映画「マネーボール」
2011年11月27日、映画「マネーボール」を観る。
長年、読売グループに君臨するトップの「鶴の一声」に、ジャイアンツの清武代表兼、GM(ゼネラルマネージャー)が、反旗をひるがえし、解任されるというという問題が、世間を騒がせている。
そんな中で、今年ベネット・ミラー監督、ブラッド・ピット主演で映画化された「マネーボール」は、メジャーリーグのオークランド・アスレチックスの実在のGMの物語だ。マイケル・ルイスによるノンフィクションの原作は、2003年に米国で発売、ベストセラーになったそうだ。
メジャーリーガーを引退後、弱小・貧乏球団オークランド・アスレチックスのGMとなった実在の人物ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、育ててきた有望選手を強豪球団に引き抜かれるという事態が続く。
チームの立て直しを図るビリーは、野球経験はないが、データ分析が得意なイェール大卒ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)と出会う。統計データを使って、選手の将来的価値を予測するという「マネーボール理論」を導入、ピーターと共にチームの改革を進めていく。
保守的な古株スカウトマンだけでなく、選手やアート・ハウ監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)らの反発を生み、チーム状況は悪化する。しかし強引に独自の改革を進めていくうち、徐々にチームに勝利をもたらす。球界はビリーの手腕を認め、周囲からの信頼も回復。そして誰も想像しなかった、奇跡の記録を打ち立てる。
人身売買のような球団GMどうしの契約金の交渉、簡単に移籍、トレードやクビを選手に伝える場面など、アメリカ社会やメジャーの厳しい現実を垣間見た。メジャーファンには、実際の選手やデータが映画の中に出てきて、興味深く楽しめたと思うが、自分には少し誇張されたであろう映画が、どこまでが現実なのかが、まだよく分からない部分がある。
統計データを使って野球を客観的に分析していくやり方は、「セイバーメトリクス」といい、1970年代に生み出され、次第に野球愛好家の中に浸透していったという。この理論を本格的に実践に使ったのが、アスレチックスのビリー・ビーンGMで、「マネーボール理論」と呼ばれた。
アスレチックスは、毎年のようにプレーオフに進出する強豪チームとなる。しかし今では他球団でも、そのやり方が採用されるようになり、貧乏球団は再び低迷を続けているというのは、残念だ。
日本のアニメや映画になった「もしドラ」=「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」は、公立高校の弱小野球部でマネージャーを務める女子高生が、ドラッカーの経営論『マネジメント』を手に部の改革を進め、甲子園を目指すと言うストーリー(発表時期は、「もしドラ」が後)だが、それと重なるところもあって、結構感動することも多かった。
ビーンと12歳になる娘との会話や、彼女がギターを引きながらの歌には、癒された。
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