新型コロナ2020.05 宣言解除
2020年4月7日、政府は新型コロナウイルス感染増加に対し「緊急事態宣言」を東京都・大阪府などの7都府県に発令。更に4月16日、対象を全都道府県に拡大した。5月14日、政府は感染拡大に一定の歯止めがかかっているとして、39県に対し「緊急事態宣言」を解除した。一方、東京都・大阪府などの大都市圏や北海道では、引き続き事業者への休業要請、施設の使用制限、学校の休校、不要不急の外出自粛、イベントの中止等が続いた。本ブログ記事「新型コロナ2020.04 感染緩和」のつづき。
5月14日首相官邸で、新型コロナウイルス感染症対策本部の第34回会議で右中央が安倍総理。(出典:首相官邸ホームページ)
首相はアベノマスク(布マスク)を着用しているが、周囲の大臣や官僚たちは不織布マスクや手作りマスク。
5月31日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナウイルスの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナウイルス感染緩和」の続き。【写真や図をクリックすると、拡大表示します】
●5月18日
検察庁改正案の見送り
マスコミ各社の世論調査では、検察の公正さを失う「検察庁改正法案」に7割近くが反対、改正法の成立を目指す安倍内閣の支持率が急落、不支持が支持を上回る。18日政府は、今国会で「火事場泥棒」と批判された「検察庁改正法案」の見送りを決定した。新型コロナを優先すべきで、世論に背を向けるのは得策でないという。ただし継続審議とし、次期国会での成立を目指す。
WHO年次総会が開催
WHO(世界保健機関)年次総会が18日、TV会議方式で2日間の日程で始まった。新型コロナの中国寄りの対応をめぐり、米国などから批判を浴びている。いち早く感染の封じ込めに成功した台湾のオブザーバ参加は、中国の強い反対で見送られた。その後5月29日、米トランプ政権は「WHOが中国に支配されている」として脱退を発表、米中の対立が更に激化しそう。
ワクチン開発競争
米バイオ医薬品企業のモデルナ社は18日、開発を進める新型コロナウイルスのワクチンについて、第1段階の臨床試験(治験)で良好な結果を示すデータが確認されたと発表。今後さらに大規模な治験で有効性を検証し、早期の量産を目指すという。
WHOによると、新型コロナ・ワクチンは現在、世界で100種類以上の研究が進められていて、このうち少なくとも10種類については、実際に人に接種して安全性や効果を確かめる治験が始まっているそうだ。中国でも、複数企業が今秋の実用化を目指し治験を急いでいる。ワクチン開発でも、米中の攻防が続く。
国内では大手製薬会社やベンチャー企業、それに大学などの研究機関が開発に取り組んでいて、国が基礎研究から臨床試験の一部までを補正予算で支援する。早ければ、今年の夏にも実際に人に投与する治験が始まる見通しだという。
しかし専門家によると、ワクチンの開発では重大な副作用が起きないか安全性を慎重に確認する必要があり、 実際に一般人が接種できるようになるには、少なくともあと1年~1年半はかかり、早期の実用化を疑問視する声もあるようだ。
日本のGDP3.4%減、景気後退へ
内閣府が発表した今年1月~3月のGDP(国内総生産)の1次速報は、前期(昨年10月~12月)の0.9%減、年率換算で3.4%減。もともと3月期は消費増税後の景気影響を回復回復を判断するものであったが、新型コロナで状況は一変。しかし新型コロナの影響が現れるのはこれから。4月~6月のエコノミストの予測はおよそマイナス20%、300万人前後が失業するという。戦後最悪の景気後退は避けられない。元の水準に戻るのは、4~6年先という予測も出ている。
●5月20日
黒川検事長が賭けマージャン
安倍政権は世論の反対に押され、今国会での「検察庁法改正」を断念した。しかし当事者である東京高検・黒川検事長は、緊急事態宣言で外出自粛要請が出る中、都内の産経新聞記者宅で5月1日と13日、賭けマージャンをやっていたという疑惑を5月20日の「週刊文春」が報じた。法務・検察当局は事態を重く見て、黒川検事長を辞職させることで首相官邸との検討に入った。勝手に法律の解釈を変えてまでして、黒川氏の定年延長を決めた安倍政権の責任が問われる。
夏の甲子園が中止
高野連(日本高校野球連盟)は、今年8月に甲子園球場で予定していた夏の全国高校野球を中止することを決定。大会が中止となるのは戦後初めて。中止の理由として、長期に及ぶ休校や部活動休止で十分な練習ができないため選手のケガが心配される、夏休みを短縮する動きがある中で地方大会の開催は学業の支障になるなど。さらに、全国から長時間かけて選手と関係者が移動と集団宿泊することなどで、感染リスクは避けられないとしている。今後、各都道府県の高野連では、地方大会を独自で行うかどうか判断をするという。
アベノマスクが配達された
20日、やっと我が家にアベノマスクが配達された。
国内でのマスク不足を解消するため、安倍首相は4月1日、全国のすべての世帯を対象に2枚ずつ布マスクを配布する方針を発表。4月7日、閣議決定した。発案したのは経済官庁出身の官邸官僚と見られており、首相に対して「全国民に布マスクを配れば不安はパッと消えますよ」と進言したとされる。4月17日より東京を皮切りに配布が始まっていた。
しかし今頃になって届いたのでは、あまりにも遅い。厚労省のホームページでは、都道府県別の全戸配布状況が掲載されている。5月27日(水)時点で全国で約25%、6月3日(水)までに約59%の配布見込みだという。
今更、もう布マスクは要らないという声も多い。これからの夏に向けて、マスク着用による熱中症が心配されているため、冷感マスクが欲しいという人も。またマスクの値下がりが止まらず、1枚78円だった平均価格が、ここ1ヶ月で1/3の26円ほどになっているそうだ。
アベノマスクに同封されたパンフ。
●5月21日
関西3府県の緊急事態宣言解除
政府は21日、「緊急事態宣言」を継続している8都府県のうち、新規感染者が十分に減少している大阪府・京都府・兵庫県の関西3府県を解除した。政府が示す解除の目安の一つは、「直近1週間の新規感染者数の累計が、人口10万人あたり0.5人程度以下」。
21日時点では、人口10万人あたり関西3府県は、0.04~0.24人と目安以下。一方埼玉県は0.33人、千葉県0.21人と下回っているものの、東京は0.56人、神奈川1.08人と上回っているので、首都圏として一括して判断。北海道も0.69人と目安を上回る。よって首都圏5都道県と北海道については、宣言を継続する。ただし目安の「0.5人」をやや上回っていても、今後の感染の推移や医療提供体制などを分析した上で、25日に改めて解除を判断する。
世界の感染者数500万人越え
米ジョンズ・ホプキンス大学によると、新型コロナの世界の累計感染者数は21日に500万人を超え、1カ月で倍増した。4月3日に100万人、15日に200万人、28日に300万人、5月10日に400万人を記録。感染者が最も多いのは米国で155万人超。約30万人のロシア、約29万人のブラジルと続く。アジアで最多のインドが11万人を越えた。感染が緩和し始めた欧州を、感染が拡大している新興国が上回る状況となっている。
世界の累計死者数は、約32万8千人。死者も米国が約9万3千人で世界最多。次いで英国が約3万6千人、イタリアが約3万2千人。欧米などは行動制限の緩和など経済活動の再開に動くが、世界全体の感染拡大ペースは衰えていない。
中国指導部の新型コロナ対策批判
中国の全人代(全国人民代表大会)開幕を前に、改革派の知識人からネット上で指導部批判が相次いでいる。強権的な取り締まりや情報隠蔽、外国へのマスク提供や医師派遣が政治的利用されていること、全人代が国民の意思を反映する機関でないことなど。
●5月22日
東京都のロードマップ
小池東京知事は5月22日、「「新しい日常」が定着した社会の構築に向けて」と題して、「緊急事態宣言」解除後の社会経済活動再開のための独自の「ロードマップ」(工程表)を発表。感染状況を見ながらステップ1~3まで徐々に緩和し、段階的な活動再開を目指す。
東京都のロードマップ 出典:NHK「新型コロナウイルス」特設サイト
赤枠は、この後の25日開いた東京都の対策本部会議で、国の「緊急事態宣言」の解除を受けて、26日から「ステップ1」の緩和を始めることが確認された。
中国全国人民代表大会が開催
新型コロナウイルスの流行を受けて延期されていた中国の全人代(全国人民代表大会)が22日に開幕。新型コロナウイルスの感染拡大について「習近平国家主席を核心とする指導部の力強い指導のもと、対策は大きな戦略的成果を収めている」と成果を強調。その一方で「感染症対策の中で多くのぜい弱な部分が表面化し、国民の一部の意見と提案を重視すべきである」と、政府の対応に不十分な点があったことを認めた。
天安門広場の西端にある人民大会堂(議事堂) 出典:ウィキメディア・コモンズ
また例年、全人代で打ち出している年間の経済成長率については、世界の新型コロナの流行や経済・貿易の不確実性が高く、中国の発展が予測困難な要因に直面しているため、具体的な年間目標を提示しなという。中国政府が、全人代で経済成長率の数値目標を示さないのは異例のことだ。
また中国政府に対する反体制活動を禁止する「国家安全法」の香港への導入を検討する議案が提出された。中国が香港の支配を強化し、これまでの市民の自由と「一国二制度」がさらに脅かされることになる。これに対し、香港市民の抗議活動が繰り広げられていたが、5月28日「香港国家安全法」の制定方針を採択して、全人代は閉幕した。
●5月24日
政府のコロナ対策を評価せず
朝日新聞社が23,24日に実施した全国世論調査で、新型コロナの感染が再び拡大することへの懸念を聞いたところ、「大いに心配している」と「ある程度」を合わせて9割を超えた。政府の対応を「評価しない」は57%にのぼり、「評価する」は30%だった。
また安倍内閣の支持率は29%(前回5月15,16日は33%)で、2012年12月に第2次安倍政権が発足して以来、最低。不支持率は52%(同47%)に増え、5割を超えた。東京高検・黒川検事長は賭けマージャンで辞任したが、定年を延長させた安倍首相の責任を問う質問には、「責任は大きい」68%、「それほどでもない」24%だった。
毎日新聞は23日、全国世論調査を実施。安倍内閣の支持率は27%で、前回調査(5月6日)40%から急落、不支持率は64%(前回45%)に急上昇。東京高検・黒川弘務検事長については「懲戒免職にすべきだ」が52%と半数を超え、厳しい処分を求める声が強い。
NHKは、5月15日から3日間、世論調査を行った。安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月調査より2ポイント下がって37%、「支持しない」は、7ポイント上がって45%。
少し前になるが、読売新聞社が5月8~10日に実施した全国世論調査では、安倍内閣の支持率は42%、不支持率は48%で前回4月調査(4月11~12日)とほぼ同じだった。新型コロナを巡る政府の対応を「評価しない」と答えた人は58%で、前回調査(3月20,22日)の39%から上昇し、「評価する」34%(前回53%)と逆転している。
大相撲夏場所、中止
日本相撲協会は、3月の春場所を無観客試合で開催したが、5月24日初日の夏場所(東京・国技館)は中止。夏場所の日程は当初より2週間延期して感染拡大の様子を見守っていた。その後、相撲界で7人が新型コロナに感染したため、力士の稽古を自粛していたが、「緊急事態宣言」延長を受け、5月4日に中止が決定された。7月19日初日の名古屋場所は、会場を愛知県体育館ではなく、東京・国技館に移し無観客での開催をめざす予定。
●5月25日
5都道県の緊急事態宣言を解除
政府は25日、新型コロナ感染症対策本部を開き、新規感染者が減少傾向にあるなどとして、北海道・埼玉・千葉・東京・神奈川の5都道県の「緊急事態宣言」を解除することを決めた。4月7日最初に7都府県、16日に全国に広がった「緊急事態宣言」 は、5月14日に39県、21日には関西3府県で相次いで解除。これで 47都道府県すべて、解除されたことになる。
国内の感染者数の1日ごと発表者数(クルーズ船を除く、ただし帰宅後の感染確認は含む) 出典:NHK「新型コロナウイルス」特設サイト
東京都の感染者数の1日ごと発表者数 出典:NHK「新型コロナウイルス」特設サイト
首相は会見で「全国で新規の感染者は50人を下回り、一時は1万人近くいた入院患者も2千人を切った」と説明。5月31日の期限を待たずに「一時全国に拡大した『緊急事態宣言』は、わずか1カ月半でほぼ収束させることができた」と胸を張った。解除の目安の一つ「直近1週間の新規感染者が10万人あたり0.5人」 については、24日時点で 東京都0.36人、埼玉県0.18人、千葉県0.11人で目安を下回る。一方、北海道と神奈川県は、それぞれ0.76、0.70人と上回っているが、政府は医療体制の状況などを踏まえて総合的に判断をした。
政府が示した解除の基準は、①感染の状況(直近1週間の新規感染者が10万人あたり0.5人以下)、②医療提供体制、③PCR検査などの監視体制の3要素を上げていた。
経済活動段階的に拡大
安倍首相は「緊急事態宣言」解除を受け、イベントの開催や外出などについて「感染防止対策を講じることを大前提に、本格的に再開していく」と表明。イベントの規模を数千人規模へ順次拡大するとした。
25日に改定された政府の「基本的対処方針」では、外出自粛やイベントの開催制限、施設の使用制限などについて、6月以降おおむね3週間ごとに3段階、①6月18日まで ②6月19日~7月9日ごろ ③7月10日ごろ以降、で緩和する考えを提示した。
下表は、「基本的対処方針」からNHKがまとめた「段階的な緩和」 出典:NHK「新型コロナウイルス」特設サイト
5月末までは、不要不急の帰省や旅行など都道府県をまたぐ移動は避け、①の期間は、5都道県との移動は慎重にしながら、観光振興は都道府県内から。②の期間から、観光は県外を含めて徐々に、無観客でプロスポーツも開催できるとし、接待を伴う飲食店などに行くことも緩和を検討。イベントの人数上限も①~③の期間に従って、段階的に引き上げるが、いずれも屋内の場合は参加者数を収容定員の半分程度に抑えるよう求めている。
一方で首相は、「次なる流行のおそれは常にある」と強調。再び感染が拡大した場合は「緊急事態宣言」を再び発令する可能性があるとした。経済活動の再制限する目安について、「直近1週間の新規感染者が10万人あたり2.5人程度」との数値を示した。
政府の経済対策
25日の解除決定に先立ち記者会見を開いた安倍首相は、緊急経済対策として今年度第2次補正予算案(事業規模100兆円程度)を27日に閣議決定すると表明した。首相は今年度の2度の補正の事業規模は合計で200兆円を超えるとし、「GDP(国内総生産)の4割に上る空前絶後の規模、世界最大の対策」と自画自賛した。2次補正には、中小事業者などへの家賃補助として最大600万円の給付金の新設、医療従事者への最大20万円の慰労金、地方創生臨時交付金を2兆円上積みし、計3兆円にすることなどを盛り込むことも明らかにした。
プロ野球、開幕決定
プロ野球は25日、12球団の代表者による会議で、新型コロナの影響で延期していた今シーズンの開幕日を、来月19日とすることを決めた。当面は観客を入れずに試合を行い、レギュラーシーズン120試合の実施を目指すという。
●5月26日
東京都、ロードマップを修正
東京都は26日、スポーツジムやカラオケ店など休業要請について、 前倒しで解除対象にするなど修正したロードマップを発表。最終段階まで休業を求めていたスポーツジムを「ステップ1」、カラオケを「ステップ3」に分類し直した。
北九州市で第2波
北九州市は26日、新型コロナ感染者を新たに2人確認したと発表。同市は4月30日から23日間連続で新規感染者ゼロだったが、5月23日に3人、24日3人、25日6人、26日2人とあわせ4日連続で計14人。うち11人は感染経路が分かっていない。福岡県内の感染者は計674人となった。市は、再開した公共施設43カ所を再び6月18日まで休館にすることを決めた。期間中の市主催のイベントも中止、もしくは延期する。市内の感染状況次第では、前倒しも検討するという。
北橋市長はこの日、「緊急事態宣言が解除され、外出の機会が増えている中で感染が増えていると考えられる」と述べ、「第2波の入り口に立っていると思う」との認識を示した。市民には、再び不要不急の外出を控えるよう改めて協力を求めた。
●5月27日
2次補正案に31兆円
政府は27日、新型コロナウイルスへの対策を盛り込んだ総額31兆9114億円の第2次補正予算案を閣議決定した。対策の規模は、第1次補正予算と並ぶ117兆円に上る。予算の全額を国の借金である国債発行でまかない、医療や雇用、中小事業者などの支援をさらに手厚くする。今国会に提出し、6月中旬ごろの成立をめざす。
今回の予算では、1次補正の対策で足りないと批判された支援策を拡充。休業などで減収した店舗家賃の支払いを支えるため、最大600万円を支給する制度を新設。検査体制の強化や医療従事者への最大20万円の慰労金などに2兆9892億円。休業手当の一部を補助する雇用調整助成金の日額上限も引き上げ、中小事業者向けの給付金の対象も拡大。大企業の資金繰りも厳しくなる可能性が出てきたため、政府系金融機関などを活用した資金繰り対策に11兆6390億円を盛り込んだ。
この結果、予算額は1次補正の25.7兆円を大幅に上回った。この全額を国債で賄うため、今年度の新たに発行する国債の金額はリーマン・ショックの2009年度の53.5兆円を大きく上回り、過去最大の90.2兆円に膨らんでいる。予算の56.3%が借金という危機的状況だ。
この前例のない規模の予算だが、問題は実効性とスピード。まだ使い道の決まっていない「予備費」が10兆円も計上されており、無駄遣いにならないか心配だ。1次補正も、手続きの複雑さや給付事務のトラブルなどで執行が遅れており、必要な人たちに早く届くよう簡素な手続きやきめ細かい対応が問われている。
北海道で第3波を懸念
北海道は27日、休業要請の対象としたスポーツクラブやライブハウスなどのほか、石狩地方のみで対象としたネットカフェやパチンコ店などについて、6月以降も当面要請を続ける方向で検討。道内の感染が収まらないためで、29日の道本部会議で決定し、鈴木知事が記者会見で表明する。
同日までの1週間の新規感染者数は人口10万人当たり0.99人で、宣言が解除された25日(0.8人)から悪化。緊急事態宣言の解除の目安の一つである「0.5人」を超えた。
9月入学制導入の議論
新型コロナによる長引く休校の解決策として「9月入学制」、つまり「9月入学・新学期制」の導入についての賛否が割れている。また結論が性急すぎるとし、国民の慎重な議論を望む声も多い。自民党の作業チームは27日の会合で、国民的な合意が必要だとして「今年度や来年度の導入は見送るべきだ」とする提言の骨子案を示した。チームメンバーからは、必要な法改正などを考えると、早期の導入は難しいという意見が相次いだという。
自民党骨子案では「9月入学制」は、国際化や休校に伴う学習の遅れの取り戻しにつながるメリットの一方で、導入すれば多くの制度や慣行が変わり、社会全体に心理的・経済的な負担を与えるデメリットがあるとしている。導入には国民的な合意や一定期間が必要で、「今年度や来年度などの導入は見送るべきだ」という。
この問題は、休校が長期に及び、学校再開時期も見通しが立たない中、入学と新学期を半年ずらす「9月入学制」を求める声が、4月頃から現役高校生のSNSや保護者・教育関係者などから上がり始めた。「尾木ママ」こと教育評論家・尾木直樹氏は、「9月入学制」について保護者の方々からも賛成の声が圧倒的に多いとし、制度の検討・研究に着手してほしい」と提言。また国民民主党がワーキングチームを立ち上げるなど、政治的な土俵に上がってきた。
文部科学省の萩生田大臣は4月24日、「休校長期化の対応策のひとつとして、さまざまなところで声が上がっていることは承知している」と述べた。4月30日 、小池東京知事と吉村大阪府知事は、大胆に社会全体のシステムを転換するときで「9月入学制」導入を求める共同メッセージを発表。一方で全国知事会は同日、「9月入学制」の国民的な骨太の議論を求める提言を行った。
しかし日本教育学会は5月22日、来年から9月入学に移行し、通常の1.4倍の新小学1年生が入学する形で実施した場合、国や家庭の負担総額が6兆9000億円超に達するとの試算を公表。メリットとされる「グローバル化」は、小さな効果しか望めないと指摘していた。
米国の死者10万人超
新型コロナ感染による米国の死者が27日、10万人を超えた。米ジョンズーホプキンス大学の集計によると、米国の感染者数は約169万8千人で、感染者数と死者数とも世界で最多。世界全体では27日現在で、約569万人が感染、約35万5千人が死亡。米国に次いで死者が多いのは、イギリス、イタリア、フランス、スペイン、プラジル。
米国では感染拡大が深刻になった3月以降、大半の州で外出制眼などの措置が取られたが、トランプ政権は4月中旬、感染のピークは過ぎたと判断して経済再開に向けたガイドラインを発表。これを受けて各州が、外出制限の緩和や商店の営業許可などを段階的に進めている。メディアは、死者10万人を衝撃的に伝えているが、大統領の反応はないという。
1955年から75年までの20年間も続いたベトナム戦争で、犠牲になった米兵は5万8千人。4月28日時点で米国のコロナ感染死者数は、ベトナム戦争の戦死者数をはるかに越え、現在はその2倍近くに迫っている。世界のリーダーたる米国がこのザマで、この人類の危機を乗り越えられるのか。共産主義を唱える中国が、このコロナ戦争に早期に勝利し、この機会に世界の覇権を米国から奪おうとしているのは目に見えている。
●5月28日
特別定額給付金
筆者が在住する当市では、国民1人10万円の特別定額給付金については、5月8日 から電子申請(マイナンバーカードを使ったオンライン申請)の受付が始まり、筆者は10日に申請した。郵送申請の場合は、5月21日に申請書が発送、同日から申請受付だった。電子申請は、設定手続きのために自治体窓口が混雑したり、書類の不備が多く、また住民台帳との確認に時間を要するという。郵送申請を優先して処理するという自治体が多いと聞いていたが、筆者の場合は当市の第1回目給付開始の5月28日に入金された。
安倍首相は電子申請が早いと言っていたが、ほとんどの自治体で郵送申請が優先で、人口の多い自治体ほど事務処理に手間がかかり、主要都市の半数以上で給付開始が6月にずれ込むという。
「特別定額給付金」のほか、個人向けの「休業手当直接給付金」や「学生支援緊急給付金」・・・など、中小企業・個人事業者向けの「持続化給付金」や「雇用調整助成金」、「特別家賃支援給付金 」・・・など、多岐にわたる給付金、助成金などなどが国から用意されてきているが、本当にコロナで困っている人たちに、タイムリーに必要な額が行き届いているのだろうか気になる。
日産自動車の赤字決算
日産自動車が28日発表した2020年3月期連結決算は、純損益が6712億円の赤字(前期は3191億円の黒字)だった。赤字転落は11年ぶりで、損失額は2000年3月期に次ぐ過去2番目の規模だという。
しかし、「ステップ1」から4日しか経ってなく効果を見極めないで、少し急ぎすぎとの懸念は否めない。29日に新感染者は22人と4日連続で前日を上回り、15日ぶりに20人を超えた。感染再拡大の兆候が表れた際に都が出す警戒宣言「東京アラート」の目安を超えている。都は、医療機関の逼迫状況が一時期よりも改善しているとして、休業要請の「ステップ2」の緩和に移行すると説明するが、本当に大丈夫だろうか。
日本の対策は、「欧米の先進諸国と比較して、感染者数の増加を抑制し、死亡者数や重症者数を減らすという観点から一定の成果があった」としている。その理由は、①医療へのアクセスや公衆衛生水準が高い、②市民の衛生意識の高さ、③元々の生活習慣のほか、④中国由来・欧州等由来の感染拡大の早期検出と⑤効果的なクラスター対策をあげている。(①~③の理由はよく知られていることで筆者も納得できるが、④⑤についてはややわかりにくいので、詳細は省略する)
なぜ日本の感染者、死亡者が、欧米に比べ少ないのかは、誰しも気になる。日本は、PCR検査数が極端に少ないという理由を挙げる専門家もいる。 日本のほか、台湾や韓国も欧米に比べ少ない。ちまたでは、日本人はBCG接種をしているが、根拠は不明。上述の②③は、日本人の挨拶は、欧米のような握手やハグのように人との接触をしない。毎日風呂に入って清潔好き。家の中で靴を脱ぐのでコロナを家に入れない。風邪や花粉症防止のためマスクをすることに抵抗がない等など・・・。こういった日本人の生活習慣が、コロナに対して感染防止になっているのだろう。
専門家会議資料によると、新規感染者数数のピークは報告日ベースで4月10日頃。しかし感染時刻ベースで推測すると、なるほどピークは4月1日頃だそうだ。これは、4月7日の「緊急事態宣言」が遅かったことになる。「緊急事態宣言」前の3月末(つまり、志村けんが亡くなった頃)から、市民の意識や行動が変化し、新規感染者が減少傾向に向かったというは納得できる。
専門家会議の尾身茂副座長は29日の会見で、同日の会議でメンバーから発言者の記載がある議事録の作成を求める声があったことを紹介。加藤厚労大臣も3月2日の参院予算委員会で、専門家会議について「1〜3回目は議事概要になるが、4回目以降は速記を入れて一言一句残す。専門家の了解の範囲で、当面は公表させて頂く」と答弁していた。
G7サミットについて新型コロナウイルスの感染拡大を受けて 、米政府は先にテレビ会議での開催を発表したが、変更して通常形式で6月下旬開催を表明していた。安倍首相やフランス、イギリスの首脳は出席に前向きな一方、ドイツのメルケル首相は新型コロナの感染が収束しておらず参加を辞退の意向、カナダのトルドー首相は時期尚早との慎重判断を示した。もし安倍首相が出席した場合は、帰国後には2週間、首相公邸などで待機するという事態になるはずだった。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、新型コロナウイルスの世界の累計感染者数は30日、600万人を突破した。国別では米国が約176万人と最多。急増しているブラジルが続く。世界の死者数は36万7千人超。
新型コロナウイルスの国内の感染者は5月31日、新たに37人が確認され、累計で1万6968人になった。1日あたりの感染者数が40人以下となるのは5日ぶり。死者は3人増え、計898人。但し、クルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス号)を除く。
★ ★ ★
●桜を見る会で告訴状
安倍首相の後援会が主催する「桜を見る会」前夜に開かれた夕食会をめぐり、全国の弁護士や法学者662人が5月21日、公職選挙法と政治資金規正法に違反した疑いで、安倍首相と後援会幹部の計3人に対する告発状を東京地方検察庁に提出した。
写真は、「桜を見る会」で中央の安倍首相と昭恵夫人、芸能人ら。2019年4月13日、東京・新宿御苑にて 出典:首相官邸ホームページ
告発状によると、夕食会は2018年4月、ホテルニューオータニ東京で開かれ、安倍首相の後援会員約800人が参加していた。1人あたりの飲食代は少なくとも1万1000円程度にもかかわらず、参加費5000円のみを徴収していることから、1人あたり6000円相当を無償で寄付したとされ、「公職選挙法」(寄付行為)違反の疑い。また、後援会の2018年分の収支報告書に、その夕食会に関する収入・支出を記載しなかったとして、「政治資金規正法」違反の疑いがある。
告発状提出後に開かれた会見で、元最高裁判所判事の濱田邦夫弁護士らは「政権を保持する政治家たちにその使命を再認識してもらう必要がある。政治のあるべき姿というものは、国民の一部の者の富を増大させるというものではなく、国民全体の公平性と生命・生活の安全性と安定性を増大させることにある」。そして東京地検に対し、「政権に忖度することなく、徹底した捜査、真相の究明と刑事責任の追及を迅速におこなうことを強く求める」とコメントした。
事務局長をつとめる小野寺義象弁護士は、「安倍首相は説明責任を果たしていない。法律家として究明・責任追及したい」。また米倉洋子弁護士は、「国の最高権力者である総理大臣による民主政治を踏みにじる犯罪は許されない。捜査当局による公正で厳正な徹底した捜査に期待したい」と述べた。弁護士有志は、今年2月に「『桜を見る会』を追及する法律家の会」を結成、賛同者は今後も増える見込みだという。
昨年から今年2月にかけて国会では、「桜を見る会」をめぐり、安倍首相の後援会や自民党の幹部たちの後援会関係者たちが多数、会に招待されていたことが明らかとなり、「税金の私物化」として大きな問題となっていた。野党の追及に、呆れるほどの子供じみた答弁、ちぐはぐな答弁や珍答弁など、国民の誰もがおかしいと思うような答弁を繰り返していた。
自民党の幹部たちは、私利私欲の「桜を見る会」をやめるよう首相に忠告こともなく、自分たちの支持者もこの会に送り込んでいた。この問題が明るみになってからも、かつての党幹部や党OBたちのように、招待者名簿の廃棄や国会答弁の矛盾を指摘する者もなく、だんまりを決め込んでいる。今の政治はそれほど劣化し、腐敗し、政治の信頼が失われている。
こんなときに、新型コロナが天から舞い降りてきて、安倍政権は「桜を見る会」の追及からうまく逃げられた。このまま逃げ切れて、なんとかコロナが収束した後は、自分の手柄として総選挙で勝利し、2021年に3期目を終える安倍総裁は、党則を変えての「安倍総裁4選」は不可能ではない。そうすれば、コロナ禍で憲法改正の遅れを取り戻すことが出来る。そう考えているに違いない。
●検事長の定年延長
東京高検の黒川検事長は、賭けマージャンを新聞記者らとしていたことを認めて辞職した。だが、辞職しても「政治と検察」をめぐる問題は一件落着とは言えない。黒川氏の定年延長の法的根拠の問題は残っている。今国会での成立を見送った「検察庁法改正案」への懸念も消えず、政府が説明責任を尽くさなければならない。
検察庁舎 出典:検察庁ホームページ
この問題は1月31日、安倍内閣は2月7日の定年退官間際だった黒川氏の定年を半年間、延長することを閣議決定したのが発端。その後に現検事総長が定年で退任した後、検事総長に据えるつもりであった。黒川検事長の定年延長については、検察庁法ではなく国家公務員法の延長規定を適用したと説明した。1981年に人事院が、検察官には国家公務員法の定年延長は適用されないとの見解を国会で説明したのを無視、あきらかな違法である。
それに対して森雅子法務大臣は、法務省幹部たちとの話し合いで、定年延長を人事院が了承したと説明したが、そんな記録は残っていない。そして、森法相の国会での答弁は二転三転。野党は「政権に近い黒川氏を、政権の守護神として検察トップの検事総長するための延長だ」と激しく批判した。
その後、検察官の定年を引き上げる「検察庁法改正案」は、野党が喜びそうな「国家公務員法等の一部を改正する法律案」と一括して衆議院に提出された。法案をめぐり、5月13日の衆院内閣委員会には森法相は出席させず、何故か武田良太国家公務員制度担当相が答弁に立った。野党の質問に、しどろもどろの答弁を連発、最後は「法務省に聞いてもらったほうが詳しい」などと言い出す始末。何度も答えに窮して、審議はたびたび中断。野党は退席してしまった。このコロナ騒ぎの中で国民の批判の声に押され、結局法案を継続審議として今国会から取り下げた。
そうした状況の中で、わざわざ国民の神経を逆なでするような、「黒川賭けマージャン事件」が起きた。森法相は、「訓告」処分としたうえで、黒川氏が安倍首相に辞表を提出。これを受けて閣議で氏の検事長辞職が承認された。人事院の指針では、賭博をした者は「減給または戒告、常習的に賭博をした職員はさらに重い停職」の「懲戒」処分を定めているが、黒川氏の処分はこれらより軽い「訓告」。この「訓告」処分に関して、安倍首相と森法相の間で説明が大きく食い違った。森法相は内閣と法務省が決めた、首相は検事総長が適切に処分を行ったと強弁した。
自衛隊員が賭けマージャンで「停職」処分を受けた先例もある中、法を守るべき検察官、しかもそれほどの地位の人間が軽い処分で、国民は納得しない。その処分を誰が決定したか、どうも複数の法務・検察関係者の話では、法務省は国家公務員法に基づく「懲戒」処分が相当と判断していたが、官邸側が「懲戒」にしないと結論づけ、結果的に「訓告」となったようだ。
新型コロナ騒ぎで「桜を見る会」の問題からなんとか逃げ延びた安倍政権が、国民がウイルスと必死で闘っている最中に、なぜわざわざ急いで黒川問題を正当化する検察庁法改正案を出したのか。それは、「桜を見る会」そののほかのモリ、カケ問題もあるかもしれないが、検事総長という守護神が、自らの刑事訴追を回避しようとしているとしか思えない。
« 新型コロナ2020.04 感染緩和 | トップページ | 新型コロナによる肺炎と血栓症 »
「ニュース」カテゴリの記事
- 新型コロナ2023.10 ノーベル賞(2023.11.03)
- 新型コロナ2023.09 第9波減少(2023.10.05)
- 新型コロナ2023.08 EG.5系統(2023.09.04)
- 新型コロナ2023.07 漸増続く(2023.08.06)
- 新型コロナ2023.06 第9波入口(2023.07.03)
コメント