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2013年5月24日 (金)

三峯神社

 2013年5月19日(日) 秩父・大陽寺で宿泊・修行体験の後、「三峯神社」に行く。

  三峯神社は、標高1,100m。周囲にビジターセンター、遥拝殿、日本武尊銅像などがある。

  

 太陽寺から車で、三峯神社駐車場に10:50到着。天気は、曇り。

  駐車場の少し上から、雲取山などの三峰連山が写真下(案内板を撮影)のように眺望できるのだが、中腹から雲がかかっていて、全く見えない。

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●三峰ビジターセンター 

 秩父多摩甲斐国立公園の野生生物や自然のしくみを紹介する施設として、1968年(昭和43年)に埼玉県が開設。昨年4月、リニューアルオープンした。広々した館内は、内装も改修されたらしく新しくて明るく、見学しやすい。 

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  どのビジターセンターにもあるが、地形を立体模型にしたジオラマは、大変わかりやすい。自然や動植物の写真が多く展示されていて、しばらく見入る。専門員の説明も丁寧で良かった。30分ほど見学して、三峯神社に向かう。  


●三峯神社
 

  三峯神社は、秩父神社、宝登山神社とともに秩父三社の一社。三社とも社殿の彫刻が彩色されている。 

 社伝によると、景行天皇の時代の今から1,900年前、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征の折にイザナギノミコトとイザナミノミコトを祀ったお宮を造営。その後景行天皇の東国巡行の際、天皇は社地を囲む妙法ガ岳(1,329m)、白岩山(1,921m)、雲取山(2,017m)の三山が美しく連なることを聴き、「三峯山」と名付け、お宮に「三峯宮」の社号を授けたと伝えられている。   
   
 中世以降は山伏の修行道場となって栄え、畠山忠重ら東国武士の崇敬を受けた。江戸時代、「三峰講」が関東・信州、東北など各地に組織され、全国的に名が知られたという。

  

●三ツ鳥居 

 明神型鳥居を三つ組み合わせた珍しい三ツ鳥居が、境内入り口に立つ。狛犬は、宝登山神社奥宮にある痩せた狼と同じタイプ。 

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 秩父地方には狼(神犬)信仰の神社がが多く、ほかにも両神神社、武甲山御獄神社、城峯神社、椋(むく)神社、釜山神社、若御子神社・・・、青梅の御岳神社など、唐獅子のような狛犬でなく、狼の狛犬になっているそうだ。 

 

 
●遥拝殿
 

 参道右手の石段を登ると、遥拝殿が絶壁の上に建っている。三峯三山の一つ「妙法ヶ岳」(標高1,329m)に鎮座する「奥宮神社」を遥拝する所。 

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 遥拝殿から山頂部が霧に隠れた妙法ヶ岳(奥宮神社)を望む。妙法ヶ岳は、ここから徒歩で約1時間。 

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 下界の眺望も良いそうだが、曇っていて視界がない。

●日本武尊銅像 

 神社の創始者とされる日本武尊の銅像。本体5.2m、地上15m。1970年(昭和45年)に建立された。彫刻家・法元(ほうが)六郎氏の作。5~6頭身くらいで、想像したより柔和な顔をしていて、手が異常に大きく見える。
 周囲には野口雨情、斉藤茂吉らの歌碑がある。
 

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 日本武尊が「三峯神社」を造ったというところは、長瀞町の「宝登山神社」と共通する。『日本書記』や『古事記』に登場する日本武尊は、実在したか否か定かでない。日本武尊の東征の時の伝説が、東日本のあちこちに伝えられているようだが、何故だろうか。いつの時代も、権威づけのために後世の人たちが歴史を作文するのはよくあることだ。 

(参考) 宝登山神社 http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-3b82.html

  

●随身門 

 1691年(元禄4年)建立。現在の随身門は寛政4年(1792年)に再建、1965年(昭和40年)に改修された。

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●八棟燈籠 

 拝殿の前に建つ。金属や石製の灯籠が多い中で、木製の灯籠は珍しい、木製のせいか彫刻は精巧。1857年(安政4年)建立、1973年(昭和48年)に修復された。 

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 向かい側に、1853年(嘉永6年)に奉納により建立された手水舎(ちょうずや・てみずや)があるが、こちらの竜の彫刻なども精巧。 

 

●拝殿 

 1845年(弘化2年)に奉納により建立された青銅鳥居から、拝殿を望む。

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 拝殿は、1800年(寛政12年)建立、1962年(昭和37年)改修。極彩色の彫刻で彩られていて、華やか。2004年(平成16年)に漆塗り・彩色復元工事が完成。
 

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 ストーリー性はよくわからないが、七福神をモチーフにしたおめでたい彫刻が多い。 

 拝殿正面にある左の図は、布袋様と大黒様の囲碁の対局。右は、寿老人が絵を持ち、子供が書を書いたり読んだりしている。

 上にあるのは、七福神と関係ないが、よく神社で彫刻のモチーフに使われる「司馬温公の瓶割り」の図のようだ。 

 (参考) 箭弓神社 http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-fd05.html

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 弁財天と吉祥天が双六(すごろく)?で遊んでいるところを、毘沙門天がのぞきこんでいる。妻沼聖天山に、似た構図があった。 

 (参考) 妻沼聖天山 http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-8470.html 

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 恵比寿様が、エビで鯛を釣った図か? 子供たちと一緒に喜んでいる。 

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 拝殿の柱にある空想上の動物、獅子(左)と獏(ばく、右)。根津神社の彫刻と同じ金色に彩色されている。 

  (参考) 谷中界隈 http://otsukare-sama.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-dd45.html 

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 以下、順に鳳凰、亀蛇(ぎだ、頭は蛇で体は亀)、鶴(実在の鳥)、応竜(おうりゅう、翼のある竜)。 

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 脇障子が一つしか見当たらなかった。これは中国の「竹林の七賢」ではなく、「竹林の三賢人」か?

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 拝殿の屋根を支える梁の部分は、S字状に湾曲した海老虹梁(えびこうりょう)だ。 

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 12:05~12:30、鳥居前の参道にある茶屋「大島屋」で昼食、「山菜ざるそば」900円。暖かい「山菜そば」はよくあるが、ざるそばの上に山菜が載ったのは初めてで、おいしかった。 

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 三峯神社の散策を早めに切り上げ、12:45発の西武観光バスの路線バス、秩父駅行きに乗車。すでに乗客で全席埋まっていて、座れなかった。

  

 秩父湖を経て140号線を通って、13:30三峰口で下車。
     
 三峰口駅では、秩父鉄道のC58型SL「パレオエクスプレス」が、ホームに停車中。駅の構内外で、鉄道ファンが撮影していた。
 

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 今年は、3月20日~12月中旬、土曜・休日を中心にSLが運行。熊谷駅から三峰口駅まで1日1往復運転、片道約2時間40分。
 普通乗車券(熊谷-三峰口間の場合は、片道920円)のほか、「SL座席指定券」(700円)または「SL整理券(自由席)」(500円)が必要。運転日の1ヶ月前から前売り券発売だそうだ。

  

 三峰口を13:45発の秩父鉄道・羽生行に乗車。15:00寄居駅で途中下車し、駅前の和食レストラン「華屋与兵衛」、やきとり屋「金之介」で打ち上げ。 

 19:00ころ帰宅。 

 ★ ★ ★

 

 「大陽寺」までの新緑ハイク、そして修行体験で禅の一端を学び、まさに「遊山」の実践であった。秩父三社の「宝登山神社」に続き、今回「三峯神社」を詳しく知った。 

 「大陽寺」も「三峯神社」も、昔は仏教とか神道の区別は、あまりなかったのであろう。 

 
 「大陽寺」宿坊には、神棚があって出羽三山のお札が納めてあったし、天狗の面があった境内の「開山堂」は、まさしく神社の社殿であった。明治の神仏分離令は、この秘境まで及ばなかったのだろうか。
 

 
 「三峯神社」は中世以降、日本古来の山岳信仰が仏教に取り入れられた日本独特の混淆(こんこう)宗教である「修験道(しゅげんどう)」が盛んになったそうだ。山伏は悟りを得るため、三峯山へ籠もって厳しい修行を行った。仮に日本武尊の1,900年前に当社が創建されたとして、衰退と再興を繰り返してながら信仰の形態が変化したとしても、今のような神社にになったのは、神仏分離の150年足らず前である。

 

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