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2013年4月19日 (金)

丹沢・大山

  2013年04月13日(土)、丹沢山系の「大山(おおやま)」に登る。

 大山は、神奈川県のほぼ中央、伊勢原市・秦野市・厚木市の市境に位置する。標高1,252mの美しい三角形のなだらかな山。江戸時代からの信仰の山で「大山詣」として関東一円で「大山講」が組織され、多くの庶民が登拝した。丹沢大山国定公園に属し、日本三百名山や関東百名山のひとつである。   
   
 
 大山は別名を「阿夫利(あふり)=雨降(あふ)り」山ともいい、雨乞いの神である。現在は、山頂に阿夫利神社本社、中腹に阿夫利神社下社、大山寺が建つ。

 

 今回の参加者は、9人。8:01新宿駅発の小田急小田原線急行に乗車、伊勢原駅で下車する。土曜日とあってか、伊勢原駅北口バス停には登山客の行列ができていて、臨時便が出ているという。9:26、神奈川中央バスで出発。

 約20分で、終点の大山ケーブルバス停に到着。

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 バスを降りると、周辺の山々の新緑がまぶしい。

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 バス終点からケーブル駅まで石段の「こま参道」沿い(写真左下)には、みやげ物屋、豆腐料理店や民芸品店、宿坊が建ち並ぶ。丹沢山系の水を使った豆腐作りや民芸品のこま作りが有名だそうだ。

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 15分ほど石段を登りきると、大山ケーブル駅に着く。

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 この先の登山コースに、石段多い急登の「男坂」、大山寺を経由する「女坂」があるが、今回はケーブルカーを利用する。

 大山観光電鉄の大山ケーブル駅から阿夫利(あふり)神社駅間は、所要時間約6分、片道450円、往復では850円。途中、大山寺駅で下車も可。

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 阿夫利神社駅は、標高700m。ここから、相模平野が見渡せる。

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 阿夫利神社下社に参拝する。阿夫利神社のご祭神は山の神様であり、雨乞いの神、農耕、豊穣や生産を司る。転じて商売繁盛、また開運招福、厄除け、家内安全のご利益があるという。

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 境内には、「武蔵川越、明治三十七年四月」の文字がある消防桶の奉納品や学童疎開の少年像などがあった。

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 10:33、神社拝殿の左奥から、登山口へ向かう。

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 登山口からは、いきなり絶壁のような急勾配の石段が現われ、恐る恐る登る。

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 登山道は、阿利神社下社を1丁目、山頂を28丁目とする石柱が1丁目づつあり。急な坂道と急な石段の繰り返しである。

 10:53、8丁目に「夫婦杉」がある。

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 樹林の中で見晴らしはないが、11:17、相模平野、相模湾、江の島が見下ろせるポイントがあった。

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 11:22、「ぼたん岩」の案内板がある。

 目を凝らすと近くに、幾重にもタマネギの皮をむいたような岩石が散見する。牡丹のようにも見えるところから、その名が付いた。 こうした石を一般にタマネギ石、この皮をむいたような構造をタマネギ状構造といい、岩石の風化過程で形成されたものだそうだ。

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 11:26、「天狗の鼻突き岩」の案内板がある。

 大岩に、大人の手が入る位の穴があいている。これは天狗が鼻を突いてしまった跡だと伝えられる。

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 11:28、16丁目は、蓑毛(みのげ)からの裏参道との合流点。1716年に麓から強力たちがかつぎあげて建てた、高さ3.68mの「石尊大権現」の石柱(山頂の自然石を霊石として祀った)がある。見晴らしも良く、ベンチがあり、しばし休憩。

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 11:44、「富士見台」に到着。

 大山の中で、この場所が富士山の絶景ポイント。江戸時代は茶屋が置かれ、浮世絵にも描かれたという。

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 富士見台からは、丹沢の山々の向こうに、雲の上から雪をかぶった富士山の頭と裾野が見える。山頂部分は、このあとすぐに雲に隠れてしまった。

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 12:10、25丁目は、ヤビツ分岐。ヤツビ峠からの合流点である。

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 ヤビツ峠は、丹沢山系を南北につなぐ車両通行可能な峠。ヤビツは「矢櫃」と書き、矢を入れる箱のこと。矢櫃が旧峠改修のとき大量に見つかったが、戦国時代に武田軍と北条軍が戦を交えたときものだと伝えられている。昔登った丹沢・塔ノ岳の出発点であったことを思い出す。

 12:18、27丁目で銅製の鳥居をくぐると山頂はもうすぐ。

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 12:25、28丁目の山頂に到着。阿夫利神社本社に参拝する。

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 大山頂上(標高1,252m)の標識。神社に隣接して売店、別棟にトイレや、奥の院がある。

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 相模平野、相模湾、三浦半島、江の島を眺望。

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 相模湾の右手には真鶴岬。その向こうに、伊豆半島があるようだ。

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 遠くに、新宿高層ビル群が霞む。

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 富士山、箱根連山、丹沢山系も見えるそうだが、確認できず。


 想像したより登山客が多く、驚く。江戸時代の「大山詣」もこんな感じだったのだろうか。登山道が混みあっていたせいか、小休止が多かったせいか、コースタイム1時間20分が、かなりオーバーしてしまった。ここで昼食。

 

 下山は、「見晴らし台」に向かう周回コースもあるが、時間短縮のため往路を戻る。

 14:15、阿夫利神社駅着。

 下社には、拝殿の地下から湧き出る御神泉があって、殖産・長命延寿の水として愛飲されている。休憩中に同行者らは飲用や、PETボトルで持ち帰りをしていたが、一緒に行きそびれた。往復でケーブルカーを利用。

 大山ケーブル駅からバス停までの参道の途中で14:55~1時間ほど食事処の「えびすや」に寄って、豆腐料理などで軽く下山祝い。

 バス、小田急を乗り継ぎ帰路へ。

 小田急電車の車窓から見える大山の、なだらかな三角形の山容が美しい。

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 17:47新宿駅に到着、解散。

 

★ ★ ★

 
 登山は、緩やかな登りや下り、平坦な道が合って変化に富むところが多いが、大山は急登が延々と続いて、意外ときつかった。昨年8月以来の山登りで、翌日は軽い筋肉痛。

 

 阿夫利神社の社伝には、崇神天皇の時代の創建とある。中世以降、大山寺を拠点とする修験道が盛んになり、源頼朝を始め、北条氏、徳川氏らは、武家の開運の神として武運の長久を祈ったらしい。

 大山は、山容が美しいのと、四季折々美しい緑や紅葉で全山がおおわれ、神の山にふさわしいとされる。山頂からの眺望も素晴らしい。 

 江戸の庶民は、寺社にお参りするための旅行が、最大のレジャーだった。その中でも、「大山詣」と「江ノ島詣」はセットの行楽でもあった。浮世絵でもよく描かれ、落語にも登場する。石段のある参道沿いのみやげ屋や食事処、宿坊が立ち並ぶ様子は、往時が偲ばれる。都心に近いためか多くの登山客に親しまれ、江戸時代の「大山詣」もこんな感じだったのだろうか。ただし現代、山ガールも多いが、昔は女性は下社までで、大山は女人禁制だった。

 毎年3月には、大山のふもとで開催される、名物の豆腐に感謝する「大山とうふ祭り」、伊勢原市主催の伊勢原駅北口→大山旧街道→女坂→阿夫利神社下社まで(9km、高低差650m)の「大山登山マラソン」があるそうだ。

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