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2023年1月の3件の投稿

2023年1月16日 (月)

新型コロナ2023.01 死亡急増

 2023年1月15日で、新型コロナウイルス感染症の初確認から3年になる。「第8波」の新規感染者数は、年末年始に一時的に減ったあと、再び増加傾向が続いていて、特に中国・四国、九州などでは増加幅が大きく、季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行が始まっている。死亡者数は、第7波のピークを越え、過去最多を超える急増状況が続いている。一方、中国では「ゼロコロナ」政策の極端な変更によって感染が爆発的に拡大し、各国は水際対策を強化している。

 2023年1月1日から15日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2022.12 中国急増」の続き。なお、感染者数・重症者数・死者数のデータは、厚労省の発表と都道府県などの発表とで異なる場合があり、特に死者数は厚労省のデータを採用しています。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】

 

【1月1日】

●全国で8万6447人感染 空港検疫32人中28人が中国滞在歴

 国内感染者は1月1日、新たに8万6447人が確認された。前週の同じ曜日(12月25日)より6万2365人少なかった。新たに発表された死者は180人だった。都道府県別の新規感染者は東京都が9186人で最も多く、次いで大阪府6214人、神奈川県5514人で続いた。一方、空港検疫などで確認された感染者は32人。このうち28人が中国に滞在歴がある人だった。中国での感染拡大を受けて、日本政府は12月30日から水際対策の強化を始めている。

 1月1日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【1月2日】

●7万5885人感染 空港検疫で84人確認

 国内感染者は2日、新たに75885人が確認された。都道府県別では、東京都が7537人で最も多く、次いで神奈川県4987人、大阪府4980人、愛知県4252人。死者は全国で244人。死者が最も多かったのは東京都で24人、大阪府20人、神奈川県17人と続いた。空港検疫などで確認された感染者は84人で、うち82人が中国に滞在歴がある人だった。

【1月3日】

●中国 年末年始の国内旅行客、感染拡大前の4割余にとどまる

 中国政府は、31日から12日までの3連休に国内を旅行した人がのべ5271万人余りと、「ゼロコロナ」政策前の年の同じ時期に比べて0.4%増加したと発表した。しかし、新型コロナ以前の4年前の同じ時期と比べると4割余りにとどまり、依然として低い水準。今月21日からは旧正月の「春節」にあわせた7日間の大型連休が始まり、感染拡大で医療体制の逼迫が深刻になっている地方都市や農村部では、医療機関が薬の調達を急ぐなど対応に追われている。

●9万448人感染 コロナ209人死亡

 国内感染者は3日、新たに9448人が確認された。死亡が確認されたのは209人だった。都道府県別の最多は東京都の9628人。次いで大阪府6355人、愛知県4850人、神奈川県4828人と続いた。空港検疫などで確認されたのは26人で、全員が中国滞在歴あり。中国での感染拡大を受けて政府は昨年1230日から中国からの入国者に感染検査を実施しており、水際対策の強化が影響したとみられる。

【1月4日】

●政府 中国本土からの入国者の水際措置、8日からさらに強化へ

 中国の感染状況などを踏まえ、政府は臨時的な水際措置を今月8日からさらに強化することになった。具体的には中国本土からの入国者について、精度が高い「抗原定量検査」やPCR検査に切り替えるとともに、直行便での入国者に対し、出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明を求めるとしている。また、中国本土からの国際線を成田、羽田、関空、中部空港の4つに限定し、増便を行わないよう航空会社に要請する措置を継続する。

 中国外務省の毛報道官は、4日の記者会見で「政治化したり、差別的なやり方をしたりすべきではなく、正常な人的往来や交流と協力に影響を及ぼすこともすべきでない」と反発した。毛報道官は3日の会見でも、われわれは断固として反対を表明すると反発し、過度な水際措置をとった場合には対抗措置をとる考えを示していた。

【1月5日】

●香港政府 中国本土との往来制限、今月8日から緩和

 香港政府は、新型コロナ対策としておよそ3年にわたって続けてきた中国本土との往来の制限について、今月8日から隔離措置なしでの往来を7か所の境界で再開すると発表した。混乱を避けるため、一日の往来の人数を香港から本土へは6万人、本土から香港へは5万人に制限し、状況を見ながら再開する境界や往来の人数を増やしていくとしている。香港日本人商工会議所の伊藤事務局長は、物流の面でも制限の緩和が進むことに期待を示しました。

●インフルエンザ、全国的な流行期に コロナと同時流行懸念

 インフルの患者数は、先月25日までの1週間で全国で流行期入りの目安を超えた。全国的な流行期に入るのは、新型コロナ感染拡大が始まって以降、今シーズンが始めて。東京都内の小児科クリニックでは、発熱してもどちらに感染しているかわからないという保護者の声が聞かれた。コロナ禍以降インフルの流行がなく、免疫力が落ちているため徐々に感染者数が増えているうえ、このところ乾燥状況が続き、寒さも厳しい影響で、さらに感染しやすい状態になっているという。

 インフル流行期入り(先月25日までの1週間) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●感染12県で最多 正月明け 受診集中か

 新規感染者数は、5日で新たに23万1053人が確認され、西日本を中心に大分県、宮崎県、岐阜県、鹿児島県、群馬県、島根県、岡山県、山口県、佐賀県、熊本県、香川県、愛媛県の12県で過去最多を更新した。死者数は国内過去最多の498人、9県で過去最多だった。ただ、年末年始に多くの医療機関が休業していたため、報告や検査が休み明けに集中した影響が考えられる。都道府県別で感染者数の最多は東京都で2万735人。大阪府1万5772人、愛知県1万3174人と続いた。

 1月5日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 1月5日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【1月6日】

● 中国から日本に入国、陽性408人 年末年始水際対策、明日から強化

 新型コロナの感染が拡大する中国からの入国者について、厚労省は6日、昨年12月30日~今年1月5日の検査結果を公表した。4895人に検査し、408人が陽性だった(陽性率は8.3%)。中国では大規模な感染が続いているとされるが、政府は実態が分からなくなっているとみており、8日から水際対策を強化する。

●新型コロナ感染者の葬儀で新指針 最後の別れができるように

 新型コロナに感染して亡くなった人の葬儀などに関する国のガイドラインについて、厚労省と経産省はこれまでの制限を緩和する見直しを行い、6日に公表した。この見直しで、「納体袋」は必要ないとしているほか、触れたあとに適切に手洗いをすれば遺体に触れることができるとしている。厚労省は新たなガイドラインをホームページに掲載することにしている。加藤厚労相は6日の記者会見で「基本的にはコロナ以外で亡くなった人と同様の対応になる」と述べた。

●死者、最速ペースで6万人目前 正月明け、医療切迫

 新型コロナの感染拡大が止まらない。感染者数は6日、累計で3千万人を超えた。死者数も1カ月余りで1万人近く増え、過去最速のペースで6万人に迫る。専門家は「対策の緩和や気の緩みが影響している」と指摘する。地方での感染拡大も顕著で、医療現場も切迫してきている。死者の大半は高齢者。80代以上が約68%、70代が約20%、60代が約7%だった。

【1月7日】

●米でオミクロン株の1つ「XBB.1.5」、急速に拡大 感染力強いか

 米国CDC(疾病対策センター)はこのほど、今月7日までの1週間に新型コロナに新たに感染した人のうち推計で27.6%が「XBB.1.5」に感染したと発表した。ほかの変異ウイルスが先月下旬から減少する中、「XBB.1.5」は先月3日の時点の推計2.3%からこの1カ月で急速に広がり、中でも東部地域では全体の7割を超えている。ほかの変異ウイルスと比べ感染を広げる力はより強いとみられ、ワクチン接種など対策を続けるよう呼びかけている。

●オミクロン株「XBB」、免疫をすり抜ける力強い 東大など分析

 「XBB」というウイルスは、免疫をすり抜ける力が強い一方、症状を引き起こす力は高まっていないと見られるとする分析結果を東京大学などのグループが発表した。「XBB」は、「BA.2」系統の2種類が組み合わさった「組み換え体」と呼ばれるタイプのウイルス。米国では先月下旬からこの系統のウイルスが検出される割合が増加している。

【1月8日】

●中国 「ゼロコロナ」政策終了 入国後の隔離などの措置を撤廃

 中国政府は、8日から新型コロナの感染対策を大幅に見直し、入国後の隔離や患者の強制的な隔離などの措置を撤廃した。これにより、「ゼロコロナ」政策は終了する。ワクチン接種の推進や医療体制の充実などを通じてこれまでの「予防」から今後は「治療」に重点を置くとしている。一方、中国人の海外旅行については段階的に再開させていく方針だが、中国政府は国内の旅行会社に対して団体旅行の受け付けや旅行商品の販売を禁止したまま。今のところ解禁時期を示していない。

●中国の情報公開に不信感 各国、渡航者の検査厳格化

 中国が8日、入国時の隔離撤廃に踏み切り、中国からの出国が増えると予想される。日本政府は8日、中国本土から直行便で来日する渡航者に対し、出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明の提出を求める措置を始めた。昨年12月30日から入国時に検査をしていたが、より精度の高いPCR検査などに切り替えた。米国や欧州主要国などの主要7カ国(G7)はいずれも、こうした対策をとっている。背景にあるのは、情報公開に消極的な中国への不信感。

●ウルムチの数字重視 新華社 転換の背景説明

 中国国営新華社通信は8日、約3年にわたって続いた「ゼロコロナ」政策を急転換した背景記事を配信した。当時、中国ではロックダウンでも抑えられない地域が出ていた。拡大が深刻だった新疆ウイグル自治区ウルムチ市などで無症状や軽症が9割以上、重症は1%前後にとどまるとのデータも重視され、オミクロン株の抑え込みが限界に来て社会的コストが膨らんでいるとの認識に加え、経済への影響や社会不満の拡大を踏まえ、12月6日の党政治局会議で習近平国家主席ら判断したと強調した。

●専門家「実際にはすでに過去最大の感染状況か」

 新型コロナに感染して亡くなった人の数が連日過去最多となり、急増している。専門家は「全数把握は完全には行われておらず、実際にはすでに第7波のピークを超える過去最大の感染となっていて、高齢者の感染が多いことも死者数も過去最多となっている」と指摘。「増加傾向は今後も続くとみるべき」と述べた。また、米国ではオミクロン株の1つ「XBB.1.5」がこの1か月で急速に拡大や、中国「ゼロコロナ」政策終了など、日本などへの影響が懸念される。

●コロナ死者6万人超す

 新型コロナに感染し、国内で亡くなった人の累計(クルーズ船を含む)が8日、6万人を超えた。8日、新たに301人の死亡が確認され、6万206人となった。国内の死者数は2021年4月に1万人に達し、その後は1万人ごとに3~10カ月のペースで増えてきたが、5万人を超えた先月1日から1カ月余りで6万人に達した。8日の死者の都道府県別の最多は大阪府の29人で、東京都が28人、埼玉県が23人と続いた。宮崎県は11人で、過去最多を更新した。

【1月9日】

●中国 抗原検査キット工場 人員削減で大規模抗議 警察と衝突

 中国で「ゼロコロナ」政策が終了し新型コロナ検査が大幅に減るなか、中国内陸部の重慶にある検査キットを製造する工場で労働者が7日、人員削減などをめぐって大規模な抗議活動を行い警察と衝突する事態となった。中国では8日から感染者を把握するためのPCR検査や抗原検査は行われなくなった。検査は発熱の症状を訴える患者や医療関係者などに限定している。工場の業績の悪化が人員削減などにつながり、今回の抗議活動を招いたとみられる。

●全国で9万2724人が感染、死者は258人

 国内感染者は9日、新たに9万2724人が確認された。前週の同じ曜日(2日)より1万6810人多かった。死者は258人だった。都道府県別で新たな感染者が最も多かったのは東京都で8199人。9日までの週平均の感染者は、1万4941・4人で前週(1万4730・7人)の101・4%だった。神奈川県6755人、大阪府5661人、静岡県5404人と続いた。

 1月9日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【1月10日】

●中国 日本人向けビザ停止、水際対策強化に対抗か

 在日中国大使館は10日夜、日本人に対するビザの発給を同日から一時的に停止すると発表。再開の時期については、改めて通知するという。中国からの渡航者に対して、日本政府が水際対策を強めていることへの対抗措置とみられる。中国外務省の汪副報道局長は10日午後の定例会見で、「一部の国が中国に対し差別的な入国制限措置を取っている。中国は断固として反対し、対等な措置を取る」と述べた。日本と明言しなかったが、入国制限への対抗措置だとにじませた。

●新型コロナ・インフル同時感染 専門家「重症化しやすい」

 専門家はまれなケースとしながらも、仮にコロナとインフル同時感染した場合には重症化しやすいと指摘している。厚労省によると今月1日までの1週間に全国およそ5千か所の医療機関から報告されたインフル患者数は、前の週より3665人多い9768人。インフルは、1医療機関当たりの1週間の患者数が全国で1人を超えると「全国的な流行期」入りとされ、今回は2.05人で前週の1.24人より高くなり、引き続きこの目安を超えている。

 地域別では、沖縄県が9.89人と最も高く、次いで富山県5.96人、福岡県4.19人、大阪府3.73人、神奈川県3.70人、宮崎県3.29人などと30の都道府県で「1人」を上回っている。

●都医師会長「医療など厳しい状況、今からでもワクチン接種を」

 東京都医師会の尾崎会長は、10日の定例会見で、現在の感染状況について「年末年始の休みの影響があす以降に出てくると思うが、まだ油断できない。行動制限のない社会の一方で、医療や救急、介護の現場は非常に厳しい状況が続いている」と説明。感染者数を減らすための対策として、「予防の柱はワクチン接種。若い人をはじめ、打っていない人は今からでも遅くないので、少なくとも3回は接種してほしい」と訴えた。

●「全国旅行支援」再開 旅行代金割引率、20%に引き下げ

 去年10月にスタートし年末年始は外れていた「全国旅行支援」は、10日から再開された。旅行代金の割引率は、これまでの40%から20%に引き下げられる。割引を受けられる金額の上限も引き下げられ、宿泊と交通機関での移動がセットになった旅行商品は、1人1泊当たり5000円、日帰り旅行や宿泊施設のみの利用は3000円が上限。土産物店などで使えるクーポン券は、1人当たり平日は2000円分、休日は1000円分を受け取ることができる。3月までは実施できる見通し。

【1月11日】

●日本、撤回求める 中国、対抗と明言 ビザ発給停止、企業を懸念

 中国政府が日本人へのビザ発給を一時停止した措置を受け、松野官房長官は11日、外交ルートを通じて抗議し撤回を求めたことを明らかにした。だが、中国の国家移民管理局は11日、「中国人に対する差別的な入国制限」と指摘。中国国内でのトランジットの際に日本人に認めてきた72~144時間のビザ免除措置も停止すると追加措置を発表した。

 ビザ停止が長引けば、中国で事業展開する企業などに影響が出かねない。中国の措置に、国際社会や企業から懸念の声があがる。国連の報道官は10日、「旅客審査に関わる決定は科学的根拠に基づくことが重要」と述べ、中国の対応を疑問視した。

●専門家組織「死者数の過去最多続き今後も増加懸念」

 11日の専門家会合は、現在の感染状況について、全国では年末年始に一時的に減ったあと、再び増加傾向が続いていて、特に西日本では、増加の幅が大きくなっているとしている。死亡者数は、過去最多を超える状況が続き、高齢者施設や医療機関での集団感染も増加傾向にある。また病床使用率は、多くの地域で5割を超え、7割を超える地域もみられるほか、救急搬送が困難なケースも去年夏の第7波のピークを超えて、増加傾向が続いており、救急医療体制の確保に注意が必要だとした。

 今後も多くの地域で感染者数の増加傾向が続くと予測され、ワクチンの接種や感染から時間がたって免疫のレベルが下がることや、より免疫を逃れやすいとされるオミクロン株の「BQ.1」系統の割合が国内でも増加していること、それに、中国での感染拡大や、国内に流入した場合に、感染状況に与える影響にも注意が必要だと指摘した。さらに、季節性インフルも全国で流行期に入っていて、学校の再開後に新型コロナとインフル同時流行に注意が必要としている。

●1か月余りで死者1万人超 その背景は

 新型コロナに感染して亡くなった人の数は感染拡大の第8波で急増し、先月以降の1か月余りで全国で1万人を超えている。感染して亡くなった人は10日までで累計6万411人だが、およそ6分の1の人が1か月余りの間に亡くなったことになる。また、先月7日から今月3日までのおよそ1か月間に亡くなった人のうち、高齢者が圧倒的に多い。60代以上の占める割合はこれまでの累計では95.29%だったが、このおよそ1か月の間では97.24%となっている。

 また重症化した人の平均年齢は68.0歳、半数は73歳以上だが、亡くなった人の平均年齢は83.1歳、半数は86歳以上とさらに高齢となっていた。専門家会合では高齢者施設で感染が拡大することで、亡くなる高齢者が今後もより増加するのではないかと懸念が指摘されている。厚労省のまとめでは、先月27日までの8日間に全国で確認されたクラスターの数は1430件、このうち高齢者福祉施設でのクラスターは954件と全体の66%を占めて施設別で最も多くなっている。

●専門家「第7波を超えるような感染 見えなくなっている」

 先月以降、死亡者数が急増していることについて東京医科大学の濱田特任教授は、重症化する割合は以前より低くなっていても感染者数自体が多くなっている。「去年に比べて全数把握が行われなくなり、実際には第7波を超えるような感染が起きている状況が見えなくなっている。死亡者についてはある程度正確に把握できていて、死亡者数が過去最多の状況になっている」と指摘した。

 また高齢者で、コロナに感染することで血管障害が起き、心筋梗塞や脳梗塞が原因で亡くなる事が分っており、持病などが悪化して亡くなるケースが増えていること、高齢者のオミクロン株対応のワクチンの接種率が十分高くなっていないことがあるとしている。

●高齢者施設クラスター、第7波のピーク前後の水準 

 厚労省によると、9日までの6日間に全国で確認された「高齢者福祉施設」でのクラスターなどは合わせて722件。過去最多となった去年12月25日までの週の954件より200件余り減ったが、年末年始を挟んだ今月3日までの週は861件と第7波のピークだった8月の850件を上回っていて、面会制限など厳しい対策が行われている介護の現場で、依然として逼迫した感染状況が続いている。

●BCP研修に介護施設の応募殺到

 クラスターが起きた場合でも、介護サービスを止めないために施設内での感染症の流行を想定したBCP(業務継続計画)の策定が、来年の春からすべての介護施設で義務づけられた。現在は「努力義務」となっていて、すでに計画を作る施設がある一方、「どうすればいいかわからない」という施設も多く、国の調査では全体の4分の3の施設で策定できていないという。そこで、厚労省は12月からコロナ感染症のBCP策定について介護施設向けのオンライン研修を開いている。

●新規感染者数、すべての都道府県で前週より増加

 厚労省の専門家組織の会合で示された資料による、10日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.28倍と増加し、すべての都道府県で前の週より感染者数が増えている。首都圏の1都3県では東京都が1.13倍、神奈川県1.16倍、埼玉県1.23倍、千葉県1.26倍と増加している。西日本を中心に増加の幅が大きくなっていて、すべての都道府県で前の週と比べて増加している。

 人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、宮崎県が1897.76人と全国で最も多く、次いで、佐賀県1701.29人、山口県1541.06人、鳥取県1505.40人などと22の県で1000人を超えていて、そして全国では934.24人となっている。

●コロナ死者 初の500人超え

 国内感染者は11日、新たに20万3393人が確認された。死者は520人で、初めて500人を超え、過去最多となった。これまでの死者の最多は1月5日の498人。11日、死者数が最も多く確認されたのは福岡の45人。死者数が過去最多となったのは、山梨、静岡、三重、滋賀、愛媛、高知、福岡、大分、宮崎の9県。

 死者数の7日間平均は、昨年12月25日に293.1人を記録し、「第7波」ピークだった9月3日の293人を超えた。年末年始に一時減ったが、今年1月7日に333.1人、10日に376.9と過去最多を更新し続けている。

【1月12日】

●「XBB.1.5」米で急増 免疫から逃れる能力高く

 WHOは11日、米国で急速に増えている新型コロナの変異株「XBB.1.5」についてのリスク評価を発表した。比較的感染力が強く、感染力や既存の免疫から逃れる能力が高いとみられ、「世界の症例数増加の要因になるかもしれない」としている。XBB.1.5は、別々の系統のウイルスが組み合わさった「組み換え体」ウイルス。もとになった二つの系統は、オミクロン株「BA.2」から別々に派生したもの。WHOは、XBB.1.5そのものも、オミクロン株のひとつに含めている。

 米国では昨年末から、この変異株への感染者が急増した。米CDCによると、昨年12月10日までの1週間で、米国内での検出割合は4.3%ほどだったが、1月7日までの1週間では27.6%にまで増えた。WHOのリスク評価によると、ワクチン接種などでできた中和抗体が、XBB.1.5に対しては効きにくくなっている、という実験結果も報告されている。

 XBB.1.5初期調査の結果(WHO) 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●都内 オミクロン株「BA.5」、割合減少 新たな変異ウイルスに警戒

 12日、東京都のモニタリング会議が都庁で開かれ、専門家は4段階のうち感染状況は上から2番目、医療提供体制は最も深刻なレベルを維持した。また、会議では去年1年間のゲノム解析の最新結果が報告された。それによると、9月には全体の98.4%を占めたオミクロン株「BA.5」の割合が、先月には60.6%にまで減少した一方、新たな変異ウイルスの割合が増えている。

 このうち、米国で急速に感染が広がっているオミクロン株の1つ「XBB.1.5」は、先月1日に初めて都内で確認されて以降、これまでに15例確認されている。専門家は「置き換わりが進む過程で、新規感染者数が急激に増えることに警戒が必要だ」と話している。

【1月13日】

●mRNAコロナワクチン 第一三共が承認を申請 国内の製薬会社で初

 第一三共は、開発を進めてきた新型コロナのmRNAワクチンについて13日、厚労省に承認申請を行ったと発表した。従来型コロナに対応した成分が含まれていて、18歳以上を対象に3回目の接種を想定している。国内の製薬会社が開発したワクチンの承認申請は、塩野義製薬の「組み換えたんぱく質ワクチン」に続いて2例目、ファイザーなどと同様のmRNAタイプの承認申請は初めて。第一三共は「オミクロン株に対応したワクチンの開発も引き続き進める」とコメントしている。

●都内大学病院コロナ病棟 看護師不足、第8波の感染で欠勤相次ぐ

 東京・板橋区にある日大医学部附属板橋病院は、中等症や重症の患者に対応していて、これまでの感染拡大の際には、ほかの病棟を一時的に閉鎖してコロナ対応に当たる看護師を確保し、コロナ病床を最大で60床確保してきた。今回の第8波では、スタッフの感染が相次ぎ、新型コロナの専門病棟で働く看護師が不足し、確保している病床の7割ほどしか入院患者を受け入れられない状況になっている。

【1月13日】

●感染者・死者数、更新止める 中国

 中国疾病予防コントロールセンターが、毎日公表していた新型コロナの新規感染者数と死者数について、今月9日を最後に情報更新を止めた。WHOは「死者数が過少に報告されている」と指摘し、中国で感染拡大が続きデータ共有を求めているが、実態の不透明さがさらに増している。中国当局は昨年12月下旬、コロナの感染状況に応じて発表の頻度を調整し、「最終的には月1回にする」と表明していた。今後、どういったタイミングと頻度で情報を公開するのかは不明。

●コロナ補助金、病院黒字化 検査院調査 病床使用、5割以下で交付も

 新型コロナ関連の補助金を受けた医療機関の収支を会計検査院が調べたところ、2021年度は平均約7億円の黒字だった。病床確保のための補助金が収支改善につながった形。一方、補助金によって確保病床数は増えたものの、看護師不足などで実際に患者を受け入れた病床は多い時でも5~6割にとどまる。病床の稼働率が低い病院にも補助金が交付されていた実態があり、検査院は厚労省に対し、補助金の設定の検証などを求めている。

【1月14日】

●中国コロナ死者、1カ月で6万人と発表 これまでと違う基準で集計

 中国の衛生当局は14日、昨年12月8日~今月12日に医療機関で亡くなった新型コロナに関連する死者数が5万9938人だったと明らかにした。これまでは独自の基準をもとに、この期間の1日あたりの死者数をゼロ~数人と発表していた。WHOから「死者数が過少に報告されている」と指摘されるなど、国際社会から情報公開のあり方に疑義が出ていた。

 中国当局はこれまで、主な死因がコロナ感染後の基礎疾患の悪化だった患者など、コロナ感染によって引き起こされた肺炎や呼吸不全以外が死因だった場合は、死者として集計していなかった。だが14日の会見では、コロナに起因する呼吸不全による死者が5503人、基礎疾患との合併症による死者が5万4435人だとした。

【1月15日】

●新型コロナ国内初確認から3年 「不安だ」、依然84% NHK世論調査

  新型コロナ感染が国内で初めて確認されてから15日で3年となる。NHKは去年11月1日から12月6日にかけて全国の18歳以上3600人を対象に郵送法で世論調査を行った。感染拡大が「不安だ」という人は依然84%と多いものの、3年前に行った調査からは1割ほど減っていて、とくに若い世代では不安を感じる度合いが大きく減少、高齢者は減少の割合が少ないことが分かった。

 NHK世論調査「感染拡大 不安だ」年代別 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●政府への今後の対策 法律上の扱いの賛否 NHK世論調査

 コロナ対策として今後、政府に最も力を入れてほしいことは、「治療薬やワクチンの開発」が49%で最も多く、次いで「経済的な支援」20%、「治療体制の拡充」15%、「検査体制の拡充」5%などとなった。「感染対策」と「経済活動の回復」のどちらに力を入れるべきか聞いた設問では、「感染対策」が39%、「経済活動」が60%だった。特に若い世代ほど経済活動の回復を重視する傾向が見られた。

 新型コロナの法律上の扱いを、季節性インフルと同じ位置づけに引き下げることの賛否について聞いたところ、「賛成」と「どちらかといえば賛成」が合わせて59%、「どちらかといえば反対」と「反対」が合わせて40%。性別や年齢別では、男性は18歳から50代、女性は30代で『賛成』の人が70%以上を占めた。

●国内415人死亡 10万8281人感染

 厚生労働省によると、15日発表した国内の新たな感染者は空港の検疫などを含め10万8281人。また国内で亡くなった人は、大阪府で36人、愛知県で35人、東京都で34人、神奈川県で31人、埼玉県で23人など、あわせて415人、累計で6万2679人。また、人工呼吸器やECMOをつけたり、集中治療室などで、治療を受けたりしている重症者は、672人。14日と比べて21人減った。

 以下6枚の図は1月15日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●東京都、34人死亡 8269人感染確認 4日連続前週比

 厚生労働省は15日、都内で新たに8269人が新型コロナに感染していることを確認したと発表した。1週間前の日曜日より6855人減った。前の週の同じ曜日を下回るのは4日連続。また、人工呼吸器かECMOを使っている重症の患者は14日より3人減って43人。一方、感染が確認された34人が死亡した。

 1月15日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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2023年1月14日 (土)

新型コロナ2022.12 中国激増

 新型コロナウイルス感染症の拡大「第8波」が、11月から緩やかに始まった。11月下旬には北海道がピークを迎え減少に転じ始めるが、地域差はあるものの全国的には増加が続く。年末年始を迎え、この冬は季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行が懸念されている。全国の新規感染者は1日に20万人超、死者数の発表は29日に過去最多の420人、「第7波」を上回るペースで増えている。 

 中国の厳しい行動制限「ゼロコロナ」政策が終了し、大幅緩和による極端な政策変更によって感染が爆発的に拡大している。来月の「春節」の大移動に警戒が広がっている。

 2022年12月16日から31日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2022.12 中国緩和」の続き。なお、感染者数・重症者数・死者数のデータは、厚労省の発表と都道府県などの発表とで異なる場合があり、特に死者数は厚労省のデータを採用しています。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】

 

【12月16日】

●コロナ対策緩和の中国で感染拡大 日本人多い上海で警戒広がる

 中国では先週、政府が新型コロナの感染対策の緩和に踏み切ったあと、各地で感染者が増加しており、中国で最も多くの日本人が暮らす上海でも感染が広がり始めている。今のところ現地の日系企業では、感染対策として在宅勤務に切り替える動きが広がっている。上海の日本人学校は、14日からオンライン授業に切り替えた。中国では来月、人々の移動が活発になる旧正月の「春節」の時期を迎えることから、各地で感染拡大への警戒が広がっている。

●「BA.1」対応ワクチン副反応、従来型と割合「大差なし」 厚労省

 新型コロナのオミクロン株「BA.1」に対応するワクチンの副反応について厚労省の研究班は、「BA.1」対応ワクチンの調査対象者は従来型と比べてまだ少ないものの、現時点では副反応が起きる割合に大きな差はないとし、「感染や重症化を防ぐ効果が期待されるのでオミクロン株対応ワクチンの接種を検討してほしい」としている。

 また厚労省は、オミクロン株対応ワクチンを接種した17人の男女が死亡したと、16日明らかにした。いずれも接種との関連は評価中だとしている。オミクロン株対応ワクチンを接種後の死亡事例について、これまでに国が発表したのは合わせて19人。また、5歳から11歳の子どもを対象にした3回目のワクチン接種で今月13日、11歳の男子児童が死亡したと発表。子どもの3回目ワクチン接種で死亡事例を国が発表したのは合わせて3人。

●全国で新たに15万3477人確認 前週比11日連続増

 国内感染者は16日、新たに15万3477人が確認された。前週の同じ曜日(9日)より2万6196人多く、11日連続で前週を上回った。死者は259人。都道府県別で最多の東京都は新たに1万6273人が確認された。16日までの週平均の感染者数は1日あたり1万5191.0人で前週の121.8%。次いで神奈川県が1万61人、愛知県が9422人、大阪府が8725人と続いた。

 12月16日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【12月17日】

●中国政府、年末年始の帰省で農村部の感染拡大に警戒

 中国政府は今月7日、新型コロナの感染対策の緩和に踏み切り、省をまたいだ移動の制限がなくなった。17日から年末年始の3連休の鉄道の切符の販売が始まったが、中国メディアによると、大手旅行サイトでは、来月の旧正月の「春節」にかけての鉄道や飛行機のチケットを予約しようと、アクセス件数が急増しているという。帰省する人が大幅に増えるとみられ、国内で感染者の急増が続く中、中国政府は、医療体制がぜい弱な農村部への感染拡大に警戒を強めている。

●オミクロン株対応ワクチン 発症防ぐ効果71%

 国立感染研などはオミクロン株「BA.5」が主流となった9月から11月にかけて、関東地方の医療機関で新型コロナ検査を受けたおよそ4千人を対象に、陽性だった人と陰性だった人のワクチン接種歴を比較、分析した。その結果、従来型ワクチンを2回以上接種しオミクロン株対応ワクチンを追加接種した人は、発症を防ぐ効果は71%だった。「BA.1」と「BA.4」「BA.5」対応ワクチンとでは有効性に大差なく、今後はどのくらいの期間、効果が持続するのか調べる。

●感染15万人8809人 東京1万7020人

 国内感染者は17日、新たに15万8809人が確認された。前週の同じ曜日(10日)より2万2559人多く、12日連続で前週を上回った。都道府県別で最多の東京都は、新たに1万7020人が確認され、17日までの週平均の感染者数は、1日あたり1万5542.7人で前週の122.9%だった。次いで神奈川県が1万414人、愛知県が9908人、埼玉県が9219人。

【12月18日】

●中国、「働かされた」医学生が死亡 北京の火葬場、「パンク状態」

 四川省・成都の病院では13日、臨床実習を受けていた23歳の男子学生が突然倒れ、翌日死亡した。病院側は心疾患が原因としているが、地元メディアは人手不足の中、学生は発熱が続き陽性の疑いがあったにもかかわらず働かされていたと伝えている。江蘇省・南京でおよそ100人の学生が医師と同じ水準の待遇を求めるなど、抗議活動が各地で起きている。中国政府は、死者の人数を「ゼロ」と発表し続けているが、医療現場では混乱が広がっている。

 中国で、コロナ関連死とみられる死者が増えている模様。火葬場からは「パンク状態だ」と悲鳴が上がる。中国政府の18日の発表によると、前日の全土の新規感染者数は2097人。11月下旬の約4万人をピークに減少傾向だが、これは義務的なPCR検査をやめた影響が大きく、実態を反映していない。政府の感染症専門家は、国内のコロナ関連死が最大で67万人に達するとの見通しを示した。

●解熱鎮痛薬やせき止め、感染拡大で入手難しく 厚労省が供給支援

 医薬品の供給をめぐっては去年、ジェネリックへの業務停止命令などの行政処分が相次ぎ、薬局や医療機関で大規模な医薬品の供給不足が続いている。さらに新型コロナの感染拡大で医療用の解熱鎮痛薬やせき止めなどの需要が高まり、一部の医療機関や薬局では入手が難しくなっている。こうした中、厚労省は薬の安定供給に向けた支援として医療機関や薬局を対象にした相談窓口を新たに設けた。在庫があるほかの業者に販売を依頼するなど支援にあたる。

●コロナとインフルの同時検査、市販キットに課題

 新型コロナと季節性インフルの感染の有無を同時に検査できるキットについて、インターネットや薬局を通じた販売が解禁された。政府は重症化リスクが低い若い人に対し、まずコロナの抗原検査キットで自主検査し、陽性なら自宅療養、陰性で受診を希望する場合もオンライン診療などを活用するよう呼びかける。発熱外来の受診者が減ることを期待するが、使用方法や検査精度、流通量にそれぞれ課題があり、どこまで効果があるかは見通せない。

●感染13万5524人

 国内感染者は18日、新たに13万5524人が確認された。前週の同じ曜日(11日)より1万7011人多く、13日連続で前週を上回った。死者は232人だった。

【12月19日】

● 岸田内閣支持、急落31% 防衛増税「反対」、66%

 朝日新聞社は17、18の両日、全国世論調査(電話)を実施した。岸田内閣の支持率は31%(前回11月調査は37%)で、昨年10月の内閣発足以降最低となった。不支持率は57%(同51%)で、菅内閣、第2次~第4次安倍晋三内閣までさかのぼっても最高。防衛費の拡大については「賛成」46%、「反対」48%と割れた。1兆円増税に「反対」は66%で、このうち70%が岸田内閣を「支持しない」と答えた。

●雇用保険料0.2ポイント、来春に引き上げ 厚労省 コロナで財源枯渇

 厚労省の有識者検討会は19日、雇用保険料率を現在の1.35%から4月に1.55%へ引き上げる案を了承した。かつては雇用保険財政に余裕があったため暫定的に引き下げていたが、コロナ禍を受け、企業に休業手当を助成する雇用調整助成金の支出が急増し財源が枯渇したため、原則の料率に戻す。保険料率の引き上げは、月内にも労働政策審議会を開き、正式に決める。

【12月20日】

●重症化リスク低い患者はオンラインに

 厚労省は、重症化リスクが低い人は抗原検査キットで自分で検査し、陽性だった場合は各自治体の「健康フォローアップセンター」に登録して自宅療養することになるが、体調に変化を感じた場合は電話やオンラインでの受診を検討し、症状が重いと感じる場合などは発熱外来やかかりつけ医を受診するよう呼びかけている。オンラインでの診療を行っている医療機関は、都道府県や各自治体のウェブサイトに掲載されている。

●インフル同時流行に備え一日90万人診療できる体制に

 新型コロナとインフルの同時流行が起きた場合に備え、厚労省は一日に最大90万人の患者を診療できる体制が整ったとしていて、このうちの2万3000人の患者について電話やオンライン診療で対応するとしている。厚労省によると、同時流行のピーク時には都道府県の推計で81万人の患者が想定され、先月の時点で、一日最大で90万人の患者を診療できる体制が整ったという。

【12月21日】

●コロナ致死率、低下続く 今夏の60、70代 専門家会議で報告

 厚労省は21日、オミクロン株が流行した7、8月の60、70代の致死率が0.18%だったと公表した。デルタ株が流行した第5波(2021年7~10月)が1.34%、オミクロン株に変異した初期の第6波(2022年1、2月)は0.70%だったが、致死率は大きく下がってきている。コロナの致死率が下がった要因としては、ウイルスの変異やワクチン接種率の上昇があげられる。

 この日の資料では、季節性インフルの同年代の致死率も参考値として示され、0.19%だった。これに対し、専門家組織の脇田座長(国立感染研所長)は、「インフルと直接比較するのはデータのとりかたが違うため適切ではない」と話した。

●全国感染者、約4か月ぶりに20万人超

 厚労省によると、21日に発表した国内の新たな感染者は、空港の検疫などを含め20万6943人で、前の週の同じ曜日より1万6100人多くなった。国内の感染者が20万人を超えるのは、およそ4か月前の8月25日以来。また、国内で亡くなった人は、北海道で36人、東京都で20人、埼玉県で18人、大阪府で17人、福岡県で16人などの合わせて296人、累計で5万4026人となっている。また、重症者は、21日時点で530人、前日と比べて37人増えた。

 12月21日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 感染拡大の要因として、免疫をすり抜ける変異株への置き換わりや夜間の滞留人口の増加など。インフルの広がりも心配される。直近の1週間(5~11日)に全国約5千の医療機関から報告された患者数の平均は0.25人で流行期入りの目安となる1.00人を下回るが、前年同期の0.01人を大きく上回る。

●鳥取県、1582人感染確認 過去最多

 鳥取県は21日、過去最多となる1582人が新型コロナに感染していることが確認されたと発表。今月14日に発表された1365人を大きく上回った。これで県内の感染確認は10万人を超え、10万144人となった。また80代と90代の合わせて3人が死亡したと発表。県内で感染後に死亡した人は141人。入院している人は20日時点で163人で、重症はいない。病床使用率は46.4%。

 都道府県別の新規感染者の最多は、東京都で2万1186人。14日の感染者を2374人上回った。21日までの1週間の1日当たりの平均感染者数は1万6324.9人で前週の114.2%だった。2番目に多かったのは愛知県の1万2894人で、その次は大阪府の1万2225人だった。

 12月21日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【12月22日】

●東京都の医療提供体制、「最も深刻」 警戒レベル引き上げ

 東京都は22日、専門家によるモニタリング項目の分析結果を公表した。病床使用率は、21日時点で51.9%となり、今月14日以降50%を上回る日が続いている。専門家は「入院患者数は高い水準で推移し、重症患者数も大きく増加した」と分析。そのうえで、医療従事者の感染者や、一般の救急患者が増えていることも踏まえ、およそ3か月前の9月中旬以来の「医療提供体制が逼迫し始めている」として、4段階ある警戒レベルを1段引き上げ最も深刻なレベルとした。

 一方、感染状況については上から2番目を維持したものの、新規感染者の7日間平均は、21日時点で1万6324人と、先週に比べ2千人余り増。8週間連続して増えている。小池知事は都庁で記者団に対し、「コロナとインフルのツインデミックが懸念されており、まさに今、その入り口に入ったということだ」と述べ、ワクチンの接種や換気などの対策を呼びかけた。

【12月23日】

●中国、感染20日間で2.5億人? 内部会議で指摘「あくまで推計」

 中国政府が21日に開いた内部会議の議事録がSNSで出回り、12月1~20日の国内の感染者数が2億4800万人に達するとの推計が示された。会議で演説した国家衛生健康委トップの馬主任は「重症者の治療状況は非常に厳しい。特に来年1月下旬の「春節」の帰省者が増えることで、感染は医療基盤が弱い農村部へと広がる」と危機感を表明。各地の医療機関で発熱外来や入院患者を最大限受け入れるための準備を進めるよう指示した。

 さらに、政府が連日発表しているコロナ死者数が実態より少ないとの指摘についても言及。「死者が出ることは避けられないが、死因は医学の原則に基づき判定されなければならない。陽性を理由に、他の病気で亡くなった人すべてをコロナ死として申告することはできない」などと述べた。中国政府はコロナ政策を大幅に緩和した後、無症状感染者の公表をとりやめており、感染者数の全体像が示されなくなっている。

●中国の風邪薬不足、日本にも波及 都内で買いだめ 購入制限の店も

 中国で起きている新型コロナの感染爆発の余波が、日本にも及び始めた。症状の緩和に役立つとされる風邪薬が中国国内で品切れが深刻。親戚や友人のために海外で買いだめする動きが起きている。日本国内でも風邪薬などの買い占めが増えている。あるドラッグストアによると、12月以降、都内の店舗を中心に中国人とみられる外国人客が複数購入する動きが目に付くという。風邪薬の中でも、品薄感が強い「パブロンゴールドA」は訪日中国人に人気が高い。

●全国知事会 年末年始 コロナで医療逼迫懸念 国に緊急提言へ

 感染者数の増加傾向が続いている。こうした中、全国知事会は対策本部の会合を開き、年末年始に医療逼迫が懸念されることからワクチン接種の促進や、自宅療養者への支援体制の強化などを国に求める緊急提言をまとめた。

●「救急車の適正利用や自己検査を」 厚労省 年末年始、コロナとインフルに備え

 厚労省によると、年末年始は休診などで診療できる医療機関が平時の2割程度に減る見込み。冬場は救急搬送も多くなるため、加藤厚労相は23日、「年末年始に同時流行や感染拡大が生じた場合、一時的に発熱外来にかかりにくい状況も懸念される」と述べた。緊急性がなければ救急車ではなく、かかりつけ医や電話窓口「#7119」に相談。重症化リスクが低ければ、自己検査で療養、解熱鎮痛剤やキットの事前購入、帰省前の検査などを呼びかけた。

 コロナの病床使用率は全国的に上昇傾向で、北日本や関東を中心に5割を上回る。インフルは青森県、岩手県、東京都、神奈川県、富山県、熊本県の1都5県でで1週間の定点医療機関あたりの感染者数が1人を超えて流行期入りし、医療逼迫の懸念が高まっている。

●死者371人、1日あたり最多 岐阜県、「対策強化宣言」

 国内感染者は23日、新たに17万4082人確認された。死者は315人。感染者は1週間前(16日)より2万657人多かった。岐阜県は23日、感染レベルを「レベル3」に引き上げ、知事が独自に出せる「対策強化宣言」を全国で初めて発出した。期間は1月22日までで、強制力はない。

【12月24日】

●中国・青島、1日50万人感染 当局が異例の数字発表

 中国東部の山東省青島市の衛生当局幹部は23日、同市の1日あたりの新型コロナの新規感染者が50万人前後にのぼるとの推計を明らかにした。当局が数字を公に示すのは異例。今後、数日でさらに増加するとみている。青島市の人口は約1千万人(2020年時点)で、その5%前後が毎日感染していることになる。広東省東莞市の衛生当局も23日、SNSで市内の感染者が1日あたり25万~30万人の規模で増えているとの推計を明かした。

●コロナ、感染症法上の分類見直し 病原性など総合的に判断

 新型コロナは感染症法で「2類相当」に位置づけられるが、国は社会経済活動への影響を考慮し、季節性インフルなどと同じ「5類」への引き下げも含め議論を進めていている。これについて、自治体や医療関係者などが参加する厚労省の感染症部会が持ち回りで開かれ、事務局側が見直しに向けて考慮すべき要素を提示した。厚労省は年末年始の感染状況などを見極めたうえで、年明け以降見直しの方向性を判断する見通し。

【12月25日】

●中国政府 感染者数や死者数の情報、発表取りやめ

 中国の保健当局、国家衛生健康委員会は、毎日発表してきた新型コロナ感染者数や死者数の情報について、25日から発表を取りやめる。理由は明らかにしていない。中国政府は「多くの無症状の感染者がPCR検査を受けておらず、正確に実際の数を把握できない」として、今月14日から無症状の感染者数の発表を取りやめていた。

● 中国、コロナ「ゼロ」の反動 人口の50%感染予測

 ネットに出回った中国政府の内部資料によると、12月1~20日の感染者数の推計値は、14億人口の約18%に当たる2億4800万人。現在は、3億人を大きく超える計算。香港大学のコーリング教授(感染症学)は、「近いうちに全人口の50%が感染するだろう」、理由は「ゼロコロナ政策によってほとんどの人が感染したことがなく、免疫を持っていない」と解説。感染症専門家は、1人の感染者が平均何人にうつすかの「基本再生産数」は16~18と分析する。

 中国政府は、人口の9割以上がワクチンを2回接種したと強調する。しかし北里大の中山教授は、「武漢由来の株から作った中国製の不活化ワクチンは、いまのオミクロン株には効果がない」と見る。欧米などの「mRNA」に比べ、重症化や死亡を防ぐ有効性が劣るとされる。北京の主流は「BF.7」、全国的には「BA.5.2」の地域が多い。農工大の水谷教授は、「日本ではオミクロン対応の接種率も上がっており、日本に流入しても大勢に影響はない」と話す。

●春節に地方拡大を懸念

 上海のデータバンクは、中国の大手検索サイト「百度」のデータを用いて、都市ごとの感染の進行状況を予測している。北京市では12月17日に感染の第1波のピークが来て、25日までに人口の約55%が感染したと見込む。ただ、これから感染が広がる都市もある。浙江省の衛生当局は25日の会見で、省内の1日あたりの感染者はすでに100万人を超え、元日前後には200万人に達するとの見方を示した。

 懸念されるのが、医療体制がさらに脆弱な農村部に感染が拡大すること。中国疾病予防コントロールセンターの疫学専門家の呉氏は、今冬に計3回の流行の波があるとの見方を示す。現在の第1波は都市部が中心で、来年1月中旬まで続く。春節に合わせて人びとが地方に帰省する1月下旬~2月中旬に第2波が、人びとが帰省から戻る2月下旬~3月中旬に第3波が襲うと予測した。

●コロナ感染、全国で新たに14万8810人 20日連続で前週上回る

 国内感染者は25日、新たに14万8810人が確認された。前週の同じ曜日(18日)より1万3286人多く、20日連続で前週を上回った。新たに発表された死者は全国で306人。福島県では1日あたりの死者数が過去最多の8人となった。新規感染者が都道府県別で最も多かったのは、東京都で1万5403人。次いで、神奈川県が9784人、大阪府が8912人だった。

 12月25日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●院内感染相次ぎ、「超過入院」の医療機関も 熊本県

 熊本県では1日に4000人を超える感染者が確認されるなど急激に感染拡大している。コロナ以外の理由で入院している人に「院内感染」が広がるなどして「超過入院」の状態となっている医療機関は、22日の時点で21。コロナ患者のために確保していた病床の数をおよそ850から1000以上に増やすなど体制を強化してきたが、年末年始を含めた今後の医療提供体制を協議するため、25日、熊本市と合同で専門家で作る会議を開いた。

【12月26日】

●習氏、感染爆発後初の発言 毛沢東の「愛国衛生運動」呼びかけ

 習国家主席は26日、「愛国衛生運動を的を絞って展開しなければならない。人民が主体的に健康を学び、良好な衛生習慣を身につけるよう導く」と指示を出した。この中で、「現在、わが国の新型コロナ対策は新たな情勢と任務に直面している」との認識を示した。中国全土で感染が広がる中、毛沢東時代のスローガンを掲げて国民に一体になるよう呼びかけた。「愛国衛生運動」のスローガンは1952年に毛が呼びかけた歴史がある。

●年末逼迫に備え、オンライン診療 拡大急ぐ 同時流行も懸念

 厚労省は2日、同時流行に備えて「全国で1日最大90万人を診療できる態勢が整った」とした。その一つがオンライン診療の拡充。薬の処方も可能としている。東京都は、12日「臨時オンライン発熱診療センター」を開設した。千葉県は5日に「オンライン診療センター」を開設。福岡県も21日に自宅療養者向けに設けた。神奈川県は、オンライン診療拡充のため医療機関向けに最大30万円の補助を決めた。自治体のセンター開設とは別に、各医療機関でもオンラインが広がる。

●オンライン「一辺倒」、危惧も

 「オンライン一辺倒」を危惧する声もある。都医師会は、発熱する疾患は新型コロナやインフル以外にもあるため、まずは対面の受診を試み、予約できない場合にオンライン診療を受ける補完的活用を呼びかけている。心音確認などができず、医師が正確に症状をつかめない場合もあるから。同時流行が現実味を帯びる中、各地で自治体が協力金を支払い、年末年始に診療する医療機関を増やそうともしている。

●看護師などの感染増、医療逼迫の懸念も

 感染が再び拡大する中、埼玉県川越市の「埼玉医科大学総合医療センター」 など、医療機関の中には看護師などスタッフの感染が増え、入院患者の受け入れが困難になっているほか、新型コロナ以外の一般の診療にも影響が出て、医療の逼迫が懸念される事態になっている。さらに、回復傾向にある新型コロナの患者を転院させようとしても、ほかの医療機関でもスタッフや病床が足りないなどから、受け入れてもらえない状況が続いているという。

【12月27日】

●中国を襲う、医療逼迫 置き場ないベッド あふれる遺体安置室

 中国では感染が爆発的に広がる中で、医療逼迫に見舞われている。北京の病院には重症化した高齢者らが駆け込む例が増えているが、人手や病床が追いついていない。当初は1~2割ほどだった患者に占める高齢者の割合が、4~5割に増加。感染から1週間程度経って重症化するケースが多く、感染よりも重症患者のピークが遅れて訪れている様だが、備えは脆弱なまま。

 医療従事者や病床など医療資源の不足は、医療体制が十分ではない農村部でさらに深刻になるとみられている。感染は全国の都市部に蔓延しており、多くの人びとが帰省する1月末の春節の時期に、地方にも拡大する懸念が強い。中国政府は12月初旬の通知で、医療機関にICU病床を拡充するよう求めた。ただ、手遅れとの感は否めない。

●中国人の海外旅行、順次再開 経済回復狙い 来月8日から

 中国政府は26日夜、水際対策として入国者に義務づけてきた隔離を来年1月8日から撤廃すると発表した。政府はこれまで、入国者に対してホテルなど指定施設で5日間、さらに自宅などで3日間の計8日間の隔離を義務づけていた。一方で、搭乗前の48時間以内に受けたPCR検査の陰性証明の提示や、搭乗する際のマスク着用も求める。国内の規制緩和に加えて出入国時の制約もほぼなくなり、国民に移動制限を強いてきた「ゼロコロナ」政策は、終了となる。

 発表では、中国訪問を希望する外国人に対して仕事の再開、商用、留学などのビザの提供を進める。中国人の海外旅行も国際的な感染状況などに基づき、順次再開する。今回の水際対策の変更は、新型コロナの感染症分類の引き下げに伴うものだという。中国政府は2020年1月下旬以降、新型コロナは、ペストやコレラと同レベルの最も厳しい措置を求めてきた。だが、「オミクロン株が主流になったことで病原力が弱まった」として、レベルを引き下げた。

●水際対策緩和の日本 「ゼロコロナ」終了の中国 「お得意様」訪日に期待感

 今年10月11日以降、日本政府は水際対策を大幅緩和した。訪日外国人に対し、3回のワクチン接種証明書、もしくは出国前72時間以内の陰性証明書があれば、入国時のPCR検査や入国後の待機期間を課さない。11月以降、訪日外国人は回復傾向にある。2019年の訪日外国人は過去最多の3188.2万人。このうち、中国人は959.4万人(全体の3割)と最も多かった。一方、今年1~11月に訪日中国人は、2019年の同じ期間と比べ98%減で極端に低迷している。

 最大の「お得意さま」だった中国人旅行客は日本に戻るのか。しかし急激な政策転換は、感染爆発を招いている。中国社会は今、なし崩し的に進む「ウィズコロナ」がもたらす混乱に直面している。

●岸田首相、中国コロナ感染拡大で緊急水際措置 30日から実施へ

 岸田首相は、27日午後、首相官邸で記者団に対し、中国での新型コロナの感染状況を踏まえ、できるかぎり速やかに体制を構築し、12月30日の午前0時から緊急の水際措置をとると明らかにした。具体的には、中国本土からの渡航者と中国本土に7日以内の渡航歴のある人すべてに対し入国時の検査を行い、陽性となった人についてはすべてゲノム解析の対象とし、待機施設で原則7日間の隔離措置を講じるとしている。

 また今後は、日本と中国を結ぶ便について増便などの制限を行うとしている。そして、首相は「中国本土では感染が急拡大しているとの情報がある一方、中央と地方、政府と民間の間の情報が大きく食い違い、国内でも不安が高まっている。こうした状況を踏まえ、臨時的な特別措置を講じる」と説明した。また「国際的な人の往来を止めないよう可能なかぎり配慮し、中国の感染状況などを見つつ柔軟に対応していく」と述べた。

●オミクロン、感染で心臓や血管の病気のリスク高まる 名古屋工大

 名工大の平田教授らは、125万人分のレセプト(診療報酬明細書)をもとに、新型コロナに感染した人と感染していない人で、心臓や血管の病気などで医療機関を受診する人の割合がどの程度異なるか調べた。その結果、心筋梗塞・心不全・静脈血栓症・糖尿病の受診歴が過去1年間なく、重い持病がないとみられる人でリスクを比較すると、第1波から去年夏の第5波までは、感染後2か月の間にこれらの病気で受診していた人は、感染していない人の数倍~数10倍だった。

 一方、オミクロン株が拡大したことし初め以降の第6波では、リスクの差はほとんどみられなかった。平田教授は「海外でもコロナにかかった人で心臓や血管の病気のリスクの上昇が報告されていたが、日本でも同様の結果となった。第6波ではワクチン接種の普及などで重症化の割合が低下したことで、リスクが大幅に下がった可能性がある」と分析している。

●死者438人、1日過去最多 371人から大幅増

 国内感染者は27日、新たに20万8235人が確認された。死者は271人。感染者は1週間前より1万8249人多かった。都道府県別の1日あたりの死者数がこの日最も多かったのは北海道の38人。神奈川県33人、埼玉県26人、愛知県22人、東京都21人と続いた。新規の感染者数では東京都が2万2063人で最も多く、次いで愛知県が1万5443人、大阪府が1万3962人だった。

【12月28日】

●「軽症なら働いて」 中国一変、地方政府人手不足で 「経済」優先

 新型コロナの爆発的な感染が続く中国で、重慶市は18日、「無症状と軽症の人は通常通り出勤できる」との通知を出した。浙江省など、同様な通知を出す地方政府が相次いでいる。人手不足が深刻になり、「経済を回す」ことが優先され始めた。感染封じ込めのため1人の陽性者も見逃すまいとしていた社会から、職場での感染を防ぐことすら「二の次」となる状況へと様変わりしている。こうしたやり方は医療現場も例外ではない。

●中国、コロナ水際対策を見直し 旅券申請再開も旅行解禁は示さず

 中国政府は26日、新型コロナの水際対策を見直し、国際的な感染状況などに応じて、中国人の海外旅行を秩序ある形で再開させていく方針を示した。これを受け、中国の出入国管理当局は、中国人が海外旅行に行くためのパスポート申請の手続きを、1月8日から再開すると発表。中国メディアによると、水際対策の見直しが発表された直後、大手旅行予約サイトでは、日本やタイといった人気の旅行先に関するアクセス件数が10倍に増えたという。

●台湾、中国からの直行便の乗客にPCR検査義務づけ 1月1日から

 中国で感染が急拡大していることを受け、台湾当局は来月1日から31日までの間、香港とマカオを除く、中国からの直行便で台湾に到着した乗客に対し、PCR検査を義務づけることを明らかにした。その理由は、「中国で感染が拡大しているが情報が不透明。感染者数が多いためウイルスが変異する可能性も高い。変異株の探知を強化する」と説明。台湾域内の新規感染者の数も、28日まで8日連続で前の週の同じ曜日を上回っていて、当局は感染再拡大に警戒を強めている。

●香港からの訪日客帰国便制限で影響 日本の水際強化受け

 中国政府は26日、感染が爆発的に広がるなか、1月8日から中国に入国する際の隔離撤廃などを発表。中国人の海外渡航が急増する可能性が高まる中、日本政府は中国からの直行便を成田、羽田、関西、中部の4空港に限定、増便しないよう航空会社に要請した。10月から往来が正常化していた香港は、4空港のほか札幌、福岡、那覇にも直行便が運航。そこに突然、香港便も制限されることになり、多くの旅行客が欠航の影響を受けたという。

●全国、新規感染者の増加続く 前週比1.1倍

 厚労省の専門家組織の会合は28日、現在の感染状況について全国では感染者数の増加速度は低下しているものの、高い感染レベルとなっていて中国・四国、九州などでは増加幅が大きくなっているとしている。会合で示された資料によると、27日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて1.10倍と増加が続いていて、北海道や東北などを除く35の都府県で前の週より感染者数が増えている。28日発表の新たな感染者は、21万6219人。

 12月27日迄の新規感染者数の前週比 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●死者415人、過去最多  未把握の感染者増加

 専門家組織は28日の会合で、全国で重症者や死者の増加傾向が続き、一日の死者数は過去最多だった今夏「第7波」のピークを超え、今後も増加が続くことに懸念を示した。オミクロン株が流行した第6波以降、肺炎で亡くなる人の割合が減る一方、心臓や腎臓の持病が悪化し、衰弱して亡くなる高齢者が増えている。死者が第7波のピーク時よりも多くなっている理由は、はっきりしていない。自治体が未把握の感染者の増加の可能性や医療逼迫の影響の可能性などが指摘されている。

 28日発表の全国死者数は415人、9月2日の347人を上回った。医療体制については全国的に病床使用率が上昇傾向で、救急搬送が困難なケースがコロナとコロナ以外でも第7波のピークを超えていて、年末年始の救急医療体制の確保に注意が必要だとした。また、専門家組織有志はこの日、第8波の被害を最小限にするための提言を出した。集団感染がおきやすい高齢者・障害者施設や慢性期の患者が入院する病院での被害をいかに減らすかが重要と訴えている。

●「5類」見直しの見解案まとめる

 新型コロナの感染症法上の位置づけを「5類」に引き下げた場合、どのような影響が出るか。専門家組織メンバーらが見解案をまとめ、28日の会合に示された。見解案では、現在のオミクロン株になって感染が広がりやすく、死亡者数が多いなど「季節性インフルと同様の対応が可能になるには、もうしばらく時間がかかる」と評価。患者が増加したときに入院調整が行われなくなる、治療費が公費負担されなくなり感染者が検査や治療を受けなくなるなどの懸念がある。

 一方で、濃厚接触者に法律に基づいた行動制限の呼びかけができなくなる影響は、少ないとしている。そして今後も、医療が逼迫したときに調整を行う機能を維持することや、新たな変異ウイルスによって感染者や死亡者が激増する場合は接触機会を減らす対策を考慮することが求められるとしていて、位置づけの変更は必要な準備を進めながら行うべきだとしている。

  感染法上の分類と「5類」変更の見解案 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●感染者の葬儀制限、納体袋不要 遺体と接触可能に コロナ対応指針改定へ

 新型コロナに感染して亡くなった人の葬儀や火葬をめぐり、政府は感染対策をまとめたガイドラインを改定、制限を大幅に緩和する方針。これまでは遺体を「納体袋」で包むことを推奨し、遺体に触れることを控えるよう求めていたが、コロナ禍前に近い形での最後のお別れが可能になる。遺体の鼻などに詰め物をして体液が漏れ出ないようにすれば、接触による感染リスクは極めて低くなり、通常の遺体と同様に取り扱うことができるとする。年明けの早い時期に改定される見通し。

●コロナ休業支援、今年度末で終了 手当支給や補助

 厚労省は、休業しても勤め先から休業手当が支払われなかった人に支給する「休業支援金・給付金」と、企業が雇用保険の被保険者以外に支払った休業手当を補助する「緊急雇用安定助成金」を、今年度末で終了する。いずれも、コロナ禍で解雇や雇い止めが広がる恐れが生じた2020年4月以降の休業分を対象に新設された。雇用保険の被保険者への休業手当を補助する雇用調整助成金の特例も来月末で終わり、コロナ下で続けてきた雇用を守る施策に区切りをつける。

●「コロナとインフル同時流行が現実味、警戒強めて」 都の専門家

 東京都は28日、モニタリング会議を開いた。新規感染者の7日間平均は27日時点で1万7423人で、前週比でおよそ109%となり、9週連続で増加傾向が続き、減少の兆しが見られないと報告された。また、27日時点の入院患者数は4184人と、4か月前のことし8月下旬以来となる4千人台になるなど、通常の医療との両立に支障が生じつつあり、医療提供体制が逼迫してきていると報告された。

 専門家は、4段階ある警戒レベルについて、感染状況は上から2番目を、医療提供体制は最も深刻なレベルをそれぞれ維持した。「コロナとインフルの同時流行が現実味を帯びている」と指摘したうえで、年末年始は警戒感が薄れるおそれがあるとして、暖房使用中の定期的な換気や場面に応じたマスクの着用など、対策や警戒を強めるよう呼びかけた。

●21.5万人感染 1日あたりの死者数、4県で過去最多

 国内感染者は28日、新たに21万5966人が確認された。前週の同じ曜日(21日)より9522人多かった。新たに発表された死者は415人で、過去最多。28日に発表された死者数を都道府県別にみると、最多は北海道の31人。神奈川28人、東京23人、愛知、大阪、福岡が各20人と続いた。16人の宮城、5人の山形、6人の山梨、10人の宮崎は1日あたりの死者数としては過去最多だった。

 新規感染者数は、東京が2万243人、次いで愛知が1万4310人、大阪が1万3415人。5075人の茨城、4956人の三重、2389人の和歌山、3041人の大分は過去最多を更新した。

●インフルは流行期入り

 厚労省は28日、全国的に季節性インフルエンザの流行期に入ったと発表した。新型コロナが発生してからは季節性インフルの流行はなかったため、3年ぶりの流行。新型コロナも拡大しており、今後の同時流行の影響が懸念される。全国約5千カ所の定点医療機関から報告された最新の1週間(12月19~25日)の患者数が、1医療機関あたり「1.24人(速報値)」となり、流行開始の目安となる「1人」を超えた。

【12月29日】

● 国産コロナ薬、低調 塩野義1ヵ月で処方7700人のみ 重症化予防効果、未確認

 緊急承認された塩野義製薬の新型コロナ感染症の飲み薬「ゾコーバ(一般名・エンシトレルビル)」が、医療現場で広がっていない。処方されたのは11月末~12月27日で約7700人。重症化を予防する効果は確認されていないことなどから使用対象は限られ、医師らの間では慎重な受け止めが多い。

 重症化リスクのない軽症者の多くは、自然に回復したり市販の解熱鎮痛剤で症状が改善したりする。一方、高齢者や持病のある人に重症化予防の目的で飲み薬を使う際は、効果が確認されている米ファイザー社の「パキロビッドパック(同・ニルマトレルビル/リトナビル)」や米メルク社の「ラゲブリオ(同・モルヌピラビル)」になる。緊急承認はあくまで「仮免許」で、有効性は「推定」された段階。塩野義は1年以内に追加データを提出する必要がある。

●コロナ死者420人で過去最多 感染19万2063人 29日厚労省まとめ

 29日に発表された新型コロナによる全国の死者数は、神奈川県で33人、北海道で31人、東京都で23人など合わせて420人で、28日の415人を上回って1日の発表としてはこれまでで最多となった。栃木県16人、島根県6人、熊本県15人は、1日あたりの死者が過去最多となった。累計で5万6648人。重症者は、29日時点で565人。28日と比べて12人減った。

 国内の新規感染者は29日、新たに19万1948人が確認された。前週の同じ曜日(22日)より8200人多かった。新規感染者の最多は東京都の1万8372人で、2番目が愛知県の1万2281人、その次は大阪府の1万1725人だった。

【12月30日】

●中国からの入国、30日から臨時的な水際措置 成田空港で検査

 中国で感染が急拡大していることを受けて、政府は30日から、中国本土から直行便で日本に入国した人や、中国本土に7日以内に渡航歴があり日本に入国した人に対し、入国時に抗原検査キットなどで新型コロナの検査を実施する臨時的な水際措置をとっている。

 成田空港では、上海からの直行便が到着すると乗客は待機スペースに移動、入国時の検査を受けていた。検査の結果は1時間ほどで出て、陰性だった人たちは順次、到着ロビーへ。陽性となった人は、症状がある場合は7日間、無症状の場合は5日間、待機施設で隔離する。政府はこうした臨時的な水際措置をいつまで続けるかは、中国の感染状況を見ながら判断したいとしている。

●発熱外来、患者相次ぐ 薬が不足も 「感染対策徹底を」

 東京品川区のクリニックの発熱外来では、年内最後の診察日の28日は、発熱などを訴える患者が次々と訪れている。このクリニックでは2週間ほど前から患者が増え始め、ほとんどが軽症のため、せきや鼻の薬、解熱剤が必要な患者が多いが、処方しても薬局に在庫がないケースもあり、薬が不足するところも出てきているという。医師は医療体制が手薄になる年末年始は、特に基本的な感染対策を徹底してほしいと呼びかけている。

●全国で14万8076人が感染 死者は258人

 新型コロナの国内感染者は30日現在、新たに14万8076人が確認された。都道府県別では、東京都が1万4525人で最も多く、次いで大阪府が9527人、福岡県が8869人だった。新たに発表された死者は全国で326人。死者数が最も多かったのは大阪府の23人。東京都21人、神奈川県11人と続いた。

【12月31日】

英仏などヨーロッパ各国 中国からの入国者対象 水際措置強化へ

 英国政府は30日、1月5日以降中国から英国へ直行便で入国する乗客は、出発前の2日以内に受けた新型コロナ検査の陰性証明の提示を義務づけると発表した。対策強化の理由は、中国から包括的な衛生情報が共有されていないなど情報不足を指摘。このほか1月8日からは、新たな変異株に感染している人がいないか確認するため、到着時にも検査を行う。

 フランス政府も30日、中国から航空便で入国する乗客は、出発前の2日以内に受けた検査の陰性証明の提示を1月以降、義務づけると発表。ほかの国を経由して到着した場合も対象。機内ではマスクの着用も義務づける。旧正月を迎える1月、中国からの入国者の増加が見込まれることや、新たな変異株が出現する懸念が高まっていることなどの理由をあげている。このほかスペインやイタリアなど欧州各国が水際措置を強化している。

●新型コロナ 感染により抗体持つ人は3割弱 高齢者ほど低い結果

 新型コロナ感染によってできる抗体を持つ人は、ことし11月時点で全国で28.6%だったことが、国立感染研などが献血の血液を分析した結果、分かった。ことし3月時点で東京都や大阪府など5都府県の住民で感染した人の割合は4.3%と推定されたのに比べて高く、第7波以降、感染した人が大きく増えた可能性を示すとしている。年代別では、16歳から19歳が38.9%、20代が40.4%、・・・60代が17.0%と年代が上がるほど低い傾向がみられた。

 また、沖縄県が45.1%、大阪府43.0%、東京都34.5%などと高かった一方、長野県9.2%、徳島県13.2%、新潟県14.2%などと差が見られた。国立感染研の鈴木感染症疫学センター長は「免疫は時間とともに弱まり、感染で得られる免疫に期待することはリスクが高い。高齢者など重症化リスクの高い人たちはワクチン接種を続けていくことが必要」としている。

●全国で新たに10万6413人 水際対策強化の影響も

 国内感染者は31日、新たに10万6413人が確認された。都道府県別では、東京都が1万1189人で最も多く、次いで大阪府6929人、神奈川県6855人だった。新たに発表された死者は全国で292人だった。死者数が最も多かったのは東京都の21人、大阪府20人、北海道17人と続いた。一方、空港検疫などで確認された感染者は92人で、前日の4人から大幅増。92人のうち90人が中国に滞在歴がある人だった。

 12月31日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 以下の図は12月31日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●2022年、新型コロナ対策は大きく転換

 この1年で政府の新型コロナ対策は大きく転換した。オミクロン株が広がった2022年初めからの「第6波」では亡くなる人も増えたが、それ以上に感染者数の増加が大きく、致死率や重症化率は以前と比べて低下した。これを受けこの夏の「第7波」では、夏休み中で人の移動が活発になり感染者数も連日、過去最多を更新したが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の行動制限は行わず、濃厚接触者に求める待機期間が短縮された。

 9月からオミクロン株対応のワクチン接種が開始。海外で社会経済活動の動きが進んでいることなどを踏まえ、感染者の全数把握を簡略化、患者の療養期間の短縮、水際対策の緩和など、感染防止と社会経済活動の両立を図る対策が出された。さらにインフルとの同時流行が懸念された「第8波」では、重症化リスクの低い人は自宅で抗原検査キットで検査を行い、陽性だった場合はオンラインや電話で受診するなど、医療の逼迫を避けるための対策が本格化した。

・感染者数、去年の約18倍 死者数、去年の約2.5倍

 2022年、国内の新型コロナの感染者数はオミクロン株の影響などで爆発的に増加し、年明けと夏、秋以降の3回にわたって感染が拡大し、1年間の感染者数は28日の時点でおよそ2704万人と、およそ150万人だった去年のおよそ18倍となった。ワクチン接種が進んだこともあり、オミクロン株の感染拡大以降、重症化する割合や致死率は下がったが、感染者数が爆発的に増加したことで、亡くなった人は多くなった。

 国内感染者数と死者数 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 2022年、新型コロナで亡くなった人数は28日時点で3万7843人。アルファ株やデルタ株が広がった2021年の1万4926人のおよそ2.5倍。感染の第7波のピークだった2022年8月には1か月間に7295人が亡くなり、第8波の今月も、28日までに6584人が亡くなった。政府分科会メンバーで東邦大学の舘田教授は「致死率は低くなってきているが、感染者数がさらに増えれば亡くなる人もさらに増える」と指摘した。

・オミクロン株系統の変異ウイルス

 2022年の初め以降、感染力が強いオミクロン株系統の感染が主流となっていて、現在はオミクロン株のうち、さらに免疫から逃れる性質が加わった新たな変異ウイルスの割合が増加してきている。2022年前半には、オミクロン株の「BA.1」や「BA.2」が主流となり、感染の第6波を引き起こした。その後、感染が爆発的に広がった夏の第7波ではオミクロン株の「BA.5」が主流となり、7月から10月ごろまでは検出される新型コロナのほぼすべてを占めていた。

 「BA.5」は、国立感染研の推定では今週の時点で全国で50%ほどに割合が下がっているとしている。現在は、これまでの感染やワクチン接種で得た免疫からより逃れやすいオミクロン株の「BQ.1」が35%ほどにまで増加していると推定、今後も増えるとみられている。

・今後の懸念と年末年始の感染対策

 WHOによると、12月4日までの1週間で世界中でゲノム解析された新型コロナの中で、最も多くなっているのは「BQ.1」で42.5%、続いて「BA.5」系統13.4%、「BA.2.75」9.8%、オミクロン株の複数のタイプのウイルスが組み合わさった「XBB」が6.1%など。感染急拡大の中国で極めて多くの人の感染で変異を繰り返して、性質の異なる新たな変異ウイルスが生まれる恐れがあると専門家は指摘している。

 年末年始に向けて政府分科会は、オミクロン株対応のワクチンを接種、定期的に窓を開けるなど十分な換気、帰省する人は高齢の親族と接する機会が多くなるため事前に検査を受けること、などを呼びかけている。さらに医療の逼迫を避けるため、重症化リスクが低い人は発熱などの症状が出た際、自分で抗原検査キットを使った検査することや、自分の住む地域の医療機関をあらかじめ確認して検査キットや解熱薬を事前の購入を求めている。

2023年1月 2日 (月)

新型コロナ2022.12 中国緩和

 新型コロナウイルス感染症の「第7波」は減少傾向が続いていたが、下げ止り。10月中旬にはおよそ2か月ぶりに増加に転じた。この冬は季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行が懸念されている。11月から「第8波」が緩やかに始まった。11月下旬には北海道がピークを迎え減少に転じ始めるが、地域差はあるものの全国的には増加が続き、重症者数や死亡者数も再び増加傾向にある。

 中国の厳しい行動制限に対して広がった抗議活動は、「ゼロコロナ」政策の大幅緩和に向かわせたが、混乱が続いて感染が急拡大を始めた。

 2022年12月1日から15日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2022.11 増加続く」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】


【12月1日】

●中国、「ゼロコロナ」見直しか 副首相、政策継続に言及せず

 国営の新華社通信によると、中国政府で新型コロナ政策を担当する孫春蘭副首相は11月30日に、公衆衛生の専門家会合に出席した。この中で副首相は「ワクチン接種が普及し、経験が蓄積されるに従って感染対策が新たな局面と任務に直面している」と述べ、感染対策と経済活動を両立する必要性を強調した。一方、これまで繰り返し強調してきた「ゼロコロナ」政策の継続については言及しなかった。

 「ゼロコロナ」政策への抗議活動が共産党や習近平国家主席への批判にも発展。住民と警察の衝突が断続的に起きていた南部の広東省広州では、厳しい感染対策が大幅に緩和された。このことから政府が今後、国民の不満を和らげるため、「ゼロコロナ」政策を見直すという見方も出ている。11月30日に確認された新型コロナの感染者はおよそ3万5000人、このうち首都・北京では、はじめて5000人を超えるなど3日連続で過去最多を更新している。

●新型コロナ 感染症法上の扱い 見直し議論本格化へ

 新型コロナイウルスの感染症法上の扱いについて、厚労省は30日夜の専門家会合で見直しに向けた議論を本格化していく方針を示し、専門家に対し病原性や感染力、ウイルスの変異の可能性などの検証を行うよう求めた。感染症法では、感染症を「1類」から「5類」に分け、国や自治体が行うことができる措置の内容を定めていて、新型コロナは「2類相当」と位置づけられ、感染拡大を防ぐための厳格な対応が取られている。

 こうした中、国会で審議されている感染症法改正案の付則に新型コロナの感染症法上の位置づけについて速やかに検討する規定が追加された。これを受け、厚労省は30日夜開かれた専門家会合で季節性インフルエンザなどと同じ「5類」への引き下げも含め見直しに向けた議論を本格化していく方針を示し、専門家に病原性や感染力、ウイルスの変異の可能性について検証するよう求めた。

●東京都、コロナ医療提供体制警戒レベル引き上げ 上から2番目に

 東京都は12月1日、モニタリング会議を開いた。この中で、11月30日時点で、新型コロナの専用病床の使用率が40.3%と前の週より4.7ポイント上昇したことや、救急搬送が困難なケースが増えていることが報告された。こうした状況を受けて専門家は、4段階ある医療提供体制の警戒レベルを1段引き上げて上から2番目とし、「今後の患者数の増加を見据え、外来を含めた医療提供体制をさらに強化する必要がある」と指摘した。

 一方、新規感染者数の7日間平均は1万1047人となって、8月31日以来、1万人を上回った。また、5週連続で前週比が100%を超え、このままのペースで増えれば1日の感染者数が、2週間後には1万5000人、4週間後には2万1000人を上回るとの予測が示された。専門家は「年末年始に向けて、イベントや会食など、人と人との接触機会が増えると感染が急拡大する可能性もあるため、今後の動向に十分な警戒が必要だ」と呼びかけた。

●コロナ、インフル同時検査キット 薬剤師の販売・説明を義務づけ

 新型コロナとインフルエンザの同時検査キットの使用は、これまで医療機関でしか認められていなかったが、同時流行が懸念されることから、厚労省は11月に薬局やインターネットでの一般向けの販売を解禁することを決めた。これを受けて1日、厚労省で販売方法について専門家による審議が行われた。その結果、検査キットの販売は必ず薬剤師が行い、使い方などについて購入者に書面などでの説明を義務づけることを決めた。

 抗原検査は、ウイルス量が少ない場合は感染していても陰性と判定される「偽陰性」のリスクがある。このため、検体を採取する際に綿棒を適切に使用することや、陽性だった場合は検査結果を写真で残しておくことなどを説明するよう求めている。厚労省によると、同時検査キットの販売は早ければ今月中にも始まる見込みだという。

●改正感染症法が可決・成立 大病院に発生時の対応義務化

 新型コロナ対応の教訓を生かして次のパンデミックに備えるため、地域の中核を担う病院に病床確保、発熱外来の設置などを義務付ける改正感染症法などが2日、参院本会議で可決、成立した。2024年4月に施行される。新たな感染症が発生すれば、自治体などが運営する「公立・公的医療機関」(約6500施設)、400床以上で大学病院中心の「特定機能病院」(87施設)、200床以上で救急医療が可能な「地域医療支援病院」(685施設)は、医療提供する義務が課される。

 一方、都道府県はすべての医療機関と、医療提供を事前に約束する協定を結べるようになる。都道府県は平時から計画をつくり、病床、発熱外来、人材派遣などの数値目標を盛り込み各医療機関への割り当てを決める。医療機関は協議に応じる義務はあるが、実際に協定を結ぶかは任意。あわせて検疫法も改正。入国後の個人に自宅待機などを指示できるようにしたうえ、待機中の体調報告に応じない場合の罰則をつくった。

●コロナ死者5万人強 国内の第6波と7波で急増 北海道 先月の死者最多に

 新型コロナに感染し、国内で亡くなった人の累計が1日、5万人を超えた。午後7時時点で新たに194人の死亡が確認され、5万70人となった。今年初めの「第6波」、夏の「第7波」で感染者が大きく増えたことから、今年だけで3万人を超える死者が出ている。厚労省によると、男性が約57%で、女性よりやや多い。約95%が60代以上。80代以上が約68%、70代が約20%、60代が約7%となっている。

 「第8波」の兆しがあるとされる現在も、死者数は高い水準で推移。11月29日には北海道、群馬県、鳥取県、12月1日には宮城県で過去最多を更新。北海道では11月、月間で過去最多の585人が亡くなっており、第7波のピークだった8月のほぼ倍。感染者が1日に1万人を超える日もあるなど、過去最悪の水準になっていることに加え、医療機関や福祉施設でクラスターも多発。道は、感染対策の徹底やワクチン接種を呼びかけている。

●全国で新たに11万7778人感染 累計死者数は5万70人

 国内感染者は1日、新たに11万7778人が確認された。前週の木曜日(24日)より5万9883人増え、7日連続で前週を上回った。この日の死者は194人。新規感染者数が最多は、東京都の1万2332人。次に新規感染者数が多かったのは神奈川県の7879人で、北海道7612人、愛知県7358人と続いた。

 12月1日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【12月2日】

●マスクなし、観客席 中国で一時映らず ゼロコロナ緩和後、再登場

 サッカーのワールドカップ(W杯)は中国でも関心の的。SNSでは、中継のピッチ外の場面が話題になっている。「ゼロコロナ」への抗議活動が各地に広がった後、マスクなしで熱狂する観客のアップが映らなくなった。規制緩和の動きが出ると、観客の姿は再登場。スポーツ観戦に政治の影が見え隠れしている。

●同時流行に備え 一日最大90万人の患者診療体制整う 厚労省

 新型コロナとインフルエンザの同時流行に備え厚労省は、国のピーク時の想定を上回る一日最大90万人の患者を診療できる体制が整ったと公表した。この冬に懸念される同時流行について厚労省は、ピーク時には新型コロナが一日45万人、インフルが一日30万人と、一日75万人規模の患者を想定し、都道府県などに診療できる体制を強化した計画を作るよう求めていた。

 このほか、重症化リスクの低い人が自主検査で新型コロナの陽性だった場合に登録する健康フォローアップセンターの対応の強化も求めたところ、一日最大で20万人が登録できる体制が整ったという。

【12月3日】

●ゼロコロナ、課題は高齢者 ワクチン接種に抵抗感 緩和足かせに

 中国でゼロコロナ政策を緩和する動きがある中、高齢者を中心にワクチンによる免疫が十分に高まっていないことが、政策転換の足かせになっている。政府は2023年1月末までに、60~79歳の3回目接種率を95%とする目標を設定したが、ワクチンの有効性には疑問符が付く。中国で主に使われているのは、従来型の「不活化ワクチン」。欧米などで主流の「mRNAワクチン」に比べ、重症化や死亡を防ぐ有効性が劣るとする研究が複数報告されている。

 中国はアジアやアフリカ諸国に対し、「ワクチン外交」を積極的に展開。国産ワクチンの有効性を誇り、外国産ワクチンの輸入を拒んでいたことも、政府の手足を縛っている。外国産ワクチンの輸入にも頼りづらく、課題は多い。11月末の時点で、60歳以上の高齢者のうち2回接種を終えた人は86.4%、3回接種だと68.7%。接種が始まったころに、副作用を巡るうわさやデマが流れ、特に高齢者の間では抵抗感が強い。

●「学生にいらだち」習氏が不満認識 抗議にめぐり、EU首脳に

 中国で広がった「ゼロコロナ」政策への抗議活動について、1日に欧州連合(EU)のミシェル首脳会議常任議長と会談した習近平国家主席が「3年間のコロナ禍で、主に学生にいらだちが募っている」と説明していた。習氏が市民の不満を認識したことが、ゼロコロナ政策の緩和する動きに影響した可能性がある。習氏は会談で現在主流のオミクロン株は「致死率が低い」という認識も示し、EU高官は中国がコロナ規制の緩和に向かうという感触を得たという。

●新型コロナとインフル、同時流行懸念 小児発熱外来の受診増える

 同時流行が懸念されるインフルの感染に対する不安も強まり、千葉県内の病院では小児科の発熱外来を受診する子どもの数が増加している。病院では、いつもと違う症状がみられたときには迷わず受診してほしいとする一方で、病院では第7波の時のように予約の殺到を懸念している。厚労省によると、今シーズンはインフル流行も懸念されることからワクチンの供給量は、大人の接種分で過去最も多いおよそ7042万回分が出荷される見込み。

【12月4日】

●コロナ致死率、第7波は40歳以上で減少 高齢者の追加接種効果か

 全国保健所長会の研究グループは、ことし1月から8月までに大阪府や茨城県など10府県でコロナ感染の40歳以上の55万人余りについて、致死率の変化を調べた。その結果、致死率は「第6波」の1月初めからの4週間では0.62%、2月下旬まででは0.85%。その後、感染者数の減少とともに徐々に下がり、6月中旬までの4週間では0.23%。一方、「第7波」では、感染者数が最も多かった時期の8月中旬までの4週間でも0.39%と「第6波」のピークの時期の半分以下。

 致死率は重症化リスクが高い高齢の人でも下がり、オミクロン株の「BA.5」が主流となった8月下旬までの1か月余りでは、60代で0.05%、70代で0.39%、80代以上で1.81%と、「BA.1」の時期の半分以下になっている。高齢者で進んだワクチンの追加接種の効果が大きい。

●出口模索の中国、現場混乱 ゼロコロナ抗議1週間 検査場「再配置」、長蛇の列

 中国で1週間前に広がった抗議デモは、「ゼロコロナ」政策の緩和に向かわせたが、現場では混乱が続いている。明確な出口戦略を欠いた場当たり的な対応に、市民は振り回されている。混乱を象徴するのが、PCR検査。北京では2日以降、市内に1万カ所前後あった無料PCR検査場が軒並み閉鎖、残った検査場に市民が集中。酷寒の中、長蛇の列。同様の現象は各地で起きている。

 中国ではPCR検査による1~3日以内の陰性証明をスマホのアプリなどで示さなければ、オフィスビルやレストラン、自宅のアパートにも入れない。何の説明もなく閉鎖され、陰性証明の提示の免除は発表されなかったため、混乱が深まった。PCR検査の態勢維持は地方政府の財政負担にもなっているが、高齢者のワクチン接種率が低いまま「脱PCR」を進められるのか。都市ごとにも対応の違いが生じており、迷走が表面化している。

●コロナ自己検査 キットに課題 費用は患者負担 結局外来

 コロナ下で発熱外来の逼迫を避けるため、政府は抗原定性検査キットでの自己検査を促すが、利用が広がっていない。価格の高さ(1セット1700~2200円ほど)に加え、医薬品として未承認の「研究用」キットが広く流通。抗原定性検査キットは、鼻腔のぬぐい液や唾液を使い、感染の有無を判定できるが、キットによる自己検査の精度に課題がある。

 都内では、検査キットでコロナ陰性だった人が、クリニックでの再検査で陽性になるケースが度々あった。発熱当日にキットを使っても、検出されない「偽陰性」などがある。市販キットで陽性でも「医療機関で正確な診断結果がほしい」「薬を処方してもらいたい」という理由で来る人も一定数いるという。東京都や大阪府では発熱などの症状がある人が、ホームページから申請すれば無料で1~2日後にキットを届ける。

●検査キット、未承認の「研究用」が流通

 自己検査を広げる上で混乱を招く一因となっているのが、未承認の「研究用」のキットが薬局やインターネット上で売られていること。研究用は市販が認められているが、性能を担保されてない。コロナ感染の判定精度にも違いがあり、一般用でも感染者が正しく陽性と判定されるのは低くとも6割程度とされるが、研究用には著しく低いものもあるという。このため、自己検査で感染者を登録する場合にも使えない。

 厚労省は承認した一般用キットの一覧をホームページに掲載。研究用と混同しないよう呼びかけている。現在9種類の製品がネットで売られているが、ネット上では研究用が広く出回っている。検索しても一般用を見つけにくい。キットが混在していることで、実際の医療現場にも影響が出ている。キットが研究用か医薬品か確認するのに時間が取られるという。

●インフルと同時流行、警戒

 政府が今冬の対策として意識するのは、多数の感染者によって発熱外来が逼迫すること。厚労省は2日、自治体への調査結果から、コロナとインフルを合わせて1日最大81万人の患者が出ることを見込んだ対策をとる。感染者に発熱などの症状が出た場合、重症化するリスクが低ければ、まずはキットで自分で検査。解熱鎮痛薬を飲んで自宅療養するよう促す。

 インフルとコロナの感染の有無を同時に判定できるキットの市販も解禁。供給は医療機関が優先され、出回る数は限られるものの12月にも購入できるようになる。だが、コロナのキットと同様、自己検査がうまく機能するかは見通せない。新潟大の斎藤教授(公衆衛生学)は「自己検査という言葉やキットの種類をそもそも知らない人の方が多い。基本的なところから知ってもらう工夫が必要だ」と話す。

●新型コロナ、新たに8万8752人感染 前週より減 死者103人

 国内感染者は4日、新たに8万8752人が確認された。前週の同じ曜日(11月27日)より8870人減り、3日連続で前週を下回った。死者は103人。都道府県別で最も感染者が多かったのは東京都で、1万454人。神奈川県6498人、埼玉県5389人が続いた。

 東京都は、前週の同じ曜日より108人多かった。4日までの週平均感染者数は、1日あたり1万1742.4人(前週1万388.4人)だった。4日に発表された新規感染者の年代別は、40代が1771人と最多、次いで20代1742人、30代1630人と続いた。65歳以上は1036人。病床使用率は42.8%。

 12月4日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【12月5日】

●「ゼロコロナ」抗議活動の中国、各地で感染対策見直す動き

 中国政府は先週、感染対策の適正化をさらに進める考えを示した。こうした中、上海では、地下鉄などの公共交通機関や公園などの屋外の公共施設を利用する際に求められていたPCR検査の陰性証明の提示が5日から不要になった。上海の地下鉄駅では5日朝、乗客が陰性証明が表示されるスマホを職員に見せないままホームに向かう姿が見られた。

 北京でも、5日からバスや地下鉄を利用する際に陰性証明を提示する必要がなくなったが、いずれの都市でも商業施設やオフィスビルなどに入るには陰性証明が引き続き求められ、数日おきにPCR検査を受ける必要がある。広東省・広州でも対策が大幅に緩和されるなど各地で見直しは広がっている。感染者増への備えを政府が示さないまま、急な政策修正の動きに市民は戸惑っている。

●同時検査キット、一般販売を承認 富士レビオの製品

 新型コロナと季節性インフルの感染の有無を同時に検査できる検査キットは、厚労省は5日、富士レビオの製品を一般用医薬品(OTC)として承認した。薬局やインターネットで販売が可能となる。国内で同時検査キットがOTCとして承認されたのは初めて。

 同社の製品は綿棒を使って自分で鼻腔粘膜を採取するタイプ。20分程度でコロナとインフル両方の感染がわかる。医療機関へも供給している。対面やメールなどで薬剤師による説明を理解した人に販売する。ネット販売ができるのは、実店舗をもつ薬局などに限られる。

【12月6日】

●中国・北京などで感染対策さらに緩和、感染者数は高止まり

 北京と上海では6日から感染対策がさらに緩和され、商業施設やオフィスビルなど多くの公共の場所に入る時のPCR検査の陰性証明の提示が不要になった。ただ、学校や医療機関、それに飲食店などでは陰性証明の提示が引き続き必要としているほか、商業施設などを訪れた際はスマホで、その場所に掲示されているQRコードを読み込んで、訪問記録を残すよう求めている。

 緩和策が各地で広がれば、これまで以上に感染が拡大する可能性がある。5日確認された国内の感染者数は、全国でおよそ2万7000人と高止まりしていて、中国政府が今後も感染対策の緩和を進めるのか注目される。

●中国「ゼロコロナ」見直し、「影響注視し邦人支援」 林外相

 中国各地で感染対策を見直す動きが広がっているが、林外務相は記者会見で「引き続き、中国における防疫措置が中国経済や市民活動などに与える影響について、強い関心を持って注視していく」と述べた。そのうえで、中国の日本大使館などから、あらかじめ登録した人などにメールを出して、防疫措置の周知や、食料などの備蓄の呼びかけを行っているほか、現地に滞在する日本人からの相談に応じるなどの支援を行っていると説明した。

【12月7日】

●中国政府 「ゼロコロナ」政策の規制 、「さらに緩和」 と発表

 中国政府は7日、感染対策のさらなる適正化として、すべての感染者を病院や隔離施設に移す措置をやめ、無症状や症状の軽い人は自宅での隔離を認めると発表。自宅での隔離期間は原則7日間。また、高齢者施設や医療機関、学校などを除き、PCR検査から抗原検査に切り替えを進め、省や自治区などを越えて移動する際には陰性証明を求めない。このほか60歳以上のワクチン接種を進めるとし、臨時の接種会場を設けたり車で巡回したりする。

 感染者が出た場所はこれまで通り「高リスク地区」として行動規制がかかるが、地方当局にその範囲を建物や世帯単位に縮小するよう求め、5日連続で新たな感染者が出なければ規制は解除される。また、高リスク地区以外で移動制限をしたり、店の営業や工場の操業を停止する措置をとったりしてはならない。国家衛生健康委員会は7日に会見を開き、緩和理由としてワクチン接種が進んだことや、変異株の病原性が低いことを挙げた。

●「感染状況に地域差 置き換わりに注意」 厚労省専門家組織

 厚労省の専門家組織の会合が7日に開かれ、全国的に増加が続いているが増加速度は低下し、北海道や東北など感染拡大が先行した地域では減少傾向にある。一方、遅れて感染拡大となった首都圏や近畿、四国、九州、沖縄では増加幅が大きく、地域差が見られる。また、全国の重症者数と死亡者の数は直近で横ばいだが、ほとんどの地域で高齢者の感染者数は増加が続き、これからの推移には注意が必要だという。

 今後の予測は、地域差があるものの全国的には横ばいから増加傾向が続き、免疫を逃れやすい「BQ.1」系統が国内でも増加しつつあることなどを指摘。年内にオミクロン株対応ワクチン接種を終えることや、自己検査可能な抗原検査キットの活用を求めている。忘年会シーズンを迎え、飲食はできるだけ少人数、飲食時以外はマスク着用、換気の徹底、症状があるときは外出を控えるなど基本的な感染対策の再点検や徹底を改めて呼びかけた。

●1週間の新規感染者数 全国では増加続くも幅は小さく

 厚労省の専門家会合で示された資料によると、6日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて1.06倍と増加が続いているが、増加幅は小さくなっている。首都圏では、東京都と神奈川県が1.09倍、埼玉県1.15倍、千葉県1.13倍と増加が続き、34の都府県で増加している。一方、北海道や東北を中心に、11道県では前の週から感染者が減っている。

 人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、宮城県が1007.00人と全国で唯一1000人を超えて最も多く、秋田県が940.07人、福島県が925.95人、北海道が900.35人などと、北海道や東北を中心とした地域で多くなっている。全国では595.24人。

感染症法上の扱い 判断の際に考慮する要素 国が示す

 新型コロナの感染症法上の扱いについて、厚労省は7日の専門家会合で判断する際に考慮する要素についてまとめた資料を示した。この中では、判断にあたって考慮する要素は、「病原性」と「感染力」、「今後の変異の可能性」を挙げている。

 このうち「病原性」は、オミクロン株でも季節性インフルより致死率が高いとされ、今の時点での「病原性」をどう考えるか判断が必要。「感染力」については、オミクロン株は感染力が強いとされ、国民の生命や健康に対する影響をどのように考えるか。「今後の変異の可能性」は、病原性が大きく上がるような変異が起きる可能性をどうに考えるか。このうえで、患者をどのように医療で受け止めていくかも考える必要があるとしている。

●脇田座長「大都市圏では緩やかな増加も」

 厚労省の専門家会合のあと開かれた記者会見で脇田座長は、「夏の第7波に引き続きBA.5が感染の主流になっているが、BQ.1系統の割合も徐々に増えている。また、年末年始に向けて、ふだん合わない人との接触が増えることで、感染が拡大していく可能性も高い」と指摘した。

 「高齢者の感染者は緩やかに増加し、重症者数や死亡者の増加に影響する可能性がある。年末年始に高齢者に会う機会がある人は事前検査をするなどの注意が重要」。また感染症法上の扱いの見直しは、「ウイルスの伝播力や重症度、医療へのインパクトをどう評価するか。入院勧告や濃厚接触者の隔離がどこまで必要か、通常の医療と同じレベルに移行していく際に行政からどんな支援が必要なのか評価し、考えていく必要がある」とした。

●「BQ.1」に置き換わり進む オミクロン株BA.5が主流だったが

 オミクロン株BA.5系統から派生した「BQ.1」が国内で広がりつつある。夏の第7波からBA.5系統が国内の主流だった。専門家組織の脇田座長は11月30日の会見で、11月に国内の感染増が一度鈍化した後、再び勢いを増しているのは、BQ.1への置き換わりが影響している可能性があると指摘。「7波のようにすんなりと感染者数が下がらないことも予想される」。免疫が効きにくくなり、感染が広がり易くなっているとみられる。重症化しやすさはBA.5と同程度とされる。

 国立感染研の推計では、国内では8月上旬以降、BA.5が感染者の9割以上と主流だった。しかし10月上旬から減り始め、12月7日公表の推計では5日からの週には54%。代わりにBQ.1が36%を占めると推計。英国の健康安全保障庁によると、英国では11月19日までの週でBQ.1が50%。米CDCによると、米国でも12月3日の週で63%。ただし、いずれも広がった時期に入院者数が増えるなどの傾向は報告されていない。

●BA.5型ワクチン、BQ.1に「一定の効果期待」

 米ファイザー社によると、日本では10月から接種が始まったBA.5型のワクチンを追加接種すると、接種前と比べて、BQ.1に対する中和抗体の量は約9倍増えたという。しかし、感染や発症を防ぐのに十分な量かどうかはわからない。一方、治療薬については、国内で使える中和抗体薬のロナプリーブ(一般名=カシリビマブとイムデビマブ)やゼビュディ(ソトロビマブ)は、もともとオミクロン株全般に効果が低いとされ、同じオミクロン株のBQ.1でも同様とみられる。

 東京医大の濱田特任教授(渡航医学)は、欧米では検査が厳密ではなくなっているものの、感染者数の急増はみられず、「BA.5に置き換わったときほどの急激な感染者の伸びはないのではないか」とみる。ただ今後は寒さが増し、クリスマスや年末年始には人々の接触が増える。BA.1に対するワクチンの発症予防効果は現状では明確ではないというが、「重症化しにくくなるなど一定の効果は期待でき、接種を受ける意味はあるだろう」と話す。

【12月8日】

●モデルナのコロナワクチン、追加接種可能 12歳以上に引き下げへ

 モデルナ製ワクチンは、3回目以降の追加接種の対象年齢が18歳以上。モデルナは、年齢引き下げを申請していた。8日、厚労省の専門家による部会が開かれ、製薬会社の臨床試験の結果、有効性や安全性が確認されたとして対象年齢を12歳以上に引き下げることが了承された。現在、接種が進められているオミクロン株「BA.5」などに対応するワクチンや「BA.1」対応ワクチンのほか、従来型ワクチンも対象となりる。今月中にも運用が始まる見通し。

●新たな変異ウイルスに対する飲み薬効果確認 東大研究グループ

 オミクロン「BQ.1.1」などの新たな変異株に対して、飲み薬の効果が確認できたとする実験結果を東京大学の研究グループが発表した。患者からとった「BQ.1.1」と「XBB」の増殖を抑えられるか、さまざまな治療薬を使って実験した。その結果、飲み薬の「ラゲブリオ」と「パキロビッド」、それに点滴で投与する「レムデシビル」では増殖を抑える効果は、従来型のウイルスや「BA.5」に対してと同じ程度だった。

 現在も感染の主流は「BA.5」だが、「BQ.1.1」が検出される割合は東京都で先月中旬までの1週間で7%となるなど、新たな変異ウイルスが増えてきている。

●新たにがんと診断、コロナ前の水準に 昨年 国立がんセンター調査

 2021年にがんと診断された人は、新型コロナ流行前の2018、2019年の平均と比べ1%増えた、と国立がん研究センターが発表した。2020年は新型コロナによる受診控えなどで4%減だったが、コロナ前の水準に戻った。部位別にみると、胃がんと喉頭がんの2021年の患者数はコロナ前から5%以上減ったまま。受診控えなどの影響は依然残っているとみられる。一方、乳がんや膵臓がん、子宮体がんなどの患者数は5%以上増えた。

●新たにな13.2万人 前週を1.5万人上回る

 国内感染者は8日、新たに13万2989人が確認された。前週の同じ曜日(1日)より1万5211人増え、3日連続で前週を上回った。新たに発表された死者は236人だった。新規感染者を都道府県別にみると、最多の東京都は前週より1772人多い1万4104人。8日までの週平均の感染者数は1日あたり1万2136.9人で前週の101.1%だった。次いで神奈川県8413人、愛知県8034人。

【12月9日】

● 中国、感染急増か ゼロコロナ緩和 先行した広州 病院「発熱者の80%陽性」

 「ゼロコロナ」政策の規制が大幅に緩和された中国で、新型コロナ感染が急速に広がっている。緩和が先行した広東省広州市では、病院の発熱外来を訪れる人の大半が陽性で、町工場で従業員の9割が感染した例もある。羊の絵文字を添えた「私も羊になった」というメッセージが、中国のSNS「微博(ウェイボー)」で飛び交っている。中国語の発音で「羊」は「陽」と同じ。新型コロナの陽性を意味する。

 広州市政府によると、市内で12月8日に確認された感染者は1859人。全住民を対象とするPCR検査をやめた11月30日の約6300人から「確認された」感染者数は減少傾向。当局側は大半が無症状か軽症で「心配は無用」と強調。だが、SNS上では「数字とは逆に、日に日に周りの感染者が増えている」との声が多数。9日、発熱者が頻繁に訪れていた市内の第12人民病院の関係者は「発熱して来る人の約80%は陽性」と話した。

●成田空港、国際便数はコロナ前の半分以下 水際対策緩和から半年

 水際対策の緩和による外国人観光客の受け入れ再開から10日で半年。成田空港の国際線の旅客便数はコロナ前の半分以下の47%。路線別で見ると、米国やカナダなどの太平洋線は67%、ベトナムやシンガポールなどのアジア線は66%、韓国線は55%などと回復傾向にある。一方、発着回数が最も多かった中国線は24%に留まり、「ゼロコロナ」政策が続いていた影響とみられる。

 便数の回復の遅れは、飲食店やおみやげ店、日用品店など空港内のテナントにも大きな影響を及ぼしている。コロナ前は、店舗が460余りあったが、今月3日時点で2割近くに当たる87店舗が撤退。残りの店舗も一部が休業のままで、現在、営業している店舗はコロナ前のおよそ6割。関係者は、早く中国の利用客が戻ることを期待している。

【12月11日】

●全国11万8514人、前週比2万9763人増 東京都1万2163人、前週比1709人増

 国内感染者は11日、新たに11万8514人が確認された。前週の同じ曜日(4日)より2万9763人多く、前週を上回るのは6日連続。新たに発表された死者は132人だった。都道府県別で最も多かったのは東京都で、1万2163人。前週の同じ曜日より1709人多い。次いで神奈川県が7691人で、愛知県6879人、大阪府6664人、埼玉県6505人と続いた。

 東京都の11日までの週平均の感染者数は、前週比で109.8%。年代別にみると、最多は30代の1967人で、次いで40代1949人、20代1947人など。65歳以上は1143人。病床使用率は47.3%。都基準の重症者は前日と同じ15人。新たに発表された死者は18人。

 12月11日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【12月12日】

●中国研究者、主張一転 「ウイルスより変異早い」 広がる国民の不信

 「ゼロコロナ」の大幅な緩和が進む中国で、感染症や公衆衛生の研究者たちへの批判や失望が強まっている。ウイルスの脅威を説くことで政府の厳しい規制を正当化。政策が変化すると一転「手のひら返し」、安全さを強調する。7日、会見に臨んだ国家衛生健康委員会の公衆衛生第一人者として知られる梁氏は「変異株の病原性は明らかに弱まった。現在のウイルスはこれまで以上に温和になった」と強調。これまで、コロナ危険性を指摘、ゼロコロナ維持を訴えていた。

 10月の会見では、中国疾病予防コントロールセンターの専門家の呉氏は、後遺症について「数カ月からさらに長く続く」と発言し、人びとの不安を呼んだ。この呉氏も7日にSNSで、感染しても「多くは特別な医療サービスを必要としない」と発信。中国メディアも「後遺症には根拠がない」と他の研究者のコメントを紹介。本来、科学的に提言するべき研究者の姿勢の変化に、SNS上では「中国の専門家はウイルスよりも早く変異する」と不信感が膨らんでいる。

●発熱の受診、1週間で16倍 北京

 北京市衛生当局は12日の定例会見で、11日に市内の医療機関の発熱外来で診察を受けた延べ人数が1週間前の16倍の2.2万人に達したことを明らかにした。政府が「ゼロコロナ」政策を大幅緩和したことを受け、新型コロナの感染が急拡大している。日本の119番にあたる救急通報も9日に3万1千件、通常の6倍。新型コロナと診断された人の数は明らかにしていないが、会見した当局者は「北京で新型コロナが急拡大する流れがなお存在している」と述べた。

 政府は7日、ゼロコロナ政策を大幅に緩和。日常生活に欠かせなかった1~3日おきのPCR検査も極端にゆるんでしまった。PCR検査による新規の感染者(無症状を含む)の数は11日、1100人余りでピーク時の5分の1近くに減ったが、実際の感染者はこれまでにない規模で増えている。政府はこれまでの姿勢を一転、「オミクロン株の病原性は低い」と宣伝し、重症者以外は自宅療養を促しているが、高齢者や子どもを抱える市民は不安を募らせている。

●オミクロン株BQ.1.1、「病原性 同程度か低い可能性」 東大

 免疫から逃れやすいとされ今後の拡大が懸念されるオミクロン株「BQ.1.1」について、感染したときに症状を引き起こす力は、従来の変異ウイルスと同じ程度か低い可能性があるとする動物実験の結果を、東京大学などの研究グループが発表した。それによると、実験で感染した人から取った「BQ.1.1」を細胞に感染させると、周囲の細胞を壊す力は、ことし夏の第7波以降の主流「BA.5」の2.4倍になっていたという。

 一方で、「BQ.1.1」をハムスターに感染させると、体調を示す体重の変化は「BA.5」に感染した場合とほぼ同じで、肺の機能を示す数値は悪化の程度が低かったとしている。これまでの変異ウイルスでは、細胞を壊す力が強いと病原性も高い傾向があったが、「BQ.1.1」は病原性が「BA.5」と同じ程度か下がっている可能性もあるとしている。

【12月13日】

●コロナワクチン、「全額公費」議論 3月期限 自治体から延長求める声

 新型コロナのワクチン接種について、全額を公費の「臨時接種」を来年4月以降も続けるか、厚労省の専門家分科会が13日、議論を始めた。議論の行方によっては、通常のワクチンと同様に自己負担が生じる可能性もある。ただ反対論が根強く、厚労省は延長を視野に検討している。臨時接種は、予防接種法上で「まん延予防上緊急の必要がある」場合のみに認められている。コロナワクチンはこれまで期限を2回延長していて、来年3月にまた期限を迎える。

 「来年度の予算や人員配置を検討している。臨時接種をやめるのは難しい」「4歳以下の接種は10月に始まったばかり。来年3月末までに3回接種が終わらないケースも…」。自治体関係者らからはこの日、臨時接種の延長を求める声。この議論は、コロナの感染症法上の見直しの議論とも関係する。入院勧告などの厳しい措置がとれる「2類相当」のコロナを今後、季節性インフルなどと同じ「5類」に引き下げれば、臨時接種の条件を満たさない可能性がある。

●新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」処方できる医療機関拡大へ

 塩野義製薬が開発した新型コロナの飲み薬「ゾコーバ」は重症化リスクが低い患者でも軽症の段階から服用できるのが特徴。先月22日に国が使用を緊急承認した。安全対策として当初の2週間程度は、薬が働く仕組みが同様のファイザーの飲み薬を処方した実績がある医療機関などから供給を始め、12日の時点でおよそ4800の医療機関などが登録された。

 その後、大きな問題は報告されなかったことから、厚労省は15日から特に条件を設けず都道府県が選定した医療機関での処方や薬局での調剤ができるようにすると発表。そのうえで、安定的に供給できるよう厚労省は塩野義製薬と追加で100万人分を購入する契約を結んだ。処方可能な医療機関について今後、都道府県などのWEBサイトで公開するとしている。

●総務相の記者会見 感染対策のアクリル板、2年ぶり撤去

 閣議のあとに行われている総務大臣の記者会見では、一昨年9月から感染対策のため大臣と記者席の間にアクリル板が設置されていた。13日、2年3か月ぶりにそのアクリル板が外され、記者会見が行われた。総務相は原則、マスクを外して会見に臨んでいるが、総務省は「記者席との間に十分な距離を確保しており、換気も十分で、感染のリスクは低いと判断した」としている。閣僚の記者会見では、加藤厚労相も先週からアクリル板を外している。

●旅行支援 来月10日から、割引率20%に引き下げ

 斉藤国交相は13日、旅行代金を補助する「全国旅行支援」について、現行の旅行支援は12月27日宿泊分まででいったん終了。来年1月10日から再び実施すると発表した。割引率は現行の40%から20%に引き下げる。割引の上限額も公共交通機関とセットの旅行商品は1人1泊8千円を5千円に、それ以外は5千円を3千円に引き下げる。地域で使えるクーポン券は平日2千円、休日千円が支給される。原則、電子クーポンとする。

 各都道府県の準備が整い次第、販売が始まる。販売が始まる前に予約した分には割引は適用されない。各都道府県ごとに予算を使い切ったところから支援策は順次、終了する。

●忘年会・新年会「開催せず」7割 開催派の4割「二次会自粛」

 年末年始の忘年会・新年会を「開催しない」とする企業が7割にのぼることが、東京商工リサーチのアンケートで13日明らかになった。企業の中にはコロナ禍を機に「仕事上のつきあい」を見直す動きが広がっているとみられる。アンケートは1~8日に実施し、国内4766社が回答。「開催しない」は71.1%。1年前より8.3ポイント減少。10月の調査では「開催しない」が61.4%だったが、感染者数が増加したこともあり、開催をとりやめる企業が増えた。

 「開催」とした3割近くの企業のうち、2割超は「緊急事態宣言」などの制限がないことが開催条件。すでに開催したか、開催意向のある企業に尋ねると、42.7%が「二次会を自粛」と答えた。「開催時間を制限(短縮)」(27.8%)、「人数を制限」(27.5%)がほぼ同数。東京商工リサーチ担当者は、会社行事の忘年会・新年会は今後もコロナ前のような活況を取り戻さないとみる。「企業は飲みニケーションにかわるものを見つけないといけない」と話す。

【12月14日】

●専門家会合、「年末に向け接触機会増加など注意必要」

 厚労省の専門家組織の会合が14日に開かれ、直近1週間の新規感染者数は全国平均で、前週比1.2倍の増加傾向。感染拡大が先行した北海道でなど3道県は、前週を割り込んで減少傾向。遅れて拡大した西日本で軒並み増加のペースが大きくなり、特に九州を中心に8県では1.5倍超。東北・北陸・甲信越も減少傾向から増加傾向に転じている。全国で高齢者で感染者数が増加し、重症者数や死亡者数は再び増加傾向にある。

 医療体制は、病床使用率も上昇傾向で、22道府県で50%以上。救急搬送が困難なケースも増え、特にコロナ以外での救急搬送が困難なケースはことし夏の「第7波」のピークと同じレベルに達し、年末年始の救急医療体制の確保に注意が必要。今後の感染状況予測では、多くの地域で増加傾向が見込まれ、より免疫を逃れやすいとされる「BQ.1」の割合が国内でも増加しつつあり、年末年始で接触機会が増えることなどに注意が必要だと指摘した。

●13日まで1週間の新規感染者数、44都府県で前週から増

 厚労省の専門家会合で示された資料によると、13日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.20倍と増加のペースが上がっていて、北海道と山形県、長野県を除き、九州など西日本を中心に44の都府県で、前の週から感染者数が増えている。首都圏では、東京都が1.16倍、神奈川県が1.15倍、千葉県が1.22倍、埼玉県が1.18倍と増加が続いている。

 人口10万人当たりの直近1週間の感染者数は、鳥取県が1112.20人と最も多く、宮城県1067.07人、福島県1034.07人、佐賀県979.49人、新潟県950.72人、秋田県950.70人などと多くなっている。全国では716.43人。

●脇田座長「感染の増加傾向続く可能性高い」

 専門家会合のあとの記者会見で、脇田座長は「自然感染による免疫もワクチンによる免疫も、時間とともに減っているほか、年末年始でふだん会わない人と会う機会も増えるため、全国的に見れば、感染の増加傾向は続いていく可能性が高い」と指摘。その上で、「インフルも年明けから流行が広がる可能性があり、基本的な感染対策の継続や体調の管理は必要。帰省で高齢者に会う機会が増えるので、事前の検査や体調管理の配慮をしてほしい」と呼びかけた。

●「インフル同等と判断できる条件満たしてない」 専門家有志

 新型コロナの感染症法上の扱いについて、季節性インフルと同じ「5類」への引き下げも含めた見直しが議論されているが、専門家有志は、新型コロナはインフルと同等と判断できる条件を現時点で満たしていないとするリスクの評価をまとめた。リスク評価は、東北大学の押谷教授や、京都大学の西浦教授など、専門家4人がまとめ、14日に開かれた厚労省の専門家組織の会合で示した。

 文書では、新型コロナのリスクを、感染の広がりやすさ「伝播性」や、感染した場合の「重症度」、それに「医療や社会への影響」の3項目について評価している。こうしたことから、現時点では、新型コロナは「季節性インフルと同等のものと判断できる条件を満たしていない」と結論づけている。会合のあとの記者会見で、押谷教授は「インフルと全く違う特徴を持っているウイルスと、われわれは対峙していると理解する必要がある」と話していた。

●新型コロナ「後遺症」での受診リスク 感染した人最大6倍ほどに

 名古屋工業大学の平田教授らの研究グループは、およそ125万人分のレセプト(診療報酬明細書)の記録を、感染した人と感染していない人で、「後遺症」の倦怠感や頭痛、呼吸困難など10の症状で医療機関を受診する人の割合を調べた。その結果、重い持病がない人でこれらの症状で受診した人の割合は、第1波から第3波に当たる去年春までの1年間では、感染していない人では3%、感染した人ではその後6か月間で16%と5倍程度高くなっていることが分かった。

 受診した人の割合は「第4波」や「第5波」の時期でも最大で6倍程度高くなっていたが、オミクロン株が拡大した「第6波」のことし1月から3月には3倍にまで低下していたという。平田教授は「ワクチンの効果や変異ウイルスの病原性もあって(後遺症)リスクが低下した可能性がある」と話している。

●中国、「無症状」の発表停止

 中国の国家衛生健康委員会は7日に対策の緩和を発表し、これまでは医療機関や施設での隔離が義務だった軽症と無症状者について、自宅での隔離を認めた。日常生活に組み込まれていたPCR検査の機会が減っており、抗原検査キットで自ら陽性を確認した市民が自宅療養するケースが増えている。同委員会は14日、無症状感染者について、正確に把握できないため今後は人数の発表をとりやめる方針。

 公的なデータが発表されなくなる一方で、中国各地ではコロナの陽性者が激増しているとみられる。病院の発熱外来には連日、大勢の患者が詰めかけ、薬局では薬や抗原検査キットが品薄になっている。13日には、市民の行動を追跡するスマホのアプリも廃止。プライバシーなどを考慮せずに滞在した都市が自動的に表示される仕組みで、直近の訪問先が感染リスクの高い地域だとみなされると、行動が制限されていた。

●5類移行、「インフルとの比較は困難」 専門家ら 難しい時期判断 政府

 新型コロナを季節性インフルと同じ感染症法上の「5類」に変更するかどうか、政府と専門家らの議論が本格化している。医療体制や公費負担のあり方、変更時期が焦点となる。一方、専門家組織の有志は14日、コロナはインフルとの比較が困難だとする見解を公表した。医療現場の逼迫を受け、自治体が5類への早期変更を求める中、政府は難しい判断を迫られる。

 政府は「国民は3年も不自由な生活を送り、もう待ってくれない」と受け止める一方、今冬の感染拡大中に5類変更を打ち出せば、国民に「もう感染対策は不要」と受け取られかねない。また、5類になれば感染者の隔離などさまざまな措置が無くなり、店での飲食やイベント参加が増える。自治体や医療機関も準備が必要なため、5類変更前に一定の周知期間を置かねばならない。5類の変更時期について、来年度の自治体予算成立(来年3月)には間に合わない。

●製造業4期連続悪化 非製造業は改善続く 日銀短観

 日本銀行が14日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が4四半期連続で悪化した。前回9月調査から1ポイント悪化してプラス7。業種別では石油・石炭製品が40ポイント悪化、化学が8ポイント悪化など、産業の「川上」にあたる産業での悪化が目立った。世界経済の減速を見込み、原油や鉄など素材の価格が下落傾向にあり、景況感を落ち込ませている。

 一方、大企業・非製造業はは3四半期連続の改善。5ポイント改善してプラス19。特に宿泊・飲食サービスは28ポイントの大幅改善。「全国旅行支援」や、10月から新型コロナの水際対策が緩和されたことが追い風になったとみられる。3カ月後の景況感を聞いたDIは、大企業・製造業がプラス6と今回から1ポイントの悪化、非製造業もプラス11と8ポイント悪化を見込んでいる。

●コロナ発症1カ月、20人に1人後遺症 豊中市など調査 日常に支障1.6%

 大阪府豊中市などは14日、新型コロナの後遺症調査の結果を発表した。市役所で会見した大阪大学大学院の忽那教授(感染制御学)によると、療養後に何らかの症状があったと回答したのは47.7%。「日常生活の支障」が30日以上続いた人は1.61%に上った。1カ月後も感染者の20人に1人、2カ月後も27人に1人は、何らかの後遺症があった。後遺症が30日以上続いた人では、髪の脱毛が1.41%と最も多く、せき、熱、嗅覚障害、味覚障害と続いた。

 発症時期から推定して、77.3%がオミクロン株に感染。また重症だった人は、軽症の人より後遺症が約5.4倍起きやすかった。ワクチン接種をするほど後遺症が起こりにくい傾向も分かり、忽那教授は「特に重症度リスクの高い人のワクチン接種や感染予防策は引き続き重要」と語った。長内市長は「(症状は)徐々に改善するが、日常生活に支障が出るとわかった。感染予防を徹底し、ワクチンを接種してもらえる環境を提供し、こうした情報を市民に知らせたい」と語った。

【12月15日】

● 中国ゼロコロナ緩和、感染増 「社員ほぼ全滅」 発熱外来受診16倍

 「ゼロコロナ」政策が緩和された中国で、感染が急拡大している。日系を含め多くの企業で部署のほぼ全員が感染するようなケースが相次ぐ。政府が感染者の全数を把握することをやめたために正確な数字は不明だが、取材からは感染の「爆発」に近い実態が見えてきている。中国政府のコロナ対策に影響力のある医師チームなどは、中国メディアに対し、今後の感染のピークは1月中下旬から2月にかけてと予想している。

 中国当局が発表した14日の新規感染者数は、広東省が857人、次に多い北京市が494人。だが、政策の緩和でPCR検査を受ける人が激減しているほか、13日分からは無症状感染者の統計も発表されなくなった。当局発表の感染者数は、実態とはかけ離れている。北京市内の医療機関で発熱外来を受診した延べ人数は11日、1週間前の16倍に上った。

●米国CDC、コロナ後遺症関連の死亡「3500人余」 報告書公表

 新型コロナの「後遺症」は、息苦しさやけん怠感などの症状が長く続き、人によって数か月以上続くケースも報告されている。この後遺症を巡って米国CDC(疾病対策センター)は14日、後遺症に関連して死亡した人がどのくらいいるか、分析した報告書を公表した。分析は、一昨年1月から今年6月までに、米国で新型コロナで死亡したおよそ102万人を対象に行われ、死亡診断書に後遺症を示す「ロング・コビッド」などの単語が含まれるものを調べた。

 その結果、全体のおよそ0.3%にあたる3544人が新型コロナの後遺症に関連して死亡したと特定したという。年代では65歳以上がおよそ8割で、男性のほうが女性よりもわずかに多い傾向のほか、時期でみると今年2月が最も多くなっていた。

●新型コロナ感染者の葬儀、最後の別れができるように 見直しへ

 新型コロナに感染して亡くなった人の遺体の搬送や葬儀などについて、厚労省と経産省はおととし7月にガイドライン案をまとめた。遺体は「納体袋」で包み、遺体に触れることは控えるほか、濃厚接触者の参列については無症状の場合でもオンラインを活用するなど対面を避けるよう推奨していた。遺族からはこれまで、「最後の別れができるようにしてほしい」との声が上がっていた。

 厚労省などがまとめた見直し案は、遺体から一定の対策をとれば「納体袋」は必要ない。「遺体に触れることは控える」という表現を削除し、触れた場合は適切に手を洗うよう求めている。濃厚接触者は基本的な感染対策をとれば葬儀や火葬に参列できる。厚労省などは業界団体などの意見を踏まえて年内にもガイドラインを改定する方針。見直されれば基本的な感染対策をとったうえで、亡くなった家族の体に触れるなど最後の別れができるようになる。

●東京の感染者、4週間後に1日3万人か 専門家らの会議で報告

 東京都は15日、感染者を新たに1万7687人確認したと発表。前週の同じ曜日より3583人多い。同日の都モニタリング会議では、このままのペースで感染者が増え続けると、1月11日には約3万人の新規感染者が予測されると報告された。15日までの週平均の感染者数は1万4802.9人で、前週(1万2136.9人)の122.0%。新規感染者を年代別でみると、最多は20代の3232人、次いで30代3128人、40代3021人など。病床使用率は52.2%。

 モニタリング会議では7週連続で週平均の感染者数が前週を上回ったと報告された。出席者からは「(感染者増加は)寒さで換気が悪くなった影響が大きい。いろんな種類の変異株が同時にはやっていることもある」「医療機関は負荷が増大している」などの指摘があった。年末年始の診療の報告もあり、都立病院12カ所は20日以降、1日あたり計1千人のコロナ患者を診察できる体制を整えたとした。

 12月31日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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●全国で16万8491人の感染確認 10日連続で前週上回る

 国内感染者は15日、新たに16万8491人が確認された。前週の同じ曜日(8日)より3万4992人多く、10日連続で前週を上回った。死者は277人。都道府県別の感染者数は、東京都の1万7687人が最多。神奈川県1万1040人、愛知県9810人、大阪府9586人、埼玉県9142人と続いた。

 以下5枚の図は12月31日時点の国内感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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