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2022年11月の7件の投稿

2022年11月29日 (火)

嵐山渓谷の秋2022

 2022年11月25日(金)、埼玉県を代表する景勝地のひとつ、嵐山町(らんざんまち)の「武蔵嵐山渓谷」へ紅葉狩りに行く。

 

 8:40嵐山渓谷駐車場に車を駐め、8:50嵐山渓谷の展望台着。

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 荒川水系、都幾川の支流の槻川(つきがわ)。

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 大平山(標高179m)

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 12:00、終了。

 

 本ブログの「武蔵嵐山渓谷」関連記事

  「武蔵嵐山渓谷の秋」 2020年12月 6日投稿

    http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2020/12/post-360050.html

2022年11月28日 (月)

三渓園と三浦半島

 2022年11月21日(月)、神奈川県の三渓園(横浜市)、三崎漁港(三浦市)、荒崎海岸(横須賀市)を巡るバス旅行。

 前日の関東は雨で、最高気温は14℃の肌寒い日。当日は、朝から昼頃まで弱雨、午後くもり、夕方になって晴れとの天気予報。12人を乗せたマイクロバスは、9:50出発。

 

●三渓園(横浜市中区本牧)

 11:25、「三渓園」に到着する頃は、雨はすっかりやんで曇り空。昼近くなって、青空。この日の神奈川県の最高気温は18℃、秋らしい良い天気。

 「三溪園」は生糸貿易などにより財を成した茶人で実業家・原三溪(本名・原富太郎) によって、1906年(明治39)に外苑が一般公開された。17万5千平米に及ぶ園内には京都や鎌倉などから移築された歴史的価値の高い建造物が配置されている。一般公開の「外苑」と、原家が私庭して使用していた「内苑」のエリアに分かれる。現在は公益財団法人三溪園保勝会が運営している。 

 「三渓園」の正門を入り、「大池」と丘の上の「旧燈明寺三重塔」を望む。

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 「旧燈明寺三重塔」は、室町時代の1457年に建てられた、園内の建造物の中でも 最も古い建物。「三溪園」へは1914年(大正3)に、現在の京都・木津川市の「燈明寺」から移築されて小高い丘に建てられ、「三溪園」のシンボルとなっている。

 三渓が住居として建てた「鶴翔閣」(写真なし)の前にある「睡蓮池」。

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 内苑エリアの「臨春閣」と左手に黄葉した大銀杏。

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 「臨春閣」は、江戸時代初期1649年(慶安2)に、現在の和歌山県岩出市の紀ノ川沿いに建てられた紀州徳川家の別荘「巌出御殿」と考えられている。大阪市此花区に移されていたものを1906年(明治39)に譲り受け、11年をかけて1917年(大正6)に移築が完了した。移築の際には、屋根の形と3棟からなる建物の配置が変更されたが、狩野派を中心とする障壁画と優美な数寄屋風書院造りの意匠が残されているそうだ。重要文化財。

 大銀杏とその後は「旧天瑞寺寿塔覆堂」 (てんずいじじゅとうおおいどう)。

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 「寿塔覆堂」は、1591年(天正19)豊臣秀吉が、病気から快復した母・大政所の長寿を祈って建てた生前墓の寿塔を覆っていた建物。桃山時代らしい豪壮な彫刻や、柱とその上の組物などにはかつて鮮やかな彩色が施されていたが、現在は風化して一部に痕跡を残すのみ。この覆堂があった「天瑞寺」は「大徳寺」内の寺院の一つだったが、明治時代のはじめに廃寺となり現在は存在しない。「三溪園」への移築は1915年(明治38)。重要文化財。

 内苑エリアの沢と紅葉。

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 内苑エリアの「月華殿」 (げっかでん)、「金毛窟」 (きんもくつ)、「天授院」 (てんじゅいん)に向かう小径。

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 南から「大池」を望む。気がつくと青空。

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 「旧矢箆原家(やのはらけ) 住宅」 は、立派な茅葺きやね。大きすぎてカメラに入らない。

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 飛騨白川郷にあった江戸時代後期の入母屋合掌造りの民家。ダム建設の水没地域にあったため、1960年(昭和35)に「三溪園」に移築された。農家ながら、式台玄関や書院造の座敷など立派な接客の空間を備え、寺社で見られる火灯(かとう)窓が付けられるなど、飛騨の三長者の一人といわれた矢箆原家の格式の高さを伝える。現存する合掌造りでは、最大級の建物だそうだ。この建物だけが、内部公開されている。重要文化財。

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 「大池」の東側から望む。近景は「涵花亭」(かんかてい)、遠くは「三渓記念館」。

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 園の中央付近にある「三溪記念館」では、「三溪園」の創設者・原三溪に関する資料、三溪自筆の書画、 ゆかりの作家作品や美術工芸品、臨春閣の障壁画などを展示しているそうだが、入館せず。「三渓園」には、他にも移築された重要文化財が多い。移築によって本来の価値を失うとの意見もあるが、現地で荒廃していた建築物を修復して移築し、保存した意義は大きいと思う。

 13:05、退園。移動中のバスの中で、崎陽軒のシュウマイ弁当の昼食。

 

●三崎漁港(神奈川県三浦市)
  
 14:00、三崎港着。周辺を散策。

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 花暮岸壁に停泊中の遠洋マグロ漁船「第31岬洋丸」(439トン、全長51.2m、住吉漁業株式会社)。遠くの赤い橋は、「城ヶ崎大橋」。

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 港にある産直センター「うらりマルシェ」で買い物。旅行会社から、神奈川県内の観光施設や土産物店で利用できる全国旅行支援のいざ、神奈川! 」の地域クーポン3,000ポイントを入手。金目鯛、アジやカレイの干物、3,000円分を購入。

 15:00、三崎漁港を出発。

●荒崎海岸(神奈川県横須賀市)

 15:30、「荒崎公園」に到着。

 駐車場の北の方から回って西側の岩場に向かい、日が沈むのを待つ。

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 日が沈みかかると、富士山のシルエット。日没は、14:25。

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 このあたりの海岸の岩石は、数千万年前、まだ三浦半島が海底であったころに堆積した黒くて硬い凝灰岩と、白くて軟らかい砂岩・泥岩の2種類の岩石の層で形成され、洗濯岩のような凸凹をした特殊な地形となっている。

 荒崎海岸を17:00出発。19:45出発地に到着。20:10自宅着。

 

 本ブログの関連記事

  「早春の三浦半島めぐり」 2017年3月14日投稿

   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-744e.html

 

 ★ ★ ★

 東京湾を望む横浜の東南部・本牧に広がる広大な土地は、原富太郎の義祖父である原善三郎が1868年(明治元年)頃に購入した。富太郎は岐阜県出身で、横浜の原商店に養子として入り、生糸貿易で財を成した。事業のかたわら仏画、茶道具などの古美術に関心を持って収集、国宝級の美術品を多数所蔵し、日本有数の美術コレクターでもあった。彼は古美術品のみならず、室町時代の「燈明寺三重塔」をはじめ各地の古建築を購入して移築していった。

 1906年(明治39)に市民へ公開し、1914年(大正3)に外苑、1922年(大正11)に内苑が完成するに至った。単に各地の建物を寄せ集めただけではなく、広大な敷地の起伏を生かし、庭園との調和を考慮した配置になっている。戦災により大きな被害をうけ、1953年(昭和28)、原家から横浜市に譲渡・寄贈され、財団法人「三溪園保勝会」が設立され、復旧工事を実施し現在に至っている。国の重要文化財建造物10件12棟、横浜市指定有形文化財が3棟。

 

 戦後、三崎漁港は日本最大のマグロ漁港だった。1960年代の日本の主要マグロ漁港は焼津漁港、清水漁港、三崎漁港で、内地のマグロ総水揚量の78%がこの3港に集中していた。しかしその後、三崎漁港は水揚げ量で他の漁港を下回ることになる。所属漁船が著しく大型化、遠洋化、外国市場が拡大化したことで、三崎漁港に水揚げすることなく大西洋沿岸諸国に水揚げするようになったためだという。

 現在、都道府県別のマグロの漁獲量(水揚げ量)の第1位は、静岡県。焼津、沼津、清水など、水揚げ量トップクラスの漁港がある。2位以下は年によって変るようだが、高知県、宮崎県、鹿児島県、宮城県などが並ぶ。今では、三崎漁港周辺にはマグロ料理、土産屋などの店が並び、東京から気軽に訪れられる日帰り観光地として人気があるようだ。

2022年11月27日 (日)

秋の赤城自然園

 2022年11月9日(水)、「赤城自然園」(群馬県渋川市赤城町)の紅葉狩り。

 

 この日、渋川市の最高気温は19.6℃、天気は晴れ。

 関越道赤城ICから10分。写真は、出入口の総合案内所。

 10:00入園。入園料は1,00円(セゾン、UCカード提示で500円)

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 「セゾンガーデン」から「四季の森」のカエデ。

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 「ナナフシ橋」を通って「自然生態園」を歩くと、まだツツジがあちこちで咲いている。

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 「自然生態園」のカエデ。

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 「ミズスマシの池」は水量も少なく、落ち葉で半分埋まっている。

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 「昆虫館」「トンボ池」付近のベンチで昼食。

 「カタクリの林」「野草のはらっぱ」を経て「四季の森」に戻る。

 「四季の森」の奥の方「アカマツ広場」に進む。

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 「アカマツ広場」を過ぎ、「お花畑」には枯れた紫陽花が物悲しい。

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 再び「セゾンガーデン」に入り、「ツツジの小径」の先に赤い鳥居。

 「十二様」と呼ばれる山の神。狩猟、山仕事や百姓の神様。

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 「シャクナゲの谷」できれいに黄葉する樹木。

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 「シャクナゲ園」の池の鯉。人が来ると鯉たちが集まる。

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 立ち枯れのヤマユリは、あちこちで見かける。

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 「シャクナゲ園」の沢に掛かる小さな橋で、落ち葉の「福笑い」。

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 出入口(総合案内所)前の紅葉。

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 14:10退園。

 帰りの関越道「上里サービスエリア」で、久し振りに懐かしい「峠の釜めし」を購入。

 1,200円に値上がりしていた。(「荻野屋」のホームページから転載)。

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 ★ ★ ★

 「赤城自然園」とは (ホームページから転載)

 赤城自然園は、赤城山西麓の標高600~700mに位置し、花々が咲き誇る春、生命力にあふれる夏、木々が実り色づく秋、野鳥の声が響き渡る冬と、日本の豊かな四季を織りなす美しい自然を感じることができる森です。「人間と自然との共生」の実現を目指し、元はマツやスギの雑木林を、長い年月をかけて植生を入れ替え、植物がいきいきと育ち昆虫や小動物が棲みやすい環境づくりを続けています。

 もとは1980年代に、西武セゾングループの堤清二氏が主導となって、21世紀の課題「人間活動と自然の平和的共存」に挑戦し、自然の存在形態を発見、創出して広く市民活動の発展に寄与することを目的として開発された森で、株式会社クレディセゾンは、「次世代を担うこども達に豊かな自然を引き継ぐ」ため、社会貢献活動のひとつとして赤城自然園を2010年より運営しております。 

 

 本ブログの赤城自然園関連の記事

  「初夏の赤城自然園」 2019年6月21日投稿

   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-7a81a6.html

日本スリーデーマーチ2022

 2022年11月6日(日)、「第45回日本スリーデーマーチ」に参加。


 国内最大のウォーキングイベント「日本スリーデーマーチ」の第45回記念大会は、11月4日、開幕した。

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 2019年は台風の影響で中止、2020年はコロナ禍で中止、2021年は人数制限を余儀なくされ、通常開催は4年ぶり。

 

 11月5日(土)の2日目、吉見百穴・森林公園の20Kmコースに参加予定だった。しかし朝から、1週間前からの腰痛の違和感。

 出発後に不安があって、すぐにリタイア。大事を取ってその日は休養。

 

 11月6日(日)の3日目、唐子中央公園を回る10Kmコースを歩く。

 9:10頃、集合場所の東松山市立松山中学校前を出発。

 市内石橋の住宅街を歩く。

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 関越道の架橋を越え、畑や林が広がる石橋から唐子中央公園へ向かう。

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 第休憩所の唐子中央公園に11時過ぎに到着、昼食後出発。

 下唐子から折り返し、石橋へ。

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 石橋の田園風景。

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 第2休憩所の東松山市立南中学校(東松山石橋)で休憩。ノーベル物理学賞を受賞した東大の宇宙線研究所長・梶田教授は、この中学校の出身者。

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 13:00ころ、市内パレード出発地に到着。10Kmを完歩。

 休憩後、14:00頃~パレードに参加。ぼたん通り。

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 大会会場の松山第一小学校に14:20到着。

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 腰痛の支障はなく、1日大丈夫だった。

 秋晴れの良い天気、最高気温は19℃だった。

 

 「ものみ・ゆさん」の日本スリーデーマーチ関連のブログ記事

  「台風19号と日本スリーデーマーチ」 2019年11月2日投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2019/11/post-42b73b.html

  「日本スリーデーマーチ2018」 2018/11/8日投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/2018-0edb.html

  「日本スリーデーマーチ2017」 2017/11/12投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/2017-24a0.html

  「日本スリーデーマーチ2016」 2016/11/11投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-89c3.html

  「日本スリーデーマーチ2015」 2015/11/12投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/2015-3fcc.html

  「日本スリーデーマーチ2014」 2014/11/10 投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-ba9a.html

  「日本スリーデーマーチ」 2012/11/17 投稿
   http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-ba9a.html

2022年11月13日 (日)

皆既月食と天王星食

 2022年11月8日(火)の夜、皆既月食と天王星食を観察・撮影する。

 

●皆既月食

 11月8日の夜、皆既月食があった。8日は冬型の気圧配置で、太平洋側の地域を中心に晴れて、全国的に観察できたという。月は18時9分から欠け始め、19時16分に皆既食となる。皆既月食になると、月が地球の影に隠れてで真っ黒になるのではなくて、大気がまるでレンズのような役割をして、太陽光が屈折して赤い色だけが届いて「赤銅色(しゃくどういろ)」のブラッドムーン(血の月)になる。

 国立天文台の情報によれば、皆既食は86分間続いて20時42分に終わり、その後は徐々に月は地球の影から抜けて、21時49分に部分食が終わるという。

 皆既月食(2022年11月8日) 出典:国立天文台 ホームページ 

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 夕方6時半頃から皆既月食の最大になる20時頃まで、自宅2階のベランダから観察と撮影した。

 部分月食 18:36 と 18:39

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 部分月食 19:04 と 19:10

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 皆既月食 19:18 と 19:54

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 皆既月食 月の左下に2つある星の上の方が天王星らしい。(写真をクリックすると拡大表示します)

 だんだん同じ姿勢で、眼も疲れてきたし寒いので、残念ながら撮影を止めてしまった。集中力や根気が続きません。

 

●天王星食

 月食の最中に、赤銅食の月が天王星を隠す「天王星食」が起こる。天王星は約6等級で、薄い青色に見える。普段の満月のすぐ近くであれば、明るさに負けてしまうが、天王星の潜入時に月が皆既食中で暗いため、見つけやすい。条件が良いと肉眼でも見えるという。

 天王星食(11月8日東京の予報) 出典:国立天文台 ホームページ

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 撮影できなかったので、国立天文台のライブ映像(YouTube)から引用する。

 20:11:09 皆既月食と左下に天王星 出典:国立天文台 ライブ配信(YouTube) 

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 20:26:38 皆生月食 左下の天王星が月に接近 出典:国立天文台 ライブ配信(YouTube) 

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 20:40:06 天王星の潜入 出典:国立天文台 ライブ配信(YouTube) 

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 21:22:57 天王星の出現 出典:国立天文台 ライブ配信(YouTube) 

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 ★ ★ ★ 

 皆既月食の撮影は、これまで何回か挑戦したが、今回はうまく撮れた方だ。ただ残念なのは月の高度が高くなって、カメラで追いにくくなったり集中力が切れて、天王星食まで待てずに撮影を止めてしまった。あとで他の天王星食の写真を見て、続けていれば撮れたはずだったのだが。

 日本全国で皆既月食が見られたのは、2021年5月26日以来、1年5か月ぶり。このときは、あいにく曇っていてうまく撮影できなかった。次回の皆既月食は、2025年9月8日だそうだ。

 国立天文台によると、日本で皆既月食と「天王星食」が重なるのは過去5千年で一度もなく、極めてまれな現象だという。皆既月食と「惑星食」が同時に観測できるのは、1580年7月以来442年ぶり。「天王星食」は、「惑星食」の一種。日本で皆既食中に「惑星食」が起こったのは、1580年7月26日の「土星食」以来442年ぶり。次回は322年後、2344年7月26日の「土星食」だそうだ。

 

 本ブログの「皆既月食」関連の記事

  「スーパーブラッドムーン2021」 2021/5/28 投稿

    http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-304988.html

  「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」 2018/2/1 投稿
    http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/post-c65d.html

  「ブラッドムーン」 2014/10/09 投稿
    http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-9a83.html

  「スーパームーン」 2014/09/11 投稿
    http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-6715.html  

  「赤い月」 2014/04/17 投稿
    http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-66f6.html

2022年11月11日 (金)

渋沢栄一ゆかりの地ウォーク

 2022年10月30日(日)、埼玉県深谷市の渋沢栄一ゆかりの地を巡るウォーキング。

 10:20、JR深谷駅の市営南駐車場に乗用車2台で到着。

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 深谷駅舎は、「関東の駅舎百選」にも選ばれている東京駅の赤レンガ駅舎をモチーフにしたデザイン。大正時代に竣工した東京駅・丸の内口駅舎の建築時、深谷にあった「日本煉瓦製造」で製造された煉瓦が70km以上離れた東京駅まで鉄道輸送されて使われたことに因み、1996年(平成8)に改装された。ただしこの深谷駅は、コンクリート壁面の一面にレンガ風のタイルを貼ることによって東京駅に似せているという。

 深谷駅北口から、渋沢栄一記念館行のコミニティバス「くるりん」に乗車、10:55出発。料金は200円。

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 11:20 、終点の「渋沢栄一記念館」着。バスを降り、「青淵(せいえん)公園」を通って旧渋沢邸「中の家」(なかんち)に向かう。

●青淵公園・青淵由来之跡の碑 11:30~11:35

 深谷の血洗島にあった渋沢栄一の生家の近くの「青淵公園」は、清水川の調整池も兼ねた清水川沿いに広がる9.8haの細長い公園。芝生やこども広場などがあり、市民の憩いの場になっている。11月3日からイルミネーションが点灯するという。

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 旧渋沢家「中の家」のすぐ裏手に、清水川の伏流水が湧く大きな淵があり、1937(昭和12)年、栄一の雅号「青淵」の由来を記念する記念碑が建つ。この碑は皇太子明仁親王の生誕奉祝記念事業として、埼玉県大里郡八基村(やつもとむら)青年団により発起・建設された。

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●旧渋沢邸 「中の家」(なかんち)11:35~12:00

 旧渋沢邸の立派な正門。門をくぐると正面に主屋がある。

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 旧渋沢邸「中の家」主屋は、渋沢栄一生誕地に建ち、栄一の妹の夫・市郎によって1895年(明治28)上棟された。梁間5間、桁行9間の切妻造の2階建、西側に3間×3間の平屋部分等を持つ。また、主屋を囲むように副屋、土蔵、正門、東門が建ち、屋根に「煙出し」と呼ばれる天窓のある典型的な養蚕農家の形を残している。

 栄一は、多忙の合間も時間をつくりたびたびこの家に帰郷した。東京飛鳥山の栄一の私邸は、空襲によって焼失したため、この家は現在残る栄一が親しく立ち寄った数少ない場所という。渋沢家の住宅として使われていたが、1985年(昭和60)より「学校法人青淵塾渋沢国際学園」の学校施設として、多くの外国人留学生が学んだ。2000年(平成12)の同法人解散に伴い深谷市に帰属。県指定旧跡、市指定史跡。

  主屋は、今年1月から~2023年(令和5)4月末予定で改修工事中、外観がネットで覆われて見られない。

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 主屋の写真の出典は、ウィキメディア・コモンズ。

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 藍玉(あいだま)取引の店として使われた副屋。また八基村農業協同組合が設立された折には、事務所として使われた。副屋の左手には東門と土蔵が並ぶ。

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 12:00~12:25、「青淵公園」に戻り、東屋で昼食。清水川の堤防を「渋沢栄一記念館」に向かって歩く。

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 赤城山と榛名山 浅間山、日光連山、秩父連山などの展望が広がる。

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●渋沢栄一記念館 12:40~13:20

 渋沢栄一の生家(血洗島)から東に500mほどの清水川のほとりにあり、渋沢栄一に関する展示を行っている。

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 1995年(平成7)11月11日、栄一の命日に開館した記念館。ガイドの案内で館内の渋沢栄一資料室(撮影禁止)に入る。

 資料室の入口にある栄一の等身大パネルと記念館の北側に建つ銅像。身長は150cmちょっとだったとか。

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最初に、栄一の年譜が掲示。青春時代~尊攘派志士、一橋慶喜の家臣へ。幕臣となり欧州訪問。大蔵省、実業家の時代。引退後の教育・医療・福祉活動などと分かれている。また栄一の遺墨や写真などが展示されていた。体育室では渋沢栄一に関する映像を見ることができ、2階の講義室ではアンドロイド渋沢栄一の講義を聞くことができるが時間の関係でパス。

●尾高惇忠生家 13:40~14:00

 尾高惇忠(じゅんちゅう)は渋沢栄一の従兄であり、栄一はこの尾高家に通い惇忠に論語をはじめ多くの学問を師事した。惇忠は、明治維新後は富岡製糸場の初代場長や第一国立銀行の森岡支店庁舎先代支店長などを務め、幅広く活躍した。

 尾高惇忠と渋沢栄一 出典:ウキメディア・コモンズ

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 この生家は、江戸時代後期に惇忠の曽祖父が建てたといわれ、当時は「油屋」の屋号で呼ばれ、この地方の商家建物の趣を残している。尾高家は 、農業のほかに菜種油、藍玉製造 、販売、 塩、雑貨等を販売しており、使用人も雇っていた。

 尾高惇忠生家 出典:ウキメディア・コモンズ

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 惇忠や栄一らが、高崎城乗っ取り計画を謀議したと伝わる部屋が二階にあるという。市の指定史跡。主屋敷の裏には、煉瓦倉庫も残る。

 惇忠の弟で、渋沢栄一の養子・渋沢平九郎や、惇忠の長女で富岡製糸場伝習工女第一号となるゆう(勇)もここで生まれた。平九郎は、幕臣のとして彰義隊・振武軍に参加して飯能戦争を戦ったが、敗北し自害した。旧渋沢邸「中の家」の裏には、栄一が作らせた平九郎の石碑があった。

 尾高淳忠生家を出て、深谷ネギ畑の農道を歩く。

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 利根川支流の小山川の堤防を右手橋の向こうに見える大寄(おおより)公民館に向かって歩く。

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●誠之堂・清風亭 14:25~14:40

 大寄(おおより)公民館の敷地内にある「誠乃堂」(せいしどう)と「清風亭」に入る。

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 「誠之堂」は1916年(大正5)、「清風亭」は1926年(大正15)の建設。東京都世田谷区にあった「第一銀行」の保養・スポーツ施設「清和園」に建てられていたもので、平成に入り深谷市に移築・復元された。いずれも建築史上、大正時代を代表する重要な建物。

 「誠之堂」は、渋沢栄一の喜寿(77歳)を祝って「第一銀行」(現在みずほ銀行)の行員たちの出資により建築された。外観は英国農家風、室内装飾に東洋的な意匠。栄一は、日本の近代経済社会の基礎を築いた。その拠点が「第一国立銀行」で、1896年(明治29)「第一銀行」となり、栄一は、その初代頭取を務め、喜寿を機に辞任した。2003年(平成15)、国の重要文化財に指定された。

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 「清風亭」は、当時「第一銀行」2代目頭取であった佐々木勇之助の古希(70歳)を記念して、「清和園」内に「誠之堂」と並べて建てられたスペイン風様式鉄筋コンクリート造り。建築資金は、「誠之堂」と同じく行員たちの出資によるもの。 佐々木も栄一と同じく、行員たちから強く慕われていたそうだ。2004年(平成16)、埼玉県指定有形文化財に指定された。

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 小山川の堤防を旧煉瓦製造施設に向かって進む。

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●旧煉瓦製造施設 15:15~15:45

 日本煉瓦製造株式会社の旧事務所(煉瓦資料館)に入る。旧事務所は、ドイツ人煉瓦製造技師チーゼの居宅兼事務所として建築され、当時の西洋建築の様式を残し、現在は資料館として利用されている。当初は別の敷地にあったが、3回の曳家移転がなされた。

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 日本煉瓦製造は、渋沢栄一らによって設立。煉瓦技師チーゼを雇い入れて、1888年(明治21)に操業を開始、当地で製造された煉瓦は、東京駅丸ノ内本屋や旧東宮御所(現迎賓館赤坂離宮)などに使用されており、日本の近代化に大きく寄与した。しかし時代とともに煉瓦需要が減少、安価な外国産の市場拡大で2006年(平成18)、約120年の歴史に幕を閉じた。

 煉瓦資料館 工場の全体模型

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 明治40年に建設された「ホフマン輪窯」の建物が6棟ある。右上の隅、川のほとりに旧事務所が見える。

 工場の一部として「ホフマン輪窯6号窯」「旧事務所」「旧変電室」が残り、専用線であった「備前渠鉄橋」とともに1997年(平成9)年5月、国の重要文化財に指定され、2007年(平成19)度に深谷市に寄贈された。ホフマン輪窯は、この旧煉瓦製造施設の他には、栃木県、京都府、滋賀県にそれぞれ1基が現存するのみで、全国では4基しか残されていないという。

 煉瓦資料館 明治40年建設のホフマン輪窯(6号窯)の模型。

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 「ホフマン輪窯6号窯」は、保存修理工事のため、2019年(平成31)2月から見学休止中。再開は2024年(令和6)頃の予定。 

 旧日本煉瓦製造のホフマン窯とその内部 出典:ウキメディア・コモンズ

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あかね通り(遊歩道) 15:50~16:30

 日本煉瓦製造が製造した煉瓦の当初の輸送手段は、利根川舟運であった。しかし安定性に欠けるため輸送力向上を目的として、1895年(明治28)に深谷駅から工場までの約4.2kmにわたって、日本初の専用鉄道が敷かれた。やがて煉瓦の出荷量の減少により、1972年(昭和47)から運用休止となり、1975年(昭和50)3月に全線の廃止届が提出され、翌年の3月に線路用地が深谷市に譲渡された。

 廃線跡は、線路が撤去され、歩行者と自転車が通れる遊歩道「あかね通り」となっている。

 15:50、国の重要文化財「備前渠鉄橋」を通過。ここから遊歩道「あかね通リ」を歩き始める。

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 下を流れる「備前渠」(びぜんきょ)は、1604年(慶長9年)に関東郡代の伊奈備前守が江戸幕府の命で開削した埼玉県最古の農業用水路。鉄橋は、「プレートガーター橋」(鋼板の橋桁の意)が採用されている。

 専用鉄道には3ヶ所の鉄道橋(備前渠鉄橋、唐沢川鉄橋、福川鉄橋) が架けられていた、そのひとつが県内最古の農業用水路でもある備前渠用水に設置された「備前渠鉄橋」。1スパンで、全長15.7mと3つの鉄橋でも最長の橋桁。イギリス人の鉄道技師ポーナルが設計。またすぐ脇には、備前渠用水から分水する新井用水の上に架けられた長さ2mの「煉瓦アーチ橋」も遊歩道となっている。 

 何故か廃線跡の遊歩道中央に大きな樹木がある。

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 福川を渡った先にある公園「ブリッジパーク」には、この路線で使用されていた「福川橋梁」やその脇に架けられていた「福川避溢(ひいつ)橋」が移築、保存されている。また「唐沢川鉄橋」は深谷駅の北口から東へ300mの地点に位置し、深谷市へ譲渡されたさいに橋の名は、「つばき橋」に変えられている。

深谷城址公園 16:40~16:45

 深谷城は、1456年(康正2 )に深谷上杉氏の上杉憲房(のりふさ) が古河公方(関東足利氏)の侵攻に備えて築城。1590年(天正18)、秀吉の小田原征伐まで、深谷上杉氏の居城だった。家康の関東入部に伴い、松平康直が1万石で入城し深谷藩となった。その後、藩主が何代か代って酒井忠勝(後の老中・大老)が1万石で入封したが、1627年(寛永4)に川越へ移封となり、深谷藩は廃藩、1634年(寛永11)に廃城となった。

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 ちなみに、武蔵国岡部(旧大里郡岡部町、現深谷市)を本拠としていた安部家の岡部藩領から、豪農から幕末に渋沢栄一、渋沢成一郎(喜作)、尾高惇忠などが輩出した。渋沢栄一と成一郎は一橋家慶喜の下で士分に取り立てられ、慶喜の将軍就任後は直参旗本となった。

 深谷城の城跡一帯が、深谷城址公園として整備されている。 外堀に沿って桜が植えられており、市民の憩いの公園。城跡は埼玉県指定旧跡、また外堀(外濠)の一部が深谷市指定史跡。周辺には深谷市文化会館、県立深谷高校、深谷第一高校、深谷商業高校や深谷市役所などが集まる市の中心街となっている。

 16:40、「深谷城址公園」の中を通過し、深谷駅に17:05着。

 この日の歩数は、22,500歩、距離13.5Km。渋沢ゆかりの地を学び、秋晴れの気持ちの良い、久し振りのウォーキング日和だった。

 

 ★ ★ ★

●韮崎直次郎の富岡製糸工場建設

 「尾高惇忠生家」のガイドの話では、富岡製糸工場ゆかりの深谷出身の偉人として、渋沢栄一、尾高惇忠とともに、あまり知られてない韮崎直次郎がいる。直次郎は、尾高家の住み込みの使用人・久保田熊次郎と同じく使用人であった母・銀の長男で、尾高家の離れで生れた。やがて韮塚家の養子となり、苦労して農業、養蚕、藍玉作り、菜種油の製造・販売に力を注いだ。尾高家の物心両面の力添があったと思われるが、 幕末には豪農としての地位を築いた。

 この直次郎のひたむきに努力する姿を尾高惇忠が見ていて、直次郎に対して深い信頼を寄せたようだ。富岡製糸工場の建設において西洋式建物の資材調達のまとめ役を任された。主な建築資材であった西洋の煉瓦は、製造方法もわかっていない中、地元の瓦職人を束ね、試行錯誤のうえ煉瓦を焼き上げることに成功したという。

●諸井恒平の秩父セメント設立

 諸井恒平は、武蔵国児玉郡本庄宿(埼玉県本庄市)出身の実業家。1878年(明治11)わずか16歳で本庄生糸改所頭取に推され、1886年(明治19)には児玉郡外二郡蚕糸組合の副頭取、同年24歳で本庄郵便局長になった。若い頃から事業家としての才覚があった。遠戚である渋沢栄一の勧めで、1887年(明治20)に日本煉瓦製造(株)に入社。支配人、取締役を経て、1907年(明治40)には専務取締役に昇進。その間、日本工業協会理事、東京毛織(株)専務取締役にも就任する。

 恒平の名を不動にしたのは、秩父鉄道の取締役となった1910年(明治43年)に武甲山の石灰岩に注目し、セメント製造事業の開拓を手掛けたこと。セメントの需要拡大を見込み、栄一の資金援助のゴーサインが出て、日本煉瓦社内に秩父セメント発起準備室が設けられた。1923年(大正12)に秩父セメント会社を設立、1925年(大正14)には秩父鉄道の社長も兼ねた。密接な関係にあったため両会社の発展に寄与した。この他にも大正、昭和を通して次々と要職に就いた。

 近代の諸井家は3家あり、北諸井、南諸井、東諸井と呼ばれた。恒平を世に出した東諸井家は、その他にも多くの逸材を育て、日本の近代化に深く貢献した。恒平の長男である諸井貫一は「経済団体連合会」「経済同友会」の創始者である。また、恒平の弟に当たる諸井六郎は、外交官として条約改正に尽力。他の弟たちも実業家として日本の近代化に貢献している。三男の諸井三郎とその次男諸井誠は、作曲家・音楽評論家として業績を挙げている。

●渋沢栄一の強運

 「近代日本経済の父」、新1万円札の顔ともなる渋沢栄一は、幼少の頃からとても頭が良かったという。また父親の藍玉売りに同行したりして、商才に長けていた。岩崎弥太郎と違い、財閥を作らず戦争に協力しなかった。「渋沢栄一記念館」のガイドは、彼は「強運」の持ち主だったと言う。

 江戸末期から明治へと、日本が近代化をめざして変革しようとする激動の時代においては、井伊直弼、吉田松陰、坂本龍馬、中岡慎太郎、近藤勇土方歳三、西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文・・・といったすぐれた人物が、悲運にも次々と倒れた。確かに、栄一もひとつ間違えれば、そういう生涯を送ったかもしれない。確かに彼は、歴史の流れに乗った4つの「強運」を持っていた。しかも長寿で1931年(昭和6)11月11日、老衰のため91歳で逝去した。

➊尊皇攘夷の青年期

 藍の商いをおこなう農家の子として生まれた渋沢栄一は、日本の将来を憂いて過激な尊王攘夷派となった。討幕をめざして武具を買い整え、従兄弟の渋沢喜作ら69人の同志を募り、攘夷蜂起を目的とする同志を組織。1863年(文久3 )年11月に、高崎城を乗っ取って武器・弾薬を奪い、鎌倉街道を南下して横浜を焼き討ち、外国人を切り捨てる、長州藩と連携して幕府を倒すという計画を立た。

 同志との会合の席上で、栄一の従兄弟であり妻の兄である尾高長七郎が、天誅組の失敗を例に挙げて計画の実行を反対した。栄一は決行を主張し議論は平行線。しかし幕府がこの計画を察知し動き出していたため、計画は実行されず栄一と喜作は連れだって京都へ逃れた。血気に走る一歩手前で、反逆者として処刑される危機を切り抜けた。これが1番目の「幸運」だった。

➋幕府側への転身

 一橋家の重臣、開国派の平岡円四郎に出会い、「世界を知らずに、攘夷を論じている自分」を知らされ、眼を開かされる。渋沢栄一と喜作はまさに180度の転身をして、平岡の推挙により喜作と共にかつて敵であった幕府側、一橋家の家臣となった。これが2番目の「幸運」となった。

➌西洋で学ぶ

 幕府の最後の将軍・徳川慶喜の家臣となった栄一は、慶喜の弟、民部公子(徳川昭武)の随行して、中国、シンガポール、エジプトを経由して、パリ万国博覧会が開催されるフランスへ渡る。そこで、渋沢は西洋の文化、社会にじかに触れ、日本より遥かに進んだ鉄道や兵器、科学技術などに驚く。とりわけ、彼の心を揺り動かしたのは、銀行を中心とした経済構造であり、株式会社による近代資本主義だった。3番目の「幸運」は、異国で学ぶ機会を得たこと。

 そして、日本に帰ってきた時には幕府が倒され、明治維新によって江戸幕府は消滅していた。時代の大きな激変の時に、渋沢栄一が外国にいたため、それに巻き込まれなかったことも「強運」であった。、栄一の見立養子(相続人)の渋沢平九郎は、彰義隊に参加して敗北し自害している。

 「近代国家は強力な軍隊だけではなく、自由な取引による商工業によって支えられている。日本も遅れてはならない」。栄一はそのことを痛感し、日本に戻ってきたあと、慶喜が身を寄せていた静岡藩で、商法会所(株式会社)を始め、順調に発展する。栄一は慶喜に「私はこれからもあなたをお支えしたい」と伝えるが、慶喜からは「私に仕えなくていい。自分の人生を生きなさい」と諭される。明治政府に呼ばれ、大隈重信に説き伏せられて、大蔵省の役人となった。

➍自分を生かす道は実業家

 大蔵省の役人となった栄一は、日本の近代化をめざして、財政、地方行政、殖産興業等を精力的に進めた。しかし障害が多く、「自分の生きる道は、ここではない」と悟り、自力で切り開く決意を固めたことも第四の「幸運」となった。自分をもっとも生かす道、実業家となった栄一は、少年期に学んだ孔子の『論語』の精神を生かして、「私利私欲を追求し、ひたすら営利をむさぼる実業家ではなく、たくさんの人に利益をもたらす、仁愛の精神を持った実業家」になろうとした。

 国家や社会のための「公益」を大切にするという考えのもと、栄一は第一国立銀行や東京商法会議所を設立、王子製紙、日本郵船、帝国ホテル、札幌ビール、東京電力、東京ガスなど500社におよぶ株式会社を立ち上げ、会社の経営に携わった。さらに「経済活動だけでなく、社会公共事業が大切」と医療や教育を支援し、東京慈恵会、日本赤十字社、聖路加病院、理化学研究所等の設立に関わり、一橋大学や同志社大学、二松学舎、早稲田大学、日本女子大学等の設立を助けた。

 特に力を注いだのは、養育院。明治維新により社会体制が大きく変わり、職を失う人、孤児や老人、障害者など多くの生活困窮者がいた。養育院は1892年(明治5)、明治政府が生活困窮者の保護施設として設立。渋沢は1874年(明治7)から事業に関わり、1879年(明治12)初代養育院長となって運営に携わり、死ぬまでの50年余り院長を務めた。「怠け者など税金で養うべきではない」との議論に、栄一は「政治は仁愛に基いて行なうのは当然」と、公的支援を訴えた。

●論語と算盤

 渋沢栄一は、「なによりも良心と思いやりを大切にしなければ」と、労働組合を助け、貧しい人のための「生活保護法」をつくり、社会福祉にも尽力した。その信念を、『論語と算盤』という著書にまとめている。栄一は経済人・実業家であるだけでなく、確固とした哲学をもった思想家でもあった。

 道徳と経済とは、孔子の教えである論語から、「道徳なくして経済なし 経済なくして道徳なし 」という考え方。「徳で収める儒教の考え方を経済に取り入よう」と考えた。そして、ただお金儲けをするのではなく、世のため、人のため、または日本の繁栄のために『徳』を積むようなビジネスを、相反する働き方と融合しようと「道徳経済合一主義」を試みた。この考え方は、道徳に欠け、金儲け主義や自己中心的な働き方が多い現代社会にも必要だ。

 岩崎弥太郎は三菱財閥の創始者で同時代に活躍したが、事業を独占しすることで、富も独占しようと考えた。栄一は自ら財閥を立ち上げるという、出世欲や名誉欲というものは全くなかった。 事業を大きくして得た利益は社会に還元し、「公益」を追求することで日本を豊かにしようと考えた。道徳的に正しいことを続けることが公益になり、やがて自分にも返ってきて豊かになると考えた。このような論語思想から、教育・福祉事業への投資・寄付を惜しまなかったという。

 ところで、後にキリスト教の洗礼を受けた大原孫三郎は、倉敷紡績、倉敷絹織、倉敷毛織、銀行、電力会社などの社長を務め、大原財閥を築き上げた。孫三郎は、石井十次の社会福祉事業の影響もあり、工員の教育や環境改善、農業改善のほか、社会・文化事業にも熱心に取り組んだ。倉紡中央病院、大原美術館、大原奨農会農業研究所、倉敷労働科学研究所、大原社会問題研究所、私立倉敷商業補習学校を設立した。孫三郎と渋沢栄一が、社会へ還元する経済の考え方が共通することを知って、改めて当時の実業家の偉大さを思う。

2022年11月 6日 (日)

新型コロナ2022.10 増加に転ず

 新型コロナウイルス感染症は、7月には「第7波」となって全国的に急増、8月10日の全国の新規感染者は過去最多の25万人超、自宅療養の感染者も10日時点で過去最多の154万人、重症者や死者も増加した。8月下旬からは減少傾向が続いているが、この冬は季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行「第8波」が懸念されている。今月19日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.35倍と8月下旬以来およそ2か月ぶりに増加に転じた。

 2022年10月16日から31日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2022.10 第8波懸念」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】

 

【10月16日】

●「宿泊料金が軒並み高く‥」 全国旅行支援で 「便乗値上げ」?

 新型コロナの水際対策が大幅に緩和され、街中には海外からの旅行客の姿が多くみられるようになった。一方、水際対策の緩和とともに始まった「全国旅行支援」の影響で、SNS上にはホテルや旅館の宿泊料金について「どこのホテルも軒並み金額が高くなっている」、「予約を取り直そうとしたら金額が2倍以上になっている」などと、割引きを前提とした値上げ、いわゆる「便乗値上げ」をしているのではないかという声が上がっている。

 宿泊予約サイトの担当者によると、「全国旅行支援」が始まってから全体的に予約が増加し、宿泊料金が高くなる傾向がみられるという。観光庁の担当者は、「料金設定の方法や考え方は事業者によって異なるため、どこからが不当な値上げなのかを一律に定めることはできない。ただ、割引きを前提にした不当な値上げがされないよう都道府県を通じて事業者に周知していく」と話している。

●雇調金、企業の不正135億円 手続き簡素化背景に コロナ下 920件

 企業が従業員に支払った休業手当を国が補助する「雇用調整助成金」(雇調金)をめぐり、コロナ下での不正受給が9月末までに920件、総額135億円にのぼることが分かった。迅速に支給するため、手続きを簡素化したことなどが背景にある。雇調金の支給対象は、売上高が一定程度減るなどした企業。従業員の休業手当を補助することで、解雇を防ぐ狙いがある。

 厚労省はコロナ禍を受けて雇調金を拡充した2020年以降、雇用保険に非加入の非正規労働者らの休業手当を補助する「緊急雇用安定助成金」も含めた不正受給額を集計。135億円のうち、102億円は回収済みで、残りも回収を続けている。

●全国で新たに2万9416人が感染 5日連続で前週を上回る

 国内感染者は16日、新たに2万9416人が確認された。前週の同じ曜日(9日)より6802人多く、5日連続で1週前の感染者数を上回った。死者は15人。16日の新規感染者が都道府県別で最も多かったのは東京都の2714人で、大阪府2318人、北海道2089人、神奈川県1690人と続いた。

 10月16日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【10月17日】

●ゼロコロナ、経済停滞続く 中国GDP発表延期 習体制に忖度

 17日午前、中国の経済政策を担う国家発展改革委員会の幹部は記者会見で、「目前で把握している状況を見ると、7~9月期の経済は明らかに回復している」と強調した。その数時間後、 国家統計局は18日に予定されていた7~9月期の国内総生産(GDP)の発表延期を公表。延期理由の説明はなく、主要国営メディアは延期の事実すら報じない。 開会中の共産党大会への影響を懸念したとみられる。

 3期目入りを果たす習総書記の政策によって中国経済は停滞が続いている。9月中旬にはゼロコロナ政策で移動を制限された人は約3億人に上った。文化旅行省の発表によると、中国の長期連休である10月の国慶節では、コロナ禍前の2019年に比べ旅行者は6割減った。消費動向を示す小売総額も2021年ごろから低調が続く。低迷する経済指標を前に、発表延期は「習1強体制」が完成する党大会に水を差さないよう忖度が働いた可能性もある。

●コロナとインフル同時流行に備え、「わかりやすい周知重要」

 この冬に懸念される感染拡大について、政府は、新型コロナが一日45万人、インフルエンザが一日30万人の規模で同時に流行し、ピーク時には一日75万人の患者が発生する可能性を想定して対策を進める。こうした中、東京都は17日、都内の医療提供体制の整備など対策を検討する会議を開き、出席した専門家からは「同時流行が起きると発熱外来の混乱が懸念される。相談窓口や検査・受診体制を準備し、都民への分かりやすい周知が重要」とする指摘が相次いだ。

 また会議では「検査キットや解熱剤などを備蓄する重要性を都民により理解してもらう方法が必要」とか「オンライン診療の拡充とともに、コロナの患者を診療できる医療機関の数をさらに増やすべき」などといった意見も出された。都は、同時流行に備え、陽性者登録センターの受け付け枠の引き上げや、インフルの治療薬を迅速に受け取れる仕組みなどを検討しており、17日の専門家の意見も踏まえ具体的な対策を取りまとめることにしている。

●オミクロン対応 職域接種始まる

 オミクロン株に対応したワクチンの職域接種が17日、始まった。社会経済活動を回す方向へかじを切るなか、政府は現役世代への接種加速をめざす。だが、実際には職域接種は進んでいない。自治体での接種も進んでいることもあり、コロナワクチンとしては4回目となる今回の職域接種を申し込んだのは12日時点で731会場。1~2回目は約4千会場を設置して約970万人が接種を受けたが、3回目は約3千会場で約430万人に減っていた。

●自治体向け交付金、7.3億円が「不適切」 20年度コロナ対応 検査院調べ

 新型コロナ対応で国が地方自治体に交付する「地方創生臨時交付金」(コロナ交付金)について、会計検査院が検査したところ、約7億3千万円の不適切な支出が確認された。効果が把握できないケースも多数あるとして、検査院は17日、内閣府などに改善を求めた。コロナ交付金は、2020年4月に閣議決定されたコロナ対応の「緊急経済対策」に位置づけられた。感染拡大の防止、雇用の維持と事業の継続、経済活動の回復、などを目的とした事業が対象となる。

 自治体の「実施計画」に基づいて交付され、2020~21年度に予算計上された総額は約15兆2千億円。生活支援などを目的に、8県と596市区町村が行った商品券の無償配布事業では、30市区町村で未使用の商品券(交付金額約6695万円)が精算されず、活用されないまま。また、中小企業などが融資を受ける際の保証料の補助事業では、3県と82市区町村で約5億4750万円が自治体に滞留。水道料の減免事業で、対象にならない公共施設が含まれているところもあった。

【10月18日】

●米、新型コロナとインフル、両方のワクチン接種を呼びかけ

 新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念される中、米国では来月下旬の感謝祭の時期を前に両方のワクチンを接種するよう呼びかけが行われている。日本とは季節が逆で、インフルの流行の時期が半年ずれる南半球のオーストラリアでことし、コロナが拡大する前と同じ程度のインフルの流行が起きた。

 バイデン政権で新型コロナ対策調整官をつとめるアシシュ・ジャー氏は、今月、同時流行への危機感を示したうえで「インフルと新型コロナの両方のワクチンを打ちに行ってほしい。皆さんがそうすれば、この冬、一日に何百人もの命が救われることになるだろう」と述べ、両方のワクチンの接種を呼びかけた。米国CDC(疾病対策センター)は今月14日「インフルの増加が多くの地域で報告されている」として、ワクチンの接種を早めに済ませるよう呼びかけている。

●同時流行、3段階で呼びかけ 政府 感染状況別後リスク者を意識

 今冬懸念される新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行について政府は18日、感染状況を3段階に分けて対策を呼びかける方針を決めた。段階が進むにつれ、重症化リスクが高い人への速やかな発熱外来の受診や、リスクが低い人への自宅療養を促すメッセージを強めていく。厚労省がこの日、同時流行対策の会議を開催した。想定では感染状況を、①落ち着いている、②同時流行の兆しが見える、③同時流行により医療逼迫が懸念される、の3段階に分けた。

 ①では、双方のワクチン接種を促し、コロナの抗原検査キットと解熱薬の事前購入を呼びかける。②では、症状が出た高齢者や小学生以下の子どもなど高リスク者に発熱外来の受診を、自主検査で陽性となった高リスク者以外には「健康フォローアップセンター」の活用を呼びかける。③では「医療機関が速やかに受診できない状況」「高リスク者を守るため一層のご協力を」と呼びかけ、自宅療養中の体調悪化に対応する相談窓口も周知する。

 10月18日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【10月19日】

●WHO、新型コロナ「緊急事態」宣言、当面続ける方針

 WHOは19日、本部のジュネーブで記者会見を行い、2020年1月から新型コロナの感染拡大に出している「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言について、解除できるか今月13日に専門家による委員会を開き、初めて本格的に検討したことを明らかにした。委員会では、世界での死者数が依然として多いことや、変異ウイルスのリスクがまだよくわからないといった意見が出たことで、「緊急事態の宣言を解除するには早すぎる」という判断で一致した。

 WHOのテドロス事務局長は「いまのパンデミックは私たちを驚かせたが、今後再び驚かせる可能性がある」と述べ委員会の判断に従って宣言を当面、続ける方針を明らかにした。世界の新規の感染者数や死者数は減少傾向にあるが、ドイツやフランスなどでは感染者数や入院者数が再び増えるなど、新たな感染拡大への警戒も出ている。

●9月の外国人旅行者、コロナ感染拡大以降初めて20万人上回る

 先月、日本を訪れた外国人旅行者は新型コロナ感染拡大以降、初めて20万人を上回った。観光局によると先月、観光客を含めて日本を訪れた外国人旅行者は推計で20万6500人。20万人を上回るのは2020年2月以来で、前の月に比べて3万6700人、率にして21.6%増。国別では、韓国が3万2700人、次いでベトナムが3万900人、米国が1万8000人、中国が1万7600人となっている。

 先月7日に、3回目のワクチン接種を条件にすべての入国者に求めていた陰性証明書の提出の免除や、添乗員を伴わないツアーも認めるなど、水際対策が緩和されたことで、ビジネスや観光目的での入国が増えた。水際対策は、今月11日にさらに緩和されて、観光目的の個人旅行も解禁されたほか、さらに円安で外国人にとっては日本への旅行が割安になっていることから、今後も外国人観光客の増加が期待されている。

●「感染症危険情報」、全世界をレベル1に 渡航自粛要請国なくなる

 外務省は、新型コロナの感染状況が世界で総じて改善してきていることや、G7(主要7か国)の各国もすでに国や地域別のレベルの指定を取りやめていることなどを踏まえ、「感染症危険情報」のレベルを見直し、19日付けで、全世界を渡航に際して十分注意するよう呼びかける「レベル1」とした。これまで76の国と地域を「不要不急の渡航」をやめるよう渡航自粛を要請する「レベル2」としていたが、今回の見直しで、渡航自粛を要請する国などがなくなった。

●ワクチン3回目以降の接種、5か月の間隔を3か月に短縮へ

 オミクロン株に対応したワクチンで行われている3回目以降の接種について、少なくとも5か月としている前回の接種からの間隔を少なくとも3か月に短縮することが、19日に開かれた厚労省の専門家による部会で了承された。3か月に短縮してもウイルスの働きを抑える「中和抗体」の値の上昇が確認されたほか、安全性についても特段の懸念はないという。早ければ10月下旬にも運用が始まる見通し。

 米国や欧州の多くの国では2か月もしくは3か月と定めていて、日本でも短縮するべきだという意見が上がっていた。対象となるのは10月に接種が始まったオミクロン株「BA.5」などの対応ワクチンや、9月に接種が始まった「BA.1」対応ワクチン、さらに従来型のワクチンと、日本で打つことができるファイザーとモデルナのワクチンが対象。冬場の感染拡大や季節性インフルとの同時流行が懸念される中、年内により多くの人が接種できるようにする。

【10月20日】

●オミクロン株対応ワクチン、接種間隔を3か月に

 オミクロン株対応ワクチンは、12歳以上を対象にした3回目以降の追加接種として、先月20日から「BA.1」対応ワクチン、今月13日から「BA.5」対応ワクチンの接種が始まっている。

 19日に厚労省の専門家による部会で少なくとも3か月に短縮することが了承され、20日に開かれた分科会で、21日から運用を開始する方針を決めた。厚労省は、年末年始に懸念される感染拡大に備え、希望する人全員が年内に接種を行えるようにする方針。ファイザーの「BA.1」対応ワクチンと「BA.5」対応ワクチン、モデルナの「BA.1」対応ワクチン、合わせておよそ9908万回分を来月下旬にかけて自治体に配送する計画。

●専門家会合、新規感染者数増加続く可能性 「第8波」も

 厚労省の専門家組織は20日、全国の1週間の感染者数が8週間ぶりに増加に転じたと報告した。ほぼすべての地域で増加に転じ、特に北海道や東北で大きく増加している。高齢者の新規感染者数も増加に転じていて、減少が続いていた重症者や亡くなる人の数は下げ止まり。また、ワクチン接種や感染によって獲得した免疫は時間とともに低下すると考えられ、60代以上では感染による免疫の獲得は少ないことから、今後、高齢者での感染拡大が懸念されると指摘した。

 そして、大都市などでの短期的な予測では増加傾向が続く可能性があるほか、インフルエンザとの同時流行も懸念される。会合では、専門家が今後の感染拡大の「第8波」のリスクについての評価を示し、国内の多くの地域で感染者数が増加に転じていることや、ヨーロッパやアジアの一部の国々で感染拡大が起きている状況などから「第8波の流行が起こる可能性は非常に高いと考えられる」と分析した。

●新規感染者数、前週比1.35倍 およそ2か月ぶりに増加

 20日の専門家組織の会合で示された資料によると、19日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.35倍と8月下旬以来およそ2か月ぶりに増加に転じている。1週間前時点では前週比で感染者数が増えた都道府県はゼロだったが、状況が一変した。首都圏では、東京都が1.25倍、神奈川県が1.16倍、埼玉県が1.23倍、千葉県が1.20倍と増加。前週比が最も高いのは和歌山県で1.75倍。北海道と香川県が1.60倍など、沖縄県を除く46の都道府県で増加している。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、山形県が426.49人と全国で最も多く、次いで北海道が396.93人、秋田県が336.63人、長野県が325.63人、全国では196.71人となっています。

●東海道新幹線 この先1か月指定席予約、コロナ拡大前の約90%に

 JR東海によると、10月1日から19日までの東海道新幹線の指定席と自由席を合わせた利用者数は、新型コロナの感染拡大前の2018年の同じ時期と比べて75%となった。一方、10月20日から11月19日までの1か月間の指定席の予約数は、2018年の同じ時期と比べて90%程度まで回復しているという。10月11日には政府の新たな観光需要の喚起策「全国旅行支援」が始まるなど、旅行により新幹線を利用する動きが広がったためとみられる。

【10月21日】

●変異株、世界で続出 免疫効きにくなる方向か

 世界各地でオミクロン株の派生系統が確認されている。国立感染研が21日に評価をまとめた。9月にナイジェリアで見つかった「BQ.1」は、英・仏など欧州を中心に増えている。ワクチンや感染で得た免疫の一部が効きにくいとみられる。9月にシンガポールで、二つの変異株の遺伝子が混ざった組み換え体と呼ばれる「XBB」が確認された。同国では感染者の半数を占め、バングラデシュでも増加傾向。ほかの系統よりも広がりやすい可能性が指摘されている。いずれも日本でも確認され、今月17日時点でBQ.1とその派生系統が検疫と国内で計17人、XBBは計7人。今後増えるおそれがあるという。

 5月に米国で見つかった「BA.4.6」は北米を中心に増加傾向で、米国では現在11%を占める。6月にインドで見つかった「BA.2.75」はBA.5からの置き換わりが一時的に進んだ。いずれも国内で100人以上の感染者が見つかっているが、BA.5が主流の状況は変わっていない。これらのオミクロン株の派生系統は重症度が上がったという明確な報告はない。ただ、細胞への感染しやすさよりも、既存の免疫が効きにくくなる方向への変異が進んだとみられる。

●新型コロナワクチン、大規模接種会場で5回目開始 東京

 オミクロン株対応ワクチンの3回目以降の追加接種について、厚労省は少なくとも5か月としていた前回の接種からの間隔を3か月に短縮する方針を決めた。これを受け、ことし7月に接種を受けた人も21日から追加の接種を受けられるようになり、都の大規模接種会場の1つの都庁の北展望室では訪れた人が何回目の接種になるかなどをスタッフに伝えていた。最多となる5回目の接種も可能となり、来週の25日からは専用のウェブサイトで予約もできるという。

●ワクチンどっち接種? BA.1とBA.5 戸惑う自治体
 
 新型コロナワクチンの接種間隔が21日、「5カ月以上」から「3カ月以上」に短縮された。ただ、オミクロン株に対応したワクチンは2種類あり、政府が「どちらを接種してもよい」などと説明していることで、住民や自治体に混乱が広がっている。オミクロン対応ワクチンは先行して接種が始まったBA.1型と、BA.5型がある。いま流行中のものに対応しているBA.5型の接種希望が増えていて、今回の短縮により、今後さらに希望が増えると各自治体はみている。

【10月23日】

●接種後の症状、「ワクチン」によるものか検証できるシステム開発

 ワクチンの効果や副反応を、接種した人としていない人で比較して検証できるシステムを九州大学のグループが開発した。欧米やアジアの国々で、こういったシステムはすでに導入されている。国内には、接種後に出た症状がワクチンによるものかどうか正確に調べられるシステムがなかったが、予想外の副反応が起きた場合にも対応可能になるとしていて、ワクチンに対する信頼を高めるのに役立てたいとしている。

 開発した福田准教授らは、各地の自治体の協力を得て、およそ130万人分の予防接種台帳などの情報と国民健康保険のレセプト情報からデータベースを作り、接種した人としていない人でワクチン対象の病気になったり、副反応の疑いがある症状が起きたりした割合を比較できるシステムを作った。実際に調べると、従来型ワクチンは「BA.1」が多かった時期に感染を防ぐ効果が56.5%、肺炎球菌ワクチンでは皮膚の炎症が起きる確率が2.5倍だったことが確認できたという。

●全国で新たに3万824人の感染確認 死者37人

 国内感染者は23日、新たに3万824人が確認された。前週の同じ曜日(16日)よりも1408人多かった。全国で発表された死者は37人だった。都道府県別で新規感染者が最も多かったのは東京の2805人。北海道2487人、大阪府2146人、神奈川県1807人、埼玉県1363人、兵庫県1348人と続いた。

 10月23日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【10月24日】

●中国GDP3.9%増 7〜9月期 年間目標5.5%は困難

 中国国家統計局は24日、18日の発表予定をいったん延期していた7~9月期の国内総生産(GDP、速報値)を発表した。物価変動の影響を除く実質成長率は前年同期比3.9%だった。1~9月期でみると同3.0%で、習近平(シーチンピン)指導部が今年の目標に設定した「5.5%前後」の達成は困難となった。中国政府関係者は「延期を指示したのが誰かはわからない。ただ、党大会期間中に前向きではない数字を発表することなどできるわけがない」という。

 4~6月期は厳しい移動制限を伴うゼロコロナ政策によって上海が2カ月以上もロックダウンされ、北京などでも移動が制限された。そのため、前期に比べ7~9月期は改善したものの、足元で回復が広がっているとは言いがたい。人々の消費の状況を示す小売総額は、同2.5%増と8月から減速した。いまだに各地でロックダウンが断続的に実施され、先行き不安で人々が財布のひもを緩められないためだ。不動産も低調な数字が続く。

●NY メトロポリタン歌劇場など、マスク着用義務撤廃

 新型コロナの感染状況が落ち着いたとして、米ニューヨーク市はことし3月、レストランや劇場などでのワクチンの接種証明の提示や、公共施設の屋内でのマスク着用について義務化を撤廃し、多くの施設が対応を緩和したが、一部の劇場では、その後も独自に接種証明の提示やマスクの着用義務を続けてきた。

 24日、ワクチンの接種が進んだことなどを受けて、世界有数のオペラハウス、メトロポリタン歌劇場や、「音楽の殿堂」とされるカーネギーホールなどでマスクの着用義務が撤廃された。

●山際経済再生相が辞任 教団と接点、追及受け引責 首相、任命責任認める

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりが相次いで表面化していた山際経済再生相(54)は24日夜、首相官邸で岸田首相に辞表を提出した。首相は受理し、事実上更迭した。山際氏は首相と会談後、記者団に教団の問題について「後追いの説明となり、結果として政権に迷惑をかけることになった」と述べた。岸田政権が昨年10月に発足してから、不祥事などで閣僚が辞任するのは初めて。教団の問題をめぐって、政府や党の役職を辞任するケースも初めて。

 首相は8月、教団と自民党の関係が問われる中、内閣改造で山際氏を留任させた任命責任が問われる。首相は記者団に「任命責任は当然感じている。職責をしっかり果たすことによって責任を果たしていきたい」と述べた。後任は25日に発表する。

 

●生後6か月~4歳対象のワクチン 、「努力義務」 他の接種と調整 重要に

 生後6カ月~4歳を対象にした新型コロナワクチンが、24日から接種できるようになる。5歳以上と同じ予防接種法上の「努力義務」がついた。基礎疾患のない子どもでも重症化する例が報告される中、小児科医は接種する意義を指摘している。努力義務は義務とは異なり、本人や保護者が納得したうえで接種を判断することになる。24日から来月下旬にかけておよそ700万回分のワクチンが自治体に配送、準備が整った自治体から順次、接種が開始される。

 ワクチンは、有効成分の量が大人の10分の1で、3回の接種が必要。3週間開けて2回目を接種したあと、少なくとも8週間開けて3回目を接種する。接種を希望する場合、悩ましいのがほかの予防接種とのスケジュール調整。とくに生後6カ月~1歳ごろは、4種混合や麻疹・風疹など、定期接種のワクチンが多い。コロナワクチンは、インフルワクチンと同時接種ができるが、それ以外は原則、前後2週間の接種間隔をあけるとされている。

【10月25日】

●更迭、異例の首相説明 衆院本会議 山際氏後任に後藤前厚労相

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりが相次いで表面化した山際経済再生相(54)は24日夜、首相官邸で岸田首相に辞表を提出した。首相は受理し、事実上更迭した。首相は25日、山際氏の後任に後藤茂之・前厚労相(66)を起用した。同日午後に開かれた衆院本会議では経緯を説明し、「国会開会中に、大臣が辞任する事態となり深くおわびを申し上げます」と謝罪した。与党内でも更迭は遅いという批判も出ている。

 山際氏は、当選6回。昨年10月の岸田政権発足時に経済再生相に就任、看板政策「新しい資本主義」のほか新型コロナ対策も担当。後任の後藤氏は大蔵官僚を経て、当選7回。自民党政調会長時代の首相を政調会長代理として支えた。経済や社会保障分野、特に年金政策に詳しく、昨年10月の岸田政権発足時に厚労相として入閣。新型コロナ担当相だった山際氏とともに、感染者が急増した「第7波」への対応など、新型コロナ対策の司令塔を担った。

 山際大志郎氏と後藤茂之氏 出典:ウィキメディア・コモンズ
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【10月26日】

●「感染者横ばいも、接触増の影響注意」 厚労省専門家組織

 厚労省の専門家組織の会合が26日に開かれ、全国の新規感染者数は増加に転じた先週から変わって、直近では横ばいになっている。一方、北海道や東北、中国地方などでは増加がみられ、感染状況には地域差があると指摘。また、重症者や亡くなる人の数は下げ止まり。多くの地域で夜間の繁華街などでの人出が増加していて、年末に向けて社会経済活動が活発化することで、人と人との接触機会が増えることによる影響に注意が必要だとしている。

 60代以上では感染による免疫獲得は少なく、今後は高齢者での感染拡大が懸念される。年内にオミクロン株対応ワクチン接種を完了するよう呼びかけることが重要。さらにインフルとの同時流行も懸念され、発熱外来やオンライン診療の強化、自己検査キットの確保などの対策を進めるよう求めている。そのうえで、場面に応じた不織布マスク着用、換気、飲食は少人数、飲食時以外はマスク着用。症状があるとき外出を控えるといった基本的感染対策を続けるよう呼びかけた。

●1週間の新規感染者数 全国では前週比0.96倍

 厚労省の専門家会合で示された資料によると、25日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.96倍と増加傾向だった先週から変わってほぼ横ばい。首都圏では、東京都と埼玉県が0.94倍、神奈川県が0.97倍、千葉県が0.95倍、また香川県と愛媛県が1.20倍、岩手県が1.16倍、北海道が1.13倍など合わせて10の道県で増加。一方、徳島県は0.68倍、鹿児島県0.74倍、沖縄県0.78倍などと、地域によって感染状況に差が見られる。

 人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、山形県が455.04人と全国で最も多く、次いで北海道が450.73人、秋田県が329.65人、長野県が301.51人などとなっているほか、大阪府が186.35人、東京都が163.77人、全国では190.93人。

●脇田座長「感染落ち着くも注意を」

 専門家組織の会合のあと開かれた記者会見で、脇田座長は、現在の感染状況について「連休の影響で北海道や東北など感染者が増加している地域があったが、全国的にみれば感染状況は少し落ち着いてきた。第7波での感染者が少なかった地域では、自然感染などによる免疫が落ちているため、増加しやすく、逆に、沖縄県のように感染者の多かった地域では、拡大しにくいというデータも示された」と指摘した。

 また、新型コロナとインフルエンザとの同時流行について「インフルの流行の兆しはまだ見えず、いつ流行が始まるかは分からない。ただ、コロナと同時流行する可能性は十分にあり、備えとしてはオミクロン株対応のワクチン、インフルワクチンの両方の接種を進めること、自宅でできることとしてコロナの抗原検査キットや解熱剤などの準備を進めておくことが大事だ」と述べた。

●「第8波」、800万人感染の試算 ワクチン接種で3割減も 西浦教授

 新型コロナの「第8波」について数理疫学が専門の京都大学の西浦教授は26日に開かれた厚労省の専門家組織の会合で、来年2月までに800万人程度が感染する一方、ワクチンの接種が順調に進めば感染者数を30%近く減らすことができるとするシミュレーションの結果を示した。

 西浦教授は「ワクチンの接種を確実に進めることで、入院者数を2割程度減らすことができるなど、インパクトは大きい。実効再生産数が低く流行がゆっくりと進むときにはワクチンの接種が間に合いやすい傾向があり、感染予防対策と組み合わせられると、より効果が期待できる」としている。

●発熱外来設置の医療機関への診療報酬加算 来年3月末まで延長へ

 この冬は、新型コロナとインフルエンザの同時流行の可能性が指摘されていて、厚労省は日本医師会などに発熱外来の設置に協力を求めている。こうした中、厚労省は、今月末が期限となっている発熱外来を設置している医療機関への診療報酬の加算を延長することを決め、26日関係者に通知した。

 具体的には、新たに発熱外来を設置したり、今の診療体制を拡充したりすることを要件に、加算を来年3月末まで延長する。また、自宅や宿泊施設で療養している重症化リスクの高い患者に対し、電話などで診察を行う医療機関への加算についても、土曜・日曜の診察や、インフルにも対応できる体制があることなどを新たな要件にして、来年3月末まで延長する。

【10月27日】

●葬儀などのガイドライン、早急に見直しへ 厚労相

 加藤厚労相は、新型コロナで亡くなった人の葬儀などに関する国のガイドラインについて、遺族の思いに沿った形になるのが望ましいとして、専門家らの意見を聞きながら、早急に見直す考えを示した。国はおととし7月に、新型コロナで亡くなった人の搬送や葬儀に関するガイドラインをまとめ、遺体が適切に管理されれば感染リスクは極めて低くなるとした一方で、遺体に触れることは控えるよう呼びかけている。

 これについて参議院厚労委員会の審議で「病室で対面できない、火葬場にも入れてもらえないということが全国で起きている。見直すべきだ」という指摘が出された。これに対し加藤厚労相は「亡くなった方を送ることは大変大事な儀式で、できるだけ遺族の思いに沿った形で行われることが望ましい。ガイドライン作成から2年以上が経過し、有識者からも見直すべきだという指摘が出ていて、私もそのように実感している」と述べた。

● 特例貸付け、3割返済不能 コロナ困窮世帯向け 79万件免除申請

 新型コロナの影響で困窮した世帯に政府が無利子・保証人なしでお金を貸した「特例貸し付け」。返済できずに免除を求める申請が、判定の締め切りを今年度中に迎える貸付総数の3割超の79万1千件余りにのぼることがわかった。このうち少なくとも約31万5千件(総額約1047億円)で免除が決定。自己破産も7500件以上確認されており、返済が本格化すれば、生活に行き詰まる人が増える恐れが出てきた。

 特例貸し付けは2020年3月に始まり、一時は最大200万円まで借りることができた。受け付けは今年9月末で終わり、貸付総数は約335万件、総額は約1兆4268億円。この返済が来年1月から始まる。政府はこれまで返済の開始時期を延ばしてきたが同月以降、借り入れた人に対し、貸付時期に応じて順次、返済を求めていく。ただ、生活が苦しい人は返済免除の申請が必要で、多くの社会福祉協議会は今夏までに案内を送付。免除申請の締め切りを8月末などとした。

●小中の不登校、最多24万人 文部省調査 コロナ禍のストレス指摘

 2021年度に30日以上登校せず「不登校」とされた小中学生は、前年度から24.9%(4万8813人)増え、過去最多の24万4940人だったことが文科省の全国調査で分かった。初めて20万人を超え、増え幅も過去最大。小中高校などのいじめの認知件数も過去最多を更新。文科省は、長引くコロナ禍に起因する心身の不調やストレスが影響していると分析している。調査は全国の国公私立の小中高校と特別支援学校、各教育委員会に実施。27日に結果を公表した。

 不登校やいじめの増加について、文科省はコロナ禍の影響を指摘。2021年度は一斉休校はなかったが、夏の感染「第5波」や冬の「第6波」で休校や学年・学級閉鎖、分散登校が相次いだ。このため生活リズムが崩れたり欠席することに抵抗が薄くなったりして不登校になった事例が見られた。また、感染対策で運動会や遠足といった行事が中止され、グループ活動も制限されたことが登校意欲の低下につながったり、ストレスに起因するいじめにつながったとみている。

【10月28日】

●オミクロン株の新たな変異ウイルス、「リスク変化なし」 WHO

 新型コロナの変異やそのリスクについて調査しているWHOの専門家グループは28日、オミクロン株の新たな変異ウイルス「BQ.1」と「XBB」について、最新の知見を公表した。欧米を中心に感染が拡大している「BQ.1」については、これまでのオミクロン株に比べて感染者に占める割合が増える傾向にあり、免疫から逃れる能力が高い可能性があるものの、まだ明確なデータはない。現時点では、さらなる調査が必要だとしている。

 また、シンガポールなどで感染が広がっている「XBB」についても、一部の国で感染力の高さが指摘されているものの、これまでのオミクロン株に比べ、今の段階では免疫から逃れる能力や重症化率が高いとはいえないという。こうしたことからWHOは、これら2つの新たな変異ウイルスについて、現時点ではこれまでのオミクロン株と比べ、大きなリスクの変化は見られないと指摘、今後も評価を続けるとともに、各国に対して監視の継続を呼びかけている。

●規模ありきのバラマキ 経済対策39兆円

 岸田政権が支持率浮揚の目玉にすえた総合経済対策は、28日に閣議決定、財政支出が39兆円にのぼる巨額の対策となった。編成が「規模ありき」で進んだ結果、中身は物価高への対応のみならず、公共事業など、あれもこれものバラマキ色の濃いものがめだつ。チェック機能が甘くなる予備費も4.7兆円積み上げ、財政規律の緩みも避けられない。

 目玉となるのは、電気料金や都市ガス料金の高騰分を抑える激変緩和策で、ガソリンへの補助金なども合わせて総額6兆円をつぎ込む。岸田首相は標準的な世帯で4万5千円の家計支援になることを強調したが、対象や支援の上限を設けずに富裕層でも恩恵を受ける。経済対策をめぐっては、コロナ禍の2020年度以降、膨張が続いている。今回の対策でも編成当初から大規模な財政支出を求める声が与党から相次ぎ、最終局面で4兆円規模で国費が上積みされた。

●巨額予備費、「国会軽視」の声

 補正予算案の一般会計は29兆円で、土壇場で4兆円超が積み増され、大半が予備費だった。経済対策の文書には「コロナ禍や物価高に万全を期す」「経済危機に機動的・弾力的に対応」など、予備費計上を正当化する文言が急きょ加わった。財務省関係者は「兆円単位の事業を突然積み上げられない中、財務省は使わなければ戻ってくる予備費を計上することで、自民党や官邸が求める30兆円に近づけ、体裁をつくろった」と読み解く。

 ただ、予備費は緊急的な支出を想定したもの。憲法は国の予算について国会の事前の審議と決議を得る必要があるとした上で、災害など「予見しがたい予算の不足に充てるため」に計上を認めている。コロナ禍で巨額化した予備費は「国会軽視」との批判は根強い。5月に成立した第1次補正予算で1.5兆円の予備費を積み増した時も、野党からは「財政民主主義を踏みにじる」「政権が自由に使える財布じゃない」との声が相次いだ。

●オミクロン株の新たな変異ウイルス「XBB」、東京都内で初確認

 東京都は27日、モニタリング会議で新型コロナのオミクロン株のうちの複数のタイプのウイルスが組み合わさった「XBB」と呼ばれる新たな変異ウイルスが6件確認されたと発表した。都によると「XBB」は10月17日時点で検疫で7件検出されていたが、都内での確認は初めてだという。シンガポールで「XBB」は先月中旬には感染者全体の17.3%だったのが、10月中旬には60.7%を占めているという。重症度については現時点で分かっていない。

◆コロナ影響企業 雇用調整助成金の特例措置、12月から原則通常に

 雇用調整助成金は、企業が従業員を休業させた時に休業手当の一部を助成する制度で、新型コロナの影響を受けた企業には助成金の上限や助成率を引き上げる特例措置が設けられている。経済の回復や雇用情勢などを踏まえて縮小されてきていて、厚労省は28日に開いた審議会で12月から原則、通常に戻すことを決めた。特例措置が設けられて以降、支給決定額は6兆円を超え、雇用保険財政が圧迫され、労働移動の妨げになっているという指摘も出ていた。

 一日当たりの上限額は8355円で現時点と変わらないが、助成率は大企業が75%から50%に、中小企業が90%から67%に戻る。一方で、特に影響が続く企業は来年1月末までにかぎって経過措置を設け、一日当たりの上限額は現在の1万2000円から9000円とし、通常時の8355円は上回る水準とする。特例措置は最も手厚い時には企業の規模にかかわらず、一日の上限が1万5000円、助成率は中小企業で100%だった。

【10月30日】

●水際対策緩和、外国人旅行客増加 人手不足が課題に

 水際対策が大幅に緩和されてからまもなく3週間。都内のホテルの中には、外国人旅行客の増加などによって予約が大幅に増えている。先月7日に1日当たりの入国者数の上限が5万人に引き上げられたほか、今月11日には入国者数の上限が撤廃、個人の外国人旅行客の入国も解禁されるなど、大幅に緩和された。観光局によると先月、日本を訪れた外国人旅行者は推計で20万6500人、新型コロナ以降初めて20万人を上回る。

 ホテルの中には外国人の宿泊客が増える一方、従業員が足りずにレストランが営業できないなど、人手不足の影響を受けている。信用調査会社「帝国データバンク」の先月時点での調査結果によると、「旅館・ホテル」業界で「正社員が不足している」と答えた企業の割合が62.5%。また、非正規の社員についても業界では62.3%が「不足している」と答えている。

●全国で4万408人の感染確認 8日連続で前週上回る

 国内感染者は30日、全国で新たに4万408人が確認。前週の同じ曜日(23日)より9583人多く、8日連続で前週より増えた。発表された死者は全国で26人だった。都道府県別で新規感染者が最も多かったのは東京都の3687人。北海道3658人、大阪2415人と続いた。

 10月30日時点の東京の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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【10月31日】

●上海ディズニーランド、31日から閉鎖を発表 コロナ感染対策で

 上海ディズニーリゾートは、中国版ツイッター「ウェイボー」の公式アカウントで、新型コロナ感染拡大を防ぐ対策に沿って10月31日から上海のディズニーランドを一時、閉鎖すると発表した。上海市によると、31日に感染が確認された女性がディズニーランドに行っていたという。また、上海市はSNSで、「現在、園内にいる人はPCR検査が陰性でないと出られない」と説明するなど、警戒を強めている。

 施設では10月28日から、ハロウィーンにあわせたイベントが行われていたが、感染対策でスタッフの数などを減らすため、29日からは一部のアトラクションを取りやめていた。上海ディズニーランドでは、去年も感染者1人が確認されたことを受けて休園したほか、上海市内で感染が相次いだことし3月中旬以降も、3か月余りにわたって休園していた。中国では、「ゼロコロナ」政策のもと、引き続き厳しい感染防止対策が続いている。

●BA.5ワクチン、モデルナ製承認へ 厚労省部会了承

 米モデルナ社が開発したオミクロン株の一つ「BA.5」対応ワクチンについて、厚労省の専門家部会は31日、特例承認を了承した。現在、モデルナ製ではオミクロン株の「BA.1」対応のワクチンが自治体に配送されているが、今後切り替える。了承されたワクチンは、従来ワクチンと同じ武漢株のmRNA、オミクロン株のBA.4とBA.5の両方に共通するmRNAを含む「2価ワクチン」。対象は18歳以上で3回目以降の接種に使う。3カ月以上の間隔を空けて接種する。

 部会では、すでに承認されているモデルナ製のBA.1対応ワクチンのデータや、マウスに試したBA.5対応ワクチンのデータをもとに議論した。感染を防ぐ中和抗体の量が増えることから、有効性を確認。安全性もBA.1対応ワクチンと成分に大差がなく、海外での使用実績からも問題はないと判断。BA.5対応ワクチンは、米ファイザー社製が5日に特例承認され、13日から使われ始めている。モデルナ製は、早ければ11月に自治体に配送を始める。

●塩野義「年内には承認申請」 開発中の新型コロナワクチン

 塩野義製薬は31日、開発中の新型コロナワクチンについて、11月末から12月に厚労省に承認申請する考えを示した。2020年に臨床試験(治験)を開始し、昨年後半の時点では今年3月末までの申請を目指していた。しかし、治験の遅れや量産体制の確保などに問題があり、今春以降、数度にわたり申請目標の時期を遅らせていた。開発しているワクチンは「組み換えたんぱく」という手法で、4月に承認された米ノババックスと同じタイプ。

 この日、2022年9月中間決算の説明会で手代木社長が「ワクチンは本当に遅れていて、国民のみなさまからお叱りをいただいている。どんなに遅くても年内には承認申請したい」と述べた。製造準備や、治験での情報開示調整に時間がかかっているという。すでに治験のデータなどは厚労省に提出を始めているという。想定通りに承認されれば、国内メーカーが開発した初の「国産ワクチン」となる。

●プロ野球とJリーグ コロナ対策連絡会議、今シーズンで終了へ

 プロ野球とJリーグの連絡対策会議は、新型コロナの感染拡大に連携して対応するため、一昨年3月に設置された。31日に開かれた対策連絡会議後の記者会見で、Jリーグの野々村チェアマンは「この3年間でさまざまな知見が蓄積され、コロナを知ることがだいぶできた。いろんな勉強をしながら前に進め、1つのチームとしてやってきたものがあり、各球団やクラブでいろんなことができるようになってきた」と話し、11月の2回の会議を最後に、今シーズンで終了する方針。

●国内2万2341人感染 23人死亡

 厚労省によると、31日に発表した国内の新たな感染者は空港の検疫などを含め2万2341人(累計2229万5592人)。前週の同じ曜日(24日)に比べ5489人多い。都道府県別での最多は、北海道の2485人。次いで東京都2019人、神奈川県1659人、大阪府1171人、広島県1221人と続く。また人工呼吸器やECMOをつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、31日時点で129人(前日に比べ1人増)。発表された死者は、23人(累計4万6659人)。

 以下6枚は10月31日時点の国内感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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