白山(はくさん)-その2
2014年7月22日(火)~25日(金)、石川・岐阜県境にある霊峰「白山」に行く。
山頂付近の白山室堂で1泊、ホテルで前・後泊を含めて3泊4日の山行。本ブログ記事 「白山(はくさん)-その1」の続き。
7月23日(水)、金沢駅から「白山登山バス」で登山口の別当出合(標高1260m)へ。そこから約6時間半かけて白山八合目に当たる室堂(標高2440m)まで登った。
室堂の「白山雷鳥荘」で1泊したあと、24日(木)は御前峰(標高2570m)の山頂でご来光を見るため、午前3:00に起床の予定。
ご来光が拝める日には、白山室堂にある奥宮祈祷殿から太鼓が鳴り響く。室堂から御前峰まで登り40分、当日の日の出時刻は4:44頃。日の出までの間、神職が山頂で白山神社の話をし、登山者(登拝者)はご来光とともに万歳を三唱する。その後、奥宮にて祈祷をして神職は下山するが、多くの登山者は自然解説員と共に「お池めぐりコース」(約1時間)を巡る、というのが24日のスケジュール。
お池めぐりのあと室堂に戻り、朝食(朝6時半頃~)。室堂から登山口(別当出合)まで、約3時間(トンビ岩コース、南竜ヶ馬場経由、砂防新道コース)で下る予定だ。
★ ★ ★
深夜、激しい雨音で、何回か目が覚める。悪い予感がする。
7月24日(木)3:00、奥宮祈祷殿からの太鼓は鳴らなかった。外は大雨らしい。4:00になって起床。風雨が強く、とても登れる天気ではない。
6:00~朝食の後も、外の様子は変わらない。御前峰の登頂とお池めぐりは中止し、下山することにする。
7:35、室堂センターすぐそばの奥宮祈祷殿に入り、参拝。お札(ふだ)、お守り、白山神社グッズなどを購入する。室堂センターに戻って、常連の登山客や受付に聞くと、当初予定の「トンビ岩コース」は、危険個所があって不通になっているとのこと。「エコーライン」が下るにはお勧めだという。
7:55、大雨の中を下山開始。
往路で登って来た「五葉坂」を下る。頭を丸めた黒装束の若い修行僧らしい団体が続々と登って来る。聞くところによると永平寺の年に1回の「白山拝登」(はいとう)だそうだ。永平寺の僧たちが室堂に泊まり、翌朝御前峰に登頂、ご来光を仰ぎ、山頂奥宮の前で般若心経を読誦する。この信仰は、遠く道元禅師の因縁によるもので、曹洞宗大本山永平寺は、白山権現を守護神・鎮守神としている。
今では仏教と神道の混淆はやや不思議な気がするが、明治維新の神仏分離令以前は、ごく当たり前のことだった。
五葉坂からエコーラインへ下る分岐を見逃し、阿弥陀ヶ原の木道を進む。黒ボコ岩の手前で気づき、8:30分岐へ戻る。
この「エコーライン」のコースは、往路の「十二曲」の急坂より楽そうだ。途中、お花畑、雪渓を見ながら下る。雨の中、笹原の中の小鳥の鳴き声も聞こえる。
約1時間半をかけて「エコーライン分岐」(標高2070m)に到着。
10:15、「甚之助避難小屋」に到着。小屋の中は雨宿りで、案の定混んでいる。団体登山客が小屋から出ていくのを待って中に入り、しばし休憩。雨具を着ているが、汗か雨が浸み込んだのか、レインウェアの下は湿っている。
25分後の10:40、避難小屋を出発。
12:00頃、見晴らしの良いポイントを通る。登りで見たこの滝は、後で調べると柳谷(手取川の上流)に落ちる「不動滝」らしい。この大雨ですごい水量。この先は、もうすぐ中飯場。
ゆっくり下りたので予定より約1時間遅れで、13:00白山登山口の「別当出合」(標高1,250m)に到着。白山登山バスの出発時刻まであと30分。バス待合室で、急いでレインウエアを脱ぎ休憩。
13:30、北陸鉄道「白山登山バス」に乗車。別当出合で時間がなくて食べられなかった山小屋の弁当を、バスの中で食べる。
ふもと近くになると雨は止んでいて、大雨の形跡はない。雨は、山の上だけだったのか。
15:40、バスは予定より20分早く金沢駅前に到着。
「ホテルドーミーイン金沢」へ再チェックイン。すぐに天然温泉大浴場に入って、疲れた体を癒す。普通のビジネスホテルではなく、大浴場付きホテルを選んでいて良かった。
★ ★ ★
18:00ホテルを出て、夕方の金沢駅前通りを散歩。
「ルキーナ金沢」というビルの前に、大きな錆びた鉄製のモニュメントがある。「Corpus Minor #1」という作品だが、説明文に「錆による風合いの変化は、街の発展や時代の変化を象徴するものです。」と書かれているが、自分にはやや違和感がある。
18:10~「リファーレビル」1階に、かなり大きい「モンベル金沢店」があり、中をのぞいてみる。
18:50~21:40、駅前の居酒屋「醍庵(だいあん)」で下山祝い。
22:00ホテル着、23:00就寝。 疲れていたので、ぐっすり寝れた。
明日の午前中、金沢市内観光。兼六園を中心に、周辺の成巽閣・県立美術館・本多の森・21世紀美術館などを巡る予定。
★ ★ ★
翌日7月25日(金)、6:30起床。昨日、登山ストックを別当出合のバス停か、白山登山バスの中に忘れたのに気が付く。
7:00~朝食。9:00、ホテル「ドーミーイン金沢」をチェックアウト。
駅前の北陸鉄道駅前センターに行って、白山登山バスにストックの忘れ物がないか聞くが、現地の営業所に聞いてくれと、電話番号を渡され、そっけない。結局、現地営業所に電話したが、見つからなかった。ストックを紛失したのはこれで2本目。後で気が付いたが、愛用の手袋も一緒に失くしたようだ。
金沢観光は、予定を変更して、石川県観光物産館、金沢城、21世紀美術館、近江市場に絞ることにした。
9:15、金沢駅東口バスターミナルから、「城下まち周遊バス(右回り)」に乗車。
9:30、兼六園下で下車(料金:200円)。「石川県観光物産館」に行くが、10時から開店だそうで、閉まっている。しばらく入り口で待って、早めに開けてもらう。金沢名産を見て回る。金沢は名産品が多いが、日本酒やお茶席のお菓子も有名。
物産館の隣にある九谷焼専門店「九谷巴(ともえ)」にも立ち寄る。九谷焼というと豪華な色使いや図柄が特徴。しかし、最近の若い作家の薄い色でシンプルな図柄は、女性に好まれるようだ。
兼六園下から坂を上って左が「兼六園」。右の陸橋の「石川橋」を渡ると金沢城の「石川門」。
10:30、「石川門」から「金沢城公園」に入園。入園料は無料。
ボランティアガイドに案内を頼む。石川門御石垣の説明を聞く。
金沢城は、明治以降は陸軍が駐屯。戦後、新制の金沢大学のキャンパスになった。1995年(平成7)、金沢大学が移転したあと、石川県が国から金沢城址を取得し、金沢公園として整備を開始、門や櫓(やぐら)、堀などの金沢城の復元整備事業が進められている。
金沢城公園内にある「玉泉院丸庭園」は、復元工事中だが、北陸新幹線開業に合わせて開園予定だそうだ。
ガイドの話では、天守閣は築城の3年後に1602年(慶長7)、落雷により焼失した後、長い間天守閣を持っていなかったそうだ。また1881年(明治14)に兵隊の失火で、金沢城のかなりの建物が焼失したという。金沢城の復元の最終目標は、天守閣ではなく金沢城の中核をなした「二の丸御殿」だとガイドは言う。
金沢城公園から徒歩で「金沢21世紀美術館」へ、11:27着。
21世紀美術館は、「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的に、2004年(平成16)開館した。入館無料。前衛的な作品には、我々凡人は理解に苦しむ。
美術館前の広坂バス停から、タクシーで「近江市場」十間町口へ、2、3分ほどで着く(タクシー代690円)。
12:06~市民の台所「近江町(おうみちょう)市場」内を散策、海鮮物などを見て歩く。築地かアメ横のような雰囲気。
これだけの鮮魚を観光客が買うわけではなく、金沢市民が消費すると聞いて驚く。金沢の人は魚が好きらしい。大松水産「刺身市場」で、立ち食いの昼食。のどくろの刺身、サザエを堪能。海鮮丼(800円)は、おいしくて安い。
近江市場から駅前通りを散策しながら、14:30JR金沢駅に到着。
写真は、金沢の伝統芸能である加賀宝生の鼓をイメージ、金沢を象徴する金沢駅の「鼓門」。その後方のガラス張りの構造物は、雨や雪の多い金沢の「もてなしドーム」。
駅構内では、舞妓さんが京都観光PRのパンフレットを配っていた。カメラを向けるとポーズをとってくれた。
15:12、JR特急はくたか19号、新幹線を乗り継いで帰路へ。20:30頃帰宅。
★ ★ ★
梅雨が明けず、大雨で白山主峰の御前峰登頂とご来光、お池めぐりが出来なかったのは残念だった。標高差1,200mを6時間以上かけて、1日で登る登山は、最近の自分にはなかったことでやや心配だったが、達成できて安心した。豪華な個室棟が予約できたのも良かった。夏の高山植物が沢山咲いていたが、雨で写真がうまく撮れなかった。
(後日、本ブログ「白山(はくさん)-その3」に、撮影した高山植物を掲載予定。)
もう一度、北陸新幹線が開業する来年以降、梅雨が開ける夏か秋にでも、リベンジしたいと思うが・・・。
金沢は、何回か行ったことがあったが、だいぶ昔のことで兼六園や武家屋敷や金箔の工芸見学などの記憶がある。当時は金沢城や21世紀美術館はなかった。近江市場も観光地になっていたのだろうか。白山登山のついでで短い時間だったが、ひさしぶりの金沢を満喫。
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