新型コロナ2021.07 四たび宣言
2021年6月21日からは7都道府県は「まん延防止等重点措置」へ移行した。専門家や国民の懸念をよそに、菅首相はワクチン接種の加速と有観客の五輪開催へと強気に進める。しかし首都圏の感染状況は再び増加に転じ「第5波」へ。東京都は7月12日から五輪期間中の8月22日迄、4度目の「緊急事態宣言」を発出した。
2021年7月1日から15日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2021.06 第5波警戒」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】
【7月1日】
◆サッカー欧州選手権、スコットランド約2000人感染確認
6月中旬から開かれている「サッカーの欧州選手権2020」(コロナで1年延期)をめぐり、英国スコットランドの保健当局は先月30日、ヨーロッパ選手権の試合や関連イベントをめぐり、新型コロナの感染との関連を調査した結果を明らかにした。
サッカーの欧州選手権2020のロゴ 出典:ウキメディア・コモンズ
当局によると、6月11日から28日までに、欧州選手権に関連して感染が確認されたスコットランド在住者は1991人。感染は、6月18日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われたイングランドとスコットランドの試合に関係した人たちに集中していて、感染者の3分の2にあたる1294人は、この試合の前後にロンドンを訪れていた。このうち、397人はスタジアム内で試合を見ていたという。
◆EU域内共通のワクチン接種やPCR陰性の「デジタル証明書」、本格運用始まる
EU(ヨーロッパ連合)では新型コロナのワクチンを接種し たことなどを示す域内共通の証明書の運用が、7月1日本格的に始まり、域内の往来の活発化に期待されている。EUでは夏の観光シーズンを前に、先月から多くの加盟国で「デジタルコロナ証明書」が試験的に運用されてきた。この証明書にはいつ、どの種類のワクチンかの接種歴や、PCR検査で陰性だったことなどを示す記録が記載、QRコードが表示され、空港などで提示すれば、旅行者は原則として自主隔離や検査が免除される。
◆モデルナワクチン、「デルタ株」にも有効
米製薬会社モデルナは日本や米国で接種されている自社のワクチンが、インドで確認された変異ウイルス「デルタ株」にも有効であることを示す研究結果が得られたと発表した。モデルナは先月29日、自社のワクチンを接種した人について、ウイルスの働きを抑える「中和抗体」の値が複数の変異ウイルスに対してどの程度変化するかを実験した結果を発表した。
◆日本が無償提供したワクチン、マレーシアとインドネシアに到着
新型コロナ感染が拡大しているマレーシアとインドネシアに、日本政府が無償で提供したおよそ100万回分のワクチンが、それぞれ到着した。マレーシアでは人口のおよそ半数にあたる1600万人余りがワクチン接種を希望しているものの、先月末までに1回目の接種をした人は570万人余り、ワクチンの確保が喫緊の課題となっている。日本政府は6月、台湾とベトナムにワクチンを提供し、外務省では今月、フィリピンやタイにも提供するとしている。
●非製造業5期ぶりプラス 6月短観 苦境底打ちの兆し
日本銀行が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数(DI)が前回(3月)から9ポイント上向いて14、非製造業が2ポイント上昇して1となった。ともに4四半期続けての改善で、非製造業がプラスに転じたのは5四半期ぶり。苦境が続く対面型サービス業で底打ちの兆しがある一方、これまで堅調だった一部業種は回復に一服感が出ている。
●路線価、39都府県で下落 全国平均6年ぶり減 コロナ影響
国税庁が1日に発表した2021年分の路線価(1月1日時点)は全国平均が前年比0.5%減と6年ぶりに下落した。これまでの上昇傾向に大きく貢献してきた訪日客が新型コロナの感染拡大で激減し、不動産取引が停滞したことが要因とみられる。今後、景気回復の見通しがたたず地価の大幅な下落があれば、同庁は路線価を下方修正する方針。
◆菅首相、五輪観客「安全安心最優先、扱いは5者協議で決定」
新型コロナの感染状況をめぐり、公明党の山口代表は東京都内で記者団に対し、再拡大の懸念があると指摘したうえで、東京五輪の観客の扱いは無観客も視野に対応を検討すべきだという考えを示した。これに関連して、菅首相は、「先般『無観客もありうる』と明言している」と述べ、国民の安全・安心を最優先に対応するとしたうえで、大会組織委員会などとの5者による協議で決めることになるという認識を示した。
●感染悪化「第4波より早い」 東京、ステージ4相当
東京都は1日、新型コロナ対応の「モニタリング会議」を開いた。直近の新規感染者数(週平均)は約503人に上り、前週より約85人増と大きく上昇した。都内の主要繁華街での夜間の人出は3月末ごろの水準に到達したことも報告され、専門家は、「第4波」よりも早いペースで感染状況が悪化する可能性を指摘した。
都内では7月1日、673人の感染者が確認された。人口10万人あたりの直近1週間の新規感染者数は26.49人となり、政府が「緊急事態宣言」の目安としている最も深刻な「ステージ4」相当(25人以上)を超えた。6月30日時点の人口10万人あたりの療養者数も32人で、「ステージ4」(30人以上)を上回る。同日時点の病床使用率は25%で「ステージ3」にとどまるが、都はこれまで「ステージ4」相当になった場合、飲食店での酒類提供を再び自粛する方針を示している。
●酒提供禁止、再び焦点 東京の夜の人出急増
新型コロナの感染再拡大が続く東京都で、飲食店での「酒類提供の禁止」が再び焦点となっている。「緊急事態宣言」が解除された先月21日以降は午後7時までの酒類提供が解禁され、繁華街での人出が増加。政府と都は危機感を強めており、専門家の意見も聞いたうえで判断する。
●国内1754人感染
新型コロナの国内感染者は、1日現在で新たに1754人が確認された。死者は新たに24人増えた。東京都では673人が確認され、前週の木曜日(6月24日)と比べ103人増。前週の同じ曜日を上回ったのは12日連続。
東京都の感染者を年代別で見ると、20代が207人で最多。30代155人、40代95人、50代89人と続いた。65歳以上の高齢者は32人だった。1週間平均の感染者数は523.1人で前週の119.0%だった。死者は2人。沖縄県では63人の感染が確認され、男女4人が亡くなった。県の集計では、直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者は31.19人で全国最多。
【7月2日】
●3回目接種、世界は先へ 英「ブースター」違う種類打つ国も
世界では新型コロナのワクチン接種を1回も終えていない人が多いが、3回目の追加接種で免疫を高める「ブースター」に向けた動きも目立ってきた。7月1日、NHKが「英 9月から3回目のワクチン接種 高齢者や医療従事者など対象に」、TBSが「イギリス 9月にも"ブースター接種"開始へ」と報じた。朝日新聞も2日、「世界で動き出す追加接種ブースター『最強の保護策』」と各国の取り組み状況をまとめている。効果の持続や未知の変異株への対応などが期待されている。
英政府は6月、英アストラゼネカ製や米ファイザー製、米モデルナ製など7種類のワクチンを、3回目に接種したときの効果を調べる臨床試験を始めた。副反応の有無や、接種後に定期的に血液を採取して免疫反応の変化を調べる。英政府は、3回目の接種を、70歳以上の高齢者や医療従事者など感染のリスクが高い人を対象にことし9月から始める計画を明らかにした。ただ、昨年12月から接種が始まり、新規感染者が増えやすくなる冬には半年を超える人も少なくない。
◆米の複数メディア、東京五輪の行動制限について組織委に抗議
東京五輪では、海外メディアを含めた大会関係者は、感染対策を定めた「プレーブック」に基づく行動が求められている。組織委員会などによりますと、米ニューヨークタイムズなどおよそ10のメディアが連名で28日、組織委員会やIOCに対し「取材が制約される」として、抗議の書簡を送った。組織委員会は「現下の情勢に鑑みれば、非常に厳しい措置が必要だ」とコメントしている。
具体的には、記者がマスクをし、ソーシャルディスタンスを守ることを前提に通常の取材を認めることを求めていて、今のルールでは「観客へのインタビューや都内での取材が制約される」という。また、GPSでの行動管理については「記者の個人情報を求める前に、情報をどのように活用するかを明示するべきだ」としている。
●小池氏、「五輪、無観客も軸」 5者協議、8日にも判断
東京五輪の観客について、政府や東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の5者はバッハIOC会長が来日予定の8日か翌9日にも代表者会議を開き、最終判断する方向で調整に入った。新型コロナ感染再拡大を受け、大規模会場を「無観客」とする案が浮上している。一方、東京都の小池知事は2日、「感染状況を注視しながら、無観客も軸として考える必要があるのではないか」との認識を示した。
◆ワクチン接種、「したくない」11% 若い世代多く 全国大規模調査
国立精神・神経医療研究センターなどのグループは、ことし2月インターネットを通じてワクチン接種に関するアンケートを行い、全国の15歳から79歳までの2万3000人余りから得た回答を分析した。「接種したくない」と答えた人は全体の11%。若いほどその割合は高く、15~39歳の女性で15.6%と最も高い。拒否する割合は、政府を信頼していない人が信頼している人の約1.4倍高い傾向がみられた。
「接種したい」と回答したのは35.9%、 「様子を見てから接種したい」が52.8%、 「接種したくない」が11.3%だった。 「接種したくない」と回答したのは、15歳から39歳までの若い世代ではおよそ15%、65歳から79歳までの高齢者ではおよそ6%。接種したくない理由については、複数回答で、 「副反応が心配だから」が73.9%、「あまり効果があると思わないから」が19.4%。若い世代ほどSNSやデマに影響されやすという。
●東京660人感染
国内感染者は2日現在で、新たに1777人が確認された。死者は新たに25人増えた。東京都では660人が確認され、前週の金曜日(6月25日)と比べて98人増。前週の同じ曜日を13日連続で上回った。1週間平均の感染者数は537.1人で、前週比118.0%。年代別では、20代が221人で最多。30代113人、40代102人と続いた。65歳以上の高齢者は39人。「緊急事態宣言」が続く沖縄県では、新たに61人が感染。直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者は31.26人と全国最多。
【7月3日】
◆サッカー欧州選手権、英で6万人超観客入れる計画に懸念広がる
サッカーの欧州選手権をめぐり、新型コロナ感染拡大への懸念が高まっている。欧州選手権はヨーロッパ各国で行われていて、デルタ株の感染が広がり、感染者が2万7000人を超える日もある英国では、7月6日と7日の準決勝、11日の決勝が、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで6万人を超える観客を入れて行われる予定。英国では今大会すでに、試合の観客などおよそ2000人に感染が確認されている。
ロンドンのウェンブリー・スタジアム 出典:ウキメディア・コモンズ
メルケル独首相は2日、訪問先のジョンソン英首相との共同会見で「観客数が多くないか、非常に心配で懐疑的に見ている」と強い懸念を示した。一方、ジョンソン首相は「スポーツイベントは注意深く管理しながら徐々に再開している。国内にはワクチン接種によって大きな免疫の壁ができている」と、予定どおり開催する方針。イタリアのドラギ首相は、決勝はほかの国で行うべきだと主張、ドイツの内相も主催のUEFA(欧州サッカー連盟)を「無責任だ」と非難、各国で懸念が広がっている。
●東京716人感染 全国1881人
国内感染者は3日現在で、新たに1881人が確認された。死者は新たに9人増えた。 東京都では新たに716人が確認され、前週の土曜日(6月26日)と比べて182人増えた。前週の同じ曜日を上回るのは14日連続。1週間平均の感染者数は563.1人で前週の118.3%だった。
【7月4日】
●自公、コロナ逆風 楽観、ワクチン不足で一変
4日の東京都議選の投開票で、政権与党の自民・公明両党が過半数を確保できなくなった。地域政党「都民ファーストの会」に前回都議選のような勢いがなく、公明党との選挙協力も復活させた好条件もそろっていた。与党内では当初、過半数獲得を楽観する見方もあったが、ワクチン接種の滞りなどで失速。動かないとみられた小池都知事も最終盤に「都民ファーストの会」の応援に動いた。与野党ともに次の衆院選に不安を残す結果となった。
自民・公明両党で過半数に届かない事態に、議員らが受けたショックは計り知れない。小池氏は二階幹事長に近く、党内で「自民から国政復帰するのではないか」という臆測をくすぶらせている。二階氏自身は周囲に、小池氏の国政復帰について「そう簡単じゃない」と語るが、言葉通りに受け取る人は少ない。
●東京518人感染
国内感染者は4日現在で、新たに1485人が確認された。首都圏の1都3県で全体の約7割を占めた。東京都では518人の感染が確認され、前週の日曜日(6月27日)より132人多く、前週の同じ曜日を上回るのは15日連続となった。1週間平均の感染者数は582.0人で、前週の121.9%となった。感染者を年代別に見ると、20代が168人で最多。30代118人、40代95人、50代44人と続いた。65歳以上の高齢者は19人だった。
【7月5日】
◆米、ワクチン接種ペース減速「政治的立場で意識に違い」
米国では7月3日時点で、18歳以上の67.1%が少なくとも1回、ワクチンを接種しているが、バイデン政権が掲げていた「7月4日の独立記念日までに70%に到達する」という目標には未達。1日当たりのワクチンの接種回数は、ピーク時のおよそ6分の1とペースが減速している。
接種率は、若い人たちや黒人の間で低くなっている。また、東部のバーモント州やマサチューセッツ州、ハワイ州では80%を超えた一方、南部ミシシッピ州は46.3%、ルイジアナ州は49.2%、西部ワイオミング州は50.2%にとどまる。リベラルな考えの人が多い民主党地盤とされる州で接種率が高く、保守層が多い共和党地盤の州では低い傾向。専門家は政治的な立場によるワクチン意識の違いも影響していると指摘している。
◆イスラエル、ワクチン予防効果64%に減少 変異株との関連指摘
イスラエルの保健省は7月5日、新型コロナのワクチンによる発症を予防する効果が64%に減少したと発表した。5月時点での効果は94%余りだったということで、デルタ株の感染拡大との関連も指摘されている。イスラエルでは、16歳以上の人口の8割余りが製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンを接種し、6月中旬までは1日の新規感染者数が1桁となる日もあったが、デルタ株の感染が広がり新規感染者は7月5日には507人に上った。
◆インドネシア、新型コロナの1日の死者最多に 医療用酸素が不足
新型コロナの感染者が東南アジアで最も多いインドネシアでは、7月4日、1日当たりとしてはこれまでで最も多い555人が亡くなった。各地の病院では、医療用酸素が不足するなど、医療体制のひっ迫が深刻になっている。
●接種登録煩雑、遅れ続々 ワクチン在庫把握に影響
ワクチン接種をめぐり、政府が自治体などの接種実態を正確に把握できずにいる。接種回数や自治体の在庫量は、国のワクチン接種記録システム(VRS)でリアルタイムで一元的に管理するが、接種の入力が煩雑で遅れるケースが相次ぐ。VRSの入力遅れは、地域ごとにさまざまな事情で生じており、国がどんどん打てと急がせたことで、自治体の入力が追いつかず現実とシステム上にギャップが生まれている。ワクチン不足を訴える自治体が出ているなか、今後の配送計画にも影響を及ぼしかねない。
こうした状況にワクチンの調整を担当する河野行政改革相は、7月からVRSへの登録実績に応じてワクチンの一部を配分する方針を表明。登録作業が遅れている自治体は、ワクチンが余っているとした。自治体側からは反発が出ており、7月の自治体へのワクチン配送量が6月より約3割減になるところにこの配分が加わったことで、全国の自治体に「ワクチンが足りなくなる」との懸念が広がった要因の一つとなった。
●全国1030人感染
国内感染者は5日現在で、新たに1030人が確認。前週の月曜日(6月28日)より29人多く、前週の同じ曜日を上回るのは13日連続となった。死者は新たに19人増えた。東京都では342人の感染が確認された。5日までの1週間平均の感染者数は585.6人で前週の119.8%だった。全体の感染者のうち、首都圏の1都3県で約7割を占めている。
【7月6日】
◆コロナ感染拡大のインドネシア、在住日本人が11日間で6人死亡
インドネシアでは6日新たに3万1189人が新型コロナに感染していることが確認されたほか、728人が死亡、いずれも過去最多となった。6月26日から7月5日までに、現地在住の日本人5人が新型コロナに感染して亡くなったほか、7月6日も新たに1人の死亡が確認され、日本人の死者は11日間で合わせて6人になった。医療態勢が逼迫し、症状が悪化しても胸部のCT検査や血液の検査ができず、自宅療養しなければならない人が多いという。
◆茂木外相、台湾へ約113万回分のワクチン追加提供と発表
新型コロナワクチンの海外への提供をめぐり、茂木外務相は閣議のあとの記者会見で、先月およそ124万回分のワクチンを提供した台湾で、引き続きワクチンの不足が続いていることなどから、8日、およそ113万回分を追加で提供すると発表した。提供されるのはアストラゼネカのワクチンで、台湾には前回分と合わせておよそ237万回分が提供されることになる。
●ワクチン供給、減ったまま 自治体向け8・9月分
ワクチン接種をめぐり、供給不足の不安から自治体で新規予約の停止が相次いでいる。河野行革相は6日の閣議後会見で、自治体に配送される米ファイザー製ワクチンは、6月は2週間あたり最大1870万回分だったが、8、9月について2週間ごとに約1170万回分(700万回供給減)というペースで配送することを明らかにした。中長期の見通しを示すことで自治体の懸念を払拭する狙いだが、供給量自体は前月から大きく落ちた7月とほとんど変わっていない。
●接種号令、空回り 在庫把握滞る
ワクチン供給をめぐる混乱が続いている。接種の号令をかけた政府からのワクチン供給量は増えず、自治体や企業は接種スケジュールを延期するなど対応に追われる。田村厚労相は6日の閣議後会見で、「6月末までに約9千万回分は供給され、接種回数は5千万回ぐらい。市中に4千万回ぐらいあり、ミスマッチが起こっている」。米ファイザー製のワクチンを自治体向けに配送したにもかかわらず、「目詰まり」が起きている可能性に言及した。
供給不足の懸念から新規受け付けを停止する自治体が相次ぐなか、政府は自治体の個別接種を担う診療所などが在庫を抱えている可能性があるとみているが、その実態がつかめない。ワクチン接種記録システム(VRS)の入力が自治体ごとにばらつき、接種状況をリアルタイムで把握できていない。さらにファイザー製の自治体への供給減が混乱に拍車をかけた。
●モデルナ不足 河野氏発言、波紋 知ったのは「連休前」
新型コロナのワクチン供給をめぐり、河野行革相の対応が混乱に拍車をかけている。モデルナ製ワクチンを使う職域接種は、新規受け付けが止まったまま。申請済みの企業や大学でもスケジュールの先行きは不透明。6日の河野氏の記者会見での発言に驚きが広がった。「6月末で供給を受けたモデルナのワクチンは、1370万回分」。これまで伏せてきたモデルナ製ワクチンの実際の供給量を明らかにした。混乱のもととなった職域接種の受け付け休止から、10日以上がたっていた。
政府は昨年10月、モデルナ社と5千万回分(今年6月末まで4千万回分、9月末まで1千万回分)の供給契約を締結。実際は6月末時点で、4千万回分の約3分の1しか入ってなかった。さらに河野氏は、モデルナ社から6月末までの供給量が減らされることを知ったのは「大型連休前くらい」だったと明かした。河野氏はこれまで、「輸入総量の問題ではなく、1週間ごとの輸入量の上限が限界に来ている」と説明。だが政府関係者は、「モデルナの生産能力が落ちていた」「総量も足りていない」と認める。
モデルナ製の供給量5千万回分に対しこれまで、職域接種は約3700万回分、自治体の大規模接種は約2400万回分の申し込み。政府は苦肉の策として、自治体の大規模接種向けにファイザー1200万回分を振り分けることにした。一方で自治体では、ファイザーの供給不足への懸念から、新規予約の停止が相次いでいる。もともと自治体は集団接種や個別接種が中心、大規模接種は補助的な役割だった。ある自治体の首長は「モデルナの穴埋めにファイザーを使うのは本末転倒」と批判する。
●重点措置めぐり協議 首相・関係閣僚 感染悪化懸念も
10都道府県に11日までの期限で出されている「まん延防止等重点措置」の扱いについて、菅首相は6日、田村厚労相ら関係閣僚と首相官邸で協議した。政府は、首都圏4都県については、「重点措置」を1カ月以上延長する方向で調整している。東京では感染再拡大が顕著になっており、6日の新規感染者数は593人、17日連続で前週の同じ曜日に比べて増加。隣接する埼玉・千葉・神奈川の3県も増加傾向で、「少なくとも首都圏の重点措置は解除できない」との見方。
6日の閣僚会議では、五輪を控える東京などは「重点措置」の延長で対応との意見が出た一方で、「緊急事態宣言」の検討が必要との指摘もあったという。政府は7日に再度、会議を開いて対応を固める方針。8日に専門家による「基本的対処方針分科会」に諮り、了承されれば同日の対策本部で正式に決定する。
●求人、緊急事態宣言で明暗 東京・大阪は悪化、今年対象外地域は回復
厚労省が毎月発表する「有効求人倍率」をめぐり、「緊急事態宣言」が繰り返される地域とそれ以外の地域で、回復具合に差が出始めている。営業自粛要請などが地域経済の足かせになっていることをデータが裏付けている。求人倍率は、求職者1人に対し、求人が何件あるかを示す。有効求人倍率(季節調整値)の全国平均は2019年12月には1.57倍。これが2020年4~5月に全国が対象の1回目「緊急事態宣言」を経て、同10月には1.04倍まで低下。2020中はほぼ横ばいで推移した。
2021年の都道府県別の有効求人倍率(就業地別)は、2極化している。1月以降、「宣言」や「重点措置」が断続的に出ている東京都と大阪府。5月を昨年10月と比べると、東京は0.05、大阪は0.03ポイントそれぞれ悪化、まだ底が見えない。同様に対象になった愛知、福岡、沖縄などの地域も回復は小幅。一方、今年に入ってからは宣言の対象になっていない地域、例えば福井県は昨年10月から0.25、秋田県は0.28ポイント改善し、コロナ禍前の水準を取り戻す勢い。
●GDP、コロナ前回復「年内」 政府予想前倒し
政府は6日、2021年度の実質成長率を1月時点の4.0%から3.7%に下方修正すると発表した。4~6月の「緊急事態宣言」で消費が落ち込んだことなどが影響した。ただ、ワクチン接種の進展などで、年内には国内総生産(GDP)がコロナ前の水準に回復するとし、年度内としていた1月時点の予想より3カ月前倒しした。
政府がこの日の「経済財政諮問会議」で最新の試算を示した。今回は22年度の見通しも初めて出し、実質成長率は2.2%とした。実現できれば、実質GDPは約558兆円となり、消費増税前の18年度に記録した約554兆円を超えて過去最高になるという。
●都内聖火リレー 公道開催を中止 島嶼部を除く全域
東京五輪の聖火リレーについて、東京都は6日、島嶼部を除く都内の全地域での公道走行を中止すると発表した。都は既に、世田谷区と多摩地域での実施を中止するとしていたが、対象を全地域に広げた。各日の終着点となる会場で、点火セレモニーのみ行う。
●飲食店に過料25万円 東京で時短応じぬ4店
東京都は6日、新型コロナ対応の特別措置法に基づき営業時間の短縮命令を出した飲食店の4事業者に、裁判所からそれぞれ25万円の過料決定が出ていたと発表した。命令が出された施設の過料金額が明らかになるのは、全国で初めてとみられる。事業者は今年3月、「緊急事態宣言」中に都が命令を出した飲食店を運営しており、都が命令を出した後も応じず、過料を科すべきだとして裁判所に通知していた。
●全国1671感染
国内感染者は6日現在で新たに1671人が確認された。増加傾向が続く東京都を中心に、首都圏の1都3県で全国の6割以上を占めた。都のスクリーニング検査では同日、デルタ株の感染が94人で、1日当たりで最多となった。
【7月7日】
●ボルソナーロ大統領 批判集中 コロナ死者50万人 汚職疑惑
新型コロナ感染による死者が50万人を超えた南米ブラジルで、ボルソナーロ大統領への批判が強まっている。新型コロナを軽視する姿勢に加え、ワクチンをめぐる汚職疑惑が明らかになったため。大統領選を1年後に控え、再選を阻もうとする政治の動きも活発になっている。
●東京、緊急事態宣言へ 来月22日まで 首相方針 五輪、都内無観客の公算大
菅首相は7日、感染再拡大が続く東京都に対し、4度目の「緊急事態宣言」を出す方針を固めた。期間は12日から8月22日まで。また11日期限の沖縄県の「緊急事態宣言」も延長のほか、埼玉・千葉・神奈川・大阪の4府県への「重点措置」も8月22日まで延長する方向で調整。北海道・愛知・京都・兵庫・福岡の5道府県は「重点措置」を解除。政府は8日に「基本的対処方針分科会」に対応方針を諮り、了承されれば国会への報告を経て、同日の対策本部で正式決定する見通し。
7月11日までの「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」 出典:NHK WEB NEWS
首相は7日夜、記者団の取材に応じ、「東京の感染者数は増加傾向にあり、感染者数、病床の状況を踏まえて、万全の態勢をとって感染を抑えていきたい」と述べた。「緊急事態宣言」を8月22日までとしたのは、夏休みやお盆期間の人の流れを抑える狙いがあるとみられる。今月23日開会の東京五輪は「緊急事態宣言」下となり、都内の会場は「完全無観客」となる公算が大きい。
●首都圏「対策の徹底必要」 専門家組織指摘 東京900人超感染
厚労省に助言する「専門家組織」(アドバイザリーボード)は7日、首都圏で感染者の増加が続き、全国の感染者数の3分の2を占める状況になっているとして、「全国へ波及させないためにも、対策の徹底が必要」と訴えた。五輪の開幕を控えた東京都内の入院患者や重症者数が増えていると指摘。東京都では同日、新たな感染確認が920人に上った。1週間前に比べ206人増えた。都内の感染者が900人を超えるのは、3回目の宣言下にあった5月13日(1010人)以来。
厚労省によると、6日までの1週間の10万人あたりの新規感染者は、東京都が30.29人、神奈川県16.39人、千葉県15.85人、埼玉県11.28人。「まん延防止等重点措置」がとられているものの、いずれも前週より増加した。東京都は、最も深刻な「ステージ4」となっている。東京都の入院患者数は、6月20日に1270人まで減ったが、7月6日には1677人に増えた。重症者は63人になった。40、50代の重症者が目立ち、第4波並みになっているという。
デルタ株に感染した人は、PCRスクリーニング検査で5日までに全国で1409人が確認された。前週の842人からさらに増えた。国立感染研は、関東地方ではこうしたデルタ株が感染の30%以上を占めると推定し、「都心部での継続的な流行に移行しつつある」と分析している。強い対策をとらなければ、都内の1日あたりの新規感染者数は7月中に1500人を超えるという試算も示された。
●迫る五輪、4度目宣言 こだわり続けた有観客
7日夜、首相官邸で関係閣僚による会議を終えた首相は、記者団の前に硬い表情で立った。会議では、東京に出している「重点措置」を「緊急事態宣言」に強化する方針を決めた。だが、政府方針の内容を問われた首相は「あすの専門家会議に諮ることにした。万全の体制をとって感染を抑えていきたい」と述べるのみ。ある自民党の中堅議員は、「復興五輪、打ち勝った証しを強調してこのあり様だ。首相は厳しい状況に追い込まれた」と厳しい口調で語った。
政権内では東京の「重点措置」を延長か、宣言に切り替えるか、意見が割れていた。東京への宣言が検討され始めたのは、6日午後の閣僚会議からだったという。コロナ対応を担当する西村経済再生相は、「1都3県に宣言を出すべきだと言っています」と専門家に広がる危機感を首相らに説明、「専門家の意見に添って対応すべきです」と訴えた。一方、加藤官房長官は「病床の指標は宣言の水準ではない」と述べ、宣言を出すことに慎重な考えを示した。議論は翌7日に持ち越された。
もともと政府内では、首都圏4都県は「重点措置」を1カ月程度延長する案を軸に調整していた。こだわってきたのは、「有観客での五輪」。 23日に五輪の開会式を控える東京に宣言を出せば、首相らが描いてきた「祝祭ムード」の演出に水を差す。首相周辺は「コロナに負けた感じになる。宣言は避けたい」と、ギリギリまで語っていた。 しかし、感染状況の悪化は予想を上回る勢いで進んだ。政府の新型コロナ対策「分科会」の尾身会長ら専門家が懸念を示し、強い対策を求めた。
■医療逼迫の恐れ、指摘 専門家
政府「分科会」の尾身会長は7日午前の衆院厚労委員会で、「東京都の直近のデータをみると、入院患者数、重症者数が少しずつ増えている兆候がある。4連休、夏休み、お盆、五輪・パラが始まる前に、効果的な対策を打つことが必要だ」と強い対策を講じるべきだと主張した。「専門家組織」メンバーの京都大の西浦教授は、ツイッターで五輪開催への懸念を示した。「世界的に流行状況が悪い。本当に別格サイズの祭典はするのですか」
専門家は、強い危機感をあらわにした。この日の「専門家組織」に提出された京大ウイルス・再生医科学研究所による試算では、都内の新規感染者数は7月中旬には1千人に達する。強い対策をとらなければ8月初めには4千人を超え、医療逼迫も起きる可能性がある。アルファ株からデルタ株への置き換わりも、大きな懸念材料。国立感染研の推計によると、首都圏では7日時点で感染の約35%がデルタ株とみられ、五輪が開幕する23日ごろには7割程度、8月末には完全に置き換わるとされる。
「専門家組織」の会合後、メンバーの舘田・東邦大教授は「前回の緊急事態宣言はギリギリだった。2週間遅れていたら大阪のようになっていた。遅れたら絶対だめだ」と述べ、東京都に「緊急事態宣言」を出すべきだとの考えを示していた。日本医師会の中川会長は7日の記者会見で、東京について「さらに感染者が急増するなら、強い措置も必要だ」として、「緊急事態宣言」を再び出す必要性について示唆していた。
●供給不足で政府強調 ファイザー製「2回目、6週間以内で効果」
米ファイザー製のワクチンの接種間隔について、田村厚労相は7日の衆院厚労委員会で、立憲民主党の長妻議員の質問に、これまで標準としてきた3週間でなくても、6週間以内であれば「効果を維持できる」と答えた。自治体が「ワクチン不足」を訴えて接種計画に遅れが出るなか、2回目の接種が遅れても問題ないことを強調した。首相官邸も公式ツイッターで同じ趣旨の発信。「WHO、米国やEUの一部の国では1回目から6週間後までに2回目を接種することを目安としている」としている。
◆「酒出る3人以上の会食に2回以上参加」で感染リスク約5倍か
新型コロナの感染リスクについて、国立感染研究所などのグループが発熱外来などを受診した280人余りを分析したところ「酒の出る3人以上の会食」に2回以上参加していた人は、感染の危険性がおよそ5倍高かったという暫定的な解析結果を公表した。この分析結果は、国立感染研の鈴木感染症疫学センター長らのグループが7日の専門家会合で示した。
●6割超が「ワクチン配送日不明」 職域接種の企業・団体、医師会調査
ワクチンの職域接種で申請が受理されたにもかかわらず、国からワクチンの配送日程を知らされていない企業・団体が6割超にのぼる、とのアンケート結果を日本医師会が7日発表した。ワクチンの配送予定量の連絡を受けていないとの回答も6割超を占めた。政府は6月8日に職域接種の申請を受け付け始めたが、職域接種に用いる米モデルナ社製のワクチンの供給が追いつかない可能性があるとの理由で、25日から新規の受け付けを休止している。
アンケートは、接種に関わる医師らを紹介する日本医師会などの相談窓口に連絡してきた企業・団体を対象に行われた。日本医師会は、医師や看護師などを紹介する日程の再調整が必要なケースも出ているとして、配送日程や供給量を早く示すように国に求めた。
●国内で新たに2191人感染 約4週間ぶりに2千人超え
国内感染者は7日現在で新たに2191人が確認された。2千人を超えるのは6月10日以来で、約4週間ぶり。国内の重症者数(6日時点)は480人で、前日から1人減った。重症者数が減るのは16日連続となった。都道府県別の新規感染者は、東京都の920人が最も多く、神奈川県が250人、埼玉県が157人、大阪府が151人と続いた。首都圏の1都3県だけで1466人に上り、全国の約67%を占めた。
東京は前週の水曜日(6月30日)と比べ206人の増加で、18日連続で前週の同じ曜日を上回った。都内の感染者が900人を超えるのは5月13日(1010人)以来。7日までの1週間平均の感染者数は631.7人で、前週の124.3%だった。また、新たに3人の死亡が発表された。
【7月8日】
◆東京に4回目の「緊急事態宣言」、政府決定 沖縄は延長 8月22日まで
菅首相は8日、「まん延防止等重点措置」を適用している東京都に、4目の「緊急事態宣言」を出すことを正式決定した。期間は12日から8月22日までで、酒類やカラオケを提供する飲食店には再び休業要請する。7月11日が期限の沖縄県の「緊急事態宣言」と、埼玉・千葉・神奈川・大阪の4府県への「重点措置」も8月22日まで延長する。北海道・愛知・京都・兵庫・福岡の5道府県は「重点措置」を解除する。
7月12日からの「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」 出典:NHK WEB NEWS
8日夜の記者会見で首相は「再度東京を起点とする感染拡大を起こすことは、絶対に避けなければならない」と述べた。さらに海外では全人口の約4割がワクチンを1回接種すると感染者が減る傾向にあると指摘し、「4割に到達することが大事だ。7月中に目指したい」と語った。同席した政府の「分科会」の尾身会長は、デルタ株の広がりについて、「40代、50代の重症者数が増えている。放っておくと医療逼迫の蓋然性がかなり高い」と述べた。
●西村再生相、要請に応じない飲食店に金融機関から順守を働きかける方針
西村経済再生相は8日夜の会見で「(政府の要請に)応じていただけないお店については、金融機関に対してしっかり情報を共有しながら、順守の働きかけを行っていただく」と述べ、金融機関に協力を要請する考えを示した。
●4都県、五輪無観客 宮城・福島など4県は有観客
23日開幕の東京五輪の観客の扱いについて、政府、東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の5者は8日、代表者会議を都内で開き、4度目の「緊急事態宣言」が出る都内の会場は「無観客」とすることを決めた。引き続いて開いた関係自治体との協議会で、「まん延防止等重点措置」が適用されている神奈川・千葉・埼玉の会場の無観客も決まった。
全42会場のうち34会場が1都3県にある。収容人数の大小や競技時間の昼夜を問わず一律に無観客とする。安倍前首相が大会延期を決める際に表明した「完全な形での開催」はかなわず、「緊急事態宣言」下で開催し、大半の会場が無観客となる異例の五輪となる。宣言や重点措置の対象ではない宮城・福島・静岡・茨城の4県は有観客となった。宮城・福島・静岡は「収容人数の50%か1万人の少ない方」、茨城は学校連携の児童・生徒らのみ入れる。北海道は引き続き調整する。
●首相裏目、宣言下の異例の五輪 ワクチンで抑制、崩れたシナリオ
菅首相が、東京都に4度目の「緊急事態宣言」を発表。前回の宣言解除から3週間もたたない中、東京は「第5波」に見舞われつつある。東京五輪の開催を最優先した菅政権の対応に、政治責任が大きく問われる。「前回の宣言を解除してから3週間で再び宣言に至り、大変申し訳ない思いであります」。8日夜、宣言を決めた対策本部後の記者会見で首相は陳謝した。また、自身が最優先課題としてきた五輪について「緊急事態宣言の下で異例の開催」との認識を示した。
9月に自民党総裁の、10月に衆院議員の任期を迎える首相は、この夏、コロナの感染拡大を抑え込んで、安心・安全な五輪を実現して衆院解散・総選挙になだれ込み、勝利したい考えだった。だが、そのシナリオは崩れつつある。東京に押し寄せる感染「第5波」を防げず、こだわってきた「有観客」は断念に追い込まれた。政府のコロナ対応や五輪開催に、否定的な世論は根強いまま。先の東京都議選は、自民党が事前の予測を大きく下回る「大惨敗」に終わった。
◆日本提供のワクチン、フィリピンに到着 大統領が出迎え歓迎
日本政府が無償で提供したおよそ100万回分の新型コロナのワクチンが8日夜、フィリピンに到着し、ドゥテルテ大統領はみずからワクチンのコンテナを出迎えるなど、強い感謝の意を示した。
●全国2246人 2日連続2千人超
国内感染者は8日現在で、新たに2246人が確認された。7日に続いて2千人を超え、新たな死者は17人増えた。東京都の新たな感染者は896人。前週の木曜日(7月1日)と比べ223人の増加で、19日連続で前週の同じ曜日を上回った。8日までの1週間平均の感染者数は663.6人で前週の126.9%となり、感染拡大が続いている。
そのほか、神奈川県が322人、千葉県が200人、埼玉県が155人、大阪府が125人だった。49人の感染を確認した愛知県では、県独自の「厳重警戒宣言」が12日から始まり、東京五輪終了後の8月11日まで1カ月間続く見通し。
【7月9日】
◆タイ政府、夜間の外出禁止へ 変異ウイルス感染拡大
タイ政府は9日、変異した新型コロナの感染が拡大していることを受けて、12日から首都バンコクや周辺の地域で、夜間の外出を原則禁止するなど規制を強化することを発表した。タイではことし3月ごろから、アルファ株の感染が拡大したあと、デルタ株の感染も広がり、9日発表された新たな感染者数は9276人に上っている。
●「ワクチン接種スピード世界一」、首相発言 実は人口比、G20で6番目
菅首相は8日夜の記者会見で、「自治体や医療などの関係者のご尽力により、いまや世界でも最もスピードで、接種が行われているといわれています」と、日本のワクチン接種のスピードは世界一速いという趣旨の発言をした。加藤官房長官は9日の記者会見で「主要7カ国(G7)の中でも、直近の1週間の数字を見ると、接種回数の累積の伸びが大きくなっている」と説明した。
実際はどうか、7カ国のデータがそろう7月4日までの1週間の1日ごとの単純な接種回数を調べると、7月4日は約90万回の日本が63万回の米国などを引き離して最多。6月28、29日、7月2日の4回で日本が首位。しかし、米国は人口の5割以上が1回の接種を終え、1~5月には1日100万~400万回超を接種、日本をはるかに上回っていた。昨年12月から接種を始めた英国も1日数10万回を継続し、6割以上が1回目の接種を終え、今はペースダウン。
接種回数を人口比とし、対象を主要20カ国・地域(G20)に広げると、状況は変わる。人口100人あたりの1日の接種回数(7日間平均)は、最新の7月6日時点で、カナダが1.29で最も多く、中国1.05、トルコ0.95と続く。日本は0.83で6番目。河野行革相は6月27日、100人あたりの1日の接種回数で、早く接種を始めた欧米各国を最近になって、日本が抜いたとツイッターでアピールした。しかし、今頃になってスピード上げたからと言っても、レースはビリだ。
●政府、一転して撤回 酒提供停止「金融機関働きかけを」
西村経済再生相は8日、「緊急事態宣言」中に飲食店に酒の提供停止などを要請することについて「応じていただけない店舗の情報を金融機関と共有しながら、順守の働きかけを行っていただく。また、メディアで広告を扱う際、順守状況について留意していただくよう、依頼を検討している」と発表した。そんな考えを示した発言に、銀行や与野党から戸惑いや反発の声が広がった。
これに対し加藤官房長官は9日の記者会見で、飲食店に対する要請をめぐり、金融機関に働きかけを求めるとした政府方針を撤回することを明らかにした。飲食業界などからの批判を懸念する与党も、反発。1日で見直しに追い込まれた。
●五輪チケット95%払い戻し 一般向け、十数万枚程度に
東京五輪のチケットについて、大会組織委員会は9日、一般販売した全750セッション(時間枠)のうち、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県での716セッションが無観客になったため払い戻すと発表した。首都圏や北海道の会場が無観客となったことで、パラリンピックを含めて900億円を見込んでいたチケット収入の大半はなくなり、組織委は赤字になる可能性が高い。招致時の立候補ファイルではIOCに負担義務がなく、財政措置について都や国と協議する方針。
◆五輪 北海道でのサッカー、無観客」開催を決定 道の意向で一転
東京五輪は、東京など1都3県の会場で行われる競技はすべて無観客となり、宮城・福島・茨城・静岡の4県は制限付きで観客を入れて開催することが決まった。そして、最後まで扱いを検討中だった北海道の札幌ドームで行われるサッカー競技について、組織委員会は9日夕方、収容定員の50%以内で上限1万人まで観客を入れて開催することを決め、試合終了が午後9時を過ぎる試合は、引き続き検討するとしていた。
ところがその後、「緊急事態宣言」が出される東京都などとの人の往来を防ぐのが難しいという北海道からの意向を受けて、組織委員会は9日午後11時すぎ、一転して札幌ドームで開催するサッカー競技は、すべて無観客にすると発表した。
●東京822人感染、デルタ株最多
国内感染者は9日現在で新たに2278人が確認された。死者は20人だった。東京都で822人、大阪府で143人の感染が新たに確認された。東京都ではインドで見つかった変異株(デルタ株)への感染者167人が確認され、1日当たりで最多となった。
【7月10日】
●五輪、福島も無観客 北海道に続き、一転
福島県で観客を入れて開催する予定だった東京五輪のソフトボールと野球について、内堀知事は10日、全て「無観客」で実施すると発表した。観客の有無を巡っては、北海道が9日夕に有観客と発表した後、深夜に一転無観客と決定しており、有観客から無観客に転じたのは2例目。
●東京感染950人 大阪226人
国内感染者は10日現在、新たに2458人が確認された。亡くなった人は11人だった。感染の再拡大が続く東京都は950人。10日までの直近7日間を平均すると、1日あたり720.1人。前週の127.9%と再拡大が続いている。大阪府も200人にのぼり、200人以上となったのは、226人だった6月3日以来となった。
東京都は、950人のうち20代が301人(32%)、30代が186人で、これらの世代が新規感染者数の半数を占めた。65歳以上は48人。都の担当者は「若年層のワクチン接種が進んでいない中、市中にかなり感染者が広まっている状況」としている。また、大阪府の新規感染者226人のうち20代が最多の64人で3割を占め、30代が31人、10代が28人と続いた。
【7月11日】
◆コロナ再拡大の英、大勢の観客入れスポーツイベント
英国ロンドンでは11日、テニスのウィンブルドン選手権の男子決勝が1万5000人を収容するセンターコートをほぼ満席にして行われ、11日夜にはサッカー欧州選手権の決勝が、6万人を超える観客を入れてウェンブリースタジアムで行われた。英国では、デルタ株の感染が急速に拡大していて、1日の感染者は3万5000人を超える日も出て感染が再拡大している。
ウィンブルドンのセンターコート(2010年)とエンブレム 出典:ウキメディア・コモンズ
◆感染再拡大の東京都、重症患者数40~50代で増加
全国で新型コロナに感染して全国の重症となった患者は、ことし5月26日の1413人をピークに減少が続き、10日時点で428人となっている。一方で、感染が再拡大している東京都では、40代から50代の重症者が増加し、先月26日には37人に減少していたのが、10日時点で63人と増加。専門家は感染対策を続けながら、ワクチンの接種を進める必要があると指摘している。
●全国で2032人が新規感染 大阪は「第5波の入り口」
国内感染者は11日現在で、新たに2032人が確認された。1日あたりの感染者数が、日曜日に2千人を超えるのは6月6日以来。東京都、大阪府ではリバウンドの傾向が強まりつつある。
東京都では新たに614人の感染が確認され、前週の日曜日(4日)と比べて96人増。22日連続で前週の同じ曜日を上回った。11日までの1週間平均の感染者数は733.9人。前週比は126.1%に上り、感染拡大が続く。大阪府の感染者は167人で、前週の日曜日よりも79人増。府内では10日に200人が感染。200人以上は6月3日以来だった。吉村知事は11日、全国知事会にオンラインで出席し、府内の感染状況について「第5波の入り口に入っている」との認識を示した。
【7月12日】
◆仏、飲食店などで「ワクチン証明」提示を義務化へ デルタ株の感染広がる
フランスのマクロン大統領は、デルタ株の感染が広がっていることを受けて、医療機関などで勤務する人にワクチンの接種を義務づけるとともに、飲食店などを利用する際にも接種した証明の提示を義務づける方針を12日発表した。フランスではインドで確認されたデルタ株が広がって新規感染者の60%近くを占め、1日の感染者数は4000人を超えて3週間前の2倍になる日もある。
◆米FDA、J&Jワクチン情報に警告追加 ギラン・バレー症候群受け
米FDA(食品医薬品局)は7月12日、製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナワクチンを接種した人から手足のまひなどが起きる「ギラン・バレー症候群」が報告されたとして、製品情報に警告を追加した。FDAは「引き続き、ワクチンの接種による利益はリスクを上回る」として、接種の推奨は変えていない。
●背水「4度目」の緊急事態、きょう発出
東京都で12日、4度目の新型コロナ対応の「緊急事態宣言」が始まった。23日に開幕する東京五輪や、地方との行き来が盛んになる夏休みやお盆を控え、感染状況をどれだけ改善させられるかが焦点。だが、国民の「宣言疲れ」は深まり、政府のコロナ対応に批判も上がる。宣言の実効性が十分上がるかどうか、政府などから不安視する声も出る。
沖縄県に出ていた「緊急事態宣言」と、埼玉・千葉・神奈川・大阪の4府県の「まん延防止等重点措置」も延長に入った。期間はいずれも8月22日まで。北海道と愛知・京都・兵庫・福岡の各府県への重点措置は、7月11日で解除された。
●初日人出 微減にとどまる
4回目の「緊急事態宣言」が出された12日朝、都内の主な駅付近での人出を、NTTドコモの携帯電話の位置情報から滞在人口を推計するデータで調べた。通勤時間帯の人出は、1週間前の5日と比べて大きく減ってはいなかった。午前6時から9時までの人出の減少幅は、JR東京駅と銀座では1%未満。JR渋谷駅では1.7%、JR新宿駅では1.3%それぞれ減ったものの、JR新橋駅ではわずかに増えていた。3回目の「緊急事態宣言」が出て最初の平日となった4月26日も、朝の人出は大きくは減らなかった。
●先手の宣言、尽きぬ不安 夏も流行 新味乏しい対策
五輪を控えた東京都に4度目の「緊急事態宣言」が出た。新型コロナの感染の波は、1~2週間の判断の遅れで非常に高くなることから、先手を打った形。だが、宣言そのものの効果や新たな変異株の広がりなど、不安材料は多い。「感染対策の決め手は、ワクチンの接種であります」。加藤官房長官は12日の記者会見で、今回の宣言はワクチンの効果が表れるまで全国的な感染爆発を防ぐ措置だとした。
政府の集計によると、12日までに全国で29.6%の人が少なくとも1回接種を受けている。このまま重症化しやすい中高年への接種が進むことを前提に、政府の「基本的対処方針分科会」の尾身会長は8日の会見で、「9月ごろには医療負荷への安心感は、今よりも出てくると思う」と述べた。しかし、問題は目下の感染拡大をどう抑えるかだ。尾身氏は「ワクチン以外はもう感染拡大の要素しかない」と指摘する。
■50代の重症者、東京で急増 未接種・リスク高い変異株、響く
感染が再拡大する東京都で、50代の入院患者、重症者がともに年代別で最多となっている。ワクチンで高齢者が守られつつある一方で、比較的若い人でも重症化しやすい変異株の脅威が背景にある。東京都に「緊急事態宣言」が出ることが決まった8日夜。小池知事は緊急会見で、「陽性者数にしても入院患者数にしても、高齢者層から50代の方に移ってきている。まさに『50代問題』」と強調した。
今回の宣言で、都は対策の三本柱の一つに「50代問題への重点的な対応」。ほかは「飲食店対策の強化」と「ワクチン接種の推進」を掲げた。7日時点の都内の入院患者1673人のうち、50代が355人(21%)で最も多く、40代の302人(18%)が続く。重症者でも、62人のうち50代が年代別で最多の23人(37%)。これまで大半を占めた60代以上は、半数の31人となっている。
第4波で広がったアルファ株は、40~50代は入院するケースと、集中治療室(ICU)に入るケースのどちらも従来より2倍生じやすい、さらにデルタ株は、入院リスクがアルファ株より1.8倍前後高いという報告がある。50代は職場で感染して、家庭内へウイルスを持ち込む恐れもある。都はテレワークを徹底し、打ち合わせや商談はオンラインでと呼びかける。病床を逼迫させないために鍵を握るのが、50代のワクチン接種をいかに早く進めるかだ。
●ワクチン供給減、「改善を」 全国知事会、国へ緊急提言
「緊急事態宣言」が東京都に出ることを受け、全国知事会は11日、オンライン会議を開いた。ワクチン供給が急減していることについて、政府に「円滑な接種が可能となるよう迅速に改善すること」などを求める緊急提言をまとめた。近く国に提出する。
提言では、自治体のワクチン接種の現状を、「予約の受け付け停止やキャンセルが生じるなど接種体制を見直さざるを得ない状況」と指摘し、「市区町村は国の方針に基づいてワクチン接種に全力を挙げてきたのにハシゴを外されて混乱していると、政府は厳しく認識すべきだ」と迫った。その上で、希望量のワクチンを必要な時期に確実に供給する、供給スケジュールや配分量を速やかに示す、市区町村の在庫量の情報を共有する、などの措置を求めた。
■官房長官「約4千万回分が未接種」
加藤官房長官は12日の記者会見で、自治体の接種で使うファイザー製について、「6月末までに輸入は1億回分、そのうち約8800万回分は自治体に供給し、約4800万回接種が行われた」「差し引き約4千万回分は未接種で、各自治体あるいは医療機関がお持ちになっている」とした。「未接種のワクチンをうまく活用していただければ、1日120万回程度のペースで接種を続けていくことは十分に可能」との認識を示した。
それとは別に、7~9月は毎月約2500万回分を自治体に配ることを強調。供給不足の懸念から、自治体では新規予約の受け付け停止などが相次いでいるが、国は市中に十分な「在庫」があるとの考え。また加藤氏は、接種券がなくても実施できる米モデルナ製のワクチンを使った職域接種について、「8月に入れば多くの自治体で接種券が発行される」としてVRS(接種記録システム)への入力は進むとした。今後、政府はVRSに都道府県も接続可能にし、データを共有することで市区町村間の調整を進めたい考え。
●ワクチン在庫、自治体「ない」
ワクチン接種の予約受け付けを止める自治体が相次ぐ中、ワクチンの在庫を巡る国の説明に一部の自治体が反発している。国は「4千万回分が自治体側にある」とするが、予約停止に追い込まれた自治体は「在庫なんてない」「国の説明は実態と乖離している」と訴える。
「国からのワクチン供給量が限られている。国が接種能力を絞りなさいとおっしゃるので、それに見合う形で集団接種を停止する」。接種計画の見直しを12日に発表した大阪市の松井市長は、会見でこう述べた。週30万~35万回接種できる態勢を整えていたという。「急いで接種態勢を整えなさいというのが国からの通達だった。途中で職域接種の話もあったので、ワクチン量は十分あると理解していた」と不満を漏らした。
国は「全国の自治体に約4千万回分のファイザー製未接種ワクチンがある」との立場。河野行改相は6日の会見で、ワクチン接種記録システム(VRS)で在庫が6週間分を超える自治体は配送量を1割減らす方針を表明した。
●五輪チケット収入 900億円→数10億円見通し
東京五輪が首都圏1都3県と北海道・福島県で無観客になったことを受け、パラリンピックを含めた大会全体のチケット収入が当初想定していた900億円から数10億円規模に激減する見通しであることが12日わかった。大会組織委員会の収支が赤字になるのは確実で、公金投入は不可避の情勢だが、東京都、国と財政負担について話し合うのは大会後になる見通し。
組織委の武藤事務総長は11日のNHKの番組で「大会の後に、重い課題について関係者で協議する必要がある」と述べ、大会終了までは財政負担の議論に入らないとの認識を示した。五輪では、東京・神奈川・埼玉・千葉・北海道・福島の6都道県37会場724セッション(96.5%)が無観客となった。有観客は、茨城・宮城(いずれもサッカー)、静岡(自転車)各県の5会場26セッション。パラリンピックについては、新型コロナの感染状況を踏まえ、五輪閉幕後に決める方針。
●抗体カクテル療法、承認へ 治療薬候補 厚労省、月内にも
厚労省は12日、新型コロナ感染症の治療薬候補の「抗体カクテル療法」について、19日に部会を開いて国内での製造販売を審議すると発表した。部会の判断を受けて月内にも承認する方針。主に軽症や中等症を対象とする国内で初めての薬になる見通し。米製薬企業リジェネロンがつくり、国内での販売などは中外製薬が担う。中外製薬は今年3月から国内治験も実施し、6月に特例承認を求めて申請。政府と2021年分の供給契約を結んでいる。
国内で承認されている新型コロナの治療薬としては4つ目となる見込み。ウイルスが細胞に感染するのを妨げる二つの中和抗体「カシリビマブ」と「イムデビマブ」を組み合わせた点滴薬で、海外の臨床試験(治験)では、入院はしていないがリスクが高い新型コロナ患者に対し、入院や死亡のリスクを7割減らすことができたとされる。
●全国で新たに1506人感染 前週月曜より477人増
国内感染者は12日現在で、新たに1506人が確認された。前週の月曜(5日)より477人多く、月曜の感染者が1500人を超えたのは5月31日以来。死者は全国で計3人が確認された。東京都は12日、新たに502人の感染を確認したと発表した。前週の月曜日(7月5日)と比べ160人の増加で、23日連続で前週の同じ曜日を上回った。12日までの1週間平均の感染者数は756.7人で、前週の129.2%と感染拡大が続いている。
東京都の感染者502人を年代別で見ると、20代が172人で最多。30代102人、40代91人、50代50人と続いた。65歳以上の高齢者は16人。新たな死者はいなかった。都基準の重症者数は、前日より6人減って55人。重症者の1人は10歳未満の女児。大田区の都中央卸売市場の市場関係者11人の集団感染も発表した。沖縄県の新規感染者数は28人で、前週の月曜と同じ。大阪府では、28人多い105人の感染を新たに確認した。
【7月13日】
◆3カ国・地域にワクチン追加支援 イランなど15か国にも提供へ
茂木外相は13日の記者会見で、国内で製造した英アストラゼネカ製の新型コロナワクチンを、台湾、ベトナム、インドネシアにそれぞれ約100万回分追加提供すると発表した。合計で台湾には約330万回分、ベトナムに約300万回分、インドネシアに約200万回分となる。15日に各国・地域に空輸する。
茂木氏はまた、ワクチンを分配する国際的な枠組み「COVAXファシリティ」を通じて、イランやバングラデシュ、ネパール、それに、太平洋の島嶼国などの15か国に対し、日本で製造したアストラゼネカのワクチン合わせておよそ1100万回分を提供する方針を明らかにした。
●酒取引停止依頼も撤回へ 政府 業界・自民反発受け
政府は13日、酒類販売事業者に対し、休業要請などに応じない飲食店との取引を停止するよう求めた方針を撤回した。業界団体や自民党内から強い反発が出ていた。金融機関に事業者への働きかけを求めるとした政府方針の撤回に続き、酒類提供停止をめぐる菅政権の迷走が続いている。
今回の「緊急事態宣言」を決定した8日に内閣官房と国税庁が、酒の提供自粛に応じない飲食店との取引停止について、卸業者を含む酒販などの関係団体に文書で依頼。業界団体などは、自民党に撤回を求め抗議するなどしていた。内閣官房は13日夜、関係団体への依頼を撤回することを発表、団体宛てに撤回文書を出した。自民党の議員連盟は13日、政府に「取引停止」依頼を撤回することや酒類販売業者への支援拡充を求めていた。
■融資先働きかけ、政府で共有
政府方針は8日夜、西村氏が会見で、休業要請などに応じない飲食店について「金融機関としっかり情報共有しながら、順守を働きかけていく」と表明。金融庁は9日夕にも全国銀行協会へ依頼文書を出す準備を進めていたが、金融機関を通じた「脅し」ともとれる方針に、与野党から批判が噴出。政府は9日に撤回に追い込まれた。
西村経済再生相は13日の会見で、金融機関に事業者への働きかけを求めるとした政府方針を撤回したことについて、「私の発言で混乱を招き、飲食店の皆様に不安を与えた。反省をしている」と陳謝した。菅首相は13日、首相官邸で公明党の山口代表と会談し、金融機関への政府方針撤回について、「ご心配をおかけしました」と陳謝。会談後、山口氏が記者団に明らかにした。
また金融機関への働きかけをめぐっては、首相らが7日の関係閣僚会合で事務方から事前に説明を受けていたことも明らかになった。首相は9日、首相官邸で8日夜の西村氏の会見での発言について記者団から問われ、「承知していない」と述べていた。方針は撤回されているが、政府内で方針が共有されていたことで、批判がさらに強まる可能性もある。
●五輪選手村、式典なく静かな開村 村内に発熱外来
23日に開幕を控えた東京五輪の選手村(東京・中央)が13日、開村した。競技会場が集中する臨海部につくられた選手村は、大会期間中に多くの選手が滞在する生活の拠点となる。村内に発熱外来を設置するなど新型コロナ対策を講じて、選手団を迎え入れる。通常は行われる華やかな開村セレモニーは感染対策のため見送られ、静かなオープンとなった。
選手村でクラスターを発生させないため、選手たちは今後毎日、検査を受けることになる。村内には基本的に選手やコーチらのほか、運営に携わるスタッフのみ入ることができ、ゲストなどは立ち入ることができない。選手らは行動範囲を宿泊先と競技会場、練習会場に制限。選手らは厳格に行動を管理され、ルールを守らない場合は、参加資格の剥奪や制裁金などの処罰もある。選手村では最大で1万8000人が過ごせ、食事も24時間提供される。
●ワクチン配分、政府見直し 在庫抱える自治体の8月前半分、1割減
ワクチン接種をめぐり、河野行革相は13日、米ファイザー製の在庫を多く抱えているとして東京都世田谷区や大阪市などの自治体への8月前半の配送量を1割減らすよう計画変更したことを明らかにした。厚労省によると、削減対象となったのは札幌市・仙台市・東京都世田谷区・同大田区・同足立区・名古屋市・大阪市・北九州市などで計約35万回分。
ただVRSは実際の接種日より遅れて登録されるケースがあり、リアルタイムで在庫の把握ができない。河野氏は早急なVRSへの登録を呼びかけていたが、ワクチンの配分を減らされた自治体からは反発の声も上がりそう。また河野氏は、ワクチンの供給不足から自治体に混乱が広がっていることについて、13日のTBSの情報番組で陳謝した。
●大学のワクチン接種「9月末までに完了」申請済み392校
ワクチンの大学での接種をめぐり、萩生田文部科学相は13日の記者会見で、すでに政府への申請を済ませた392校については、9月末までに2回目の接種を終えることができるとの見通しを明らかにした。萩生田文科相は「必要なワクチンの総量は確保されている。希望する接種時期の精査を行い、一人でも多くワクチンが届くよう調整を進めたい」と述べた。
文科省などによると申請済みの392校のうち、今週までに接種を開始するのは計143校。残り249校のなかには、開始時期のめどがたっていない大学もある。そうした大学も8月9日の週以降に開始できる見通しだという。
●東京830人感染
国内感染者は13日現在で、新たに2386人が確認された。前週の火曜(6日)より715人多かった。亡くなった人は18人だった。東京都では新たに830人の感染が確認された。前週の6日と比べて237人多く、24日連続で前週の同じ曜日を上回った。13日までの1週間平均の感染者数は790.6人で、前週の131.3%だった。
また、都は新たに2人の死亡を発表した。うち1人は30代男性で、亡くなる前に倦怠感や頭痛を訴え、6日に自宅で倒れているのを妻が発見した。基礎疾患はなく、死因は新型コロナだという。都内で30代の感染者が死亡したのは6人目。
【7月14日】
●酒停止策の発案、誰が 西村氏「具体的な内容は私の責任」
政府は酒類の提供自粛要請に応じない店に対し、金融機関を通じて融資先の飲食店に働きかけるよう依頼。さらに、酒類の販売業者には提供自粛に応じない飲食店との取引を停止するよう依頼した。いずれも与野党や業界団体から抗議を受け、撤回に追い込まれた。衆院内閣委員会の閉会中審査が14日開かれた。野党側は菅首相が事前に要請の内容を知っていたとみて、政権の責任を追及。政府の混迷ぶりには与党からも厳しい意見が出ている。
立憲民主党の今井氏は、政府が出した2種類の依頼文書について、西村経済再生相に「こんなこと、いったい誰が思いついたのか」。さらに、依頼文書を出す前日の関係閣僚会議で、要請や働きかけの説明があったことに着目。「首相が責任をもって発出したということで良いか」と問いただした。西村氏は「具体的な内容は私の責任で、関係省庁の調整で決めた」と説明。今井氏は「個人的な問題ではない。首相の責任は非常に重い」と指摘したが、西村氏は「私の責任」と重ねて釈明した。
これに先立ち、野党4党は14日、西村氏の辞任を求めることで一致し、立憲の安住国会対策委員長が自民党の森山国対委員長に伝えた。しかし、首相は14日午前、首相官邸で記者団に「西村大臣は感染防止のために朝から夜まで頭がいっぱいで、いろんな対策を練ってきている。丁寧に説明していくことが大事かなと思う」と述べ、続投させる意向を示した。
■酒停止の依頼、6月の事務連絡にも
酒類販売事業者に対し、酒の提供自粛に応じない飲食店との取引停止を政府が求めた問題では、内閣府と内閣官房が6月に自治体向けに出した事務連絡にも、同じような内容があったことがわかった。14日の衆院内閣委員会の閉会中審査などで明らかになり、政府は同日夜にこの事務連絡も撤回した。国民民主党の山尾氏が、指摘した。
酒類販売事業者には現在、地方創生臨時交付金を通じ、大きく減収した場合に「月次支援金」を支給している。内閣府地方創生推進室と内閣官房の新型コロナ対策室は6月11日に連名で、各都道府県に事務連絡を出した。要請に応じない飲食店とは取引しないよう酒類販売事業者に書面提出を求めることなどを、都道府県側に依頼していた。政府の撤回を受けて東京都はこの日夜、事業者が出す誓約書の関連項目を削除すると発表した。ほかの自治体でも同様の対応が広がりそう。
●インドネシア52人帰国 清水建設が特別便
新型コロナが猛威を振るうインドネシアから退避した日本人52人を乗せた全日空の旅客機が14日午後、成田空港に到着した。ゼネコン大手の清水建設が依頼した特別便。同社によると、特別便で帰国したのは同社社員とその家族。全日空によると座席数は246席あったが、清水建設以外の乗客はいないという。
インドネシアでは7月に入り、新型コロナ感染者が急増、14日には約5万4千人と過去最多を更新。医療の逼迫で治療を受けるのも難しく、最近は死者が連日800人を超え。デルタ株の広がりが一因とみられている。在留邦人の感染者数は約340人、死者数は14人と10日余りでそれぞれ70人、6人増えた。入院待ちも約50人に上り、在留邦人の間では危機感が強まっている。ただ今回の特別便は、多くの在留邦人には寝耳に水。政府が帰国便を飛ばすとの期待も膨らんだだけに落胆は大きい。
●医療逼迫なら「五輪期間中でも中止を」 組織委 感染対策の座長
東京五輪の開幕が迫る中、大会組織委員会で感染症対策にあたる専門家の円卓会議で座長を務める岡部・川崎市健康安全研究所長は、13日夜、取材に対し「新型コロナ感染が拡大し、『第4波』に見舞われた際の大阪府のように、東京都で入院すべき人が入院できないような状況になったら大会の中止も考えるべきだ」との考えを明らかにした。
岡部氏は、必要な医療が受けられない状況になれば、「五輪をしている場合じゃない」と述べ、会期中であっても政府や組織委に中止を求める考えを示した。都内の病床使用率は14日時点で31.8%の「ステージ3」(感染急増段階)。大会期間中に医療が逼迫する恐れが高まった場合、「時機を逃さずに、また事態の切迫を待たずに、強い対策を躊躇なくとって下さい」と求めていた。
●国内感染3千人超 死者累計1.5万人越す
国内感染者は14日現在で、新たに3194人が確認された。6月2日以来、3千人を超えた。亡くなった人は20人で、国内の死者は昨年2月13日に初めて確認されて1年5カ月で1万5千人を超えた。新型コロナによる死者は今年1月23日に5千人を突破し、約3カ月後の4月26日に1万人に到達。それから1万5千人超になるまでは約2カ月半だった。ワクチン接種が進む一方で、死者5千人ごとの増加ペースは速まっている。
●東京、新規感染1149人 全国3193人 拡大が加速
東京都は14日、感染者を新たに1149人確認したと発表した。都内の新規感染者数が1千人を超えるのは5月13日(1010人)以来約2カ月ぶり。第4波のピークだった1121人(5月8日)を超えた。14日までの1週間平均の感染者数は823.3人で前週比130.3%、感染拡大のペースは上昇している。「専門家組織」は14日の会合で、「東京を中心とする首都圏の感染拡大が顕著で、全国への影響が懸念される」との見解をまとめた。関西圏も感染の拡大が明らかで、感染増は全国的な傾向。
東京の新規感染者1194人を年代別でみると、20代が326人と最も多く、20~30代が全体の47%を占める。65歳以上の高齢者は46人で、若い世代に感染者が集中する最近の傾向を表している。今回の波はその上昇スピードが速いのが特徴。今春の第4波では1月28日に1千人を超えた後、再び1千人を超えるまでに約3カ月を要したが、今回は約2カ月で再び1千人を上回った。
感染者数が急増したのは感染力の強いデルタ株の流行に加え、高止まりする夜の繁華街の人出が要因とみられる。NTTドコモの携帯電話の位置情報から、主な繁華街6カ所の午後5時から日付が変わるまでの人出を調べたところ、宣言初日の12日と13日の人出の合計は、前週の同じ曜日にあたる5、6日と比べてマイナス6%と、微減にとどま。都内の確保病床使用率は、6月下旬に20%台まで下がっていたが、13日時点で33%に上昇。重症病床使用率も45%に達している。
【7月15日】
●酒取引迷走の 戸惑う自治体 「国は配慮不足」「信頼失う」
新型コロナへの対応をめぐり、酒類販売事業者に酒の提供自粛に応じない飲食店との取引停止を求めていた政府。その方針が撤回され、自治体に困惑が広がっている。政府が6月に出した通知に基づきすでに対応を始めていた。事業者からも反発の声が上がる。
●酒停止3度目撤回 西村担当相が釈明 「思いが強すぎた」
政府が酒類販売事業者に支給する支援金に絡み、酒の提供自粛に応じない飲食店とは取引しないよう誓約書を出させることを都道府県に依頼していた問題で、西村経済再生相は15日の参院内閣委員会の閉会中審査で「酒販の関係者は大変厳しい状況にある。そのことを真摯に受け止め、昨夜、撤回した」と釈明した。政府が打ち出した酒の提供自粛に関する対策を撤回するのは3度目となる。
内閣府地方創生推進室と内閣官房の新型コロナ対策室が6月11日に連名で、各都道府県に事務連絡を出した。支援金の支払いにあたり、要請に応じない飲食店とは取引しないよう、酒販業者に誓約書の提出を求めることなどを依頼していた。
15日の参院内閣委で、立憲民主党の塩村氏が「誰が起案したのか」とただすと、西村氏は詳細は承知していないとした上で、「(自粛要請に)応じる店とそうでない店の不公平感がある。できるだけ多くの店に協力してもらうように支援策をつくる観点から、事務連絡を出した」と釈明した。西村氏は「協力してほしいという強い思いから、こうした対応になった。思いが強すぎたと反省している」とも語った。
●東京感染「4週間後は2406人」 第3波超えペース 専門家指摘
東京都は15日、新型コロナ対応の「モニタリング会議」を開いた。いまの増加ペースが続けば、8月11日に1週間平均の新規感染者数が2406人に達し、専門家はこれまで最多だった1月の第3波のピーク時(1816人)を大きく超えると分析した。入院患者数も2千人を超え、このまま急増が続けば「医療提供体制が逼迫の危機に直面する」との危機感が示された。
◆小池知事「20代30代の陽性者数が飛び抜けて多い」
東京都内では、14日の感染確認が再び1千人を上回って1149人となり、ことし5月の第4波のピークを超えた。これについて小池知事は15日、都庁で記者団に対し「特に20代と30代の陽性者数が飛び抜けて多い。逆に、高齢の方々は重症者数も含めて抑えられていてワクチンの効果だと思う」と述べ、基本的な感染対策やワクチン接種への協力を改めて呼びかけた。
●都内の即応病床5882床、入院急増で「余裕ない」
新型コロナ感染が急激に広がっている東京都で、医療への負担が増している。15日に開かれた都の「モニタリング会議」では、都医師会の猪口副会長が「医療はやはり赤(最高の警戒レベル)。患者が増えれば増えるほど、医療は苦しくなる」と警戒感を口にした。都内の入院患者は、6月下旬の1200人台から3週間で2千人台にまで急増。保健所で入院先を決めきれず、都に入院調整が持ち込まれる件数は、1カ月前の40件から125件へと3倍に増えた。
医療が逼迫した昨年末からの「第3波」の反省を踏まえ、都は都立・公社病院を中心に、コロナ患者に対応する病床を1月上旬から2千床以上増やした。7月8日時点で6314床を確保したという。患者を受け入れる準備が整っているとされる「即応病床」は9割超の5582床。14日時点の病床使用率は31.8%。だが、病床の運用に詳しい関係者は「即応病床の数字は絵に描いたモチ」と話す。都の担当者は「患者が急増する場合は、病床に付く人手が足りない場合がある」と説明する。
「緊急事態宣言」の効果は、発出から2週間程度が経たないと見えてこない。夏休みや五輪開幕を控え、人の移動や接触が増える恐れもある。参院内閣委員会の閉会中審査で15日、政府の「分科会」の尾身会長は、「人々が緊急事態(宣言)に慣れ、行動制限だけに頼るという時代はもう終わりつつある」との認識を示し、ワクチンや検査など、政府による科学技術への投資を求めた。
●「在庫4000万回分」に首長反発 ワクチンめぐり混乱 河野氏は陳謝
ワクチン供給をめぐり、政府と自治体との間で、意見の食い違いがあらわになっている。問題となっているのは、自治体の接種で使われる米ファイザー製の供給。 河野行革相は15日、「はしごを外した形になってしまいまして、大変申し訳なく思っております」。全国知事会の飯泉会長(徳島県知事)とのオンラインによる意見交換で、ワクチン供給で自治体に混乱を招いたことをわびた。
加藤官房長官は12日の記者会見で、「約4千万回分は未接種の状況で、自治体あるいは医療機関がお持ちになっている」と、供給は足りているとの認識。納得できないのが自治体側。現場ではVRSへの入力が煩雑で実際の接種日より遅れが生じるため、接種実績はもっと多いと主張。全国市長会は15日、河野氏に提言を提出し「自治体は2回目分のワクチンを確保したうえで1回目の接種を実施してきた」として、「在庫」にはあたらないと反論した。
1日130万回程度のペースとなったいま、予想以上に打ち手が広がり接種がスピードアップし、ワクチンが足りなくなったというのが実態。ワクチンの供給不足から自治体では、新規予約受け付けの停止や予約キャンセルが広がっている。VRSで在庫が多いと国がみなした自治体には、8月前半から配分量を減らす仕組みが導入され、自治体からはさらに反発の声、混乱は続く。しかもファイザー製の自治体への配分は、6月に比べて7、8月は約4割減る。
●全国3418人感染 2日連続3000人超
国内感染者は15日現在で、新たに3418人が確認された。1日の感染者数が2日続けて3千人を超えるのは、5月29日以来。
国内の感染状況 以下4枚の図の出典は、NHK新型コロナウイルス特設サイト
東京都では半年ぶりに1300人を超えた。人の往来で東京での感染が他の都市部や地方に広がれば、さらなる感染拡大につながりかねない。1308人の感染が確認された東京は、前週の木曜日(8日)と比べて412人の増加で、26日連続で前週の同じ曜日を上回った。15日までの1週間平均の新規感染者は882.1人で、前週の132.9%だった。
東京都の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト
東京五輪・パラ大会組織委員会は15日、五輪に出場するために来日した海外選手1人が新型コロナ検査で陽性になったと発表した。組織委は「プライバシーに関わる」などの理由から、陽性者の国名、年齢、性別などを公表していない。
新型コロナワクチンの接種状況 以下2枚の図の出典は、NHK新型コロナウイルス特設サイト
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