信州桜めぐり
2014年4月21日(月)、信州の桜めぐりに行く。
深夜3時ころ、自宅を出発。友人の車に同乗。長野自動車道の安曇野ICで高速を降り、犀(さい)川に沿って北上。今日は曇り、時々小雨。車窓から見える桜は、ちょうど見頃。
■陸郷の山桜(長野県池田町)
「陸郷の山桜」を見るため、「桜仙峡」に向かう。
国道19号の犀川に架かる陸橋を渡って下生野で左折、日野橋を渡ったすぐのT字路を左折する。ここから西へ1.8kmほど先に、「ラベンダーガーデン夢農場」がある。
北安曇郡池田町は、1990年頃からハーブで村おこしを行ってきた。中でも、「ラベンダーガーデン夢農場」は、安曇野の北山麓にある陸郷の広大な山の斜面4万㎡に、80種類のラベンダーを栽培している。水野建設(株)が運営、花畑、芝生広場や野外ステージなどもある。
その夢農場ではなく、T字路から500mほど走って右折、大型車進入禁止の狭い急坂の山道を上る。ところどころに民家があるが、対向車とすれ違えるような待避スペースはない。後で知ったが、桜の季節は道が混み合うため、車で行く場合は西から東方向に、一方通行で桜仙峡に行くことが推奨されている。
山を上りきると公民館があり、住民が「桜仙峡」と名付けた展望ポイントに6:15到着。すでに数人のカメラマンたちが来ていた。
ここは谷の向うに「ラベンダーガーデン夢農場」があって、「陸郷の山桜」と北アルプスが一望できる。残念ながら、北アルプスはまったく見えないが、早朝だったので朝もやが山の斜面に漂っていて、幻想的な風景だった。
「陸郷の山桜」は数千本とも1万本とも言われ、植林したものではなく、小鳥によって運ばれた山桜の種が山腹のあちこちに自生して増えた名所。今では「西に吉野、東に陸郷」とまで呼ばれそうだ。桜の見ごろは4月中旬から下旬にかけて。「陸郷さくら祭り」は12日から開催されているという。
桜仙峡から先に道を進むと広い道路になり、鎌倉時代の悲しい伝説のある渓谷に架かる「登波離橋」を渡ると、大型観光バスも駐車可能な駐車場がある。団体客は、ここから桜仙峡まで歩くようだ。途中墓地公園の前を通って、池田町の中心街へと西へ進む。
●中網湖のオオヤマザクラ(長野県大町市)
山を下りると、やがて県道51号にぶつかり右折して北上、高瀬川を渡って国道147線を再び北上、白馬村方面に向かう。続いて国道148号線の道路沿いに「木崎湖」、その先に「中綱(なかつな)湖」、「青木湖」と仁科三湖が続く。
仁科三湖の中でも一番小さな「中綱湖」に、8:05着く。湖の西側に群生するオオヤマザクラの濃いピンク色が湖面を染めるため、カメラマンには人気スポットらしい。オオヤマザクラは、ヤマザクラに比べて赤みの濃い花が特徴。
行ってみるとほとんど咲いてない。ここの桜は、「大町公園」の桜が散り始める頃が、開花の目安になるらしい。次に、「大町公園」に行ってみる。
●大町公園の桜(長野県大町市)
国道148号線を引き返し、「大町公園」に8:30に着く。公園は、大町市街を見下ろす東山の中腹、「山岳博物館」の下にあり、ソメイヨシノやオオヤマザクラが植えられている。見頃は4月中旬~5月上旬で、開花にあわせて「おおまち桜祭り」が開催されるそうだ。
残雪の北アルプスを背景に見る桜が美しいらしいく、ござを敷いてお花見が楽しめそう。桜並木にはぼんぼりが並んでいるが、朝早いこともあってか人影はまったく無い。この日の開花状況は、5分咲き以下といったところ。北アルプスも、今日はまったく見えない。
●北小倉の枝垂れ桜(長野県安曇野市)
国道147号線を南下し、安曇野市の三郷小倉地区、県道25号にある北小倉の信号で曲がって狭い坂道を進むと、9:20右手の山沿いに突然見事な桜が姿を現す。
桜との間には畑があって、道路から眺める。桜は、民家に覆いかぶさるように咲いていて、その巨大さがわかる。
根元には墓地があり、ちょうど墓参に女性が花を持って来ていた。この桜は樹齢推定400年だそうで、墓守桜として地域の方々に親しまれ、大切にされていることだろう。
少し坂道を登って東の方角を見下ろすと、安曇野市街が広がり美ヶ原方面の山々が連なる。
●南小倉のシダレヒガン(長野県安曇野市)
9:55、三郷南小倉地区の県道25号沿いの三叉路の間にシダレヒガン桜(イトザクラともいう)がポツンと立っている。1968年(昭和43)市の天然記念物指定、樹齢推定400年。
以前は樹高がもっとあったが、幹の傷みが激しく、2007年頃に一部が切られたそうだ。
南小倉のシダレヒガンから道路を挟んた反対側の墓地に、3本の枝垂れ桜が咲き誇る。いずれも樹齢は不明。 こちらにも、数人のカメラマンや見学者が来ていた。
一番奥にある桜が高さもあって立派だが、落雷があったのか幹が黒焦げ、割れたりして痛々しい。
滝のように流れ落ちる花々が見事。
●田多井観音堂の枝垂れ桜(長野県安曇野市)
県道25号線を北上し、堀金(ほりがね)三田地区の田多井の信号から左手の細い坂道を山の方に上ると、大勢の見学者やカメラマンが車で来ていた。10:50、到着。
ここ山麓沿いの田多井には、あちこちに枝垂れ桜の古木が多いという。この辺りも何本かの古木があり、いずれも樹齢不明だが、畑の中の墓地に植えられている。その中でも、観音堂の枝垂れ桜が一番大きく、枝ぶりが美しい。昔この場所に観音寺というお寺があったが、明治の廃仏毀釈で廃寺になり、その本尊がこの観音堂(写真左下、桜に隠れている)に安置されているという。
観音堂の枝垂れ桜の近くの墓地には、少し小ぶりで傾いて立っている無名の枝垂れ桜がある。
もう一つは、2本並んだ枝垂れ桜で、これも無名の桜で墓地にある。
田多井地区の桜がある場所も、山裾の少し高台なので、安曇野市街地や遠く美ヶ原方面の山々が見えた。
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現在有名なソメイヨシノ(染井吉野)は、エドヒガン系の桜とオオシマザクラの交配で生まれた園芸種。江戸末期から明治初期に、江戸駒込の染井村の造園師や植木職人達によって作られた。初め、大和の吉野山(奈良県)にちなんで「吉野桜」として売られて広まったが、その後染井村の名を取り「染井吉野」と命名された。
この安曇野地方の枝垂れ桜の巨木は、樹齢が400年くらい。染井吉野の無かった昔、墓所に植えられたと考えると、本当に数百年も墓守をしていることになる。墓地は比較的小さい規模なので、個人所有の墓地だろうか。
●手打ち蕎麦「うちぼり」(長野県安曇野市)
12:00頃、安曇野赤十字病院の前を通って安曇野ICの近くの県道57号線で、通りがかりに見つけた手打ち蕎麦「うちぼり」(安曇野市豊科南穂高571-3 )に入る。もりそば(二八そば)800円。
この店の主人が、軽井沢町追分にある石臼挽き手打ち蕎麦「きこり」で修行したうちの一人だそうだ。飛び込みにしては、ラッキーな店だった。
●(長野県安曇野市)
安曇野ICから車で5Km、10分ちょっと北上すると、有限会社大王が運営している15万㎡の「大王わさび農場」(安曇野市穂高1692)がある。12:50、ちょっと寄ってみる。駐車場、入園料は無料。
北アルプスからの地下水が湧き出した「安曇野わさび田湧水群」の中にある、日本最大のわさび園。45,000坪の自然を生かした安曇野で有名な観光スポット。黒澤明監督の映画『夢』のロケ地としても知られる。「大王」は、敷地内にある民話にまつわる大王神社に由来。
広大なわさび田、わさび漬工房、風情のある水車小屋、遊歩道、大王神社、親水広場、アルプス展望台などの施設のほか、レストランやわさび漬けなどの体験コーナーがある。売店には信州名産品のほか、名物の生わさび、わさび漬け、わさび団子、わさびソフトクリーム、わさびコロッケなど。
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安曇野市は、南安曇郡の豊科町・穂高町・三郷村・堀金村と東筑摩郡の明科町の5町村が、2005年(平成17)に合併して誕生。人口約10万人。NHK連続テレビ小説の『おひさまは』(主演、井上真央)の舞台になったことで、良く知られている。
「安曇野」という地名は、本来長野県中部の松本盆地のうち、梓川と犀川の西岸から高瀬川流域の最南部にかけて広がる扇状地をいう。もともと「安曇平」と呼ばれていたが、この地の出身者・臼井吉見の小説『安曇野』で有名になり、この名称が定着した。
「安曇」の由来は、古代の海人族として知られる有力氏族の「阿曇(あずみ、安曇)氏」が、この地に移住してきたという説がある。阿曇氏はもともと北九州の志賀島周辺が本拠地だったが、全国に散らばっていったとされる。
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一日中、曇りで時折小雨、雪をかぶった北アルプスは、残念ながら全く望めなかったのが残念。少し北の大町市の桜はまだ開花してなかったが、池田町や安曇野市はちょうど見ごろで、最高だった。
安曇野ICから、長野自動車道を経て帰る。16:00頃、自宅着。
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