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2013年5月22日 (水)

秩父・大陽寺

 2013年05月18日(土) 秩父の秘境にある宿坊「大陽寺」(埼玉県秩父市大滝)に行く。

 バス停から約2時間半ほど山道を登ると、標高800mの樹林の中に天空の禅寺「大陽寺(たいようじ)」の堂宇が建つ。
 秩父十三仏霊場の一つで、本尊は釈迦如来。宿坊に一泊して、写経・読経・座禅などを体験する。

★ ★ ★
   
     
 天気は、晴れ。秩父鉄道の三峰口行きに乗車。

 
 10:20、武州日野駅で途中下車する。国道140号線を寄居方面に歩き、荒川中学校前で右折。のどかな村落の緩やかな登り坂を歩いて、そば処「和味(なごみ)」(秩父市荒川日野)へ向かう。

 
 
 約1㎞道のりを約25分で「和味」に、10:50到着、注文して出来上がるまでの間、近くの荒川支流の渓谷を散策する。

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 「和味」は、秩父荒川産の粉、自家製粉の荒挽き、こだわりのつゆ、当日挽き・打ち・茹での限定50食、こだわりの店だそうだ。天せいろそば¥1,360をいただく。そばは、やや透明がかってる細麺。野菜天ぷらもおいしい。

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 12:15武州日野駅に戻り、再び秩父鉄道に乗り、終点の三峰口駅(写真下)に12:37到着。 

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 13:00、三峰口駅から西武観光の路線バス中津川行に乗車、約8分の太陽寺入口バス停で下車する。ここが大陽寺までの起点の1丁目である。バス停から太陽寺に向けて、7㎞の山道を歩く。

 

 
 1時間50分ほど大血川(おおちがわ、荒川の支流)沿いの舗装した車道を歩いた後、15:00大血川渓流観光釣場付近に大陽寺の参道入り口(写真左)があった。

 ここから急坂の狭い参道を息を切らし、時々休憩しながら、ひたすら登る。

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 約40分ほどで最後の52丁目の石碑があり、樹林の中に大陽寺が現れる。

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 仁王像のある朽ちかけたような山門を通る。

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 15:50、太陽寺(宿坊)にチェックイン。

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●休憩・入浴(露天風呂)のあと、17:00~17:50、写経。

 262文字の『般若心経』の原紙に、薄い紙を重ねて、細い筆で一文字ずつひたすら写していく。写経は、願掛けと、心の平静を得るという意味合いがあるようだ。願掛けは、為書(ためがき)というのが最後の行にあって、ここに「家内安全」といったような願い事を書くことができる。心の平静は、写経に集中して「無心」になることが、特に現代人は有意義なことだという。

 畳に座って書くという姿勢と、普段使わない毛筆を使うので、しばらくすると足、腰や手が痛くなり、とても「無」の境地までは至らない。

 

●18:00~18:10、読経。

 今日は住職の読経を聴くだけだが、明日は参加者全員で、お経を唱和するという。

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●18:30~、精進料理の夕食、軽く飲酒。

 

 
●19:45~21:10、住職からの法話。

 法話の内容は、まず『般若心経』の中心思想である「空」ついての説明があった。残念ながら、難しくてよく理解できなかった。山道を歩いた後の疲れと夕食時の少し酒で、眠くなる。

 
 『般若心経』は、日本のほとんどの仏教宗派で読まれており、奥深い仏教思想と広い慈悲の行為である宗教的実践を簡潔に説いているらしい。

 今年2月、歌舞伎の市川團十郎の本葬で、「色は空 空は色との 時なき世へ」という辞世の句が公表された。『般若心経』の「色即是空、空即是色」を踏まえて、詠んだと言われている。この部分は、4文字熟語のようによく聞く言葉で、ぼんやりとその意味がわかる気がする。

 

 ほかにも法話では、大陽寺の由来や、住職がこの道に入ったいきさつなどの話があった。

 大陽寺は、鎌倉時代の末期、後嵯峨天皇の第三皇子・仏国国師(ぶっこくこくし)が京の政争から逃れて、1313年に秩父の秘境のこの地に開山した。昔は「袋養寺(たいようじ)」と書き、三峯神社をはじめ女人禁制の山岳寺社の中で、珍しく女性の参拝が認められ「東国女人高野山」とも呼ばれた。

 江戸時代には山岳信仰の寺社として参拝者や、また千手観音を崇拝する人々などで賑わったそうだ。本堂は250年前に建てられていて、歴史を感じさせる。臨済宗建長寺派の禅寺である。   
 

 住職は、10年前に30代で脱サラした浅見宗達氏。秩父の奥地にあるこの寺の檀家は30軒ほどで、多くのお寺がそうであるように、なかなか食べていけないという。

 
 

 
 参加者と住職で、質疑応答があった。
 ・仏教のお経は一般の人になかなか理解できず、なじめない。もっと分かり易くできないか・・・。
 ・仏教が葬式仏教となっていて、例えば介護の問題など、現代人の悩みを救済する宗教になっていないのは何故か・・・。
 といった質問(自分自身も日頃から考えていたことだが)が、参加者から出ていた。

 
 結論は出なかったが、非常に興味深い問題であった。新興宗教やカルト的な団体が、一部の人々の心を引きつけたりしている。最近の家族葬に代表される葬式や墓の将来について、全国のコンビの数より多い既成仏教のお寺の未来を、深く考えさせられる。

  この時間、天気が良ければ満天の天体ショーを堪能できるらしいが、曇っていて残念。

 ★ ★ ★

 

 大陽寺には、仏国国師をモデルとした巨大な「天狗の面」(翌日朝に確認)、13体の仏像が安置された「閻魔(えんま)堂」、砂金で作られた「千手観音像」、左甚五郎が彫ったと言われる「龍の彫刻」(見過ごした)など、数々の宝物があるという。

 下の写真は、祭壇の中央にある親指ほど小さい「千手観音像」。ガンジスの砂金で作られたとの由来がある。佐渡から3体の千手観音像が大陽寺へと渡り、善光寺(長野)と浅草寺(東京)へとそれぞれ1つずつ分けられたという。

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 次の写真2枚は、別棟の閻魔(えんま)堂と13体の仏像。中央に安置された高さ100cmの閻魔坐像、その周りに12体の坐像と立像がある。いずれも木造で、江戸時代前期の作とされ、市指定有形民俗文化財。

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 21:30頃、就寝。

 明日は、読経、座禅などがある。

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