新型コロナ2023.01 死亡急増
2023年1月15日で、新型コロナウイルス感染症の初確認から3年になる。「第8波」の新規感染者数は、年末年始に一時的に減ったあと、再び増加傾向が続いていて、特に中国・四国、九州などでは増加幅が大きく、季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行が始まっている。死亡者数は、第7波のピークを越え、過去最多を超える急増状況が続いている。一方、中国では「ゼロコロナ」政策の極端な変更によって感染が爆発的に拡大し、各国は水際対策を強化している。
2023年1月1日から15日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2022.12 中国急増」の続き。なお、感染者数・重症者数・死者数のデータは、厚労省の発表と都道府県などの発表とで異なる場合があり、特に死者数は厚労省のデータを採用しています。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】
【1月1日】
●全国で8万6447人感染 空港検疫32人中28人が中国滞在歴
国内感染者は1月1日、新たに8万6447人が確認された。前週の同じ曜日(12月25日)より6万2365人少なかった。新たに発表された死者は180人だった。都道府県別の新規感染者は東京都が9186人で最も多く、次いで大阪府6214人、神奈川県5514人で続いた。一方、空港検疫などで確認された感染者は32人。このうち28人が中国に滞在歴がある人だった。中国での感染拡大を受けて、日本政府は12月30日から水際対策の強化を始めている。
1月1日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
【1月2日】
●7万5885人感染 空港検疫で84人確認
国内感染者は2日、新たに7万5885人が確認された。都道府県別では、東京都が7537人で最も多く、次いで神奈川県4987人、大阪府4980人、愛知県4252人。死者は全国で244人。死者が最も多かったのは東京都で24人、大阪府20人、神奈川県17人と続いた。空港検疫などで確認された感染者は84人で、うち82人が中国に滞在歴がある人だった。
【1月3日】
●中国 年末年始の国内旅行客、感染拡大前の4割余にとどまる
中国政府は、31日から1月2日までの3連休に国内を旅行した人がのべ5271万人余りと、「ゼロコロナ」政策前の年の同じ時期に比べて0.4%増加したと発表した。しかし、新型コロナ以前の4年前の同じ時期と比べると4割余りにとどまり、依然として低い水準。今月21日からは旧正月の「春節」にあわせた7日間の大型連休が始まり、感染拡大で医療体制の逼迫が深刻になっている地方都市や農村部では、医療機関が薬の調達を急ぐなど対応に追われている。
●9万448人感染 コロナ209人死亡
国内感染者は3日、新たに9万448人が確認された。死亡が確認されたのは209人だった。都道府県別の最多は東京都の9628人。次いで大阪府6355人、愛知県4850人、神奈川県4828人と続いた。空港検疫などで確認されたのは26人で、全員が中国滞在歴あり。中国での感染拡大を受けて政府は昨年12月30日から中国からの入国者に感染検査を実施しており、水際対策の強化が影響したとみられる。
【1月4日】
●政府 中国本土からの入国者の水際措置、8日からさらに強化へ
中国の感染状況などを踏まえ、政府は臨時的な水際措置を今月8日からさらに強化することになった。具体的には中国本土からの入国者について、精度が高い「抗原定量検査」やPCR検査に切り替えるとともに、直行便での入国者に対し、出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明を求めるとしている。また、中国本土からの国際線を成田、羽田、関空、中部空港の4つに限定し、増便を行わないよう航空会社に要請する措置を継続する。
中国外務省の毛報道官は、4日の記者会見で「政治化したり、差別的なやり方をしたりすべきではなく、正常な人的往来や交流と協力に影響を及ぼすこともすべきでない」と反発した。毛報道官は3日の会見でも、われわれは断固として反対を表明すると反発し、過度な水際措置をとった場合には対抗措置をとる考えを示していた。
【1月5日】
●香港政府 中国本土との往来制限、今月8日から緩和
香港政府は、新型コロナ対策としておよそ3年にわたって続けてきた中国本土との往来の制限について、今月8日から隔離措置なしでの往来を7か所の境界で再開すると発表した。混乱を避けるため、一日の往来の人数を香港から本土へは6万人、本土から香港へは5万人に制限し、状況を見ながら再開する境界や往来の人数を増やしていくとしている。香港日本人商工会議所の伊藤事務局長は、物流の面でも制限の緩和が進むことに期待を示しました。
●インフルエンザ、全国的な流行期に コロナと同時流行懸念
インフルの患者数は、先月25日までの1週間で全国で流行期入りの目安を超えた。全国的な流行期に入るのは、新型コロナ感染拡大が始まって以降、今シーズンが始めて。東京都内の小児科クリニックでは、発熱してもどちらに感染しているかわからないという保護者の声が聞かれた。コロナ禍以降インフルの流行がなく、免疫力が落ちているため徐々に感染者数が増えているうえ、このところ乾燥状況が続き、寒さも厳しい影響で、さらに感染しやすい状態になっているという。
インフル流行期入り(先月25日までの1週間) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
●感染12県で最多 正月明け 受診集中か
新規感染者数は、5日で新たに23万1053人が確認され、西日本を中心に大分県、宮崎県、岐阜県、鹿児島県、群馬県、島根県、岡山県、山口県、佐賀県、熊本県、香川県、愛媛県の12県で過去最多を更新した。死者数は国内過去最多の498人、9県で過去最多だった。ただ、年末年始に多くの医療機関が休業していたため、報告や検査が休み明けに集中した影響が考えられる。都道府県別で感染者数の最多は東京都で2万735人。大阪府1万5772人、愛知県1万3174人と続いた。
1月5日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
1月5日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
【1月6日】
● 中国から日本に入国、陽性408人 年末年始水際対策、明日から強化
新型コロナの感染が拡大する中国からの入国者について、厚労省は6日、昨年12月30日~今年1月5日の検査結果を公表した。4895人に検査し、408人が陽性だった(陽性率は8.3%)。中国では大規模な感染が続いているとされるが、政府は実態が分からなくなっているとみており、8日から水際対策を強化する。
●新型コロナ感染者の葬儀で新指針 最後の別れができるように
新型コロナに感染して亡くなった人の葬儀などに関する国のガイドラインについて、厚労省と経産省はこれまでの制限を緩和する見直しを行い、6日に公表した。この見直しで、「納体袋」は必要ないとしているほか、触れたあとに適切に手洗いをすれば遺体に触れることができるとしている。厚労省は新たなガイドラインをホームページに掲載することにしている。加藤厚労相は6日の記者会見で「基本的にはコロナ以外で亡くなった人と同様の対応になる」と述べた。
●死者、最速ペースで6万人目前 正月明け、医療切迫
新型コロナの感染拡大が止まらない。感染者数は6日、累計で3千万人を超えた。死者数も1カ月余りで1万人近く増え、過去最速のペースで6万人に迫る。専門家は「対策の緩和や気の緩みが影響している」と指摘する。地方での感染拡大も顕著で、医療現場も切迫してきている。死者の大半は高齢者。80代以上が約68%、70代が約20%、60代が約7%だった。
【1月7日】
●米でオミクロン株の1つ「XBB.1.5」、急速に拡大 感染力強いか
米国CDC(疾病対策センター)はこのほど、今月7日までの1週間に新型コロナに新たに感染した人のうち推計で27.6%が「XBB.1.5」に感染したと発表した。ほかの変異ウイルスが先月下旬から減少する中、「XBB.1.5」は先月3日の時点の推計2.3%からこの1カ月で急速に広がり、中でも東部地域では全体の7割を超えている。ほかの変異ウイルスと比べ感染を広げる力はより強いとみられ、ワクチン接種など対策を続けるよう呼びかけている。
●オミクロン株「XBB」、免疫をすり抜ける力強い 東大など分析
「XBB」というウイルスは、免疫をすり抜ける力が強い一方、症状を引き起こす力は高まっていないと見られるとする分析結果を東京大学などのグループが発表した。「XBB」は、「BA.2」系統の2種類が組み合わさった「組み換え体」と呼ばれるタイプのウイルス。米国では先月下旬からこの系統のウイルスが検出される割合が増加している。
【1月8日】
●中国 「ゼロコロナ」政策終了 入国後の隔離などの措置を撤廃
中国政府は、8日から新型コロナの感染対策を大幅に見直し、入国後の隔離や患者の強制的な隔離などの措置を撤廃した。これにより、「ゼロコロナ」政策は終了する。ワクチン接種の推進や医療体制の充実などを通じてこれまでの「予防」から今後は「治療」に重点を置くとしている。一方、中国人の海外旅行については段階的に再開させていく方針だが、中国政府は国内の旅行会社に対して団体旅行の受け付けや旅行商品の販売を禁止したまま。今のところ解禁時期を示していない。
●中国の情報公開に不信感 各国、渡航者の検査厳格化
中国が8日、入国時の隔離撤廃に踏み切り、中国からの出国が増えると予想される。日本政府は8日、中国本土から直行便で来日する渡航者に対し、出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明の提出を求める措置を始めた。昨年12月30日から入国時に検査をしていたが、より精度の高いPCR検査などに切り替えた。米国や欧州主要国などの主要7カ国(G7)はいずれも、こうした対策をとっている。背景にあるのは、情報公開に消極的な中国への不信感。
●ウルムチの数字重視 新華社 転換の背景説明
中国国営新華社通信は8日、約3年にわたって続いた「ゼロコロナ」政策を急転換した背景記事を配信した。当時、中国ではロックダウンでも抑えられない地域が出ていた。拡大が深刻だった新疆ウイグル自治区ウルムチ市などで無症状や軽症が9割以上、重症は1%前後にとどまるとのデータも重視され、オミクロン株の抑え込みが限界に来て社会的コストが膨らんでいるとの認識に加え、経済への影響や社会不満の拡大を踏まえ、12月6日の党政治局会議で習近平国家主席ら判断したと強調した。
●専門家「実際にはすでに過去最大の感染状況か」
新型コロナに感染して亡くなった人の数が連日過去最多となり、急増している。専門家は「全数把握は完全には行われておらず、実際にはすでに第7波のピークを超える過去最大の感染となっていて、高齢者の感染が多いことも死者数も過去最多となっている」と指摘。「増加傾向は今後も続くとみるべき」と述べた。また、米国ではオミクロン株の1つ「XBB.1.5」がこの1か月で急速に拡大や、中国「ゼロコロナ」政策終了など、日本などへの影響が懸念される。
●コロナ死者6万人超す
新型コロナに感染し、国内で亡くなった人の累計(クルーズ船を含む)が8日、6万人を超えた。8日、新たに301人の死亡が確認され、6万206人となった。国内の死者数は2021年4月に1万人に達し、その後は1万人ごとに3~10カ月のペースで増えてきたが、5万人を超えた先月1日から1カ月余りで6万人に達した。8日の死者の都道府県別の最多は大阪府の29人で、東京都が28人、埼玉県が23人と続いた。宮崎県は11人で、過去最多を更新した。
【1月9日】
●中国 抗原検査キット工場 人員削減で大規模抗議 警察と衝突
中国で「ゼロコロナ」政策が終了し新型コロナ検査が大幅に減るなか、中国内陸部の重慶にある検査キットを製造する工場で労働者が7日、人員削減などをめぐって大規模な抗議活動を行い警察と衝突する事態となった。中国では8日から感染者を把握するためのPCR検査や抗原検査は行われなくなった。検査は発熱の症状を訴える患者や医療関係者などに限定している。工場の業績の悪化が人員削減などにつながり、今回の抗議活動を招いたとみられる。
●全国で9万2724人が感染、死者は258人
国内感染者は9日、新たに9万2724人が確認された。前週の同じ曜日(2日)より1万6810人多かった。死者は258人だった。都道府県別で新たな感染者が最も多かったのは東京都で8199人。9日までの週平均の感染者は、1万4941・4人で前週(1万4730・7人)の101・4%だった。神奈川県6755人、大阪府5661人、静岡県5404人と続いた。
1月9日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
【1月10日】
●中国 日本人向けビザ停止、水際対策強化に対抗か
在日中国大使館は10日夜、日本人に対するビザの発給を同日から一時的に停止すると発表。再開の時期については、改めて通知するという。中国からの渡航者に対して、日本政府が水際対策を強めていることへの対抗措置とみられる。中国外務省の汪副報道局長は10日午後の定例会見で、「一部の国が中国に対し差別的な入国制限措置を取っている。中国は断固として反対し、対等な措置を取る」と述べた。日本と明言しなかったが、入国制限への対抗措置だとにじませた。
●新型コロナ・インフル同時感染 専門家「重症化しやすい」
専門家はまれなケースとしながらも、仮にコロナとインフル同時感染した場合には重症化しやすいと指摘している。厚労省によると今月1日までの1週間に全国およそ5千か所の医療機関から報告されたインフル患者数は、前の週より3665人多い9768人。インフルは、1医療機関当たりの1週間の患者数が全国で1人を超えると「全国的な流行期」入りとされ、今回は2.05人で前週の1.24人より高くなり、引き続きこの目安を超えている。
地域別では、沖縄県が9.89人と最も高く、次いで富山県5.96人、福岡県4.19人、大阪府3.73人、神奈川県3.70人、宮崎県3.29人などと30の都道府県で「1人」を上回っている。
●都医師会長「医療など厳しい状況、今からでもワクチン接種を」
東京都医師会の尾崎会長は、10日の定例会見で、現在の感染状況について「年末年始の休みの影響があす以降に出てくると思うが、まだ油断できない。行動制限のない社会の一方で、医療や救急、介護の現場は非常に厳しい状況が続いている」と説明。感染者数を減らすための対策として、「予防の柱はワクチン接種。若い人をはじめ、打っていない人は今からでも遅くないので、少なくとも3回は接種してほしい」と訴えた。
●「全国旅行支援」再開 旅行代金割引率、20%に引き下げ
去年10月にスタートし年末年始は外れていた「全国旅行支援」は、10日から再開された。旅行代金の割引率は、これまでの40%から20%に引き下げられる。割引を受けられる金額の上限も引き下げられ、宿泊と交通機関での移動がセットになった旅行商品は、1人1泊当たり5000円、日帰り旅行や宿泊施設のみの利用は3000円が上限。土産物店などで使えるクーポン券は、1人当たり平日は2000円分、休日は1000円分を受け取ることができる。3月までは実施できる見通し。
【1月11日】
●日本、撤回求める 中国、対抗と明言 ビザ発給停止、企業を懸念
中国政府が日本人へのビザ発給を一時停止した措置を受け、松野官房長官は11日、外交ルートを通じて抗議し撤回を求めたことを明らかにした。だが、中国の国家移民管理局は11日、「中国人に対する差別的な入国制限」と指摘。中国国内でのトランジットの際に日本人に認めてきた72~144時間のビザ免除措置も停止すると追加措置を発表した。
ビザ停止が長引けば、中国で事業展開する企業などに影響が出かねない。中国の措置に、国際社会や企業から懸念の声があがる。国連の報道官は10日、「旅客審査に関わる決定は科学的根拠に基づくことが重要」と述べ、中国の対応を疑問視した。
●専門家組織「死者数の過去最多続き今後も増加懸念」
11日の専門家会合は、現在の感染状況について、全国では年末年始に一時的に減ったあと、再び増加傾向が続いていて、特に西日本では、増加の幅が大きくなっているとしている。死亡者数は、過去最多を超える状況が続き、高齢者施設や医療機関での集団感染も増加傾向にある。また病床使用率は、多くの地域で5割を超え、7割を超える地域もみられるほか、救急搬送が困難なケースも去年夏の第7波のピークを超えて、増加傾向が続いており、救急医療体制の確保に注意が必要だとした。
今後も多くの地域で感染者数の増加傾向が続くと予測され、ワクチンの接種や感染から時間がたって免疫のレベルが下がることや、より免疫を逃れやすいとされるオミクロン株の「BQ.1」系統の割合が国内でも増加していること、それに、中国での感染拡大や、国内に流入した場合に、感染状況に与える影響にも注意が必要だと指摘した。さらに、季節性インフルも全国で流行期に入っていて、学校の再開後に新型コロナとインフル同時流行に注意が必要としている。
●1か月余りで死者1万人超 その背景は
新型コロナに感染して亡くなった人の数は感染拡大の第8波で急増し、先月以降の1か月余りで全国で1万人を超えている。感染して亡くなった人は10日までで累計6万411人だが、およそ6分の1の人が1か月余りの間に亡くなったことになる。また、先月7日から今月3日までのおよそ1か月間に亡くなった人のうち、高齢者が圧倒的に多い。60代以上の占める割合はこれまでの累計では95.29%だったが、このおよそ1か月の間では97.24%となっている。
また重症化した人の平均年齢は68.0歳、半数は73歳以上だが、亡くなった人の平均年齢は83.1歳、半数は86歳以上とさらに高齢となっていた。専門家会合では高齢者施設で感染が拡大することで、亡くなる高齢者が今後もより増加するのではないかと懸念が指摘されている。厚労省のまとめでは、先月27日までの8日間に全国で確認されたクラスターの数は1430件、このうち高齢者福祉施設でのクラスターは954件と全体の66%を占めて施設別で最も多くなっている。
●専門家「第7波を超えるような感染 見えなくなっている」
先月以降、死亡者数が急増していることについて東京医科大学の濱田特任教授は、重症化する割合は以前より低くなっていても感染者数自体が多くなっている。「去年に比べて全数把握が行われなくなり、実際には第7波を超えるような感染が起きている状況が見えなくなっている。死亡者についてはある程度正確に把握できていて、死亡者数が過去最多の状況になっている」と指摘した。
また高齢者で、コロナに感染することで血管障害が起き、心筋梗塞や脳梗塞が原因で亡くなる事が分っており、持病などが悪化して亡くなるケースが増えていること、高齢者のオミクロン株対応のワクチンの接種率が十分高くなっていないことがあるとしている。
●高齢者施設クラスター、第7波のピーク前後の水準
厚労省によると、9日までの6日間に全国で確認された「高齢者福祉施設」でのクラスターなどは合わせて722件。過去最多となった去年12月25日までの週の954件より200件余り減ったが、年末年始を挟んだ今月3日までの週は861件と第7波のピークだった8月の850件を上回っていて、面会制限など厳しい対策が行われている介護の現場で、依然として逼迫した感染状況が続いている。
●BCP研修に介護施設の応募殺到
クラスターが起きた場合でも、介護サービスを止めないために施設内での感染症の流行を想定したBCP(業務継続計画)の策定が、来年の春からすべての介護施設で義務づけられた。現在は「努力義務」となっていて、すでに計画を作る施設がある一方、「どうすればいいかわからない」という施設も多く、国の調査では全体の4分の3の施設で策定できていないという。そこで、厚労省は12月からコロナ感染症のBCP策定について介護施設向けのオンライン研修を開いている。
●新規感染者数、すべての都道府県で前週より増加
厚労省の専門家組織の会合で示された資料による、10日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.28倍と増加し、すべての都道府県で前の週より感染者数が増えている。首都圏の1都3県では東京都が1.13倍、神奈川県1.16倍、埼玉県1.23倍、千葉県1.26倍と増加している。西日本を中心に増加の幅が大きくなっていて、すべての都道府県で前の週と比べて増加している。
人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、宮崎県が1897.76人と全国で最も多く、次いで、佐賀県1701.29人、山口県1541.06人、鳥取県1505.40人などと22の県で1000人を超えていて、そして全国では934.24人となっている。
●コロナ死者 初の500人超え
国内感染者は11日、新たに20万3393人が確認された。死者は520人で、初めて500人を超え、過去最多となった。これまでの死者の最多は1月5日の498人。11日、死者数が最も多く確認されたのは福岡の45人。死者数が過去最多となったのは、山梨、静岡、三重、滋賀、愛媛、高知、福岡、大分、宮崎の9県。
死者数の7日間平均は、昨年12月25日に293.1人を記録し、「第7波」ピークだった9月3日の293人を超えた。年末年始に一時減ったが、今年1月7日に333.1人、10日に376.9と過去最多を更新し続けている。
【1月12日】
●「XBB.1.5」米で急増 免疫から逃れる能力高く
WHOは11日、米国で急速に増えている新型コロナの変異株「XBB.1.5」についてのリスク評価を発表した。比較的感染力が強く、感染力や既存の免疫から逃れる能力が高いとみられ、「世界の症例数増加の要因になるかもしれない」としている。XBB.1.5は、別々の系統のウイルスが組み合わさった「組み換え体」ウイルス。もとになった二つの系統は、オミクロン株「BA.2」から別々に派生したもの。WHOは、XBB.1.5そのものも、オミクロン株のひとつに含めている。
米国では昨年末から、この変異株への感染者が急増した。米CDCによると、昨年12月10日までの1週間で、米国内での検出割合は4.3%ほどだったが、1月7日までの1週間では27.6%にまで増えた。WHOのリスク評価によると、ワクチン接種などでできた中和抗体が、XBB.1.5に対しては効きにくくなっている、という実験結果も報告されている。
XBB.1.5初期調査の結果(WHO) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
●都内 オミクロン株「BA.5」、割合減少 新たな変異ウイルスに警戒
12日、東京都のモニタリング会議が都庁で開かれ、専門家は4段階のうち感染状況は上から2番目、医療提供体制は最も深刻なレベルを維持した。また、会議では去年1年間のゲノム解析の最新結果が報告された。それによると、9月には全体の98.4%を占めたオミクロン株「BA.5」の割合が、先月には60.6%にまで減少した一方、新たな変異ウイルスの割合が増えている。
このうち、米国で急速に感染が広がっているオミクロン株の1つ「XBB.1.5」は、先月1日に初めて都内で確認されて以降、これまでに15例確認されている。専門家は「置き換わりが進む過程で、新規感染者数が急激に増えることに警戒が必要だ」と話している。
【1月13日】
●mRNAコロナワクチン 第一三共が承認を申請 国内の製薬会社で初
第一三共は、開発を進めてきた新型コロナのmRNAワクチンについて13日、厚労省に承認申請を行ったと発表した。従来型コロナに対応した成分が含まれていて、18歳以上を対象に3回目の接種を想定している。国内の製薬会社が開発したワクチンの承認申請は、塩野義製薬の「組み換えたんぱく質ワクチン」に続いて2例目、ファイザーなどと同様のmRNAタイプの承認申請は初めて。第一三共は「オミクロン株に対応したワクチンの開発も引き続き進める」とコメントしている。
●都内大学病院コロナ病棟 看護師不足、第8波の感染で欠勤相次ぐ
東京・板橋区にある日大医学部附属板橋病院は、中等症や重症の患者に対応していて、これまでの感染拡大の際には、ほかの病棟を一時的に閉鎖してコロナ対応に当たる看護師を確保し、コロナ病床を最大で60床確保してきた。今回の第8波では、スタッフの感染が相次ぎ、新型コロナの専門病棟で働く看護師が不足し、確保している病床の7割ほどしか入院患者を受け入れられない状況になっている。
【1月13日】
●感染者・死者数、更新止める 中国
中国疾病予防コントロールセンターが、毎日公表していた新型コロナの新規感染者数と死者数について、今月9日を最後に情報更新を止めた。WHOは「死者数が過少に報告されている」と指摘し、中国で感染拡大が続きデータ共有を求めているが、実態の不透明さがさらに増している。中国当局は昨年12月下旬、コロナの感染状況に応じて発表の頻度を調整し、「最終的には月1回にする」と表明していた。今後、どういったタイミングと頻度で情報を公開するのかは不明。
●コロナ補助金、病院黒字化 検査院調査 病床使用、5割以下で交付も
新型コロナ関連の補助金を受けた医療機関の収支を会計検査院が調べたところ、2021年度は平均約7億円の黒字だった。病床確保のための補助金が収支改善につながった形。一方、補助金によって確保病床数は増えたものの、看護師不足などで実際に患者を受け入れた病床は多い時でも5~6割にとどまる。病床の稼働率が低い病院にも補助金が交付されていた実態があり、検査院は厚労省に対し、補助金の設定の検証などを求めている。
【1月14日】
●中国コロナ死者、1カ月で6万人と発表 これまでと違う基準で集計
中国の衛生当局は14日、昨年12月8日~今月12日に医療機関で亡くなった新型コロナに関連する死者数が5万9938人だったと明らかにした。これまでは独自の基準をもとに、この期間の1日あたりの死者数をゼロ~数人と発表していた。WHOから「死者数が過少に報告されている」と指摘されるなど、国際社会から情報公開のあり方に疑義が出ていた。
中国当局はこれまで、主な死因がコロナ感染後の基礎疾患の悪化だった患者など、コロナ感染によって引き起こされた肺炎や呼吸不全以外が死因だった場合は、死者として集計していなかった。だが14日の会見では、コロナに起因する呼吸不全による死者が5503人、基礎疾患との合併症による死者が5万4435人だとした。
【1月15日】
●新型コロナ国内初確認から3年 「不安だ」、依然84% NHK世論調査
新型コロナ感染が国内で初めて確認されてから15日で3年となる。NHKは去年11月1日から12月6日にかけて全国の18歳以上3600人を対象に郵送法で世論調査を行った。感染拡大が「不安だ」という人は依然84%と多いものの、3年前に行った調査からは1割ほど減っていて、とくに若い世代では不安を感じる度合いが大きく減少、高齢者は減少の割合が少ないことが分かった。
NHK世論調査「感染拡大 不安だ」年代別 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
●政府への今後の対策 法律上の扱いの賛否 NHK世論調査
コロナ対策として今後、政府に最も力を入れてほしいことは、「治療薬やワクチンの開発」が49%で最も多く、次いで「経済的な支援」20%、「治療体制の拡充」15%、「検査体制の拡充」5%などとなった。「感染対策」と「経済活動の回復」のどちらに力を入れるべきか聞いた設問では、「感染対策」が39%、「経済活動」が60%だった。特に若い世代ほど経済活動の回復を重視する傾向が見られた。
新型コロナの法律上の扱いを、季節性インフルと同じ位置づけに引き下げることの賛否について聞いたところ、「賛成」と「どちらかといえば賛成」が合わせて59%、「どちらかといえば反対」と「反対」が合わせて40%。性別や年齢別では、男性は18歳から50代、女性は30代で『賛成』の人が70%以上を占めた。
●国内415人死亡 10万8281人感染
厚生労働省によると、15日発表した国内の新たな感染者は空港の検疫などを含め10万8281人。また国内で亡くなった人は、大阪府で36人、愛知県で35人、東京都で34人、神奈川県で31人、埼玉県で23人など、あわせて415人、累計で6万2679人。また、人工呼吸器やECMOをつけたり、集中治療室などで、治療を受けたりしている重症者は、672人。14日と比べて21人減った。
以下6枚の図は1月15日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
●東京都、34人死亡 8269人感染確認 4日連続前週比
厚生労働省は15日、都内で新たに8269人が新型コロナに感染していることを確認したと発表した。1週間前の日曜日より6855人減った。前の週の同じ曜日を下回るのは4日連続。また、人工呼吸器かECMOを使っている重症の患者は14日より3人減って43人。一方、感染が確認された34人が死亡した。
1月15日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
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