新型コロナ2020.04 感染緩和
2020年4月7日政府は、「新型インフルエンザ等対策特別措置改正法」(2012年3月14日施行)に基づき新型コロナウイルス感染増加に対し「緊急事態宣言」を東京や大阪などの7都府県に発令。更に4月16日、対象を全都道府県に拡大した。事業者への休業要請、施設の使用制限、学校の休校、不要不急の外出自粛、イベント中止等が実施されている。本ブログ記事「新型コロナニュース③緊急事態」のつづき。
5月16日までの新聞、テレビ、ネット情報から、新型コロナウイルスの主なニュースを辿る。本ブログ記事「新型コロナ2020.02 緊急事態」の続き。
●4月24日
GWのステイホームの呼びかけ
今年のゴールデンウィーク(GW)は土・日曜が休みの場合、カレンダー通りで連休になるのは5月2日~6日の「5連休」。4月29日の「昭和の日」から、「5連休」前の木・金曜を休みにすれば「8連休」。「5連休」後の7日(木)・8日(金)を休みにすれば「9連休」となる。サラリーマンは新型コロナで、会社の休業やテレワークなど、何日から何日迄がゴールデンウィークか分からなくなっているだろう。
内閣官房は4月24日、新型コロナウイルス感染症対策特設ページに、「今年のゴールデンウィークはステイホーム~ゴールデンウィークはうちで、すごそう~」との呼びかけを発表した。
今年のゴールデンウィークは外出を控えてください。ご協力お願いします。
大型連休に伴い、都市部から地方へ人が移動すると、新型コロナウイルス感染症の全国的・急速なまん延につながるおそれがあります。
今年のゴールデンウィークは、不要不急の外出や都道府県をまたいでの人の移動は極力避け、人との接触を8割減らしましょう。
大変なご負担となりますが、引き続きのご協力をお願いいたします。
チラシでは、「帰省・旅行を控える!」「3密を避ける!」「買物は少人数・空いている時間に!」の3点の注意を求めている。
●4月27日
シャープのマスク
4月17日から東京の各家庭をはじめに、アベノマスクの配布が始まったが、不良品が混じっているとかで遅れそうだ。シャープ(販売は株式会社SHARP COCORO LIFE、シャープ株式会社の100%子会社) の不織布マスクの第1回目のネット抽選応募が4月27日に終了した。4万箱(当初予定の3万箱から増加)の販売に対し470万の応募があった。当選率は、0.85%。1箱50枚入り3,278円(税込)+送料680円。
4月21日10時ネット販売の開始と同時に、筆者も申し込んだ。事前にマスコミで取り上げられたためか、申し込みが殺到。夕方までサーバーに接続できず、あきらめた。シャープは、4月21日から5月10日までを販売する予定だったが、 販売初日に希望者のアクセスが集中して購入できなくなったため、販売方法を抽選販売に変更したという。
シャープのマスク 出典:株式会社SHARP COCORO LIFEのホームページ
現在、毎週水曜日に抽選を行っているようだ。次回の第4回抽選日は5月20日(水)、応募締切 5月19日(火) 正午、予定当選者数は7万人で、1人50枚入1箱限り。
マスクは、通信販売業者や雑貨屋のほか、新聞販売所、居酒屋やタピオカ店などマスクと無関係の業者で売られているところがある。値段も従来より高くなっている。これまで我々が購入できていたドラッグストアやスーパーでは相変わらず販売しておらず、全国的に入手困難。マスクの型紙が雑誌や新聞などで出ていて、手作りする人も多いようだ。
●4月28日
休業要請に従わないパチンコ店
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づき、神奈川県は4月28日、感染拡大防止のための休業要請に応じない県内のパチンコ店6店の名前を公表した。なおも要請に応じなければ、休業を指示して履行を強く求めるとしている。同様にパチンコ店が休業要請や休業指示に従わないというニュースは、東京都、千葉県や大阪府など各地からも出ていた。
●4月29日
9月入学制度の導入検討
全国知事会でも、「緊急事態宣言」の延長を政府に求める方向。休校が長期化する中で、いっそ9月を新学期とするアイデアが最初高校生から出たそうで、各方面で「9月入学制度導入」の声。首相は、衆院予算委員会で「9月入学」の導入について「検討」と答弁、可能性を示唆。
中国、全人代を5月に開催
中国の全国人民代表者会議(全人代)は、新型コロナで延期されていたが、2ヶ月遅れの5月22日に開幕されるという。政治的安定を図る習指導部にとって、全人代の開催は、中国が新型コロナによる危機から抜け出し、共産党による統治の優位性が発揮されたと内外にアピールする意味も持つ。ただ、感染のリスクは依然残っており、党関係者によると、一部の代表をテレビ会議での参加にする案が浮上しているほか、例年10日間程度の会期の短縮案も検討されているという。
米国、GDPマイナス4.8%
米国の今年1~3月期のGDPは、年率換算でマイナス4.8%。6年ぶりのマイナス成長、下げ幅は2008年のリーマンショック以来11年ぶり。今回の発表は、GDP速報値にすぎず、さらなるデータの追加により下方修正される可能性がある。
●4月30日
緊急事態宣言、延長の方向で調整中
安倍首相は、5月6日迄の「緊急事態宣言」を1ヶ月延長する方向で調整中、5月4日にも正式発表する。
今年度補正予算は30日、与野党が補正予算の早期実施で合意し成立した。総額は25兆6914億円。予算案の国会提出からわずか4日間のスピード審議となった。朝令暮改の全国民への一律10万円給付も盛り込んだ。その他、売上高が半減した中小企業に200万円、個人事業主に100万円を上限に給付する持続化給付金(2兆3176億円)や、都道府県が「休業協力金」に活用できる臨時地方交付金(1兆円)、児童手当の受給世帯への子ども1人当たり1万円給付など。
このほか、観光振興(仮称:GoToキャンペーン,GoTo Travel、GoTo Eat、GoTo Ivent・・・)は、新型コロナウイルス収束後に観光やイベント、飲食業などを支援する経済対策で、予算はなんと約1兆7千億円。これに対して、医療を担う厚労省の予算は約7千億円億円と半額にも満たないため、野党はいつ収束するか分からないのに呑気な話だ、優先順位が違うなどと猛反発した。
安倍首相は「収束後に反転攻勢ができる、その未来図を示すことも我々政治の責任」などと答弁しているが、どこか違う気がする。医療破綻したり、生活や経営に困窮している人、アルバイトが出来ず退学を考えている学生、自殺者が出そうなくらいだ。もっと目先の医療崩壊を防ぐことや、国民が困っていることになど使い道がもっとあるはずなのだが。
コロナが収束して、元のように外出制限や営業制限が解かれて自由になれば、黙っていても国民は旅行に行くし、外食や居酒屋、パチンコにも行く。この予算は官僚主導で作ったもので、新型コロナ対策に名を借りた各省庁の予算ぶんどり合戦の結果膨らんだ予算だとあると、ある政治評論家を言うのを聞いてなるほどと思った。そういえば東日本大震災の時も、復興に名を借りたムダな予算も相当あったと聞く。
日経平均株価、2万円台回復
30日の東京市場日経平均株価は、大幅に反発し2万0193円。約2カ月ぶりの2万円台回復。新型コロナ治療薬を巡る期待感、経済活動の再開への思惑や米株高を受け買いが優勢だった。経済回復に期待感は出てきたが、まだまだ先行き不透明感が強く、大きな変動は続くだろう。
●5月1日
新規感染者は、緩やかに減少傾向
1日に政府の専門家会議がまとめた提言は、新型コロナウイルスの新たな感染者は減っているとしつつも、減り具合が目指したほどではなく、医療体制も逼迫(ひっぱく)していると指摘した。専門家会議が開いた記者会見で、尾身茂副座長は「感染者数は減少しているが、そのスピードは我々の期待するまでには至らなかった」と語った。
「緊急事態宣言」直後の4月11日に全国の新たな感染者数が700人近くになったが、最近は200人ほどの日もある。この日公表した提言は「オーバーシュート(爆発的な患者増加)を免れ、新規感染者数が減少傾向に転じるという一定の成果が現れはじめている」と評価した。長期の対応を迫られるなか、感染リスクが高い「3密」を避け、接触機会を減らした新型コロナに対する「新たな生活様式」の定着を呼びかけた。
下の政府専門家会議の記者会見資料を見ると、減少傾向がよく分かる。出典:厚生労働省ホームページ(図をクリックすると拡大表示)
●5月3日
国内感染者、1万5千人
新型コロナウイルスの感染者は3日、午後10時の時点で新たに203人確認、国内の感染者は1万5,084人となった。死者は19人増えて計536人。国内感染者が5千人を超えた4月9日から、1万人を超えた18日までは9日間。そこから1万5千人を超えるには15日かかっている。確かに感染者の増加は鈍ってきているようで、収束の期待が持ててきた。
東京都の感染者は91人で、うち64人は感染経路が分かっていない。1日あたりの感染者が100人を下回るのは4月30日以来だそうだ。
●5月4日
緊急事態宣言は、5月31日迄延長
5月6日に期限を迎える「緊急事態宣言」について、政府は4日夕方対策本部を開き、対象地域を全国としたまま、今月31日まで延長することを正式に決めた。安倍総理大臣は、今月14日をめどに専門家に感染者数の動向などを分析してもらい、可能だと判断すれば31日を待たずに宣言を解除する考えを示した。
現段階では、感染者減少が十分ではないという。1万人近い方が全国で療養中で、人工呼吸機による治療を受ける方は1カ月で3倍、500名を超える方が亡くなっているそうだ。医療崩壊まで至ってはないが、医療負荷が高い現状は、変わっていないようだ。さらに重症者治療に集中するためにも、新規感染者を減らす必要がある」と説明し、特に「特定警戒都道府県」(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府)の13都道府県については、「引き続き8割の接触回避をお願いしたい。各地への感染を防ぐためにも、地方への人の流れが生まれることを避けなければいけない。全国を対象に延長する」とした。
●5月5日
東京都、延長後の追加支給。
東京都の小池知事は5日夜の臨時記者会見で、国の「緊急事態宣言」が今月31日まで延長されたことを受け、今後の対応を表明。休業などの要請に全面的に応じた事業者に支給する「感染拡大防止協力金」について、「緊急事態宣言」の延長後も休業を要請し、全面的に応じた事業者に対し「感染拡大防止協力金」50万円または100万円を追加支給する方針。東京都のように財政が豊かでない他府県は、なかなかまねできない。
大阪府の出口戦略「大阪モデル」
大阪府の吉村知事は5日、特別措置法に基づく休業と外出自粛要請の段階的な解除に向け、次の大阪独自の基準を決めた。
①感染経路不明な感染者10人未満、②陽性率7%未満、③重症病床の使用率6割未満
この3つの基準で、すべての基準を7日間続けて下回れば、早ければ15日に要請の段階的な解除を決める。国が出口戦略を決めないので「大阪モデル」を決定したという。自粛要請の解除に向けた基準を自治体がつくるのは初めて。
34県の要請解除を容認
「緊急事態宣言」の延長が決まった一方で、特定警戒都道府県ではない34県では、一定の感染防止策を前提に社会・経済活動の再開が一部容認された。重点的な対策が引き続き必要な13の「特定警戒都道府県」でこれまで通り人と人との「接触8割減」を求める一方、それ以外の感染が抑制されている34県では、外出自粛や施設使用制限の一部を緩和。社会経済活動を部分的に容認した。公園や図書館は全国で再開を可能とする。
34県では、密閉・密集・密接の「3密」を避ける「新しい生活様式」を身に付けるよう求めた上で、県内の外出や小規模イベントの開催を認める。商業施設などへの休業要請についても自治体が実情に合わせて柔軟に緩和できるようにするという。
多くの県で5日、感染対策と経済活動の両立を図ろうと、地域の実情に合わせた検討が進み、方針が公表された。休業要請について全業種で解除する自治体がある一方、現状を維持する自治体もあり、考え方には当然バラツキが出ている。
●5月7日
外交評論家・岡本行夫さんが死去
外交評論家の岡本行夫さんが新型コロナウイルスに感染、4月下旬に亡くなっていたことが7日に分かった。74歳だった。外務省出身で、橋本内閣で96~98年に沖縄担当の総理大臣補佐官、2001年9月から小泉内閣の外交ブレーンとして内閣官房参与を務めた。歴代政権の外交・安全保障に助言してきた。またTVでも外交評論家として、たびたび出演していた。
●5月8日
PCR検査の目安
新型コロナウイルスのPCR検査について厚生労働省は8日夜、新たな相談の目安を公表し、「37.5度以上の発熱が4日以上」とした表記を取りやめた。具体的な体温は示さず、「息苦しさや強いだるさ、高熱などの強い症状がある場合」や「高齢者など重症化しやすい人で発熱やせきなど比較的軽いかぜの症状がある場合」は、すぐに相談するよう呼びかけた。
これまでこの国の目安は、PCR検査の希望者が殺到し、保健所に負担とならないよう現場の混乱を防ぐ一定の防波堤だったのだろうか。感染したのではないかと不安な毎日を送った人や手遅れになった感染者は、何だ今頃になって・・・。早く改めるべきだった。
加藤厚労相は、「目安ということが、相談とか、あるいは受診の1つの基準のようにとられられた。我々から見れば誤解・・・」、「これについては幾度となく、相談や受診に弾力的に対応していただいた」などと述べた。しかし、この国のPCR検査率の低さは、何だろうか。
米国の失業率、戦後最悪
米労働省が8日、4月の雇用統計を発表した。新型コロナウイルスによる経済危機で、非農業部門の就業者数(季節調整済み)が前月比2,050万人減、失業率が14.7%と、いずれも戦後最悪の水準となった。統計の単純比較はできないそうだが、1920~30年代の「大恐慌」の約25%に迫る雇用水準で、米国を主要市場とする日本の産業へ波及するのは確実だ。
これまで米国最大の減少幅は、第2次世界大戦の動員が終わった1945年9月の195万9千人減で、その10倍超の急落。2008年のリーマン・ショック直後の最悪期と比べても約26倍の減少。失業率も戦後最悪だった1982年11、12月の10.8%、リーマンショック後の2009年10月の10%をはるかに上回っている。
検事長の定年延長
黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題が8日、再燃した。新型コロナウイルスの感染拡大で一時下火となったが、与党はこの日、検察官を含む国家公務員の定年を延長する関連法案について、衆院内閣委員会で実質審議入りさせた。立憲民主党などの野党は、猛反発。このコロナ騒ぎの時に「火事場泥棒!」と国民も怒っている。
●5月10日
韓国、感染再拡大
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日、就任3年を迎えて演説。韓国が新型コロナ感染症の流行拡大を抑えたことについて、「防疫で世界をリードする国となった」と自賛し、「危機を新しいチャンスと発展の動力にしたい」と訴えた。
しかし一方で韓国政府は10日、ソウルのナイトクラブを訪れた客を中心にコロナの集団感染が発生、これまでに54人の感染を確認したと発表。韓国では、感染拡大が抑制されたとして今月6日に制限が緩和されたばかり。
中国武漢でも、感染再拡大
中国本土で10日に確認された新型コロナウイルスの新たな感染者は17人と前日から増加し、4月28日以来の高水準となった。震源地となった湖北省武漢市では、ロックダウン(都市封鎖)解除後初となるクラスター(集団感染)が確認、感染再拡大に対する懸念が高まっている。
韓国、中国も、また「第2波」がやってくるのではないかと心配だ。
世界の感染者400万人
新型コロナウイルスの感染が確認された人数が、世界で400万人を突破したことが、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計で明らかになった。死者は全体で27万7千人以上に上っている。最も被害が大きいのは引き続きアメリカだ。感染者の4分の1、死者の3分の1を占めている。
一方で専門家は、多くの国で検査の数が少なく、データが偏っているため、実際の感染者数はもっと多いと警告している。また、スペインなど一部の国では1日当たりの死者が減少傾向にあるものの、ロックダウン(都市封鎖)を緩和することで感染の「第2波」を招くのではないかとの危惧されている。
●5月11日
上海ディズニーランド営業再開
新型コロナウイルスの感染防止のために1月下旬から休園していた中国の「上海ディズニーランド」が11日、約3カ月半ぶりに営業を再開。米国、日本など各地のディズニーランドが休園する中、営業を再開は上海が世界初。中国では5月に入って「万里の長城」など各地の観光スポットが次々と開放されたとのニュース、中国国内の制限緩和が一気に進むようだ。
WHO、欧州の制限緩和に警鐘
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日の記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大の鈍化を受け、欧州などで外出制限の緩和が進められていることについて「命や生活を守るためにも徐々に、着実に解除していくことが重要だ」と述べ、一気に全面解除ではなく、慎重かつ段階的に実施していく必要性を訴えた。
●5月12日
加藤厚労相、誤解発言で釈明
加藤厚労相は12日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症の相談・受診目安が「誤解されていた」との発言への批判に関し「言葉が適切だったかは真摯に受け止めなければならない」と述べた。同時に「保健所に責任があると申し上げているのではない」と釈明した。
厚労省は8日、相談・受診目安から「体温37.5度以上」の文言を削除した。加藤厚労相はその日の会見で、この「目安」がPCR検査や診察を受ける「基準」のように扱われたことに関して「誤解」と発言した。立憲民主党の枝野代表が11日の衆院予算委員会で、37.5度以上の発熱が4日以上続かなかったので、PCR検査を受けられなかったという苦情が多く寄せられていると指摘「厚労相は、国民や保健所などが誤解したと、責任転嫁をしている」と批判していた。
トヨタ、来年度の営業利益80%減
トヨタ自動車は、新型コロナ感染拡大の影響で世界的に車の販売が落ち込むとして、来年3月期決算で営業利益が5,000億円と、今年3月期と比べて80%近く減るという厳しい見通しを発表。トヨタ自動車が12日発表した今年3月期の決算は、売り上げが前年比1%減の29兆9299億円、営業利益は1%減の2兆4428億円だった。豊田章男社長は、「今回のコロナショックはリーマンショックよりもインパクトがはるかに大きい」と厳しい認識を示した。
今年3月期の決算を発表したトヨタやホンダ、業績見通しを下方修正したマツダのほかにも、日産自動車が今年3月期の決算で赤字に転落する見通しのほか、三菱自動車工業も260億円の赤字になる見通し。
世界の自動車市場では、感染拡大が深刻だった中国で、日系メーカーのすべての工場が一時、操業停止に追い込まれている。もちろん自動車以外の産業でも、中小企業の倒産、大企業の経営不振によるリストラがはじまり、多くの失業者が出るだろう。
●5月13日
大相撲力士、コロナ肺炎により死去
新型コロナウイルスに感染して入院治療を続けていた三段目力士の勝武士(しょうぶし)が、コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため13日午前0時半に都内の病院で死去した。28歳という若さだった。大相撲の力士が新型コロナの陽性となり、犠牲者となったのは初めて。6年前から糖尿病を患っていたそうだ。
4月4日から38度台の高熱を発症。師匠の高田川親方らが保健所に電話をかけ続けたが、連絡がつかなかったという。並行して東京・江東区にある近隣の複数の病院からも入院拒否のたらい回しにされていたという。8日には熱が下がらず血痰の症状も出たため救急車を呼んだものの、これも受け入れ先がなかなか見つからず搬送は難航。夜になって都内の大学病院にやっと入院。9日に症状が悪化したため、別の大学病院に転院した。10日にPCR陽性と判定された。
全く気の毒な話だ。早く治療していれば、助かったのにと思うと心が痛む。力士の生活習慣病とか職業病とも呼ばれる糖尿病も、新型コロナによる死亡率の高い基礎疾患であることに、改めて認識する。
●5月14日
緊急事態宣言の解除
政府は14日、47都道府県のうち39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を解除した。感染拡大に一定の歯止めがかかっているとして 解除されたのは、「特定警戒都道府県」のうちの茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県と、特定警戒の対象となっていない34県。
一方、東京都や大阪府などの大都市圏や、特に感染が広がっている北海道では、引き続き制限が続く。
大阪モデルの基準達成
大阪府は14日夜、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、施設への休業要請などの解除を判断する大阪府独自の「大阪モデル」で、7日連続で基準を満たしたことを受けて、16日午前0時から休業要請を段階的に解除することを決めた。対象は、劇場や映画館、商業施設、それに床面積の合計が1000平方メートル以下の遊興施設や遊技施設など。吉村知事は対策本部会議のあとの記者会見で、「新型コロナウイルスとの戦いは第2のステージに入った」と述べ、感染拡大を抑えながら、社会経済活動を可能なかぎり再開させていく考えを示した。
大阪のシンボルである通天閣と万博記念公園の太陽の塔が、「大阪モデル」の達成状況を今月11日からライトアップの色で伝えていた。解除基準を7日連続で満たしたことを受け、14日夜ライトアップが「黄色」から初めて「緑色」に変わったという。
●5月15日
世界の死者数30万人超え
15日、世界の死者数が30万人を超えた。国別では米国の8万6千人が最多、英国(3万4千人)、イタリア(3万1千人)と続く。感染者数は443万に達し、米国が141万人と全体の3分の1をも占める。欧米の感染者増加ペースはやや緩みつつある。一方で南米や南アジアでの感染拡大が著しくなった。
世界で死者が10万人を超えたのが4月11日、15日後の4月26日に20万人、それから19日後で30万人と、全体としては鈍化傾向にある。
●5月16日
東京アラート
東京都は、国による「緊急事態宣言」解除に段階的に休業要請を緩和していく目安を公表した。ただし、感染状況が指標を超える場合は、独自の「東京アラート」を出し、警戒を呼びかける。宣言解除後の休業要請の緩和に向けた「ロードマップ」の骨格も示された。
感染症防止と経済社会活動の両立を図っていく目安となるモニタリングの指標は7つ。①新たな陽性者数が1週間平均で1日で20人未満。②感染経路不明が50%未満。③前週比の陽性者割合が1未満(新規感染者が減少傾向)。このほかに④重症患者数、⑤入院患者数、⑥PCR陽性率、⑦受診相談件数も考慮に判断される。指標のうち1つでも基準を超えた場合、「東京アラート」を発動し、都民に再び感染拡大への警戒を呼びかけるという。「東京アラート」という言葉は、小池知事好み表現だろうか。
「ロードマップ」には、自粛緩和の段階的な順序も示された。「ステップ1」で美術館、図書館などを緩和。「ステップ2」で、飲食店の営業時間短縮の一部緩和や小規模イベント開催。最後の「ステップ3」で、リスクの高い施設を除く全ての施設を開放。中規模イベントも開催可能とする。東京都は、「緊急事態宣言」が継続され、大阪府よりもその影響が長引きそうだ。
都知事は、東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県の知事が緊密に連携することで、新型コロナウイルス感染症の収束を目指していくという。これに対し、神奈川県・黒岩知事は、しっかり精査して、県としてどう対応すべきか考えていきたい。 埼玉県・大野知事は、基本的なところについてはお互いに意見交換をしながらやりましょうと述べていた。
出口戦略の違い
16日の朝日新聞によると、「緊急事態宣言」継続の8都道府県では、出口戦略を巡り東西で対応に違いが見えてきたようだ。大阪は、単純で分かりやすい「大阪モデル」の基準を早々と作って緩和に向かい、今月末を待たず経済活動と感染防止の両立に向かう。関西圏は、大阪と足並みをそろえるようだ。東京は、「東京アラート」で第二波を警戒して慎重姿勢、長期戦を覚悟。今月中の緩和はしない方針だという。首都圏3県は、近隣の状況を見ながら慎重な対応になりそうだ。
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●休業要請に従わないパチンコ店
新型コロナ対策の特別措置法に基づき神奈川県は、6業種に対し休業を要請した。それでも県の新型コロナのコールセンターには「休業要請に応じていない店舗がある」との情報が4月13日~22日だけで240件寄せられ、その3分の2がパチンコ店だった。
神奈川県は4月28日、「休業要請」に応じない県内6つのパチンコ店の名前を公表。しかしこのうち横浜市内の1店がそれでも休業要請に応じる意向を示さず営業を続けたため、5月1日より強い行政措置の「休業指示」を出して、施設の使用停止を求めた。店は3日まで営業を続けていたが、4日の朝店のシャッターに「新型コロナウイルスの感染防止のため5月6日迄休業します」と書かれた紙が貼られているのを職員が確認、これで神奈川県内すべてのパチンコ店が休業した。
千葉県も「休業指示」に応じない松戸市内のパチンコ店に対し、同市の本郷谷健次市長が5月5日、同店を訪れて営業自粛を求めた。市長の同店への直接要望は、「休業指示」が出た3日に続き2度目。開店直前の午前10時前には市職員が「緊急事態宣言発令中!」と書かれた横断幕を店舗前に掲げ、市長が外出自粛を呼びかけるチラシを利用客や市民に配りながら、協力を呼びかけたという。
神奈川県、千葉県の他にも、「休業要請」や「休業指示」に従わないのが、他の業種よりもパチンコ店。しかしパチンコ店を擁護する人は、なぜパチンコだけ非難されるのか、狙い撃ちされるのかと言う。タバコ利用者が多く、天井が高く換気が良い。利用者は実はよく手を洗う。なぜならパチンコ玉で手が汚れるから。パチンコ台に向かって黙々とプレイするので、隣どうしで大声で話す必要はない。パチンコ店で、ナイトクラブで発生したようなクラスターの例はない。
パチンコ店が営業を続けざるを得ない理由は、次のようである。
①中小店でも新規パチンコへの投資がかかり、どこも自転車操業で、営業しないと店はつぶれる。②コロナ危機でもパチンコに行かざるを得ないギャンブル依存症の人々がいる。営業している店があれば、他県をまたいでも殺到する。③パチンコで、その日の生活費を稼ぐパチプロ。または、パチンコで借金苦に追い込まれ、取り戻そうとする人々がいる。④ほかにやることや趣味もなく、パチンコでしか暇つぶしができない人々。
パチンコは、ギャンブル。どちらかと言えば社会の底辺にあって、社会から疎ましく思われているので、こんな時に余計に目立つのか。
●家庭ゴミの増加
外出自粛が求められる中、どこの家庭も考えることは同じだ。みんなが普段やらないような家の中の片付けや、庭の手入れなどを始める。
5月8日、筆者の住む市では、市の環境産業部から次のような内容のお知らせがあった。自宅の片付けをする人が多いため、粗大ゴミ等の家庭ごみを市の処理場に持ち込む車両が大幅に増加しているという。そのため待ち時間が2時間を超える程の混雑も発生。収集車に遅れが生じるほか、市民や施設作業員に感染リスクが高まることが懸念され、不要不急の家庭ごみの搬入は控えるようにという。
5月14日にも市の環境産業部から、家庭ごみとして出された布類(衣類・古布等)のリサイクルは、再利用可能な大部分を東南アジアの国々に依存しているが、輸出国での受け入れが困難な状況。家庭で保管して排出をできる限り延期くださいというお知らせ。
また、庭の草むしりや植栽の剪定をする家も多いようだ。筆者の地区でも可燃物の日に枝葉ゴミや樹木、雑草などが多く出されている。45リットル袋で一家庭2袋までと市で決まっている。まとめて10袋もごみ集積所に出ている家があって、収集車が積み残すため、ゴミ集積場ではゴミ袋が山になっている。TVニュースでは、プラスチック・ゴミも増加しているという。家で食事することが多くなって、テイクアウトやデリバリーの容器が増えているそうだ。
●マスク事情。
マスクをして政治家が記者会見をするようになって、テレビで聞き取りにくくなった。たまに買い物に行って、レジで店員の話す声を聞き逃すこともある。難聴者は、もっと困っているだろう。そういった声もあって、最近は政治家もマスクを取って話すようになった。そういえば、記者会見で政治家の傍に立つ手話通訳の人もマスクを外し、透明なフェイス・シールドをするようになっている。聴覚障害者は、手話通訳者の口元や顔の表情も見ているからだろう。
今後、外出制限が解かれてもマスクをして会話することも多くなるだろうが、コミニュケーションのトラブルも多くなりそうだ。聞き取りにくい言葉は、分かりやすい言葉に言い換えをするとか、文字や図で示して視覚的に伝える工夫が必要だと思う。
ところで、単純な白地のマスクではなく、手作りマスクが流行っている。小池東京知事が、毎日のように手作りマスクの絵柄が変わるので気になってみている。マスクは衣装と同じなのだろう。「閣僚や国会議員、知事などのマスクにも変化が出ている」と13日付の朝日新聞夕刊に記事と写真(クリックすると拡大表示)があった。政治家が絵柄や生地などを工夫し、ファッションや地元をアピールしているとある。
ところで安倍首相だけが、相変わらず1人で”小学校の給食当番”、「アベノマスク」が欠かせない。官房長官や厚労相もなぜ「アベノマスク」を着けて、アピールしないのだろうか。テレビを見ていても、「アベノマスク」をしている官僚や専門家会議委員も誰もいない。それほど「アベノマスク」は、人気がない。どこかの国の「裸の王様」状態なのだ。ただし日本維新の会所属で地域政党「新党大地」代表・鈴木宗男参議院議員は、「アベノマスク」の色を染め縫い直したり、ワイヤ入れたりアレンジして使っているという。
シャープのマスクは入手が難しいので、新聞のチラシ広告のを見て、筆者は4月22日は通信販売の100枚組(50枚×2箱)の不織布マスクをネットで注文。税と送料を含め8,306円。50枚で足りるのだが、100枚単位の販売なので仕方がない。50枚で計算しても、シャープよりも高くついた。ゴールデンウィークに引っかかったせいもあって、半月以上経った5月10日に配達。
しかし5月に入ってマスクは市場にだいぶ出てきているようだ。値段も下がってきたそうで、50枚3,000円以下で売られている所もあるという。だが相変わらず、大手のドラッグストアにはまだ置いてない。
●マイナンバー業務の遅延
4月20日「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が閣議決定され、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計支援を行うため、特別定額給付金(1人10万円)事業が実施されることになった。申請方法は、マイナンバーカードを活用したオンライン電子申請と世帯主宛てに郵送される申請書類を返送する郵送申請方式がある。
筆者の住む市では、5月8日からオンライン申請の受付が始まった。11日筆者は、1年に1度の確定申告しか利用価値がないマイナンバーを使って、11日に無事に申請が終わった。しかしマイナンバーカード業務に関わる手続きが集中し、全国市町村でマイナンバー業務に遅延が生じているそうだ。
マイナンバー申請に関して市町村窓口では、マイナンバーカードの新規発行、電子証明書の期限切れ、暗証番号を忘れてロック解除などの手続きで来庁する人で混雑している。窓口の待ち時間が、数時間にも及ぶこともあるそうだ。郵送方式では、住民基本台帳から自動的に支給対象者の情報が印刷され、それを本人確認して振込口座を記入、振込先口座と本人確認書類の写しを同封する。オンライン申請は、振込先口座と写しだけで良いが、受給者の情報も自分で入力する。
TVのワイドショーで説明していたが、市町村ではオンライン申請書と住民台帳とを、なんと人間の目で照合しているというので驚いた。オンライン申請された内容を、自動的に住民基本台帳と照合するプログラムが用意してないのだ。これでは、市町村の職員の手間がかかるだろう。よっぽど郵送方式が、効率が良い。せっかくマイナンバーの制度があるのに、お役所のお粗末な仕事が露呈した。
当市では、マイナンバー業務を含め、市民課業務全般の手続きについて、可能なものはできる限り5月下旬以降に来庁してくださいとアナウンスしていた。結局、郵送申請の方が早い場合もあり、何のためのオンライン申請か分からない。現在、市では全世帯に郵送する申請書の印刷作業を進めているところで、申請書は5月21日に発送予定だという。
●PCR検査数
経済協力開発機構(OECD)は4月28日、加盟国36カ国を対象に、人口1000人当たのPCR検査数を比較した最新のグラフを発表したそうだ。日本の検査数は1000人当たりわずか1.8人で、下から2番目。メキシコの0.4人に次ぐ少なさだという。
日本の検査数は、トップのアイスランドの135人と比べると2桁も少ない。イタリア29.7人、ドイツ25.1人、スペイン22.3人、アメリカ16.4人、イギリス9.9人、フランス9.1人など、多くの感染者を出している欧米諸国に比べても日本の検査数の少なさが目立つ。また、韓国の11.7人 やOECD加盟国平均の23.1人と比べても1桁少ない。
下のグラフはちょっと振るいデータだが、4月15日時点のOECD諸国の人口1000人当たのPCR検査数比較。(クリックすると拡大表示)
安倍首相は2月以降、国会や政府対策本部で何度もPCR検査の拡充を表明していたが、検査数はさほど増えていない。日本はどうしてPCR検査態勢をきちんと整えられないのだろうか。幅広くPCR検査をしないという日本政府の方針では、新型コロナウイルスの有病率を正確に把握することができないと、海外からも批判が相次いでいる。政府専門家会議の副座長・尾身茂氏は、11日の参院予算委員会集中審議で、軽症者や無症状の人が多くいるため、現在行われている検査システムでは全ての感染者数を把握するのは難しいとし、「報告されているより感染者数が多いのは間違いないが、それが10倍か20倍か30倍かは誰もわからない」と述べた。日本の感染者数の実態が掴めないということは、恐ろしい。
何故、日本はPCR検査数が少ないのか。検査員、検査技術、検査キット、検査試薬、検査装置、検査設備、検査費用・・・・・、何がネックになっているのかわからない。検査数を増やして陽性者が増えると医療の受け入れ体制の不足するためか、誰もその理由をはっきり説明できる人はいないのか。
山梨大学の島田眞路学長は、不十分なPCR検査は日本の恥だ、途上国並みだ。PCR検査は、大学でもできる。それをやらないのは省庁に縦割り行政。厚労省は保健所を使おうとしか考えてない、文部省管轄の大学に言えないのか、首相のリーダーシップしかないと、訴えている。
●実効再生産数(R値)とK値
「実効再生産数(R値)」は、1人が何人に感染させるかを示す値。ウイルスの感染が、指数関数的な増加を続けるのか、それとも事態が終息に向かうのかを見極めるために重要な意味をもつ。基本概念はかなりシンプルで、感染症のR値=1ということは、1人の感染者が平均で1人に直接感染させるという意味。感染症のR値が1より大きい場合、多くの人に感染が拡大し続け、1未満の場合は流行は徐々に収まり、最終的には完全に消え去る。R値が0.7だとすると、100人の感染者から70人が感染し、その後49人、34人、・・・が感染する。したがって、R値が1未満の値で小さければ小さいほど、収束していくということになる。
5月1日政府専門家会議の記者会見資料(出典:厚生労働省ホームページ)の青の曲線が、実効再生産数の推移(クリックで拡大表示)。
ただしTVのワイドショーで、コメンテーターが専門家会議は実効再生産数をどういう数式とどんなデータを使って計算しているのか、明らかにして欲しいと言っていたが、筆者もよく分からない。
一方で、新型コロナウイルス流行の収束時期を予測できる全く新しい指標「K値」が、最近にわかに注目を集めている。中野貴志・大阪大学教授(核物理研究センター)と池田陽一・九州大学准教授(理学研究院物理学部門)は、新型コロナウイルスの感染動向に関する非常に興味深い論文(査読論文)を4月25日に発表した。
X=累計感染者数、Y=1週間前の累計感染者数とし、「K値」を
K=(X-Y)/X=1-Y/X
と定義する。
これは、直近1週間の累計感染者数の増加率(直近1週間の累積感染者数を当日までの累積感染者で割ったもの)を評価した数値。このK値の動きを通じて、簡単かつ正確に感染状況が予測・把握できる可能性があるという。ドイツやフランスの例から、K=0.05が経済規制緩和の目安になるのではないかという。
以下の図3と図4は、中野貴志と池田陽一の日本語論考「K値で読み解くCOVID-19の感染状況と今後の推移」(2020年5月6日)から引用。
・日本国内におけるK値の推移
・東京都におけるK値の推移
東京都の31日目(5月2日)からのK値の上昇は、複数の病院でクラスター感染が起こったことが原因 と分かっていて、それ以上の拡大は見られない。
これら日本国内と東京都のグラフのK値を読み解くと、K値は予想曲線に沿って推移しており、「現在のところ、新型コロナウイルス感染は収束に向かって順調に進展している」ことがわかる。
●検察庁法改正案
この問題の発端は、安倍政権が今年1月31日「検察庁の業務遂行上の必要性」を理由に、東京高検検事長の黒川弘務氏(63)の定年を法解釈を変え半年延長する閣議決定をした。検察官の定年延長は初めてで、「政権に近い黒川氏を検事総長に据えるため」との疑念を招いている。安倍首相やその”お友達”には、森友、加計、桜を見る会の問題など数々の疑惑があり、刑事告発も出ている。
黒川検事長の定年延長をめぐる政府答弁が不透明で迷走を続け、筆者が聞いていてもちっとも納得できる説明ではない。その上、今回の検察庁法改正案の法案提出の経緯が、この定年延長を事後的に正当化するかのようだ。検察庁法改正で、時の政府が検事の人事に介入できるのだ。黒川氏の定年が8月7日まで延長されたことで、氏は検事総長になるの道が開けている。
姑息な政府のやり方は、一般の国家公務員の定年を65歳に引き上げる国家公務員法改正案と1本化して提出している。野党は検察庁改正案と分離して審議するよう求めている。このコロナ騒ぎで、他に優先すべき課題があるの中で「火事場泥棒」も甚だしい、違法な閣議決定を「後付け」で正当化しようとしている。これは、首相が自分に都合の良い法律を作るために相違ない。そうでなければ、何故急ぐ必要があるのか。
歌手や俳優などの芸能人や著名人がツイッターで「#検察庁法改正案に抗議します」という投稿やSNSでの批判が拡大している。また検事総長や特捜部長を務めた検察OB の有志14人は、15日反対意見書を法務省に提出した。
検察OBの反対意見書では、安倍首相が従来の法解釈を変えて定年延長を閣議決定したことは、「フランスで君臨したルイ14世の言葉『朕(ちん)は国家なり』を彷彿(ほうふつ)させる」と述べ、「三権分立の否定につながりかねない」と強く批判。また、今回の法改正については「政治介入を正当化する意図がある」と指摘している。松尾邦弘・元検事総長は、意見書を提出した後の記者会見で「検察官として一番大事なのは、自主独立。検察のあるべき姿に重大な影響を与える」。清水勇男・元最高検検事もこの会見で、「検察人事に歴代政府は口を出さなかった。その慣例が破られようとしている」と語った。
東京地検検事としてロッキード事件を捜査した堀田力(つとむ)氏は朝日新聞のインタビューで、「定年延長を受け入れた東京高検検事長の黒川氏、それを認めた稲田検事総長は、自ら辞職すべきだ。仮に改正法が成立して定年延長を政府から持ちかけられても、受けないくらいの宣言をすべきだ。それによって検察の原点の公正中立を守り、国民の信頼回復に貢献して欲しいと願っている」と述べた。
堀田力氏の提言と全く同感だ。先人がこれまで作り上げてきた「検察の公正さ」を破壊する行為に、自民党・公明党の有志からも批判の声が何故上がらないのだろうか。
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