」に入館。観覧料200円。

 国宝展示室と企画展示室「ほるたま展『埴輪男子』」を見学。

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  展示室中央に展示されている国宝「金錯銘(きんさくめい)鉄剣」を鑑賞。近づいての撮影は禁止。右の写真は「行田市郷土博物館」観覧券を転載。

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 鉄剣が発見された「稲荷山古墳」の埋葬施設(木棺)の想定図。

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 発掘によって「稲荷山古墳」の埋葬施設から出土したヒスイの勾玉や鏡などの副葬品も、すべて一括で国宝に指定されている。

 企画展示室「ほるたま展『埴輪男子』」に展示された「被りものをする男子」。

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 10:05 博物館を出て、幸手市から移築したという江戸時代末期の稲作農家の建物「遠藤家住宅」を見学(写真省略)。

■埼玉(さきたま)古墳群

 古墳群のエリアに歩いて向かう途中にある「埼玉県名発祥の碑」。この地、行田市大字埼玉(さきたま)が、埼玉県名発祥の地とされている。

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 「埼玉」が県の名称とされたのは、当初の県の管理区域の中で、最も広いのが、埼玉郡であったことによると、説明板に記されている。「埼玉古墳群」に接する「浅間塚」と呼ばれる古墳上に「前玉神社」が、建てられているそうだ。「前玉(さきたま)」が転じて「埼玉(さきたま)」へと漢字が変化し、現在の「埼玉県」になったと云われている。

 「将軍山古墳」へ向かう。墳丘へは、立ち入り禁止。

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 10:25、「将軍山古墳展示館」に入館。実物の横穴式石室を建物の中から見学できる我が国初の施設。埋葬された人物、副葬品等が展示されている。

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 「将軍山古墳」は、1894年(明治27)地元の人々により発掘され。横穴式の石室を発見した。官庁の許可を得て発掘を進めた結果、縦1.5m、横0.8m、厚さ30cmの秩父青石(緑泥片岩)の天井板、側壁は房総半島の富津市付近で産出される房州石が用いられていた。また多数の馬具や武器、武具、須恵器などが出土したという。古墳の全長は90m、高さ8m(推定)。

 騎馬武者を再現。

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 横穴式石室の実物大のレプリカ。

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 10:45、鉄剣が発見された「稲荷山古墳」に登る。写真は、ウィキメディア・コモンズ

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 「稲荷山古墳」は、埼玉県第2位の規模の大型前方後円墳。全長120m、高さ10m。国の特別史跡に指定され、帯金具、まが玉、鏡等多数の出土品は「国宝」に指定されている。金錯銘を有する鉄剣(稲荷山古墳出土鉄剣)が発見されたことで知られる。造営年代は、古墳時代後期の5世紀後半と考えられ、さきたま古墳群中では最初に築造された。

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 鉄剣は1968年(昭和43)の発掘調査の際に出土し、10年後(昭和53年)の保存処理作業の折、X線撮影をしたところ、115文字の銘文を発見。1983年(昭和58)に国宝に指定された。

 「稲荷山古墳」からは、墳丘表面を覆っていた葺石や、円筒埴輪、人物埴輪などの埴輪類が出土しており、これらの出土遺物の型式から築造年代は6世紀の前半と考えられている。1985年(昭和60)~1987年にかけ墳頂部と墳丘東側を中心に整備が行われた。また、周濠の一部が復元されている。

 「稲荷山古墳」の墳頂から東の方角に見える「古代蓮の里」の展望塔。

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 「稲荷山古墳」から見る北の方角。左につならる「白根山」方面、右は「男体山」。

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 「稲荷山古墳」から見る日本最大級の「丸墓山古墳」。

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 11:10「丸墓山古墳」に登る。6世紀前半の国内最大級の円墳。全長105m、高さ17m。出土した埴輪から6世紀前半に造られたと考えられる。

 「丸墓山古墳」から見る北北西の方角に「赤城山」。

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 「丸墓山古墳」から見る北西の方角に「浅間山」、右手前に「忍城趾」が見える。

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 丸墓山古墳から西の方角に「両神山」。

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 1590年(天正18年)小田原征伐に際して、秀吉から忍(おし)城攻略の命を受けた石田三成がこの「丸墓山古墳」の頂上に陣を張った。三成は忍城を水攻めにするため、「丸墓山」を含む半円形の「石田堤」を28 kmほど築いたという。「丸墓山古墳」から南にまっすぐ伸びている道路は、この堤の名残だそうだ。

 なお、埼玉古墳群の中には、武蔵国で最も大きな前方後円墳の「二子山古墳」(全長132m、高さ14m)がある。造られた時期は6世紀前半とされる。

 11:35「さきたま古墳公園」駐車場を出て、「行田市バスターミナル観光案内所」に立ち寄り、12:00「忍城趾・行田市郷土博物館」駐車場に車を駐める。

 

■ゼリーフライ

 駐車場から歩いて県道128号線を横断、「忍東照宮」の西側にある行田名物「ゼリーフライ」の旗が立つ食事処「かねつき堂」に入る。

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 行田のB級グルメ「ゼリーフライ」は、”おからコロッケ”。おからに小麦粉を加え、つぶしたジャガイモのほかタマネギやニンジンなどの刻み野菜を混ぜあわたタネを小判の形に整えて揚げ、ウースターソースにくぐらせる。通常のコロッケと異なり小麦粉・卵・パン粉をつけない。

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 ゼリーフライは、2個セットで220円だが、1個だけ注文。ボリュームのある焼きそば(小) 400円と合わせて合計510円の昼食。

 形が小判(銭)の形をしていて、揚げものという意味で「銭フライ」が訛ったという。また別に、「フライ」という食べものもあるそうだ。溶いた小麦粉にネギや肉などを加え、卵をのせて焼いた薄焼きの”お好み焼き”。これらは、足袋屋の女工さん、家内工業の主婦、子どものおやつや軽食として食べられたという。

 12:30、「かねつき堂」を出て、「忍(おし)東照宮」(忍諏訪神社)で参拝。

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 「忍諏訪神社」は、後鳥羽天皇の建久(1190年頃)年間、忍一族が当郷へ居住した頃に創建されたとも、戦国時代の1491年(延徳3)成田親泰が忍城を構築した際に持田村鎮守諏訪社(持田諏訪神社)を遷座したとも伝えられる。その後、成田氏代々の崇敬があり、江戸時代の1639年(寛永16)城主となった阿部忠秋は城郭を修築、併せて1645年(正保2)本殿を造営、1672年(寛文12)拝殿を新たに建立した。

 1823年(文政6)、松平忠義は伊勢桑名から移封するに当たり、城内字下荒井の地へ「東照宮」を勧請したが、1873年(明治6)城郭取り壊しの際に城内各所にあった他の社もあわせて当社境内に遷座したという。

 

■忍(おし)城趾

 12:50、忍城趾駐車場に戻り、観光ガイドと合流。13:00 駐車場を出発。

 当時の「大手御門」は、忍城内の升形城門から大手橋を渡った先に南面して立っていた。

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 忍城趾のシンボル「御三階櫓」(御三重櫓)。

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 当時の「御三階櫓」は、現在の「水城公園」(当時は忍城の外堀の沼)付近に建っていたが、明治時代の忍城解体にともない破却されたという。現在の「御三階櫓」は、「行田市郷土博物館」の開館に合わせて昭和63年(1988年)、当時を模して鉄筋コンクリート構造により造られたというが、規模も位置も史実とは異なるという。一見して天守閣に見えるが、「行田市郷土博物館」とつながっていて、展示物および展望台となっている内部を見学できる。

 「忍城」は室町時代にあたる15世紀後半に成田氏により築城された城郭。戦国時代の終わりに豊臣秀吉の関東平定に際し、石田三成らによる近くを流れる利根川を利用した水攻めを受ける中、小田原城の降伏後に開城した。のことが、「忍の浮き城」という別名の由来となった。忍城の水攻めを描いた歴史小説『のぼうの城』(和田竜の作)は、2012年に映画化(野村萬斎主演)された。

 家康の関東入部後は、四男の松平忠吉が忍城に配置され、以後、忍藩10万石の政庁となった。1639年(寛永16年)に老中・阿部忠秋が入ると城の拡張整備が行われた。阿部氏の時代には「御三階櫓」が新たに建設されるなど、往事の縄張りは1702年(元禄15年)ごろに完成したと考えられている。

 1823年(文政6年)に阿部氏が白河に移り、桑名から松平忠堯(ただたか、奥平松平氏)が入った。忍城の城下町は、中山道の裏街道宿場町としての機能や、付近を流れる利根川の水運を利用した物流路としての機能を兼ね備えて繁栄。また江戸時代後期からは、足袋の産地として名をはせるようになる。

 

■足袋蔵(たびくら)のまち

 ガイドの案内で「足袋蔵のまち」をめぐる。

 「足袋蔵」は、足袋産業にかかわる蔵造りの建物。古くはおもに足袋の保管庫であった。江戸時代から1957年昭和32年)にかけて建築され、土蔵だけでなく、石蔵、煉瓦蔵、木蔵、コンクリート蔵、モルタル蔵など、年代により様々な建築技術による多種多様な蔵が、行田の町に点在している。

 13:15、「足袋とくらしの博物館」着。ここは「力弥たび」の商標を用いた「牧野本店」の元工場。大正11年に建設された洋風の工場建物。現在は、かつての職人たちが裁断機やミシンを動かし、足袋づくりを実演している様子の見学できる博物館。入館料200円。

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 2005年10月オープン。足袋を作っている現場を見学。

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 13:35「足袋とくらしの博物館」を出て、さらに「足袋蔵のまち」を散策。

 「牧野本店」の店蔵と主屋は1924年(大正13年)棟上、土蔵は1899年(明治32年)棟上の蔵と建築年代不明のものの2棟が現存し、足袋工場は1922年(大正11年)の棟上。 写真は、「牧野本店」の店蔵で工場につながっている。

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 「時田蔵」は、1903年(明治36年)建築と大正初期建築の2棟の土蔵。奥にも土蔵が並んでいる。時田家が明治時代に建設。行田では珍しい袖蔵式で板張りの足袋蔵。

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 「忠次郎蔵」(国登録有形文化財)は、旧小川忠治郎商店の店舗及び主屋。足袋原料問屋の昭和初期の店蔵。1925年(大正14年)棟上の土蔵。現在、蔵を再活用した本格手打ち蕎麦の店。 

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 「牧禎舎」は、昭和初期の旧足袋・被服工場と事務所兼住宅を改装した施設。一日から借りられるレンタルスペースや、中長期的に利用出来るアーティストシェア工房があり、藍染体験工房が併設されているそうだ。

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 13:50「足袋蔵まちづくりミュージアム(栗代蔵)」に入館(無料)。「栗代(くりだい)蔵」は、1906年(明治39年)建築。

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 1階は案内所、2階は「栗代蔵」の歴史を展示(写真)。2009年2月オープン。

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 「保泉蔵」は、1916年(大正5年)建築の土蔵、1932年(昭和7年)棟上の石蔵、昭和戦前期建築のモルタル蔵。

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 「十万石ふくさや行田本店」(国登録有形文化財)は、銘菓「十万石饅頭」で知られる本店。1883年(明治16年)建設の行田を代表する店蔵。

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 「イサミコーポレーションスクール工場」は、1907年3月(明治40)にメーカー「イサミ足袋」として創業。

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 行田最大のノコギリ屋根の足袋工場。現在は、学校企業制服体操着足袋の製造を手がける。2017年のTVドラマ『陸王』(役所広司主演)でこの工場が、劇中で老舗足袋を扱う「こはぜ屋」の外観としてロケに使われた。

 

 「行田八幡神社」は、「封じの宮」と称され、子供の夜泣きやかんの虫を封じる「虫封じ」をはじめ、癌の病、諸病、難病や悪癖の封じ、お年寄りのぼけ封じ等の封じ祈願が秘法として継承されているそうだ。参拝客でにぎわっていた。

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 煉瓦作りの「大澤蔵」(登録有形文化財)は、1926年(大正15年)建築。煉瓦造の足袋蔵は行田市唯一。

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 「足袋蔵ギャラリー門」と「クチキ建築設計事務所」は、1916年(大正5年)建築。ギャラリーは足袋蔵を利用し、絵画展などを不定期で開催。敷地内にあるカフェは、初代行田市長の元住居を「カフェ閑居」として運営。「パン工房KURA」は1910年(明治43年)建築。2017年(平成29)4月にこれらの敷地内建物すべてが、日本遺産構成建物に認定されている。

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 「孝子蔵」は、1951年(昭和26年)棟上の石蔵(大谷石)。

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 升形城門跡、大手門跡などを見て、忍城趾に戻る。

 

■行田市郷土博物館

 観光ガイドと別れ、15:00~「行田市郷土博物館」に入館。観覧料200円。

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 「行田市郷土博物館」は、多くの実物資料が4つのテーマで展示されており、古代から現代にいたる行田の歴史と文化を学ぶことができる。残念ながら、ここの館内は撮影禁止だった。

  1. 古代の行田 ー行田で花開いた古墳文化
  2. 中世の行田 ー北武蔵の武将成田氏の居城
  3. 近世の行田 ー徳川家ゆかりの城郭と城主
  4. 足袋と行田 ー近代の行田を支えた足袋産業

 以下4枚の写真は、「行田市郷土博物館」パンフより転載。

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Musashi_oshijo

Tokugawa_ieyasu

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 15:50、忍城駐車場にもどり、解散。

 

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 ★ ★ ★

 前から見たいと思っていた足袋工場の作業風景を見られたのは収穫だった。県立の「さきたま史跡の博物館」では、国宝の金錯銘鉄剣も実物を初めて見た。後で調べると、ケースの中は腐食が進まないように窒素ガスが封入されているという。「金錯」とは、初めて聞く言葉だが金象嵌(きんぞうがん)のこと。昔、新聞などでは「金象嵌」という用語を使っていたと思う。

 各地に郷土博物館があるが、この博物館も立派だった。だが撮影禁止とは残念だ。市内をけっこう歩いた。帰ってから久し振りの歩き疲れで、ぐったり。歩数計では1300歩以上だったので、89Kmほど歩いたことになる。

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