奈良・東大寺
2018/5/26(土)~28(月)、2泊3日の奈良・大和路探訪の旅。
《大和は国のまほろば、史跡が点在する奈良大和路をめぐり、古代の歴史・文化を学ぶ》
1日目の26日(土)午後から、奈良公園の東大寺、春日大社、興福寺を回る。
東京駅の新幹線14番ホーム、昼食の駅弁とお茶を購入。9:47発の「のぞみ315号」新大阪行に乗車。
12:05京都駅着。新幹線ホーム(3階)を降りて下の階(2階)の中央口を出ると、正面が近鉄の改札口。12:20発の近鉄特急・近鉄奈良行に余裕で乗り換え。12:55、近鉄奈良駅に到着。
東改札口を出て、荷物をコインロッカーへ入れ、2番出入口から階段を上がり地上に出る。噴水のある「行基菩薩像」の前で、NPO法人「なら・観光ボランティアガイドの会」と待ち合わせ。13:15、観光ガイドのTさんと合流。
写真は、近鉄奈良駅2番出口。Google Mapより。
「奈良公園」は東大寺・興福寺・春日大社の寺社境内、奈良国立博物館・正倉院等の文化施設、春日山・若草山等の自然を含む東西4Km、南北2Kmにおよぶ広大な都市公園。総面積は、およそ660ヘクタール。
13:20駅前を出発、「興福寺」の境内を右に見ながら緩やかな坂道を東に進む。奈良公園の「登大路(のぼりおおじ)園地」では、本場ドイツのビール、ソーセージを楽しめる「奈良オクトーバー・フェスト2018」が開催中、賑やかな音楽もステージから聞こえる。
10月でなくとも、ドイツのビール祭り「オクトーバー・フェスト(OKtoberfest)」として、東京や横浜のほかも奈良でも催されているのは驚いた。
「奈良国立博物館」(略称:奈良博)の前を通過。仏教美術を中心とした「奈良博」は、時間の関係で割愛。創建1250年記念特別展「国宝 春日大社のすべて」(入場料1,500円)が開催中。
古い建物は、奈良博の「なら仏像館」。
奈良博の「東新館」と「西新館」。
13:40、奈良国立博物館の北東方向には、「森鴎外の門」がある。
石碑の説明板によると、1917年(大正6年)に森鴎外は、帝室博物館の総長(東京、京都、奈良の帝室博物館を統括)に任命された。ここに鴎外のかつての官舎があったという。毎年秋になると、正倉院宝庫の開封に立ち会うため奈良を訪れた。
石碑は、「猿の来し 官舎の裏の 大杉は 折れてまたなし 常なき世なり」の鴎外の歌が刻まれている。鴎外が宿泊していた時代には、猿も山から下りて来ていたようだ。
森鴎外の門から、大仏殿交差点を渡って北へ参道を向かって歩くと、右手に東大寺の世界遺産の記念碑がある。
東大寺は1998年、古都奈良の文化財の一部として、ユネスコより世界遺産に登録された。
東大寺の参道には、多くの修学旅行生、外国人観光客、土曜日とあって家族連れ、それに鹿たちが群れて、混み合っている。
正面に鎌倉時代に再建された国宝の「南大門」。
13:50、大南門。門の両脇に向かい合って立つ高さ8mの仁王像「金剛力士像」も国宝。鎌倉時代を代表する仏師の運慶・快慶ら一門が、69日間で造り上げた。門の左手に口を開けている阿形(あぎょう)。
入堂口で拝観料600円を払い、回廊を通って「中門」(重要文化財)を抜け、「大仏殿(金堂)」に向かう。
「大仏殿」は、平安末期と戦国時代の2回、戦乱に巻き込まれて焼けたが、ともに復興を遂げ現在に至る。現在の建物は、江戸中期の三代目。費用面で、創建時の幅88mの3分の2に縮小されたが、それでも幅57m、奥行き50m、高さ48mもある。
大仏殿の上面には、国宝の「八角燈篭(とうろう)」。楽器を奏でる天女が描かれている。
14:30、大仏を拝観。聖武天皇が万物の幸福を願って造立した東大寺本尊の「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」。752年(天平勝宝4年)に開眼した。これも国宝。
高さ約15m、基壇の周囲70m。世界最大の金銅仏。頭部は江戸時代、体部は大部分が鎌倉時代の補修であるが、台座や体部の一部には建立当時(天平時代)のものが残っている。国宝に指定。
大仏の右に位置する(大仏に向かって左の)脇侍(わきじ=本尊の両脇に位置する仏)は、木造の「虚空蔵菩薩(こくうぼさつ)」(重要文化財)。
大仏の左脇侍は、同じく木造で重要文化財の「如意輪観音」。
大仏殿の西北隅には、四天王の一人「広目天」、東北隅には「多聞天」が立つ。
「増長天」(下の写真の左)と「持国天」(右)は、何故か頭部だけが隅に置いてあり、未完成のままなのだという。
大仏様の鼻と同じサイズの穴が開いた柱。くぐり抜けると厄除けになるそうで、順番を待つ観光客が並んでいた。
創建当時の東大寺伽藍(がらん)の模型が展示されていた。大仏殿の東西には、高さ100mもある七重の塔が2基あったそうだ。
大仏を拝観後、14:45出堂口から出る。左手に「鐘楼」(日本三大鐘楼の一つ)を見ながら東の方向「若草山」の山裾に向かう。
「法華堂」は、旧暦3月に法華会(ほっけえ)が行われ「三月堂」とも呼ばれる。建物は、数少ない奈良時代建築の一つで国宝。
ここには、奈良時代に造られた仏像10体が安置されていて拝観料600円だが、入館せず。
奈良時代の校倉(あぜくら)造りの倉庫「法華堂経庫(きょうこ)」は、重要文化財。その横の十三重石塔(一部欠損にて十二重)は「御髪塔(おはつとう)」という。
「御髪塔」には、大仏殿再建時に使用した女性の髪で造ったロープを埋めた、または聖武天皇の髪の毛を埋納したといった伝説が残されているという。
「三昧(さんまい)堂」は、「法華三昧会」が旧暦の4月に行われるので「四月堂」とも呼ばれる。重要文化財。
「二月堂」は、旧暦2月に「修二会」(しゅにえ、お水取り)が行われるお堂。松明が2階の舞台を回る「おたいまつ」で有名なお堂。建物は、国宝。
15:20、「若草山」を左に見ながら公園を南下し、「春日大社」に向かう。
芝生で覆われた「若草山」は、三つの笠を重ねたように見えるので「三笠山」とも呼ばれ、「御蓋山」(みかさやま=春日山)と混同される。1月に行われる若草山の野焼きは、良く知られている。ハイキングコースにもなっている。入山料は150円。
次は、本ブロク記事「春日大社と興福寺」につづく。
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東大寺には、他にも「戒壇堂」や「東大寺ミュージアム」などの見所(それぞれ拝観料600円)があるが、時間がなくて割愛。
●戒壇堂
「戒壇院」は、出家者が受戒(正規の僧となるための戒律を授けられる)するための施設。聖武上皇は光明皇太后らとともに唐から渡来した鑑真から戒を授かり、翌年の755年(天平勝宝7年)鑑真によって創建された。
戒壇院は、戒壇堂・講堂・僧坊・廻廊などを備えていたが3度も火災で焼失、現在の建物は1733年(享保18年)の再建。
写真は、戒壇堂(出典:ウィキメディア・コモンズ)。
内部には多宝塔があり、その周囲を「四天王立像」が守っている。この四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)は、天平時代の最高傑作と呼ばれている立像で、国宝。160~170cmのほぼ等身大の大きさの塑像(粘土造り)。
●東大寺ミュージアム
南大門から入って左手、東大寺学園中・高校(1986年移転)の跡地に複合文化施設「東大寺総合文化センター」があり、「東大寺ミュージアム」、「東大寺図書館」、「金鐘会館」、「東大寺史研究所」、「華厳学研究所」からなる。
2010年9月に竣工した「東大寺ミュージアム」は、2011年10月に開館。国宝や重要文化財の仏像を中心に絵画、彫刻、工芸品など、東大寺の膨大な寺宝を収蔵・展示している博物館。最大の見物は、国宝の「日光・月光菩薩立像」(もとは法華堂に安置)。
写真は、月光菩薩立像(出典:ウィキメディア・コモンズ)。
2018年4月18日(土)~6月24日(日)の会期で、「東北歴史博物館」(宮城県多賀城市)においては、東日本大震災復興祈念特別展「東大寺と東北-復興を支えた人々の祈り」を開催中。東大寺総合文化センターのミュージアム、図書館からも多くの寺宝を出品しており、この会期を含む4月16日(月)~ 9月14日(金)の期間中、当館は休館、改修工事を行っている。
●奈良県の国宝
他県で国宝に接する時は、じっくり時間をかけて見るが、奈良県では見飽きるほど国宝が多い。全国に国宝は1,110件、国の重要文化財はその10倍以上の13,166 件あるそうだ。
国宝が最も多い県は、古都があった京都府か奈良県と思うが、実は東京都だそうだ。その数は280件。京都府は2位で233件、奈良県は3位202件となっている。
古代からの神社仏閣が多い京都、奈良ならわかるが、東京に国宝が多い理由は美術館や博物館の数が多くて、絵画など美術工芸品が多数所蔵されていると知る。とりわけ明治5年創設で日本最古の「東京国立博物館」は、最多の89件もの国宝を所蔵し、当初から文化財保護と公開を使命としてきた。
ちなみに国宝の存在しない県は、徳島と宮崎の2県だそうだ。1件しかないのが、北海道、秋田、群馬、新潟、富山、佐賀、熊本、鹿児島、沖縄の9県もある。
国宝の内訳で、建造物でみると全国合計で225件。トップは奈良県で64件、2位京都府が51件、3位は滋賀県22件・・・。東京都は、歴史が浅いのと戦災に遭ったので、わずか2件でしかないのは納得できる。
(データの出典:文化庁2018/5/1現在)
関連ブログ記事
「奈良公園(東大寺)」 2012年11月14日投稿
http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-dbbe.html
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