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2012年4月 2日 (月)

映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

 2012年3月30日午前中に映画「ALWAYS 三丁目の夕日’64」を観た後、昼から「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を観た。

 この映画では、ベテラン女優のメリル・ストリープが、元英国首相のマーガレット・サッチャーを演じている。2009年に観た同女優の主演作「マンマ・ミーア!」の女流監督フィリダ・ロイドが、再びメガホンをとっている。原題は"The Iron Lady"。メリル・ストリープは、この映画で3度目のアカデミー賞を受賞した。日本では、3月16日に公開された。

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 「鉄の女」と呼ばれたサッチャー元首相は、現在86歳で存命であるが、2008年に娘キャロル・サッチャーの回顧録で、認知症に苦しんでいることが公表された。ヨーロッパ初の女性リーダーであり、11年にわたるイギリス保守党長期政権の首相を務め、数々の政策で歴史に名を残した。そして現在は、8年前に亡くなったことを忘れて、夫と一緒に幻想の中で暮らしている。

 若い時のサッチャーは別の女優が配役されているが、メリル・ストリープは首相になる前から退任するまでと、現在の年老いた認知症の役を演じている。首相時代の容姿や演説(声質や訛り)を役作りをしているが、また80歳代の顔のシワやたるみ、体型、しゃべり方や動作も、老婆をうまく熱演していて、そのリアルさに驚く。

 マーガレットは小さな食料雑貨商の家で生まれ、オックスフォード大学に進学、政治家を目指す。初挑戦の下院議員選に落選、励ましてくれたのが夫になるデニス・サッチャー。専業主婦にはならないと宣言して男女の双子をもうけ、ついに当選する。
 1975年の保守党党首選挙で、党首に就任。1979年の総選挙では、イギリス経済の建て直しを図り、政府の市場への介入を抑制する「小さな政府」を公約に掲げ、保守党を大勝に導いて、首相に就任した。

 1982年、フォークランド紛争が勃発。男性政治家を尻目に、軍を指揮する強い女は、国民からの高い評価を受ける。この勝利をきっかけに、保守党は次の総選挙を勝ち抜き、サッチャーはより保守的で急進的な経済改革を実行して行く。

  国有企業の民営化や規制緩和、金融システム改革。改革の障害である労働組合の影響力やストライキの抑え込み、所得税・法人税の大幅引き下げの一方、付加価値税(消費税)を引き上げた。教育界の反対を押し切り、教育法を改定(教育の右傾化、競争原理の導入)した。
 終盤には、人頭税を提案して強い反発を受け、欧州統合に消極的な態度を示したために求心力が低下し、1990年英国首相、保守党党首を辞職する。

 さすがに「鉄の女」と言われたように、サッチャー首相は強く、厳しく、激しく、しかも保守主義(コンサーバティブ)であり、男まさりとだったということを、改めて感じる。(しかし、サッチャーの側近だった保守党政治家は、「映画で演じられたような、ヒステリックで感情的な人物ではなかった。」と言っているそうだ。)

 保守党の政治家としては、あの当時の女性で、しかも中流下層階級の出で、英国のトップに立つのは並大抵の努力ではなかったろうと、容易に想像できる。映画を観る前、「鉄の女の涙」という副題はどういう意味か、強い女がある時涙を流したのかと思ったが、「強い女」の過去と現在の「老い」を対比させて描いたことを、そう表現したのではないだろうか。誰でもやってくるこのような「老い」の形は、深く考えさせられた。
 

 映画の中には、爆弾テロや警官隊とデモ隊の衝突などが繰り返し流れる。これは、政策の強行と国民の反発を意味しているのだろうか。サッチャーは、英国経済を立て直したと評価されているが、経済弱者への救済はどうだったのだろうか。
 

 サッチャーが主張するような思想は、新自由主義(ネオリベ)あるいは新保守主義(ネオコン)などと呼ばれている。サッチャーを信奉している言われる安倍晋三、平沼赳夫の考えとも似通っているが、どこかに小泉純一郎元首相、橋下徹大阪市長の政策や政治手法とも共通点があるのではないかと思ってしまう。

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