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2021年10月の6件の投稿

2021年10月31日 (日)

新型コロナ2021.10 感染激減

  新型コロナウイルス感染拡大の「第5波」は、感染者数が全国的に過去最大を記録し、病床逼迫も危機的状況となった。「緊急事態宣言」、「まん延防止等重点措置」は各地に拡大。感染者数は、8月末頃にピークを過ぎたが、9月13日から「宣言」は19都道府県、「重点措置」は8県に、期限は9月30日に延長された。

 9月後半になって、全人口の6割近くがワクチンの2回目接種を終え、新規感染者数や重症者数は減少傾向が続く。政府は、9月30日をもって全国の「宣言」と「重点措置」を解除した。9月下旬頃からは今回の感染拡大前の水準まで激減、病床の使用率も大きく下がってきた。

 2021年10月1日から15日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2021.09 全国解除」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】

 

【10月1日】

●緊急事態宣言解除  再開、各地で

 「緊急事態宣言」が10月1日に解除され、朝の空港では、スーツケースなどを引いて全国各地に出張や旅行に出かける人たちの姿がみられた。政府の基本的対処方針では、都道府県をまたぐ移動をする際、ワクチンを打っていない人はウイルス検査を受けるよう呼びかけている。一部の小中学校では、新型コロナの感染拡大を防ごうと、クラスを2つに分けて午前と午後の入れ替え制で分散登校を行っていたが、「緊急事態宣言」が解除されたことを受けて、10月1日から通常どおりの授業が始まった。

 「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」が解除されたことを受け、菅首相は10月1日午前、記者団に対し「これまでご協力いただいた国民の皆さんに、心から感謝申し上げるとともに医療従事者や介護などの関係の皆さんのご尽力に、感謝と敬意を表したい」。そして「飲食店やイベントは、段階的に規制を緩和していくが、話すときはマスクをして、3密を回避するなどの基本的な対策は、国民の皆さんにぜひ、ご協力いただきたい。安心できる日常を取り戻すことができるように、ご協力を改めてお願いしたい」と述べた。

●モデルナステンレス混入は「人的過誤

 米モデルナ社製の新型コロナワクチンにステンレススチールが混入していた問題で、同社と国内供給を担う武田薬品工業は1日、詳しい調査結果を公表した。製造を担当するスペインの製薬企業「ロビ」社で、製造設備の部品同士が接触したことが原因だったとした上で、設備の設置不具合を目視で確認できなかった「人的過誤」だったと結論づけた。すでに再発防止策をとったという。

 調査によると、ワクチンの瓶にふたをする機器の部品同士が接触して、ステンレスの粒子が混入した。機器の間に保つべき隙間をあけなかったことが原因だという。武田はステンレスについて「被接種者の安全を脅かすものではない」としている。

●アストラゼネカ、国内でも血栓症疑い

 英アストラゼネカ社製の新型コロナワクチンを接種後、血小板の減少を伴う血栓症と疑われる事例があったと厚生労働省の専門家による部会が1日、公表した。海外では接種後にごくまれに血小板減少を伴う血栓症が報告されている。国内で見つかったのは初めて。8月3日~9月19日の接種4万904回のうちの1件で48歳男性だった。入院したが回復しているという。部会は現時点で、因果関係は「情報不足のため評価できない」としたが、引き続き調べる。

●大学ワクチン接種 全364校実施めど

 新型コロナワクチンの大学や短大での接種をめぐり、萩生田文部科学相は1日の記者会見で、接種を予定しながら未実施だった大学が来週にはなくなると発表した。文科省によると、キャンパスでの接種実施を申請していたのは409校で、うち45校はワクチン供給の遅れなどから取りやめた。残る364校が接種を予定し、このうち一部が未実施のまま残っていたが、開始のめどがついたという。

●出席停止、日数の不記載通知 オンライン授業 調査書めぐり文科省

 コロナ禍のもと、在宅でオンライン授業を受けるなどした児童生徒が「出席停止」扱いとなることについて、文科省は1日、各教育委員会などに対し、入試の際に受験先に送る調査書に「出席停止・忌引等の日数」を記載しないよう求める通知を出した。

 感染への不安で学校を休む、在宅でオンライン授業を受けるなどのケースについて、文科省は「欠席」ではなく「出席停止」として記録するとしている。ただ、コロナの影響で「出席停止」の日数が多くなる児童生徒もおり、受験生や保護者からは、調査書に「出席停止・忌引等の日数」が記載されると入試で不利になるのでは、と心配する声が出ていた。

●東京の感染者、40日連続で前週下回る 全国で1447人感染
 
 新型コロナの国内感染者は1日で、1447人が新たに確認された。9月30日時点の重症者数は前日より154人少ない778人となった。死者は34人だった。東京都は200人で、前週の金曜日(9月24日)から35人減り、前週の同じ曜日を40日連続で下回った。1日までの週平均は252.6人で前週の53.8%。人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))を使用とする都基準の重症者数は、前日から7人減って93人。7月31日の95人以来、約2カ月ぶりに100人を下回り、2桁となった。

【10月2日】

● 宣言解除初日の昨夜、各地で人出が増加

 東京や大阪など19都道府県に出されていた「緊急事態宣言」が解除され初日となった10月1日、飲食店の酒類提供やイベントの収容制限などが緩和された週末、先週の金曜日と比べ夜間を中心に各地で増加した。このうち、台風16号が接近して天気が悪かった東京の渋谷スクランブル交差点付近は日中は20%減少、夜間は9%増加。また札幌駅付近、名古屋駅付近、梅田駅付近、博多駅付近、那覇市の県庁前駅付近では、それぞれ日中では9~32%増加、夜間は20~48%増加した。

● 「感染再拡大に備え医療体制の強化を」 全国知事会が国に提言

「緊急事態宣言」がすべて解除されたことを受け、全国知事会が2日オンラインで会合を開き42人の知事が参加、感染の再拡大に備え医療提供体制の強化などを国に求める提言をまとめた。東京都の小池知事は「ここで一気に緩めてしまうと感染の再拡大を招いてしまう。このタイミングで的確な対策を講じることでコロナをさらに押さえ込み、日常生活と経済活動の再生のための土台作りの時期としたい」と述べた。

 大阪府の吉村知事は「第6波に備えて本質的に必要なのは早期治療・早期介入だ。野戦病院的な大規模な臨時医療施設を、「緊急事態宣言」が出やすい主要な都市エリアに作ることを国に要望すべきだ」と述べた。また、栃木県の福田知事は、ワクチンを2回接種したことや検査で陰性だったことを証明する「ワクチン・検査パッケージ」について、「事業者や学校が円滑に対応できるよう、国はパッケージの活用基準を早急に示してほしい」と述べた。

 このあと国への緊急提言をまとめ、第6波が「必ず到来する」として、①今回の第5波で急激に感染者が減少した要因について早期に分析する、②感染の再拡大に備え、検査や入院、治療を徹底するため医療提供体制を強化する、③ワクチンの3回目の接種を始める前に、希望するすべての人に2回目の接種を行える量のワクチンを配布するなどを求めた。一方、地域経済の再生に向けて、④政府の需要喚起策「GoToキャンペーン」を感染状況に応じて再開、地方創生臨時交付金の2兆円規模の増額なども盛り込んだ。

●国内感染1246人

 国内感染者は2日、1246人が新たに確認された。前週の同じ土曜日の約47%となり、減少傾向が続く。死者は32人。重症者数(1日時点)は前日より59人少ない719人となった。

 都道府県別で新規感染者が最多となった東京都は196人で、前週の同じ曜日を41日連続で下回った。都は30~90代の男女13人の死亡もあわせて発表した。沖縄県の新規感染者は43人。直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は県の集計で30.77人で、減少傾向を維持しているが、全国最多のまま。一方、岩手、山形両県は新規感染者はゼロだった。

【10月3日】

● 解除後の初めての土・日曜 各地の様子

 「緊急事態宣言」や「まん延防止重点措置」がすべて解除されてから、初めての土曜となった2日夜、東京・渋谷は飲食を楽しむ若者など多くの人でにぎわった。JR渋谷駅近くの飲食店街には多くの人が訪れていて、このうち東京都の認証を受けた魚料理店では常連客がビールや焼酎を楽しんでいた。

 3日は初めての日曜日。各地では、感染対策をとりながら観光を楽しむ人の姿が見られた。東京・浅草の雷門前には、午前中から家族連れや着物姿のグループなどが訪れ、仲見世通りを散策したり、人力車に乗って観光を楽しむ人もいた。大阪・浪速区の通天閣の展望台には家族連れなどが訪れ、大阪市内の町並みの景色を楽しんでいた。

 道後温泉本館は、「まん延防止等重点措置」が適用された8月20日から休館になり、解除されたあとも休館を延長してきた。そして、全国各地で宣言が解除された1日、愛媛県独自の警戒レベルが「感染警戒期」に引き下げられたことを受けて、およそ40日ぶりに営業を再開。初めての日曜日は、次から次へと観光客や地元の人が訪れ、コロナ対策で人数制限が設けられていることもあり、外で待つ人の姿も見られた。

●コロナ治療のステロイド 服用早いと病状悪化も

 新型コロナの治療に使われるステロイド薬をめぐり、使うのが早すぎると、かえって病状が悪化するとの報告が国内外から相次いでいる。自宅療養をする人が事前にもらう場合もあり、医師らは指示に基づいて適切な時期に服用するよう呼びかけている。

●6月21日以来の感染1千人以下

 国内感染者は3日、968人が新たに確認された。1千人を下回るのは6月21日の868人以来、約3カ月ぶり。前週の同じ日曜日の45%で、減少傾向が続いている。死者は17人で、20人を下回るのは8月15日の10人以来となる。東京都の新規感染者は161人で、日曜日としては今年で最も少なかった。

【10月4日】

●岸田新内閣、派閥と刷新感重視 衆議院31日投票 解散17日後は最短 

 自民党の岸田総裁は4日の臨時国会で第100代首相に選出され、自民、公明両党による連立内閣が発足した。閣僚人事では派閥や「老壮青」のバランスを意識し、13人が初入閣。首相は「新時代共創内閣」と銘打ち、新型コロナ対策を最優先課題として政権運営を進める考えを示した。

 内閣総理大臣の指名 出典:首相官邸HP

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 岸田首相は4日の記者会見で、「14日に衆議院を解散、衆院選の19日公示、31日投開票」と表明した。就任27日後の衆院選は現行憲法下で最短記録となる。14日に解散してから17日後の投開票も戦後最短。首相が就任会見で、衆院解散や総選挙日程を明言したのも異例。野党からは「国会をようやく開いたと思ったら予算委員会もやらずに選挙。議論封殺のまま選挙を行うのは、あまりに乱暴だ」(共産党の志位委員長)と批判の声が出ている。

●コロナ・経済、続く難題 3閣僚一新 第6波の備えは

 岸田政権は、安倍・菅政権が手を焼き続けた新型コロナの感染対策と経済の両立という難題を引き継ぐことになる。感染が再拡大する「第6波」への備えを固めながら、経済活動をどう再開させていくのか。

 岸田首相は4日夜の記者会見でも、総裁選で繰り返し主張したコロナ対策の原則を強調した。臨時の医療施設の開設や、ホテルなどの大規模宿泊施設の借り上げなどを国が主導し、医療提供体制の逼迫を回避すると訴える。だが、こうした施設に必要な医療スタッフを十分確保できるか、重症患者が増えた場合、十分な設備がある病床を増やすことができるかなど、課題は多い。厚労相、コロナ担当相、ワクチン担当相の3閣僚が一斉に交代、実行力が問われる。

 岸田文雄総理大臣、松野博一官房長官 出典:ウキメディア・コモンズ(以下5枚とも)

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 厚生労働大臣 後藤茂之、経済再生担当・新型コロナ対策担当 山際大志郎、東京オリ・パラ大会担当・ワクチン接種推進担当 堀内詔子

厚生労働大臣 後藤茂之 出典:ウキメディア・コモンズDaishiro_yamagiwaNoriko_horiuchi

 一方、長引くコロナ禍で経済の落ち込みも深刻。このため、首相は近く経済対策の実施に向けた補正予算の編成を指示する見通し。この日の会見でも「一刻も早く、大型で思い切った経済対策を実現したい」と説明。売り上げが減った中小企業や非正規の働き手らへの給付金を柱として、まずは困窮者への支援を優先させる。そのうえで今後は感染が拡大した場合も、ワクチン接種の証明書などを活用することで、経済活動への制約を限定的にとどめたい考え。

● 大規模接種センター、16歳と17歳への接種開始 予約枠に空き有り

 自衛隊が運営するワクチンの大規模接種センターは、これまで18歳以上を対象にしていたが、4日から対象年齢が引き下げられ、16歳と17歳への接種が始まった。一方、大規模接種センターでは、このところ予約枠が大幅に余る状態が続いていて、防衛省が利用を呼びかけている。

●コロナ飲み薬、年内調達 特別承認へ 政府、米製薬会社と交渉

 米製薬大手メルクが開発している新型コロナの飲み薬「モルヌピラビル」について、政府は早ければ年内に特例承認し、一定量を調達する方向で同社と交渉に入った。メルクが1日に発表した日本などでの臨床試験(治験)の中間結果によると、軽症や中等症の患者が入院したり、死亡したりするリスクを半減させることができたという。メルクは近く米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請するほか、日本の厚労省にも製造販売の承認を申請する考え。

 国内で認められている軽症者向けの治療薬は、「ソトロビマブ」と、抗体カクテル療法の「ロナプリーブ」があるが、いずれも点滴薬で、比較的簡単に服用できる飲み薬への期待は大きい。世界的に需要が高まることが予想され、政府は必要な量を確保できるように交渉する。米政府は6月、メルクが開発に成功すれば170万回分を12億ドル(約1300億円)で調達する契約を結んでいる。

● ワクチン2回目接種、全人口の60%超

 政府が4日、公表した最新の状況によると、国内で少なくとも1回、新型コロナのワクチンを接種した人は、合わせて9028万7343人で、全人口の71.3%。2回目の接種を終えた人は、7716万2035人で、全人口の60.9%。全人口にはワクチン接種の対象年齢に満たない子どもも含む。

 ワクチン接種人数と全人口に占める割合 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト 

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 65歳以上の高齢者では、少なくとも1回接種した人は、3241万6146人で、高齢者全体の90.6%、2回目の接種を終えた高齢者は、3197万4461人で、89.4%となっている。

●国内感染602人 東京都 、ことし初めて100人下回る

 国内感染者は4日、602人が新たに確認され、2日連続で1千人を下回った。死者は24人だった。東京都では87人の感染が確認された。100人を下回るのは昨年11月2日以来、約11カ月ぶり。4日までの1週間平均は196.7人で、前週の57.6%と、減少傾向が続いている。

【10月5日】

● 堀内ワクチン相、3回目は12月開始想定

 堀内ワクチン接種担当相は記者会見で、3回目の接種について「12月から追加接種を開始することを想定して、自治体に接種体制を確保していただきたいとお願いしているところだ」と述べた。

● 東京都 第6波に備え臨時の医療施設整備など「即応体制」検討

 東京都議会は5日、代表質問が行われた。この中で小池知事は第6波への対応について「『即応体制』を構築するため患者を受け入れる病床の確保に加え、これを補完する臨時の医療施設について着実に整備することが重要だ」と述べ、感染の急拡大に備えて医療提供体制を強化していく考えを示した。

 また、福祉保健局の吉村局長は「病床運営、ワクチン接種、相談業務などの目的に応じて人材を速やかに派遣するため、あらかじめ医療人材を登録し従事につなげる仕組みを検討している」と述べ、医師会などと意見交換を進めていることを明らかにした。このほか都は、3回目のワクチン接種に向けて区市町村と役割分担などを調整していくほか、都の大規模接種会場での実施も検討していくとした。

● EU医薬品規制当局 18歳以上のワクチン3回目接種、認める見解

 EU(ヨーロッパ連合)の医薬品規制当局は、米製薬大手ファイザーが開発した新型コロナワクチンの追加の接種について、18歳以上を対象に「接種を検討してもよい」とする新たな見解を示した。ヨーロッパでは、EU加盟国のうちフランスやドイツで、すでに先月から高齢者などを対象に追加の接種が行われているが、EUの医薬品規制当局のEMA(ヨーロッパ医薬品庁)は、これまで原則として「追加の接種よりも、まずはできるだけ多くの人が接種を完了することを優先するべきだ」という立場をとってきた。

●岸田内閣、支持率45% 不支持20% 世論調査

 岸田内閣の発足を受け、朝日新聞社は4、5日、全国世論調査(電話)を実施。内閣支持率は45%で、不支持率は20%だった。発足直後の支持率としては、現在の方法で調査を始めた2001年の小泉内閣以降で、麻生内閣の48%を下回り、最低となった。

 岸田内閣の支持率は、菅内閣の退陣表明前の8月の28%に比べると、大きく上回っている。しかし、1年前の菅内閣発足時の65%に及ばず、「ご祝儀相場」にはほど遠い。とはいえ、岸田内閣の不支持率が高いわけではない。「その他・答えない」が35%と、支持・不支持の態度を明確にしない人が3分の1を超えているのが特徴。支持政党別にみると、自民支持層の岸田内閣支持率は72%。しかし、無党派層の支持率は28%、不支持率は22%で、「その他・答えない」が50%に達した。

 衆院選の比例区投票先について「仮に今、投票するとしたら」と聞いたところ、自民は41%で、立憲の13%を引き離した。自民は5~8月は35%前後だったが、総裁選の動きが活発化した9月中旬の調査では43%に復調。勢いはやや弱まったものの、無党派層の投票先をみると、自民の22%が立憲の13%を上回っている。

●コロナ対策、「期待」47% 世論調査

 朝日新聞社が4、5日に実施した全国世論調査(電話)では、岸田首相が最優先課題に掲げる新型コロナ対策についても質問した。首相の取り組みに「期待できる」と答えた人は47%で、「期待できない」は27%だった。内閣支持層では「期待できる」が7割を占めたが、無党派層は「期待できる」「期待できない」「その他・答えない」がそれぞれ3割を超えた。1年前の調査では、菅首相(当時)の取り組みに「期待できる」は全体で63%だった。

●全国で新たに982人の感染確認 3日連続で千人を下回る

 国内感染者は5日、新たに982人が確認され、3日連続で千人を下回った。死者は36人だった。東京都では144人が確認され、前週の同じ曜日を104人下回った。大阪府では176人の感染が確認された。

【10月6日】

● コロナ感染者、急速減少の理由 専門家の見解

 この夏の「第5波」では、8月中旬に全国の1日の感染者数が2万5000人を上回るなど、過去にない規模となったが、8月下旬以降、一転して急速に減少。4日には東京都でおよそ11か月ぶりに1日の感染者が100人を下回り、全国でも、5日まで3日連続で1000人を下回って、ピーク時の25分の1以下となっている。急速に減少したのはなぜか。専門家の見解は・・・。

■尾身会長 先月28日の記者会見

 政府「分科会」の尾身茂会長は、先月28日、「緊急事態宣言」解除が決まった際の記者会見で、①連休やお盆休みなど、感染拡大につながる要素が集中する時期が過ぎ、拡大の要素がなくなった。②医療が危機的な状態となったことが広く伝わって、危機感が共有された。③感染が広がりやすい夜間の繁華街の人出が減少した。④ワクチンの接種が進み、高齢者だけでなく若い世代でも感染が減少した。⑤気温や雨など、天候の影響があったことを挙げている。

■国際医療福祉大学 和田教授「ワクチン+季節的な要因も」

 厚労省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授は、「ワクチンを多くの人が接種したことや、さらに涼しくなって冷房の効いた室内での活動が減って人と人との距離が確保されやすくなったという季節的な要因も考えられると思う」と話している。

■長崎大学 山本教授「集団の中で免疫を獲得している人の割合増」

 感染症に詳しい長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授は、「ワクチン接種の広がりや、感染を経験した人が増加したことにより、集団の中で免疫を獲得している人の割合が増えてきていることは確かだ。これからコロナが日常的にあっても人的、社会的、経済的に許容できるレベルに抑えられる社会を目指すのだとすると、どこが許容できるレベルなのか議論することが必要。感染者の数を評価するのではなく、重症者や亡くなる人の数の推移といった指標に重点が移っていくフェーズに入りつつある」と指摘した。

■京都大学 西浦教授「冬に向けて準備が必要」

 厚労省の専門家会合のメンバーで京都大学の西浦博教授は「減少要因については現在、分析中」とコメントし、そのうえで「連休などがあると1人から何人に感染させるかを示す指標『実効再生産数』が上昇する傾向が見て取れ、「緊急事態宣言」の間でも上昇していた。ふだん会わない第3者と会う、遠出をして飲食するというような一人一人の接触行動が2次感染に寄与することは間違いない。今後、ワクチン接種が進んだとしても無秩序に接触が起これば必ず流行が起こる。冬に向けて準備が必要だ」と指摘した。

■国立感染研 脇田所長「若者で増えて若者で減った」

 厚労省の専門家会合の座長で国立感染研の脇田隆字所長は「今回の感染拡大では、若い世代の間で増えた感染が、ワクチンの効果などで高齢者に移行せず、若者で増えて若者で減った。全体の感染状況として現れている可能性もある」。さらに、他の要因として「今回はワクチン接種の影響か、繁華街でも高齢者施設でもクラスターの数も減り、クラスター規模も小さくなっている」と説明。一方でウイルスが変化については、「新型コロナのゲノムを随時分析しているが、ウイルス自体が弱毒化していることは現時点ではない」と述べた。

● 重症化リスクの新たな指標作成 入院決める際などに活用

 国立国際医療センターなどは、新型コロナで去年6月から9月に全国各地の病院に入院したおよそ4500人のうち、酸素吸入が必要な中等症2以上になった患者の特徴を分析して、糖尿病にかかっている、息切れがするなど、新型コロナに感染したときに重症化につながるリスクを点数で示した新たな指標を作った。点数が高いほど重症化しやすく、優先的に入院する患者を決める際などに活用できるとしている。

 指標は年代ごとに分けられ、40歳から64歳の場合の男性は1点、BMIが25以上の肥満だと2点、糖尿病だと1点としたほか、新型コロナの症状で37度5分以上の発熱は2点、息切れは2点、せきは1点、倦怠感は1点など。指標を感染拡大の第3波のデータで検証すると、40歳から64歳で点数の合計が5点の患者の23%、10点だとおよそ76%が重症化していたという。患者が急増する流行期には、5点以上だとリスクが高いとして、早期に医療機関へ入院・治療に活用したいという。

● 大阪 予約なしワクチン接種、府庁新別館で始まる

 大阪府が設置する新型コロナワクチンの接種会場で、6日から予約がなくても接種を受けられるようになった。予約なしの接種が始まったのは、大阪府が「府庁新別館」に設けた接種会場。この会場では、1日1000人の予約枠がおよそ10%しか埋まらない状態が続いていることから運用を見直し、6日から予約がなくても接種を受けられるようになった。対象となるのは、1回目の接種を受けていない16歳以上の府民で、大阪府によると、初日の6日は133人が利用したという。

●ウィズコロナ 実証実験

 新型コロナのワクチン接種証明や検査による陰性証明を使った「ワクチン・検査パッケージ」の実証実験が始まった。スポーツ観戦などのイベントに加え、今後は飲食店でも同様の実験が予定されている。再び「緊急事態宣言」が出た場合でも、制限の緩和を続ける狙いがある。

●感染状況、「拡大前の水準に」 専門家組織 病床使用率も低下

 新型コロナ対策を厚労省に助言する「専門家組織」は6日の会合で、全国の感染状況について、「今回の感染拡大前の水準まで減少している」と評価した。病床の使用率も大きく下がった。厚労省によると、5日までの1週間で、全国の10万人あたりの新規感染者数は6.91人。6月上旬並みの水準まで下がった。9月末まで「緊急事態宣言」が出ていた19都道府県について、5日時点の内閣官房のまとめを見ると、確保病床の使用率は最も高い滋賀県で23%。ほかの自治体は20%を切り、「ステージ3」を脱した。

●全国で新たに1126人の感染確認 前週の同じ曜日より857人減少

 国内感染者は6日、1126人が新たに確認された。前週の同じ水曜日(9月29日)よりも857人少なく、減少傾向が続いている。重症者数(5日時点)も前日よりも43人少ない612人となった。都道府県別で新規感染者が100人を超えたのは、大阪府209人と東京都149人。全国の死者は26人で、40~90代の男女10人の死亡が確認された東京都が最多。次いで多かったのは大阪府の4人だった。

【10月7日】

● GoToトラベル、「課題を踏まえ運用見直しを検討」 国交相

 斉藤国土交通相は、新型コロナの感染拡大を受けて停止している「GoToトラベル」を再開する場合は、土日に集中する利用客を分散させるなど、これまで指摘された課題を踏まえ、運用の見直しを検討していることを明らかにした。

● 「第5波」 感染した40代の約1割、酸素投与が必要な状態に

 新型コロナの感染拡大の「第5波」では、感染した40代の1割ほど、50代の2割近くの人が酸素投与が必要な状態になっていたことが札幌市と広島県のデータの分析で分かった。専門家は、症状の悪化を防ぐため、次の感染の波が来る前に接種を済ませるよう呼びかけている。

●人流抑制、法改正を明記 衆院選自民公約案

 自民党が衆院選(19日公示、31日投開票)で掲げる「政権公約」案の全容が判明した。新型コロナ対策をめぐり、人流抑制や医療提供体制確保に向け、「より強い権限を持てるための法改正を行う」と明記しているほか、海上保安能力の強化や弾道ミサイルなどを阻止するための抑止力向上を進めるとしている。

●進む接種、減る会場 ワクチン 集団も個別も縮小の波

 新型コロナのワクチン接種が進み、自治体が設けた集団接種会場が閉鎖されたり、医療機関による個別接種が縮小されたりしている。政府は12歳以上の9割が2回接種を受けられる量のワクチンの供給を10日にも完了する見込み。自治体は接種希望者に早めの手続きを呼びかけている。

●都の医療体制、警戒引き下げ レベル4から3へ

 東京都は7日、新型コロナの「モニタリング会議」を開き、都内の医療提供体制の警戒レベルを最も深刻な「4」から「3」に引き下げ、「通常の医療が一部制限されている状況」とした。「レベル3」になるのは昨年12月以来、約10カ月ぶり。感染状況の警戒レベルも先週に続いて引き下げ、4段階の下から2番目の「2」とした。「レベル2」になるのは、昨年7月に同会議が始まってから初めて。

●全国で新たに972人の感染確認 前週の木曜日より602人減る

 国内感染者は7日、972人が新たに確認された。前週の木曜日より602人減った。死者は全国で39人だった。厚労省によると、6日時点の重症者は595人となった。

 東京都の新規感染者は143人で前週の木曜日から75人減った。都基準の重症者数は、前日比7人減の70人。大阪府は165人の感染を確認し、1週間前より99人少なかった。入院中の重症者は、前日より5人少ない86人だった。沖縄県は、16人の感染を発表。直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は17.10人で、全国最多だという。

【10月8日】

● 大規模コンサート、ワクチン証明活用で観客数上乗せ 実証事業へ

 政府は新型コロナ対策で制限を段階的に緩和していく方法として、ワクチンが接種済みであることなどを証明する「ワクチン・検査パッケージ」を活用して、今月、千葉市で開かれる大規模なコンサートで観客数の上限を上乗せする実証事業を行う。

● 新型コロナ抗原検査キット、薬局で販売始まる

 新型コロナの抗原検査キットの販売が一般の人向けにも認められたことを受け、都内の薬局では検査キットの販売が8日始まった。抗原検査キットは15分から30分程度で結果がわかるのが特徴で、厚労省は国の承認を受けた製品についてこれまで医療現場などに限って使用を認めていたが、一般の人が自宅などでみずから検査を行えるように先週、薬局での販売を認めた。

●GoTo再開へ実証実験 ワクチン接種済みを優遇 判断時期は不透明

 昨年末から中断している政府の観光支援策「GoToトラベル」の再開に向けた、観光庁指定の実証実験ツアーが8日から始まった。再開にあたってはワクチン接種の証明書を持つ人などを優遇する方針で、どう書類を確認するかなどのオペレーションを旅行業者に確認してもらう。ただ、感染の再拡大の可能性もあるなかで、実際の開催時期は不透明。

●宅飲み・路上飲みは感染リスク倍 感染研 未接種753人調査

 同居人以外と自宅で飲食する「宅飲み」や、路上や公園で飲食する「路上飲み」をした人が新型コロナに感染するリスクは、しなかった人に比べて2倍になるとする調査結果を、国立感染症研究所がまとめた。感染リスクはマスクの使い方や素材によっても差があった。

●国内827人感染

 国内感染者は8日、新たに827人が確認された。同じ金曜日だった前週1日から620人減り、7県は新規感染者がゼロだった。7日時点の重症者も前日より69人少ない526人。東京都の新規感染者は138人で、同日までの1週間平均は145.4人。全国最多だったのは166人の大阪府。沖縄県は29人で、直近1週間の合計を人口10万人あたりの感染者数は13.87人と全国で最も多かった。

【10月9日】

● 「宣言」解除から1週間 各地の人出 日中・夜間ともに増加

 「緊急事態宣言」が解除されて1週間となる8日の各地の人出は、宣言期間中の平日の平均と比べて日中・夜間ともに増加しているところが多くなっている。宣言の解除によって飲食店では営業を再開したり営業時間を繰り下げたりしていることなどから、比較的、夜間の人出の増加が目立つという。

● ブラジル、コロナ死者60万人超も 規制緩和の政府対応に懸念の声

 ブラジルでは8日、新型コロナに感染して死亡した人が累計で60万人を超えた。ブラジル国内ではカーニバルなど大規模な催しへの規制を緩和する動きが相次いでいて、現地の専門家から政府の対応を懸念する声も上がっている。

●東京82人感染、今年最少 7県はゼロ
 
 国内感染者は9日、新たに777人が確認された。同じ土曜日で前週の2日から469人減った。7県は新規の感染者がゼロとなった。8日時点の重症者数は、前日より25人減って、501人だった。東京都の新たな感染者は82人で、今年最少となった。都基準による重症者数は前日と変わらず68人だった。大阪府では新たに124人の感染が確認され、重症者は前日より2人少ない78人だった。

【10月10日】

●全国で新たに553人感染 昨年11月以来の少なさ

 国内感染者は10日、新たに553人が確認された。487人だった昨年11月2日以来の少なさだった。9県は新規感染者がいなかった。10日に全国で最も多く感染者が確認されたのは大阪府で105人。東京都の新たな感染者は60人で、59人だった昨年9月23日以来の少なさとなった。10日までの1週間平均の感染者数は114.7人で前週比55.6%だった。

【10月11日】

● 中程度から重い免疫不全の人 3回接種標準化すべき WHO諮問委

 WHOに助言する国際的な諮問委員会は10月11日、記者会見を開き、クラビオト委員長は、ファイザーやモデルナ、アストラゼネカなどの新型コロナワクチンについて、中程度から重い免疫不全の人たちは、これまでの2回の接種では十分な効果が得られず、重症化するリスクが高いとして3回の接種を標準化すべきだと述べた。

● 東京都、コロナ感染で自宅療養の妊婦支援 助産師が健康観察へ

 東京都内では、新型コロナの感染が急拡大した8月、1か月間に自宅療養を行った妊婦が少なくとも120人いたことが確認された。都は、自宅療養を行う妊婦に対して、助産師が電話や訪問で健康観察を行う新たな支援事業を、都助産師会と連携して11月から始める。

● コロナ後遺症、感染の半年後にも4人に1人 どんな症状?

 国立国際医療研究センターなどは去年2月以降、新型コロナから回復した人のうち20代から70代の457人について、その後の症状を聞き取って分析した。その結果、半年後でも4人に1人(26.3%)に何らかの症状があり、さらに発症から1年がたっても8.8%の人に症状があったことがわかった。後遺症と思われる症状は、嗅覚異常、味覚異常、けん怠感、息切れ、脱毛のほか、物忘れなど記憶力の低下、集中力の低下、うつの症状など。

 調査を行った同センターの森岡医師は「これまでも女性は、男性と比較して後遺症が出やすいと言われてきたが、今回は症状別に脱毛や味覚・嗅覚障害、けん怠感に関しても女性の方が出やすい。急性期にコロナの重症化リスクが高いのは男性で、肥満傾向がある高齢者だが、味覚・嗅覚障害など後遺症に関してなぜ逆になっているかは明確になっていない」と話す。

 そのうえで「若い、痩せ型の女性であっても後遺症を侮ってはいけない。むしろ味覚・嗅覚障害が出やすいという事実を受け止めること。また、味覚や嗅覚の障害は若い人の方が出やすく、コロナの症状が軽症であっても後遺症は大きな問題になる。最近ではワクチンで後遺症も予防できる可能性があるので、若い人でもワクチンを2回接種するのは非常に重要」と話した。

● 飲み薬「モルヌピラビル」米で緊急使用の申請 許可なら世界初

 米製薬大手メルクは、開発中の新型コロナの増殖を抑える薬「モルヌピラビル」について、米FDA(食品医薬品局)に緊急使用の許可を申請したと発表した。FDAが許可すれば、新型コロナに対する飲むタイプの抗ウイルス薬としては世界で初めて実用化されるものになる。

●コロナ飲み薬 米で許可申請

 米製薬大手メルクは11日、新型コロナの飲み薬「モルヌピラビル」について、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請したと発表した。メルクによると、認められればコロナ向けの飲み薬としては初めてという。対象は、重症化や入院のリスクがある軽症から中等症の成人。米国のほか、日本や欧州などでも臨床試験(治験)を行っており、今後、数ヶ月以内に各国の規制当局に申請する方針。モルヌピラビルは、メルクが米ベンチャーと共同開発。日本政府も調達する方向で交渉している。

 米メルク(メルク・アンド・カンパニー)のロゴ 出典:ウキメディア・コモンズ

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●抗原検査キット、日常でどう使う 「偽陰性」に注意 「受診迷う時」想定

 新型コロナの感染を手軽に調べられ、結果も早く出る抗原定性検査キットは、厚労省が薬局での販売を特例的に認めたが、PCR検査などと比べて精度が劣る課題もある。「医療用」に承認された検査キットの市販は、異例。背景には、ワクチン接種が進んだ段階で、経済活動再開を加速するのに、11月にも導入をめざす「ワクチン・検査パッケージ」で、ワクチン未接種者の陰性証明に活用したいとの政府の思惑がある。 PCR検査を推奨しつつ、検査キットでも24時間以内の結果なら有効とする方針。 

 検査キットは、感染していても陰性となる「偽陰性」が出やすい。このため厚労省は、購入時に薬剤師から使い方の指導を受け、感染対策を続けることなどを記した書面への署名を求める。無症状者の使用は、推奨していない。政府が想定する使い方は「体調不良を感じたが、受診を迷うようなケース」。また、性能が確認できない未承認の検査キット が「研究用」として出回る問題もある。市販対象の承認済み検査キットは現在15種類。調剤薬局大手の日本調剤(東京都)は11日から全国の調剤薬局で、1個1980円(税込み)で販売している。

●全国で369人が新たに感染 今年最少、300人台は昨年10月以来

 国内感染者は11日、新たに369人が確認された。今年に入ってから最も少なく、1日あたりの感染者が300人台となるのは昨年10月以来。青森や山梨、鹿児島など9県は新規感染者がいなかった。

 東京都では49人の感染が確認された。50人を下回るのは昨年6月25日の48人以来、1年4カ月ぶり。9日から3日連続で今年最少を更新した。都の基準による重症者数は前日より5人減って62人だった。大阪府は49人で、50人を下回るのは今年6月28日以来。

【10月12日】

●接種3回目も全額公費 12月にも開始 首相が表明

 新型コロナのワクチン接種について、岸田首相は12日、3回目の接種にかかる費用も全額公費でまかなうと表明した。早ければ12月から3回目の接種を始めたいとしており、3~4月に2回目の接種をした医療従事者から対象になる見込み。衆参両院の本会議で、公明党の石井幹事長や立憲民主党の福山幹事長の質問に答えた。

●世界経済、悪化の傾向 IMF、成長率予測引き下げ

 国際通貨基金(IMF)は12日、最新の世界経済見通しを示した。2021年の世界の成長率を前回7月の予測より0.1ポイント引き下げ、前年比5.9%と見込む。コロナ下の世界的な需給の混乱や変異株の感染拡大などの悪影響を重視し、今後も「リスクは悪化方向へと傾いている」とみる。

 今回の下方修正は、コロナ下で生じた製品などの供給面の制約により、米国経済の減速の影響が大きい。2021年は前回比1.0ポイント減の6.0%の成長にとどまると予測した。米国に引きずられる形で、先進国全体の成長率も0.4ポイント減の5.2%にとどまると見込む。原材料の供給制約に悩むドイツは0.5ポイント減の3.1%、「緊急事態宣言」による経済損失があった日本も0.4ポイント減の2.4%と振るわない。

 中国も公共投資を縮小しているため、0.1ポイント減の8.0%と予測を下方修正した。中国の不動産大手・中国恒大集団の経営危機には世界的な注目が集まっており、IMFも世界経済見通しの報告書で、「大規模で無秩序な企業の債務不履行や債務再編が起これば、幅広く影響が及びうる」と指摘した。低所得国ではワクチン普及も進んでおらず、経済的な打撃が保健衛生危機と重なり、新たな感染拡大の波を引き起こす懸念もある。

● 第6波対策、「発熱外来を地図上で公開」 東京都医師会長

 東京都医師会の尾崎会長は、10月12日の定例記者会見で第6波に向けた対策を示した。この中で、発熱外来を設けている都内の医療機関を公表し地図上で分かるように対応を進めているとし「発熱外来はどこにあるのかという問い合わせをいただいていたので、マップ上に公開することで早期発見を目指したい」と述べた。

 さらに、医師などが早期に介入し、治療につなげることが重要だとして「感染が分かった段階で保健所と連携して医師による往診につなげ、必要があれば入院や抗体カクテル療法につなげる。タイミングを外さずに治療につなげることで第6波に備えていきたい」と話した。

●国内の感染611人 5県で新規ゼロ

 国内感染者は12日、新たに611人が確認された。火曜日の感染者が600人台になるのは今年初めて。岩手、秋田、福島、山梨、香川の5県は新規感染者の発表がゼロだった。東京都では77人の感染が確認された。12日までの1週間平均は前週比54.8%の99.7人。1週間平均が100人を下回るのは昨年の7月6日以来。

【10月13日】

●10〜20代男性、モデルナ副反応恐れ ファイザー製推奨で調整

 厚労省は、10代と20代の男性が米モデルナ社製の新型コロナワクチンを接種すれば、心臓の筋肉などに炎症が起きる恐れがあるとして、米ファイザー社製の接種を勧める方向で調整に入った。海外でそうした例がごくまれに報告されており、念のための措置とする考え。北欧でも同様の懸念があるとして、スウェーデンやデンマークは、若者へのモデルナ製の接種を停止している。国内でもモデルナがファイザーよりも心筋炎や心膜炎などが、多いとされる。15日にある専門家の部会で議論する。

● ワクチン接種者などの行動制限緩和へ ホテルなどで実証実験へ

 新型コロナのワクチンを接種した人などを対象にした行動制限の緩和に向けて、観光庁は15日から全国100余りのホテルや旅館で実証実験を始めると13日に発表した。

●コロナ禍、不登校最多 小中学生 生活の変化一因

 2020年度に30日以上登校せず「不登校」とみなされた小中学生は、前年度より8.2%増の19万6127人で、過去最多だったことが文科省の調査でわかった。小中高校から報告された児童生徒の自殺者数も415人で最多。コロナ禍による休校など生活環境の変化で、多くの子どもが心身に不調をきたしたことが浮き彫りになった。

●新たな感染者数、ステージ3未満 専門家組織が評価

 厚労省に助言する「専門家組織」は13日、全国の感染状況について、夏の「第5波」だけでなく春の「第4波」の感染拡大前の水準も下回ったと評価した。緊急事態宣言が出ていた19都道府県の新規感染者数と病床使用率は、いずれも「ステージ3」の水準を下回った。

●全国で新たに731人が新型コロナ感染 1千人切るのは7日連続

 国内感染者は13日、新たに731人が確認された。新規感染者が1千人を切るのはこれで7日連続。9県で感染者はゼロだった。一方、死者は33人だった。都道府県別で新規感染者数が最多となったのは、大阪府の125人。東京都の新規感染者は72人で、1週間前の水曜日(6日)より77人減った。13日までの1週間の合計感染者数を1日あたりで平均すると、前週の53.8%にあたる88.7人だった。

【10月14日】

●衆議院解散 31日投開票 岸・安倍・菅政権の4年問う

 衆議院は14日、解散された。岸田首相は解散後の臨時閣議で、衆院選を19日公示、31日投開票とすることを正式決定した。選挙戦では新型コロナへの対応をはじめ、安倍、菅、岸田政権と続いた4年間の政権運営への評価と、今後の政権選択が問われる。

● 岸田首相、尾身会長と会談 病院のコロナ対応貢献 可視化の方針

 新型コロナ対策の全体像の骨格をめぐって、岸田首相は政府の分科会の尾身会長と意見を交わし、病院のコロナ対応への貢献を可視化する方針を示した。病床や医療人材の確保など、新型コロナ対策の全体像の骨格をめぐって意見を交わし、今週中に関係閣僚に指示するとしている。

 この中で尾身会長は、ワクチンによる予防や「抗体カクテル療法」による早期の治療などの仕組みが進みつつあるとしたうえで、医療提供体制の強化や、体調の悪い人が気軽に検査を受けられる仕組み作りなどが重要だと指摘。首相は、病院のコロナ対応への貢献を可視化する方針などを示したという。面会後、尾身会長は記者団に対し「今まで 以上にしっかりした医療供給の体制が必要で、リーダーシップを発揮していただきたい」と述べた。

● 感染減少も、20代が最も高く22.4%  「冬に備えワクチンを」 都モニタリング会議

 東京都の「モニタリング会議」が14日開かれ、都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果が示された。新たな感染確認の7日間平均は、13日時点では86.3人と、8週連続の減少。12日時点のワクチン接種状況は、1回目を終えた人は70.5%、2回目は63.3%。専門家は、接種したあとも感染し軽症や無症状でも、周囲の人に感染させるリスクがある。ふだん会っていない人との飲食や旅行など、引き続き避けるように。また、冬に備えてワクチン接種をさらに推進する必要があると呼びかけた。

 今月11日までの1週間に感染が確認された人の年代別の割合は、20代が22.4%と最も高く、次いで30代が19.4%、40代が13.6%などとなっている。感染経路は、同居する人からが最も多く66.3%で、次いで高齢者施設や病院、保育園や学校といった施設での感染が15.8%。入院患者は、13日時点で480人で、前の週より271人減った。年代別では、50代が最も多く、全体のおよそ21%、次いで40代がおよそ17%。

 13日時点で、自宅で療養している人は、前の週より307人減って343人。入院か、ホテルや自宅で療養か調整中の人は135人減って209人となった。今月11日までの1週間に亡くなった人は74人、このうち自宅療養中に亡くなった人は4人。13日時点の都基準の重症患者は43人、前の週より34人減ったが、専門家は「いまだ多く、去年の同じ時期を上回っている」と指摘。重症患者の年代別は、50代が最も多く23人、次いで60代が10人、40代が6人。

●全国619人感染

 国内感染者は14日、619人が確認された。1千人を切るのは8日連続で、新たな死者は33人。東京の新規感染者は62人で、1週間前の木曜日(7日)より81人減った。14日までの1週間平均は前週の50.0%で77.1人だった。

【10月15日】

●モデルナ製3回目接種「65歳以上らに」 米FDA諮問委が勧告

 新型コロナの追加接種「ブースター」について、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は14日、モデルナ製のワクチンに緊急使用許可を出すよう勧告した。対象は2回目の接種から6カ月以上過ぎた65歳以上や、18歳以上で重症化するリスクが高い人と感染のリスクが高い仕事をしている人たちで、3回目の接種が始まっているファイザー製と同じとなった。

 モデルナ製は2回接種してから半年以上たっても、重症化や死亡を防ぐ効果は高い。ただ、同社の幹部がこの日、諮問委で説明した内容によると、2回目の接種から約5カ月たっても感染を防ぐ効果は約93%あるものの、6~8カ月以上たつと、感染を防ぐ抗体の量が2回目の投与後1カ月に比べ、6分の1から7分の1に減るという。3回目の接種で、この抗体の量を大幅に増やすことができるという。今後、FDAが正式に承認の判断を下す。

● 10代と20代男性、ファイザー接種も選択可能に 専門家異論受け 厚労省

 新型コロナのワクチンについて厚労省は、モデルナ製で接種後の心筋炎などの報告頻度が高いことを理由に、10代と20代の男性に米ファイザー製を「推奨」する方向で調整していた。しかし15日の厚労省の専門家の部会で、専門家の委員からは、ファイザーを「推奨」するほどの根拠は不十分だと慎重な意見が相次いだ。

 心筋炎などに関するデータは、ファイザーとモデルナの接種時期や対象者が異なるため、比較は難しい。スウェーデンやデンマークの例は根拠となるデータも不明。加えて、mRNAワクチンという同じタイプのファイザーでも心筋炎などが起きている。また、1回目と2回目で別の種類のワクチンを打つ「交差接種」への懸念も出た。職場や大学でモデルナを打った人が2回目、自治体でファイザーを接種するケースが続出することが想定され、接種現場の自治体が混乱するとの指摘も相次いだ。

 専門家からのこういった意見を受け、厚労省は方針を変更。1回目にモデルナを打った人は希望すれば、ファイザーを「選択できる」と広報するという結論となった。 若年男性向けに心筋炎について説明するリーフレットもつくった。接種後4日程度の間に胸の痛みや動悸(どうき)、息切れ、むくみなどの症状がみられた場合は速やかに受診するよう呼びかけていく。

●3回目のワクチン、来月中旬から配送 47万回分 堀内担当相

 新型コロナのワクチン接種の3回目の接種に向けて、堀内ワクチン担当相は15日、来年1月までに使用する分として、ファイザー製のワクチン約412万回分を都道府県へ配送する考えを明らかにした。11月15日の週から配送するという。

 堀内氏は記者団の取材に「対象者や使用するワクチンは厚労省で引き続き議論されるが、12月から開始できるようにするためには11月中に配送する必要がある」と語った。3回目接種の最初の対象は、今年5月までに2回の接種を完了した人で、医療従事者が中心になるとみられる。

●入院受け入れ、2割増求める 政府コロナ対策 感染力2倍想定

 デルタ株が流行したこの夏の第5波では、全国の感染者が当初の想定を大幅に超え、自宅療養者は一時、合わせて13万人を超えた。15日、厚労省は、今後コロナの感染力が第5波のピークの2倍になることを想定して、都道府県に病床の確保計画の見直しなどを求めていることを明らかにした。この中で入院患者の受け入れについては、ワクチン接種や治療薬の活用などが進んで重症化する患者の割合が減少するなどと予測し、第5波のピーク時から2割増やすよう要望した。

 そのために臨時の医療施設の整備などに加え、新型コロナ患者の対応病床として申告されていながら第5波で使用されなかったいわゆる「幽霊病床」の実態を調査し、病床の利用率を少なくとも8割にすることなどを求めている。このほか、国としても、権限を発動して公的病院の専用病床を確保するという。厚労省は来月末までに計画を取りまとめるよう都道府県に求めていて、さらに想定を超える感染拡大が起きた場合は一般医療を制限して緊急的に病床を確保することにしている。

●全国で新たに531人の感染確認 9日連続で1千人を下回る

 国内感染者は15日、新たに531人が確認された。9日連続で1千人を下回った。新たな死者は23人だった。

 以下、6枚の感染状況の図の出典は、NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 都道府県別では、新規感染者が最も多かったのは大阪府の65人。次いで東京都の57人で、1週間前の金曜日(8日)より81人減り、15日までの1週間平均は前週の45.1%で65.6人だった。一方、岩手、秋田、山梨、香川、佐賀の5県では新規感染者の発表がゼロだった。直近1週間の人口10万人あたりの感染者数の最多は、相変わらず沖縄県。次いで青森県。

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●ワクチン、全人口の74%余が1回接種 2回接種は66%余

 政府が15日に公表した最新の状況によると、国内で少なくとも1回、新型コロナのワクチンを接種した人は合わせて9459万9325人で全人口の74.7%。2回目の接種を終えた人は、8365万6184人で全人口の66.1%です。1回目の接種と2回目の接種を合わせた総接種回数は、1億7825万5509回となっている。全人口にはワクチン接種の対象年齢に満たない子どもも含む。

 以下、2枚のワクチン接種状況の図の出典は、NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 65歳以上の高齢者で少なくとも1回、接種した人は3258万7256人で高齢者全体の91.1%、2回目の接種を終えた高齢者は3217万7555人で90%。

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 実際は、これ以上に接種が進んでいる可能性があり、今後、増加することがある。政府は、10月から11月の早い時期には希望者全員のワクチン接種を完了する方針を示している。

2021年10月27日 (水)

信越県境-紅葉の湖畔めぐり

 2021年10月20日(水)信越県境、紅葉の湖畔ツアー。

 長野県小谷(おたり)村の小谷温泉周辺の「鎌池」、新潟県糸魚川市の蓮華温泉周辺の「白池(しらいけ)」の紅葉の2つの池をめぐる。

 

 3:35、自宅発。4:35、集合場所着。天気は、満月に近い月が出て晴れ。予報では関東は晴れだが、日本海側はあいにくの雨。4:55、集合場所をツアーバスで出発。関越道を経て、6:30上信越道の更埴ICを降り、長野県白馬村方面へ。

 天気は、いつのまにか曇りから雨が降り出す。バスの中で、昨日買っておいたおにぎりで朝食。白馬村から流れる「姫川」に沿って北上する「国道148号」を走る。8:00、国道沿いのセブンイレブン白馬岩岳店で、昼食用のホットドックを購入。

●鎌池(小谷村)

 大糸線を右手に見ながら役場がある小谷村の中心部を通過し、宿泊施設「サンテインおたり」を過ぎると長いトンネル。トンネル途中にある小谷温泉口の十字路を県道114号線へ右折する。「中谷川」に沿って広がる標高500mの田園風景の中を走り、小谷温泉に向かう。里山を抜けると谷深い山岳風景に変化する。ループ橋で標高を上げへ、標高900mの「小谷温泉」を過ぎると「雨飾(あまかざり)高原」。

 9:00、小谷温泉口から約15Km、「鎌池」駐車場に到着。猛烈な雨の中、雨具を着て、食事処の「ぶな林亭」前を通り池へ。

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 雨と思いきや、みぞれの中の「鎌池」の紅葉。

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 そのうちに雨は少し小降りになるが止まず。

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 「雨飾高原」の新緑や紅葉の名所「鎌池」の標高は、1190m。一周2kmの遊歩道に囲まれ、春や秋には多くの人が訪れるという。ブナ林が池を包み、その鮮やかな紅葉がブルーの水面に映り込みは見られるはずだが、この天気では残念。「鎌池」は、草を刈る鎌の形に似ていることから名づけられたという。すぐ南側には、小さい「鉈(なた)池」がある。

 雨に濡れた遊歩道を歩くと、紅葉にはまだ早いのか、染まってなく緑が多い。

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●つぶれ池(小谷村)

 10:40、「鎌池」駐車場を出発。県道114号線を約1kmほど下った所、雨飾高原キャンプ場分岐に水枯れした「つぶれ池」に10:50着。一面、アシの草もみじ。

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 分岐にある雨飾高原キャンプ場方面の標識。ここから雨飾山登山口まで600m。

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 分岐から北東の方角に積雪を望む。

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 11:00 、「つぶれ池」を出発。県道114号線を下り、再び国道148号線を北上。

●白池(糸魚川市)

 姫川沿いに糸魚川市平岩まで国道148号線を北上し、JR平岩駅前から左へ県道505号線を西進、ひたすら山を走る。木地屋の集落を過ぎたところで道は林道になり、しばらく上ると、平岩から約11Kmの地点、「白池」に到着。

 「白池(しらいけ)」は、新潟県糸魚川市と長野県小谷村の県境に近く。白馬岳方面の登山口ともなっている秘湯「蓮華温泉」に向かう途中の「白池森林公園」内にあり、国道148号から車で約30分程の所。標高1090m、周囲約1km。すぐ南側には小さな「五月池」がある。

 12:00、「白池」駐車場に到着。 相変わらず雨。

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 この「白池」は、標高1090m、周囲約1km。風の穏やかな早朝には鏡のような水面に空の模様が映り、神秘的な佇まい。池の周囲が遊歩道になっており、春は水芭蕉、秋は紅葉が楽しめるそうだ。

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 13:20、「白池」駐車場を出発。国道148号線に戻る。バスの中で昼食。

●道の駅・能生(糸魚川市)

 更に国道148号線を北上し日本海へ。糸魚川市の横町交差点を右折、国道8号線を走る。

 14:20、道の駅「マリンドリーム能生(のう)」駐車場に到着。糸魚川市能生にある、豊かな海の恵みをつめこんだという「日本海の道の駅」で買い物。雨は止んでいた。

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 日本海側最大級のベニズワイガニ直売所「かにや横町」と「鮮魚センター」が併設。

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 15:25、道の駅発。国道8号線を北上。15:40、上越市の名立谷浜ICから、北陸自動車道に入る。長岡JCTより関越道を南下。17:40、集合場所に到着。18:40、自宅着。

 秋晴れの青空と鮮やかな紅葉を水面に映す絶景を期待したが、あいにくの雨の紅葉狩りツアー。それに今年の紅葉の色づきは、全国的に平年並みの所が多いとの予想だったが、見頃にはまだ早かったようだ。

 
 ★ ★ ★

 百名山「雨飾山」は、標高1963m。「つぶれ池」前の分岐から600mほどの登山口から、徒歩3時間45分ほど。なお雨飾山の南方、小谷温泉の西方にある「大渚山(おおなぎやま)」は、標高1566m。「鎌池」から1.8Kmほど過ぎた湯峠から1時間20分ほどで登ることができる。

 糸魚川市の雨飾山麓「しろ池の森」に、もう一つの「白池」がある。こちらの読みは「しろいけ」。そのため「白池(しらいけ)」は「蓮華白池」とも呼ばれる。

 蓮華温泉は、「白池」から10Kmほど先。ちなみに白馬連峰(白馬岳は、標高2932m)への入山は、大雪渓、栂池(つがいけ)、蓮華温泉からの3つのアプローチがある。蓮華温泉の登山口にある駐車場(70台/無料)は、標高1470m。シーズン中の土日は、ほぼ満車になるという。蓮華温泉への林道終点で「ヒワ平展望台」すぐ先にあるゲートは、今年10月18日から降雪により閉鎖された。

2021年10月24日 (日)

森林公園2021ダリア花園

 2021年10月8日(金)と24日(日)、国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県滑川町)の「ダリア花園」に行く。2020年10月14日(水)の撮影分も、追加掲載。

 

 国営武蔵丘陵森林公園は、1974年7月22日に開園した全国で初めての国営公園。3年前の2018年、明治150年を記念して「ダリア花園」がオープン。

 武蔵丘陵森林公園の中央口

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 植物園の展示棟前。展示棟から北に少し進んだ生垣見本園の中に「ダリア園」がある。

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 中央口から徒歩約20分。「ダリア花園」には、65品種220株が植えられているという。

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 サツマイモの名前と間違えそうな赤い花の「あずま紅」。

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 「新(あらた)」は、明るい桃紫色。花弁は微妙な色の変化がある。

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 「凜(りん)」? 詳細不明。

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  典型的なポンポン咲き の「珠玉(しゅぎょく)」。

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 ミカンの名前にもある赤い花の「はるみ」。

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 黒色に近い深いボルドーの「黒蝶」。

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 「インフォーマルファイヤー」は中輪のセミカクタス咲き。

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 カクタス咲きは、花びらが管状に細く巻く八重咲き。花びらが外側に巻いてまっすぐの「ストレートカクタス」、花びらが内側に巻く「インカーブドカクタス」、きっちりと巻かずにやや幅広の「セミカクタス」に分けられる。

 コラレット咲きの「アンブリュッケンフェルダー」。

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 コラレット咲きは、シングル咲き(一重咲き)の花と同じ並び方をした花びらの中に、小さい短い花びら(副花びら)が数枚ずつ重なってついている。中央の花びらと外側の花びらの色が違うので、基本的には一重咲きだが、全体として華やか。

 ダークピンクの「レベッカリン」。

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 クリームホワイトの「マルコムズホワイト」。それとも「銀婚式」か?

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 赤と白の見栄えが美しい「祝花」 。

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 鮮美な赤色とクリームがかった黄色の色彩が美しい 「アメリカンレモネード 」。

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 「球宴」は、ボール状で真紅の花弁が外側に向かってカールする。

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●「ダリア花園」の近くボーダー花壇の「イヌサフラン」。2020/10/14撮影。

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●植物園のから200mほど西、公園・庭園樹園「こもれび花畑」のユリウス畑。

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 「コリウス」は、シソ科の観葉植物。鮮やかなピンク、緑、黄色、えんじ色で埋め尽くされた花壇。

 以下6枚の写真は、2020/10/14撮影。

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 黄色のコリウスが一段と目立つ。

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●運動広場の花畑には、「羽毛(うもう)ケイトウ」。

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 運動広場の花畑の横の丘の斜面に赤と黄色いのヒガンバナが咲く。すでに赤いヒガンバナは終わっていたが、黄色はまだ残っていた。

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 黄色いヒガンバナ「リコリス オーレア」は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)。ヒガンバナと同じように花の時期には葉がない。有毒植物。

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●中央口の花壇の「コリウス」と「ショウリョウバッタ」(精霊蝗虫)。

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 ショウリョウバッタは、斜め上に尖った頭部が特徴。

 「キタテハ」(黄立羽)とジニア(百日草)の「プロフュージョン」という品種の黄色花。

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 キタテハは、翅(はね)の表側は黄色で褐色の縁取りと黒い斑点がある。裏は赤褐色で、枯葉にまぎれる保護色。

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2021年10月21日 (木)

新型コロナ2021.09 全国解除

  新型コロナウイルス感染拡大の「第5波」は、感染者数が全国的に過去最大を記録し、病床逼迫も危機的状況となった。「緊急事態宣言」、「まん延防止等重点措置」は各地に拡大、8月27日からは「宣言」は21都道府県、「重点措置」は12県へ広がり、期間も8月31日迄から9月12日迄に延期。更に9月13日から「宣言」は19都道府県、「重点措置」は8県に、期限は9月30日に延長された。

 9月後半になって、全国民の6割近くがワクチンの2回目接種を終え、新規感染者数や重症者数は減少しつつある。政府は、9月30日をもって全国の「宣言」と「重点措置」を解除した。

 2021年9月16日から30日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2021.09 重症高水準」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】

 

【9月16日】

●米、経済活動の再開進むも新型コロナ感染者は高い水準

 米国では、経済活動の本格的な再開が進む一方で、新型コロナの1日当たりの感染者は、およそ14万人と高い水準が続いていて、ワクチンの接種率が低い地域では重症化する人や、死者の数も増えている。専門家は、感染の拡大を抑制しながら社会を正常化するためには、ワクチン接種だけでなく、マスクの着用など、基本的な感染対策を続けることが重要だと指摘している。

● イタリア、全労働者にワクチン接種証明などの所持義務づけへ

 イタリアのスペランツァ保健相らは16日夜に記者会見し、来月15日から、 政府は、新型コロナのワクチンの接種証明などの所持を、すべての労働者に義務づける方針を明らかにした。対象は2300万人に上り、ワクチン接種を加速させるねらい。

● 「抗体カクテル療法」往診使用、「一部医療機関先行で」 厚労相

 新型コロナの軽症患者などに使用できる治療法で、入院や外来などに限られている「抗体カクテル療法」について、 田村厚生労働相は16日、参院厚労委員会の閉会中審査で、自宅への往診でも使用できるよう、近く、一部の医療機関で先行して行ったうえで、全国展開したいという考えを示した。

● 酸素濃縮装置、国が都道府県に貸し出しへ コロナ患者に酸素投与

 新型コロナ患者に酸素の投与を行うための「酸素濃縮装置」が不足する中、厚労省は今月から毎月、最大500台を確保し、都道府県に貸し出すことになった。

●コロナで死亡、勤務先を提訴 東京地裁 遺族「対策怠った」

 夫とその母親が新型コロナで亡くなったのは、夫の勤務先が感染防止策を怠ったためだとして、横浜市に住む妻(64)ら遺族3人が勤務先の財団法人に計約8700万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。「従業員に対する安全配慮義務に違反した」と訴える遺族に対し、財団は「業務中にコロナに感染したと特定するには困難」と反論している。

●病床使用率、なお高水準 専門家会合 感染は「安定し減少」

 新型コロナ対策を厚労省に助言する「専門家組織」は、16日の会合で全国の感染状況を分析し、脇田座長(国立感染症研究所長)は「安定して減少してきている」と述べた。専門家組織に提出された資料によると、15日までの1週間の全国の新規感染者数は10万人あたり41.58人で、前週の約半分に急減。東京都で0.55倍、愛知県と大阪府で0.57倍、沖縄県で0.63倍となっている。1.02倍の石川県を除く都道府県で減少した。夏休みが終わって人の移動が減ったり、長雨で外出が減ったりした影響が考えられるという。

 一方病床使用率は、「緊急事態宣言」解除の目安である50%を9府県で上回り、高い水準が続いている。内閣官房によると、15日時点で兵庫県が62%、埼玉県は60%。千葉、神奈川、愛知、滋賀、京都、大阪、沖縄の各府県でも5割を超えている。厚労省によると、自宅療養者数は8日時点で10万3459人、療養先調整中は1万6246人で、なお多い状況が続いている。また全国の重症者数は、15日時点で1743人。減少に転じたものの、高い水準にある。16日には全国で63人が亡くなるなど、死者は増加傾向が続いている。

 専門家組織は9月のシルバーウィークや学校再開などで、感染の再拡大が懸念されると指摘。冬に向けて更に厳しい感染状況が生ずるという前提で、医療体制を整えるといった対策が必要だと訴えた。

●東京都の感染、減ってはいるが 第4波より落ちきらず

 新型コロナの「第5波」の全国的な下降傾向が見え始めている。東京の医療現場は厳しい状況が続くが、ワクチン接種が進み、政府は今月末の緊急事態宣言の解除に前向きな姿勢を見せる。一方、専門家は冬場に向けた「第6波」への警戒を呼びかけている。都の新規感染は、週平均1095人、前週の55%に減った。8月19日をピークに4週連続で減少しているが、「第4波」より落ちきらず、依然として高い水準にある。

 16日に開かれた東京都のモニタリング会議でも、重症者数の高止まりで、「感染者を大きく減らさないと、救急医療への深刻な影響が続く」との指摘が出た。東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県知事は同日、シルバーウィークを前に、都県境を越える移動の自粛や、基本的な感染対策の徹底を呼びかける共同メッセージを公表した。

●東京の死者24人「第5波」で最多

 新型コロナの国内感染者は16日現在で新たに5705人が確認された。前週の木曜日(9日)と比べ、45%減った。死者は63人だった。東京都の新規感染者は831人で、前週の木曜の半数以下となり、前週の同じ曜日を25日連続で下回った。死者は24人で、1日の報告数としては、夏以降の「第5」で最多だった。大阪府では858人の感染が確認され、死者は12人だった。

 東京都内で新型コロナに感染し死亡した人のうち、自宅療養中だった人は第5波の8月以降で45人となり、ことし、これまでに自宅療養中に亡くなった人の半数に及んだ。

【9月17日】

●自民総裁選、4氏立候補

 自民党総裁選が17日告示され、河野太郎行政改革担当相(58)、岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務相(60)、野田聖子幹事長代行(61)の4氏が立候補した。29日の投開票に向け、菅首相の後任を選ぶ論戦が始まった。

 河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子 出典:ウキメディア・コモンズ

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●米の3回接種、対象限定勧告 FDA諮問委 65歳以上OK・16歳以上NG

 新型コロナに対する免疫を高めるワクチンの追加接種「ブースター」について、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が17日、ファイザー製の2回目の接種から6カ月以上過ぎた65歳以上の人らに、緊急使用として3回目を許可するよう勧告した。

●3回目ワクチン接種、8ヵ月経過後 早ければ12月にも

 厚労省は17日、「ブースター接種」と呼ばれる新型コロナワクチンの3回目接種を認めることを決めた。2回目までと同じワクチンを使うことが基本で、2回目から8カ月以上あける方向。対象者は今後検討する。2月に先行接種が始まった医療従事者には、早ければ12月中にも接種が始まる見通し。他国の状況、今後出現しうる変異株への懸念などを考慮し、専門家の分科会で了承された。

● 「抗体カクテル療法」、全国的に往診での使用認可へ 厚労省

 新型コロナの軽症患者などに使用できる「抗体カクテル療法」をめぐって、17日になって厚労省が方針を変更。当初、まれな副作用を理由に、一部の医療機関で試験的に導入する方針を示していたが、安全性が確保できるかを確認したうえで、全国的に往診での使用を認めることになった。

●宿泊施設待機、一部撤廃へ コロナ対策 米仏からの入国者

 政府は17日、入国後に検疫所が確保する宿泊施設での待機の対象とする国・地域を見直した、と発表した。国内で感染力の強いデルタ株への置き換わりが進み、水際で流入を防ぐ意味合いが薄れたため。流行国に分類されていた米国やフランス、タイなど20カ国とロシアの一部地域を対象から外した。20日午前0時から実施する。自宅などで行う14日間の待機措置は、引き続き求める。

●国内5095人感染

 国内感染者は17日、新たに5095人が確認された。前週の金曜日に比べ、43%減った。死者は64人で、重症者は1615人だった。東京都では782人を確認。前週の金曜日から460人減り、前の週の同じ曜日を26日連続で下回った。17日までの1週間の感染者数を7で割ると945.7人で、1週間平均の感染者数が1千人を下回るのは7月16日(946.3人)以来だった。沖縄県では185人で前週の金曜日より116人減ったが、直近1週間の人口あたりの新規感染者数は全国最多のまま。

【9月18日】

●感染爆発のインド、日常戻る

 今年4~5月に新型コロナの感染爆発が起こったインドはいま、感染者数が大幅に減り、通常の生活を取り戻しつつある。インドは感染力の強いデルタ株が最初に見つかり、ピーク時には1日の新規感染者数が40万人を超えて世界最悪の状況になった。だが、現在は3万人前後の水準まで減った。ニューデリーでは6月に外食店の営業が再開した。密にならないよう座席の間隔をあけて座る規制は残っているが、いまは人でごった返す店も出ている。

 急激に感染が減った理由は、明確ではない。専門家らが効果的だったとの見方で一致しているのが、食料や薬の買い物以外の外出を禁じる厳しいロックダウン。「2~3週間後から、感染者数が減少に転じた」と指摘する。一方、感染の減少は集団免疫を獲得した結果だとの期待もある。インドの累計感染者数は3300万人だが、実際は公表数の数10倍との見方もあるためだ。インド政府の医学研究評議会が6~7月に実施した検査では、対象者の67.6%が抗体を持っていたという。ただ、調査はサンプル数が少なく、地域的な偏りもあり、信頼性を疑問視する声もある。

 抑え込んだように見える新型コロナだが、新たな感染拡大の可能性も指摘されている。保健省は「手洗いやマスクの着用、社会的距離をとるなど、引き続き対策を忘れてはいけない」と基本的な行動の徹底を呼びかけている。病床がなく、酸素を求めて人々がさまよった事態は収まったが、感染再拡大への警戒感も強い。

● 「週末ミッドナイト接種」 働く世代にワクチン接種を 東京・港区

 働く世代などにワクチンの接種を受けてもらおうと、東京・港区が金曜日の夜間限定の接種会場をオープンした。名称は「週末ミッドナイト接種」。初日の17日は午後7時から午前0時まで東京グランドホテルの宴会場で接種が行われ、働く世代の姿が多く見られた。

●国内4702人感染

 国内感染者は18日、新たに4702人が確認された。東京都の死者は20人で、うち1人の50代男性は自宅療養中に死亡した。青森県では医療機関と高齢者施設で計52人の感染を確認。ほとんどが2度のワクチン接種を終えており、県は「ブレークスルー感染」の可能性があるとみる。

【9月19日】

● ワクチン接種、途上国との格差拡大 WHOが分配の加速訴え

 G7(主要7か国)はいずれも、新型コロナのワクチン接種を完了した人が人口の50%を超え、このうちドイツやフランスがワクチンの効果を保つためなどとして3回目の接種を始めたほか、日本や米国も今後、3回目の接種を行う方針。

 これに対し、WHOによると、アフリカ大陸で接種を終えた人は人口の3%余りにとどまるなど、先進国と途上国の間で、接種を受ける機会の格差が広がっている。WHOヨーロッパ地域事務局でワクチンの接種や分配を担当するダッタ博士は、「自国だけでなく、自国を取り巻くほかの国の人たちも感染から守らなければ、結局はパンデミックを長引かせることになる」と述べ、ワクチンの分配を加速させるよう国際社会に訴えている。

●国内感染3千人台 2ヵ月ぶり

 国内感染者は19日、新たに3401人が確認された。亡くなった人は41人増えた。新規感染者が3千人台になるのは7月24日以来、約2カ月ぶり。厚労省によると重症者は1496人だった。東京都の新たな感染者は565人。前週の日曜より502人少なく、前の週の同じ曜日を28日連続で下回った。死者は30~90代の16人だった。このほか、新たな感染者は大阪府が467人、神奈川県が394人、愛知県は277人だった。

【9月20日】

●ファイザー製接種、「5〜11歳も効果」 米FDAにデータ提出へ

 新型コロナのワクチンについて、米製薬大手ファイザーと、共同開発した独バイオ企業ビオンテックは20日、5~11歳でも安全性や中和抗体の増加を示すデータが確認できたとする新たな臨床試験の結果を発表した。近く米食品医薬品局(FDA)や各国の規制当局にこのデータを提出すると発表する。米国でファイザー製ワクチンは、16歳以上は正式に承認、12歳から15歳に対しては緊急使用の許可が出されている、12歳未満も使用できるように、臨床試験が行われている。

●宣言下でも長い列 3連休最終日 高速は渋滞

 シルバーウィークの3連休最終日となった20日、首都圏の高速道路では、行楽地などからUターンする車が長い列の渋滞が生じた。東京など19都道府県に「緊急事態宣言」が出るなか、人出も各地で増えた。NTTドコモの携帯電話の位置情報から推計したデータによると、3連休の中日となる19日正午ごろ、都心の繁華街の渋谷、新宿、銀座の人出の平均は前週と比べて12%増だった。行楽地では神奈川県の江の島で105%増と倍増し、箱根湯本駅前でも12%増。長野県軽井沢町の旧軽井沢では24%増え、人出が郊外に向かった様子がうかがえた。

●国産ワクチン治験 規模や期間縮小へ

 開発段階の新型コロナワクチンの臨床試験(治験)が、これまでより規模を小さくして実施できるようになりそう。厚労省が各国と続けてきた協議がおおむね合意に至り、近くまとまる見通しになった。欧米に比べ、出遅れが目立つワクチン開発を後押しするねらいがある。長期的なワクチン確保の必要性も出る中で、政府は関係閣僚会議を立ち上げるなどして国産ワクチン開発に力を注ぐ。

 治験は通常、参加者を半数ずつワクチンをうつグループと、生理食塩水などの「偽薬」をうつグループに分け、その後の発症率などをもとに効果を比べる。国内でもすでにワクチン接種が進んでいる中で、半数の人に偽薬をうつのは倫理的な問題が残る。治験の参加者を集めにくくなっているが、最終段階の治験には数万人単位の参加者が必要となる。このため、厚労省は偽薬を使わない方法を検討してきた。

 既存のワクチンをうったグループに対し、新しいワクチンのグループの効果が劣らないことを証明するため、発症率ではなく、ワクチンをうった後の「中和抗体」の量を比べることが検討されている。参加者を減らせ、効果をみる期間を短くできる。ただ、この方法は日本だけが採用しても、国際的な信用が得られない。厚労省は、米食品医薬品局(FDA)など約30の国・地域の規制当局で構成される「ICMRA」で協議。6月にはこの方法による治験をすることへの合意を得た。

●国内感染2224人感染 2ヵ月ぶり2千人台
 
 国内感染者は20日、新たに2224人が確認された。新規感染者数が2千人台となるのは7月19日(2328人)以来、約2カ月ぶり。厚労省によると、19日時点の重症者は前日から42人減って1454人だった。東京都では302人の感染を確認。400人を下回るのは7月5日以来、2ヶ月半ぶり。

【9月21日】

●緊急事態解除、27日にも解除

 政府は、19都道府県に30日まで発令中の「緊急事態宣言」について、27日にも解除の是非を判断する方針を固めた。解除したとしても一部の自治体は「まん延防止等重点措置」に移行する可能性もある。全国的に新規感染者数や病床使用率が大きく改善しており、政府は多くの自治体で宣言を解除したい考え。

● 東京都、発熱外来の医療機関リスト公表 直接予約可能に

 東京都は、新型コロナの感染疑いのある人を診察する1000余りの医療機関のリストをホームページで公表、受診を希望する人が直接探して、予約できるようになった。都がリストを公表しているのは、感染した疑いがある人を診察する「発熱外来」を設けている都内の医療機関、およそ3800のうち、1116か所。 リストでは、診療時間、対応できる外国語、妊婦や子どもの受付の可否などを掲載。都はこれまで、患者が殺到したり風評被害が出たりするとして、こうしたリストを公表していなかった。

 受診を希望する人は都の発熱相談センターに電話をして、発熱外来のある最寄りの医療機関を調べてもらう仕組みだった。しかし、感染が急激に広がった今回の第5波で発熱相談センターの電話がつながらないなどといった声が相次いだため、同意が得られた医療機関の公表を初めて行った。これで、受診を希望する人がリストをもとに直接探して、予約できるようになり、都は「気になる症状がある人は積極的に活用してほしい」としている。

●自宅療養死、半数は50代以下 東京で8月以降「第3波」の8倍

 新型コロナの第5波が東京都内で本格化した8月以降、自宅療養中に亡くなった44人のうち、半数以上の24人が50代以下だったことが都の集計でわかった。第3波の1~3月と比較すると、亡くなった50代以下の自宅療養者は8倍に増えていた。自宅療養者の往診を行う医師は「特に肥満や糖尿病などのリスク要因があると、若い人でも症状が悪化しやすい」と警鐘を鳴らす。自宅療養中の懸念は、酸素飽和度がゆっくり下がると、息苦しさなどの自覚症状がないことがあり、患者自身が症状の悪化を自覚できないことだという。

●KMバイオがワクチン最終段階治験 来月にも

 製薬会社のKMバイオロジクス(熊本市)は21日、開発中の新型コロナワクチンについて、初期の臨床試験(治験)の結果、一定の有効性と安全性が確認できたと発表した。10月以降に最終段階の治験を始める方針。実用化の目標時期も、当初の2023年度から「2022年度中」に前倒しした。

 KMバイオ製は、感染力をなくしたウイルスを接種する「不活化ワクチン」。今後、海外製ワクチンとの比較や、乳幼児などを対象とした治験、抗体の量を高めるための追加接種(ブースター接種)に関する治験も検討している。

●東京253人感染、3ヵ月ぶり300人下回る

 国内感染者は21日、新たに1767人が確認された。新規感染者数が1千人台となるのは7月12日(1504人)以来、約2カ月ぶり。厚労省によると、20日時点の重症者は前日から25人減って1429人だった。

 東京都は新たに253人の感染を確認。300人を下回るのは、6月21日(236人)以来、3カ月ぶり。前週の火曜日(14日)から751人減り、前の週の同じ曜日を30日連続で下回った。253人を年代別に見ると、20代の87人が最多で、30代53人、40代33人、10代21人、10歳未満16人、50代15人と続いた。65歳以上の高齢者は20人だった。

 新たに55人の感染が確認された沖縄県は、直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は88・61人と減少傾向だが、全国最多のまま。

【9月22日】

● 米FDA、ファイザーワクチンの3回目接種を許可 65歳以上など対象

  米政府は先月、新型コロナワクチンの効果が、時間がたつにつれて低下する可能性が高いとして、接種を終えてから一定の期間がたった人について、追加の接種を行う方針を示している。今月17日、米FDA(食品医薬品局)の専門家委員会はファイザーのワクチンについて、65歳以上の人や、重症化リスクの高い人に対しては接種の利益がリスクを上回るとして、追加となる3回目の接種を可能にすることを推奨。

 この専門家委員会の推奨を受けて、FDAは、22日、製薬大手ファイザーの新型コロナワクチンについて、65歳以上の人と、18歳以上で重症化リスクの高い人、さらに感染リスクの高い職場で働く人なども対象に含めたうえで、3回目の接種を許可すると発表した。追加の接種は、2回目の接種が終わってから少なくとも6か月たった人が受けることができる。

● 病院でのクラスター、25人中24人が「ブレイクスルー感染」 群馬

 群馬県は、伊勢崎市の病院で20日から22日までに入院患者17人と職員8人の合わせて25人が新型コロナに感染したことが確認され、クラスターが発生したと発表。このうち24人はワクチンを2回接種してから2週間以上たったあとに感染が確認される、いわゆる「ブレイクスルー感染」だということで、県は国にも依頼して原因を調べることにしている。

● 「ブレイクスルー感染」でクラスター 介護施設の32人 福井

 福井県は22日に41人が新型コロナに感染したと発表。このうち32人は介護施設の入所者や職員で、全員が2回のワクチン接種を終えていることから、福井県はいわゆる「ブレイクスルー感染」のクラスターが発生したとしている。福井県によると、この施設で感染が確認された人は、全員が優先接種の対象となってことし6月ごろまでに2回のワクチン接種を終えていたとのこと。

●医療従事者、12月にも3回目の追加接種 高齢者は年明けの見通し

 厚労省は22日、「ブースター接種」と呼ばれる新型コロナワクチンの3回目接種について、自治体向けのオンライン説明会を開いた。今年3~4月に2回目の接種を受けた医療従事者ら104万人について、早ければ12月に追加接種するという想定を示した。高齢者らの接種は年明けからの見通しで、自治体に準備を求めた。

 説明会の資料によると、来年1月には、今年5月に2回目の接種を受けた医療従事者ら200万人、高齢者61万人、その他の一般住民43万人の接種を想定している。その後は2月に1399万人、3月2339万人、4月2251万人が対象として想定。市町村は今後、国のワクチン接種記録システム(VRS)や予防接種台帳を確認し、2回目接種が終わって一定期間が経った人を抽出。予診票と一体になった新しい様式の接種券を11月から段階的に発送する。

●大規模接種予約、毎週月・木開始 防衛庁

 東京と大阪に設置した新型コロナワクチンの自衛隊大規模接種センターをめぐり、防衛省は22日、11月末までの予約方法を発表した。23日午後6時から26~29日の予約枠の受け付けを開始。その後も予約開始日を毎週月曜日と木曜日に設定するという。

 対象者は全国の18歳以上。1日当たり東京会場は1万人、大阪会場は5千人に接種。10月24日は2回目の接種にあて、11月末で閉鎖。予約は専用サイトや電話で受け付ける。

●感染の10代、死亡 横浜の女性 慢性肺疾患の持病

 国内感染者は22日、新たに3245人が確認された。前週の水曜の感染者(6805人)の半数以下に減少。水曜の感染者数が3千人台となるのは、7月14日(3192人)以来、約2カ月ぶり。死者は54人で、横浜市では10代女性の感染者の死亡が発表された。女性には慢性肺疾患の持病があったという。

 東京都の新たな感染者数は537人。31日連続で前週の同じ曜日を下回った。22日時点の1週間平均の感染者数は590.3人で、前週の52.1%となった。また、厚労省によると、21日時点の全国の重症者は前日から46人減り、1383人だった。

【9月23日】

●日本車、減産深刻 需要堅調なのに部品不足 計170万台に

 日本経済を支える自動車産業の減産が深刻になっている。半導体不足や東南アジアのコロナ禍で、部品の調達が難しくなった。主な大手メーカーの減産数を集計したところ、8月末時点は約93万台だったが、9月に入って約1.8倍の約170万台に増えた。主なメーカーが2020年に生産した合計の約7%に相当する規模。

 今年度の年間計画にも影響しており、経済損失は全体で1兆円を超えるとの試算もある。大和総研は現状の減産状況を踏まえ、2021年度に実質国内総生産(GDP)が0.3兆~0.6兆円減少すると試算する。自動車産業以外への波及も合わせ、経済損失は最大1.2兆円にふくらむという。

●全国、新たに3604人の感染確認 大阪は540人、東京は531人

 国内の感染者は23日、新たに3604人が確認された。亡くなった人は49人。厚労省によると、22日時点の全国の重症者数は1273人で前日から110人減った。東京都の新規感染者は531人、大阪府は540人だった。

【9月24日】

● 米CDC、ファイザーワクチン3回目接種の対象発表 医療従事者も

 米CDC(疾病対策センター)のワレンスキー所長が24日、製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンについて、2回目の接種から少なくとも6か月がたった65歳以上の人や、18歳以上で重症化リスクが高い人、それに感染リスクが高い職場で働く医療従事者などが、3回目の接種の対象になると発表した。また、ファイザー以外の、モデルナとジョンソン&ジョンソンのワクチンを接種した人についても、CDCは「データがそろい次第、追加の接種について早急に判断する」としている。

 今回の発表を受けて、米各州で対象となる人への追加の接種が公式に始まることになる。バイデン大統領も会見し「追加接種の開始は、新型コロナとの闘いにおける重要なステップだ。私自身も、可能なかぎりすぐ接種するつもりだ」と呼びかけた。そのうえで「まだ7千万人がワクチンを1回も接種していない。公職につく人の中にも、ワクチンについての誤った情報を拡散して接種の努力を妨げようとしている人がいるがこれは絶対に許されない。」と述べ、国民に接種を促した。

● WHO、軽症患者向け「抗体カクテル療法」を初めて推奨

 WHOは24日、新型コロナの治療薬に関する手引きを更新した。それによると、抗体でできた2種類の薬「カシリビマブ」と「イムデビマブ」を投与する「抗体カクテル療法」という治療法について、臨床試験の結果、一般的な治療を行った場合に比べ重症化して入院するリスクや回復までにかかる期間が減少したとしている。そのうえで、これらの薬を軽症患者などの治療に推奨するとしています。WHOはこれまで重症患者に対して別の治療薬を推奨していたが、軽症患者など向けに推奨するのは今回が初めて。

 日本では同じ薬を使った「抗体カクテル療法」がことし7月、軽症の患者に使用できるとしてすでに承認されている。ただ、これらの薬は高額なうえ、供給量が限られているため、感染拡大が深刻な途上国にどう供給するかが課題になっていて、WHOは薬を製造している企業に対し寄付を求めるなどの交渉を進めているとしている。

● 「宣言」、 医療提供体制など確認し28日判断したい 西村大臣

 西村経済再生相は、24日記者団に対し、今月30日が期限となる宣言の扱いについて「病床使用率が、すべての都道府県で『ステージ4』の基準を下回る状況になってきている。医療提供体制が安定的かどうか、現場の声も含め、週末に向けて都道府県と確認し、専門家とも状況を共有して、28日には判断ができるようにしたい」と述べた。

● 3回目接種 、「職域で2回受けた人も原則自治体で」  河野大臣

 新型コロナワクチンの3回目の接種をめぐり、河野行革相は24日の閣議のあとの記者会見で、職域で2回の接種を受けた人についても「『原則、自治体で』ということになるのではないかと思う」と述べた。

●自宅・施設療養中の死亡206人 8月時点 東京、第5波で急増

 新型コロナに感染し、自宅や高齢者施設での療養中に亡くなった人が、8月末までに全国で少なくとも200人を超えることがわかった。第5波が本格化した8月が最も多く、中でも東京で急増していたが、大阪、兵庫では第4波の4、5月に集中し、第5波では増えていない。専門家は「大阪が第4波で得た教訓を東京は生かせず、医療態勢の拡充が足りなかった」と指摘する。

 死者が確認されたのは17都道府県で、最も多かったのは計90人の東京都だった。第3波の1、2月に計40人が死亡。第4波では2人だったが、第5波で再び増えて8月中に44人が亡くなった。9月に入っても23日までに5人が亡くなっている。

●都内死亡の8割、未接種 8月以降 2回接種で死亡12%

 新型コロナに感染して8月以降に死亡した東京都内の患者で、ワクチン接種歴が判明した412人のうち約12%(49人)がワクチンを2回接種済みだったことがわかった。都が24日のモニタリング会議で明らかにした。大半が糖尿病や高血圧といった基礎疾患がある60歳以上の患者だったという。一方で、死者の約8割はワクチンを未接種だったため、都は引き続き接種を呼びかけている。

●東京の感染235人

 国内感染者は24日、新たに2093人が確認された。前週の金曜日から約3千人減ったが、23日が祝日で検査が少なかったことが影響した可能性もある。死者は全国で計45人が確認された。厚労省によると、23日時点の全国の重症者は1228人で、前日より45人減った。

 東京都の感染者は235人で、33日連続で前週の同じ曜日より少なかった。直近1週間平均の感染者数は469.3人で、6月29日時点以来、約3カ月ぶりに500人を下回った。一方、京都市は、4~9月に公表した感染者の一部で重複が判明したとして、感染者数の累計が42人減ると発表した。

【9月25日】

● ワクチン承認、速さも安全性も両立を模索 審査見直し検討

 欧米では昨年12月に米ファイザー製などの使用が認められ、接種が進んだ。一方、日本で承認されたのは今年2月。審査を迅速に進める「特例承認」が適用されたが、それでも欧米から2カ月遅れた。遅れの理由の一つが、厚労省が日本人対象の治験データの提出を企業に求めたこと。ワクチンの有効性や安全性には人種差もあるとし、国内でも治験が必要と判断した。国内治験は法改正などは必要なく、省くことは可能だという。

 もう一つの焦点は、米国で導入されている「緊急使用許可(EUA)」のようなしくみを日本でも認めるかどうか。EUAは、感染症流行などの緊急時に、企業が中間段階のデータで申請できる。米国はこの制度で、ファイザーなどのワクチンが早く使えるようになった。一方、スピードを優先させることで安全性の懸念もある。EUAは副反応などの健康被害に対し、企業や国が責任を負う必要はない。日本に導入する場合は、法改正が必要。

 菅首相は今月9日、総裁選への不出馬を表明した会見で、任期中に浮き彫りになった課題の一つに「薬やワクチンの治験や承認が遅く、海外よりも遅れる」ことを挙げ、見直しの必要性を強調した。政府は6月に閣議決定したワクチン開発の長期戦略で、国内治験やEUAなどの新型コロナワクチンの承認審査の見直しの方向性を年内にまとめる、としている。本格的な議論は次期政権に託された。

●ワクチン供給に期待感 日米豪印 インド来月輸出再開

 米ホワイトハウスで24日にあった日米豪印4カ国(クアッド)首脳会議では、新型コロナ対策での連携を強く打ち出した。「安全で有効なワクチンの輸出を来月から再開するというインドの発表を歓迎する」。共同声明では、クアッドの新型コロナ対策の核となるインドでのワクチン生産への期待を示した。今回インドの輸出再開が決まり、モディ首相は「クアッドによるワクチン供給はインド太平洋地域の国々の大きな助けになる」と語った。

 3月にオンライン形式で開催した前回の首脳会議では、インドのバイオ企業を支援し、アジアを中心に2022年末までに少なくとも10億回分のワクチンを製造できるようにすることで合意。インドで大量生産されるワクチンを他国へ供給するはずだったが、その後に感染爆発したインドが輸出を停止して、周辺国でワクチンが不足する事態になっていた。

●全国2674感染

 国内感染者は25日、新たに2674人が確認された。前週の同じ土曜日より約2千人少なかった。死者は33人だった。厚労省によると、24日時点の全国の重症者は1185人で、前日から43人減った。東京都の新規感染者は382人で、34日連続で前の週の同じ曜日を下回った。

【9月26日】

●臨時医療施設「輪番で対応」田村厚労相

 新型コロナの次の感染拡大期に備え、田村厚労相は26日のNHKの「日曜討論」で 、「酸素吸引を受ける方々を臨時の医療施設で効率的に診ていくときに、一つの医療機関だけでは難しい」と指摘。入院待機ステーションや酸素ステーションといった臨時の医療施設を担う医療従事者は、複数の病院から派遣してもらう輪番制での対応を求める考えを示した。特定の病院だけで担えば対応に限りがあり、臨時の医療施設を増やすのは困難なためとした。

●国内2134感染

 国内感染者は26日、新たに2134人が確認された。前週の日曜日(19日)より4割少なく、減少傾向が続いている。死者は21人だった。東京都の新規感染者は299人で、35日連続で前の週の同じ曜日を下回った。厚労省によると、25日時点の全国の重症者は1133人で、前日から25人減った。

【9月27日】

● 緊急事態宣言・まん延防止措置、今月30日で全て解除の方針 政府

 19都道府県に出している「緊急事態宣言」と8つの県への「まん延防止等重点措置」について、菅首相は27日、期限の30日ですべて解除する方針を固めた。宣言に準じた「まん延防止等重点措置」への移行も行わない方向。解除後も特別措置法に基づく知事の判断による自粛要請は継続し、酒類提供などの規制は段階的に緩和する方針。28日に「基本的対処方針分科会」に諮り、了承されれば政府の対策本部で正式決定する。

 26日時点で、病床使用率の指標は、全地域で重症者用病床も含めて宣言の目安の「ステージ4」(感染爆発)の水準を切った。新規感染者数の指標は、大阪府と沖縄県で「ステージ4」の水準を超えるが、政府の分科会は「2週間ほど下降傾向」なら水準を超えても解除できるとする「新指標」を公表している。首相は27日夕、記者団の取材に応じ、「今後も高い警戒感を持ち、飲食などについて段階的に緩和を行っていく必要があり、具体的な内容も諮りたい」と述べた。

 全国で80万人以上が感染した「第5波」が収まりつつある。人々の行動自粛に加え、ワクチン接種が進んだ効果が大きいとみられる。19都道府県に出ている「緊急事態宣言」が解除されれば、4月24日以来、約5カ月ぶりに「対象地域なし」となるが、「第6波」を警戒する声が早くも上がっている。

●コロナ点滴薬、特例承認 厚労省 重症化リスクの入院患者

 厚労省は27日、新型コロナ感染症の治療薬として英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が開発した点滴薬「ソトロビマブ」の国内での製造販売を特例承認した。対象は高齢者や基礎疾患があるなど重症化のリスクが高い軽症や中等症の入院患者。軽症者にも使える薬は抗体カクテル療法の「ロナプリーブ」に続き二つ目になる。

 GSKが今月6日に承認申請し、厚労省の専門家部会が海外で実施した臨床試験(治験)のデータをもとに判断した。GSKによると、海外の治験では、この薬を使った人は、偽薬を使った人と比べて、投与から29日目までに死亡や入院が79%少なくなったという。すでに米国では5月から治療に使われている。

 軽症者が使える治療薬はこれまで「ロナプリーブ」しかなかった。供給量に限りがあるなか、「ソトロビマブ」も使えるようになり、重症者をさらに減らせる可能性がある。「ソトロビマブ」は使用対象を入院患者に限っているが、厚労省は、安全性を検討し、外来や往診でも使えるようにする見込み。国内で承認された新型コロナ治療薬はほかに、「レムデシビル」、「デキサメタゾン」、「バリシチニブ」があり、計5種類になった。

●抗原検査キット 薬局販売

 厚労省は27日、医療用として承認した新型コロナの「抗原検査キット」について、薬局での販売を特例的に解禁した。PCR検査より手軽に、短時間で結果も出るため、政府は飲食規制の緩和などの対象にする「陰性証明」に活用する考え。検査キットは自分で鼻の穴を綿棒でぬぐい、試料をキットにたらすだけで15~30分で結果が出る。しかし、検査キットは一定以上のウイルス量が必要で、正確さはPCR検査に劣る。このため厚労省は症状のない人の確定診断には推奨しない。

 厚労省は薬局販売を認めていなかったが、手軽に購入できるよう規制改革推進会議に求められ、方針を変えた。感染していても陰性と示される「偽陰性」が出る場合があり、購入の際に薬剤師が感染対策を続けることを指導するとしている。

 厚労省は引き続き、感染の有無の確定診断用に無症状者が検査キットを使うことは推奨しない。ただ政府は、飲食やイベントの人数制限緩和のために、ワクチン接種の証明や陰性証明を組み合わせた「ワクチン・検査パッケージ」を11月にも導入するとしており、キットの活用方法を検討する。

●国内で新たに1147人感染 東京と大阪で100人台に

 国内感染者は27日、1147人が新たに確認された。東京都の新規感染者数は154人と半年ぶりの100人台に、大阪府も2カ月半ぶりの100人台となった。死者は28人だった。東京都の感染者数は前週の月曜日(20日)から148人減少。前の週の同じ曜日を36日連続で下回り、今年3月22日以来の100人台に。27日までの1週間平均の感染者数は341.6人で、前週の44.3%となった。

【9月28日】

● 緊急事態宣言・まん延防止等重点措置、30日すべて解除決定 政府

 政府は、19都道府県の「緊急事態宣言」と8県の「まん延防止等重点措置」について、9月30日の期限をもって、すべて解除することを正式決定した。解除後は飲食店への時短要請を継続したうえで知事の判断で酒類提供を認めるなど、制限緩和を段階的に進める。「宣言」と「重点措置」が、どの地域にも出されていない状況は、およそ半年ぶりになる。

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  専門家でつくる「基本的対処方針分科会」に諮り、政府の対策本部で決めた。首相は記者会見で「今後は次の波に備えながら、感染対策と日常生活を両立していくことが重要」と指摘。「医療体制のもう一段の整備」「着実なワクチン接種の継続」「日常生活の回復」の三つの方針を進める必要性を訴え、「感染者の数も大きく減少し、ようやく社会経済活動の正常化が見えてきた」と語った。また、ワクチン接種について年内にも3回目の接種が開始できるよう、準備を進める考えを示した。

●日常と対策、両立の道は 退任前の首相、「接種効果」誇る

 菅首相は、退任を前に新型コロナ対応に区切りをつけ、次の政権に引き継ぎたい考え。冬の「第6波」の到来も予見される中、政府と自治体は、感染対策と日常生活の両立をめざす。28日夜、首相が記者会見で強調したのは、新型コロナとの「共存」。「これから新型コロナとの戦いは、新たな段階を迎える。ウイルスの存在を前提とし、感染対策と日常生活を両立していくことが重要だ」と訴えた。自ら旗を振ったワクチン接種は、「効果は明らかだ。明かりは日々輝きを増している」と成果を誇った。

 首相側近は「あと1カ月早ければ、政権もこういう終わり方をしなかったかもしれない」とぼやく。感染状況の急速な改善は、政府にとっても想定外。官邸幹部は「半月前は、感染が再拡大する地域もあると思っていた」と話す。「理由がよく分からず感染者が減っている」(田村厚労相)との声もあるが、首相は周囲に「やはりワクチンだ」と、抑制効果への自信を語る。

 政府は今回、さらなる制限緩和のための対策の一つが、10月上旬から始める「実証実験」。再び宣言などを出す事態になっても、接種証明や陰性証明を活用し、行動制限の緩和を維持したい考え。このため、飲食店やイベント会場などで客に接種や陰性証明を確認する実験を行い、利用後に感染者が出ないか追跡調査を行う。この結果をもとに、宣言下でも「日常」を維持するための仕組みを具体化する。衆院解散・総選挙をにらみ、「コロナ対応のアピール」との声も漏れる。

● 尾身会長、対策継続やワクチン接種など「解除に5つの条件」

 「基本的対処方針分科会」の尾身会長は28日の会合のあと報道陣の取材に応じ、5つのポイントを条件に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を解除するとした政府の方針を了承したと述べた。

 その5つのポイントとして、尾身会長は市民に対して
 ①混雑した場所を避け、換気を行い、大声を控えるなどこれまでの対策を続けることと
 ②ワクチンの接種への協力を求めること。

 また、国や自治体に対して
 ③行動制限の解除は段階的に慎重に行い、重点措置は使わないものの知事は必要であれば対策を続けること
 ④ワクチンが行き渡る前の過渡期の今、検査や換気のための二酸化炭素濃度のモニターといった科学技術を活用した対策や、医療供給体制のさらなる強化を進めること
 ⑤感染拡大の予兆があれば、深刻な医療逼迫にならないよう機動的に対応すること。

● 「GoToイート」都道府県の販売再開判断を国が支援へ 農相

 野上農林水産相は、外食需要を喚起する「GoToイート」の食事券について、緊急事態宣言などがすべて解除される見通しになったことを受け、都道府県が販売を再開するか判断できるよう、国として支援していく考えを示した。

●飲食業界、歓迎の声 経済団体、「GoTo」再開希望も

 「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の全面解除が決まり、対象地域で酒が出せるようになる飲食店など経済界からは、経済正常化への期待の声が上がった。ただ、直前の決定で準備が追いつかない店も。旅行業界などからは、「GoTo」再開による政府の後押しを求める声も出ている。

 政府はワクチンの接種証明も活用しながら経済正常化を進める方針。外食・旅行業界では、すでに接種者に特典や限定プランを提供する動きが広がっている。接種率アップへの貢献と集客の一石二鳥を図る狙いだが、公平性への配慮も課題になっている。

●全国1723人感染

 国内感染者は28日、新たに1723人が確認された。東京都の新規感染者は248人で、前の週の同じ曜日を37日連続で下回った。全国で新たに確認された死者は50人。

【9月29日】

●自民総裁に岸田氏 決選投票で河野氏破る

 自民党総裁選が29日に行われ、岸田前政調会長が決選投票で、河野行政改革相を破り、新たな党総裁に選出された。岸田氏にとっては総裁選の勝利で、次期首相への道が開かれた。岸田氏は決戦投票で257票を獲得し、170票だった河野氏を上回った。

 菅首相は今月に入り、総裁選には出馬しない意向を明らかにしていた。これは、実質的に首相の座を明け渡した格好で、総裁選の行方は他候補に委ねられることになった。総裁選には岸田氏と河野氏のほか、高市前総務相と、野田幹事長代行が出馬した。第1回投票でいずれの候補者も過半数に届かなかったため、岸田氏と河野氏による決選投票が行われた。

● 大規模接種センター、16歳以上なら全枠で予約可能に 防衛省

 東京と大阪に設置した新型コロナワクチンの自衛隊大規模接種センターをめぐり、予約枠が大幅に余る状態が続いている。若い世代の接種を加速させるため、防衛省は29日、10月4日の接種分以降は、すべての枠で16、17歳も予約できるようにする、と発表した。予約受け付けの開始は9月30日午後6時。その後の予約開始日は月、木曜日とする。1日あたりの予約枠は東京が1万人分、大阪が5千人分。

●コロナ飲み薬、開発急ピッチ 海外先行 塩野義も最終治験

 新型コロナの治療薬で、軽症者用の「飲み薬」の開発が進んでいる。国内で承認されている軽症者用の薬は点滴薬しかなく、自宅でも使いやすい飲み薬があれば、新型コロナをおさえる鍵になる。先行するのは海外の企業。米メルクの「モルヌピラビル」は最終段階の治験に進んでいて、年内に米国で緊急使用許可(EUA)を申請見込み。米ファイザーも治験は最終段階で、年内のEUA申請をめざす。いずれも厚労省にも承認申請される可能性がある。ほかにスイスのロシュも治験は最終段階で、2022年にも申請するとみられる。

 国内企業では、塩野義製薬が29日に都内で会見し、最終段階の治験を開始したと発表した。早ければ年内に厚労省への承認申請をめざす。抗インフルエンザ薬として承認されている富士フイルム富山化学の「アビガン」は、昨年3月に新型コロナ向けの治験を始め、同10月に承認申請した。しかし、厚労省の専門部会で審議継続となった。国内で再び治験を始めていて、10月末まで続ける予定。

●重症1000人下回る 大阪で398人感染

 国内感染者数は29日、1986人が確認された。重症者は28日時点で1千人を割り込んだ。死亡は48人だった。都道府県別で最多は大阪府の398人。東京都は267人。秋田と鳥取両県は感染者数がゼロだった。

【9月30日】

● 米ユナイテッド航空、ワクチン接種拒んだ社員593人を解雇

 米航空大手・ユナイテッド航空は、新型コロナのワクチン接種を義務づけた米国内の社員のうち、接種を拒んだ600人近くを解雇する手続きに入った。

●緊急事態・重点措置を全面解除、行動緩和へ 政府

 政府は、19都道府県を対象にした「緊急事態宣言」と8県への「まん延防止等重点措置」について、期限の30日をもって全面解除した。全国で「宣言」と「重点措置」の対象がない状況は4月4日以来で、段階的に行動制限を緩和。

 「宣言」などの解除後、飲食店では1カ月間の経過措置として、感染対策に関する「第三者認証」制度の適用店は午後9時まで、非認証店は午後8時までの時間短縮営業を基本とし、知事の判断で酒類の提供を可能とする。時短営業に応じた店には協力金を支給する。スポーツなどのイベント開催についても、1カ月の経過措置期間では、収容定員の50%以内で最大1万人を上限とする。

 都道府県をまたぐ移動の自粛は求めず、ワクチンが未接種の場合には事前の検査を勧める。ただ、感染症の専門家からは冬場にかけて感染が再拡大するとの懸念が出ている。政府はワクチン接種をさらに進めるとともに、「抗体カクテル療法」拡大や臨時医療施設の整備などに取り組む方針。

● 制限緩和、13道府県で実験 飲食店やライブハウス 接種・陰性証明活用

 政府は30日、新型コロナのワクチン接種証明や検査の陰性証明を使った飲食店などでの実証実験を10月から13道府県で始めると発表した。ワクチン接種が行き渡る11月ごろをめどに、再び「緊急事態宣言」が出た場合でも行動制限の緩和を続けることができるようにする狙いがある。

 実験の対象となるのは、感染防止対策の「第三者認証」を受けた飲食店や、感染対策を講じたライブハウスや小劇場。利用者にワクチン接種歴の確認や事前検査をすることを条件に、人数制限や営業時間の制限を緩和する。換気の状態を計測するほか、利用者リストを作成し、その後の感染状況を追跡する。

 飲食店で実施するのは、北海道、埼玉、千葉、神奈川、石川、滋賀、京都、大阪、兵庫、福岡、熊本、沖縄の12道府県。ライブハウスや小劇場は北海道、愛知、大阪、熊本の4道府県。一方、スポーツやコンサートなど大規模イベントでも、実証実験を行う。マスク着用率や声援の有無を確認、人の密集度合いや行き帰りの人の流れの観測技術の検証もする。12日にあるワールドカップ大会アジア最終予選(埼玉スタジアム)のオーストラリア戦、18日から始まる世界体操・新体操選手権北九州大会などで予定。

●第6波への備え急ぐ 病床・ワクチン・薬・検査
 
 「緊急事態宣言」が解除されたが、かつてない波となった第5波で、病床が逼迫した東京都や大阪府は次の第6波へ向け、医療提供体制の強化を急ぐ。感染しても入院できず、自宅療養中の死亡が各地で相次いだ教訓を自治体や政府はどう生かしていくのか。30日にあった東京都のモニタリング会議で都医師会の猪口副会長は、第6波に向け、「感染拡大のリスクが高くなる冬に備え、入院、宿泊、自宅療養の体制を総合的に検討する必要がある」と訴えた。

 第6波に備え、都は28日にコロナの入院病床を6651床まで増やす方針。だが、7月時点で5967床まで増床したが、第5波では入院できず自宅療養を強いられる患者が続出。理由は、医療スタッフの不足などで実際は稼働していない病床が少なくなかった。また自宅療養者のケアを強化するため、都は旧こどもの城(渋谷区)に酸素ステーション130床を設けた。しかし入所者数は低迷し、最も多かった日でも38人。今後も、370床を増床する計画だが、これらの施設がどの程度活用されるか不透明。

 大阪府は9月30日、大阪市内の国際展示場に500床の大規模医療・療養センターを開設。無症状者や軽症者の利用を想定し、保健所から連絡がなくても使える「避難所」の扱い。現段階では受け入れを行っていないが、第6波に備え、1千床規模に拡大する。吉村知事は、「いざという時の施設として活用したい」と話す。第5波でも課題となったのが、保健所から感染者への連絡が滞ったこと。このため、府は保健所を介さずに治療や宿泊療養ができる仕組みづくりを急ぐ。

 政府も第6波に備え、病床の確保計画を11月末までに見直すよう、都道府県に通知する方針。病床を増やす考えだが、他の病気の患者への影響が懸念され、臨時の医療施設の整備を重視する。臨時の医療施設を担うスタッフは、複数の病院から輪番で派遣する仕組みを整える。

● ワクチン 1回目接種、全人口の7割に 2回目は6割近く

 政府が30日公表した最新の状況によると、国内で少なくとも1回、新型コロナウイルスのワクチンを接種した人は合わせて8869万3855人で、全人口の70%。2回目の接種を終えた人は7504万4365人で全人口の59.3%。全人口にはワクチン接種の対象年齢に満たない子どもも含む。1回目の接種と2回目の接種をあわせた、総接種回数は1億6373万8220回となっている。

 65歳以上の高齢者で少なくとも1回接種した人は3235万9158人で高齢者全体の90.5%、2回目の接種を終えた高齢者は3190万1664人で89.2%。実際はこれ以上に接種が進んでいる可能性があり、今後、増加することがあるという。

 日本国内 ワクチン接種 全人口に占める割合 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 <備考>
 ・このグラフの全人口には、ワクチン接種の対象年齢に満たない子どもも含む。
 ・このグラフに、職域接種分のすべては反映されていない。
 ・グラフ右上の枠内に表示している日付は「データの最新集計日」。「データの公表日」とは異なっている。

● 東京都 感染警戒レベル 10か月ぶりに一段引き下げへ

 新型コロナの新規陽性者数の減少が続いている東京都内の感染状況について、専門家が分析・評価する都のモニタリング会議は、30日午後の会合で、最も高い警戒レベル「レベル4」から一段引き下げ、およそ10か月ぶりに2番目の「レベル3」にする方針。

●「ブレークスルー」重症化割合は減少

 ワクチン接種後に新型コロナに感染する「ブレークスルー感染」があっても、ワクチンをうたない場合より重症化を防げる傾向があるという研究結果を、国立国際医療研究センターがまとめた。65歳以上の高齢者では、集中治療室(ICU)に入るほど重症化する割合は8分の1、死亡する割合は3分の1に下がった。

● 田辺三菱製薬のワクチン、日本で臨床試験へ 各社で開発進む

 「田辺三菱製薬」(本社:大阪)のカナダにある子会社「メディカゴ」は、英製薬会社と共同で新型コロナワクチンの開発を進めていて、現在カナダや米国などで最終段階の臨床試験を行っている。田辺三菱製薬は、10月から日本国内でもこのワクチンの臨床試験を始めることになった。

 会社では、生産にかかる時間は5週間から8週間ほどと比較的短い上、コストも抑えられるとしている。また2℃から8℃の温度で保存できるということで、実用化できれば規模が小さい医療機関などでも利用できるメリットがある。会社では、このワクチンについて臨床試験が順調に進めば、今年度中にも国に承認申請を行いたいとしている。新型コロナワクチンを巡っては、国内では「第一三共」や「塩野義製薬」なども開発を進めている。

●全国1576人 都内で「レベル3」10ヵ月ぶり

 国内感染者は30日、新たに1576人が確認された。2千人を下回るのは4日連続。

 国内、都道府県、東京都の5枚の感染状況。出典は、NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 東京都は30日、218人の感染が明らかになった。都内の感染状況について、警戒レベルを4段階で上から2番目に深刻な「レベル3」の評価に引き下げた。昨年11月に最も深刻な「レベル4」に引き上げて以降、約10カ月ぶりの「レベル3」となる。

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 東京では前週の木曜日(23日)から313人減り、前週の同じ曜日を39日連続で下回った。大阪府は、前週の木曜日よりも276人減って、ほぼ半減となった。

2021年10月13日 (水)

日光杉並木街道ウォーク

 2021年10月10日 (日)、栃木県日光市の「日光杉並木街道」を歩く。

 

 新型コロナウイルスの感染状況も減少傾向、10月から全国的に「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が解除になった。感染防止を徹底し、久し振りに県外への外出。

 車2台で8:00出発。東北道、日光宇都宮道路の今市IC、国道119号線(日光街道)を経て今市の「杉並木公園」東側駐車場に10:15到着。

 「杉並木公園」の駐車場は3個所ほどあるが、駐めたのは東武日光線上今市駅の傍の公園東口。公園は杉並木(旧・日光街道)を含み、幅約150m、長さ約850mほどある。公園に並行して左手に国道119号線(日光街道)、右手が東武日光線が走る。

 公園東口にある直径4.5mの水車が2つ並ぶ「重連水車」。

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 特徴のない広場だが、このあたりに江戸時代の「朝鮮通信使の今市客館跡」の小さな碑と説明板があった。

 杉並木を歩く。

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 以下、日光市観光協会今市支部のパンフレット「いいね!今市」から抜粋。

「日光杉並木街道」は、日光街道・例幣使街道・会津西街道の3つの街道に渡り、全長37kmもの道の両側に1万2126本(令和2年度時点、栃木県文化財課調べ)もの杉の木がうっそうとそびえ立つ並木道です。徳川家の忠臣・松平正綱が20年余りの年月をかけて20万本以上もの杉を植樹し、家康の33回忌の年に日光東照宮の参道並木として寄進しました。

高さ約30mにも成長したこの杉並木は現在日本で唯一、特別史跡と特別天然記念物の二重指定を受けており、平成4年には「世界一長い並木道」としてギネスブックに認定されています。(※認定された長さは、35.4km) 毎年8月最初の日曜には例幣使街道をコースとした「杉並木マラソン」が行われます。

 少し歩くと、大きめの駐車場(南側駐車場?)にあった散策マップ(写真をクリックすると拡大表示します)

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 公園内に、いくつかの水車を見かけた。ここ石臼でそば粉をひく小屋。

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 江戸時代、地元では杉線香の生産が盛んだったという。水車はその生産の動力にしたらしいが、豊富なので水車はいろいろな用途にも使われたようだ。

 右手の東武日光線に沿って、大水車を右に見て進む。

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用水円筒分水井から左に入って、再び杉並木を歩く。全般に並木のある地面と道路の高さが違う。

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 並木の地面より道路が低いのは、何故だろうか。植林したころから道路が低かったのか、土を盛ったところに植林したのか。道路が日光に向かってわずかに傾斜しているので、雨水で道路の土が流されたのだろうか。

 朽ちた大きな杉の切り株や、大きな杉の根元が露わになった異様な姿の杉もある。

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 並木道の脇には、所々に側溝があり沢水が流れる。道の土壌が雨水で流されないように簡易な舗装をしてあるようだ。

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 11:20、「砲弾打ち込み杉」に到着。(写真をクリックすると拡大表示します)

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 1868年の戊辰戦争の戦火が栃木県にも及び、杉並木のこの地でも板垣退助率いる官軍と大鳥圭介率いる旧幕府軍の戦闘が行われた。この杉に残る大きな凹みは、砲弾が命中した跡。当時の戦火の激しさを今に伝える貴重な歴史の痕跡だという。

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 東武日光線のガード下をくぐり、11:35 「日光だいや川公園」に入場。

 公園内のパークゴルフ場。

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 「日光だいや川公園」は、「日光の自然と悠久の歴史・文化へのいざない」をテーマに、地域におけるレクリエーション活動の拠点として位置づけられている公園。広い園内で、散歩やピクニックなどのほか、自然や文化と触れあいを提供するさまざまなエリア・施設がある。この日は日曜とあって、家族連れで賑わっていた。

 オートキャンプ場、ニュースポーツ広場、フィールドアスレチックコースなど有料施設。園芸に関する相談や展示会・講座を行う「緑の相談所」、農業体験や料理・工作教室などを行う体験学習施設「だいや体験館」など。地域の農産物直売所やレストラン。11月に開催される「日光そばまつり」の会場にもなる。

 「日光だいや川公園」の案内板。(写真をクリックすると拡大表示します)

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 公園の北側を大谷(だいや)川が流れる。大谷川は、日光市を流れる利根川水系・鬼怒川支流の一級河川。中禅寺湖を発して華厳滝を落ち、清滝付近で日光市内を東へ流れながら周囲の支流を集めて、日光市町谷で鬼怒川に合流する。

 無料休憩所で、コンビニで事前に買った弁当で昼食、休憩。

 12:20、「日光だいや川公園」を退場。往路の杉並木や「杉並木公園」内を散策しながら戻る。

 13:05、公園内の名主「江連家屋敷」を見学。

 江戸時代の世襲名主をつとめた江連家の天保元年(1830年)建築の母屋を1993年に市が移築。当時の名主や農民の暮らしを残す貴重な建築物。

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 現在は、防火や維持管理の上で茅葺きは、銅板葺に葺き替えられている。建築面積は91坪(約300㎡)、間取りは、馬屋、42畳の土間、22畳の囲炉裏(いろり)付き板張り居間のほか、囲炉裏付き茶の間や納戸、座敷など8畳~12畳敷きの間が6間、その広さに驚く。座敷は縁側(濡れ縁)で囲まれ、身分の高い者が使う式台玄関や、座敷の中の1つは床間・書院のある奥座敷(客間)となっている。

 説明板には「入縁」と書いてある畳敷きの4畳または6畳の部屋が3つある。これは濡れ縁と座敷の間にある通路で、縁(えん)座敷と呼ばれて部屋数に含めてない。

 庭に相当する場所には「日光杉並木保護賛同者の皆さま」の2基の提示板が建てられている。個人、企業、団体名が、年度別に並ぶ。

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 杉並木の保護のための基金として、寄付や1本1千万円のスポンサーを募り、保護事業を担っているという。学校、大学、自治体、企業名、個人名の中に、ゴルフの尾崎兄弟(将司と建夫)の名前を見つけた。

 「江連家屋敷」にすぐ近くに「報徳仕法農家」がある。江戸時代の末、二宮尊徳の「報徳仕法」により建てられた一般的な農家を再現した。

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 「報徳仕法」とは、二宮尊徳によって説かれた、節約貯蓄を中心とする農民の生活指導などを通じて農業経営のたてなおしと農村復興をはかる方法。この建物は、「報徳庵」という手打の蕎麦の店になっている、店内には、尊徳の生涯を展示してあるそうだが、入館せず。

 ここから1Km東南に「二宮尊徳記念館」(日光市歴史民俗資料館)、2Kmほど東南に二宮尊徳を神様として祀る「報徳二宮神社」があるそうだ。

 13:15、往路で見た「大水車」の前を通る。水車の直径が10m、幅85cm。

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 大水車の説明板

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 ちなみに説明板が古いのか、もっと巨大な大水車がある。埼玉県立「川の博物館」(寄居町)のシンボル「大水車」は、2019夏に改修工事が完成し、直径24.2mで木製の水車では日本一。改修前の水車は直径23mで2004年まで日本一。老朽化により2015年夏から停止していたがその後、岐阜県の道の駅に建てられた大水車(直径24m)に抜かれた。今回の建て替えで日本一を奪還した。

 13:35、「杉並木公園」東口駐車場着。

 ここから宇都宮に向かう日光街道の「七本桜の一里塚」には杉の根元に空洞があり大人4人ほどが入れる「並木ホテル」という珍しい杉の木がある。また更にその先の右側には、杉の割れ目に育った桜が、まるで桜が杉に寄生したような珍しい「桜杉」もあるそうだ。

 地図で見ると、「杉並木公園」東口から、東へは杉並木が途切れ、国道119号線を追分地蔵尊まで約850m(徒歩11分)。そこからは国道121号線に平行に走る旧・日光街道の杉並木、更にそこから1.5Km(徒歩18分)のところに「並木ホテル」、更に300m(徒歩3分)先に「桜杉」があるようだ。

 すでに今日は約12000歩、7Kmを歩いた。更に「桜杉」までの往復は、5.2Km(徒歩1時間10分以上)。久し振りのウォークで疲れたので、ここで中止し、高速が混まないうちに帰ることにする。

 13:40、公園駐車場を出発。13:50~14:00、今市市街の「日光ろばたづけ」の店でお土産を買い帰路へ。16:00、出発地に到着、16:20、暗くならないうちに帰宅。

 10月の曇り空の中、暑くもなく気持ちの良い秋のウォーキングだった。久し振りの長距離のウォーキングで、後で軽い筋肉痛が出た。


 ★ ★ ★

 日光杉並木は、「日光杉並木街道」とも呼ばれる。「日光街道」、「日光例幣使(れいへいし)街道」、「会津西街道」の3街道にまたがる。旧・日光神領内にあたる大沢~日光16.52Km、小倉~今市13.17Km、大桑~今市5.72kmの3区間の両側にスギが植栽されている。総延長は35.41Km、世界最長の並木道として1992年(平成4年)ギネス世界記録に登録されている。

 1617年(元和3年)、徳川家康の霊廟として日光東照宮が創建された。将軍家や諸大名が日光参詣をするようになり、江戸から日光への道路が急速に開け、江戸から宇都宮へ続く「奥州街道」も「日光街道」と呼ばれるようになった。松平正綱は、相模国の玉縄藩初代藩主。大河内松平宗家初代。家康・秀忠・家光の三代にわたって将軍家に仕えた。

 正綱は、若くして側近として重用した家康の恩に報いるために、1625年(寛永2年)から20年以上にわたり、紀州から取り寄せた杉の苗木を植樹した。1648年(慶安元年)、家康の33回忌に参道並木として東照宮に寄進した。正綱はその年に亡くなり、嫡子の正信が杉を植え足して、今日に伝わる約1万5千本の並木となった。この並木は、日光奉行が管理することになって、枯れたりした場合には必ず補植の措置がとられ手厚く保護された。

 明治以降は幾度も伐採の危機に瀕するものの、官民双方の有識者の努力によって大規模な伐採は避けられてきた。中でも、地元出身の林学者で「杉並木博士」と呼ばれた鈴木丙馬は、杉並木の研究と保護に生涯を捧げ、保護運動の中心となって活躍した。

 開発によって当時の並木道を失った箇所もあるものの、植樹から400年近く経った現在でも約12,500本のスギが高さ30~40mほどに成長し、寄進碑や一里塚も現存するなど、日光東照宮へ向かう道は江戸時代の景観をよく伝えている。歴史的にも植物学的にも特に重要とされ、1954年(昭和29年)には日本で唯一、国の特別史跡と特別天然記念物の二重指定を受けた。また1986年(昭和61年)、「日本の道100選」のひとつとして選定された。

 植えられてすでに400年近くが経過する。過密に植えられたため根や枝の競合や、街道を通る車の排気ガスや沿線の開発によって樹勢の衰えが著しく、毎年平均して100本以上の杉が倒木や枯死している。保護が叫ばれて久しいものの、このままでは100年後には消滅してしまうとも言われている。2000年代以降では、牛糞畜産堆肥の施肥、中空ブロック埋設による杉の根の保護、バイパス建設や杉並木オーナー制度導入により保護基金を設立して、保護対策活動に乗り出している。

●貴重な文化遺産を後世に残すために

 杉並木街道には、「貴重な文化遺産「日光杉並木街道」を後世に残すために」という栃木県教育委員会などが設置した金属の説明板があった。

 錆びたり苔むしたりしていて見にくかったが、以下に転載する。

 日光杉並木街道は、我が国で唯一、国の特別史跡・特別天然記念物の二重指定を受けた、世界に誇れる貴重な文化遺産です。
 その杉並木が今、環境の変化などで毎年少しづつ失われているため、栃木県では様々な杉並木保護事業に取り組んでいます。

 ここでは、そのうちの一つとして、杉の根を保護するための工事(ポカラ工法)を実施しました。
 【ポカラ工法】
 道路と並木敷の高さが違う場合、その段差をなくし道路の下まで杉の根が伸びられるようにするため、畑土に畜産堆肥を混ぜた土壌を詰めた中空コンクリートブロック(ポカラ)を埋設する工法。

 この他に、杉の根が露出している場合、木の柵で土どめをし、そこに畑土に畜産堆肥を混ぜた土壌をいれて根元の状況を元に戻す「木柵工法」も実施しています。

 これらの杉並木保護事業は、日光杉並木オーナー制度による運用益や杉並木保護のために寄せられた寄附金に加えて、中央競馬会(JRA )、(財)日本緑化センター、(社)国土緑化推進機構、(社)栃木県緑化推進委員会の支援を得て実施しました。

●日光杉並木オーナー制度

 栃木県のホームページによると、「日光杉並木オーナー制度」は杉並木保護に賛同された方に、並木杉を1本につき1千万円で購入し、オーナーになってもらう制度。現在のオーナー契約本数は、557本(令和3年3月31日現在)。

 県では、並木杉の売却代金を、「栃木県日光杉並木街道保護基金」で管理・運用し、その運用益により並木杉の樹勢回復事業などの各種保護事業を実施している。オーナー契約の解除する場合は、杉を返却するのと引き換えに、杉の売買代金を返却することになっている。 

2021年10月12日 (火)

映画「MINAMATA -ミナマター」

 2021年10月7日(木)、映画『MINAMATA -ミナマター』 を観る。

 
 水俣病は、日本における「四大公害病」のひとつ。チッソ水俣工場(熊本県水俣市)による工業排水を原因とし、現在まで補償や救済をめ ぐる問題が続く。その存在を世界に知らしめた写真家ユージン・スミス(1918 - 1978) と妻のアイリーン・美緒子・スミス(1950 ー)が、 1975 年に発表した写真集『MINAMATA』。彼の遺作ともなったこの写真集を基に、映画化が実現。2021年9月23日 公開された。
 
 「四大公害病」は、高度成長期に発生した負の遺産、イタイイタイ病 (カドミウム)、水俣病(メチル水銀)、四日市ぜんそく(亜硫酸ガス)、新潟水俣病(第二水俣病)を指す。
  
 映画『MINAMATA -ミナマター』のポスター。

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 アメリカの写真家W・ユージン・スミスは、『ライフ』誌に掲載されるなど報道写真家として過去には功績を評価されながらも、酒に溺れ、すさんだ生活を過ごしていた。ユージンのCM撮影に同行して来た魅力的な日本人翻訳者のアイリーンから、水俣を訪れて水俣病を撮影し記録するよう促される。

 ユージンは、年の離れた妻となったアイリーンとともに水銀中毒と水俣病による沿岸地域の被害を記録するために、水俣を訪れた。1971年から1974年の3年間現地で暮らし、ミノルタSR-T101のカメラを持って水俣病におかされた患者たちや家族の日常、チッソに対する抗議運動、補償を求め活動する様子を何百枚もの写真に収めていく日々がドラマチックに描かれる。そしてスミスは現地で厳しい報復を受けることになるが、真実を写真で捉えることに没頭していく中で、1枚の傑作が世界を呼び覚ます。

 主人公のユージンは、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズで海賊役のジョニー・デップ、妻のアイリーンは女優・モデルの美波が演じる。共演はビル・ナイ(ライフ誌の編集長)、真田広之(被害者救済運動のリーダー)、國村隼(チッソの社長)、加瀬亮(自身が水俣病、震える手を押さえながら撮影するカメラマン)、浅野忠信と岩瀬晶子(胎児性水俣病の長女の両親)など。音楽を手掛け たのは坂本龍一。

 ジョニー・デップ 美波 以下、8枚の写真は映画『MINAMATA』のパンフより転載

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 ビル・ナイ 真田広之 國村隼

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 加瀬亮 浅野忠信 岩瀬晶子

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 登場人物は、実在の患者らがモデルになっている。アンドリュー・レビタス監督らは2018年9月に水俣を訪れ、胎児性患者らに会って制作の意向を伝えた。主な撮影は何故かセルビア、モンテネグロで行われたという。

 映画のエンドロールでは、各国で同じ環境被害に多くに人々が苦しむ「人為的な事件」の数々を紹介する。インドネシアの金採掘による水銀汚染、チェルノブイリ原発事故、サリドマイド薬害、ハンガリーのアルミナ工場の有害廃棄物流、アメリカの坦懐原油流出、福島の原発事故、ブラジルの尾鉱ダム決壊・・・・などなど。

 ★ ★ ★

 ユージン・スミスが水俣で取材していた時期からもう50年、半世紀が経つ。この機会に、当時の社会状況を思い出す。漁協が操業停止や排出の停止を訴えて抗議、工場に乱入するが、垂れ流しは続く。企業城下町で大多数の市民が、チッソで生活の糧を得ている。会社に抗議するのは難しい。周囲の水俣病に対する偏見や差別もある。

 多くの患者やその家族はわずかな見舞金と引き換えに、泣き寝入りを強いられた。そして補償金や救済を要求して抗議や団体交渉、一株株主運動、裁判に訴える人々などと、市民は分断される。一方、国はいかに無策であったか、企業を指導できなかったのか。遅まきながら1971年7月、国は縦割り行政を廃して環境庁を発足させた。フクシマもしかり。企業、政府、社会が、弱者である被害者らにどう手を差し伸べるか、寄り添えるか、国の民主主義が問われる。

■ユージンとユージンをめぐる人々

 ユージンは、1918年米国カンザス洲生れ。子どもの頃、母親からカメラを与えられ写真に熱中する。写真に関する奨学金を獲得、ノートルダム大学に入学するが18歳のときに退学、ニューヨークへ。1937年9月、週刊誌『ニューズウィーク』の仕事を始めた。第2次世界大戦には写真家として従軍し、サイパン、沖縄、硫黄島などへ派遣されて戦場の生々しい写真を撮影、雑誌『ライフ』などに写真を提供。

 沖縄戦では重症を負い、生涯その後遺症に悩んだ。戦後も『ライフ』の仕事を続けるが、1954年編集部と対立して決裂。ユージンは1959年に「世界の十大写真家」の一人の選ばれ、水俣に来る前から有名な写真家だった。

 アイリーンは、米国人の父親と日本人の母親を持ち、スタンフォード大学で学ぶ。1970年の20歳の時に、ニューヨークで通訳者として富士フイルムのコマーシャル制作の仕事に携わり、ユージン(当時51歳)と出会った。史実では、彼らが出会ってわずか1週間後、ユージンがアイリーンに自分のアシスタントになり、ニューヨークで同居するよう頼んだという。アイリーンは承諾。そのまま大学を中退し、カリフォルニアには戻らずユージンと暮らしはじめた。

 二人は、翌1971年8月16日にユージンの写真展『真実こそわが友』開催のため来日すると、8月28日に婚姻届けを提出。結婚後すぐの9月から熊本県水俣市に移り住み、1974年10月まで3年間ほどの期間、水俣病とその患者、家族たちを撮影し続けた。水俣の撮影を提案したのはアイリーンではなく、実際はユージンと親交のあった元村和彦氏(1933 - 2014)。写真集の出版を手がけた写真編集者で、出版社「邑元舎」を主宰。1970年秋に渡米し、ニューヨークでユージンらに来日して取材を提案したという。

 水俣病におかされた患者たちや家族の日常、原因企業チッソと闘う彼らの姿を写した写真集『MINAMATA』を1975年、ユージン夫妻はアメリカで出版(日本では1980年出版)。水俣病を世界に知らしめたユージンは、フォトジャーナリズムの象徴となる。しかしユージンは、アイリーンと離婚まもない1978年、2度目の脳溢血の発作を起こしそのまま亡くなった。享年59歳。

 石川武志氏(1950 ー )は、写真学校を卒業したばかりの1971年、東京・原宿で来日中のユージンと偶然出会い、アシスタントとなり、水俣に同行して自身も水俣病に苦しむ人々を撮影した。1975年に渡米し、ユージンのアパートに住みながら、写真集『MINAMATA』の出版などにも立ち会った。2012年、自身の『MINAMATA-NOTE 私とユージン・スミスと水俣』(千倉書房)を出版した。ユージンの水俣病の写真は、苦しむ患者の顔や姿をとらえて被害を訴えるのではなく、病を背負いながら暮らす姿を寄り添うようにして収めた、と石川氏は回想する。

 地元で撮影を続けていた写真家の塩田武史氏(1945~2014)は、水俣にやってきたユージン夫妻を水俣病第1次訴訟(1969~73年)の原告たちの家へ案内した。塩田氏は1967年、胎児性患者の存在を知り、大学卒業後の1970年に水俣市に移住して患者家族の撮影を続けていた。ユージンらが患者家族から借りて住んでいた家も近かった。ユージンとアイリーンは塩田氏の案内で、精力的に患者を撮影した。写真集『僕が写した愛しい水俣』(岩波書店)や『水俣な人 水俣病を支援した人びとの軌跡』(未来社)を出している。

 川本輝夫氏(1931 - 1999)は、水俣病の患者の救済運動「チッソ水俣病患者連盟」の委員長、水俣市議会議員(3期)を務めた。土木、炭鉱労働者、とび職、新日本窒素肥料の臨時労働者などを遍歴。1965年にチッソの工場で働いていた父が死亡。1969年水俣病認定促進の会を結成、以後、未認定患者救済の闘争の先頭に立つ。1971年に自らも熊本県より患者に認定され、同年11月より補償をめぐって、チッソと自主交渉に入る。映画で真田広之が演じる患者運動体のリーダーは、川本氏らをモデルにしてその闘争を描いている。

 アイリーンは水俣以降、環境活動家として市民運動に関わる。1983年、コロンビア大学で環境科学の修士号取得。1991年、NGO「グリーン・アクション」を設立し代表。1994年、「アイリーン・アーカイブ」設立。京都を拠点に約30年間にわたり、反原発を訴え続けている。水俣病の公式確認から65年。患者認定をめぐる訴訟は今も続き、多くの被害者は救済されず、水俣病問題はまだ解決していない。そしてミナマタは、フクシマにも続いているのだ。

 ユージン・スミスと妻のアイリーン(1974年)  出典:ウキメディア・コモンズ

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■写真は魂を奪う

 ユージンは、映画の中でアイリーンに次のように語る。「昔、アメリカ先住民は写真を撮られると、魂を奪わると忌み嫌った。しかし写真は撮る者の魂の一部を奪う。だから覚悟をもって撮れ」。実際、ユージンの母方の祖母は、インディアンの血筋もひく。ユージンを尊敬し、演じるジョニー・デップも先住民の血を引いているという。

 一方映画で、「写真を撮っても良いか」と患者に撮影許可を求めるが、拒否されて不満な顔をするユージンに、アイリーンは「共感してよ!」と患者の心に寄り添うことを訴える。やがて、水俣病と日本に身を投げ出す外国人に、患者や家族たちは心を開いてゆく。厳しい現実をアートに変えたユージンの作品は、後日、アイリーンの作品とともに写真集として出版され、今もなお人々に真実を伝えている。

■「入浴する智子と母」

 本映画のハイライトは、ユージンが撮影した「ピエタ像」のような世界に発信する母娘の写真を撮影するところにある。「ピエタ像」とは、死んで十字架から降ろされたキリストを抱く聖母マリアの彫刻や絵の事を指す。ユージンの作品「入浴する智子と母(Tomoko and Mother in the Bath)」は、その構図から「ピエタ像」を思わせるものとして、世界中の人々の心を揺さぶり、高い評価を受けている。

 ミケランジェロ作の『サン・ピエトロのピエタ』 出典:ウキメディア・コモンズ

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 『サン・ピエトロのピエタ』像は、ミケランジェロの彫刻の中でも『ダビデ像』と並ぶ最高傑作。

 被写体の娘の本名は「上村智子」ではなく、映画では「マツムラアキコ」となっている。胎児性水俣病患者である智子を抱いて母が、一緒にお風呂に入っている写真「入浴する智子と母」は、写真家ユージン・スミスの代表的な作品。この写真はユージンが水俣を訪れた最初の年、1971年12月に撮影された。映画では実際にユージンが撮影した写真でなく、女優の岩瀬晶子と娘役の入浴シーンが撮影された。ただ、映画ではその映像とユージンの実際の作品とが一瞬、二重写しされたのに気がついた。

 ユージンの代表作となった写真「入浴する智子と母」は、智子が21歳で亡くなった後も脚光を浴び続けた。1996年9月、東京・品川で大規模な水俣展が開催された。入浴する母子像を載せた大きなポスターが品川駅から会場までの至るところに貼られ、チラシやチケットにも使われた。雨が降っていて、濡れたポスターが剥げ落ち、ポスターやチラシが歩行者に踏みつけられたという。上村夫妻は、この光景に心を痛めた。

 1997年7月、フランスのテレビ局から番組で使うため、水俣病の悲惨さを象徴するこの1枚を提供してほしいという依頼が上村夫妻にあった。しかし、夫妻は「公害を世界に伝える」というそれまでの意思とは変わり、写真の使用とインタビューのいずれも断った。「亡き智子をゆっくりと休ませてあげたい」というのが、夫妻の本音だった。

 それから2年近く後の1998年6月にアイリーンは上村夫妻と話し合い、母子像写真の新たな展示や出版を行わないことを約束した。このようないきさつで現在、水俣病の象徴となった「入浴する智子と母」は封印されているままである。このブログにもこの写真が掲載できなくて、残念。

■史実と脚色

 2021年6月に地元有志の実行委員会が、本映画の先行上映会の後援を水俣市に依頼した。市は、映画が史実に即しているかや、被害者への差別や偏見の解消に貢献するかが不明、水俣病を忘れたいと考えている市民もいる、などの理由で後援を拒否した。一方で熊本県は「世界的に発信されることに意義がある」として上映会の後援を承諾している。

 9月18日に水俣市で先行上映が行われた。2回の上映で市民や胎児性患者などのおよそ1000人が鑑賞。会場ではジョニー・デップのビデオメッセージも紹介され、アイリーンは上映後の舞台挨拶に立ち、劇中でチッソ社長がユージンにネガの買収を持ち掛けたり、仕事小屋が放火される脚色について、「史実と違う部分はあるにしても、著名な役者が演じた映画を通して、水俣病の根底にある問題を広く世界に知って貰うことの意義は大きい」と語った。

■ユージンの取材前から原因と水銀と判明

 1950年代から水俣湾周辺の漁村地区などで、奇妙な病気が数多く報告されていた。1956年、中毒性中枢神経系の病気「水俣病」が公式確認。原因究明の研究も行われ、1959年には熊本大学水俣病研究班が水俣病の原因は有機水銀であると発表。1960年に入るとさらに、チッソの工場から排出された水銀が原因であるという論文がいくつも発表された。1968年には厚生省は、水俣病を公害病と認定、「チッソ水俣工場のアセトアルデヒド製造工程で副生されたメチル水銀化合物が原因」と発表した。

 映画の中では、ユージンとアイリーンらがチッソの附属病院に侵入して、水俣病の原因が水銀であることを会社が知っていて隠していた、という事実が判明する。探偵映画じゃあるまいし、演出として違和感ある。

■チッソ株式会社は現在、補償を専業

 チッソは明治後期に創業し、第二次世界大戦をはさみ発展した日本の化学工業メーカー。1932年からチッソ水俣工場が触媒として使用した無機水銀の副生成物であるメチル水銀を含んだ廃液を海に無処理で排出していたため、水俣市を中心とした八代海沿岸地域で発生した水俣病の原因を作った。

 1975年3月、水俣病患者と遺族らが、チッソ関係者を殺人罪、傷害罪で熊本県警に告訴した。1976年5月、熊本地検は元社長の吉岡喜一氏と水俣工場長の西田栄一氏を業務上過失致死傷で起訴した。1979年3月、熊本地裁は吉岡氏と西田氏に禁固2年、執行猶予3年の有罪判決を下し、1988年3月の最高裁上告審で有罪が確定した

 1960年代からチッソは経営状態が悪化した上に、水俣病裁判での敗訴後は被害者への賠償金支払い、第一次オイルショックなどにより経営がさらに悪化、1978年に上場を廃止した。同社は現在では実質上、国の管理下にあり、現在は水俣病の補償業務を専業とする。なお、水俣工場は現在も操業を継続している。

 チッソ株式会社のロゴ 出典:ウキメディア・コモンズ

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■チッソからユージンが暴行を受けた

 映画では、ユージンがチッソ工場と抗議者との間で起こった混乱に巻き込まれ、暴行を受けて大けがを受けるシーンがあった。この事件は実際にユージンが被害を受けたものだが、時期や場所は全く異なっていて映画の演出として大幅変更されている。実際にユージンが暴行を受けたのは、1972年1月7日。場所は、千葉県市原市にあるチッソ五井工場を訪問した際に起こった。

 チッソ五井工場に水俣市からの患者を含む交渉団と新聞記者たち約20名に訪れたが、ここで従業員約200名から強制排除を受けた。ユージンはこの「五井事件」の暴行で、実際に脊髄骨折と片目失明という重傷を負った。暴行を受けた後に「入浴する智子と母」を撮影したのは、映画の演出。この時の傷がもとで後遺症を患い、いくつもの医療機関で治療するも完治せず、晩年は神経障害と視力低下にも悩まされ、結果的に死期を早めたと思われる。

●雅子皇后の母方の祖父・江頭豊はチッソ社長

 江頭豊氏は東京府出身で、父は海軍中将の江頭安太郎氏。1933年東京帝国大学法科を卒業後、日本興業銀行へ入行。興業銀行をメインバンクとし、水俣病問題と労働争議による経営不振に陥っていた新日本窒素肥料の立て直しのため、中山素平頭取の意向で1962年、同社の専務取締役として派遣された。

 1964年12月、社長に就任。1965年1月、同社は「チッソ」に社名変更。1970年11月と1971年5月に開かれたチッソ定時株主総会は、一株株主運動との対決で大混乱となった。江頭社長は混乱の責任を取り、1971年7月の取締役会で社長を退任するが、会長に就任して経営にかかわった。後任の社長は、島田賢一氏(1971年7月~1977年6月)。1973年5月、江頭氏は会長を退任、相談役に就任。2006年9月、98歳で死去。

 江頭氏の前任の吉岡社長は、刑事追訴され水俣病の業務上過失致死傷 で有罪となった。江頭氏は外部から派遣され、水俣病の原因を作った社長ではない。しかし社長・会長の時代、水俣病被害者や家族への対応はどうだったのか。ユージンらが、水俣に滞在していた時期と重なる。江頭氏の孫・小和田雅子さんには、当然ながら責任はない。しかし祖父にチッソ社長の経歴があったことが、宮内庁から慎重論が出て皇太子妃候補から一時外された、という話もあった。1993年6月、結婚の儀が執り行われ、雅子さまは皇太子妃となった。

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