イチイガシ
2012年9月30日(土) 宮崎県木城町のN君宅で「イチイガシのこんにゃく」を食べた。
イチイガシのドングリからこんにゃくができることに興味があって、少し調べてみることにした。
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イチイガシ(一位樫)は、ブナ科コナラ属の常緑高木で、関東以西の太平洋側の山地に分布する。神社に植栽されることが多く、各地に数多くの巨木が知られている。大きいものは高さ30mに達する。
ブナ科の果実のことをまとめて「ドングリ」と言い、コナラ属、シイ属、マテバシイ属など、日本には約20種類のドングリがある。ブナ科コナラ属の常緑性の種をカシ(樫)と呼ぶが、他の属の中でもカシと呼ばれるものもあり、わかりにくい。イチイガシは、カシ類の中では例外的に、果実をあく抜きせずに食べることができる。
これが、木城で見せてくれたイチイガシの果実(ドングリ)。
縄文時代、ドングリを細かくすりつぶして土器で煮て、だんごやおかゆにして食べていた。縄文遺跡では、大量に廃棄されたドングリの果皮や、貯蔵穴からドングリが大量に見つかることもある。第二次大戦の食糧難のときには、ドングリが食用とされてもいる。
現在でも、九州や四国の山間部では、イチイガシのドングリのデンプンからこんにゃくをつくって食べる習慣があり、「いちごんにゃく」というらしい。韓国でも、同じようなこんにゃくを「ムック」と言って、今でもふつうに作っているという。
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宮崎県綾町(あやちょう)は、国内最大規模の広大な照葉樹林の森で知られる。綾町の北俣野首には、樹齢およそ650年、樹高約18m、幹周6.3mの「綾のイチイガシ」と呼ばれるカシの巨木が、県指定の天然記念物となっている。
「みやざきの自然」14号 '97-6より 「綾のイチイガシ」。
神社などにあるイチイガシの巨木が、福岡県、山口県、熊本県、山口県 愛媛県、大分県の天然記念物に指定されている。
また市町村指定の天然記念物は、岡崎市、奈良市、京都市、福岡県太宰府市、広島市、埼玉県鳩山町、福岡県朝倉市などの社寺の境内にもある。
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唯一の国指定のイチイガシの天然記念物に、長崎県大村市に「大村のイチイガシ天然林」がある。昭和56年(1981年)に指定された。
2012/10/3(水)、「大村のイチイガシ天然林」を見に行く。
市の観光振興課に電話で場所を聞いて、友人H君の車で見に行く。大村市雄ケ原(ますらがはら)町にイチイガシ群生林がある。イチイガシは、大村市の「市の木」にもなっている。
多良山系の裾野、海抜230m~300mほどのなだらかな起伏のある丘陵地で、天然林は大村藩の藩政時代から伐採されず、保安林として残った。
この天然林の主な木はイチイガシで、ほかにたくさんの種類の木々が密生し、一大樹林を形成している。その広さは22万㎡。このように天然林が原始性高く残されているところは、全国的にみても数少ない。
舗装道路が右にカーブしている三叉路の際に、「イチイガシ原生林」という小さな看板を見つけた。この辺は、ほとんど車や人は通らない。
舗装されない道路は封鎖されていて、「防衛省用地につき立ち入りをご遠慮ください」の看板がある。この道の先は、陸上自衛隊の演習場になっていた。
車止めのあるもう一方の道を少し歩くと、「大村のイチイガシ天然林」の石碑(写真右)と大きな説明板(写真省略)があった。
ここから林の中に分け入ると、なるほど人が入らない原生林だ。写真左のような大木もある。大木になると樹皮に、写真右のような指紋のような模様がでるそうで、イチイガシの見分けがつくそうだ。
地面を探してもほとんど新しいドングリが落ちていない。イノシシの足跡や土を掘った跡がたくさん見られ、友人のH君はドングリはイノシシが食べてしまったのではと言う。
確かにこの天然林はかなり広い。我々の数千年前以上も前の祖先が見た風景の面影が、ここにあるだ。
舗装道路を車で下ると、「狸ノ尾堤」という天然林を源流とする溜池がある。
天保6年(1835年)に完成したというこの溜池は、農業用水として利用されたのだろう。その後何回か補修されたようで、写真左のような記念碑が草むらの中に立っていた。
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