初夏の裏磐梯-その2
2016年5月23日(月)~24日(火)、裏磐梯とその周辺の宿泊旅行。
本ブログ「初夏の裏磐梯-その1」の続き。
24日(火)、未明3:00に起床。ヘッドランプを装着して、3:40ペンションを出発。
ペンションは、曾原湖と小野川湖の中間にある。小野川湖の南の秋元湖に向かう。
●秋元湖の朝景
3:50~「秋元湖」の堤防から、静かな湖面に映す朝焼けを眺める。気温は8℃、薄いスポーツジャケットを羽織っているが肌寒い。
●早朝の檜原湖
だいぶ日は上ってはいるが、早朝の「檜原湖」を見るため、5:55檜原湖の西畔に位置するキャンプ場に到着。
このエリアへの入場は有料で、入口の小屋におばさんが立っていて、100円を払う。
ここから見る水辺の風景は、日本と思えないような絶景スポット。水辺から、雄大な磐梯山を望む。北斜面の山体崩壊跡の荒々しい姿を見せる。
●曾原湖の朝
7:15、「曾原湖」に着く。この湖は檜原湖の東側にあって、裏磐梯の湖の中では最も小さい。
7:30 ペンションに戻り、8:00~朝食。
9:00、チェックアウト。1泊2食9,500円と入湯料150円。
ペンションから小野川湖の東岸に向かう。
●小野川不動滝
「小野川湖」東岸より約2Km、9:20「小野川不動滝」の駐車場に到着。
駐車場から滝までは約20~30分。静かな原生林の中、厳しい急坂もある長い遊歩道を歩く。ちょっと足が不自由な人には、無理そう。小野川湖上流にある落差30mの迫力ある瀑布に9:50到着。森の中で豪快に流れ落ちるこの滝は、裏磐梯では一番人気だそうだ。
不動明王が祀られている祠がある。水は「小野川湧水」として環境省の名水百選に選定されている。
10:15不動滝を出て、10:35不動滝の駐車場に戻る。
小野川湖南岸の「磐梯吾妻レークライン」(県道70号)を東に向かう。
●中津川渓谷
「中津川渓谷」は、秋元湖上流・中津川の渓谷、北塩原村と猪苗代町の境界にある。県道70号の中津川橋を渡り、町営「中津川渓谷レストハウス」の駐車場に11:00到着。
急こう配で、ここも長い遊歩道(自然探勝路)を谷へと下る。
約15分で森に囲まれた谷、白い岩肌を澄んだ水が流れる渓谷の岩場に着く。
秋には燃えるような紅葉が有名。春には新緑、夏には川の流れの清々しさも楽しめるという。
中津川渓谷探勝路は、ここから更に対岸に渡り、渓谷に沿って秋元湖北岸まで下る約1kmのコース。往復で40分ほどだそうだ。
11:45岩場を出で、12:00レストハウス駐車場に戻る。
県道70号線の「磐梯吾妻レークライン」を経て、国道115線、県道24号線を走る。県道25号線の沼尻郵便局の手前で、中之沢温泉に向かう。
●達沢不動滝
中之沢温泉から達沢川に沿って上流にむかって車で5分ほど走る。12:50達沢不動滝の駐車場に到着。駐車場に建つ鳥居を抜け、原生林の遊歩道を数分ほど歩くと滝に着く。
岩肌に沿って、白いカーテンのように流れ落ちる勇壮な高さ10mの男滝(おだき)。幅16mの水平に近い滝口は、一見して人工の堰(せき)かと思うほど。
ふと左手を見ると、ひっそりと、しとやかに流れる女滝(めだき)があるのに気が付く。
13:35、達沢不動滝の駐車場をあとにする。
帰路、磐梯熱海温泉(郡山市)の街や国道49号線沿いので食事処を探すが、適当な店がない。14:25郡山インターから東北道に入り、15:30~那須高原サービスエリアでやっと遅い昼食(那須鶏の鶏そば、620円)。
この先の東北道で車両火災があり、35分ほどの事故渋滞がに遭遇しそう。渋滞を避けるために、岩船ジャンクション(栃木県栃木市)から北関東道に進路を変更。太田桐生(群馬県)インターで一般道へ降りる。18:10頃、自宅着。
★ ★ ★
なぜ全国に、「不動滝」という名前の滝が多いのだろうか。
「不動滝」とは、「不動明王」(または不動尊、お不動さん)という仏様を祀った滝のこと。不動明王は、仏教の真言宗や天台宗の明王部と呼ばれる地位に属する仏。恐ろしい形相をして、右手の剣で人々の迷える心を断ち、左手の縄で正しい教えの道に人々を導いてくれる。背後の火炎は、世間の闇を照らし災難を焼き尽くすとされる。大日如来の化身ともされる。
元来は、アチャラ・ナータと呼ばれるインドの神。アチャラは「動かない」、ナータは「守護者」という意味で、中国に入って漢字の名がついたそうだ。
不動明王を最初に日本にもたらしたのは、遣唐使の空海(弘法大師)だった。日本へ戻る途中に海が荒れたが、空海は不動明王を呼び出し、風や波を静めて海を渡ったという。このことから不動明王のご利益は、海上安全。転じて陸の安全、つまり交通安全。人の悪い心を断ち正しい道に導いてくれることから家内安全、修行成就、厄除け、商売繁盛・・・など、幅広い様々なご利益がある。このため不動明王は多くの庶民の信仰対象として、平安時代から今日まで社会に根付いてきた。
不動明王の教えを説く『聖無動尊大威怒王秘密陀羅尼経』には、「静かな山林に入って清らかな地を求め、そこに霊場を作って真言を唱える修行をすれば、不動明王の姿を見ることができ、願いがかなう。或いは、河水に浸かって真言を唱え、または山の頂や樹の下、宗教施設で真言を唱えれば、願いがかなう。或いは、般若心経を安置し・・・・・(以下略)。」という一節があるそうだ、この中の河水に入って真言を唱える行(ぎょう)が、滝行(たきぎょう)の根拠とされている。日本古来の自然信仰である滝への信仰もあって、滝と不動明王とが強く関連付けられたようだ。
★★★
全国に「中津」や「中津川」と言う地名や川が多い。福島県でも、裏磐梯の中津川のほか福島市を流れる中津川もある。
土地の便・不便、交通の良否を、「ツが良い」と言うらしい。「津」はこのように、「交通の位置」から、海岸や河岸の船舶が来着する船着き場、渡し場、港の意味になったそうだ。転じて泉などの水のある所や単に海岸、更には人の多く集まる所、都会という意味もある。
三重県津市、滋賀県大津市は、港という意味であろう。それでは、大分県中津市、岐阜県中津川市はどうだろうか。中津市は周防灘に面し、山国川とその支流・中津川の河口にある。本流の山国川は、かつては中津川と呼ばれていた。中津川市は、岐阜県の山間にあって木曽川支流の中津川が流れる。
では「中津」、「中津川」は、全国にどのくらいあるだろうか調べてみる。「中津」は中津市、中津町と中津村の自治体が10ほどもある。「中津川」という名前の川は、全国各地になんと25以上もあって驚く。自治体は、中津川市と中津川村の2つ。ほかに、大阪市北区中津、埼玉県秩父市中津川、徳島県三好市池田町中津川など、「中津」、「中津川」の地区名、旧村名や集落名も数多くある。
これらの多くは、山奥の集落だったり、山深い谷川の名前だったりする。中津を流れる川だから中津川、逆に中津川が流れる集落を中津と言ったりするようだ。
「中」は字の通り、中くらい、中間、中央という意味。「津(つ)」を国語辞典、古語辞典などの何冊かの辞書で探すと、前述の意味の他にも「格助詞で体言や形容詞の語幹に付く。所属・地点・方角・位置・時につく。”…の”、”…にある”という意。連体修飾語を作る。津と書くのは当て字。」などの説明も見つかる。例として、「神つ国」「天つ風」「滝つ瀬」「夕つ方」「先つ年」「まつげ(目つ毛)」などがある。
また『地名用語語源辞典』(1983年、楠原佑介・溝手理太郎編)によれば、「津」には場所を意味する接尾語で、単に「処」と同じような意味もあるようだ。
「中津」が、中くらい、中間または中央の港というのは、非常に分かり易い。しかし、これよりも全国に圧倒的に多い「中津」は、中くらい、中間または中央となる場所、または人の集まる所という意味の方であろうか。
関連ブログ
「紅葉の吾妻・裏磐梯の旅」 2014/11/07 投稿
http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-78e0.html
「猪苗代湖と裏磐梯の冬景色」 2014/01/24 投稿
http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-8d9c.html
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