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2016年9月 7日 (水)

立山-その2

 2016年8月27日(土)~29(月)の2泊3日の立山山行。本ブログ記事「立山―その1」のつづき。

 

 2日目の8月28日(日)、「一ノ越山荘」(標高2700m)で5:30起床。すでに夜は明けている。

 昨日の雨から打って変わって、朝からすばらしい快晴。昨夜は、星空を見たという人の話も聞く。外に出て見ると、なんと眼下に室堂平、正面に「大日岳」(左、標高2501m)と「奥大日岳」(右、2611m)、遠く富山湾が朝焼けに浮かぶ。

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 室堂平の中央の池が、「みくりが池」とその右に「みどりが池」。左端に室堂ターミナルとホテル立山の建物。右手には「地獄谷」の白い噴煙が上がる。ちょうど大日岳の山頂に朝日が当たる。

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 雄山へ尾根伝いの登山道。手前の建物は、チッブ制の公衆トイレ。

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 6:00~山小屋の質素な朝食。生卵は、卓上の鍋で目玉焼にする。

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 軽い高山病か、頭痛がするという者も含め6名が、7:00登山開始。1名は足の故障で山小屋で留守番。不要な荷物は、山小屋の乾燥室に置いて行く。

 最初はなだらかな登りだが、だんだん急坂となる。大小の石が混在する登山道が続く。浮石、落石に注意。山小屋のある一ノ越から、二ノ越、三ノ越・・・、山頂が五ノ越。それぞれに小さな祠やケルンがあるが、標識は無い。

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 南の方角、正面の尖った特徴的な山「槍ヶ岳」(標高3180m)がはっきり見える。

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 振り返ると、「一ノ越山荘」が眼下に。山小屋からの向うの尾根の頂点が「浄土山」の南峰(標高2830m)、富山大学の立山研究所がある。その左の半円形の岩頭は、「龍王山」(2875m)。

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 南東の方角、雲海の向うに左側に「八ヶ岳連峰」のシルエット。

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 峻険な「槍ヶ岳」のズームアップ。その後方の山々は雲が覆う。

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 雄山の山頂にある「雄山神社」」立山頂上社務所が見えて来た。

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 7:55、ここが「三ノ越」と思われるが、その標識らしきものはない。しばし休憩。

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 ここから更に険しくなり、登山道もはっきりしないガレ場。ストックをザックにしまい、手袋を装着、大岩を掴みながら登る。単調なガレ場の直登は、かなり負荷がかかる。酸素も薄くなっているのか、息を切らしながら進む。

 「槍ヶ岳」の後方から雲が去り、日本第3位の高峰「奥穗高岳」(3190m)ほか穂高連峰が姿を現す。「槍ヶ岳」の左前方が「野口五郎岳」(2925m)、右端が「水晶岳」(標高2986m)。更にその稜線に続く右手には、写ってないが「黒部五郎岳」(2840m)がある。

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 「一ノ越山荘」は、すっかり見えなくなった。こんな急坂をよく登って来たものだ。正面の左から「龍王山」、「浄土山」の南峰(標高2830m)、北峰(2831m)が並ぶ。

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 南の方角。雲海の向う左手遠景に、目を凝らしてみると日本三霊山の雄「富士山」のかすかなシルエットが浮かぶ。右手遠景は、南アルプス。中景の左端の丸いピークは「餓鬼岳」(がきだけ、2647m)、右端のピークは、「燕山」(つばくろさん、2763m)。

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 標高差が約500mとなった室堂平と大日連峰はまるで箱庭の様。

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 黒部湖の一部が見えて来た。黒部ダムは、左手の方向にある。

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 8:35、「雄山」の山頂に到着。一等三角点は標高2991.8m。社務所の建物には神社関係者の宿舎が併設され、登山客用のトイレもある。

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 「雄山神社峰本社」が、この先の標高3003mの岩頭に鎮座する。きつい登山だったが、山頂の景色と展望に感激する。

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 雄山神社立山頂上社務所(授与所)。ちゃんと巫女さんがいて、お守り、お札、記念バッジ等が並んでいる。

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 山頂の東側は、氷河が造った「サルノ又カール」。白い所は、夏でも融けない雪渓。

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 鳥居をくぐると、3003mのピークに立つ峰本社への登拝受付所。登拝料は、500円。

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 山頂から見下ろす社務所の屋根の方向に有峰湖(ありみねこ)、確認できないがその遥か遠くに日本三大霊山の一つ「白山」があるはず。

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 北の方角。左手に小説・映画『劒岳 点の記』の舞台となった「剱岳」(つるぎだけ、標高2999m)の岩峰。その手前はなだらかな「別山」(2874m)、右手の岩は「富士ノ折立」(ふじのおりたて、2999m)。

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 険しい岩山の「剱岳」のズームアップ。その手前のピークが「別山」、そのまた手前の稜線上のなだらかなピークは「真砂岳」(2861m)。

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 山頂からの展望を満喫した後、登拝者は12人ほどのグループになって、神殿前の玉砂利の上に脱帽して座る。神主から、峰神社の御由緒の話を聞く。神主は、太鼓を叩き祝詞をあげた後、登拝者は頭を垂れてお祓いを受ける。祭神は、厄難消滅・家内安全、職業繁栄・開運招福の守り神。最後に一人一人、お神酒を頂く。

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 この後の下山からは、次のプログ記事に続く。

 

 ★ ★ ★ 

 「立山(たちやま)に 降り置ける雪を 常夏に 見れども飽(あか)ず 神からならし」(『万葉集』巻17)

 - 立山に降り積もった雪は、夏に見ても見飽きることがない。この山が神の山だからにちがいない。 -

 8世紀(奈良時代)、越中の国主として赴任した大伴家持(おおとものやかもち)は、神々しい立山の雄大な景観に感動し、その姿を詠んだ。

 

 立山は、「雄山」(標高3003m)、「大汝山」(おおなんじやま、3015m)、「富士の折立」(ふじのおりたて、2999m)の三つの峰の総称。その中で、雄山神社峰本社がある「雄山」が狭義の立山。これに「浄土山」、「別山」を加えて「立山三山」といい、その周辺の山々を含めて「立山連峰」というが、富山平野から見える北アルプスを総称して広く「立山」、「立山連峰」ということもあるのでややこしい。

 古くは「たちやま」と呼ばれ、「たてやま」は中世以降になってから。『万葉集』に詠まれた「たちやま」は、「劔岳」(つるぎだけ、2999m)を中心とした一帯を指すとも言われる。

 

 雄山神社の社伝によると、701年(大宝元年)に景行天皇の後裔と伝えられる越中の国司・佐伯有若(さえきのありわか)の嫡男・佐伯有頼(ありより、後の慈興上人)が、白鷹に導かれて、立山の奥深く入って岩窟に至り、神示により立山を開山したと言われている。

 この峰本社の神殿は、加賀藩主前田家によって代々造営が行われていた。明治以降、造営は途絶えていたが、1996年(平成8年)に136年ぶりに建て替えられたそうだ。雄山神社は峰本社のほか、麓の立山町にある中宮祈願殿(ちゅうぐうきがんでん)と前立社壇(まえたてしゃだん)の三社をもって成す。

 

 今回アクセスに利用した、「立山黒部アルペンルート」は、富山県立山町の立山駅と長野県大町市の扇沢駅とを結ぶ大規模な山岳観光ルートで、1971年(昭和46年)に全通した。立山駅から扇沢駅までは、ほぼ西から東に 直線距離25 km足らずだが、高低差は 2,000mほどもある。

 我々は、富山市から電車で立山駅、立山駅から立山ケーブルカー、立山高原バスを乗り継いで室堂まで来た。この先、室堂から扇沢まで行くには、立山トンネルを通るトロリーバス、立山ロープウェイ、黒部ケーブルカー、黒部ダムの堰堤上の徒歩、関電トロリーバスの様々な乗り物を乗り継いで移動する。

 一般利用よりも観光客を相手にしているので、料金は高い。なお広義の「立山黒部アルペンルート」は、富山地方鉄道の電鉄富山駅(富山市)からJR信濃大町駅(大町市)までとされる。

 

 深田久弥の著書『日本百名山』は、1964年(昭和39年)に新潮社から刊行された。氏は、立山の頂を誰よりも数多く踏んだと自負し、立山は天下の名峰であることを疑わない。氏の時代は、まだこのアルペンルートはなかった。富山駅~立山駅は鉄道が開業していたが、その先はどうやって移動したのだろうか。

 美女平のブナ原生林や立山杉の巨木、壮大な「称名滝」(しょうみょうたき)、弥陀ヶ原の広大な湿原と池塘、室堂平の高山植物(お花畑)、蒸気を吹き出す荒々しい地獄谷、神秘的なミクリガ池。何日もかけて俗界から旅してきた先人たちは、こんな自然の姿から、極楽浄土と地獄を見たに違いない。そして室堂から険しい立山への登拝。この頃の立山は、白装束の修験者や立山詣の登拝者たちの神の山であった。

 やがて多くの信仰の山と同じように、明治以降の立山は登山の対象となっていく。そして深田氏は、都会の服装のままの観光客のために、現代の立山は観光開発された「山上遊園地」と皮肉っている。

 

 本ブログ記事「立山―その3」につづく。

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