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2016年10月 3日 (月)

映画「シン・ゴジラ」

 2016年9月30日(金)、映画『シン・ゴジラ』を観る。

 

 第1作の『ゴジラ』が1954年(昭和29年)に公開されてから、もう60年余りが経つ。『シン・ゴジラ』は、東宝製作のゴジラシリーズの第29作目。海外作品を除き、2004年(平成16年)公開の『ゴジラ FINAL WARS』以来、実に12年ぶり。

 総監督・脚本は庵野秀明、監督・特技監督は樋口真嗣。主演は、長谷川博己。

 2016年(平成28年)7月29日に公開され、この夏の大ヒット作。すでに公開から2ヶ月を過ぎたが、近隣の劇場では10月初旬には上映終了となるようだ。

 「シン」という言葉には、「新」しい、「真」の、「神」のゴジラという複数の意味があるそうだ。

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 メインキャスト。左から石原さとみ、長谷川博己、竹野内豊。(『シン・ゴジラ』パンフレットから転載。)

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 【ネタバレあらすじ】

 東京湾で大量の水蒸気が噴出、海底を通る東京湾アクアラインではトンネル崩落事故が発生。総理官邸では原因究明の会議が開かれ、総理大臣(大杉漣)、内閣官房長官(柄本明)、総理大臣補佐官(竹野内豊)らは、海底火山か海底熱水噴出との見解に傾く。内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)は、ネット情報などから巨大生物の存在を示唆するが、取り合ってもらえない。

 間もなくテレビの生中継で、海面に現れた巨大生物の尻尾が映される。総理は、巨大生物は上陸することはないと、一方的な情報を国民に伝える。しかし、多摩川河口から船や橋を破壊しながら、巨大生物は大田区蒲田に上陸、品川方面に向かう。人々は大パニックに陥り、逃げ惑う。

 政府では自衛隊に対して、災害派遣か防衛出動か、武力使用について議論。結局総理は、自衛隊初の防衛出動の決断を下す。攻撃ヘリが現場に到着するが、逃げ遅れた住民が発見され攻撃は中止。巨大生物は突然進行を止め、京浜運河から東京湾へと姿を消す。被害地域では多数の死者・行方不明者を出し、微量の放射線量の増加が確認された。

 巨大生物の再襲来に備え、矢口を事務局長とした「巨大不明生物特設災害対策本部」が設置される。米国から大統領特使カヨコ・アン・パタースン(石原ひとみ)が極秘に来日、矢口に接触する。太古から生き延びた生物が海洋投棄された放射性廃棄物を食べて進化したこと、米エネルギー省ではコードネームを「ゴジラ (Godzilla)」と名付けていること等の情報が矢口に提供される。矢口は、各分野のスペシャリストを招集し、特別チームを作る。

 特別チームは、ゴジラが原子炉のような体内器官を有し、それによってエネルギーを得て生じる熱は血液循環によって背びれから放熱していると推測。血液循環を止めれば、ゴジラは生命維持のため体内原子炉を停止、急速冷却を行い活動停止するはずと結論づける。そして、血液凝固剤投与によってゴジラを凍結させる矢口プランが発案された。

 ゴジラは鎌倉に再上陸、横浜・川崎を抜けて都内へ向け歩行する。自衛隊は、ゴジラの都内進入阻止のため、攻撃ヘリ、戦車、ロケット弾、戦闘機による実力行使を行う。

 (写真は、ゴジラを攻撃するヘリ。東宝の予告編動画から切り取り)

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 しかし全く歯が立たず、自衛隊の作戦は失敗に終わる。

 政府は日米安保条約に基づき、米国に支援を要請。港区に進撃してきたゴジラに、米爆撃機は大型貫通爆弾を投下して傷を負わせる。しかし、ゴジラは口から火炎や熱線を吐きビル街を焼き尽くし、背中からは幾筋もの熱線を空に放射して爆撃機を撃墜した。

 官邸から避難する総理大臣ほか閣僚たちが乗ったヘリコプターも熱線を浴び、全員死亡。やがてゴジラは、東京駅構内でエネルギーが切れたのか、突然活動を停止。政府機能は立川に移転、総理大臣臨時代理(平泉成)が指名され、矢口はゴジラ対策担当大臣に任命される。

 (写真は、熱線を放射するゴジラ。『シンゴジラ』パンフレットから転載。)

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 ゴジラの組織片の分析から、無生殖によりネズミ算式に増殖、更に進化により小型化し、飛翔能力を得て大陸間を超えて拡散する可能性が出て来た。ロシア・中国は、米国だけでなく国連でゴジラを退治すべきと主張。安保理で核攻撃が決議され、都民360万人の避難が始まる。チームは、日本への3度目となる核使用を避けるため、矢口プランによるゴジラ凍結を提案、避難の間にその準備を進める。

 国連軍の核攻撃開始が間近に迫る中、矢口プランは「ヤシオリ作戦」という日米共同作戦が開始される。爆弾搭載の新幹線を無人運転でゴジラに衝突させ、米軍の無人飛行機による攻撃でゴジラのエネルギーを消費させる。周囲の高層ビルをゴジラに向け爆破・倒壊させて、ゴジラが転倒。そこに数台のコンクリートポンプ車が近づき、ポンプ車のアームから血液凝固剤をゴジラの口に注入、ゴジラの凍結に成功する。日本は救われた。

 放射能汚染も短期間で消え、東京復興の希望も見えてきた。しかし、万一凍結したゴジラが復活した場合には、核攻撃の秒読みが再開される。東京駅脇に凍りついたままのゴジラが立ちつくす。

 ラストシーンでは、ゴジラの尻尾の骨が露わになった先端がアップになって、人の形をした複数の生命体が取り付いていた・・・。筆者はこのシーンを良く確認できなかったが、これは何を暗示しているのであろうか。

 

 ★ ★ ★

 初代のゴジラは特撮映画と言って、人間がゴジラの着ぐるみ入って、ミニチュアの都市の中で暴れ回っていたが、現在はフルCG(コンピュータ・グラフィックス)で製作されている。シン・ゴジラのスタイルは、初代にかなり似せているが、黒い溶岩のような皮膚の間から、赤い筋肉のような、灼熱のマグマのようなものが見えて、気持ち悪くて怖い。エンディングロールでは、伊福部昭(いふくべあきら)作曲の初代『ゴジラ』のテーマ曲が流れた。

 初代映画は、戦後の水爆実験に対するアンチテーゼであった。今回のゴジラは、3.11の東日本大震災、それに伴う福島原発事故が意識されているようだ。

 1954年公開の初代『ゴジラ』のワンシーン(出典:ウィキメディア・コモンズ)

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 実力や人気のある俳優・女優など、300名を超えるという豪華なキャストにびっくり。有名なのにチョイ役だったり、セリフがほとんどない出演者も多い。防衛大臣が女性(余貴美子)という設定は、現実の小池元防衛大臣を意識したのか、意外だった。元AKBの前田敦子は、避難民の役だったようだが、どの場面にいたのか気がつかなかった。

 狂言師の野村萬斎が、ゴジラ役を演じている。といってもぬいぐるみを着ているわけではない。萬斎の動きを、デジタル的に記録するモーションキャプチャーが使用され、フルCGで作成したゴジラに反映させている。すばしっこいティラノサウルスのような恐竜でなく、神の化身か、重厚な怪獣のようなシン・ゴジラの動きを、狂言や能の所作で表現したそうだ。
 
 

 ★ ★ ★

 『週刊朝日』9月6日号の連載コラム「田原総一朗のギロン堂」に、氏は「政治映画である『シン・ゴジラ』が映し出す日本政治の現実」というテーマで論じている。確かに本作を観ると、政治家や官僚、学者、そして自衛隊のリアリティが追及されている。

 この映画が単なるSF映画、怪獣映画や娯楽映画でなく、フィクションの巨大生物をテーマとしながら、大臣や官僚の無責任な言動、中途半端な会議、総理官邸の機能喪失、外交関係などの描き方は、残念ながら現実味を帯びていて興味深い。

 

 政界の軍事通で知られる前地方創生担当大臣、元防衛大臣の石破茂氏が、自身のオフィシャル・ブログ8月19日と8月26日付の記事で、劇中の自衛隊の防衛出動について、異を唱えている。

 「ゴジラに対する自衛隊の防衛出動は、理解できない」、「害獣駆除として災害派遣で対処するのが法的には妥当」とし、「災害派遣でも武器の使用も武力の行使も出来る」と論じている。また「このような極限事例について考えることは、一般的な法律の思考回路を錬成する意味において、有意義なものだと思っています。」とも述べている。このブログ記事は各方面で話題になり、多くのマスコミにも反響があった。

 『週刊朝日』9月9日号には、「シン・ゴジラに学ぶ日本の危機管理」の見出しで、石破氏がこのプログに関して取材を受け、危機管理の持論を述べている。この映画から受けた教訓はという質問に、「あらゆるリスクを考えて、政策を進めないといけない。」と答えている。

 

 ★ ★ ★

 民衆がパニックになって逃げ惑うシーンは、これまでのゴジラ映画に付きものであるが、スマホで写真を撮ったり、SNSで情報が飛び交う所は目新しい。

 解決のために奔走するのは、もちろん主役の矢口内閣官房副長官であるが、決して個人プレーではなくチームプレーである。ヒーローが一人で活躍するアメリカ映画とは違って、ここが日本人らしいというか、日本映画らしい。しかし、霞が関や永田町のエリート集団が中心で、民間人や庶民がほとんど登場してないのは残念。

 牧悟郎という変わり者の日本人学者が、渡米して巨大生物ゴジラを研究していた。日本に帰って、海で行方不明になった。牧が残した謎の暗号化資料が、米国大統領特使カヨコから日本側に提供され、その暗号を特別チームが解読する・・・という話は、どうも分かりにくい。ストーリーの中に、この話は無くても良いような気がする。
 

 フィクションといえ、映画の背景には有事における安全保障や危機管理の問題との見方がある。日本の存亡というナショナリズムを煽って、愛国心を強める「右傾エンタメ」とは違うし、集団的自衛権、憲法改正や軍国主義復活の問題に発展させて論評する映画ではなさそう。むしろ東日本大震災と福島原発事故をゴジラになぞらえた危機管理と考えた方が、しっくりする。

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コメント

初来訪ありがとうございます!こちらのお気に入り登録をさせて頂きました。今後ともお付き合いの程よろしくお願いたします。
シンゴジラ素晴しかったですね。小生は5才の頃からの熱烈なゴジラファンで8月に下記の記事を掲載しております。やはり昭和29年の初代ゴジラが最高です。

http://rolingwest.exblog.jp/25935090/

ローリングウエスト様
ゴジラファンの方に、私のブログを見ていただいて光栄です。
ゴジラ映画は、海外物も含めて3、4本しか見てないですが、私もやはり子供の時に見た第1作目が一番印象にあります。

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