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2021年6月19日 (土)

新型コロナ2021.05 ワクチン

   新型コロナ感染症は、3月中旬頃から大都市を始め増加し変異株も広がってきた。4月5日、感染者が急増した大阪府・兵庫県・宮城県に「まん延防止等重点措置」が初めて適用。12日から東京都・京都府・沖縄県も加わった。全国的に「第4波」が押し寄せる。しかし東京・大阪・兵庫・京都の4都府県は、「まん延防止」の効果が不十分だとして、4月25日から3度目の「緊急事態宣言」。期限は5月11日だが、5月31日迄に、更に6月20日迄に延長された。


 2021年5月16日から31日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2021.05 第4波」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】

 

【5月16日】

●札幌、緊急事態初日「休業間に合わず」 3道県の店舗、対応追われる

 「緊急事態宣言」の対象地域に、北海道・広島・岡山の3道県が16日から加わった。14日の政府決定からわずか2日。営業時間の短縮や休業要請の対象となった店舗や施設は対応に追われた。

●菅内閣支持、急落33% 「安全安心な五輪」納得できぬ73% 世論調査

 朝日新聞社は15、16日に全国世論調査を実施した。菅内閣の支持率は33%(前回4月は40%)に下がり、昨年9月の発足以来、最低タイとなった。不支持率は47%(39%)。政府の新型コロナ対応を「評価する」は23%(29%)にとどまり、「評価しない」は67%(61%)に上った。厳しい評価の背景には、他の先進国と比べたワクチン接種の遅れに不満があるようだ。

 東京五輪・パラリンピック開催について3択で聞くと、「中止」が最も多く43%、「再び延期」が40%、「今夏に開催」は14%にとどまった。4月調査と比べ、「中止」が大きく増え、「今夏」は半減した。菅首相は「安全安心の大会を実現することは可能」と繰り返している。この発言には「納得できない」が73%。内閣支持層でも49%、不支持層では92%が「納得できない」と回答。自民党の政党支持率も30%(4月35%)に下がり、菅内閣発足以降では最低となった。

 共同通信社が15、16両日に実施した全国世論調査によると、菅内閣の不支持率は前回4月調査から11.2ポイント急増して47.3%となり、政権発足以降最多、支持率41.1%を大きく上回った。政府の新型コロナ対応を「評価しない」は71.5%で、安倍、菅両内閣を通じて最も多かった。「評価する」は25.2%。今年夏の東京五輪・パラ開催に関し「中止するべきだ」は59.7%。政府のコロナワクチン接種計画について「遅いと思う」との回答が85.0%だった。

 またNHK、読売新聞社、JNNが10日に発表した世論調査でも、軒並み内閣支持率が下落。NHKでは「支持する」は35%で、前回より9ポイント急落。「支持しない」は43%で、5ポイント増加。読売新聞では、菅内閣の支持率は43%で、前回から4ポイント低下。不支持率は46%で、6ポイント上昇した。またJNNでは、「非常に支持」と「ある程度支持」を合わせて40%(前回44.4%)。「あまり支持できない」と「まったく支持できない」は合わせて57%(前回52.7%)だった。

●米、特典でワクチン後押し

 新型コロナワクチンの大量の在庫を確保している米国で、政府や企業が接種率を押し上げようと、あの手この手をくりだしている。ニューヨークで駅構内接種会場では、地下鉄やバスが1週間乗り放題の券がもらたり、動物園や水族館、植物園への入場無料、大リーグの観戦チケットがもらえるなど、接種推進策は多岐にわたる。接種回数は4月中旬をピークに減少傾向が続き、頭打ち。減った主な原因は、受ける人の減少や接種に消極的な人への対策が課題になっている。2割強がまだ接種されていない。

●感染対策「優等生」変異株で苦境 シンガポール 台湾

 新型コロナ対策の「優等生」とされてきた台湾やシンガポールで、感染者数が増え始めている。変異株の広がりが背景にあるとみられ、絶対数は低いものの、食料品などの買いだめ騒ぎも起きている。政府は規制強化に踏み切ったが、封じ込めの難しさが改めて浮き彫りになった。

●全国5261人感染 大阪の死者、東京を越す 「第3波」2以来、累計1958人に

 新型コロナの国内感染者は16日で、新たに5261人が確認された。新たに亡くなった人は47人で、大阪府15人が最も多かった。大阪府の累計死者数は1958人になり、全国で最多だった東京都1951人を抜いた。大阪府の死者数の累計が東京都を上回るのは第3波の2月3日以来。全国の重症者数は1223人(15日時点)で8人減った。東京都では542人の新規感染者が確認された。大阪府は620人が新たに確認された。

【5月17日】

●ワクチン大規模接種 東京・大阪、ネット予約受け付け

 東京と大阪で行われるワクチンの大規模接種は、17日から予約の受け付けが始まった。混乱を避けるため、17日から1週間は東京23区と大阪市に住む65歳以上の高齢者に限って受け付けられ、段階的に対象者を広げる。政府は、自治体の接種との「二重予約」を避けるよう呼びかけている。予約はインターネットのみで電話での受け付けは行われない。接種開始は24日。期間は約3カ月を見込む。自衛隊の看護官らが接種を行う。ワクチンは米モデルナ製(承認申請中)を予定。

 新型コロナワクチン接種のポスター 出典:内閣官房ホームページ

新型コロナワクチン接種のポスター 出典:内閣官房ホームページ
 
● 大規模接種へ突貫工事

 政府が東京と大阪に設置する「自衛隊大規模接種センター」は「首相官邸の鶴の一声」(防衛省幹部)で動き始めた。会場の準備も急ピッチで進む。菅首相が先月27日、岸防衛相に対し、自衛隊が主体となって大規模接種センターを運営するよう指示。主導したのは、危機管理を担う杉田官房副長官。接種会場の運営は自治体任せとなったが、ワクチンを早期に行き渡らせるための窮余の策。官邸関係者は「大規模に集めてできないかと、杉田氏が突然言い出した」と明かす。

 東京都練馬区は17日、接種予約の受け付けを始めたが大規模センターの予約開始と重なり、「どちらを予約すればいいのか」などの問い合わせが相次いだ。接種後の個人記録は接種場所にかかわらず、内閣官房が管轄する「ワクチン接種記録システム(VRS)」で一元的に管理される。だが予約段階では、大規模センターと市区町村のシステムは連動していないため、「二重予約」をしてもわからない。キャンセルせず放置された場合はワクチンが無駄になる。センターは対応を協議中だが、「予約する本人が重複しないように確認するしかない」という。

●モデルナ製、承認判断すぐ本番 安全性「ファイザー製と大差なし」

 米バイオ企業モデルナが開発したワクチンが承認されることになった。承認が決まったモデルナ製のワクチンは、ファイザー製と同じ「メッセンジャーRNA(mRNA)」という遺伝物質を使うタイプ。海外での臨床試験のデータによると、モデルナのワクチンを接種した人たちの発症率は、接種しない人たちと比べて94.1%低かった。95%のファイザー製とほぼ同じ。これまで、海外でも安全性についてファイザー製との大きな差は指摘されていない。

 1回目と2回目の接種間隔は4週間で、3週間のファイザー製よりも長い。解凍して2~8℃の状態で30日間保存することができる。国内で現在、同様の保存期間が5日間とされているファイザー製に比べ、接種会場などでの取り扱いがしやすいと考えられる。

● 岐阜県知事、「緊急事態宣言」の対象地域に追加を国に要望

 岐阜県の古田知事は、県内の感染状況が緊急事態宣言の対象地域と同じ程度の水準にあるなどとして、西村経済再生相に岐阜県を宣言の対象地域に加えるよう伝えたことを明らかにした。西村大臣は「よく分析したい」と答えたという。

●全国3680人感染 122人の死亡を確認

 国内感染者は17日、新たに3680人が確認された。1日あたりの新規感染者数が4千人を下回るのは4月26日以来。亡くなった人は122人確認され、1日あたりの死者数としては過去2番目の多さだった。新規感染者の最多は東京都の419人。同じ月曜日だった10日の573人より、154人少なかった。新規感染者は、次いで大阪府が382人、北海道が372人。死者が最も多かったのは兵庫県の33人で、次いで大阪府が23人、北海道が10人だった。

【5月18日】

●GDP再び下落、年5.1%減 1〜3月期 プラスの米中と差

 今年1~3月期の国内総生産(GDP)は、新型コロナの再拡大で日本経済が急減速している。内閣府が18日発表した今年1月から3月までのGDP(1次速報)は、前の3か月と比べた実質の伸び率が、年率に換算してマイナス5.1%と、3期ぶりのマイナスとなった。また昨年度(2020年度)のGDPは、実質の伸び率がマイナス4.6%となり、比較可能な1995年度以降で最大の下落となった。

 海外の主要国と比べると、日本の遅れが目立つ。ワクチン接種が進んだ米国では、経済活動の再開が進み、1~3月期は年率6.4%のプラス成長。中国も回復の勢いは鈍化したものの、4四半期連続のプラス成長を維持した。

●ワクチン大規模接種接種会場設置 河野担当相「30自治体意向」

 ワクチン接種をめぐり、河野行革相は18日の閣議後会見で、30の都府県と政令指定市が大規模接種会場を設置する意向を示していることを明らかにした。これまでに少なくとも愛知県、兵庫県、横浜市、川崎市、神戸市などが、設置意向を示している。24日から運営を始める東京、大阪の「大規模接種センター」と同様に、ワクチンは承認申請中の米モデルナ製。河野氏は「大規模接種が行われることで地元で接種できる可能性、確率は高まって、補完機能にもつながってくると思う」と期待を寄せた。

 政府は都道府県が大規模接種会場を設置する際にかかる関連費用の全額を補助する。大規模接種での「打ち手」の確保をめぐり、河野氏は薬剤師の活用の可能性に触れ、「当然に薬剤師さんも検討の対象にはなる。打ち手不足が解消されるかを見ながら対応していきたい」と述べた。官邸幹部は「課題は圧倒的な医師不足。県独自の大規模接種をやろうとすると医師が必要になり、奪い合いになる」という。

●大規模接種予約 システム改修へ 架空の入力でも予約可

 政府が東京と大阪に設置するワクチンの「自衛隊大規模接種センター」の予約システムについて、岸防衛相は18日の閣議後会見で、改修を行う方針を表明した。架空の接種券番号や虚偽の生年月日を入力しても予約ができるため。自治体から送付される接種券記載の市区町村コードで、真偽を確認できるよう変更する。

●ふじみ野市長・妻、優先接種を 埼玉 運転手も医療従事者枠で

  埼玉県ふじみ野市の高畑市長(59)が、妻(59)、市職員の公用車運転手(54)とともにワクチン接種を「医療従事者」の優先枠で受けていたことが18日、わかった。市長によると、3人は4月30日に1回目を受け、今月27日に2回目を受けるという。「地元医師会から、優先して接種をするようアドバイスを受けていた。感染で市政が滞ることがあってはならないと決断した」と話している。

●歯科医師もワクチン注射

 神奈川県大和市で18日、85歳以上の高齢者向けのワクチンの集団接種が行われ、接種を担う医療スタッフとして歯科医師が参加した。接種の担い手確保のため、国が歯科医師による接種を特例として認めたことを受けた措置で、市や日本歯科医師会によると、歯科医師が住民にワクチンを打つのは全国で初めてとみられる。

●国内感染5230人 沖縄過去最多

 国内の感染者は18日現在、新たに5230人が確認された。沖縄県は過去最多の168人、岐阜県は過去2番目に多い140人の感染が確認された。全国の重症者数は1235人(17日時点)で過去最多。「緊急事態宣言」が出ている東京都の感染者は732人、大阪府は509人で、いずれも1週間前の火曜(11日)より減少。全国で18日に公表された死者は計216人。

 一方、内閣官房がまとめたワクチンの接種状況によると、17日時点で全国の高齢者で1回目の接種を受けた人は107万889人、2回目を終えた人は8万6797人で、65歳以上の高齢者約3630万人(4月1日現在)に占める割合はそれぞれ2.9%、0.2%。

【5月19日】

● 仏、約7か月ぶりに飲食店が屋外営業を再開

 フランスでは感染状況の改善を受けて19日規制が緩和され、飲食店がおよそ7か月ぶりに人数を制限した上で屋外での営業を再開した。フランスでは去年10月以降、飲食店の営業が原則禁止されてきた。

 感染拡大が一時、米国で最も深刻だったニューヨークでは、ワクチンの普及などによって感染が抑制できているとして19日、レストランや小売店での店内の客の人数制限が原則なくなった。また、ワクチンの接種を完了した人は原則、屋内でもマスクの着用が不要となった。

 オーストリアでは感染状況の改善を受けて19日、経済活動の制限が相次いで緩和された。飲食店の屋内での営業がおよそ7か月ぶりに再開されたほか、音楽の都、首都ウィーンの中心部にある国立歌劇場では、入場者の数を制限したうえで去年11月以来となる公演が行われた。

●進まぬテレワーク、見えぬ全容 企業の取り組み把握困難

 政府は19日、企業や団体にテレワーク(在宅勤務)の実施状況を公表させ始めた。目標とする「出勤者数の7割削減」に向け、対応を促す狙いだ。日本生産性本部の4月の調査によると、働く人の実施率は19.2%にとどまる。このため、開示をてこに取り組みを進めようと、政府は各社に現状を公表するよう5月7日に対処方針を改めた。西村経済再生相は11日、経済団体の代表らとの会議で協力を求めた。

 19日に経産省がWebページに、292の企業・団体を一覧にして載せた。毎週一覧表を更新し公表数を増やしていく。ただ、経産省は約3800社ある上場企業や業界団体などに呼びかけたが、18日時点で回答したのは一部にとどまった。進まないテレワークの状況は、十分把握出来てないのが現状。消費者向け窓口や生産現場といったテレワークの実施が難しい職場もあり、企業・団体側には情報開示への抵抗感もある。

 一方で、中央省庁では十分に定着していない実態も指摘される。19日には各省庁の状況調査が行われたが、この日に合わせて在宅勤務を一時的に増やした職場もあった。しかし、ある省庁幹部は「7割減なんてできるわけがない」と本音を漏らす。

●五輪強行 政権に逆風 開催危ぶむ世論、批判の種に

 開幕まで2カ月余となる東京五輪・パラへの「逆風」が強まっている。菅政権はなお五輪の実現に突き進むが、当て込んでいた政権浮揚の効果が得られるかは不透明。リモートで開催された19日のIOCの調整委員会でコーツ調整委員長は、「色々なことがあったが、一つ確かなことがある。それは共通した決意を持って、安全で安心な大会をやろうという思いだ」と小池知事ら日本の大会関係者に向け、改めて開催への決意を表明した。

 厳しい世論を前にしても、菅政権は「五輪はやる。いささかの揺らぎもない」、「反対の声があっても、いかにやるかを考えていく」と、歩みを止める様子はない。ただ、政権中枢を支配する強硬論も、その内情をみると変化が生じつつある。「当初は政権運営を好転させる想定だった。いまは五輪がマイナスになりかねない。誤算だ」。

 首相周辺は「五輪を考えると、緊急事態宣言をこれ以上延長することは難しい」と、期限の5月末で東京の宣言を解除したい考え。感染状況が十分に改善しないまま宣言を解除すれば、2度目の宣言の時と同様にすぐに感染が再拡大する可能性もある。官邸幹部はワクチン接種の進展に期待を寄せ、世論も変わるとの見方を示す。一方、首相周辺は「五輪は開会すれば、パラリンピックが閉幕する9月までやめることができない」と指摘。万一、期間中に医療体制が逼迫するような事態に陥れば、政権の足もとが崩れかねないと危惧する。

● 五輪中止でも財政負担増 組織委・都

 組織委員会や東京都の幹部は、「開催しても、中止になっても、いばらの道」と口をそろえる。大会の1年延期に伴い、組織委は仮設施設のリースや競技会場の借り上げ、車両や会場で使う備品の調達など、国内外の業者と2千件ほどの契約更新に追われた。中止となれば、再び業者と協議することになる。更新時、多くの業者から「仮に中止になっても、材料費や人件費は払って欲しい」と念押しされ、難航する可能性もある。

 東京都も財政負担が増すことを懸念する。中止になれば、組織委はチケット収入の約900億円を失う。招致時の立候補ファイルでは「組織委が資金不足に陥った場合、都が補填する」とされている。都の財政調整基金の残金は、9千億円から新型コロナで急減し現在223億円。ここに約900億円の負担がのしかかる。五輪が中止になれば設備投資した分が回収できず、倒産ラッシュが相次ぐ可能性も。知事に近い関係者は「進むも引くも地獄だ」と話す。

 日本側から中止を提案し損害が出た場合、責任を負うのは日本側。五輪の場合はIOCだけが不可抗力条項を行使し、損害などの責任から逃れられる内容になっている。五輪が中止となれば、IOCの出方次第で国や東京都に賠償責任が生じる可能性がある。

●関西圏の新規感染、減少傾向も高水準 「専門家組織」

 厚労省に助言する「専門家組織」は19日の会合で、全国の感染状況について「ほぼ上げ止まり」で、地域差が大きいとした。人口10万人あたりの新規感染者は1週間前に比べ、関西圏で56.38人から44.1人に減少。一方首都圏は27.14人、九州は41.6人でほぼ横ばい。中京圏では35.72人から45.2人、その他の道県では21.52人から26.66人に増えた。医療が危機にある関西圏について、「今後も新規感染者数は減少が見込まれるが、高い水準だ」と分析した。また関西圏や首都圏以外の地域で重症患者が増えており、医療への負荷が大きいとして対策の強化を求めた

 18日に確認された全国の重症者はこれまでで最も多い1293人。大阪、兵庫、京都の関西3府県は493人で、1日時点より39人減った。首都圏の4都県は52人増えて216人だった。その他の地域で増加が目立ち、40道県で230人増えて584人となった。病床が逼迫している大阪府などでは重症者用のベッドを利用できず、集計されていない人もいるとみられる。関西圏については、「一般医療を制限せざるを得ない状況が続いている」と分析。東京都についても「ピークアウトに至っていない」とした。

● 沖縄県「緊急事態宣言」 対象地域に加えるよう政府に要請

 沖縄県は、大型連休のあと感染拡大に歯止めがかからないことから、政府に対し、「緊急事態宣言」の対象地域に加えるよう要請した。沖縄県は、4 月12日から「まん延防止等重点措置」が適用され、大型連休に入る前まで1日に公表される感染者数は減少傾向にあったが、19日公表された感染者が203人と初めて200人を超えるなど再び感染が拡大している。

 県よると、医療提供体制の危機的状況は大型連休後、深刻さを増している。今後流行が若者から高齢者に移行し、さらに入院者数が増加した場合は、重症化リスクがあっても入院できなくなるおそれがある。「重点措置」対象の市町で、時短要請に協力せず、再三の注意喚起にも応じていない10数店舗について、来週にも営業時間変更の命令を出し、店舗名を公表する。

●大規模接種予約 2日間で満杯に 直近1週間分

 政府が東京、大阪に設置する自衛隊大規模接種センターについて、防衛省は19日、東京会場の予約が18日午後9時5分、大阪会場の予約は受け付け開始直後の17日午後1時26分にすべて埋まったと発表した。今回の予約は東京会場が東京23区、大阪会場が大阪市在住の65歳以上の高齢者が対象で、接種日は24~30日の1週間分。

●全国5820人が感染 重症者、過去最多の1293人

 国内の感染者数は19日、新たに5820人が確認され、累計70万人を超えた。新たに亡くなった人は97人。厚労省によると、重症者が1293人(18日時点)となり、過去最多を更新した。沖縄県は新たに203人の感染を発表、2日連続での更新。富山県も34人で、1月6日以来の更新となった。東京都は766人、大阪府は477人で、いずれも前週の同じ水曜日(12日)より減少していた。

 内閣官房によると、全国の高齢者で18日時点、1回目の接種を受けた人は125万6236人、2回目の接種だった人は10万6273人。65歳以上の高齢者約3630万人(4月現在の概算値。総務省統計局)に占める割合はそれぞれ3.4%、0.2%。

 飲食の場面におけるコロナ感染症対策のお知らせ 出典:内閣官房ホームページ

飲食の場面におけるコロナ感染症対策のお知らせ 出典:内閣官房ホームページ

【5月20日】

●沖縄、「緊急事態」追加へ 政府23日から 岐阜は見送り

 菅首相は20日、「緊急事態宣言」を、沖縄県に出す方針を固めた。21日に専門家らによる「基本的対処方針分科会」に諮り、政府対策本部で正式決定する。期間は23日から6月20日まで。宣言地域は10都道府県に拡大する。一方、「緊急事態宣言」を要請していた岐阜県について、今回政府は適用を見送る方向で調整中。また、愛媛県に適用している「重点措置」は23日から解除する方針。

 首相は20日夕、首相官邸で田村厚労相ら関係閣僚と協議。その後、記者団に「沖縄県は飲食店の酒提供を停止するなど、感染拡大防止にしっかり取り組んでほしい」と述べた。同県は現在「まん延防止等重点措置」の対象地域で、20日の新規感染者数は過去2番目に多い198人と感染拡大が続いている。

● 「札幌は医療の限界」、北海道 週末の外出控えるよう呼びかけ

 北海道は20日の対策本部会議で、「緊急事態宣言」が出された後も感染者の増加傾向が続いている影響で、特に札幌市では「医療の限界とも言える状況にある」として、道民に対して次の週末の外出を控えるよう改めて協力を呼びかけた。

●モデルナ・アストラのワクチンを承認へ

 米モデルナと英アストラゼネカが開発したワクチンについて、厚労省の専門部会は20日夜、国内での製造販売を承認することを了承した。21日に正式承認する。モデルナ製は24日から大規模接種センターなどで使うが、アストラゼネカ製は使い道が決まっていない。モデルナは、零下20℃前後で冷凍保存、アストラは、2~8℃で冷蔵で可。アストラの実用化が進んでいる欧州では、頻度は極めて低いが年齢の低い人で「血栓症」の副反応が報告されていて、国内での年齢などの接種対象や使い方は今後、厚労省が部会で検討する。

 政府は、ファイザー製を9700万人分、モデルナ製を5千万人分、アストラゼネカ製を6千万人分確保。接種対象の国民全員に行き渡る計算だが、承認申請前の米ノババックス社も2022年初頭から7500万人分の供給を受けることにしている。ワクチン接種の効果が続かず、今後も接種が必要になった場合の備蓄用や、途上国支援(ODA)として活用する案も出ている。特殊な冷凍庫などがない診療所の個別接種で使えばいいとの意見もある。

●EU、ワクチン接種者は観光渡航OK

 欧州連合(EU)は20日、ワクチン接種を終えた人を対象に、観光など不要不急の目的でのEUへの渡航を認めると決めた。検査での陰性を条件に子どもの同行も可能になる。夏の観光シーズンを控え、落ち込んだ経済の活性化にもつなげる狙い。ただ、国境管理の権限は加盟各国にあり、具体的な受け入れの条件や時期、入域時の検査の是非などは各国の判断に任される。フランスの場合、6月9日からとなる。

●高齢者のワクチン接種、「7月末に完了」 首相の号令に地方困惑

 4月23日に首相自ら目標を打ち出し、武田総務相に「自治体支援に万全を期すよう」指示、総務省は地方支援本部を立ち上げた。5月7日には、首相は「1日100万回接種」を掲げ、「7月末」に向け大号令をかけた。総務省の4月下旬の聞き取りでは、全国市町村1741のうち約4割が7月末完了は「できない」と答えたが、今月12日の公表では「できない」は14%に激減。政権内から「地方の実態を反映しているのか」との懸念も。対象となる高齢者2回接種で7200万回に対し、19日までその2%余り。目標は遠い。与党や自治体から困惑の声も出る。

 公明党は15日、総務省の調査に「相当無理筋の数字を発表されている」との見方を示した。総務省担当者は「決意表明のようなもの」と漏らす。「7月末は可能」との回答にも、「医療従事者が確保できたら」という前提付きの自治体も一定数あるようだ。首相周辺は、「完了」の位置付けをあいまいにし、首相の責任論が生じないよう予防線を張っているという。なぜ「7月末」なのか、官邸関係者は「五輪があるから」。開会式がある7月下旬に高齢者接種にめどをつけ、「政権をとりまく空気を変えたい」との思惑がある。

 新型コロナワクチン接種のお知らせ(65歳以上の方へ) 出典:内閣官房ホームページ

【ファイザー社】新型コロナワクチン接種のお知らせ(65歳以上の方へ) 出典:内閣官房ホームページ

●キャンセルワクチン、誰に回す

 キャンセルで余ったワクチンをどうするのか。各自治体は、ワクチンの廃棄を防ごうと知恵を絞っている。現在、自治体に供給されている米ファイザー製のワクチンは、常温保存ができず、開封してから一定の時間が経過したものは廃棄せざるをえない。余ったワクチンを「誰に打つか」は、自治体の判断に委ねられている。

 新潟県三条市は、集団接種でのキャンセル分を市内の小中学校の教職員に充てる。兵庫県小野市は、市内の保育所やこども園、幼稚園の職員の中で希望者に接種。埼玉県川口市では消防士に、応援で救急現場に駆けつける可能性があるため。茨城県取手市は、高齢者宅を訪問する民生委員に。東京都目黒区は、集団接種会場で受付や誘導業務にあたる委託業者のスタッフにその場で接種予定。

 独自に「キャンセル待ち」のルールをつくる自治体も増えてきた。埼玉県杉戸町は集団接種会場に、事前にキャンセル待ちに登録した65歳以上の申込用紙を入れた「抽選箱」を置く。余りが出ると職員がくじ引きのように箱から用紙を取り出し、当選者に電話する。東京都羽村市は6月9日から、「当日キャンセル待ち協力隊」を始める。65歳以上の高齢者は誰でも登録でき、1日5人程度連絡して、接種終了時間が近づいた頃に会場で待機してもらう。北海道由仁町は、キャンセル待ちに登録できる年齢は16歳から。接種会場に「15分以内」に来られることが条件。

●感染1年後、中和抗体97%残る 横浜市大

 新型コロナに感染して回復した人の体内でつくられ、再感染を防ぐことが期待される「中和抗体」が、感染から1年たっても十分に残っていたとする研究結果を20日、横浜市立大の研究チームが発表した。昨年2~4月に新型コロナに感染した21~78歳の250人を対象に、感染から半年後と1年後の2回採血して調べた。中和抗体が残っていた人の割合は、感染してから半年の時点で98%、1年後の時点でも97%と、ほとんど減っていなかった。

 さらに、従来株の感染によってつくられた中和抗体が、英国型など4つの変異株に対しても有効か調べた。その結果、感染から半年後と1年後の時点で、変異株にも有効な中和抗体が残っていた人は、無症状・軽症だった人で約7~8割、中等症以上の人では約9割。第1波で従来株に感染し無症状や軽症だった人は、変異株に対しては再感染を防ぎきれない可能性がある。

●全国5722人感染 重症者1288人、高止まり

 国内感染者数は20日現在、新たに5722人が確認された。新たに亡くなった人は106人。重症者は1288人(19日時点)で、過去最多となった前日(18日時点)の1293人に次いで多かった。「緊急事態宣言」の対象地域に加える方向の沖縄県では、過去最多となった前日の203人に次ぐ198人の感染が確認された。東京都は843人だった。

 内閣官房によると、全国の高齢者に接種されたワクチン(19日時点)で、1回目の接種を受けたのは145万2758人で、2回目の接種は12万5551人だった。65歳以上の高齢者約3630万人(4月現在の概算値。総務省統計局)に占める割合はそれぞれ4.0%、0.3%

【5月21日】

●特許外交、中国が支持 ワクチン外交、米を追う

 新型コロナ対策を多国間で議論する「世界健康サミット」が21日に開かれ、中国の習近平国家主席がワクチンの知的財産(特許)の一時放棄を支持する考えを表明した。今月5日に特許放棄への賛同を表明した米国を追いかけた格好。途上国への供給も含めた「ワクチン外交」でも、米中対抗の構図が鮮明に浮かび上がった。

●築地市場跡地に接種会場の方針 小池知事

 新型コロナのワクチン接種について、東京都の小池知事は、21日午前日本歯科医師会の会長などと面会し「大規模な接種会場を考えているのでご協力をお願いしたい」と述べ都として大規模な接種会場を設ける方針を説明した。21日午後、都独自の接種会場を築地市場跡地(東京都中央区)に設置する方針を明らかにした。接種対象は警視庁と東京消防庁の職員らを想定しているという。

●「緊急事態」、沖縄を追加 東京・大阪など延長不可避の見方
 
 政府は21日、「緊急事態宣言」を沖縄県に出すことを決定した。期間は23日から6月20日まで。沖縄県の追加により、宣言は北海道・東京・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡の計10都道府県に拡大する。一方、宣言を要請していた岐阜県への適用は、感染状況の分析を踏まえ今回は見送った。また、「まん延防止等重点措置」が適用されている愛媛県は、5月末の期限を待たず23日から解除する。「重点措置」の適用は群馬・千葉・神奈川・埼玉・石川・岐阜・三重・熊本の8県となる。

 この日の「分科会」では、出席したメンバーから、今月末に期限を迎える9都道府県の宣言解除に否定的な声があがった。尾身会長は、この日の衆院厚労委員会で、「解除した後、すぐに(感染者数が)リバウンドするような解除の仕方はやめるべきだ」と述べた。首相は21日夜、記者団に「感染状況を見極めて月末にも判断することになる」と語った。政権内では宣言の延長は避けられないとの見方が強まっている。

 沖縄県の玉城知事は県庁で会見を開き、酒類を提供する飲食店への休業要請などの対策を発表した。県外からの来県自粛も求める。休業要請の対象は、酒類やカラオケ設備を提供する県内全域の飲食店など。酒類提供をめぐって「重点措置」に基づく自粛要請を一時検討したが、経済界の反対で断念した経緯がある。その他の飲食店や大型商業施設、スポーツクラブなどには午後8時までの営業時短を求める。沖縄ちゅら海水族館や、首里城公園などは休館。部活動は原則禁止とし、一部は時間制限を設ける。

●IOC「宣言下、五輪可能」 組織委、医療態勢「8割確保」

 開幕まで約2カ月となった東京五輪・パラについて、IOCで東京大会の準備状況を監督するコーツ副会長は21日、「緊急事態宣言下であってもなくても、安全かつ安心な大会が開催できるアドバイスを(WHOなどから)頂いている」と述べ、「緊急事態宣言」が出ていても大会は開催できるとの認識を示した。この日、3日間の日程を終えたIOC調整委員会の総括会見で話した。大会で来日する予定の人数は選手1万5千人、大会関係者7万8千人。IOCなどは関係者をさらに削減する方針。

 大会時の医療態勢について、大会組織委員会の幹部によると、想定していた1万人程度から約3割減らせるという。組織委の橋本会長は、医師は1日あたり最大230人程度、看護師は同310人程度を想定しているとしたうえで「全体の8割程度は見通しが立っている」と述べた。医師は各競技団体を通じて確保したスポーツドクターが主体。看護師は現在業務から離れている人を中心に依頼しており「地域医療に支障を生じない形で人材を確保していきたい」と述べた。

●五輪、強まる接種頼み

 海外でワクチン接種が広がるなか、東京五輪に参加する選手や関係者にも接種を促す動きが加速している。開幕まで約2カ月。来日する約8万人の関係者やメディアの行動をどう制限し、感染拡大を防ぐのか。議論は大詰めを迎えている。IOCと日本側はともに「ワクチン接種を前提とせずに、安全で安心な大会を開く」と繰り返してきた。だが、IOCとファイザー社などが今月6日、各国・地域の選手団向けに無償提供を受けることで合意してからは、ワクチン頼みの姿勢が強まっている。

 コーツ副会長は21日の総括会見で「選手村に居住予定の75%がすでにワクチン接種をしているか、ワクチンを確保している。大会時には80%を超えるだろう」と述べた。また、「選手との接触が多い人についても協力する用意がある」と述べ、日本の大会関係者に対するワクチン確保の可能性に言及した。バッハ会長は19日、日本国内の世論を意識し「日本人を守ることが重要」と強調。「できるだけ多くの大会参加者がワクチンを接種したうえで来日することになるよう、IOCは努力する」とした。

 ある大会関係者は「欧米ではワクチン接種が進んでおり、新型コロナに対する状況が変わっている」と話す。この日の調整委員会では1万5千人の選手のほか、7万8千人の大会関係者が世界中から来日予定と明らかになった。選手村などで徹底隔離される選手と違い、条件を満たせば市中に出られる大会関係者やメディアの感染対策が課題。来日する各国や団体に違反がないよう管理・監督する責任者が各団体に置かれるが、専門家は「プレーブックは性善説に基づいており、実効性をどう担保するのか」と不安視する。

●月末宣言解除、厳しい見方 専門家、変異株に警鐘

 専門家から変異株への警鐘が鳴らされ、感染拡大の峠がみえない中で、5月末に東京や大阪などの「緊急事態宣言」が期限を迎える。解除か延長か。東京五輪への影響もにらむ菅政権は、来週にも難しい判断を迫られる。

 21日の「分科会」の終了後、専門家から31日までで9都道府県の宣言を解除することについて、厳しい見方が相次いだ。重く見たのは、感染や医療の状況。最も深刻な「ステージ4」から脱することが宣言解除の目安。人口10万人あたりの新規感染者数なら、1週間の合計で25人を下回ることが必要。だが19日時点で北海道が74人、沖縄県が64人、福岡県が61人と非常に多い。愛知、岡山、広島の各県でも50を超える。医療も危機的な状況が続いている。

 感染力が強い英国型の変異株が広がり、いったん感染状況が深刻になると、なかなか感染者が減らない。大阪府では4月5日の「重点措置」の適用直前から人出が減ったが、新規感染者数が減少に転じるまで、5週間かかった。従来株が主流だった「第3波」よりも2~3週間長い。また多くの専門家が指摘するのは、インド型変異株の脅威。初期の段階で抑え込まなければ、英国型から置き換わりが急速に進む恐れがあるという。

● 宣言延長、五輪へ影響懸念 政府

 閣僚や官邸幹部らは、すでに「宣言の延長やむなし」との考え。政府は先に専門家に異論を突きつけられ、当初の方針を一転させて北海道、広島、岡山を宣言に追加したばかり。宣言解除にあたって、専門家は「ステージ2」に向かうことを求めており、解除に踏み切るのは難しいとみる向きが多い。そうした中で政権幹部が苦悩するのは、宣言の延長が東京五輪・パラにどう影響するか、見極めが難しいこと。

 菅首相の五輪開催方針は、なお揺らがない。政府内には宣言を延長すれば、2~3週間の幅は必要との見方が強い。7月下旬の開会式が迫る中、宣言下で準備をスムーズに進めることができるのか。私権の制限が続く国民が、五輪の実現に理解を示すのかも不透明。閣僚のひとりは「国民の命と健康が脅かされているのに、『平和の祭典を』なんてとても言えない」と話す。

 一方、宣言を早期に解除すれば、感染力の強い変異株により一気に感染再拡大に至るおそれがある。9月初旬までの五輪・パラの期間中に、より深刻な事態に陥りかねない。首相は21日夜、宣言の延長についての考えを記者団に問われ、「感染拡大阻止のために全力で対策を講じることが重要だ」と説明。五輪については「安全・安心の大会にしていきたい」と、これまでの言葉を繰り返すのみだった。

●インド株 感染力懸念 厚労省「英国型の1.5倍」可能性

 インドなどで広がる変異株の感染力の強さへの懸念が強まっている。科学的に証明しきれていないが、田村厚労相は21日の閣議後会見で、感染しやすい英国株より1.5倍の感染力がありうるとの専門家の見方を示し「非常に脅威を感じている」と強調した。国立感染症研究所によると、インド株は17日までに国内で11例、検疫で160例が見つかっている。

 インド型変異株は、英国でも感染の広がりがみられている。英国の専門家助言組織の13日付の報告書によると、このタイプのインド型の感染が広がるスピードは、人の接触パターンなどだけでは説明しきれず、英国型と比べて、感染力が1.5倍になっている可能性もあるとしている。英国型は、従来株の1.5倍ほどの感染力とされる。

●全国5252人感染 沖縄と北海道で過去最多

 国内感染者は21日現在で、新たに5252人が確認された。重症者は1294人(20日時点)で、過去最多を更新した。死者は113人だった。都道府県別の新規感染者で最も多かったのは北海道727人で、過去最多を更新。これまで過去最多だった13日の712人を上回った。600人超は3日連続。北海道には16日から「緊急事態宣言」が出されているが、感染者数の増加が止まらない。次いで東京649人、愛知597人だった。

 「緊急事態宣言」の対象に決まった沖縄は207人と過去最多を更新。病床占有率は9割超の状態が続く。変異株の割合も県が実施する検査では前週の53.3%から、今週は72.3%まで上昇。感染拡大の要因の一つと県はみている。 

 内閣官房によると、全国の高齢者に接種されたワクチン(20日時点)で、1回目が166万3020人、2回目が13万8012人。65歳以上の約3630万人(4月現在の概算値)に占める割合は各4.55%、0.3%。

【5月22日】

●内閣支持率31%、菅政権では最低 毎日新聞世論調査

 毎日新聞は22日、全国世論調査を実施した。菅内閣の支持率は31%で、4月18日の前回調査の40%から9ポイント下落し、昨年9月の政権発足以降で最低となった。不支持率は59%で、前回の51%から8ポイント上昇した。東京五輪・パラについては、「中止すべきだ」が40%で最も多く、前回(29%)から11ポイント増加した。「再び延期すべきだ」は23%(前回19%)で、「中止」と「再延期」を合わせて6割を超えた。

●全国5040人感染 重症、最多更新1303人

 国内の感染者数は22日現在で、新たに5040人が確認された。亡くなった人は84人だった。厚労省によると、21日時点の重症者は1303人で、2日連続で過去最多を更新した。北海道では658人の感染が確認され、2日連続で全国で最多。愛知県が616人と続き、東京都は602人だった。大阪府では24人が亡くなった。23日から「緊急事態宣言」の対象地域に新たに加わる沖縄県は231人。2日連続で最多を更新した。

【5月23日】

● 沖縄 、「緊急事態宣言」開始 飲食店は休業対応に追われる

 沖縄県は23日から6月20日まで「緊急事態宣言」の期間に入り、県内全域で酒類を提供する飲食店などに対する休業要請が行われた。これを受けて那覇市久茂地の居酒屋では、6月20日までの休業を知らせる貼り紙を店先に掲示するなど休業に向けて準備に追われる様子が見られた。

●15府県独自にワクチン接種会場 17都道県も検討

 ワクチンの高齢者への接種をめぐり、少なくとも15府県が独自に接種会場を設置か、設置の方針。菅首相が接種完了を7月末と掲げる中、市区町村に加え、都道府県レベルでの設置が加速。17都道県も検討段階。政府は「1日100万回」を接種目標としている。会場を設置する都道府県には関連費用を補助するほか、新たに21日に承認された米モデルナ製ワクチンを供給する。予約については先行して実施している市区町村と「二重予約」になるケースも懸念され、各府県などは注意を呼びかける。

 設置・設置方針を示しているのは、宮城・群馬・埼玉・福井・愛知・三重・京都・大阪・兵庫・鳥取・広島・徳島・福岡・長崎・宮崎の15府県。このうち宮城・群馬・愛知3県では24日から接種スタート。このほか埼玉は6月1日、徳島が6月上旬、京都・大阪・兵庫は6月中旬から実施する方針。課題としては大半が、「打ち手となる医療従事者の確保」をあげた。

 設置の検討中は、17都道県。東京は、警視庁と東京消防庁の職員らを対象に築地市場跡地に設置する方針を21日に明らかにしたが、高齢者向けの会場設置は検討中。新たに会場を設ける流れは、県庁所在地や政令指定市も。横浜市・川崎市・長野市・甲府市・大阪市・佐賀市などは従来の接種会場に加えて、大規模な接種会場の設置を相次いで表明。堺市も21日に明らかにし、札幌市も設置の方針。

●独自ワクチン接種、焦る府県

 宮城県の村井知事は20日にJR仙台駅前の「ヨドバシカメラ」を会場に公表。予約開始は翌21日、接種開始は24日という早業。京都府も京都サンガの「京都府立京都スタジアム」(亀岡市)など2カ所に会場を設置。

 一方で、対象を名古屋市と周辺市町の住民とする愛知県では、場所がネック。予約開始から4日ほどたっても名古屋市民向け枠の4割近くは空いている。「遠いから行く人は少ない」と、県は無料送迎バスや駐車場の用意などを急ぐ。ほかにも、佐賀県では「体育館などはすでに別の催しなどが入っている可能性もある」。静岡県は「6~7月に連続して借りられ、空調設備などが整っているという条件に合う場所を見つけるのが大変」と話す。

 次々と独自の会場設置を表明する各府県の背景にあるのは「焦り」。高齢者への接種4月12日から、接種を1回受けた高齢者は全国で2.6%(5月16日時点)にとどまる。共通する課題は、医療従事者ら「打ち手」不足。鳥取県は歯科医師会、看護協会や薬剤師会にも協力を要請。長崎県では、臨床研修医を接種の担い手に長崎大などと調整中。徳島県は退職した看護師に加え、看護学生にも協力してもらう。准看護師の免許を持っていれば接種、免許がない学生は問診などに協力してもらう。

 政府は「7月末の完了」に向けて、都道府県などによる接種会場の設置へ旗を振るが、「1日100万回」接種も現時点では最大約50万回にとどまる。首相も連日のように河野大臣に電話をかけ、細かく指示を出しているという。政府は、都道府県が接種会場を設置する際にかかる関連費用を全額補助する。打ち手に関しては、医師らに払う接種対価を診療時間外や休日について引き上げたり、歯科医師による接種を特例として認めたりの側面支援を行う。

●全国4048人感染 沖縄、感染者が先週の倍

 国内の感染者は23日現在で新たに4048人が確認された。死者は全国で62人増えた。全国の重症者は22日時点で1304人で、3日連続で過去最多を更新した。23日から「緊急事態宣言」の対象に追加された沖縄県では156人の感染を確認し、前週の日曜78人から倍増した。

 北海道は605人で、5日連続で600人を超え、3日連続で全国最多の新規感染者数となった。富山県は64人で、これまでの最多を30人上回った。44人は射水市内の障害者施設での感染。東京都は535人。1週間の感染者数の平均は649.4人で、前週比80.5%となった。大阪府は274人で、300人を下回ったのは3月29日以来。

【5月24日】

●大規模接種、始まる 東京・大阪計7500人混乱なし
 
 政府が東京と大阪に設置した「自衛隊大規模接種センター」は、24日午前8時から接種が始まった。最初の1週間は東京23区、大阪市に住む65歳以上の高齢者が対象。初日の枠は東京会場が5千人、大阪は2千500人。今後、1週間かけて東京は1万人、大阪は5千人まで拡大する方針。31日以降は東京都内と大阪府内に、6月7日以降は首都圏4都県と関西3府県に対象を広げる。接種券を持っている高齢者で、まだ接種していない人が対象。

 政府が24日に発表した高齢者への接種回数(23日現在)と、高齢者の人口約3549万人をもとに計算すると、1回目の接種を終えた高齢者の割合は全国で6.1%。最も高いのは和歌山県の17.5%で、山口県の14.3%が続く。最も低い愛媛県は3.2%でばらつきもある。「1日100万回」という接種目標については、政府の公表データによると、これまでの最大は医療従事者と高齢者の合計で約50万回(5月17日)だった。1週間平均で計算して傾向をみると、徐々に増え、5月12日からの1週間では30万回超になった。

● 独自の大規模接種 愛知県、仙台市、群馬県で接種始まる

 愛知県は24日から、豊山町の県営名古屋空港と豊明市の藤田医科大学の大規模接種会場で、周辺自治体に住む高齢者への集団接種が始まった。宮城県と仙台市、それに東北大学病院が仙台市内の高齢者を対象に始めたワクチンの大規模接種は、JR仙台駅東口にある「ヨドバシカメラ」のビル、24日から始まった。ここでは1日当たり最大2100人の接種が可能、7月末までに高齢者への接種の完了を目指す。

 群馬県が運営する大規模接種も、24日午後から始まった。初日は太田市の高齢者100人への接種を無事終えた。この日は正午ごろから予約済みの高齢者が会場の「東毛ワクチン接種センター」(太田市の市立小学校跡)に集まりだし、約50人が入り口前で待つ状態となった。31日まで試験運用を行い6月1日から本格稼働する。7月末までの全高齢者への接種完了を目指し、11月末ごろまで運用を続ける。

●バッハ氏、五輪へ「犠牲」発言 波紋

 今夏の東京五輪・パラ開催をめぐり、IOCバッハ会長が国際ホッケー連盟(FIH)のオンライン総会に寄せたビデオメッセージが、波紋を呼んだ。発端はインドのPTI通信が報じたバッハ会長の発言内容。22日のFIH総会で「東京大会を実現するために、我々はいくつかの犠牲を払わなければならない」と話したと報じた。日本国内で24日、この報道を引用する形で報じられると、「だれに犠牲を求めているのか」とネット上で反発の声が上がった。

 会議に出席した関係者は、「犠牲」について「参加する方も今までと違った形なのでいろいろな制約があるけど、それは我慢してやるべきだというニュアンスと受け止めた」と述べた。IOCは24日、取材に対し報道内容を否定、「会長は『この前例のない状況に適応するため、オリンピック・コミュニティー(IOC、競技団体や選手ら、開催に関わる団体や人たち)の中にいる全員が、犠牲を払わないといけない』と述べた。日本の人々に対してではない」と説明した。

●入国より都内人出の影響大 五輪開催と感染拡大 東大グループが試算

 東京五輪が開催されると新型コロナの感染拡大にどの程度影響するか、東大経済学部の仲田准教授と藤井特任講師のグループが推計をまとめた。選手ら入国者による影響より、経済活動が活発になって都内の人出が増えることによる影響の方がはるかに大きいという。大会終了後に都内の感染者を増やさないためには大会期間中の人出を極力、抑えることが必要。「パブリックビューイングなど人が集まるイベントを避け、いかに人出を抑えるかがカギになる」と指摘する。

 7月23日に開幕予定の五輪には、1万5千人の選手のほか、大会関係者7万8千人が各地から来日する予定。今回のシミュレーションでは報道関係者らも合わせ、10万5千人が入国すると仮定。半数がワクチン接種を終えており、100人は検疫をすり抜けて感染したまま入国するといった前提で計算した。6月中旬に「緊急事態宣言」を解除し、国内でのワクチン接種が1日60万回のペースで進むとしたシナリオでは、都内の感染は10月中旬に再びピークを迎える。

 五輪を中止した場合、この時の1日あたりの新規感染者は820人。開催しても、経済活動を中止した場合と同じぐらいに抑えることができれば、感染者は20人増えるだけで840人にとどまる。だが、大会期間中に、応援に出かけたり経済活動が活発になったりして人流が2%増えると、ピーク時の感染者は1044人、人流が6%増えたとすると感染者は1601人となり、五輪が行われなかった場合と比べて、781人増えるという結果になった。この程度の人流増加は花見シーズンなどでもみられるという。

 東京大学のグループによる感染者数のシミュレーション 出典:NHK WEB NEWS

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●ワクチン接種、ばらつく進度

 ワクチンの高齢者への接種をめぐり、国が求める「7月末」の接種完了まで2カ月余り。各地で24日、大規模接種が始まった。1回目の接種を受けた高齢者が全国で6.1%にとどまる中、今後加速していくのか。菅首相は24日、「自衛隊大規模接種センター」の東京会場(大手町合同庁舎3号館)の視察の際、記者団に「ワクチン接種の加速化という未知のことに挑戦をするが、何としてもやり遂げる」と語った。24日は宮城・群馬・愛知3県でも独自に開設した会場で接種が始まるなど、全国規模で広がっている。

 都道府県別の接種の割合をみると、ばらつきがある。最も高いのは和歌山県の17.5%。県内の高齢者約30万9千人の約36%を占める和歌山市での接種が順調に進んでいる。和歌山市にある約280の医療機関が協力。高齢者が身近なかかりつけ医に電話をして予約し、接種を受けるという通常の「個別接種」のフローが徹底されている。このため和歌山県では、大規模接種会場を設ける予定はないとしている。

 一方4.5%の埼玉県では、7月末に向けて接種態勢に厚みを持たせるため、6月1日から1日700人規模を受け入れる接種会場を県が設置する。また3.2%と最も低かった愛媛県では、クラスター感染のリスクを避けるため、ワクチンを高齢者施設に優先配分。その後供給量の増加を受け、22日から松山市で集団接種が始まった。県の担当者は大規模接種会場の設置の予定はないという。

● 打ち手拡大、潜在看護師に期待 国、薬剤師活用には慎重

 接種の担い手をどう確保するか。厚労省は近く、専門家による会合を開く方針。歯科医師についてはすでに特例で認めている。看護師免許をもっている助産師や保健師は、そもそも免許をもっているので打てる。特定の条件で注射を打つことがある救急救命士や臨床検査技師らの扱いを議論する。海外では認められている国もある薬剤師も検討対象とする。通常の業務で注射することはないため、厚労省は極めて慎重。

 厚労省が期待するのは潜在看護師。結婚や妊娠などで職場を離れたまま復帰していない看護師で、全国で約70万人いると推計される。政府内には「打ち手の数が足りないのではなく、医師の参加率が悪い」との声もある。打ち手よりも、接種を受ける際に必要な問診にあたる医師の確保のほうが課題、との見方もある。問診は医師にしかできないため。

●大阪、再延長要請へ 緊急事態

 大阪府は31日を期限とする「緊急事態宣言」の再延長について、政府に要請する方向で最終調整に入った。医療態勢が依然として逼迫しているため。25日に対策本部会議を開いて正式に決める。大阪府で23日に確認された感染者は274人で、3月29日以来の300人以下となった。だが24日発表の重症患者は318人で、府が確保する重症病床の使用率は83.0%となっている。

●インド株にも有効、ファイザー製2回接種で 英の衛生当局

 感染力が強いとされるインド型変異株に対し、米ファイザー製のワクチンが、2回接種すれば「有効」だとする検証結果を英国のイングランド公衆衛生庁が22日発表した。米モデルナ製についても、米大学などの研究チームが接種者から採取した血液から有効性を確認したとする、専門家による査読前の研究論文を公開している。

 公衆衛生庁によると、ファイザー製は1回目の接種から3週間後の発症予防率が33%、2回目から2週間後は88%となった。日本で公的接種が当面見送られた英アストラゼネカ製も、それぞれ33%と60%だった。一方、米エモリー大学などの研究チームは今月、ファイザー製やモデルナ製のワクチンが、従来型よりも落ちるものの、インド型にも効果はあるとする研究を発表した。

●インドから帰国 待機期間延長

 インド由来の変異株の流入を防ぐため、政府はインドなど6カ国からの入国者に対する水際対策をさらに強化する方針を固めた。検疫所が確保する宿泊施設で待機してもらう日数を、現行の6日間から10日間に延ばす。入国前後の検査回数も4回から5回に増やす。対象国はインド、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、モルディブ、スリランカ。政府はこの6カ国については、日本の在留資格を持っていても再入国を原則として認めておらず、今回の対策強化は主に日本人の帰国者が対象。

●全国2712人感染 重症者は1300人と高止まり

 国内の感染者は24日現在、新たに2712人確認された。全国の重症者は23日時点で1300人と高止まりしている。東京都では、インド型変異株によるクラスターが初めて確認された。一方、愛知県は、検査会社が陰性を陽性と誤った問題で18~20日の同県の感染者が38人減ると発表した

【5月25日】

●緊急事態、再延長へ調整 9都道府県 来月20日まで案

 政府は、東京・大阪など9都道府県の「緊急事態宣言」の5月末の期限を、延長する方向で最終調整に入った。専門家の意見を踏まえ、週内に政府の対策本部を開いて決定する方針。対象は北海道・東京・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡で、感染状況や医療提供体制はいまだ大きく改善していない。新規感染者数は前週比で減少傾向にあるが、東京などでは大型連休後に人出が増え、専門家は感染者数が再び増加に転じる可能性も指摘する。

 24日時点で9都道府県の病床使用率は38~88%で、東京以外は「ステージ4」基準の50%を超える。首相官邸の幹部は「どの地域でも医療体制はまだ脆弱なまま。これで解除はできない」との見方。大阪府は25日、対策本部会議を開き、宣言の再延長を政府に求める方針を決めた。26日に要請する。吉村知事は会議で「医療体制は非常に厳しい状況が続いている」と述べ、兵庫県や京都府と一体で要請する方向で調整する。福岡県は25日、政府に宣言延長を要請した。

 延長期間について、政府内では6月20日までとする案が有力。7月23日予定の五輪開幕の1カ月前にあたり、できる限り感染を抑え込んで五輪につなげる狙い。官邸幹部は感染状況を改善させ、五輪の無観客開催を避ける思惑。政府は経済への打撃もあり、感染状況次第で先行解除や、2週間の延長にとどめる案も。一方、感染力が強いとされるインド型変異株への懸念あり、仮に感染状況が収まらず「再々延長」となれば、「五輪はアウト」との危機感がある

●ファイザー製ワクチン、12~15歳へ接種拡大へ
 
 EUの専門機関、欧州医薬品庁(EMA)は28日、独ビオンテックと米ファイザーが共同開発した新型コロナのワクチンについて、12歳~15歳への接種が可能だと判断した。従来は16歳以上だった。EUの欧州委員会が正式に承認する見通し。ファイザー製ワクチンの対象年齢引き下げはすでに米国が認め、接種が始まっている。EU内では、正式承認を前提にドイツが接種対象を広げると決めていた。具体的には各国の判断。

●米、日本へ「渡航中止」勧告 米五輪委は「選手の安全な参加確信」

 米国務省は24日、米国から国外に渡航する人向けの情報を更新し、日本への渡航を安全上の深刻なリスクがあるレベル3「渡航再検討」から、命を脅かすリスクが高いレベル4「渡航中止」に変更した。日本のほか、インドやブラジル、ドイツ、カナダなど約150カ国も渡航中止の対象になっている。約2カ月後に東京五輪・パラの開催が迫るなか、日本国内の新型コロナ感染状況を深刻に捉えていることを示している。

 渡航情報は、米国務省が公開情報のほか、米疾病対策センター(CDC)の分析などをもとに、最近は数日間隔で更新している。CDCの判断基準は、主に直近28日間の人口10万人あたりの感染者数と検査数の二つを組み合わせ。ただ、感染者が人口10万人あたり100人を上回れば、検査数に関係なく、最高レベルに該当。日本は今月8日以降に100人を超え、23日時点では119人になっていた。

 米国務省の報道担当者は24日、取材に対し五輪での日本への渡航者が「極めて限られている」との見方を示した。そのうえで、「日本政府とIOCが(今夏の東京五輪開催を)注意深く検討していることを我々は理解している」と述べた。さらに、「バイデン大統領は、大会に向けて練習を重ねて競う米国の選手たちを支持している」とし、五輪への影響に否定的な立場を強調。また米国の五輪・パラ委員会(USOPC)も24日、取材で「選手たちは今夏、安全に参加できると確信している」とし、選手団の参加を強調した。

●米メディア、五輪に不安視

 米メディアは五輪開催に不安視する。CNNは「東京五輪が迫る中、米市民は日本に渡航しないよう警告される」との見出しで報道。「開催へのハードルはますます高くなった」と伝えた。ブルームバーグ通信は、「五輪の開催をめぐり、国民と国際社会を納得させるのに苦労している日本にとって新たな打撃」と伝え、日本のワクチン接種率がOECD加盟37カ国の中で最低と指摘。AP通信は、「選手が大会に参加するかの判断に影響を与える可能」を指摘。東京を対象とした「緊急事態宣言」が延長の可能性に触れた。

 五輪開催をめぐって、米国の新型コロナ対策を指揮するファウチ大統領首席医療顧問が22日、米テレビで日本のワクチン接種率が低いことを踏まえ、「ワクチンを接種していない人が大勢集まるのには懸念がある」と強調。その上で、「何をするかは私が決めることではなく、日本が決めることだ」と語っていた。

● 米の渡航中止、五輪に「影響はない」

 米国務省の日本への「渡航中止」をめぐって、日本政府は東京五輪に直接影響はないとの見方を示す。加藤官房長官は25日の記者会見で「今回の判断と米国からの選手団の派遣は関連していないとの説明を米国から受けている」と明かした。丸川五輪相も同日の会見で「米国のオリンピック委員会は、米国代表の出場に影響はないと声明を出している。今のところ影響が見込まれることはない」と述べた。

 大会組織委員会の橋本会長は「影響はないと思うし、ないようにしなければいけない」と語った。東京都の小池知事は記者団に「安全安心な大会にするため総力を挙げて取り組んでいく」と述べた。日本政府はすでに五輪での海外からの観客受け入れ断念を決めており、政府高官は「米国から観客が来るわけじゃない。影響は全くない」と断じる。

●入国の所在確認、厚労省不手際次々 アプリ利用不十分

 新型コロナの水際対策で、政府は感染が確認されていない入国者にも、原則として帰国翌日から14日間、自宅などでの待機を要請している。3月以降、スマホのメールやアプリを通じて毎日、健康状態や位置情報を報告する誓約書の提出など対応を強化した。待機期間中の人は1日あたり2万~2万4千人ほど。このうち応答しない人が、4月時点で1日最大300人ほどいた。誓約書に違反しているとして、氏名公表の可能性があると伝えていた。

 しかし調べてみると、メールやアプリを使った報告の仕方が分からなかった人が多数いた。メールやアプリに応答がない時の所在確認に使うビデオ通話アプリ「Skype」が自動的にログアウトされ連絡がつかないケースもあった。「違反者」にはこれらが原因で連絡がつかなかった人が多く含まれていたことが判明。そこで使い方を周知徹底し、アプリも「MySOS」に変更。その結果、連絡がつかない人は100人ほどに減った。悪質な数人について、近くインターネット上で氏名公表の方向で調整している。

● 神戸市、独自の大規模接種会場 運用開始 初日は500人余りが接種

 神戸市は、ワクチン接種をさらに急ぐため、中央区のハーバーランドに大規模接種会場を設け、運用を始めた。初日の25日は歯科医師や看護師などおよそ170人態勢で対応し、午後1時半から554人の高齢者が次々と接種を受けた。

●ワクチン接種加速へ、対策次々 診療所の報酬上乗せ 救命士を打ち手に検討

 政府は25日、ワクチン接種を早めるための新しい対策を発表した。官邸関係者は、「少しでも接種スピードをあげるため」「お金で解決できるものなら」と口をそろえる。対策の一つは、診療所への報酬額の増額。土日と平日で接種回数が週150回以上、7月末迄4週以上続ければ、月180万円以上も上乗せする大盤振る舞い。病院の場合、休診日を接種にあてるなどの特別な態勢を取って、1日50回以上の接種を週1回以上、7月末まで4週間続ければ、1時間あたり医師7550円、看護師ら2760円が加算される。

 二つ目は、ワクチンの「打ち手」も増やす。救急救命士と臨床検査技師を加える検討を始め、薬剤師は予診や接種後の経過観察などを担う。救急救命士は免許取得者数約6万4千人のうち、当初は救急現場にいない消防職員1万2千人を対象。だが、管理職などとして救急現場に関与しているため、消防を所管する総務省関係者は「現場に影響は出る」と懸念する。その次は現場の救急救命士も「打ち手」にならないか議論する方向だが、厚労省幹部は、救急現場へのしわ寄せを心配する。

●全国3901人感染 重症1294人、高止まり

 国内の感染者は25日現在、新たに3901人が確認。死者は105人。全国の重症者は24日時点で1294人と高止まり。東京都の新たな感染確認は542人で、前週の火曜日(18日)と比べて190人減った。大阪府では新たに327人で、3日ぶりに300人を超え。愛知県は417人、1週間前の58人からは減っているものの、入院は1044人(24日夜時点)で過去最多を更新。石川県101人と沖縄県256人は1日あたりの過去最多だった。

 職場におけるコロナ感染症対策のお知らせ 出典:内閣官房ホームページ

職場におけるコロナ感染症対策のお知らせ 出典:内閣官房ホームページ

【5月26日】

●7都道府県、延長要請 緊急事態宣言 あすにも決定
 
 「緊急事態宣言」の東京と、「重点措置」対象の神奈川・千葉・埼玉の首都圏4都県は26日夜、政府に月末の期限の延長を要請した。要望書で、4都県は延長理由として、新規感染者は減少傾向にあるが、依然として高い水準で推移、流行の主体が変異株に置き換わっている点を挙げた。4都県の知事によるテレビ会議で、小池知事は「1都3県で足並みをそろえていることを発信することが重要だ」と述べた。要請後、小池知事は延長幅について1カ月ほどが望ましいとした。

 大阪・京都・兵庫の関西3府県も26日夜、共同で政府に延長を要請した。26日午前に3府県知事で協議し、飲食店などに求めてきた酒類提供の自粛を継続する方向で一致したという。広島・岡山両県も26日、政府に相次いで延長を要請。北海道も26日、政府に要請した。北海道では21日に過去最多の727人の新規感染者を確認し、24日まで4日連続で新規感染者数は47都道府県で最多、感染拡大に歯止めがかかっていない。すでに福岡県は25日に要請、愛知県も延長は不可避との立場。

 東京や大阪などは新規感染者数は減少傾向だが、官邸幹部は「まだ安定的に下がっているとは言えない」と話す。医療体制の逼迫もある。25日時点の9都道府県の病床使用率は36~93%で、東京以外は最も深刻な「ステージ4」の基準の50%を超える。

● 感染者減少 専門家組織「予断許さぬ」

 新規感染者数は全国的に減少してきたが、重症者数や死亡者数は高止まり状態。厚労省の「専門家組織」は26日の会合で「予断を許さない状況」と評価した。「緊急事態宣言」や「重点措置」などを念頭に「必要な対策の継続が求められている」と指摘し、延長を求めた。

 人口10万人あたりの1週間の新規感染者数は、直近では全国で26.78人と前週の33.11人より減った。しかし、5月1日時点に1050人だった重症者数は増加傾向が続き、24日時点でも1294人。死者数は1日に67人だったが、24日は86人と高いまま。都道府県別に直近の人口10万人あたりの1週間の新規感染者数をみると、東京都32.09人、大阪府31.76人と減少傾向にあるが、北海道79.50人、沖縄87.20人と高かった。11都道府県で新規感染者数は「ステージ4」相当で、専門家組織は「医療提供体制の厳しい状況が続いている」とした。

●朝日新聞「五輪中止」の社説

 朝日新聞は5月26日付朝刊に「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」とする社説を掲載した。スポンサー契約を結ぶ新聞社のうち、「中止」を明言した社ははじめて。選手や大会関係者らのことを考えれば「中止はむろん避けたい」としつつ、「誰もが安全・安心を確信できる状況にはほど遠い」として、中止の決断を求めている。

 一方で同社は同日、ウェブサイトに「東京2020オフィシャルパートナーとして」とする文書を掲示。オフィシャルパートナーとしての活動は続けると明言した。今回の社説を意識したものとみられ、「オフィシャルパートナーとしての活動と言論機関としての報道は一線を画します」「社説などの言論は常に是々非々の立場を貫いています」などとしている

●インドで猛威のインド型、国内でじわり拡大 

  インドでは一時、1日の新規感染者が40万人を超えた。インド型変異株の影響とみられている。インド型の猛威が伝えられ、政府は段階的に水際対策を強化してきた。インドで最初に確認された変異株が、国内でも徐々に広がっている。猛威を振るう英国型よりもさらに感染力が強い恐れがあり、市中感染が広がり始めているとの指摘もある。水際対策やスクリーニング検査など、警戒が強まっている。

 4月28日、インドを変異株の流行国に指定。入国者に求める入国前後の検査回数を2回から3回に増やした。入国後3日間は検疫所が確保する宿泊施設での待機とした。5月7日には周辺国からの入国者も含め、検査回数を3回から4回にする。宿泊施設での待機も6日間にした。25日には10日間まで延ばすと発表した。成田空港では、約50人の職員が検疫にあたる。隔離日数が増えるなど業務は増える一方で、人手が足りないという。

● インド型、英国型より強い感染力 国内で市中感染の恐れ

 厚労省は26日、国内でこれまでに計29人がインド型に感染したと発表した。24日時点で、15人だった。空港検疫では、17日までに160人の感染が確認されている。東京都が独自に実施する検査では、25日までに計14人からインド型が見つかった。うち9人は、海外渡航歴がある人との接触などが確認された例で、検疫での流入防止には限界があったことも表している。海外と直接の関連が追えない例も、報告される。市中感染の拡大が始まっているようだ。

 インド型の検出割合が高まる英国では、13日付の専門家組織の報告で、英国型と比べて感染しやすさが1.5倍になっている可能性があると指摘された。もう一つ懸念されているのが、従来株に感染した人にできた免疫の効果が弱まる可能性。従来株の情報で作られたワクチンの効果に影響する恐れもある。感染研の齋藤センター長は、「検疫で見つかる割合などから、インド型が国内に入ってきている数は、英国型の時よりもずっと多い可能性がある」と話す。

● 東京都 休業要請応じない飲食店9店に特措法に基づく「命令」

 東京都は「緊急事態宣言」のもとで休業要請に応じていない9つの飲食店に対し、新型コロナ対策の特別措置法に基づく「命令」を、新たに出した。今回の宣言で都が命令を出した店は、これで合わせて42になった。命令に従わない場合は、30万円以下の過料を科すこともできると規定されていて、都は、宣言期間中、営業状況を確認して違反が認められれば、裁判所に過料を科すよう求める手続きに入るとしている。

● 「五輪関連イベント開催で人の流れ増を懸念」 分科会尾身会長

 東京五輪・パラをめぐり、「分科会」の尾身会長は、衆議院厚労委員会で「アスリートやスタジアム内での感染リスクは、制御できるのではないか」という見解を示した。一方、大会の規模や社会的な注目度がほかのスポーツイベントとは別格だとして、パブリックビューイングなど大会関連のイベントが開催されることで、人の流れが増えることが懸念されると指摘した。

● 横浜港にワクチン大規模接種会場設置 6月6日から接種へ 横浜市

 横浜市はワクチン接種について、林文子市長は26日の記者会見で、6月6日から横浜港にある複合施設「横浜ハンマーヘッド」に独自の大規模接種会場を設置し、7月末までにおよそ9万2000人に接種を行うと発表した。

● ワクチン接種601万人余、85人死亡 「重大な懸念認められず」

 厚労省は26日に開いた専門家部会で、5月21日までにファイザーのワクチンの接種を受けた601万6200人余りのうち25歳から102歳の男女85人の死亡を確認したことを報告した。78%が65歳以上の高齢者で、出血性の脳卒中や、心不全などを起こしていたという。厚労省は現時点で重大な懸念は認められないとして引き続き接種を進めていくことにしている。

● 新型コロナ関連倒産 1500社に 請負業者の連鎖的な倒産も増加

  信用調査会社「帝国データバンク」のまとめによると、新型コロナの影響で倒産した企業の数が去年2月からの累計で1500社になった。調査会社は「飲食店や宿泊業などの倒産にともない、修繕や電気工事を請け負う事業者などが連鎖的に倒産するケースも増えている」と指摘した。

●重症の集計基準変更 大阪・京都

 厚労省は26日、25日時点の重症者は前日より119人多い1413人だったと公表した。これまで最多だった1304人を上回った。大阪府と京都府の対象データについて、同省がこの日から集計基準を変えたため大幅に増加した。厚労省は、各都道府県がホームページで公表している重症者数を集計して公表している。同省は、重症者の基準を①集中治療室(ICU)等で治療、②人工呼吸器を使用、③体外式膜型人工肺(ECMO〈エクモ〉)を使用のいずれかにあてはまる場合とする。

 これまで、高度治療室(HCU)の患者の扱いがあいまいで、大阪と京都についてはHCUを含まない公表データを厚労省側が拾って集計していた。HCUを含むデータを今回から採用したため大幅に増えたという。

●国内感染4536人

 国内の感染者は26日現在で、新たに4536人が確認された。死者は116人増えた。東京都の新規感染者は743人。続いて北海道551人、愛知県445人、大阪府331人の順に多かった。302人だった沖縄県は前日の256人を上回り過去最多。

【5月27日】

●緊急事態 来月20日まで延長へ
 
 菅首相は27日、今月末を期限に東京や大阪、福岡など9都道府県に出している「緊急事態宣言」を延長する方針を固めた。新たな期限は6月20日までとする。28日に専門家らによる「分科会」に諮り、了承されれば、その後の対策本部で正式に決定する。宣言に準じた「まん延防止等重点措置」についても、今月末に期限を迎える埼玉・千葉・神奈川の首都圏3県と岐阜・三重両県の計5県への適用を6月20日まで延長する。

 既に期限を6月20日として宣言が出ている沖縄県を含め、北海道・東京・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡の計10都道府県で宣言の適用が続く。政府は、7月23日開幕予定の東京五輪の1カ月前まで宣言を続け、感染状況を十分に改善させる狙い。宣言地域での規制は継続する方針。現在は、酒類やカラオケを提供する飲食店や酒の持ち込みを認めている店に休業を要請。1千平方m超の大型商業施設などには午後8時までの時短要請をし、知事の判断で休業要請もできることとしている。

●コロナ起源、米が追加調査 バイデン氏、中国流出説に言及

 新型コロナの起源について、バイデン大統領は26日、中国の研究所から流出した可能性に言及し、米情報機関に追加調査を求めたことを明らかにした。90日以内に報告するよう指示したという。声明によると、バイデン氏は今月初めに情報機関から新型コロナの起源をめぐる調査の報告を受けた。情報機関によって、(武漢ウイルス)研究所から流出した説と、動物を介して人に感染した説とで見解が分かれていたという。

 二つの説はともに信用性が「低いか中程度」という段階で、明確な結論には達していない。そのため、バイデン氏は米中央情報局(CIA)や国防情報局(DIA)などの情報機関で構成する「情報コミュニティー」に、結論に近づくような情報を集め、分析するよう求めた。バイデン氏は「各国と協力して、中国に対して透明性があり証拠に基づく国際調査に参加し、関連するデータや証拠へのアクセスを提供するように働きかけ続ける」とした。

 在米中国大使館の報道官は26日の声明で、「『研究所から流出した』という陰謀論が再浮上している」と反発した。起源をめぐっては、WHOの調査団が今年1~2月に武漢で現地調査を実施。報告書で研究所からの流出可能性を「極めて低い」とした。バイデン政権は調査の透明性に疑問を呈し、「(報告書の)手法とプロセスに懸念がある」としていた。

●韓国、ワクチン副反応恐れ ペース鈍化

 ワクチン接種がアジアの国々でも進んできた。韓国やシンガポールはITを活用して予約や接種の情報管理を効率化。パソコンやスマホが使えない高齢者のサポートにも気を配る。韓国では27日、ワクチンの接種対象が75歳以上から65歳以上に拡大された。政府のコロナ対策を担う疾病管理庁の庁長は「9月末までに国民の70%以上が1回目の接種を終えれば、以前の日常を少しずつ取り戻すことができる」と自信を示した。

 欧米に比べてワクチン確保が遅れた韓国で接種が始まったのは2月下旬。活用したのが国民全員が持つ13桁の「住民登録番号」。保健当局が予約や接種、副反応などの個人情報を一元管理。これを活用することで二重予約や誤接種を防ぎ、当初からスムーズな接種を可能にした。疾病管理庁の専用サイトで予約、受付後、携帯電話に確認メールが届く。インターネットが苦手な高齢者らには、代理申請や電話による予約も認めた。

 ただ、5月に入って接種ペースが鈍化した。韓国政府は米ファイザー製や英アストラゼネカ製など計9900万人分を契約したと主張するが、6月までは1300万人分の確保にとどまる見通し。いまはアストラゼネカ製も多い。まれに副反応の「血栓症」が報告されていることから接種を躊躇する人もおり、高齢者の予約率は6割弱にとどまる。保健当局は接種すれば、5人以上の私的集まりの禁止や屋外でのマスク着用義務などを緩和すると発表した。

● 台湾、「中国介入」 ワクチン調達に遅れ

 新型コロナの感染拡大を抑え、対策の「優等生」と呼ばれた台湾とシンガポール。だが、ワクチン接種では明暗が分かれている。台湾の蔡英文総統は26日、「ドイツ企業から直接入手する契約に至りかけたが、中国の介入で成功していない」とワクチンの調達遅れを明した。5月の蔡総統の支持率は2期目で初めて5割を切った。

 台湾は4月末まで87人だった域内感染者が5月27日時点で5584人と急伸し、ワクチンへの注目が高まった。これまでの接種は約32万回で人口の1%強。これまでに調達できたワクチンはアストラゼネカの70万回分だけだが、量さえそろえば、迅速に接種することは可能とみられる。台湾の苦境を見た中国は、自国製や中国企業が販売契約を結ぶ独ビオンテックと米ファイザーが共同開発したワクチンの提供を呼びかける。だが、3月の世論調査で6割強が中国産の接種を拒否。打開策は見えない。

● シンガポールのワクチン、40歳以上も対象

 シンガポールは、昨年12月に医療従事者らの接種が始まった。1月から70歳以上で始まり、すでに40歳以上も予約対象。ファイザー製と米モデルナ製をいち早く確保。人口が約570万人と少ないこともあり、8月には全成人で1回目の接種を終える計画。

 59歳以下の予約はオンラインのみ。高齢者には手紙での案内も送付し、公民館で予約できるようにした。3千人いる高齢者支援のボランティアが予約を支援する。さらに6月からは、各地を巡回して接種を進める医師と看護師のチームを設ける。寝たきりの高齢者らの自宅や介護施設を巡回し、本人や家族への接種を進める計画。

● 英国のワクチン、「かかりつけ」制度に評価

 世界有数の速さでワクチン接種を進める英国。ワクチン「青田買い」などの大胆な策に注目が集まるが、国内で評価されているのが「かかりつけ医」。その基盤が、公的医療網を張り巡らせ、無料で医療を提供する国民保健サービス(NHS)。第2次世界大戦後の福祉国家を支えた制度の一つで民営化を推進したサッチャー保守党政権以降も生き残ってきた。

 住民はNHSで普段から「かかりつけの総合診療医(GP)」を登録。接種対象者には、NHSからGPなどを通して案内が届き、予約を入れる仕組み。接種後にNHSアプリを開くと、受けたワクチンの製造元やロット番号、接種の日時が表示された。

●五輪、人流抑制なお課題 大会関係者減らず 有観客推す声

 コロナ下の東京五輪・パラに逆風が強まるなか、IOCや大会組織委は選手や関係者への感染症対策を進めるが、人流の抑制など課題は山積。約1万5千人の選手が来日する。外部との接触を遮断し、隔離された環境を作る「バブル」方式を導入。選手村からの外出は競技場や練習場などに限り、観光地や飲食店などへの出入りも認めない。移動は専用車を使う。

 こうした行動管理に加え、関係者が期待を寄せるのがワクチン。IOCは各国・地域の選手団計2万人分にワクチンを無償提供。大会時に選手村に入る選手らの接種率は80%を超えるとの見通しを示す。日本でも6月1日からナショナルトレーニングセンターで、選手や指導者ら約1600人を対象に接種が始まる。組織委の武藤事務総長は27日、取材に「(スタッフらへの)接種は早くても6月20日前後になる」と語った。

 課題は人流をいかに抑制するか。現時点で世界中から来日する大会関係者は約7万8千人と想定。大会延期前の「約18万人」から半分以下に減らしたが、IOC委員や各国オリンピック委員会の関係者は減っていない。6月中に示される観客上限の判断も人流抑制の焦点。政府や組織委内では「有観客」を推す声もある。公園でのパブリック・ビューイング(PV)計画もあり、人出が増える要因になる。観客有無の判断後に方針をまとめるとう。

● 五輪、行動ルール「不十分」

 五輪選手や関係者の行動を定めた「プレーブック」には、海外の公衆衛生の専門家からその不備を指摘する声があがる。プレーブックは4月下旬に第2版が公表された。「プレーブックは科学的なリスク評価に基づいていない」と、改善を求める論文が25日、米医学誌に掲載された。論文を書いたのは、バイデン米大統領のコロナ対策元アドバイザーの米ミネソタ大教授ら4人。論文では、競技によって感染リスクが違うのに一律に扱っている、リスクが高い宿舎など屋内での対策の詳細が不明だとしている。

 また、競技中に選手が持ち歩かないスマホのアプリを使って接触確認をしたり、マスクは原則選手側が用意といった不備を指摘。「聖火がともるまで2カ月を切った今、開催中止が最も安全な選択肢かもしれない」としつつ、イベントや場所ごとに感染リスクを区別するほか、医療用マスクの配布や屋内の人数制限、ウェアラブル端末による接触確認の導入などを提案した。

 選手向けの検査についてプレーブックでは「毎日、唾液による抗原検査を行い、陽性の場合はPCR検査を実施する」としている点について、論文では精度が高いPCR検査を「最低1日1回は実施すること」を求めた。IOCや組織委などは、プレーブックを6月に最終版に改訂する予定。競技別の詳細なガイドラインは別に作成中で、国際競技団体などと協議を重ねている。

●一般向け接種券、来月中旬発送

 厚労省は、ワクチンの接種券を、65歳未満の一般国民向けにも6月中旬から発送するよう自治体に伝えた。一斉に送付すれば、予約などで混乱する可能性があるため、年齢の高い順や地域別など、段階的に送付するよう推奨。接種の優先順位は、①医療従事者、②65歳以上の高齢者、③基礎疾患がある人、高齢者施設などの従事者、60~64歳の人・・・の順番で、それ以外の人たちは原則、この後の接種となる。

 高齢者への接種が終わりきらなくても、基礎疾患がある人への接種を始めることも認める。基礎疾患の確認に診断書は必要なく、本人が予診票に病名を記載すればよい。高齢者施設で働く人は施設が発行する証明書、60~64歳の人は予診票の生年月日で、対象になるかを確認する。

●個別接種、クリニック苦闘 昼休み返上して「ミニ集団接種」

 ワクチン接種を進めるため、多くの自治体が、かかりつけ医による「個別接種」に大きな期待を寄せている。個別接種は高齢者が日ごろ通院する診療所や病院で、かかりつけ医に接種してもらう方式。地域の医療機関では接種の回数を増やそうと、昼休みを利用するなど工夫を凝らす。ただ、医療スタッフへのワクチン接種が済んでいなかったり、急なキャンセルへの対応を迫られたり、課題は少なくない。

 大阪府南部のあるクリニックでは、院内感染を恐れて複数の職員が辞め、人手が足りない。職員への接種も始まっておらず、「丸腰のままではうてない」と院長は話す。練馬区の内科クリニックは「私が普段から診ているすべての患者に接種するには1年かかる。行政は接種を現場の医療機関に丸投げしている」と不満を隠さない。菅首相は、1日100万回接種の根拠として、「インフルエンザの接種は(1日で)60万回ぐらいできている」と述べた。院長は「従来のインフルの接種では、15~30分の健康観察も、待合室の3密対策も必要がなかった。菅さんは、勘違いをしている」と憤る。

 個別接種を重視する自治体は全国に広がり、各地で大規模接種の構想が打ち出されても、接種の推進に大きな役割を果たす点は変わらない。ただ接種のペースは、個別接種と集団接種、24日から始まった大規模接種を合わせても、目標の1日100万回にはなかなか届かない。首相官邸がウェブサイトで公表している接種回数は27日時点で、24日の約62万回が最多。

●7月末の接種完了 公明党が調べたら、政府公表の倍 248自治体「難しい」

 ワクチン接種で菅首相が掲げる「7月末までに高齢者完了」をめぐり公明党は26日、独自の調査結果を発表した。1741市区町村のうち248が「難しい」と答え、政府が21日に公表した調査結果の約2倍にのぼった。政府の調査がずさんだった可能性がある。政府調査で「難しい」と答えたのは最新の調査で125自治体。公明は、接種を終えられない理由を調べ、改善につなげようとしたが、政府がどの自治体が「難しい」と答えたのか情報を開示しなかったため、独自に調査したという。

 各都道府県本部を通じて調査したところ、7月末の完了が難しい理由として、「医療関係者の確保が困難」とした自治体が187(75%、複数回答可)にのぼった。政府調査の精度については、調査を担当した総務省関係者も「達成に向けて全力で頑張るという、市町村の決意表明みたいなもの」と語っている。

●全国4141人 死者、119人

 国内の感染者は27日現在で、新たに4141人が確認された。死者は大阪府の30人を含め、全国で119人増えた。厚労省によると、26日時点の重症者は1371人。大阪府と京都府でデータの集計基準を変えたため、過去最多だった前日(25日時点)から42人減ったが、依然高止まりしている。東京都では684人の感染が確認された。前週の木曜日(20日)から159人減った。27日までの1週間平均の感染者数は585人で前週の83.1%だった。

 4月12日に始まった国内の高齢者への接種。出足の鈍さも指摘されたが、国が発表した1回目の接種回数をもとに算出すると、今月26日時点で9.4%。ここ3日間でうち4分の1以上を積み上げたことになる。市区町村での接種が本格化したことに加え、大規模接種会場が各地に設置され始めたことも理由の一つ。内閣官房の担当者は、「ペースは明らかに加速している」という。

【5月28日】

● 9都道府県「緊急事態宣言」、来月20日まで延長を決定 五輪開幕1カ月前

 菅首相は28日、東京や大阪など9都道府県に出している「緊急事態宣言」について、6月20日まで延長することを決めた。酒類やカラオケを提供する飲食店への休業要請や、大型商業施設への時短営業の要請も続ける。延長するのは今月末に期限を迎える北海道・東京・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡の計9都道府県。このうち東京・京都・大阪・兵庫の4都府県は12日に延長しており、今回再延長となる。6月20日までが期限の沖縄県を含め、宣言は計10都道府県で続く。

 2021/5/28時点の「緊急事態宣言」の延長 出典:NHK WEB NEWS

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 首相は、28日夜の記者会見で「英国株の割合は8割を超え、インド株も確認されている。感染者数の減少につながるまで以前より長い時間を要している」と説明。そのうえで「これからの3週間は感染防止とワクチン接種という二正面の作戦の成果を出すために極めて大事な時期」と語った。首相は五輪・パラについて「多くの方々から不安や懸念の声があるとは承知している。そうした声をしっかりと受け止め、関係者と協力しながら安全安心の大会に向けて取り組みを進めている」と述べ、開催に意欲を示した。

 この日の「分科会」では、9都道府県の感染状況について「水準は引き続き高い」(西村経済再生相)との認識が示された。尾身会長は記者団に「緊急事態宣言の効果が前に比べて減少している。これから延長するわけで、(政府が)大きな方向性を示さないと市民に協力してもらえない」との危機感を示した。

 政府は、宣言延長の期間中に、高齢者へのワクチン接種を加速し、感染状況を解除目安となる「ステージ3」から「ステージ2」に着実に向かわせたい考え。一方、延長期限である6月20日の約1カ月後は、五輪の開幕が控える。感染を一定程度に抑え込めれば、観客を入れた開催につなげることができるとの思惑も。また「まん延防止等重点措置」については、今月末期限の埼玉・千葉・神奈川・岐阜・三重の5県へ6月20日まで延長する。6月13日に期限を迎える群馬・石川・熊本の3県については変更しない。

●映画館・美術館、再開認める 東京

 「緊急事態宣言」の延長を受けて、東京都や大阪府など9都道府県は28日夜、対策本部会議を開き、6月1日以降の対策を決めた。東京・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡の8都府県では全域で、北海道では札幌市や旭川市など10市町村で、酒類を提供する飲食店への休業要請と、提供しない飲食店への午後8時までの時短要請が継続される。

 東京都は生活必需品売り場を除いて休業を求めていた百貨店などの大型商業施設には平日は午後8時までの時短要請に切り替え、土日のみ休業を要請する。パチンコ店、ゲームセンター、スーパー銭湯などにも同様に平日は午後8時まで、土日は休業を要請する。休業を要請していた映画館(1千平方m超)は午後9時まで、博物館や美術館などは午後8時(イベントの場合は午後9時)までの時短要請に切り替える。いずれも、入場者数を最大5千人かつ収容人数の50%を上限とする。

●小出し限界、抑え込めず 「延長は最後か」 首相、明言避ける 緊急事態

 国民は様々な制限を求められ続けている。菅首相が掲げた期限はまたも守られず、宣言を「小出し」に再発出や延長や再発出を繰り返す対応が、「国民の不満が爆発している。納得が得られていない」と政権内でも危惧する声が漏れる。新たな期限は6月20日。その1カ月後に控える五輪開幕に向け、何とか感染を抑え込みたい考え。再延長を決めた28日夜。首相は記者会見で「今回の延長を本当に最後にする覚悟があるのか」と問われ、「国民の間に自粛疲れや慣れが出ている」と応じ、明確な返答は避けた。

 東京や大阪はようやく減少傾向が見えだしたが、北海道や沖縄では感染者増が続く。宣言下にある10都道府県の病床使用率は、東京を除き「ステージ4」を抜け出せない。そうした中で、政権が強調するのが「ワクチン効果」。「1日100万回接種」「7月末までに高齢者接種を終わらせる」。政権幹部らも「根拠がない」と漏らす首相の大号令のもとで、政権はワクチン接種の加速に血道を上げる。

 この先の感染状況を、官邸幹部らはどうみているのか。政府高官は「ワクチンが進めば重症者も減り、医療も改善される」と期待感を示す。ただ、コロナ対応を担う幹部官僚は「フタを開けてみないと分からない」。20日を延長の期限とした根拠については、野党からは「五輪ありきの日程だ」との指摘が出ている。首相はどんな出口戦略を描いているのか。28日夜の会見で口にしたのは「感染状況や医療の逼迫状況を踏まえ、専門家の意見を聞きながら総合的に判断する」という、これまでも繰り返してきたフレーズだった。

● 変異株と人出に不安 カギ握るワクチン

 多くの自治体で感染状況は改善傾向にあるが、感染力が強い変異株の影響で、最近の新規感染者数は、沖縄県・北海道が深刻な状況で「ステージ4」を脱していない。東京・大阪など8都府県は改善傾向。大阪府はピーク時の3分の1以下で、東京都とともに「ステージ3」に近づきつつある。療養者数は、北海道・大阪府・福岡県と極めて厳しい状況が続く。英国型の変異株が全国で急速に広がっていることから、感染の減少ペースが鈍く、重症化した患者の入院が長引くと指摘されている。

 「緊急事態宣言」の再延長を了承した28日の「分科会」では、「ステージ3」に入り、「ステージ2」の方向に着実に進むことが確認できた段階で宣言を解除すべきだという意見が大勢を占めた。人出を抑えることが必要だが、厚労省の「専門家組織」によると、東京都では繁華街の夜の人出が前週比で7%増えているという。さらに感染力が強い恐れがあるインド型変異株の広がりを遅らせることも課題。

 一方、これまでの宣言延長と異なる要素が、政権が「頼みの綱」とするワクチン接種。今後の進展がカギを握る。 接種は、1回目をうち終えた高齢者の割合が10%を超えたところ。医療従事者を除く国民全体では3%、2回目を終えたのはわずか0.2%。政府は「6月中旬以降は1日100万回接種」とするが、今のところは最大でも1日約63万回にとどまっている。感染学の専門家は「感染状況に大きく影響するのは活発に活動する世代で、高齢者への接種が流行拡大を抑える効果は限定的」と指摘する。。

●五輪前提 背水の首相、有観客に強いこだわり
  
 菅首相は「緊急事態宣言」の再延長で、五輪・パラに向けて「背水の陣」を敷いた。再延長を発表した28日夜の首相の記者会見では、五輪をめぐる質問が相次いだ。「宣言下でも五輪ができると考えるか」。記者団から重ねて問われた首相は「テスト大会も国内で4回開催している。(様々な声に)配慮しながら準備を進めている」と説明、五輪実現に自信を示す。官邸幹部は「感染が落ち着けば、世の中は五輪でどんどん盛り上がる」。自民党の重鎮も「とにかく開きさえすれば、日本中のムードは変わる」と強気。

 「五輪をやめる選択肢はない」と言い切る政権中枢の関心はいま、観客を入れて大会を開けるかどうか。当初は4月中に基本方針を示す予定だったが、「宣言中に決めるのは難しい」(組織委の幹部)との声もあり、先送りされている。組織委の橋本会長は28日、「政府がその(緊急事態宣言解除)後、基準を示すと思う。その基準に沿って考えなければいけない」と話した。関係者の間では、延長の期限の6月20日ごろが、決定の節目との見方が広がる。

 橋本氏は4月末には「無観客を覚悟している」と語っていた。背景にあるのは医療体制への負荷や、人の流れが活発になることへの懸念。宣言の延長を了承した28日の「分科会」でも五輪をめぐり意見が交わされた。「人流が大きく動くということにならない形でないと開催は難しい」。しかし首相は、満員でなくても観客を入れた開催に強いこだわりをみせているという。国民ともに開く祭典にするためにも、観客の存在が欠かせない・・・。

 政権が五輪後に見据えるのが、秋までにある衆院解散・総選挙。7月初旬には、五輪開催都市である東京の都議選もある。首相に近い党幹部は「政権の未来は五輪をやれるかやれないかにかかる」。その五輪のありようは、コロナの感染状況にも大きく左右される。首相は最近、周辺にこんな見立てを語ったという。「6月20日には、感染者数は十分に減っているだろう」

●見通し甘い、五輪現実的でない 緊急事態再延長で野党

 「緊急事態宣言」が再延長されたことに対し、野党からは政府の責任を問う声があがった。期間は来月20日までで、東京五輪開幕まで1カ月に迫ることから、開催を疑問視する意見も強くなってきている。立憲の福山幹事長は28日、記者団に「国民の皆さんもいよいよ『またか』という思いだ」と強調。今回の宣言は菅首相が「GWの短期集中対策」として出したが、延長は2度目。福山氏は「菅政権の見通しの甘さが明らかになった」。

 国会の会期末が6月16日に迫る中、安住国対委員長は「説得力のない延長決定が、この国を不幸にしているのであれば、内閣を信任できないという意思表示をする」という。来月9日の党首討論を踏まえて、野党は内閣不信任案を提出するかどうかを決める方針。28日の衆院議院運営委員会で、立憲の渡辺幹事長代行は宣言期間の再々延長の可能性を問うたところ、西村経済再生相が「先のことを申し上げるのは控えたい」としか答えなかった。これを受け渡辺氏は「東京大会は、この夏の開催は現実的にはもはやない」と指摘。

 IOCの最古参委員であるパウンド氏が「菅首相が中止を求めても、それはあくまで個人的な意見に過ぎない。大会は開催される」と述べたとされる件についても議論された。共産党の塩川氏は「こんな発言を容認するのか。抗議すべきではないか」と質問。西村氏は「どのような背景があって、そういう発言をされたのか承知していない」などと述べるにとどめた。

●耐える飲食業界、募る不安 「経済大事」に取り残され 緊急事態再延長

 東京など9都道府県の「緊急事態宣言」が再延長され、経済活動の本格再開はまた遠のいた。時短などの不自由な営業に終わりが見えず、制約が大きい飲食業界では政府の対応に不満が募る。後手に回っている政府の支援策は、いまだに手元に届かない人も多い。今回の再延長の期限は6月20日。首都圏などでは2度目の宣言が出された1月以降、飲食店の多くが半年近くも時短などの制約を受け続け、我慢の限界を迎えつつある。外出自粛も続き、旅行や航空・鉄道など、対面型のサービス関連の消費は落ち込みが避けられない。

 野村総合研究所の試算では、今回の再延長の決定で新たに生じる経済的な損失は1兆2420億円。3度目の宣言の期間全体では3兆円を超え、4~6月期は2四半期連続のマイナス成長に陥ると見込む。

● 3月の時短協力金、まだ 支援の遅れが目立つ

 休業を続ける新橋のおでん屋の経営者は、2度目の宣言中にあたる3月の「時短協力金」がまだ振り込まれない。「お金が届くのは早くても要請に応じた月の3カ月後くらい。少し書類に不備があればさらに遅れる。入金までの期間の運転資金がない店は厳しい」と話す。「なぜ再延長するのか、どうなったら解除するのか。それが見えないから、飲食店が振り回されている」

 1~3月の2度目の宣言で影響を受けた中小事業者向けに配る最大60万円の「一時支援金」は、24日時点の申請件数が約38万件で、そのうち給付した件数は約22万件。もともと申請受け付けの体制整備が遅かったうえ、手続きの煩雑さも壁。さらに、3度目の宣言中に影響を受けた中小事業者向けには1カ月あたり最大20万円の「月次支援金」を配る予定だが、受け付けは6月中下旬から。

 政府は、雇用を維持した企業の休業手当を支援する「雇用調整助成金」の特例も7月末までの延長。助成金の効果で失業を抑えているが、4月の完全失業率は6カ月ぶりに悪化した。

● 菅首相会見「来月中には一般接種を開始」

 菅首相は、9都道府県の「緊急事態宣言」を延長すると決めたことを受けて、28日夜、記者会見し、来月中には高齢者への接種の見通しがついた市町村から基礎疾患がある人を含め、広く一般の人への接種を始める考えを強調した。

●7~9月調達、7000万回分 ファイザー製 河野大臣見通し

 新型コロナのワクチン接種をめぐり、河野行革相は28日の記者会見で、7月から9月末にかけて、米製薬大手ファイザー社製のワクチン7千万回分(2回接種で3500万人分)を調達できる見通しが立ったことを明らかにした。自治体への配送スケジュールは今後調整する。

 政府は1月、ファイザー社と年内に1億4400万回分(7200万人分)の供給を受ける契約を締結。5月には今年9月までに5千万回分(2500万人分)の追加契約を結んでいる。ファイザー社製のワクチンについては、今年6月末までに約1億回分(約5千万人分)が自治体に配送される予定で、今回と合わせて契約の約87%の調達の見通しが固まった。河野氏は、残り契約分の約2400万回分(約1200万人分)についても、「第4四半期(10~12月)に来ることになる」と語った。

●確保のアストラ製、台湾に提供を検討

 政府は、新型コロナワクチンの調達が遅れている台湾に、日本国内向けに確保している英アストラゼネカ製ワクチンを提供する方向で検討を始めた。台湾との連携強化に加え、日本国内での公的接種で使用が見送られているアストラゼネカ製を有効活用する狙いもある。茂木外相は28日の閣議後会見で、台湾でのワクチン不足を指摘したうえで、「それぞれの地域の状況、我が国との関係なども考えながら、しっかり検討していきたい」と述べた。

●男性、失業率0.4%悪化 女性、職探しなお苦境 4月の雇用厳しさ続く

 総務省が28日発表した4月の完全失業率(季節調整値)は、2.8%で前月より0.2ポイント悪化した。男女別にみると男性が3.2%で、0.4ポイント増と大きく悪化。女性は2.3%で0.1ポイントの改善だったが、新型コロナ禍で厳しい雇用環境が続いている。完全失業率は、労働力人口に占める完全失業者の割合を示す。仕事がなくても職を探していなければ、完全失業者にも労働力人口にも数えられない。

 男性の悪化は、完全失業者が122万人と前月より14万人増えたため。だが労働力人口は3806万人と6万人増え前月の26万人減から増加に転じた。定年を迎えた人や雇用を切られた人などが、新たに仕事を探しはじめた可能性がある。一方、女性が改善したのは完全失業者が71万人と2万人減ったため。労働者人口は3054万人で10万人減と2カ月連続で減少、女性が多く働く飲食などの非正規雇用はなお厳しい状況にあり、職探しをあきらめている人が相当数いる可能性がある。

 一方、厚労省が同日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍で前月より0.01ポイント低下した。今年1月以降、1.09~1.10倍とほぼ横ばいで推移。業種別の新規求人数は、宿泊業・飲食サービス業が前年同月比で2.9%増えた。プラスは2019年10月以来1年6カ月ぶり。ただ、教育・学習支援業の43.6%増、製造業の32.8%増などと比べると低い水準が続き、業種間の格差が大きいまま。

●東京の人出 V字増加 感染拡大懸念

 3回目の「緊急事態宣言」から1カ月余りで迎える再延長。この間、東京の人の流れはどう変わったのか。人出が減れば、2週間後には新規感染者数は減る。二つの指標には、こうした相関関係がこれまでも指摘されてきた。ソフトバンクの子会社「アグープ」の昨年4月1日~今年5月25日のデータを活用し、渋谷や新宿、銀座、六本木など14駅の日ごとの平均人口を1週間単位で集計した数値をもとに分析。3回目の期間中の人の流れを調べた。

 宣言後の4月28日から1週間の人の流れは、前週比で64%にまで減少。感染者数はこの週と比べ、2週間後の5月12日の週は90%に、さらに3週間後の19日の週は73%にまで減った。だが、人出はその後、「V字」を描いて増加傾向に転じていく。前週比で5月5日からの週は124%、同12日からの週は115%となり、同19日からの週は100%と横ばいに。感染者数は4月28日の週を境に減少傾向が続くものの、人出の増加に歯止めがかからなければ、感染者数が再び増加してしまうおそれがある。

●五輪・パラ関係者1649人、入国 うち87%を待機免除

 新型コロナの感染拡大防止のため、外国人の新規入国を停止する中、4月以降に東京五輪・パラの大会関係者や選手ら1649人が入国し、うち1432人は政府が入国者に求める2週間の待機を免除したことが明らかになった。28日の衆院厚労委員会で、立憲民主党の長妻氏の質問に対し、政府が説明した。政府は現在、日本人や永住者の配偶者ら「特段の事情」がある場合のみ、入国を認める。その場合も自宅や宿泊施設での2週間の待機を求めている。

 一方、五輪・パラの選手、コーチや審判、役員といった大会関係者は、入国後もPCR検査を繰り返すことなどを条件に、待機期間を短縮する例外措置をとる。原則として選手は入国直後から練習できる。政府の説明や資料によると、4月から5月16日までに入国を認められた五輪・パラ関係者は約80の国・地域の1649人。この87%について、2週間の待機を免除。インドからも4月以降、24人が入国し、5月に入国した14人は全員が待機期間を緩める措置がとられた。

●全国3708人感染 重症、1375人

 国内感染者は28日現在、新たに3708人が確認された。亡くなった人は95人。重症者(27日時点)は過去2番目に多い1375人だった。沖縄県の感染者数は313人で、26日の302人を上回って過去最多となった。東京都の感染者は614人。前週の金曜日(21日)と比べて35人減った。20代が168人と最も多く、30代133人、40代104人と続いた。28日までの1週間平均の感染者数は580.0人で前週の86.0%だった。

【5月29日】

●米、6兆ドル予算教書 コロナ復興へ積極財政

 バイデン米大統領は28日、2022会計年度(2021年10月~2022年9月)の予算教書を議会に示した。歳出は約6兆ドル(約660兆円)に上り、予算の要望ベースでは戦後最大規模。積極的に市場に介入する「大きな政府」への転換でコロナ禍からの復興を図る。国防費の伸びは抑えつつも、「中国の脅威への対抗を優先する」と掲げた。大統領には予算案の提出権がなく、教書などで議会に立法を促すしかない。

●インド株「水際対策強化を」全国知事会、国に緊急提言

 「緊急事態宣言」が延長されるのを受け、全国知事会は29日にオンライン会議を開き、国への緊急提言をまとめた。インド型変異株への懸念が相次ぎ、鳥取県の平井知事は国の水際対策について、「英国株では失敗した」と指摘。千葉県の熊谷知事も「検疫を通り越して感染者が出ている」と述べた。提言では、水際対策の強化、入国者の健康観察期間中の所在把握、疑い例の情報共有、国の機関だけでなく地方でも変異株を洗い出せる検査体制の支援、などを国に求めた。

 ワクチンについても、7月以降の供給スケジュールや配分量などを提言した。一般向け接種の加速に向け、居住地以外の職場や学校単位で接種できる措置を求める声も複数出た。

● 職場でのワクチン接種 6月中旬にも 家族なども対象で検討 政府

 政府は、早ければ来月中旬にも、職場でのワクチン接種を始められるよう調整を進めていて、従業員だけでなく、その家族なども対象とすることや、モデルナのワクチンを活用することを検討している。

●全国3595人感染 重症者1383人

 国内感染者は29日現在、新たに3595人が確認された。亡くなった人は91人だった。重症者数(28日時点)は前日より8人増え、過去2番目に多い1383人となった。東京都では、新たに539人の感染を確認。前週の土曜日(22日)と比べて、63人減った。大阪府では216人の感染を確認、1日あたりの感染者数が300人を下回るのは2日連続。沖縄県では335人の感染が明らかになった。新規感染者は28日の313人を上回り、2日連続で過去最多を更新した。

【5月30日】

● ベトナム、インドで確認の変異ウイルス さらに別の変異か

 ベトナム保健省は29日、インドで最初に確認された変異株に感染した4人から、さらに別の変異が起きたものを検出したとする専門家の分析結果を公表した。ベトナムでは、これまで感染者の数が比較的抑えられてきたが、先月末以降は、多い日には1日に400人以上の感染が新たに確認されるなど増加傾向が続いている。

●ワクチン不信、残るトランプ流 米接種率 広がる地域差・党派差

 ペンシルベニア州フルトン郡を、車で走ると三つの旗が目につく。一つは、1860年代の南北戦争で南部連合が掲げた「南軍旗」。奴隷制や人種差別のシンボルに見られることも多い。二つ目は、警官の命の大切さを訴えるもので、「白黒の米国旗」に青色の横線が入っている。「ブラック・ライブズ・マター」に対抗する意味合いがある。三つ目は、「トランプ2020選挙旗」。昨年の大統領選で、この町の有権者の85.5%がトランプ氏に投票した。米国では対象者の48%が接種を完了したが、フルトン郡は26%と大きな差がある。

 左から、「南軍旗」、「白黒の米国旗(青い線入り)」、「トランプ2020選挙旗」

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 トランプ氏は在任中、新型コロナを過小評価し続けた。1月にワクチンを接種していたが、公にせず、その事実は退任後の3月に報道で明らかになった。そんな姿勢が、小さな町にも影響を及ぼしているという。世論調査では、共和党員の41%がワクチンを接種するつもりはないと答える。民主党員では4%。ペンシルベニア州立大のヘダー准教授(公共政策)は「マスクやワクチンといったコロナ関連のものは、全て党派性が強い」と指摘。「コロナ禍でさらに分極化が進んだ」と語る。

●ワクチン緊急使用制度検討 政府「骨太の方針素案」

 政府が6月にまとめる「骨太の方針」の素案が判明した。新型コロナに対する対応の遅れが批判されているため、緊急時にワクチンの承認を迅速化したり、病床を確保できるような法整備の検討を明記し、感染症対策の強化を急ぐ考え。骨太の方針は、政府の政策運営や来年度予算案の編成の土台となる。菅政権にとっては初めての方針で、6月前半に原案を公表、後半に閣議決定する見通し。今後、与党や関係省庁との調整が本格化する。

 政府内で検討中の素案では、感染症対策について、「緊急事態における国内治験やワクチン承認の在り方について年内に検討を行い、法制上の措置を講ずる」と明記。欧米に比べ、ワクチン接種の遅れが目立つことへの批判に対応する。具体的には、米国の仕組みにならい、ワクチンの有効性を示すデータがあれば緊急時の使用を認める「緊急使用許可」の創設などの検討を進める。国内のワクチン開発の支援体制を強化する方針も盛り込まれた。

 また、医療提供体制が逼迫した場合に患者を受け入れる病院を指定するなど、「国や都道府県知事の権限や手段の強化を年内に検討し、法制上の措置を講ずる」と明記された。民間を含めて医療資源を効率的に使えるようする。ただ、ワクチン承認の迅速化や国・知事の権限強化には、厚労省や医療関係者の間で慎重論も根強い。最終案までに、具体策をめぐる調整が難航する可能性もある。

●変異株、複数ルートで流入か

 国内で感染が広がる変異株は、国が変異株の流行地として警戒している以外の地域を経由して流入したケースが複数あるとみられることが、ウイルスの遺伝情報などを分析した慶応大チームの調査でわかった。人の往来にのって変異株が第三国を介して間接的に入り込んだとみられ、現在の水際対策の課題が浮かぶ。研究チームは「特定の国や地域に対象を限定せず、水際の備えをもっと強化していくべきだ」と指摘する。

 慶応大チームは、国立感染研や地方の衛生研究所、大学などが国際的なデータベースに登録し、公開されている新型コロナの遺伝情報などを分析した。すると同じ英国型などの変異株でも、細かな塩基の違いによって複数のタイプがあることが判明。これらを海外で見つかった変異株ウイルスと比べると、流行国以外の地域を経由するなどして、それぞれ違う時期に国内に入ったらしいことがわかってきた。

 変異株は流行国から直接、日本に入るとは限らない。流行国・地域に指定していない別の国からの入国者に関して、政府は現在、宿泊施設での待機は求めず、14日間の自宅待機を求めている。一方、厳しい入国制限を設けるニュージーランド政府は対象国を限定せず、入国後に指定された施設での14日間の強制的な自己隔離を定めている。

●下水からコロナ検出 無症状含む感染状況を分析

 下水から新型コロナを高感度で検出する技術を、塩野義製薬と北海道大学が開発した。同社はこの技術で下水処理場を検査し、地域の感染状況を分析するサービスを6月にも始める。4月からは大阪府内10カ所の下水処理場で実証実験を始めた。こうした取り組みは国内では初めて。無症状の人も含めた感染者数の動向を、より把握しやすくなる利点がある。サービスは、主に下水処理場を運営する自治体などに提供する。費用は未定だが、すでに複数の引き合いがあるという。

 コロナは無症状の人からも大便と一緒に排出されることがあるため、欧米では下水処理場などでのウイルス検査が広がりつつある。国内でも各地の自治体などが研究を進めているが、感染者が比較的少ないため下水中のウイルス濃度が低く、検出する技術が確立していなかった。塩野義と北大は昨秋から始めた共同研究で、大便を含む下水の固形物を濃縮し、効率よくウイルスを検出する技術を開発。数万人のうち数人でも感染者がいれば検出でき、ウイルスの量からおおよその感染者数も推測できるという。

 感染者がほとんどいない地域では、下水検査でウイルスが検出されたら全住民にPCR検査を実施し感染者を割り出す、といった活用法も考えられる。塩野義は、継続的な下水検査で集めたデータをもとに1~2週間先の感染状況を予測するサービスも開発だ。沢田副社長は「この技術は他の感染症にも広げられる。将来的には医療態勢や政策の方向性を提言するところまでやりたい」と話す。

●全国2878人感染 重症者1347人
 
 国内感染者は30日現在で、新たに2878人が確認された。1日あたりの感染者が3千人を下回るのは、今月24日以来6日ぶり。亡くなった人は、49人だった。重症者(29日時点)は1347人で、前日から36人減ったものの過去5番目の多さで、高止まりが続いている。

 東京都は、新たに448人の感染を確認したと発表した。前週の日曜日(23日)と比べて、87人少ない。30日までの1週間平均の感染者数は558.6人で前週比は86.0%だった。大阪府では197人の感染が明らかになった。新規感染者が200人を下回るのは3月23日以来。沖縄県は271人で、日曜日としては最多を更新した。

【5月31日】

● ファイザーのワクチン 12歳~15歳も公的予防接種対象に 厚労省

 米製薬大手ファイザーのワクチンについて、厚労省は、16歳以上としている公的な予防接種の対象年齢を拡大し、12歳から15歳も対象にすることを決めた。

●映画館大半、営業再開へ

 「緊急事態宣言」の期間が、1日から20日まで延長される。一部の業種について要請が見直されることに伴い、東京、大阪で映画館が再開されるほか、百貨店など大型商業施設の多くは休業要請などが見直され、平日はほぼ通常営業に。一方、酒類を提供する飲食店への休業要請や、提供しない飲食店の時短要請は継続となる。映画館は1日から多くが再開。午後9時までに営業時間を短縮。大阪では土日は休業となる。

●届かない30万円、「自助の限界」

 政府は新型コロナの感染拡大で生活が苦しくなった世帯向けに、最大30万円の支援金を新たに配ることを決めた。菅首相が28日夜、「緊急事態宣言」の延長とともに打ち出した今回の支援金は、7月から3カ月間、単身は月6万円、2人なら月8万円、3人以上は月10万円を配る。20万世帯程度が対象で、500億円をかける。

 菅政権は「特例貸し付け」の上限額を最大で計200万円まで広げ、困窮する個人への支援策の柱に据えてきた。政府のねらいは、「緊急事態宣言」の再三の延長に追い込まれる中、借り入れ限度に達した世帯の生活を支えることにある。しかし、困窮する世帯がすべてこの支援金をもらえるわけではない。支給条件の一つに、無利子の「特例貸し付け」を限度額まで利用した世帯。お金を借りずにしのいできた困窮世帯はこぼれ落ち、自力で踏ん張ってきた努力が限界に達する家庭もある。

●水際対策、荒い網目 空港検疫「100%でない」

 「水際対策」が問われている。外国人の入国停止、複数回の検査、宿泊施設や自宅で待機など、網は幾重にも張り巡らされているが、網の目は粗い。空港に到着すると、出国前72時間以内の陰性証明書を提出。続いて「検疫」は、唾液による抗原検査。検査結果を待つ間、係員からスマホのアプリの説明を受ける。出国前検査の精度や検査後に感染のため、陰性証明書があっても「検疫」で陽性が確認されたのは約3千人にのぼる。ウイルス量が少なければ陰性にもなる。

 各空港は昨年7月末にPCR検査から抗原検査に切り替えた。短時間で結果が分かるが、精度は劣る。入国後の検査も「100%ではない」。「検疫」をすり抜けても、国内にウイルスを拡散させないための措置が、原則2週間の「待機」(隔離)。インド株の流行国・地域など計6カ国では10日間、英国株などの計35カ国・地域では3日間、検疫所が指定する宿泊施設で「待機」。PCR検査で陰性なら、残る期間(後半)は自分で予約したホテルか自宅で「待機」する。前半は強い行動制限があるが、後半は自主隔離。

 「待機」中の入国者は、1日あたり2万~2万4千人。外出や人との接触は避け、アプリを介して健康状態や位置情報を報告する。それでも報告をしなかったり、外出する人は1日100人程度いるという。一方変異株は、政府の指定以外の国を経由して、流入したとみられるケースもある。

 日本の水際対策にはいくつかの柱がある。まずは、外国人の入国停止。昨年12月以降は全世界からの新規入国が対象になった。ただ、中韓など11カ国・地域とのビジネス往来を認める抜け穴もあった。現在はビジネス往来も止められ、入国できるのは基本的に日本人のほか、日本人の配偶者らに限られる。「待機」時の報告は、検疫法が根拠。守らない場合に氏名公表を承諾する誓約書も入国時に提出する。それでも報告しない人がいるのは罰則がなく、強制力が乏しいことが背景にある。

●観客に陰性証明、政府が検討 五輪入場時 実効性に疑問の声も

 東京五輪・パラをめぐり、観客を入れた形式で開催する場合、政府が観客の入場時に「陰性証明書」の提示を求める案を検討している。厳しい対策をとり「安全・安心の大会」をアピールする狙い。観客に、事前にPCR検査などを行ってもらった上で、入場時に1週間以内に取得した「陰性証明書」の提示を求める案が、政府内の一部で浮上している。ワクチンを接種した人については証明書は求めず、「接種証明書」を求める。会場内での食事や飲酒などは禁止する。

 だが、政府内や専門家に実効性などを疑問視する見方もある。「陰性証明書」の提示について、五輪・パラ対応にあたる政府関係者は「いま公的な証明書は存在しない。例えば検査した病院で出された書類なら何でもいいのか。それをどう確認するのか。問題は多い」と言う。「この土壇場で新たに大規模な対策を実施するのは困難」「世論の反発を招く」といった否定的な見方も多く実現性は不透明。また「検査を受けた時が陰性だっただけで、その後に陽性になる可能性がある点には注意が必要だ」との指摘もある。

●感染爆発相当 ステージ4「五輪は困難」

 東京五輪・パラについて、政府の「分科会」の17人いる分科会の正規メンバーのうち、感染症や経済の専門家の多くは、東京都内の感染状況が「ステージ4」相当の状態が続けば、開催が困難との意見で一致しているという。ただ、社会的な影響も大きいため、打ち出し方を慎重に検討している。表明時期については、組織委が6月中に観客の有無を決める前が望ましいとの意見が出ている。五輪開催のリスク評価をまとめた上で、分科会の有志による見解として公表することも検討。

 また「ステージ3」で開催すれば、期間中か終了後に感染が拡大する恐れがあると評価。開催しても、無観客や大会規模を縮小するなどの工夫が必要だとの認識。開催によって、ウイルスを国外に広げかねないことへの日本の責任についても指摘している。

●変異株、水際対策強化へ ベトナムなどから入国対象

 ベトナムでインド型と英国型の変異がまじった新たな株が確認された。ベトナム政府はこの変異株は「これまでの変異株よりも空気中での感染力がはるかに強い」と説明。日本政府はベトナムからの入国者や変異株の感染が急増するマレーシアも含め、検疫所の確保する宿泊施設で入国後6日間の待機を求めることを検討している。また、インドなどからの入国者に宿泊施設での10日間待機を求めており、新たにアフガニスタンを加えることも検討。いずれの措置も、6月4日の開始を調整している。

●救急救命士と臨床検査技師、ワクチン打ち手に

 ワクチン接種をめぐって、加藤官房長官は25日午前の記者会見で、接種の担い手として新たに救急救命士と臨床検査技師を加える検討を始めたことを明らかにした。診療所などに支払う報酬も大幅に引き上げる。これらの追加支援策で、菅首相が「7月末の完了」を掲げる高齢者向けのワクチン接種を加速させたい考え。

 「打ち手」として新たに検討する救急救命士の免許取得者数は約6万4千人、うち約4万人が消防職員。臨床検査技師の免許取得者数は約20万人で、うち医療機関に約6万6千人が勤務しており、政府は協力を呼びかける。一方で薬剤師や診療放射線技師、臨床工学技士は、通常の業務で注射することがないため、問診や接種後の経過観察などを担うとした。

●接種、予診票の質問で混乱 「かかりつけ医に相談」厚労省削除
 
 ワクチン接種を受ける際、厚労省が作成した予診票に、接種の可否について、「その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言われましたか」と問う項目があり、医師への問い合わせが相次いだり、接種会場で混乱が起きたりした。厚労省は項目がなくても安全に接種できるとして削除を決め、5月28日付で自治体に連絡した。予診票は自治体が接種対象者らに配布している。

●エア・ドゥとソラシド、統合 持ち株会社で合意

 北海道が拠点のエア・ドゥ(札幌市)と九州・沖縄が拠点のソラシドエア(宮崎市)は31日、来年10月をめどに共同持ち株会社をつくることで基本合意した。コロナ禍で利用が低迷する中、経営統合で業務を効率化してコスト削減と収益改善をめざす。2社のブランドは残し、事業運営の独立性は維持するという。ともにANAホールディングス(HD)から出資を受けている。この日、両社が発表した2021年3月期決算は、純損益がエア・ドゥは121億円、ソラシドが76億円の赤字で、ともに過去最大だった。

 コロナ禍は、国内外の航空会社の経営を大きく揺さぶっている。海外では、タイ国際航空や英ヴァージン・アトランティック航空は経営破綻した。伊アリタリア航空は完全国有化され、エールフランスKLMや独ルフトハンザは国が資本支援。韓国では、1位の大韓航空が2位のアシアナ航空を買収、ブランドも一本化する。国内では、親会社の経営が悪化したLCCのエアアジア・ジャパンが昨年11月に破綻した。

●全国で新たに1793人感染 2千人未満は約2カ月ぶり

 国内感染者は31日現在、新たに1793人が確認された。全国の新規感染者が2千人を下回るのは4月5日以来となった。亡くなった人は80人増えた。北海道の死者は19人で、過去最多となった。

 5月31日時点の国内の感染状況 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 東京都の新たな感染者は260人で、300人を下回るのは4月5日以来。北海道は279人で都道府県別で最多。大阪府は98人、愛知県は145人。沖縄県は142人、月曜日に発表される感染者数としては、これまで最も多かった先週24日の104人を上回り、過去最多を更新した。

 以下3枚の図は、5月31日時点の東京と沖縄の感染者(日別)都道府県別人口10万人あたりの感染者数 出典:NHK新型コロナウイルス特設サイト

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 全国の高齢者らへのワクチンの接種回数は1回目が466万1390回(65歳以上の13.1%)、2回目が32万1318回(0.9%)。都道府県別で、1回目の接種を終えた割合が最も高いのは和歌山県26.8%、山口県24.5%、鳥取県と佐賀県がともに22.5%と続く。

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