長崎散歩
2014年7月6日(日)、結婚式・披露宴に出席のため、1泊2日で長崎市内のホテルに滞在。
朝からずーっと雨、披露宴が終わっても止まず。夕方になって小雨を見計らって、「長崎新地中華街」に路面電車で行く。
新地中華街は、長崎名物ちゃんぽん、皿うどんをはじめとした独特の長崎中華が味わえる中華料理店や、中国雑貨、食材を取り揃えた約40軒の店がひしめく。長崎電鉄「築町」電停から徒歩5分。「江山楼本店」に入る。
ちゃんぽんは「特上」「上」「並」の3種類がある。上ちゃんぽん1,000円(右)、特上ちゃんぽん1,500円(左)、並ちゃんぽん800円(税抜き)。
「特上」はホタテ、エビ、イカなどの魚介類がふんだんに使われ、小さいフカヒレも中央にのっている。「特上」と「上」は肉団子、「特上」には豚まんらしいものが見える。スープはクリーミーでコクがある。ベースは同じだが、「特上」はその具材からでるダシでひと味違うらしい。麺は、柔らかめでモチモチ。
帰り道、中華街は日曜日の夜8時を過ぎ、観光客は少なくなった。
鎖国時代、オランダ人は「出島」に、中国人の住居は「唐人屋敷」に限定された。唐船が入港すると、海岸の倉庫に積荷を搬入していたが、1698年(元禄11)の大火で焼失。このため、唐人屋敷前面の海を埋め立てて倉庫区域を造成し、「新地」と呼ばれた。幕末、鎖国政策が崩壊すると、在住中国人たちは海岸に近い新地に移り住むようになり、これが「長崎新地中華街」となったそうだ。
小雨の中を築町電停に戻り、路面電車でホテルに帰る。
翌日の7月7日、梅雨(つゆ)の雨止む朝、夜景を見れなかった「稲佐山展望台」に行こうと思ったが、山頂付近はまだ霧がかかり展望は望めそうもない。
久しぶりに「グラバー園」に行くことにする。花と緑に包まれたグラバー園は、眼下に広がる長崎港の大パノラマを見下ろす絶景地。南山手の丘に立地。旧グラバー住宅など洋館9棟が点在する。
タクシーで高台の第2ゲート前まで行き、入園(入園料600円)する。坂を下りながら、長崎港や洋館を見て、第1ゲート側から出る。
長崎港の出口に架かる「女神大橋」が見える。
大きな翼を優雅に広げた美しいフォルムから、「ヴィーナス・ウィング」とも呼ぶ。2005年12月完成。斜張橋としては全国6番目の長さ(1,289m)。海面から橋桁の高さ65mは日本一で、横浜ベイブリッジをくぐれなかった世界最大級の客船「クイーン・メリー2」もこの下を楽々通行できた。
橋の向こう側に三菱重工長崎造船所の香焼工場クレーン群が見える。
これが、定番の旧グラバー住宅。
トーマス・グラバーはスコットランド出身の商人。薩摩・長州・土佐ら討幕派を支援し、武器や弾薬を販売。坂本龍馬の亀山社中とも取引を行った。1911年(明治44年)に死去。市内の坂本国際墓地に、妻のツルとともに埋葬されている。
グラバー園を出て、隣接する国宝の「大浦天主堂」は、入口から眺める。
「大浦天主堂」の正式名は、「日本二十六聖殉教者天主堂」。中世ヨーロッパ建築を代表するゴシック調教会で、現存する木造教会では日本最古。1865年、参観にきた潜伏キリシタンが発見された。拝観料300円だが、時間の都合で入館せず。
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幕末、諸外国の圧力で日本は開国したが、日本はあくまでも禁教下にあった。居留地内にフランス人のための礼拝堂が、横浜と長崎に建設されることになった。長崎では1865年、「大浦天主堂」が建立されたが、付近の住民たちが「フランス寺」と呼び、もの珍しさで多数見物に来ていた。
その中で、浦上村の潜伏キリシタン男女15人が、人目を忍んで天主堂を参観にやって来た。プチジャン神父に、『私の胸(心)、あなたと同じ。サンタマリアのご像はどこ?』と聞いた。神父は驚き、喜んでフランスから持参した聖母像の前に導き、一緒に祈りを捧げたという。250年間、密かに信仰を続けてきた「潜伏キリシタンの発見」で、世界宗教史上例のない奇跡の事件であった。
神父はこの出来事をすぐ本国に報告した。またたく間に欧米中に広がったが、国内では知られることはなかった。やがて、浦上村の潜伏キリシタンは明るみになり、長崎奉行に届けられた。大勢の信徒たちが捕えられ、厳しい拷問を加え改宗を迫ったため、諸外国は人道問題として、長崎奉行に強く抗議した。
新政府になっても、禁教政策は踏襲されていたため、続々と信徒たちは捕縛されて拷問を受け、流罪にされた。この最後のキリシタン弾圧事件は、「浦上四番崩れ」と呼ばれ、過去の浦上一番崩れから三番崩れに比べて、もっとも規模の大きい、激しいものであった。
各国公使は、明治政府に繰り返し抗議を行なった。欧米へ赴いた遣欧使節団岩倉具視一行は、現地でも非難を浴び、日本のキリシタン弾圧が条約改正の障害となっていることを思い知らされた。キリシタン禁制が撤廃され、信徒たちが釈放されたのは、1873年(明治6年)になってからである。
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7月9日、台風の影響で長崎空港は大雨だが、風はさほど強くない。大型で強い台風8号は、沖縄に大雨、暴風や高波の被害を与えて東シナ海を北上、九州に接近中。ソラシドエア東京行き38便は、定刻通り12時25分、無事出発した。
長崎空港は、大村湾に浮かぶ有人島「箕島(みしま)」を造成して作られた世界初の海上空港で、1975年開業。離島航路や上海、ソウル航路もある国際空港、長崎県の空の玄関口。以前は、海軍飛行場跡を、海上自衛隊と民間航空会社とが共用していた。
台風は、翌日10日午前に九州に上陸、九州の発着便は、欠航が相次いだ。
南九州を横断した台風は、四国沖から紀伊半島に上陸、東海沿岸を進み、11日朝には千葉県南部に再上陸した。
TVニュースによると、台風から離れた列島各地でも、記録的な大雨をもたらしている。河川の増水、低い土地の浸水、土砂災害、強風などによる被害も出ているようだ。
11日昼前までには関東の東の海上に抜け、夕方には三陸沖で温帯低気圧に変わる見込みだそうだ。
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