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2019年9月の2件の投稿

2019年9月14日 (土)

湯元温泉と戦場ヶ原

   2019年9月1日(日)、奥日光の湯元温泉から戦場ヶ原を散策する。

 

 本ブログ記事「日光白根山」の続き。湯元温泉の温泉寺や源泉を散策。バスで赤沼バス停に移動し、湯川に沿って戦場ヶ原、小滝、湯滝を経て、湯ノ湖をめぐる。

   

 前日、標高2578mの「日光白根山」に登り、標高1,480mの奥日光湯元温泉の旅館「湯守釜屋」に宿泊。

 朝6:00起床。7:30~朝食。8:40旅館を出発。

 レンタカーは旅館「湯守釜屋」に駐めさせてもらって、バスの発射時刻まで湯元温泉の北のはずれ「温泉寺」と「湯元温泉源泉地」を散策。

 「日光山温泉寺」は天台宗の寺院で、世界遺産「日光山輪王寺」の別院。

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 「温泉寺」は、日光を開山した勝道上人(しょうどうしょうにん)が、788年(延暦7年)にこの温泉を発見、病苦を救う薬師瑠璃光如来を祀ったのが始まり。その後、薬師信仰のもとで庶民の療養延年の名湯として知られるようになり、江戸時代には「輪王寺」の直轄寺院としてその名が広まった。

 昔、「温泉寺」は「薬師堂」という名前で別の場所にあったそうだ。1966年(昭和41年)、台風の土砂崩れで直径5mもの大岩が落下し、「薬師堂」は潰れた。だが如来像は、その落下した大岩の上に無傷で鎮座していたそうだ。この奇跡に、地元の人々は益々信仰を篤くし、お堂の再建を発願、1973年(昭和48年)源泉の近くの現在地に「温泉寺」として建立されたという。

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 庫裏(くり)には、源泉から温泉を引いて浴場が作られている。温泉に参篭(さんろう、こもること)のできるお寺は珍しい。薬師如来の「健康増進・延命長寿」のご利益があるという。 4月下旬~11月下旬の期間、8時~17時受付。参篭(入浴)は1時間で宿泊は不可。志納金と呼ぶ入湯料は、大人 500円。

 温泉寺の東に隣接した「湯ノ平湿原」を経て「湯元温泉源泉地」に行く。

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 『湯ノ平湿原』の説明板によると、「湯ノ平湿原」は元は「湯ノ湖」の一部であったが、周辺の沢から運ばれた土砂が堆積して湿原となったそうだ。現在の湿原は温泉水のほか、周囲からの湧水、伏流水が供給され、「湯ノ湖」に流れている。冬でも湿原は、温泉水で凍結しないため、ニホンザル、ニホンジカ、コガモなどが餌を求めて訪れるという。

 湿原の北側が、源泉地となっている。

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 硫黄の匂いの乳白色の温泉水が、各旅館の小屋から湧き出ている。

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 湯元温泉バスターミナルから、9:15発の日光駅行き東武バスに乗車。

 バスは国道120号線(日本ロマンチック街道)を南下、光徳温泉を経由して9:35赤沼バス停。ここで下車。

 

 赤沼は標高1,395m。徒歩5分ほど赤沼分岐。ここから直進すると「小田代ヶ原(おだしろがはら)」。右折して「戦場ヶ原」を流れる湯川に沿った遊歩道(戦場ヶ原自然研究路)を「湯滝」に向かって北上する。

 9:45湯川赤沼橋の上から、湯川の上流を望む。湯川は、「竜頭(りゅうず)ノ滝」を下って「中禅寺湖」へ流出する。

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 ピンク色の花の大群落、ホザキシモツケ(穂咲下野)はバラ科シモツケ属の落葉低木。

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 奥日光のランドマーク「男体山」(2486m)と「戦場ヶ原」を見渡せるスポット。

 「男体山」の左側の裾野の奥に、「大真名子山(おおまなこさん)」(2375m)と「小名真子山」(2323m)。その奥にある「女峰山(にょほうさん)」(2483m)は見えない。

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 「男体山」の左側に目をやると、中央に「太郎山」(2368m)、その左「山王帽子(さんのうぼうし)山」(2077m)、左端の波形の山は「三岳」(1945m)。

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 真名子(まなこ)は、「男体山」と「女峰山」という両親を持つ愛子(まなご)、「男体山」の北には「太郎山」を擁し、火山一家を成しているというから、誰が名付けたのか面白い。 

 「戦場ヶ原」と日光連山のパノラマ写真。(クリックすると拡大表示します。)

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 日本百名山の「男体山」の山頂(火口)にかかる雲が切れた。

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 足下には杉本真人の歌でも有名なワレモコウ(吾亦紅)。バラ科・ワレモコウ属の植物。

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 山地の湿地帯に生えるエゾリンドウ(蝦夷竜胆)は、リンドウ科リンドウ属の多年草。

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 「日光白根山」の登山道でも多く見られたアキノキリンソウ(秋の麒麟草)。キク科アキノキリンソウ属の多年草

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 樹木のトンネルの中、木道を進む。

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 さらに湯川をさかのぼって戦場ヶ原自然研究路を歩いて「青木橋」を渡る。

 湯川でマス釣りをする人を見かける。湯川はキャッチ&リリースの河川で、釣った魚は放すこと。

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 ヤマシロギク(山白菊)の別名を持つシロヨメナ(白嫁菜)は、キク科シオン属の多年草。

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 この辺りから湿原が終わり、緩いアップダウンが続く山道になる。

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 「泉門池(いずみかどいけ) 」 の手前の分岐を直進。左に折れると「小田代ヶ原」。

 11:15「泉門池」のそばに設置されたテーブルで10分ほど休憩。「泉門池」は、光徳牧場付近にある「光徳沼」と同じように、湧水による池。正面の山は「太郎山」か。

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 この先の「小田代橋」を渡ると、国道120号線の光徳入口バス停に向かう分岐。「湯滝」方向に向かう。

 11:50湯川に架かる木橋から「小滝」を正面から見る。

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 急階段の遊歩道を上り、「小滝」を上から見る。やがて「湯滝」の水が落ちる音が聞こえ始める。

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 12:00「湯滝レストハウス」前の鹿フェンスをくぐると、目の前に轟音とともに迫力ある「湯滝」が現れる。

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 「湯ノ湖」から湯川に落ちる落差50m、幅25mの滝。「華厳の滝」と「竜頭の滝」に並んで、「奥日光三名瀑」と呼ばれる。

 地図で見ると、この先の「湯ノ湖」の湖尻に行くには湯滝駐車場を抜け、国道120号線の湯滝入口バス停から10分ほど歩く。しかし「湯滝」のすぐ側面に、急階段の近道があるのに気が付き、ここを上って行く。

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 ジグザグの急階段の横を流れる「湯滝」。樹間に斜面を流れ落ちている様子がよくわかる。

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 急階段を上り詰め、12:20「湯ノ湖」から「湯滝」の落ち込み口を覗く。

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 湖尻から「湯ノ湖」を見渡す。ここから「湯ノ湖」の東湖畔に沿って、遊歩道(湯ノ湖一周コース)を歩く。

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 よく整備された遊歩道は、アップダウンがほとんどなく歩きやすい。

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 ウサギの耳の形をした「兎島湿原」への分岐付近から「湯ノ湖」を望む。

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 12:50、標高1,480mの湯元温泉側の湖畔に到着。貸しボート屋があって、釣り客や観光客が利用している。

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 「湯ノ湖」では、明治以降に多くの種類の魚が放流され、ヒメマス、カワマス、ニジマス、ホンマス、コイ、フナ、ワカサギ等が棲んでいるという。

 13:00~湖畔の「日光湯元レストハウス」で昼食。ざるそば750円。

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 レンタカーを駐めていた旅館「湯守釜屋」の駐車場へ戻る。

 13:25、駐車場を出発。往路を逆に国道120号線を北上、丸沼高原を経て、関越道沼田インターから帰路へ。

 

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 ★ ★ ★

 標高1400~1480mの日光湯元・戦場ヶ原は涼しくて、自然に触れながら気持ちの良い散策だった。「中禅寺湖」、「竜頭ノ滝」、「戦場ヶ原」や「光徳牧場」の奥日光へは、これまで2,3回以上訪れているが、「湯滝」から「湯ノ湖」の遊歩道を経て湯元温泉へは初めてのコースだった。「竜頭ノ滝」への散策も当初計画したが、昼食と帰りのタイミングを考えると、ちょうど良い散策時間。歩程は、10キロくらいだったろうか。

 

2019年9月12日 (木)

日光白根山

 2019年8月31日(土)、奥日光の「日光白根山」に登る。朝から曇り、山頂は霧。下山後晴れる。

 「白根山」は、栃木県日光市と群馬県利根郡片品村の境界にある標高2,578m。関東地方以北の東北、北海道を含めて最高峰を誇る。日本百名山。日本各地に同名の山があるため、「日光白根山」と呼ばれる。また、隣にそびえる「前白根山」に対して「奥白根山」とも呼ばれることもある。 

 

 7:00関越道の沼田インターを降り、国道120号線(日本ロマンチック街道)を北上、7:55丸沼高原の「日光白根山ロープウェイ」駐車場に到着。

 センターステーションには、ショップ、ロープウェイ切符売り場、日帰り温泉、休憩所などがある。

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 8:13山麓駅を出発。ロープウェイ利用料金は、往復2,000円。高低差600m、所要時間は15分。

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 8:28山頂駅を降りると、正面の木道が山頂喫茶「しらね」に続き、その先に登山口と「二荒山神社」に向かう。

 ここは、標高2,000m。ここから「日光白根山」の山頂まで標高差578m。山容が眼前にそそり立つはずだが、厚い雲で見えない。

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 「二荒山神社」の赤い鳥居くぐる。

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 「二荒山神社」の前を通り過ぎると鹿の侵入を防ぐフェンスがある。

 鹿フェンスの扉をくぐって8:40登山開始。扉には、開けたら必ず閉めることと表示されている。

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 しばらくなだらかな針葉樹の林の中。所々に整備された木道を歩く。

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 やがて登山道が厳しくなってくる。

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 登山道にある大日如来の石像。木製の祠は新しいが、石像はいつの頃からここにあるのだろうか、歴史を感じる。

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 登山道にはほかにも「大日如来」、「不動明王」、「六地蔵」など、山岳信仰にまつわる文化財が残されているという。

 『大日如来』の説明板には、次のように書かれている。

 『如来とは真実の世界から生まれてきた覚者、すなわち真如来生を略しもので、大日、釈迦、薬師などが一般的に知られている。密教の根本教主であり、その光明は昼夜の別ある太陽の威力を上まわる意から大日といい如来の中でも最高の智恵と威力の位にあるとされる。
                         (中略)
  山岳信仰の中心には大日如来があって、ここ白根山でも同様に大日如来を中心に諸仏諸尊が祀られ、古来から“道”を極める人々の修行研鑚の場所となって来ました。』

 登山道に咲く見慣れない白い花は、カニコウモリ(蟹蝙蝠)。キク科コウモリソウ属の多年草。名の由来は、葉の形が蟹の甲羅に似たコウモリソウ。そもそもコウモリソウは、葉の形がコウモリ(蝙蝠)に似ているからだそうだ。

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 9:20「七色平」にある避難小屋への分岐を直進、山腹を南に巻く登山道を進む。

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 木の根のある登山道は、やがてゴロゴロの岩とさらに厳しくなる。休憩を何度も入れながら喘ぎながら登る。

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 高度を上げると、樹間にロープウェイ山頂駅が眼下に見える。

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 11:00森林限界を過ぎると、高山植物のお花畑が広がる。花は咲いてないが、ハクサンシャクナゲも多い。霧や雲がなければ、展望も良いのだが。

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 アキノキリンソウ(秋の麒麟草)は、キク科アキノキリンソウ属の多年草。

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 ハクサンフウロ(白山風露)は、フウロソウ科フウロソウ属の多年草。

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 お花畑から、霧の晴れ間に現れた山頂付近を見上げる。標高2,375m。気温17℃。

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 ここから先は急勾配。岩屑や小石、砂を敷いたような滑りやすい「ザレ場」、岩がゴロゴロと積み重なった歩きにくい「ガレ場」が続く。落石に注意。

 山頂の少し下の場所に、「白根神社」奥社の祠がある。

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 この辺りから、巨石が散乱したピークがいくつもあって、どれが頂上だかわからない。

 11:50、近くに三角点や山頂標識がある溶岩ドームの山頂2,578mに到着。

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 山頂からは雄大な山々が広がる360度のパノラマのはずだが、霧と雲で展望なし。

 時々霧が晴れて、右手に「中禅寺湖」、山頂が雲に隠れた「男体(なんたい)山」、その麓の湿原が「戦場ヶ原」の一部。

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  山頂から少し下の風の当たらない場所に移動して昼食。

 12:30下山開始。登りとは別の「弥陀ヶ池」へ向かう北斜面のガレ場の急坂を下る。

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 眼下の「弥陀ヶ池」。

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 二つの沼に見えるが、つながっている「菅沼」。湖畔には、菅沼キャンプ村がある。

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 中央に「弥陀ヶ池」、その左「菅沼」、左端は「菅沼」より大きい「丸沼」。

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 ガレ場の急坂が、延々と続く。スリップや落石に注意。

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 「白根山」と「五色山」、「前白根山」に囲まれ、コバルト色の水をたたえる「五色沼」。火口湖と思ったが、堰止湖と考えられている。

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 北の方角、尾瀬の双耳峰「燧ヶ岳(ひうちがだけ)」(2,356m)が顔を出す。

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 13:40「弥陀が池」の鞍部の分岐で休憩。「七色平」に向かう。

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 14:30「七色平」の避難小屋。その先の分岐で、往路に戻る。

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 「七色平」とは珍しい地名だが、説明板には以下のように書いてあった(要約)。

 山岳信仰、修行の場であった山は、俗世間と遮断され浄土や地獄に例えて地名が名付けられた。「七色平」は、浄土の虹のような場所と推測され、極楽浄土行き願う人々の憧れの場所であったとされる。

 深田久弥の『日本百名山』には、「七味平という気持ちのいい小草原まで下ると、そこはもう樹林帯で・・・」と書かれていて、「七味平」は「七色平」のことと思われる。

 15:05往路では気がつかなかった大きな一枚岩の「不動岩」。これも不動明王から名前が付けられたのだろうか。

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 15:15、ロープウェイ山頂駅近くの「二荒山神社」、無事の下山を感謝して参拝。 

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 ロープウェイ山頂駅付近から、東の方角。朝見えなかった「日光白根山」の威容がくっきり見える。

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 山頂駅近くの山頂喫茶「しらね」で休憩後、15:45「天空の足湯」のある西の方角の展望台(天空テラス、天空カフェも隣接)へ。

 雲が多くて、展望なし。残念。(写真をクリックすると拡大表示します。)

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 写真右手の大きな三角形の山は、「四郎岳」(標高2,156m)。その右手に山頂が雲に隠れた「燧ヶ岳」(2,356m)。晴れていれば四郎岳の後方には「平ヶ岳」が頭を出し、写真中央付近に「至仏山」がそびえ、その左に遠く「巻機山」、「谷川岳」、「苗場山」、「武尊山」、「草津白根山」、「四阿山」、「浅間山」を眺望できるという。

 15:50ロープウェイ山頂駅を出発、ゴンドラの中から「日光白根山」を振り返る。16:05山麓駅に到着。

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 ゴンドラから、丸沼高原スキー場のサマーゲレンデ(麓駅付近)を見下ろす。グラススキーを楽しむ人たちも見える。

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 16:15ロープウェイ駐車場を出発、国道120号線の金精トンネル(金精峠)を抜けて、硫黄の匂いが漂う奥日光湯元温泉へ。

 16:50旅館「湯守釜屋」に到着。

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 「湯守釜屋」は江戸時代中期、日光「輪王寺」より寺役の「湯守」の任を受け240余年。明治元年に湯宿として創業。以来150年「湯守」を名乗り、掛け流しの白濁食の湯を宿泊客に提供しているという。いかにも温泉らしい硫黄泉の香りと色は、癒やされる。

 入浴後、19:00~夕食。21:30就寝。

 翌日は、「戦場ヶ原」を散策する。 

 

 ★ ★ ★

 「日光白根山」は日光火山群のひとつだが、狭義には白根火山群に属する。最高峰の「日光白根山(奥白根山)」(標高2,578m)は、「座禅山」(2,317m)、「前白根山」(2,373m)、「五色山」(2,739m)、「白根隠山」(2,410m)を外輪山とする二重式の活火山、溶岩ドームである。約5300年前以降、複数回の大規模噴火があり、周辺に堆積物を残す噴火は4回以上と考えられている。最近では1952年(昭和27年)に噴煙を上げ、地震活動があったそうだ。

 「日光白根山」は別名「二荒山(ふたあらさん)」と呼ばれ、「男体山」とともに「荒れ山」の総称。この両山の火山活動によって、日光側に「中禅寺湖」、「湯ノ湖」、片品側に「丸沼」、「菅沼」などの多くの湖沼や「華厳の滝」、「竜頭の滝」、「湯滝」など多くの滝が生まれ、また豊富な温泉に恵まれている。

 

 「日光白根山」の山頂に至る主な登山道は、①湯元温泉から外山尾根・天狗平・前白根山を経由する、②菅沼から弥陀ヶ池を経由する、③金精峠から五色山・弥陀ヶ池を経由するコースがある。しかし近年は、④群馬県片品村の丸沼高原スキー場から日光白根山ロープウェーで標高2000m付近まで行けるようになり、他のコースより比較的楽に登れるようになった。

 これまで「日光白根山」には、③金精峠からのコースで2,3回ほど登ったことがあったが、丸沼高原のロープウェイを利用したのは初めて。楽なコースと想像していたが、やはり百名山だけあって、厳しい山であった。

 8月27日から29日にかけて対馬海峡から九州北部にかけて秋雨前線が停滞。北上と南下を繰り返し、”線状降水帯”が長時間続き、集中豪雨による災害が発生した。この影響で、関東でも不安定な天候が続き、31日の山行が心配された。しかし当日は、曇り空で雨には降られず、暑くもなく、まずまずの天気だった。


  
 栃木県日光市にある「二荒山(ふたらさん)神社」は、宇都宮市の「二荒山神社」と区別するために「日光二荒山神社」と呼ばれる。ユネスコ世界遺産では、「日光の社寺」の構成資産の一つとして登録。日光連山の日光三山をご神体として祀る神社で、本社(日光市山内)、別宮(女峰山登山口)、中宮祠(中禅寺湖畔、男体山表登山口)、奥宮(男体山山頂)から成る。日光三山は、「男体山」(古名は「二荒山」)、「女峰山(にょほうさん)」、「太郎山」から成り、「二荒山神社」ではそれぞれに神をあてて祀っている。

 「二荒山神社」は、古来より修験道の霊場として崇敬された。江戸時代に幕府によって「日光東照宮」が造営されると「二荒山神社」も重要視され、現在の世界遺産・重要文化財となる主な社殿が造営された。また、国宝や多数の重要文化財の刀剣などを現在に伝えているほか、境内は国の史跡「日光山内」に包含されている。 

 「男体山」など奥日光の山々は、勝道上人が発見して以来、信仰の聖地として山伏達が修業の場としていた。「日光白根山」の山頂にも、1429年(永享元年)に「白根山神社」が祀られた。祭神は、「二荒山神社」と同じ大己貴命(おおなむちのみこと)、すなわち大国主命(おおくにぬしのみこと)。永い年月で老朽化し倒壊したままだったので、土地所有者の日本製紙(株)が「二荒山神社」から歓請、2003年(平成15年)に山頂駅に新しく「二荒山神社」を建立したという。また、白根山の山頂の少し下の場所には、「白根神社」奥社の祠がある。

 

 群馬県片品村にある丸沼高原スキー場の運営会社は、日本製紙(株)のグループ会社である日本製紙総合開発(株)。日光白根山ロープウェーが基本的に通年運行しており、冬以外でも日光白根山などへの登山、自然散策に利用できるほか、サマーゲレンデ、サマーリュージュ、オートキャンプ場、ツリーアドベンチャー(木登り)、バーベキュー、星空鑑賞、日帰り温泉といった多種多様なレジャー施設を営業している。



 本記事の最後に、『日本百名山』の37奥白根山の項について、深田久弥の名文を以下に引用したい。

 「奥日光に遊ぶ人は、すぐ前にある大きい男体山や太郎山に眼を奪われて奥白根山に注目する人は極めて少ない。中禅寺湖畔から戦場ケ原の一端に立つと、原を距(へだ)てて左手に連なる前山の上に、奥白根山の尖端が僅かに見えるが、進むに従って姿を消し湯元では全く見えない。だから日光白根山と言っても、誰の眼にも親しい山ではない。

 この山をよく眺めるには、男体山や皇海(すかい)山、あるいは武尊(ほたか)山や燧(ひうち)岳、それら東西南北の山々から望んだ時、真に日光群山の盟主にふさわしい威厳と重厚をそなえた山容が得られる。かつて平ケ岳の頂上から眺めて、連山を抜いて一きわ高く豪然とそびえている、その立派な姿に驚いたことがある。上信越国境では最高の峰である。浅間よりも高い。

 麓からその全容を捕えるのに困難な山であるが、遠く離れるとよく見える所がある。それは上野から高崎へ行く汽車の窓からで、赤城が見えだした頃その右手に、整った円錐形の男体山、それと並んで更に高くヴォリュームのある白根山が眺められる。関東平野が冬ざれの一色に塗られている時、その果てに純白の雪を光らせる。」

 

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