古代蓮の里2017
2017年7月14日(金)、昨年に引き続き、埼玉県行田市の「古代蓮の里」公園へ行く。
8時半から10時半ころまで、古代蓮会館を含め園内を見学。蓮の花は見ごろを過ぎているが、観光客は少なくはない。駐車料金500円。
駐車場の係員が言うには、今年は雨が少なかったので開花が1か月早かったそうだ。
桜のように一斉に咲いて、散るわけではない。開花中やこれから開花する花が、まだちらほらある。
「古代蓮会館」に入館する。入館料は400円だが、駐車場利用券の提示で半額。
古代蓮ふれあいシアターコーナーでは、古代蓮のロマンと美しさを120インチ3画面のスクリーンで再現。蓮の一生を、映像でよく理解できた。
行田の自然コーナー。行田の自然や、そこに暮らす生物の様子を紹介。
古代蓮観察コーナー。種から発芽、地下茎が伸び、葉がでて、芽がでて花が咲き、やがて枯れていくの蓮の一生をレプリカで観察。
「古代蓮会館」の高さ50mの展望室に上り、東側の田んぼで見る。
行田市は1998年(平成20年)から「田んぼアート」に取り組んでおり、今年が10周年目。2015年には「世界最大の田んぼアート」としてギネス世界記録に認定された。
今年のテーマは、『日本書紀』や『古事記』で、ヤマタノオロチ退治の説話で登場する「イナダヒメノミコトとスサノオノミコト」。田んぼアートはこれからが見頃。
今年は、公園南側の田んぼに、どこの広告だろうか、こんなアートもある。
『陸王(りくおう)』は池井戸潤の小説で、2017年10月にTBS系でテレビでドラマ化される予定だという。単行本の表紙デザインとドラマ主演・役所広司氏の似顔絵が描かれている。
★ ★ ★
「イナダヒメノミコトとスサノオノミコト」の説話は、次の通りである。
高天原(たかまがはら)を追放されたスサノオノミコト(須佐之男命)は、出雲の国(島根県)の斐伊川(ひいがわ)上流にやってきた。そこで老夫婦が泣いている。一人娘のイナダヒメノミコト(奇稲田姫命)が、8つの頭と8本の尾を持った巨大な怪物ヤマタノオロチ(八岐大蛇)の生贄にされそうだと。
スサノオは、イナダヒメとの結婚を条件にヤマタノオロチ退治を約束する。老夫婦に酒を造らせて8つの酒樽を用意させ、イナダヒメの姿を櫛(くし)に変えて自分の頭に挿して、ヤマタノオロチとの戦いに向かう。酒に酔って眠り込んだヤマタノオロチを、スサノオは剣でズタズタに切り裂く。尾を割り裂いた時、中に一振りの剣があった。これが「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」で、スサノオはこの剣を天照大神(アマテラスオオミカミ)に献上する。
イナダヒメ(稲田姫)は、別称をクシナダヒメ(奇稲田姫)と言い、一般的にはこちらの名の方が広く知られている。稲田の守護神、美田の神様として信仰されている。クシ(櫛)になったヒメから、クシナダヒメ(櫛名田比売)ともいう。
行田市を舞台にした小説『陸王(りくおう)』は、『小説すばる』(集英社)に2013年7月号から連載、2016年7月に集英社から単行本が刊行された。2017年10月からTBS系テレビでのドラマ化を記念して、今回の「田んぼアート」が実施されたという。
池井戸潤小説のドラマ化では、銀行を舞台にした『半沢直樹』、中小企業を舞台にした『下町ロケット』、企業野球部を描く『ルーズヴェルト・ゲーム』など、テレビで視聴した事がある。
『陸王』のあらすじは、以下の通り。
埼玉県行田市にある「こはぜ屋」は、創業から100年以上続く老舗の足袋(たび)製造会社。その四代目社長・宮沢紘一を、役所広司が演じる。「こはぜ屋」は足袋の需要減少で業績が低迷し、資金繰りに悩んでいた。そんな中で宮沢は、足袋製造の技術を生かし、「裸足感覚」を取り入れたランニングシューズを思いつき、社内にプロジェクトチームを立ち上げる。会社の生き残りをかけて新規事業に参入するが、資金難、人材不足、特許紛争、大手シューズメーカーの妨害、予想外の機械トラブルなどに直面しながら、頼れる協力者を得てランニングシューズの開発に邁進する。
行田は江戸時代から足袋つくりが盛んで、古くから足袋の町として知られている。明治時代になると、ミシンによる動力化も進んで足袋の生産量は増大、行田の足袋は名実ともに日本一となったとされる。1938年(昭和13年)の事業者数200社、足袋生産量は8,400万足、これは全国生産の約8割を占めていた。「足袋蔵のまち行田」として日本遺産に認定されているほか、「行田の足袋製造用具及び製品」が国の登録有形民俗文化財となっている。
7月17日の朝日新聞1面にあるコラム「天声人語」に、ハスについての話題が掲載されていた。コラムの後半部に、ちょうど行田のハス由来が解説してあるのでそのまま引用する。
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行田市では1973年、ゴミ焼却場の建設地で桃色の大輪が見つかった。埼玉大の研究者らが調べ、推定1400~3千年前の地層に眠っていた種子が掘削で目を覚ましたと推定した。
主産業の足袋作りが下り坂にあった市は1995年、ハスを核にした公園を開く。「ふるさと創生」をうたって全国の市町村に交付された1億円をいかした。街はにぎわいを取り戻す。
ふるさと創生と聞くと金塊や純金のこけしが浮かぶ。盗まれたり売られたり、哀れな結末も見た。ばらまき政治の見本のごとく語られることが多いけれど、将来を見すえて種をまいた自治体も少なからずあったようである。
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関連ブログ記事
「古代蓮の里」 2016/07/16 投稿
http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-52e8.html
「栃木県北部の冬景色」 2015/02/05 投稿
http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-81a2.html
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