初夏の裏磐梯-その1
2016年5月23日(月)~24日(火)、裏磐梯とその周辺の宿泊旅行。
福島県の猪苗代湖がある磐梯山南側の「表磐梯」に対して、北側にある磐梯山(標高1816m)、安達太良山(1709m)、吾妻山(2035m)に囲まれた標高800m程度の高原一帯は、「裏磐梯」、「裏磐梯高原」または「磐梯高原」とも呼ばれる。
1888年(明治21年)7月の磐梯山の噴火によって小磐梯の山体崩壊が起こり、北麓の5村11集落を呑み込み、長瀬川とその支流の中津川、小野川、檜原川などせき止め、土石流や火山泥流が下流域を埋め立て、死者と行方不明者数が477人にのぼる甚大な被害を残した。川のせき止めにより、桧原湖、小野川湖、秋元湖、五色沼をはじめ、大小さまざまな湖沼が形成された。
その後数10年は荒涼とした原野のままであったが、植林や観光開発を進められ、1950年(昭和25年)に一帯は周辺の火山とともに磐梯朝日国立公園に指定され、山岳道路等が整備された。
23日(月)、早朝5時出発。東北道を北上し、上河内サービスエリアで休憩。
●観音沼森林公園
白河インターで降りて、国道289号線を西へ進む。長い甲子トンネルを抜けた後、道の駅「しもごう」(福島県下郷町)で休憩。8:30、道の駅の近くの観音沼森林公園に到着。
「観音沼森林公園」は、標高1640mの観音山の麓にある観音沼を中心に、一帯が1985年(昭和60)に整備された。以前は秘境と呼ばれていたが、2008年に国道289号が開通してからは、多くの観光客が訪れるそうだ。
沼にはいくつかの浮島があって、静かで神秘的。また四季の花木が植栽されている。公園の周囲の森は、小鳥のさえずりを楽しめる野鳥の宝庫だそうだ。公園内には、全長3.2kmの散策路が整備されている。
午前中のこの時刻の気温20℃。本日は、本州で真夏日となる最高気温30℃以上になる所もあるそうだ。
観音沼のほとりには、唐様式で彫刻の施された「嶽観音堂」がある。東征した坂上田村麻呂が戦いで亡くなった人馬を弔うために建てたとされる。
●猿楽台地の蕎麦畑
10:10、観音沼森林公園を出る。農道を西北の方角の会津鉄道「養鱒公園駅」方面に向かい、日本一の蕎麦畑「猿楽(さるがく)台地」に立ち寄る。
下郷町の南西部にある猿楽台地は、昭和40年代に国営農地開発事業により整備された農地。標高が600~700mで、昼夜の寒暖差が激しく、蕎麦の栽培に適しているという。8月下旬~9月上旬には、農道の両サイドの40haもの広大な畑が白い蕎麦の花が広がり、周囲の会津の山並みと青い空の風景は見事だそうだ。
国道121号、国道118号線を北上する。11:30頃、会津若松市街を通過。
気温はすでに28℃の夏日となった。磐梯山を右手に見て、県道64号線の「磐梯山ゴールドライン」を通って、裏磐梯へ向かう。
●五色沼湖沼群
12:20、五色沼入口の駐車場。「レストラン五色沼」で昼食(手打ちそば800円)。
噴火で川が埋め立てられて出来たという「五色沼湖沼群」の自然探勝路を巡る。 「五色沼」と言っても、大小40余りの湖沼群の総称で、探勝路から直接見える湖沼は限られている。
13:05、駐車場をスタート。青緑色に光る五色沼最大の「毘沙門沼」、正面には磐梯山。
もはや深い緑になっていてるが、所々に新緑らしい木々を目にする。
自然探勝路は平坦な道かと思っていたが、以外とアップダウンがある。
周囲の草が酸化鉄で鉄錆色に染まった「赤沼」は、木立の茂みで良く見えなかった。
青、赤、緑など三つの色を持つ美しい「みどろ(深泥)沼」。三つの色は、水質、水深、水草の繁茂などによって生まれているという。
次の「竜沼」(たつぬま)も、木立でさえぎられている。冬季でないと見えないそうだ。名前の由来は不明。
五色沼の中で2番目に大きい「弁天沼」も、神秘的な雰囲気が漂う沼。
天候や見る角度によって色が変わるという「るり(瑠璃)沼」。冬は青く、春は濃い緑ともされる。後ろは磐梯山。
五色沼湖上郡の中で、最も青白色をしているという「青沼」。
裏磐梯物産館のすぐ手前にある「柳沼」。紅葉の時期は、周囲のカエデやウルシが美しいという。
遊歩道をはさんで「柳沼」の反対側にある「母沼」。この沼だけ透明で、周りの木々や石が配置された日本庭園のよう。
15:00、探勝路の終点・裏磐梯物産館に到着。ここから国道459号線を挟んで西側には、裏磐梯最大の「檜原湖」がある。
15:16、裏磐梯高原駅バス停発の磐梯東都バスに乗車。国道459号線を走り、五色沼入口バス停で下車(250円)。そこから15:30、五色沼入口の駐車場に戻る。
●曲沢沼と秋元湖
この後、「曲沢沼」(まがりさわぬま)と「秋元湖」に寄ってみる。やはり一昨年の冬(2014年1月)に来た冬景色とは全く違う。
曾原湖の近くにあり、秋は紅葉で有名な「曲沢沼」。
北塩原村と猪苗代町にまたがる「秋元湖」。
●檜原湖の夕日
17:40、「檜原湖」の長峰船付バス停付近の駐車場に車を置く。アップダウンのある自然探勝路を20分ほど歩いて、「松原キャンプ場」付近の夕日ビュースポットへ18:05に着く。
檜原湖は、裏磐梯地域最大の湖。周囲には散策路、遊覧船、キャンプ場などがある。冬には氷結した湖上でのワカサギ釣りや夏のバスフィッシングなどが有名。
18:40頃まで、夕日を眺める。
19:00駐車場に戻り、ペンション「レラ」(北塩原村桧原)に19:10到着。
疲れていたが、この夜は蒸し暑くてなかなか眠れず。
★ ★ ★
ペンションで夕食後、宿のオーナーが撮影した冬の風景写真を披露しながら、赤い実はカンボクの実だと説明していた。今までこの実は、ナナカマドだと思っていたが、思い違いのようだった。
一昨年の冬(2014年1月)に裏磐梯に来た時、真っ白い雪に中に、鮮やかな赤い実がたくさん目に飛び込んで来て感動した。よく街路樹などにも利用されていていて、秋には紅葉が美しいナナカマド。その実が裏磐梯では、野鳥に食べられないで、よくぞ残っていたかと驚いた。(下の写真は、2014/1/19裏磐梯で筆者が撮影)
ナナカマドの実は、人には苦いだけで食べられない。果実酒に利用はされるが。鳥たちは、ナナカマドの実を好んで食べるらしい。一方カンボクの実は、ナナカマドの実に似ているが別名「鳥喰わず」と言い、野鳥は食べないのだそうだ。もちろん人も、苦くて食べられない。
だから冬にはカンボクの赤い実が残り、鳥たちが食べつくたナナカマドの実は残ってはいないようだ。
関連ブログ
「紅葉の吾妻・裏磐梯の旅」 2014/11/07 投稿
http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-78e0.html
「猪苗代湖と裏磐梯の冬景色」 2014/01/24 投稿
http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-8d9c.html
以下、本ブログ「初夏の裏磐梯-その2」に続く。
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