江戸東京たてもの園
2012年8月25日(土) 小金井市の「江戸東京たてもの園」
「江戸東京たてもの園」は、墨田区にある「江戸東京博物館」の別館で、小金井市の小金井公園内にある。旧「武蔵野郷土館」だったところで、その資料を引き継いで、江戸から昭和にかけて建てられた貴重な建物などが、移築・展示されている。
約30棟近くある展示建造物の一部を記す。
●自証院霊屋(じしょういんおたまや)
入園するとすぐにカラフルな彫り物や金具が施された「自証院霊屋」が目立つ。以前来た時は、政治家の「高橋是清邸」、建築家の「前川國男邸」などに目が行って、気に留めなかったが。
三代将軍徳川家光の側室であった「お振りの方」を祀った霊廟。お振りの方は、家光にとって初めての子である長女・千代姫を産むが、その3年後に死去した。慶安5年(1652)、千代姫の発願により、新宿・市ヶ谷の円融寺自証院に建てられた。江戸城や日光東照宮を建てた大工が建てたという。
明治以降転売や移築を繰り返し、「江戸東京たてもの園」に移築された。東京都指定有形文化財(旧都重宝)の第1号に指定されている。確かにどこか、日光東照宮の建物に似ている。
●子宝湯(こだからゆ)
足立区千住にあった宮造りの銭湯(1929年建築)。
東京の銭湯を代表する建物で、神社仏閣を思わせる立派な銭湯。こんな贅沢な造りは、昔の銭湯が景気が良かったのだろう。ジブリの宮崎監督が、「千と千尋の神隠し」で「湯屋」のモデルに使ったという。
●天明家(てんみょうけ、農家)
江戸時代、鵜ノ木村(現在の大田区内)で名主を勤めた旧家。正面に千鳥破風をもつ主屋、長屋門や枯山水庭園などがある。長屋門は、青梅の吉川英治記念館の建物にもあったが、もともと武家屋敷に建てられたもので、その後富農の家屋敷にも作られ、門の両側の建物が使用人の住居や納屋、作業所などに利用された。こんな格式高い農家の建物も、つい最近までどこの村々にもあって、住人が生活していた。
●武居三省堂(たけいさんしょうどう、文具店)
明治初期に創業した文具店(千代田区神田須田町)。建物は震災後に建てられ、前面がタイル貼りになっている。
明治14年(1881年)に古書店として誕生した「三省堂書店」(千代田区神田神保町)とは関係ないようだが、どちらも店の名前「三省」は、論語「吾日三省吾身」(吾れ 日に三たび 吾が身を 省みる)からとられている。
●鍵屋(かぎや、居酒屋)
台東区下谷の言問通りにあった居酒屋。1856年(安政3)に建てられたと伝えられている。建物と店内は1970年(昭和45)頃の姿に復元。店内は、「ALWAYS 三丁目の夕日」の世界でノスタルジーが漂う。
●万徳旅館(まんとくりょかん)
青梅市の青梅街道沿いにあった旅館。建物は江戸時代末期の創建当初に近い姿に、室内は旅館として営業していた1950年(昭和25)ころの様子を復元。こんな旅館もつい最近まで古い街にはあった気がする。ガラスが入っているが、二階の造りもいかにも旅館(旅籠屋)で、時代劇にも出てきそうな建物だ。
最近のコメント