箱根周遊
2013年10月21日(月)、ロマンスカーで行く二泊三日の箱根の旅。
非常に強い台風27号は21日、日本の南海上を時速15キロで北北西に進んでいる。中心気圧940ヘクトパスカル、最大風速45メートル。また21日未明には、台風28号も発生した。
今日、明日もくもりの予報。雨が降らないことを願う。
新宿から12:40発の小田急ロマンスカー(特急はこね23号)に乗る。弁当を食べて缶ビール飲んでいるうちに、1時間半程度で箱根の玄関口である箱根湯本駅に着く。
箱根は昔、相当不便な所だったそうだ。実業家の利光鶴松(としみつ つるまつ)が、1923年(大正12)に「小田原急行鉄道」(現在の小田急電鉄)を創設し、新宿-小田原間を鉄道で開通させた。
利光鶴松は、1863年(文久3年)大分県に生まれ。独学で勉強、上京して小学校教員になる。明治法律学校(現明治大学)に進学して弁護士となり、その後東京市会議員、衆議院議員となって政治家として活躍する。
やがて政治家から実業界に転身、「東京市街鉄道敷設会社」の取締役、「鬼怒川水力電気」を創立して社長、「京成電気軌道」(現・京成電鉄)会長、「千代田瓦斯」(現・東京ガス)社長、「小田原急行鉄道」の社長に就任している。1941年(昭和16)、高齢や山東半島の金鉱開発事業失敗などを理由に、五島慶太に「小田急電鉄」の社長の座を譲り、全ての役職も引退。1945年(昭和20年)に死去した。
参加者を改札で出迎え、16:15駅から湯本温泉郷共同バス「滝通り行き」に乗車(100円)、5分で宿泊先の箱根湯本温泉「ホテルおかだ」に着く。
今回のOB会参加者は21名。入浴後、18:00~20:00懇親会。20:30~23:00大部屋で二次会、23:30頃就寝。
★ ★ ★
2日目の10月22日(火)は、箱根の代表的な観光スポット中心に周遊を計画。
6:15起床、7:00~朝食バイキング。9:00にホテルを出て、箱根湯本駅から「箱根登山電車」に乗る。
東海道線の国府津(こうづ)を起点とし、小田原-湯本を結ぶ小田原馬車鉄道が、1888(明治21)営業開始した。この間12.9キロを2頭立て馬車が、箱根・小田原の人達や湯治客を乗せて走った。やがて小田原電気鉄道と改め電化工事が進められて、1900(明治33)に国府津-湯本間の電車運転を開始した。
観光誘致のための登山鉄道を敷設すべきという勧めで小田原電気鉄道は、1910年(明治43)、登山鉄道敷設のための調査・研究を開始。ヨーロッパの登山鉄道を参考として、13ヶ所のトンネル、26ヶ所の鉄橋などの難工事の末、1919年(大正8)登山電車は湯本-強羅間の8.9キロの運転を開始した。この安価な運賃の登山電車の登場により、裕福な人々の箱根は、誰もが楽しめる大衆的な観光地へと変化していったという。
箱根登山電車は、くねくねした急斜面をゆっくりと這うように走る。急カーブでは車輪とレールのきしむ音がうるさい。電車には散水タンクがあり、レールの磨耗を防ぐため、車輪とレールの間に水をまきながら走る。そういえばレールが濡れている。また途中3ヶ所で、スイッチバック方式で登る。
箱根湯本駅から箱根登山電車は、34分かかって彫刻の森駅に9:59到着。駅から徒歩3分、「彫刻の森美術館」に入館する。彫刻約120点が展示された7万㎡もある庭園の野外美術館。ピカソ館ほか5つの室内展示場もある。
フジサンケイグループ傘下の美術館であり、公益財団法人彫刻の森芸術文化財団が、姉妹館の「美ヶ原高原美術館」(2011年11月のブログ、下記URL参照)とともに運営している。
http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-3e42-1.html
登山電車で隣の強羅(ごうら)駅に11:47着。ここは標高553m。この辺りは、古くから宮家や多くの政財界人の避暑地、別荘地として発展した。
11:53発のケーブルカーに乗り換え、12:03早雲山駅(標高767m)着。
ケーブルカーは、登山電車開業後の1921(大正10)年に開業。日本においては1918年(大正7)に開業した「生駒鋼索鉄道」に続く2番目の鋼索(ケーブル)鉄道で、関東ではもっとも古い。路線距離は、1.2km。このケーブルカーは、小田急グループの「箱根登山鉄道」が運営している。
次に12:07発の箱根ロープウェイに乗り換え。ゴンドラは1分間隔で運行している。急斜面をゴンドラが登っていくが、霧がかかっていて展望はあまりない。
ゴンゴラから後方の強羅市街地を見下ろす。対面の「明星ヶ岳」の山頂付近にある有名な「大文字焼」は、見えない。
やがて130m下に、迫力ある広大な「大涌谷」(おおわくだに)の噴煙と硫黄が現われる。よく見ると、幾筋もの温泉を引くパイプラインや、土砂止めの擁壁が見える。
箱根ロープウェイは、早雲山駅と桃源台駅を結ぶ全長約4kmの索道。このロープウェイも小田急グループで、1959年(昭和34)早雲山-大涌谷間が開業、1960年(昭和35)には大涌谷-桃源台間を結び、全線が開業した。
所要時間約8分、12:15大涌谷(おおわくだに)駅着。ここは標高1,040m。大涌谷は、箱根火山の噴煙地として整備された観光スポットだが、昔は「地獄谷」と呼ばれた。
駅から玉子茶屋まで遊歩道を登る。途中温泉池があったりするが、霧が濃くなって噴煙地もわからなくなる。絶景ポイントらしき場所では当然遠くも見えず。茶屋で名物の「黒たまご」(5個入り500円)を食べてみる。生卵を温泉池でゆでると、化学反応で黒い殻のゆでたまごができあがるそうだ。「黒たまご」を食べると、「7年寿命が延びる」と云われている。
土産屋の一角にある「極楽茶屋」で、「赤池地獄の黒ラーメン」(1,000円)を食べる。黒色の縮れ麺で、チャーシュー、白髪ネギ、ゆでたまごなどの具が載っていて、スープは味噌ベース唐辛子入りの赤茶色、辛さが効いている。駅レストランの「特製大涌谷カレー」もおいしかったそうだ。
13:49再びロープウェイに乗り、所要時間約16分で桃源台駅へ下る。霧が出て展望がないが、かすかに芦ノ湖が見えてくる。高度が下がるにつれ、霧も失せてくる。
ところどころに色づいた木々がみられるが、紅葉はまだこれからだ。このシーズンになると、箱根は観光客でもっと混み合う。
桃源台駅に隣接した桃源台港から「箱根海賊船ビクトリー号」に乗船する。海賊船をモチーフにした観光船で、「ロワイヤル号」、「バーサ号」、「ビクトリー号」の3隻が就航している。
14:20発のビクトリー号が出港、桃源台港の桟橋には、次発の「バーサ号」が接岸している。
箱根海賊船は、芦ノ湖の箱根町港-元箱根港-桃源台港-箱根町港を周回する。桃源台港-箱根町港の所要時間は約30分。これも小田急グループの箱根観光船(株)が営業。天気が良ければ雄大な富士山や箱根の山々が絶景だ。
速力は思ったより早い。離岸や着岸が非常にスムーズだ。後で調べると、船を横方向に動かすためのスクリューを「サイドスラスター」(Side thruster、横方向推進装置)と呼ぶが、この船は特に船首に設置し船首を左右に降るための「バウスラスター 」(Bow thruster)を備えている。
14:50、箱根町港に到着。
すぐ目の前には、富士屋ホテルチェーンの運営する「箱根駅伝ミュージアム」、箱根駅伝往路ゴール地点・復路スタート地点がある。
歩いてすぐに、箱根関所跡がある。「箱根関所・箱根関所資料館」に入館する。
江戸時代の関所の建物や取り調べの様子などを人形で再現。
資料館では、「出女(でおんな)」の取り調べ様子を書いた遊女の資料、「関所破り」の罪で処刑された奉公人の少女「お玉」の話、将軍に献上された象が関所を通った話など、興味深い。
15:30~国道1号線に沿った「旧東海道の杉並木」を15分ほど歩くと、成川美術館。
15:45、成川美術館に入館。成川美術館は、現代日本画を中心にしたコレクション。展望ラウンジ、カフェ、ショップがある。
美術館の展望ラウンジから見える芦ノ湖と元箱根港の海賊船。この方角にある富士山が絶景だそうだが、霧や雲でまったく見えない。
美術館近くの元箱根港バス停が、箱根新道経由の「箱根登山バス」の始発。17:10発、17:40箱根湯本駅に着く。
「ホテルおかだ」に到着するとすぐに入浴して汗を流す。19:00~21:00、2日目の懇親会は、カラオケやらで大いに盛り上がる。二次会は予定してなかったが、23:00まで皆で楽しい時間を過ごす。23:30就寝。
★ ★ ★
丸1日の箱根ツアーは、迷子になる人もなく、スケジュール通りで満足だった。
10月19日、富士山が初冠雪した。平年より19日、昨年より37日遅かったそうだが、7合目付近まで雪化粧したそうだ。参加者に雄大な富士山を見せられなかったのが残念だが、雨が降らなかっただけ幸いだった。
非常に強い台風27号は22日、沖縄の南東海上を北西に進んだ。その後進路を東寄りに変え、25日には九州・四国、26日には東日本に近づく見込みだという。また、強い台風28号も、南鳥島のはるか沖合を西寄りに進んでいる。
先の台風26号の影響で甚大な土石流被害にあった伊豆大島は、発生から1週間を迎える。22日時点では、死者29人、行方不明が16人いて、いまだに捜索が続いているが、再び大雨被害の警戒を呼び掛けている。
明日の予報はくもり、午後からの雨が心配。
明日23日は、「明星ヶ岳」に登る。
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